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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  H04N
管理番号 1172994
審判番号 無効2005-80183  
総通号数 100 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-04-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-06-14 
確定日 2008-01-04 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3505410号「VCRスケジューリング用システムおよび方法」に係る上記当事者間の特許無効審判事件について特許庁がした「訂正を認めない。特許第3505410号の請求項1ないし8に係る発明についての特許を無効とする。」旨の審決(平成18年5月19日付け)を不服として、被請求人が同審決の取り消しを求めて知的財産高等裁判所に提起した訴えについて、同裁判所において、「特許庁が無効2005-80183号事件について平成18年5月19日にした審決を取り消す。」旨の決定(平成18年(行ケ)第10434号、平成19年1月19日)があったので、さらに審理をした結果、次のとおり改めて審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3505410号の訂正後の請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 【第1】手続の経緯
平成10年11月18日 分割出願
(原出願:特願平1-508311号(平成1年7月10日出願、
優先権主張 昭和63年7月15日))
平成15年12月19日 設定登録(特許第3505410号:請求項の 数8)
平成17年 6月14日 無効審判請求(請求人)
平成17年10月19日 答弁書(被請求人)提出
平成17年10月19日 訂正請求書(被請求人)提出
平成18年 1月23日 弁駁書(請求人) 提出
平成18年 2月14日 訂正拒絶理由通知書
平成18年 4月10日 意見書(被請求人) 提出
平成18年 5月19日 審決(訂正を認めない。請求項1?8に係る
発明についての特許を無効とする。)

平成18年 9月26日 知的財産高等裁判所出訴(平成18年行(ケ) 10434号)。
平成18年12月21日 訂正審判請求(被請求人)、(審判2006
-39201号))
平成19年 1月19日 知的財産高等裁判所決定(審決を取り消す。)
平成19年 2月 8日 訂正請求(被請求人)(特許法第134条の3
第5項に基づく)
上記訂正審判(審判2006-39201号)
の取り下げ(特許法第134条の3第4項
に基づく)
平成17年10月19日付けの上記訂正請求
の取り下げ(特許法第134条の2第4項
に基づく)
平成19年 4月16日 弁駁書提出(請求人)提出

【第2】特許明細書の特許請求の範囲の記載

設定登録時における願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という)の特許請求の範囲の記載は下記のとおりである。

記(特許明細書の特許請求の範囲の記載)
【請求項1】放送情報を記録し、インデックスするためのシステムであって、
前記放送情報を受信し、記録するための記録装置と、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするための手段と、
前記記録装置に接続されたデータプロセッサと、
を備え、
前記データプロセッサは、記録される放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段を有し、前記システムは、前記記録される放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録するための手段を有し、
前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記記録される放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、インデックスを作成するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項2】放送情報を受信し、記録するステップを含む放送情報を記録し、インデックスするための方法であって、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするステップと、
前記記録される放送情報のインデックスを作成し、ストアするステップと、
を有し、
前記インデックスは、前記記録される放送情報に関連するスケジュール情報を用いて作成され、且つ前記記録される放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録するステップと、を有することを特徴とする方法。
【請求項3】放送情報を記録し、インデックスするためのシステムであって、
前記放送情報を受信し、記録するための記録装置と、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするための手段と、
前記記録装置に接続されたデータプロセッサと、
を備え、
前記データプロセッサは、前記スケジュール情報から記録するための放送情報を選択するための手段と、記録される放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段とを有し、前記システムは、前記記録される放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録するための手段を有し、且つ、
前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項4】放送情報を記録し、インデックスするためのシステムであって、
前記放送情報を受信し、記録するための記録装置と、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするための手段と、
前記記録装置に接続されたデータプロセッサと、
を備え、
前記データプロセッサは、記録される放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段を有し、前記インデックスは、前記放送情報の少なくともプログラム名称を有し、前記システムは、前記記録される放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録する手段を有し、且つ、
前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記記録される放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項5】さらに、前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記インデックスの一部として、前記記録される放送情報の少なくとも位置情報をストアするように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】放送情報を受信し、記録するステップを含む放送情報を記録し、インデックスするための方法であって、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするステップと、
前記スケジュール情報から記録媒体に記録するための放送情報を選択するステップと、
前記記録される放送情報のインデックスを作成し、ストアするステップと、
を有し、
前記インデックスは、前記記録される放送情報に関連するスケジュール情報を用いて作成され、且つ前記記録される放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録するステップと、を有することを特徴とする方法。
【請求項7】放送情報を受信し、記録するステップを含む放送情報を記録し、インデックスするための方法であって、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするステップと、
前記記録される放送情報のインデックスを作成し、ストアするステップと、
を有し、
前記インデックスは、前記記録される放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記放送情報の少なくともプログラム名称を含んで作成され、且つ前記記録される放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録するステップと、を有することを特徴とする方法。
【請求項8】さらに、前記インデックスは、前記記録される放送情報の少なくとも位置情報を有することを特徴とする請求項7に記載の方法。

【第3】訂正明細書の特許請求の範囲の記載

訂正請求に援用された平成18年12月21日付訂正審判の審判請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の記載は下記のとおりである。下線は訂正部分を示す。

記(訂正明細書の特許請求の範囲の記載)
【請求項1】放送情報を記録し、インデックスするためのシステムであって、
前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するための記録装置と、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするための手段であって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、手段と、
前記記録装置に接続されたデータプロセッサと、
を備え、
前記データプロセッサは、前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段を有し、前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含み、
前記システムは、前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するための手段を有し、
前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項2】放送情報を記録し、インデックスするための方法であって、
前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するステップと、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするステップであって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、ステップと、
前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするステップであって、前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含む、ステップと、
を有し、
前記インデックスは、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて作成され、且つ前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するステップと、を有することを特徴とする方法。
【請求項3】放送情報を記録し、インデックスするためのシステムであって、
前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するための記録装置と、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするための手段であって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、手段と、
前記記録装置に接続されたデータプロセッサと、
を備え、
前記データプロセッサは、前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するための手段と、前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段とを有し、前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含み、
前記システムは、前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するための手段を有し、且つ、
前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項4】放送情報を記録し、インデックスするための方法であって、
前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するステップと、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするステップであって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、ステップと、
前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するステップと、
前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするステップであって、前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含む、ステップと、
を有し、
前記インデックスは、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて作成され、且つ前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するステップと、を有することを特徴とする方法。

【第4】当事者の主張

[4.1]請求人の主張

[4.1.1]請求の趣旨及び理由の概要

本件発明の特許は、特許法第123条第1項第2号および第4号の規定に該当し無効とすべきものである。

(1)無効理由1(特許法第29条第2項)
訂正前の請求項1ないし請求項8に係る発明は、いずれも甲第1号証ないし甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
たとえ訂正が認められたとしても、訂正後の請求項1ないし4に係る各発明は、いずれも甲第1,2,6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない

(2)無効理由2(特許法第36条第4項第1号)
本件特許発明は、本件特許に係る明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではないから、特許法第36条第4項第1号の規定により特許を受けることができない。

(3)無効理由3(特許法第44条第1項第29条第2項)
本件特許に係る出願は、特許法第44条第1項の分割要件を充足せずに特許出願されたものであるから、平成4年(1992)1月9日公表の甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[4.1.2]無効理由の具体的要点

請求人主張の上記無効理由1ないし3における具体的要点は以下のとおりである。

(1)無効理由1(特許法第29条第2項)

(1-1)甲第1号証には、以下の点が示されている。
番組表を受信し、録画を希望する番組を選択して保存する点、
ビデオ録画装置により番組を自動録画する点、
垂直帰線消去区間において伝送された番組表を受信機側に記録する点、
ビデオ録画装置にマイクロコンピュータを設けた点、
自動録画のために全番組から有料番組を選択する点、
マイクロコンピュータがビデオテキスト由来データと記録すべきビデオ信号とを組み合わせて有料番組及び送信時間を示すデータを記録する点、
ビデオテキストデコーダが有料番組を放送時間及びタイトルにより識別する点、
ビデオ信号の録画の際に垂直帰線消去領域に含まれる番組データと、有料番組及び送信時間を示すデータとが記録され、再生される点、
ビデオテキスト由来データ(垂直帰線消去領域に含まれる番組データ)を用いて、英数字画像表示を作成し、番組表の各有料番組が選択されて録画装置に保存される点。

(1-2)甲第2号証には、以下の点が示されている。
録画のために選択した放送番組に標識をつける点、
希望番組データによって放送番組を受信し、録画装置で録画する点、
操作制御回路の入力装置を通じて希望番組のデータを希望番組記憶装置に入力できる点、
操作制御回路が希望番組記憶装置に記憶された希望番組データによって録画・再生装置を制御することにより、記録媒体に記録する点、
テレビ受像機の画面から選択した放送番組のデータ及びタイトルを希望番組記憶装置に伝送できる点、
操作制御回路は、録画のために選択された放送番組に標識をつけて希望番組記憶装置に伝送する点、
録画ブロックに対応する情報ブロックにタイトルをつけた点、
記録媒体上に特別に識別標識を含む録画ブロックを記録する点、
希望番組記憶装置は録画のために選択された放送番組に標識をつけて記憶する点、
録画ブロックに対応する情報ブロックに位置データを割り当てる点。
(1-3)訂正前請求項1ないし8に係る各発明は、甲第1,2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(1-4)訂正がたとえ認められたとしても、訂正後の請求項1ないし4記載の発明は、甲第1,2,6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(i)訂正後の『データプロセッサにおいて記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアする手段』については、
甲第1号証の翻訳文の第3頁16?20行、第6頁21?26行に記載されているように、『マイクロコンピュータがビデオテキスト由来データと記録すべきビデオ信号とを組み合せて有料番組及び送信時間を示すデータを記録する』構成が開示されている。
また、甲第2号証には、「操作制御回路は録画のために選択された放送番組に標識をつけて希望番組記憶装置に伝送する」(甲第2号証の翻訳文・第6頁14?20行)のように、『放送番組に標識をつける』構成が示されており、さらに、
甲第6号証には、「リストを用いてビデオ信号部分を早く検索できるようにする」(甲第6号証・第3頁右下欄15?20行)のように、『ビデオ信号部分にリストをつける』構成が示されている。
これら甲第1号証、甲第2号証及び甲第6号証の構成は訂正後の上記構成と一致する。

(ii)訂正後の『前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報を含む』構成については、
甲第1号証の翻訳文・第3頁16?20行に記載されているように、『ビデオテキストデコーダが有料番組を放送時間及びタイトルにより識別する』構成が開示されており、
また、甲第2号証の翻訳文・第4頁7?8行、第4頁21?24行に記載されているように、『一般にタイトルをファイルに付けて録画している』構成や、甲第2号証の翻訳文・第7頁19?23行)に記載されているように、『録画ブロックに対応する情報ブロックにタイトルを付けた』構成が実施例として開示されている。
さらに、甲第2号証には、「少なくとも1つの情報ブロックが記録媒体上に存在する識別情報の位置データとともに録画されている記録媒体を備え、」(甲第2号証の翻訳文・第2頁3?4行)、「入力装置を通じて入力され、走査装置を通じて記録媒体から走査される識別情報のデータ及び付属の位置データが記憶されており、」(甲第2号証の翻訳文・第2頁7?8行)のように、『記録媒体上に存在する識別情報の位置データと共に録画されている』構成や、甲第2号証の翻訳文・第2頁14?17行に記載されているように、『情報媒体上に記録された録画ブロックのタイトルのタイトルリスト、及びこれらのタイトルに割り当てられた位置データを含み、しかも、あるタイトルに割当てられた位置データが前置された情報ブロックの始端位置を示す』構成が開示されている。
この甲第2号証の構成は、『インデックスが、放送情報のプログラム名称と、当該放送情報が記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報を含んでいる』構成と一致する。
なお甲第2号証には、これに関する記載が、甲第2号証の翻訳文・第3頁12?13行、第4頁28行?第5頁1行、第7頁10?23行にもある。

これに加えて、甲第6号証の翻訳文・第3頁左下欄11?17行のように、『リストとして放送のタイトルを含む』と共に、第1頁左下欄6?19行のように、『記憶器が少なくとも2個の磁気テープカセット中の磁気テープ上にビデオ信号部分の局部的な位置に関する情報を収納する』ようにしたり、第2頁左上欄14?17行のように、『各ビデオ信号部分内の任意のシーンの局部位置に関する情報も手動で収納できる』ようにする構成が示されている。
この甲第6号証の構成は、『インデックスが、放送情報のプログラム名称と、当該放送情報が記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報を含んでいる』構成と一致する。

訂正後の請求項1、2、3及び4のすべての構成要件と一致する構成が、甲第1号証、甲第2号証及び甲第6号証に開示されているから、たとえ訂正が認められたとしても、訂正後の発明は甲第1号証、甲第2号証及び甲第6号証の発明に基づいて容易に発明できたものであるから、独立して特許を受けることができない。
よって本件特許に係る訂正請求は許されないから、本件審決書においてすでになされた判断によって本件特許は無効とされてしかるべきものである。

(2)無効理由2(特許法第36条第4項第1号)
請求項1,2,3,4,6,7の「スケジュール情報を用いて記録される放送情報のインデックスを作成する」ための構成を、当業者が実施できる程度に開示するような記載は、本件明細書の発明の詳細な説明には全くない。
本件発明の詳細な説明の記載部分においては、「(インデックス情報でなく)インデックス自体を作成し」てはいないし、「インデックス自体をストアして」もいない。「インデックス情報」は、「インデックス」とは概念が一致していないし、両者の関係についての詳細な説明が全くなされていない。
上記請求項に係る各発明、および請求項4の従属項である請求項5に係る発明、請求項7の従属項である請求項8に係る発明は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許法第36条第4項第1号の規定により特許を受けることができない。

(3)無効理由3(特許法第44条第1項第29条第2項)
本件請求項1,2,3,4,6,7の構成は、親出願の出願当初の明細書の発明の詳細な説明に記載されていないものであり、本件特許の出願は、特許法第44条第1項の分割要件を充足していない。
平成4年(1992)1月9日公表の甲第4号証の特許請求の範囲の欄に、放送情報に関連するスケジュール情報を受信して、当該スケジュール情報を用いて、記録される放送情報のインデックスを作成し、放送情報を含んでインデックスを記録媒体に記録する点、上記スケジュール情報から記録するための放送情報を選択する点、上記インデックスは放送情報のプログラム名称を有する点、上記インデックスの一部として放送情報を含む点を教示する記載がある。
したがって、甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

[4.1.3]証拠方法
甲第1号証 ドイツ国出願公開公報DE3505006A1
(1986年8月14日出願公開)
甲第2号証 ドイツ国出願公開公報DE3621263A1
(1988年1月7日出願公開)
甲第3号証 特許第3505410号(本件特許公報)
甲第4号証 特表平4-500141号公報
(平成4年(1992)1月9日公表)
甲第5号証 特開昭62-223877号公報
(昭和62年(1987)10月1日公開)
甲第6号証 特開昭63-87689号公報
(昭和63年(1988)4月18日公開)

[4.1.4]訂正の請求について

訂正は認められない。

(1)以下の訂正は、特許請求の範囲の実質上の変更に該当する。
(1-1)「前記放送情報を受信し、記録媒体に記録する」とする訂正(後記「訂正事項各A」)、
「前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択する」とする訂正(後記「訂正事項各G」)、
「前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアする」とする訂正(後記「訂正事項各C」)、
「前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録する」とする訂正(後記「訂正事項各E」)、
「前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成する」とする訂正(後記「訂正事項各F」)
は、訂正前においては「記録装置」とは別体の「記録するための手段」によって処理の最終段階において「記録される放送情報を含んでインデックスを記録媒体に記録する」構成をもっていたのに対して、訂正後は、『放送情報を受信したら直ちに記録媒体に記録すると共に、以後この記録媒体に記録した放送情報に基づいてインデックスの作成、ストアの処理を順次実行して行く』ような構成に変更されていて、これにより特許請求の範囲が実質上変更されている。

(1-2)「前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む」とする訂正(後記「訂正事項各B」)は、
訂正前の「スケジュール情報」には「放送情報のプログラム名称」は含まれていなかったにもかかわらず、訂正後において含むように変更することは、処理すべき情報が新たに追加されることにより新たな機能が追加されたことになるから、特許請求の範囲が実質上変更されている。

(1-3)「前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含む」とする訂正(後記「訂正事項各D」)は、
訂正前においてはもっていなかった情報処理機能を新たに追加することになるから、特許請求の範囲が実質上変更されている。

(2)以下の訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
「前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含む」とする訂正(後記「訂正事項各D」)は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものではない。

[4.2]被請求人の主張(答弁)

[4.2.1]答弁の趣旨及び理由の概要

本件審判の請求は成り立たない。
訂正を請求する。
訂正後の各発明には、無効理由1ないし無効理由3は存在しない。
本件特許は維持されるべきものである。

[4.2.2]答弁の理由の具体的要点(無効理由)
被請求人の主張の具体的要点は以下のとおりである。

(1)無効理由1 (特許法第29条第2項)
訂正後の請求項1?4に係る発明は、甲第1,2号証に記載の発明に対して新規性かつ進歩性を有している。

(1-1)甲第1号証は、記録装置による自動的な記録を目的としてテレビジョン番組を選択するシステムを記載している。記録のために選択された番組の番組データ(例えば、放送時刻や番組タイトルなど)は、ビデオレコーダのメモリに格納される。番組が記録される時点で、番組データがその番組のビデオ信号と共にカセットテープに記録される。記録された番組の再生中、番組データは、記録された番組の再生の最初においてテレビジョン画面上に挿入される。
甲第1号証は、単に、記録のために選択された番組の番組データ(例えば、放送時刻や番組タイトルなど)を記録することを記載しているにすぎず、
「インデックス」に含まれる「前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報」を作成することも、ストアすることも教示も示唆もしていない。

(1-2)甲第2号証は、個々の記録ブロックとともに情報ブロックを記録媒体に記録する記録再生装置に関する。情報ブロックは、記録媒体に記録された記録ブロックのタイトルリストを含む。そのタイトルリストは、記録ブロックのタイトルと、そのタイトルに割り当てられたタイトル番号と、記録ブロックの位置データとを含む。情報ブロックは、記録再生装置によってスキャンされ、バッファメモリに格納される。バッファメモリの内容は、記録再生装置からそれに接続されたテレビジョンに転送されるビデオピクチャに挿入される。
甲第2号証は、単に、記録ブロックのタイトルを含むタイトルリストを記録することを記載しているが、これは、訂正後の請求項1に規定される「インデックス」に含まれる「放送情報のプログラム名称」とは異なる。したがって、甲第2号証は、「インデックス」に含まれる「前記放送情報のプログラム名称」を作成することも、ストアすることも教示も示唆もしていない。

(1-3)上述したように、甲第1号証および甲第2号証のいずれも、「放送情報のプログラム名称」および「インデックス情報」の両方を含む「インデックス」を作成し、ストアすることを教示も示唆もしていない。

(2)無効理由2 (特許法第36条第4項第1号)
「インデックス」の意味を明確にする訂正により、特許法第36条第4項第1号の規定に基づく無効理由は存在しない。

(3)無効理由3(特許法第44条第1項第29条第2項)
「インデックス」の意味を明確にする訂正により、本件特許に係る出願は、特許法第44条第1項の分割要件を充足する。従って、その特許出願日は、原出願の特許出願日である平成1年7月10日に遡及するから、甲第4号証に基づく特許法第29条第2項の規定に基づく無効理由は存在しない。

[4.2.3]訂正の請求について

訂正を認めないとする理由はない。

(1)訂正前請求項1から訂正後請求項1への訂正
訂正事項1aは、放送情報の記録先を「記録媒体」に限定する訂正であるから、この訂正は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする。
訂正事項1bは、「スケジュール情報」に関する限定事項を追加する訂正であり、少なくとも、「このような補足データとしては、時刻、チャネル、プログラム名称、プログラム形式などのスケジュール情報がある。」という本願明細書の段落0002の記載に基づくから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする。
訂正事項1cは、放送情報の記録先を「記録媒体」に限定する訂正でるから、この訂正は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものとして認められるべきです。
訂正事項1dは、「インデックス」に関する限定事項を追加するとともに、「インデックス」の意味を明確にする訂正である。
ここで、「インデックス」という概念が、「放送情報のプログラム名称」と「インデックス情報」とを含むものであることは、少なくとも、本願明細書の段落0012の「このシステム90は、プログラムの自動検索に電子式インデックス法を用いている。・・・この、プログラムをどこに記録すべきかを判別するインデックス情報は、プログラムの名称と共にログ内にストアされる。」という記載および本願明細書の段落0013の「各カセットテープのスタートに、カセットに記録された各プログラムのスタート位置およびエンド位置に関する完全な記述がプログラム名と共にストアされる。」という記載に基づく。
また、「インデックス」が「放送情報のプログラム名称」を含むことは、訂正前の請求項4の「前記インデックスは、前記放送情報の少なくともプログラム名称を有し」という記載および訂正前の請求項7の「前記インデックスは、・・・前記放送情報の少なくともプログラム名称を含んで作成され」という記載からも明らかであり、さらに、「インデックス」が「インデックス情報」を含むことは、訂正前の請求項5の「前記インデックスの一部として、前記記録される放送情報の少なくとも位置情報をストアする」という記載および訂正前の請求項8の「前記インデックスは、前記記録される放送情報の少なくとも位置情報を有する」という記載からも明らかである。
従って、この訂正は、「特許請求の範囲の減縮」および「明りょうでない記載の釈明」を目的とする。
訂正事項1eは、「放送情報」を「含んで」いるのが、「前記インデックス」ではなく、「前記記録媒体」であることを明確にするとともに、その「放送情報」が「前記記録媒体に記録された」ものであることを明確にする訂正であるから、この訂正は、「明りょうでない記載の釈明」を目的とする。
訂正事項1fは、「放送情報」が「前記記録媒体に記録された」ものであることを明確にするとともに、「インデックス」が前出の「インデックス」を指すことを明確にする訂正であるから、この訂正は、「明りょうでない記載の釈明」を目的とする。
以上の理由から、訂正前の請求項1から訂正後の請求項1への訂正は、「特許請求の範囲の減縮」および「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものである。

(2)訂正前の請求項2から訂正後の請求項2への訂正事項2a?2fは、訂正事項1a?1fに実質的に同一であるから、これら訂正は、「特許請求の範囲の減縮」および「明りょうでない記載の釈明」を目的とする。

(3)訂正前の請求項3から訂正後の請求項3への訂正事項は、訂正事項3a?3gであり、訂正事項3a?3b、3d?3gは、訂正事項1a?1fに実質的に同一である。訂正事項3cは、放送情報の記録先を「記録媒体」に限定する訂正である。従って、訂正前の請求項3から訂正後の請求項3への訂正は、「特許請求の範囲の減縮」および「明りょうでない記載の釈明」を目的とする。

(4)訂正前の請求項6から訂正後の請求項4への訂正事項は、訂正事項4a?4gであり、訂正事項4a?4b、4d?4gは、訂正事項1a?1fに実質的に同一である。訂正事項4cは、放送情報の記録先を「記録媒体」に限定する訂正である。従って、訂正前の請求項6から訂正後の請求項4への訂正は、「特許請求の範囲の減縮」および「明りょうでない記載の釈明」を目的とする。

(5)以上の理由から、訂正前の請求項1?8から訂正後の請求項1?4への訂正は、「特許請求の範囲の減縮」および「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものである。
また、これらの訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

【第5】訂正の採否(当審の判断)

被請求人が求める訂正請求は、特許法第134条の3第5項の規定により、上記訂正審判の審判請求書に添付された訂正明細書(以下、「訂正明細書」という。)を援用するものであって、願書に添付した明細書(特許明細書)を、同訂正明細書のとおり訂正することを求めるものである。

[5.1]訂正内容
本件の訂正内容は以下のとおりである。
各訂正事項を、訂正事項毎に、請求項番号(1?4)と英大文字(A?G)からなる記号を付して示した。(なお、上記訂正審判請求書中に記載された、各訂正事項に付された記号を()内に記した。)

[5.1.1]訂正前の請求項4,5,7,8を削除する。

[5.1.2]訂正前の請求項1を訂正したものを訂正後の請求項1とする。
訂正前の請求項1から訂正後の請求項1への訂正事項は以下のとおり。
訂正事項1A(1a):「前記放送情報を受信し、記録するための記録装置」を「前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するための記録装置」に変更する。
訂正事項1B(1b):「前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む」という限定事項を追加する。
訂正事項1C(1c):「記録される放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段」を「前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段」に変更する。
訂正事項1D(1d):「前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含み」という限定事項を追加する。
訂正事項1E(1e):「前記記録される放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録するための手段」を「前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するための手段」に変更する。
訂正事項1F(1f):「前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記記録される放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、インデックスを作成するように構成される」を「前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成される」に変更する。

[5.1.3]訂正前の請求項2を訂正したものを訂正後の請求項2とする。
訂正前の請求項2から訂正後の請求項2への訂正事項は以下のとおり。
訂正事項2A(2a):「放送情報を受信し、記録するステップを含む放送情報を記録し、インデックスするための方法であって、」を「放送情報を記録し、インデックスするための方法であって、前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するステップと、」に変更する。
訂正事項2B(2b):「前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む」という限定事項を追加する。
訂正事項2C(2c):「前記記録される放送情報のインデックスを作成し、ストアするステップ」を「前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするステップ」に変更する。
訂正事項2D(2d):「前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含む」という限定事項を追加する。
訂正事項2F(2e):「前記インデックスは、前記記録される放送情報に関連するスケジュール情報を用いて作成され」を「前記インデックスは、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて作成され」に変更する。
訂正事項2E(2f):「前記記録される放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録するステップ」を「前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するステップ」に変更する。

[5.1.4]訂正前の請求項3を訂正したものを訂正後の請求項3とする。
訂正前の請求項3から訂正後の請求項3への訂正事項は以下のとおり。
訂正事項3A(3a):「前記放送情報を受信し、記録するための記録装置」を「前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するための記録装置」に変更する。
訂正事項3B(3b):「前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む」という限定事項を追加する。
訂正事項3G(3c):「前記スケジュール情報から記録するための放送情報を選択するための手段」を「前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するための手段」に変更する。
訂正事項3C(3d):「記録される放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段」を「前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段」に変更する。
訂正事項3D(3e):「前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含み」という限定事項を追加する。
訂正事項3E(3f):前記記録される放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録するための手段」を「前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するための手段」に変更する。
訂正事項3F(3g):「前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成される」を「前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成される」に変更する。

[5.1.5]訂正前の請求項6を訂正したものを訂正後の請求項4とする。
訂正前の請求項6から訂正後の請求項4への訂正事項は以下のとおり。
訂正事項4A(4a):「放送情報を受信し、記録するステップを含む放送情報を記録し、インデックスするための方法であって、」を「放送情報を記録し、インデックスするための方法であって、前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するステップと、」に変更する。
訂正事項4B(4b):「前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む」という限定事項を追加する。
訂正事項4G(4c):「前記スケジュール情報から記録媒体に記録するための放送情報を選択するステップ」を「前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するステップ」に変更する。
訂正事項4C(4d):「前記記録される放送情報のインデックスを作成し、ストアするステップ」を「前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするステップ」に変更する。
訂正事項4D(4e):「前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含む」という限定事項を追加する。
訂正事項4F(4f):「前記インデックスは、前記記録される放送情報に関連するスケジュール情報を用いて作成され」を「前記インデックスは、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて作成され」に変更する。
訂正事項4E(4g):「前記記録される放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録するステップ」を「前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するステップ」に変更する。

[5.2]当審の判断

[5.2.1]訂正前の請求項4,5,7,8を削除する訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正とみることができる。

[5.2.2]上記訂正後の請求項1?4に係る各訂正事項の検討に先立ち、訂正後請求項1?4について、便宜上、訂正に関連する構成要件毎に、上記訂正事項に対応する請求項番号+英大文字記号に〔〕を付して下記に記す。

記(訂正後請求項1?4、記号付き)
【請求項1】
放送情報を記録し、インデックスするためのシステムであって、
〔1A〕前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するための記録装置と、
〔1B〕前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするための手段であって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、手段と、
前記記録装置に接続されたデータプロセッサと、
を備え、
〔1C〕前記データプロセッサは、前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段を有し、
〔1D〕前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含み、
〔1E〕前記システムは、前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するための手段を有し、
〔1F〕前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成する
ように構成されることを特徴とするシステム。

【請求項2 】
放送情報を記録し、インデックスするための方法であって、
〔2A〕前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するステップと、
〔2B〕前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするステップであって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、ステップと、
〔2C〕前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするステップであって、
〔2D〕前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含む、ステップと、
を有し、
〔2F〕前記インデックスは、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて作成され、且つ
〔2E〕前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するステップと、を有することを特徴とする方法。

【請求項3 】
放送情報を記録し、インデックスするためのシステムであって、
〔3A〕前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するための記録装置と、
〔3B〕前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするための手段であって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、手段と、
前記記録装置に接続されたデータプロセッサと、
を備え、
〔3G〕前記データプロセッサは、前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するための手段と、
〔3C〕前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段とを有し、
〔3D〕前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含み、
〔3E〕前記システムは、前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するための手段を有し、且つ、
〔3F〕前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成する
ように構成されることを特徴とするシステム。

【請求項4】
放送情報を記録し、インデックスするための方法であって、
〔4A〕前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するステップと、
〔4B〕前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするステップであって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、ステップと、
〔4G〕前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するステップと、
〔4C〕前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするステップであって、
〔4D〕前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含む、ステップと、
を有し、
〔4F〕前記インデックスは、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて作成され、且つ
〔4E〕前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するステップと、を有することを特徴とする方法。

[5.2.3]上記訂正事項1A(1a)、2A(2a)、3A(3a)、4A(4a)(以下、まとめて「訂正事項各A」ともいう。) について

上記「訂正事項各A」は、記録装置における放送情報の記録先を「記録媒体」とするものであるが、訂正前においても、放送情報は「記録される」ものであるからには、これを記録する何らかの記録先が存在するものといえる以上、その記録先を「記録媒体」とする上記「訂正事項各A」は、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものでもない。
また、上記「訂正事項各A」は、いずれも願書に添付した明細書または図面(以下、「特許明細書・図面」という。)に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

[5.2.4]上記訂正事項1B(1b)、2B(2b)、3B(3b)、4B(4b){以下、まとめて「訂正事項各B」ともいう。}について

上記「訂正事項各B」は、特許明細書の段落0002の「補足データとしては、時刻、チャネル、プログラム名称、プログラム形式などのスケジュール情報がある。」なる記載に基づき、訂正前請求項1?4では、「放送情報に関連するスケジュール情報」とのみ特定されていた「スケジュール情報」について、「スケジュール情報」が「放送情報のプログラム名称を含む」という限定を付加するものである。
したがって、上記訂正事項1B(1b)、2B(2b)、3B(3b)、4B(4b)は、いずれも、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、特許請求の範囲を実質上拡張し変更するものではなく、かつ、特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものといえる。

[5.2.5]上記訂正事項1C(1c)、2C(2c)、3C(3d)、4C(4d){以下、まとめて「訂正事項各C」ともいう。}について

《適否判断の結論》
上記訂正事項1C(1c)、2C(2c)、3C(3d)、4C(4d)は、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものまたは明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、しかも、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものでもない。
また、特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものである。

以下にその理由を述べる。

《適否判断の理由》

(1)訂正前請求項1,2,3,6の記載の検討
上記「訂正事項各C」は、「記録される放送情報のインデックス」(訂正前)を「記録媒体に記録された放送情報のインデックス」(訂正後)と訂正するものである。
一般に「インデックス」とは、索引、指標、検索用情報等を意味する用語であるが、これらの意味のうち、訂正前請求項1、2,3,6記載の各発明でいう「インデックス」とは、検索用情報、すなわちアクセスしたい情報がどこに存在しているかその場所を検索するのに用いる検索用情報を意味することは明らかであり、
したがって、「記録される放送情報のインデックス」(訂正前)では「記録される」とされているものの、放送情報は「インデックス」される対象である以上、既にどこかに記録されていることを前提とする使用形態を想定したものであることも当業者に自明である。
このことからすれば、「記録される放送情報のインデックス」(訂正前)といっても「記録された放送情報のインデックス」(訂正後)といっても、後者の方が正確かつ明確であるとはいえるものの、そのインデックス自体が実質的に変化するわけではない。したがって、この点の訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではないというべきである。
また、訂正前においても、放送情報は「記録される」ものであるからには、これを記録する何らかの記録先が存在するものといえる以上、上記[5.2.3]でした「訂正事項各A」の検討と同じく、その記録先を「記録媒体」とする訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではない。

(2)特許明細書・図面の記載の検討
上記「訂正事項各C」に関連する実施例としては、「プログラムの自動検索」に用いる「電子式インデックス法」について段落0012に、「セルフインデックスによるカセットの記録」について段落0013にそれぞれ記載があるので、以下に、そこで使用されている用語の解釈を含めて同段落に記載されている事項から上記「訂正事項各C」について検討する。

(2-1)《段落0012、0013の記載事項》
「【0012】 このシステム90は、プログラムの自動検索に電子式インデックス法を用いている。記録中、プログラムの位置は、ディジタル読出しを有するキャプスタンカウンタで判別される。この、プログラムをどこに記録すべきかを判別するインデックス情報は、プログラムの名称と共にログ内にストアされる。再生時は、VCR30は自動的にインデックス位置に行き、再生を開始する。VCR30からのライン101は、インデックスデータを含む直列バスである。これは、コンピュータ5の直列入力ポートに接続されている。検索は現在のインデックス値とストアされたインデックス値とを比較することによって行われる。検索は、VCR30からのインデックス値がストアされたインデックス値と一致したとき完了する。
【0013】システム90はまた、セルフインデックスによるカセットの記録も行う。各カセットテープのスタートに、カセットに記録された各プログラムのスタート位置およびエンド位置に関する完全な記述がプログラム名と共にストアされる。再生中、この情報は、VCR30のテレテキストデコーダで読出されて画面上に表示され、使用者は、何が記述されているかを迅速に判別し、自動的に所望のプログラムにアクセスすることができる。アクセスはログから名称を選択することによって行われる。記録中、上述したように、各テープごとに完全なログが作られる。テープをVCR30から取出す前に、テープをスタート位置まで巻戻し、ログ情報をテープのVBI(ビデオブランキングインタバル)トラックに、前記の本出願人に許可された特許に記載された形式のVBIエンコーダ110を用いて記録する。ライン102は、コンピュータ5からVBIエンコーダ110への直列出力であり、ライン103は、VCR30のビデオ入力ポートに接続された、ログ情報の埋込まれたビデオ信号である。ログ情報の記録中、VCR30はその信号をアンテナ入力35からビデオ入力へ受信する。」(段落0012、0013)

(2-2)《「プログラム」、「ログ」、「ログ情報」の解釈》
「プログラムをどこに記録すべきかを判別するインデックス情報は、プログラムの名称と共にログ内にストアされる。」(段落0012)、
「アクセスはログから名称を選択することによって行われる。」(段落0013)、「記録中、上述したように、各テープごとに完全なログが作られる。」(段落0013)の「上述」とは、「カセットテープのスタートに、カセットに記録された各プログラムのスタート位置およびエンド位置に関する完全な記述がプログラム名と共にストアされる。」(段落0013)を指すこと、
「テープをVCR30から取出す前に、テープをスタート位置まで巻戻し、ログ情報をテープのVBI(ビデオブランキングインタバル)トラックに、・・・記録する。」(段落0013)からすれば、
「ログ」とは、記録媒体(カセットテープ)上の領域であって、少なくとも「プログラムの名称」および「インデックス情報」を記録する領域であって、「カセットテープのスタート」位置のVBIトラック領域の場合も含むものと理解され、
「ログ情報」とは、「ログ」なる領域に記録された情報であり、少なくとも「プログラムの名称」および「インデックス情報」を含む情報と理解され、「インデックス情報」は、カセットに記録された各プログラムのスタート位置およびエンド位置に関する完全な記述である場合も含むものと理解される。
「プログラム」が請求項でいう、「放送情報」を意味することは明らかである。

(2-3)段落0012の記載事項の検討
同段落には、「電子式インデックス法」を用いた、「プログラムの自動検索」技術が記載されている。
「記録中、プログラムの位置は、ディジタル読出しを有するキャプスタンカウンタで判別される。この、プログラムをどこに記録すべきかを判別するインデックス情報は、プログラムの名称と共にログ内にストアされる。再生時は、VCR30は自動的にインデックス位置に行き、再生を開始する。」との記載(以下、「記載部分ア」という。)があり、
同記載中の「プログラムをどこに記録すべきかを判別するインデックス情報」なる記載のみに着目すれば、「インデックス情報」は、プログラムの記録前に特定されているかのように読めるものである。
ところが、同記載に続く「この、プログラムを・・・判別するインデックス情報」とは、「記録中」にカウンタで判別される「プログラムの位置」を指すものであるとともに、これに続いてその後に記載される再生時に使用する「インデックス値」、「インデックス位置」と同じものと理解され、この「記録中」とはプログラム(放送情報)の「記録中」と理解されることを考慮すれば、
上記「記載部分ア」は、全体を合理的に解釈すれば、プログラム(放送情報)の記録中にカウンタで判別された「インデックス情報」が、プログラムの名称と共にログ(記録媒体(カセットテープ)上の領域)内にストアされると解釈される。
すなわち、「インデックス情報」は、「プログラムをどこに記録すべきかを判別するインデックス情報」なる記載のみからみればプログラムの記録前に特定されているかのように記載されてはいるが、
上記「記載部分ア」全体を合理的に解釈すれば、実際はプログラム(放送情報)の記録中は、カウンタで判別しながらそのプログラムが、どこに(どの位置からどの位置まで)記録されているのかを判別して得られるものである以上、プログラムの記録前に特定されるものではなく、したがって、『プログラム記録前に、プログラムをどこに記録すべきかを判別する」ものではなく、「放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するための」ものと解釈されるものである。
そして、プログラムの名称と共にログ内にストアするのは、判別結果を得た後、すなわちプログラムの記録後と想定するのが普通である。
また、プログラムの位置に関して唯一の具体例として記載されている段落0013(セルフインデックス)では、それが、プログラムのスタート位置およびエンド位置であると記載されていることからしても、この段落0012における「インデックス情報は、プログラムの名称と共にログ内にストアされる」のは、プログラムの記録後であると解釈される。

《まとめ(段落0012の記載事項の検討)》
以上のことから、特許明細書の段落0012の記載を参酌すれば、「記録される放送情報のインデックス」(訂正前請求項)は、「記録されている放送情報のインデックス」、すなわち「記録された放送情報のインデックス」と解釈されるものといえ、したがって、上記「訂正事項各C」の「記録される」を「記録された」とする点の訂正部分は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではないといえ、且つ、同段落の記載に基づくものといえるから、特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものといえる。
また、上記「訂正事項各C」の「前記記録媒体に」を追加する訂正部分は、同段落の記載に基づくものといえるから、特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものである。そして、この点の訂正が、「放送情報」の記録先を「記録媒体」とする特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではないことは明らかである。

(2-4)段落0013記載事項の検討
同段落には、「セルフインデックスによるカセットの記録」技術が記載されており、「テープをVCR30から取出す前に、テープをスタート位置まで巻戻し、」「各カセットテープのスタート位置のVBIトラック(・・・)に、カセットに記録された各プログラムのスタート位置およびエンド位置に関する完全な記述」と、「プログラム名」とが「完全なログ」(「完全な記述」)としてストアすることが記載されている。
この「各プログラムのスタート位置およびエンド位置に関する完全な記述」は、「プログラムの位置」といえ、したがって、「インデックス情報」なる明示はないものの、段落0012でいう「インデックス情報」に相当することは明らかであり、プログラムがテープ(記録媒体)のどこに記録されているかを判別するためのものといい得ることは明らかである。
したがって、段落0013には、記録媒体であるテープに記録された(記録済みの)各プログラム(放送情報)について、その各プログラムの名称と、その各プログラムがテープ(記録媒体)のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報(スタート位置およびエンド位置に関する完全な記述)が、記録媒体であるテープのスタート位置にストアされることが記載されているといえる。

《まとめ(段落0013の記載事項の検討)》
以上のことから、特許明細書の段落0013の記載を参酌しても、上記(2-3)《まとめ(段落0012の記載事項の検討)》と同様のことがいえる。
すなわち、「記録される放送情報のインデックス」(訂正前)は、「記録された放送情報のインデックス」と解釈されるものといえ、したがって、上記「訂正事項各C」の「記録される」を「記録された」とする点の訂正部分は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではないといえ、且つ、同段落の記載に基づくものといえるから、特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものといえる。
また、上記「訂正事項各C」の「前記記録媒体に」を追加する訂正部分は、同段落の記載に基づくものといえるから、特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものである。そして、この点の訂正が、「放送情報」の記録先を「記録媒体」とする特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではないことは明らかである。

(2-5)まとめ (特許明細書・図面の記載の検討)
以上によれば、特許明細書の段落0012、及び段落0013の記載を参酌しても、
上記訂正事項「訂正事項各C」は、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするもの(「前記記録媒体に」を追加する訂正部分)または明りょうでない記載の釈明を目的とするもの(「記録される」を「記録された」とする点の訂正部分)であり、かつ、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではない。
また、特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものである。

(3)まとめ(「訂正事項各C」)
上記(1)(2)の検討結果を総合すれば、上記訂正事項1C(1c)、2C(2c)、3C(3d)、4C(4d)は、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものまたは明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではない。
また、上記(2)の検討から、そのいずれも、特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものである。

[5.2.6]上記訂正事項1D(1d)、2D(2d)、3D(3e)、4D(4e){以下、まとめて「訂正事項各D」ともいう。}について

《適否判断の結論》
上記訂正事項1D(1d)、2D(2d)、3D(3e)、4D(4e)は、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、しかも、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものでもない。
また、特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものである。

以下にその理由を述べる。

《適否判断の理由》

(1)訂正前請求項1,2,3,6の記載の検討
上記「訂正事項各D」は、「インデックス」につき、「前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含」む(訂正後)と限定を追加する訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そして、上記[5.2.5](1)で上述したように、訂正前請求項1、2,3,6記載の各発明でいう「インデックス」は、アクセスしたい情報がどこに存在しているかその場所を検索するのに用いる検索用情報を意味することは明らかである以上、その検索対象の情報自体が何であるかを特定する為の何らかの情報とその場所を示す何らかの情報が必要であることも自明であることからみて、上記訂正事項各Dは、「インデックス」(訂正前)を実質的に拡張又は変更するものでもない。

(2)訂正前請求項4,5,7,8の記載の検討
「インデックス」が「放送情報のプログラム名称」を含むことは、訂正前請求項4および訂正前請求項7の記載からも明らかであり、また、「インデックス」が「インデックス情報」を含むことは、訂正前請求項5および訂正前の請求項8の記載からも明らかであるから、
上記「訂正事項各D」の「前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称」と「インデックス情報とを含む」点の訂正部分は、特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものでもないことは明らかである。

(3)特許明細書・図面の記載の検討
上記「訂正事項各D」に関連する実施例の記載箇所は、上記「訂正事項各C」([5.2.5](2))で検討したのと同様、段落0012、段落0013であり、それら段落の記載の解釈も上記[5.2.5](2)と同様である。

段落0012には、「インデックス」という用語そのものの記載はないものの、同用語を、同段落に明記されている「インデックス情報」と「プログラム」(放送情報)の名称を含むものとして普通に理解し得るものである。
そして、「インデックス情報」は、同段落の記載に基づき、「放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するための」ものといえることは、上記したとおりである([5.2.5](2-3))。

段落0013には、「インデックス情報」なる用語の明示ははないものの、同段落に明記されている「各プログラムのスタート位置およびエンド位置に関する完全な記述」は、段落0012に明記されている「インデックス情報」に相当するものと普通に理解し得るのであり、
また、同段落には、「インデックス」という用語そのものの記載はないもの、同用語を、上記「インデックス情報」と「プログラム」(放送情報)の名称を含むものとして普通に理解し得るものである。
そして、「インデックス情報」は、同段落の記載に基づき、「放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するための」ものといえることは、上記したとおりである([5.2.5](2-3))。

以上のことから、上記「訂正事項各D」は、いずれも、特許明細書の段落0012、0013の記載に基づくものといえるから、特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものである。また、同記載を参酌しても、特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものでもない。

(4)まとめ(「訂正事項各D」)
上記(1)(2)(3)の検討結果を総合すれば、上記訂正事項1D(1d)、2D(2d)、3D(3e)、4D(4e)は、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではない。
また、上記(2)(3)の検討から、そのいずれも、特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものである。

[5.2.7]上記訂正事項1E(1e)、2E(2f)、3E(3f)、4E(4g)(以下、まとめて「訂正事項各E」ともいう。)について

《適否判断の結論》
上記訂正事項1E(1e)、2E(2f)、3E(3f)、4E(4g)は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものまたは明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、
特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではなく、
特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものである。

以下にその理由を述べる。

《適否判断の理由》

(1)訂正前請求項1,2,3,6の記載の検討

訂正前請求項1の「前記記録される放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録するための手段」なる記載中の「含んで」の意味について検討するに、
この手段は、放送情報を記録媒体に記録するものであると共にインデックスを記録媒体に記録するものであることを特定するものといえる。
さらに、それら2つの記録対象である「放送情報」と「インデックス」の記録時期について、「放送情報」の記録後に「インデックス」を記録するもの(あるいは、その逆のもの)を排除し、同時に記録するものに限定解釈されるか、について検討するに、詳細な説明において「同時記録」に特別の技術的意義がある等の事情があればともかく、そのような事情もなく、そこまで限定解釈することはできない。すなわち、「放送情報」の記録後に「インデックス」を記録するものをも含むと解釈される。

ところで、これら2つの記録対象ののうちの「放送情報」については、同じく訂正前請求項1の「前記放送情報を受信し、記録するための記録装置」もこれを記録するとしているから、
「放送情報」の記録は、「前記放送情報を受信し、記録するための記録装置」と「前記記録される放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録するための手段」の2つで行うとしていることになる。
しかし、これでは、まとまりのある技術思想として合理性がなく、特別の場合は別としても、通常は不自然であり、且つ、放送情報の記録がいったい何でなされるのか不明瞭となる。
このことは、訂正前請求項3でも同様であるし、訂正前請求項2,6でも同様である。すなわち、訂正前請求項2,6でも、「放送情報」の記録は、「前記放送情報を受信し、記録するステップ」と「前記記録される放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録するステップ」の2つのステップで行われているとしていて、これでは、まとまりのある技術思想として合理性がなく、特別の場合は別としても、通常は不自然であり、且つ、放送情報の記録がどのステップでなされるのか不明瞭となる。

そこで、上記「訂正事項各E」について検討するに、「訂正事項各E」は、「前記記録される放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録するための手段」を「前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するための手段」とするものであるところ、この訂正事項は、
この手段が記録媒体に記録する対象を、記録される放送情報とインデックスの2つのものからインデックスのみに変更する訂正部分(以下、「訂正部分E1」という)と、
この手段が記録する記録媒体を、前記記録された放送情報を含む前記記録媒体とする訂正部分(以下、「訂正部分E2」という)から成っている。

以上のことを考え合わせると、
上記「訂正部分E1」は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえ、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではない。
上記「訂正部分E2」は、インデックスの記録先である「記録媒体」に「前記記録された放送情報を含む」という限定を付すものであり、また、上記したように、訂正前「放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録する」は、「放送情報の記録後にインデックス」を記録するものをも含むと解釈されるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、上記限定を付したからといって、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものでもない。

(2)特許明細書・図面の記載の検討

(2-1)特許明細書の発明の詳細な説明には、訂正前請求項1,2,3,6の「記録される放送情報を含んで前記インデックスを記録媒体に記録する」の、「含んで」なる語そのものまたは「含んで」なる記載に明確に対応する記載はない。

(2-2)訂正前請求項1,2,3,6に対応する実施例についての記載である段落0010?0014及び図2をみても、放送情報につき特に異なる2つのものが、またはステップで、記録を行うとはしていない。

(2-3)段落0012、0013の記載
訂正前請求項1,2,3,6に対応する実施例についての上記記載箇所段落0010?0014のうち、特にインデックスに関連する詳細については、上記[5.2.5]でも検討したと同じ段落0012と0013に記載があり、以下、同記載について検討する。

上記[5.2.5](2-3)で論じたように、段落0012には、
プログラムの記録前に特定されるものではなく、「放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するための」「インデックス情報」が、プログラムの名称と共にログ内にストアされること、そのログ内にストアは、判別結果を得た後、すなわちプログラムの記録後と想定するのが普通であるといえ、プログラムが記録された記録媒体に記録することが開示されているといえ、かつ、
同段落には、「インデックス」という用語そのものの記載はないものの、同用語を、同段落に明記されている「インデックス情報」と「プログラム」(放送情報)の名称を含むものとして普通に理解し得るものであること、および、
上記[5.2.5](2-4)で論じたように、段落0013には、
記録媒体であるテープに記録された(記録済みの)各プログラム(放送情報)について、その各プログラムの名称と、その各プログラムがテープ(記録媒体)のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報(スタート位置およびエンド位置に関する完全な記述)が、記録録媒体であるテープのスタート位置にストアされることが記載されているといえ、かつ、
同段落には、「インデックス」という用語そのものの記載はないもの、同用語を、上記「インデックス情報」と「プログラム」(放送情報)の名称を含むものとして普通に理解し得るものであること
からすれば、
上記「訂正部分E1」は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではなく、
また、上記「訂正部分E2」は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではなく、
いずれも、段落0012、0013の記載に基づくものといえるから、特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものといえる。

(3)まとめ(訂正事項各E)
上記(1)からみても、上記(2)からみても、これらの検討結果を総合してみても、上記[5.2.7]《適否判断の結論》で述べたとおり、
上記訂正事項1E(1e)、2E(2f)、3E(3f)、4E(4g)は、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものまたは明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、
いずれも特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではなく、
いずれも特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものである。

[5.2.8]上記訂正事項1F(1f)、2F(2e)、3F(3g)、4F(4f)(以下、まとめて「訂正事項各F」ともいう。)について

上記「訂正事項各F」は、インデックスの作成に用いるスケジュール情報の関連元である放送情報が、単に「記録される」ものとのみ特定していたものを、「前記記録媒体に記録された」ものと変更する訂正であるところ、
上記[5.2.5]で既に論じたと同じ理由により、
「記録される放送情報」を「記録媒体に記録された放送情報」とする変更のうち、
「記録される」を「記録された」とする点の訂正部分は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、「前記記録媒体に」を追加する訂正部分は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、
いずれも、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではなく、
いずれも、特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものである。

[5.2.9]上記訂正事項3G(1c)、4G(4c)(以下、まとめて「訂正事項各G」ともいう。)について

上記「訂正事項各G」は、放送情報につき、これが、単に「記録するための」ものとのみ特定していたものを、「前記記録媒体に記録するための」ものと変更する訂正であって、実質的に、放送情報の記録先を「記録媒体」とする限定を追加するものである。
したがって、上記「訂正事項各G」は、いずれも、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものではないし、特許明細書・図面に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

[5.2.10]まとめ(訂正の適合性)
以上のように、上記訂正内容
( 訂正前の請求項4,5,7,8を削除する訂正、および、
上記訂正事項1A(1a)?1F(1f)を訂正内容とする
訂正前請求項1から訂正後の請求項1への訂正、
上記訂正事項2A(2a)?2E(2f)を訂正内容とする
訂正前請求項2から訂正後の請求項2への訂正、
上記訂正事項3A(3a)?3F(3g)を訂正内容とする
訂正前請求項3から訂正後の請求項3への訂正、
上記訂正事項4A(4a)?4E(4g)を訂正内容とする
訂正前請求項6から訂正後の請求項4への訂正 )
は、特許請求の範囲の減縮、明りょうでない記載の釈明を目的とし、いずれも、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

したがって、本件訂正は、特許請求の範囲の減縮、明りょうでない記載の釈明を目的とし、いずれも、願書に添付した明細書又は図面に記載されている事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
以上のとおりであるから、本件訂正は、平成6年改正前特許法第134条第2項ただし書に適合し、特許法134条の2第5項において準用する平成6年改正前第126条第2項の規定に適合する。

[5.2.11]むすび(訂正の採否)
以上のとおりであるから、本件訂正を認める。


【第6】本件各発明
上記の如く、本件訂正を認めることから、本件特許の請求項1?4に係る発明(以下、「本件発明1」?「本件発明4」ともいう)は、訂正明細書及び設定登録時の図面の記載からみて、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1?4に記載のとおりのものである(【第3】訂正明細書の特許請求の範囲の記載)。


【第7】無効理由について(当審の判断)

[7.1]甲号証の記載

[7.1.1]甲第1号証(ドイツ国出願公開公報DE3505006A1(1986年8月14日出願公開)、以下「刊行物1」ともいう)には、以下の点が記載されている(原文において、a,U,u,oにウムラウト記号が付いたもの及びエスツェットはそれぞれ ae,Ue,ue,oe,ss と代用表記する。日本語訳を併記する)。

(K1.1) 「Verfahren zur automatischen Aufzeichnung von Fernsehprogrammen unter Verwendung eines Videoaufzeichnungsgeraetes, das mit einem Fernsehempfangsteil, mit einer Zeitschalteinrichtung zur automatischen Einleitung der Aufzeichnung, einem Datenspeicher fuer die Einschaltzeiten und Programmarten und einem Signalgenerator zur Umwandlung von Daten in Videosignale ausgestattet ist gekennzeichnet durch die Kombination folgender Merkmale
a) im Videoaufzeichnungsgeraetes ist ein Videotextdecoder eingbaut, der die in der Vertikalaustastluecke des empfangenen Fernsehsignals enthaltenen Programmdaten decodiert.
(テレビ受像部分、録画の自動開始のためのタイムスイッチ装置、スイッチオン時間及び番組種類に関するデータ記憶装置、及びデータをビデオ信号に変換するための信号発生器を備えたビデオ録画装置を使用してテレビ番組を自動録画する方法において、以下の特徴の組み合わせを、すなわち、
a) ビデオ録画装置の中に、受信したテレビ信号の垂直帰線消去区間に含まれた番組データをデコードするデコーダが組込まれていることと、」(2頁本文1行ないし3頁4行)、

(K1.2) 「d) durch Ausloesung einer Speicherfunktion wird der durch die elektro-optische Markierung angebotene Programmbeitrag mit allen fuer die automatische Aifzeichnung und die alpha-numerische Darstellung(Titel)notwendigen Daten im Speicher des Videorecorders abgelegt
d) 記憶機能の起動により、電気光学マーキングにより提示された有料番組が自動録画及び英数表示(タイトル)のために不可欠なデータとともにビデオレコーダの記憶装置の中に保存されることと、」(3頁18行ないし22行)、

(K1.3) 「Verfahren nach einem oder mehreren der vorhergehenden Anspruech, dadurch gekennzeichnet, dass bei der automatischen Aufzeichnung der ausgewaehlten Programmbeitraege die im Vertikalaustastbereich des Videosignals enthaltenen Programmdaten mit aufgezeichnet werden und dass bei der Wiedergabe der Programmbeitraege de im Videoaufzeichnungsgeraet eingebaute Videotextdecoder den Programmbeitrag nach Sendezeit und Titel identifiziert und beides ueber den Videosignalgenerator auf dem Fernsehbildschirm zu Beginn der Wiedergabe eingeblendet wird.
(選択された有料番組の自動録画の際に、ビデオ信号の垂直帰線消去領域に含まれた番組データも記録されることと、有料番組の再生の際に、ビデオ録画装置の中に組込まれたビデオテキストデコーダが有料番組を放送時間及びタイトルにより識別し、この放送時間およびタイトルが再生の開始時にビデオ信号発生器を通じてテレビ画面上でミキシングされることを特徴とする請求項1?8の一項以上記載の方法。)」(6頁7行ないし16行)

(K1.4) 「Die Erfindung betrifft ein Verfahren zur automatischen Aufzeichnung von Ferseh-Programmbeitraegen mit einem Videoaufzeichnungsgeraet, wobei die Auswahl der aufzuzeichnenden Programmbeitraege in besonders vorteilhafter Weise mit Hilfe der ueber den Videotext-Dienst angebotenen Programmtafeln geschieht.
(本発明は、録画すべき有料番組の選択がビデオテキストサービスを通じて提供される番組表により特に効果的な方法で行われる、ビデオ録画装置により有料テレビ番組を自動録画する方法に関する。)」(8頁本文1行ないし6行)

(K1.5) 「Unter dem Namen Videotext ist in der Bundesrepublik Deutschland ein Informationssystem eingerfuehrt, bei dem in bestimmten Datenzeilen innerhalb der Vertikalaustastluecke des Fernsehsignals neben der laufenden Videoinformation Datenbloecke uebertragen werden, die empfaengerseitig mit Hilfe eines geeigneten Decoders in mehrfarbige alphanumerische Zeichen und auch Grafiken umgewandelt werden, die auf dem Fernsehbildschirm als Tafeln mit verschiedenartigem Inhalt dargestellt werden.
Die Tafeln werden als Datenbloecke sequentiell in der Vertikalaustastluecke uebertragen und in einem dem empfaengerseitigen Decoder zugeordneten Speicher abgelegt, so dass nach freier Wahl die unterbrechungsfreie Wiedergabe einer bestimmten Tafel moeglich ist.
(ドイツにおいては、ビデオテキストという名前で、ビデオ信号の垂直帰線消去区間内の特定のデータ行の中において、最新のビデオ情報とともに、受信機側において適当なデコーダにより様々な内容を有する表としてテレビ画面上に表示される多色の英数字記号及び図形に変換されるデータブロックが伝送される。
これらの表はデータブロックとして垂直帰線消去区間内において連続して伝送され、受信機側でデコーダに割当てられた記憶装置に保存され、その結果、自由な選択により、特定の表の中断のない再生が可能になる。)」(8頁本文7行ないし9頁11行)

(K1.6) 「Ein wichtiger Bestandteil des Videotext-Informationsdienstes ist die Bereitstellung von Progammtafeln, aus denen die Programmbeitraege der verschiedenen Fernsehastalten fuer einen bestimmten Zeitraum entnehmbar sind.
Bei einem neuen System, das "Videotext programmiert Videorecorder"(VPV) genannt wird, enthalten die Programmtafeln zusaetzlich zu den Daten, die fuer die Wiedergabe der alphanumerischen Schriftzeichen auf dem Fernsehbildschirm notwendig sind, weitere auf dem Fernsehbildschirm unsichtbare Daten, mit denen der Programmbeitrag und dessen vorgesehener Beginn sowie Ende erkannt werden koennen.
Ein weiteres System wird "Vido-Programm-Service"(VPS) genannt. Bei diesem System sollen die von den Fernsehanstalten ausgestrahlen Programmbeitraege mit einer Datenkennung versehen werden, die ebenfalls den Programmbeitrag, den Beginn und das Ende kennzeichnet. Fuer diese Datenkennung ist eine bestimmte Datenzeile waehrend der Vertikalaustastluecke des Fernsehsignals vorgesehen. Durch Vergleich dieser Datenkennung mit den gespeicherten Programmdaten kann die automatische Aufzeichnung gestartet werden.
Alternativ besteht auch die Moeglichkeit, diese zusaetzliche Datenkennung in den Videotext-Datenzeilen unterzubringen, die auch die Daten fuer die Programmtafeln enthalten. Die Videotextdaten bestimmter Programmtafeln nach dem vorher beschriebenen VPV-System enthalten dann eine zusaetzuliche Datenkennung, ueber die der gerade gesendete Programmbeitrag identifizierbar ist. Daher kann auch ueber die innerhalb des Videotextsignals enthaltenen verdeckten, also nicht auf dem Bildschirm darstellbaren Daten die automatische Aufzeichnung gestartet werden.
Diese zusaetzliche Information kann in den am haeufigsten verfuegbaren Tafeln (Uebersichtstafeln) programmspezifisch angeboten werden. Mit dieser zusaetzlichen Information ist also der empfangsseitige Decoder imstande, nach Massgabe emfangsseitig abgespeicherter Daten bestimmte Programmbeitraege und ihre Sendezeit zu erkennen.
Der Erfindung liegt die Aufgabe zugrunde, auf der Basis der beschriebenen Systeme VPV und VPS ein neues vorteilhaftes Verfahren zur automatischen Aufzeichnung von Fernsehprogrammen zu schaffen, das die Programmierung des Speichers im Aufzeichnungsgeraet in besonders einfacher und benutzerfreundlicher Art erlaubt.
(ビデオテキスト情報サービスの重要な構成要素が、特定の時間帯についての様々なテレビ局の有料番組を取出すことが可能な番組表の提供である。
「ビデオテキストプログラム化ビデオレコーダ」(VPV)と呼ばれる新しいシステムにおいては、番組表は、テレビ画面上への英数字の再生に不可欠なデータに加えて、有料番組並びにその開始及び終了予定時間を知ることができる、その他のテレビ画面上では不可視のデータも含んでいる。
「ビデオ番組サービス」(VPS)と呼ばれる別のシステムがある。このシステムにおいては、テレビ局により放映される有料番組には、同様に有料番組、その開始及び終了を示すデータ識別信号を付加するようにしてある。このデータ識別信号のために、特定のデータ行が垂直帰線消去区間内に準備されている。このデータ識別信号と記憶されたプログラムデータとの比較により、自動録画を開始することができる。
あるいは又、これらの追加的データ信号を、番組表のためのデータも含んでいるビデオテキストデータ行の中に収容することもできる。その場合、前記VPVシステムによる特定の番組表のビデオテキストデータは、送信されたばかりの有料番組を識別可能な追加的識別信号も含んでいる。従って、ビデオテキスト信号の中に含まれ、隠されており、従って画面上には表示不能のデータによっても、自動録画を開始することができる。
この追加的情報は最も頻繁に利用可能な表(一覧表)に番組固有の情報として提示される。この追加的情報により、受信機側デコーダも、受信機側に記憶されたデータに基づき特定の有料番組及びその送信時間を認識することができる。
本発明の基本的課題は、前記システムVPV及びVPSに基づき、録画装置の中の記憶装置のプログラム化を特に簡単かつ使い勝手の良い形で可能にする新しい効果的なテレビ番組の自動記録方法を作りだすことにある。)」(9頁16行ないし11頁12行)

(K1.7) 「Der Videotextdecoder ist nach dem bekannten Stand der Technik im Fernsehempfaenger eingebaut. Erfindungsgemaess wird der Videotextdecoder im Aufzeichnungsgeraet eingebaut orer dem Aufzeichnungsgeraet beigestellt. Dadurch ergibt sich der Vorteil, dass die Aufbereitung der Programmtafeln und die Abspeicherung der fuer die automatische Aufzeichnung notwendigen Daten im Videoaufzeichnungsgeraet mit besonders geringem Aufwand durchgefuehrt werden kann.
(ビデオテキストレコーダは、公知の技術水準によれば、テレビ受像機に組込まれている。本発明によれば、ビデオテキストレコーダは録画装置に組込まれるか、又は録画装置に取付けられる。これにより、番組表の作成及び自動録画に不可欠なデータのビデオ録画装置への記憶を極めて低廉な費用で行うことができるという効果が生じる。)」(11頁16行ないし23行)

(K1.8) 「Nach Darstellung der Programmtafel auf dem Fernsehbildschirm werden dann die einzelnen Programmbeitraege durch eine erste elektro-optische Markierung, beispielsweise durch Blinken, durch einen Cursor oder durch eine bestimmte Farbgebung (manuell gesteuert oder automatisch) zeitlich nacheinander angeboten. Die elektro-optisch Markierung wandert manuell ausgeloest oder automatisch ueber alle Einzelbeitraege der Programmtafeln und bietet somit in zeitlicher Aufeinanderfolge alle Einzelpositionen der Programmtafeln zur Auswahl an. Durch die manuelle Ausloesung einer Speicherfunktion wird dabei der jeweils fuer die automatische Aufzeichnung gewuenschte Programmbeitrag ausgewaehlt und mit allen fuer die Aufzeichnung erforderlichen Daten im Speicher des Aufzeichnungsgeraetes abgelegt. Bei Programmbeitraegen, deren automatische Aufzeichnung nicht gewuenscht wird, unterbleibt die manuelle Ausloesung der Speicherfunktion, die elektro-optische Markierung auf dem Bildschirm wandert dann manuell ausgeloest oder automatisch zum naechsten Programmbeitrag und bietet diesen dem Geraetebenutzer an. Wird fuer einen angebotenen Programmbeitrag die Speicherfunktion ausgeloest und erfolgt dadurch die Abspeicherung des Programmbeitrages, dann wird dies durch eine zweite elektro-optische Markierung, beispielsweise eine besondere Schriftfarbe, auf dem Bildschirm angezeigt. Damit wird fuer den Benutzer die Abspeicherung des betreffenden Programmbeitrags fuer automatische Aufzeichnung quittiert.
(テレビ画面上への番組表の表示の後に、個々の有料番組が、例えば点滅、カーソル又は特定の着色のような最初の電気光学マーキング(手動制御又は自動)により、時間順に提示される。電気光学マーキングは手動起動又は自動で番組表の全ての個別番組に次から次へと移動し、それにより、時間順に番組表の全ての個別位置を選択のために提示する。記憶機能の手動起動により、自動録画を希望する各有料番組が選択され、録画に必要な全てのデータとともに録画装置の記憶装置に保存される。自動録画を希望しない有料番組の場合は、記憶機能の手動起動は行われず、画面上の電気光学マーキングは手動起動又は自動で次の有料番組に移動し、それを装置ユーザーに提示する。提示された有料番組のために記憶機能が起動され、それにより有料番組の記憶が行われた場合は、その有料番組は、例えば特別な文字色のような第2の電気光学マーキングにより画面上に表示される。これにより、自動録画のための当該の有料番組の記憶がユーザーに通知される。)」(12頁11行ないし13頁11行)

(K1.9) 「Entsprechend den Unteranspruechen des erfindungsgemaessen Verfahrens werden nach Abschluss der Auswahl der Programmbeitraege, die aufgezeichnet werden sollen, nur diese in zeitlicher Reihenfolge zusammengefasst, auf dem Bildschirm aufgelistet und elektro-optisch vorzugsweise ebenso wie bei der Auswahl der Programmbeitraege markiert, so dass eine deutliche Unterscheidung gegenueber den urspruenglichen Videotext-Programmtafeln gegeben ist. Diese elektro-optische Markierung kann vorteilhaft auch fuer die Wiedergabe der urspruenglichen Videotext-Programmtafeln uebernommen werden, so dass bei deren Aufruf die fuer die automatische Aufzeichnung aus dem Gesamtprogramm bereits gewaehlten Programmbeitraege erkennbar sind.
(本発明の従属請求項によれば、録画すべき番組の選択の終了後に、選択された有料番組だけが時間順に要約され、画面上にリストアップされ、好ましくは有料番組の選択の場合と同様に、電気光学的にマーキングされ、その結果、元のビデオテキスト番組表との明らかな違いが生じることになる。この電気光学的マーキングは元のビデオテキスト番組表の再生にも利用できるのが効果的であり、その結果、番組表の呼出しの際に、自動録画のために全番組からすでに選択されている有料番組が認識可能である。)」(13頁12行ないし24行)

(K1.10) 「In Weiterbildung der Erfindung werden schliesslich beim Ablauf der programmierten Aufzeichnung diejenigen Daten, die den Programmbeitrag und die Sendezeit kennzeichnen, mit aufgezeichnet und bei der Wiedergabe ueber den ohnehin im Aufzeichnungsgeraet vorhandenen Decoder mit Signalgenerator zu Beginn der Wiedergabe des jeweiligen Programmbeitrages in lesbarer Form in das Videosignal eingeblendet. Diesen Verfahrensschritt erledigt der im Videoaufzeichnungsgeraet ohnehin vorhandenen Microcomputer durch Kombination der aus dem Videotext-Angebot entnommenen Daten, die der alphanumerischen Bildschirmdarstellung zuzuordnen sind, mit dem aufzuzeichnenden videosignal.
(本発明のさらなる発展形態においては、プログラム化された録画の進行の際に、有料番組及び送信時間を示すデータがともに記録され、信号発生器を備えた録画装置の中にあるデコーダを通じての再生の際には、各有料番組の再生の開始時に、読取り可能な形態でビデオ信号にミキシングされる。この方法段階は、ビデオ録画装置の中に存在するマイクロコンピュータが、英数字画面表示に割当てるべき提供ビデオテキスト由来データと記録すべきビデオ信号との組合せにより実施する。)」(14頁25行ないし15頁10行)

[7.1.2]甲第2号証(ドイツ国出願公開公報DE3621263A1(1988年1月7日出願公開)、以下「刊行物2」ともいう)には、図面とともに以下の点が記載されている(原文において、a,U,u,oにウムラウト記号が付いたもの及びエスツェットはそれぞれ ae,Ue,ue,oe,ss と代用表記する。日本語訳を併記する)。

(K2.1) 「 (54) Aufzeichnungs-und Wiedergabegeraet mit einem Aufzeichnungstraeger
Die einzelnen auf einem Aufzeichnungstraeger (2) eines Aufzeichnungs-und Wiedergabegeraetes (z.B.eines Video-recorders) aufgezeichneten Aufzeichnungsbloecke (ABm,ABn) sind durch Informationsbloecke (IBn) voneinander getrennt und eingeschlossen. Diese Informationsbloecke enthalten eine Titelliste (39), die von einem Anfangskennungszeichen (A) und einem Endekennungszeichens (E) eingeschlossen ist. Jedem Titel (T) sind eine Titelnummer (TNr) und Positionsdaten (PA) des Anfangskennungszeichens(A) des Informationblockes (IBn) zugeordnet, der dem Aufzeichnungsblock (ABn) mit dem angegebenen Titel (T) vorangestellt ist. Diese Informationsbloecke werden von dem Aufzeichnungs-und Wiedergabegeraet abgetastet und zwischengespeichert und auf einem Bildschirm fuer den Benutzervisuell lesbar dargestellt.
( (54) 記録媒体を備えた録画・再生装置
録画・再生装置(例えば、ビデオレコーダ)の記録媒体(2)上に記憶された個々の録画ブロック(ABm、ABn)は情報ブロック(IBn)により相互に分離され、囲まれている。これらの情報ブロックは、始端識別符号(A)及び終端識別符号(E)により囲まれたタイトルリスト(39)を含んでいる。各タイトル(T)には、タイトル番号(TNr)、及び表示されたタイトル(T)を有する録画ブロック(ABn)に前置された情報ブロック(IBn)の始端識別符号(A)の位置データ(PA)が割当てられている。これらの情報ブロックは録画・再生装置により走査及び中間記憶され、ユーザーのために画面上に視覚化可能な状態で表示される。)」(表紙の最下欄(54)番以降)

(K2.2) 「auf den wenigstens ein Informationblock mit den Positionsdaten der auf dem Aufzeichnungstraeger befindlichen Kennzeichnungsinformationen aufgezeichnet ist,
(少なくとも1つの情報ブロックが記録媒体上に存在する識別情報の位置データとともに録画されている記録媒体を備え、)」(1欄9行ないし13行)

(K2.3) 「und mit einer Informationsblock-Auswertschaltung mit einem Zwischenspeicher, in dem die ueber eine Eingabeeinrichtung eingegebenen und ueber eine Abtasteinrichtung vom Aufzeichnungstraeger abgetasteten Daten der Kennzeichnungsinformationen.
(入力装置を通じて入力され、走査装置を通じて記憶媒体から走査される識別情報のデータ及び付属の位置データが記憶されており、)」(1欄18行ないし23行)

(K2.4) 「dass im Zwischenspeicher (35) waehrend des Aufnahmbetriebszustandes des Geraetes (1) ein Speicherraum fuer die Eingabe eines Titels (T) eingestellt ist und dass in diesen Speicherraum zusaetzlich die Daten derjenigen Position(PA) des Aufzeichnungstraegers eingespeichert sind, die der Aufzeichnungstraeger am Beginn des Aufnahmebetriebszustandes aufwies.
(装置(1)の録画動作状態中の中間記憶装置(35)には、タイトル(7)の入力用の記憶スペースが確保されていることと、この記憶スペースには、記憶媒体が録画動作状態の開始時に有する記録媒体の位置(PA)のデータが記憶されていることを)」(2欄28行ないし35行)

(K2.5) 「 dass in einem Programmwunschspeicher (11) zusaetzlich zu den Sender- und Zeitdaten eines Programmwunsches der Titel des Programmwunsches einspeicherbar ist
-und dass im Aufnahmebetriebszustand des Geraetes zur Aufzeichnung des Aufzeichnungsblocks (AB) eines Programmwunsches der Programmablauf der Informationsblock-Steuerschaltung (28) so gesteuert ist, dass der Titel des Programmwunsches vom Programmwunschspeicher in den Zwischenspeicher (35) der Informationsblock-Auswertschaltung (27) uebertragen wird.
(希望番組記憶装置(11)の中に、希望番組の送信者データ及び時間データに加えて、希望番組のタイトルが記憶可能であることと、
- 希望番組の録画ブロック(AB)の録画のための装置の録画動作状態において、希望番組のタイトルが希望番組記憶装置(35)から情報ブロック評価回路(27)の中間記憶装置に伝送されるように、情報ブロック制御回路(28)のプログラムフローが制御されていること)」(3欄20行ないし32行)

(K2.6) 「Auf Aufzeichnungstraegern mit schnellem Zugriff in der Datentechnik werden im allgemeinen die Titel der auf den Aufzeichnungstraeger aufgebrachten Dateien ebenfalls auf den Aufzeichnungstraeger aufgezeichnet. Anhand der weidergegebenen Titel kann in verhaeltnismaessig kurzer Zeit die gewuenschte Datei aus den auf dem Aufzeichnungstraeger befindlichen Dateien ausgesucht und ausgelesen werden.
(データ技術による高速アクセスが可能な記録媒体の場合は、一般的には、記録媒体上に作成されたファイルのタイトルも同様に記録媒体上に録画される。表示されたタイトルに基づき、比較的短時間で、希望のファイルを記録媒体上に存在するファイルから選び出し、読取ることができる。)」(3欄53行ないし60行)

(K2.7) 「Gleichzeitig wird dieses Kennzeichnungssignal zusammen mit Positionsdaten, die die Position der Aufzeichnungsspur auf dem Aufzeichnungstraeger bezueglich der Aufzeichnungs- und Abtasteinrichtung angibt, in einen Zwischenspeicher des Aufzeichnungs- und Wiedergabegeraetes eingespeichert. Ein Auswurfbefehl, durch den die den Aufzeichnungstraeger enthaltende Kassette aus dem Aufzeichnungs-und Wiedergabegeraet ausgegeben werden soll, veranlasst die Betriebssteuerschaltung des Geraetes zu einem Programmablauf, in dem der Aufzeichnungstraeger zunaechst an den Anfang oder das Ende der Aufzeichnungsspur transportiert wird und bei dem anschliessend der Inhalt des Zwischenspeichers des Geraetes als Informationsblock am Anfang oder am Ende der Aufzeichnungsspur auf diese aufgezeichnet wird. Erst danach wird die Kassete mit dem Aufzeichnungstraeger ausgegeben. Dieser Informationsblock wird vor einer Wiedergabe des Inhaltes des Aufzeichnungstraegers von einem derartigen Aufzeichnungs-und Wiedergabegeraet abgetastet und in den Zwischenspeicher eingespeichert und in einer Anzeigeeinrichtung angezeigt. Dadurch erhaelt der Benutzer eines derartigen Geraetes einen Ueberblick ueber die Position des Endes eines auf den Aufzeichnungstraeger aufgesprochenen Textblockes und damit auf den Anfang des folgenden auf dem Aufzeichnungstraeger befindlichen Textblockes, den er aufgrund der angegebenen Positionsdaten direkt anfahren kann.
Von diesem Stand der Technik ausgehend liegt der Erfindung die Aufgabe zugrunde, ein Aufzeichnungs-und Wiedergabegeraet so auszubilden, dass nicht nur der Anfang oder das Ende eines Aufzeichnungsblockes durch eine Kennungsinformation markiert ist, sondern dass der Benutzer eines derartigen Geraetes sich ohne wesentlichen Zeitverlust informieren kann, an welchen Stellen eines Aufzeichnungstraegers sich welche Aufzeichnungsbloecke befinden.
Diese Aufgabe wird nach der Erfindung durch die im Kennzeichen des Anspruches l angegebenen Merkmale geloest. Mit diesen Massnahmen wird in vorteilhafter Weise erreicht, dass dem Benutzer eines derartigen Geraetes bei jeder lnbetriebnahme des Geraetes der letzte Stand der Aufzeichnungen des in das Geraet eingelegten Aufzeichnungstraegers angezeigt wird, so dass er ohne jegliches Suchen vor einer gewuenschten Operation diese Operation an dem Aufzeichnungs-und Wiedergabegeraet sofort ausloesen kann.
(同時に、この識別信号は、記録・再生装置に関する記録媒体上のトラックの位置を表示する位置データとともに、記録・再生装置の中間記憶装置に記憶される。記録媒体が入れてあるカセットを記録・再生装置から排出させる排出命令により、装置の動作制御回路は、記録媒体がまずトラックの始端又は終端に送られ、続いて装置の中間記憶装置の内容がトラックの始端又は終端における情報ブロックとしてトラックに記録されるプログラムフローを作る。その後に初めて、記録媒体の入ったカセットが排出される。この情報ブロックは、記録媒体の内容の再生の前に、この種の記録・再生装置により走査され、中間記憶装置に記憶され、表示装置に表示される。これにより、この種の装置のユーザーは、記録媒体上に記録されたテキストブロックの終端の位置を、従って、表示された位置データに基づきユーザーが直接アクセスできる記憶媒体上に存在する後続のテキストブロックの始端の位置を概観的に知ることができる。
この最新技術を出発点として、本発明の基本的課題は、録画ブロックの始端及び終端が識別情報により示されるだけではなく、ユーザーがあまり時間を使わずに記録媒体のどの位置にどの録画ブロックが存在するのかを知ることもできるように、録画・再生装置を形成することにある。
この課題は、本発明によれば、請求項1に示された特徴により解決される。これらの対策により、効果的な形で、この種の装置のユーザーに、装置の使用の度毎に、装置に装填された記憶媒体の録画の最後の状態を表示し、その結果、所望の操作の前にサーチを行わなくても、録画・再生装置の操作を直ちに開始することができるようになる。)」(3欄68行ないし4欄46行)
(K2.8) 「Mit den Massnahmen des Kennzeichnens des Anspruches 13 koennen Titel eines Aufzeichnungsblockes schon vor der Aufzeichnung des Aufzeichnungsblockes auf den Aufzeichnungstraeger in das Aufzeichnungs-und Wiedergabegeraet eingegeben werden. Ausserdem ist es damit moeglich, den Titel eines Programmwunsches aus einer Videotextanzeige eines Bildschirmes auszuwaehlen oder mit einem Lichtgriffel aus einer Programmzeitschrift abzutasten und so ueber den Programmwunschspeicher in den Zwischenspeicher der Informationsblock-Auswertschaltung des Geraetes zu uebernehmen.
(請求項13の特徴の措置により、記録媒体上への録画ブロックの録画の前に、録画ブロックのタイトルを録画・再生装置に入力することができる。さらに、それにより、画面のビデオテキスト表示から希望番組のタイトルを選択すること、又はライトペンによりテレビ番組雑誌から希望番組のタイトルを走査し、希望番組記憶装置を通じて装置の情報ブロック評価回路の中間記憶装置に引継ぐことも可能である。)」(4欄62行ないし5欄5行)

(K2.9) 「In Fig.1 ist ein Blockschaltbild eines Videorecorders als Aufzeichnungs- und Wiedergabegeraet 1 mit einem Videoband als Aufzeichnungstraeger 2 dargestellt. An den Videoausgang 3 und an den Ausgang 4 eines Betriebssteuerbusses 5 des Videorders ist ein Fernsehgeraet 6 mit einem Bildschirm 7 angeschlossen.
Die verschiedenen ueber eine Bedienungssteuerschaltung 8 durch Befehle eingegebenen Betriebszustaende des Videorecorders werden durch eine Betriebssteuerschaltung 9 und den Betriebssteuerbus 5 des Videorecorders gesteuert. An einen Datenbus 10 des Videorecorders ist ein Programmwunschspeicher 11 angeschlossen. In diesem Programmwunschspeicher 11 sind die Sender- und Zeitdaten und der Titel von Sendungen gespeichert, die ein Benutzer als Programmwuensche ausgwaehlt hat. Die Daten und den Titel derartiger Programmwuensche kann der Benutzer beispielsweise ueber eine nicht naeher dargestellte Eingabeeinrichtung der Bedienungssteuerschaltung 8 in den Programmwunschspeicher 11 eingeben. Enthaelt der FernSehempfaenger 6 einen Video- oder Teletextdecoder, kann der Benutzer beispielsweise mit einem Cursor eine von ihm zur Aufnahme ausgewaehlte Sendung einer Programmankuendigung, die auf dem Bildschirm 7 des Fernsehgeraetes 6 dargestellt ist, so markieren, dass die Daten und der Titel dieser Sendung als Programmwunsch in den Programmwunschspeicher 11 uebertragen werden. Die Daten der gespeicherten Programmwuensche steuern eine Empfangsschaltung 12 des Aufzeichnungs- und Wiedergabegeraetes 1, so dass diese Sendungen ueber die Empfangsschaitung 12 des Aufzeichnungs- und Wiedergabegeraetes 1 selbsttaetig empfangen und in einer Video-Aufbereitungsschaltung 13 in ein Videosignal umgesetzt werden. Dieses Videosignal kann ueber den Videoausgang 3 des Videorecorders an das Fernsehgeraet 6 uebertragen und auf dessen Bildschirm 7 als Videobild dargestellt werden. Andererseits wird dieses Videosignal ueber einen zwiten Videoausgang 14 der Videoaufbereitungsschaltung 13 an eine Aufzeichnungseinrichtung 15 uebertragen, die waehrend des Aufzeichnungsbetriebs ueber eine Steuerleitung 16 eingeschltet ist und die diese Videosignale ueber einen Aufzeichnungs- und Wiedergabekopf 17 auf eine Spur des Aufzeichnungstraegers 2 aufzeichnet. Eine Positioniereinrichtung 18 bildet aus den Signalen von Laufdetektoren 19 Regeldaten fuer eine Antriebssteuer- und Regelschaltung 20, die die Antriebseinrichtung 21 fuer den Transport des Aufzeichnungstraegers 2 steuert. Ausserdem erzeugt die Positioniereinrichtung 18 Positiondaten PA, die die Position des Aufzeichinungs- und Wiedergabekopfes 17 auf dem Aufzeichnungstraeger wiedergeben und aus denen beispielsweise die Restlaufzeit des Aufzeichungstraegers berechnet und angezeigt werden kann.
(図1には、記録媒2としてビデオテープを使用する録画・再生装置1としてのビデオレコーダのブロックダイヤグラムが示してある。ビデオ出力3及びビデオレコーダの動作制御バス5の出力4には、画面7を有するテレビ受像機6が接続されている。
操作制御回路8を通じて命令により入力されるビデオレコーダの様々な動作状態は、ビデオレコーダの動作制御回路9及び動作制御バス5により制御される。ビデオレコーダのデータバス10には希望番組記憶装置11が接続されている。この希望番組記憶装置11の中には、送信者データ及び時間データ、さらには、ユーザーが希望番組として選択した放送番組のタイトルが記憶されている。この種の希望番組のデータ及びタイトルを、ユーザーは、例えば、詳しくは図示されていない操作制御回路8の入力装置を通じて、希望番組記憶装置に入力することができる。テレビ受像機6がビデオデコーダ又はテレテキストデコーダを含んでいる場合は、ユーザーは、例えば、カーソルにより、テレビ受像機6の画面7上に示されている番組予告の中の録画のために選択した放送番組に標識を付け、その放送番組のデータ及びタイトルを希望番組として希望番組記憶装置11に伝送することができる。記憶された希望番組のデータは録画・再生装置1の受信回路12を制御し、その結果、これらの放送番組は録画・再生装置1の受信回路12を通じて自動的に受信され、ビデオ編集回路13においてビデオ信号に変換される。このビデオ信号はビデオレコーダのビデオ出力3を通じてテレビ受像機6に伝送され、その画面7上にビデオ画像として表示される。他方、このビデオ信号はビデオ編集回路13の第2のビデオ出力14を通じて録画装置15に伝送され、この録画装置15は録画動作中には制御線16を通じてスイッチが入っており、ビデオ信号を録画・再生ヘッド17を通じて記録媒体2のトラック上に録画する。位置決め装置18が、再生検出器19の信号から、記録媒体2の運搬のために駆動装置21を制御する駆動制御・調節回路20のための調節データを作成する。さらに、位置決め装置18は、記録媒体上における録画・再生ヘッド17の位置を再現する位置データPAを作成し、これらの位置データPAから、例えば、既得媒体の残り再生時間を算出し、表示することができる。)」(5欄21行ないし6欄5行)

(K2.10) 「Wie bereits in Fig.1 schematisch angedeutet ist, sind auf dem Aufzeichnungstraeger 2 zwei benachbarte Aufzeichnungsbloecke ABm und ABn durch einen Informationsblock IBn voneinander getrennt. Jeder Aufzeichnungsblock ABm des Aufzeichnungstraeger 2 enthaelt an seinem Anfang und an seinem Ende einen derartigen Informationsblock IBm und IBn. Der Informationsblock IBn ist in Fig.2 in schematischer Form naeher dargestellt. Der in dem dargestellten Ausfuehrungsbeispiel gezeigte Informationsblock enthaelt am Anfang eine besondere Kennung 25, die so ausgebildet ist, dass sie bei einem schnellen Suchlauf, bei dem der Aufzeichnungs- und Wiederegabekopf 17 mit der Aufzeichnungsspur des Aufzeichnungstraegers im Kontakt ist, von einer Erkennungsschaltung 26 erkannt wird und diese ein besonderes Erkennungssignal IBK bildet. Durch dieses besondere Erkennungssignal IBK wird einer Informationsblock-Auswertschaltung 27 des Videorecorders ein Informationsblock gemeldet und der schnelle Suchlauf an der Stelle des Informationsblockes gestoppt. Anschliessend an die besondere Kennung 25 folgt im Informationsblock IBn eine Titelliste 39, der ein Anfangskennungszeichen A vorangestellt ist und die mit einem Endekennungszeichen E abgeschlossen wird. Jedem Titel T dieser Titelliste 39 sind eine Titelnummer TNr und Positionsdaten PA zugeordnet. Die Positionsdaten PA kennzeichnen die Anfangsposition desjenigen Informationsblocks auf dem Aufzeichinungstraeger, der dem Aufzeichnungsblock mit dem zugehoerigen Titel T vorangestellt ist.
(すでに図1に概略を示したように、記録媒体2上においては、2つの隣接する録画ブロックABm及びABnが情報ブロックIBnにより相互に分離されている。記録媒体2の各録画ブロックABmは、その始端及び終端に、この種の情報ブロックIBm及びIBnを含んでいる。情報ブロックIBnは図2に概略の形でさらに詳細に示してある。図示した実施例に示した情報ブロックは始端に特別の識別標識25を含んでおり、この特別の識別標識25は、録画・再生ヘッド17が記録媒体のトラックと接触している高速サーチの際に、認識回路26により認識され、この認識回路26が特別の認識信号IBKを作り出すように形成されている。この特別の認識信号IBKにより、ビデオレコーダの情報ブロック評価回路27に情報ブロックが伝えられ、高速サーチがその情報ブロックの場所において停止される。情報ブロックIBnの中では、特別の識別標識25にタイトルリスト39が続いており、このタイトルリスト39は前に始端識別符号Aが配置され、終端識別符号Eで終わっている。このタイトルリスト39の各タイトルTには、タイトル番号TNr及び位置データPAが割当てられている。位置データPAは、付属のタイトルTとともに録画ブロックに前置された記録媒体上の情報ブロックの始端位置を明らかにしてくれる。)」(6欄23行ないし52行)

(K2.11)「 Zur Erkennung und Auswertung der Dateen dieser Informationsbloecke enthaelt das in Fig.1 dargestellte Aufzeichnungs-und Wiedergabegeraet die Infomationsblock-Auswertschaltung 27 mit einer Informationsblock-Steuerschaltung 28, die ueber einen Steuerbus 29 die Schaltungen der Informationsblock-Auswertschaltung steuert. Da die Daten des Informationsblockes in einer anderen Codierung auf den Aufzeichnungstraeger 2 aufgezeichnet sind als die Signale der auf dem Aufzeichnungstraeger 2 befindlichen Aufzeichnungsbloecke AB, ist der Dateneingang der Auswertschaltung 27 ueber einen Decodierer 30 an den Ausgang 31 der Wiedergabeeinrichtung 22 und der Datenausgang der Informationsblock-Auswertschaltung 27ueber einen Codierer 32 an den Eingang 33 der Aufzeichnungseinrichtung 15 des Videorecorders angeschlossen. Ein bei der Erkennung eines Anfangskennungszeichens A eines Informations-blockes in der Erkennungsschaltung 26 erzeugtes Ausgangssignal bewirkt die Oeffnung des Dateneinganges 34 der Decodierschaltung 30, so dass die bis zur Erkennung des Endekennungszeichens E des Informationsblockes ueber den Datenbus l0 in einen Zwischenspeicher 35 eingespeichert werden.
(これらの情報ブロックのデータの認識及び評価のために、図1に示した録画・再生装置は、制御バス29を通じて情報ブロック評価回路の回路を制御する情報ブロック制御回路28を備えた情報ブロック評価回路27を含んでいる。情報ブロックのデータは記録媒体2上に存在する録画ブロックABの信号とは別のコーディングで記録媒体2上に録画されているので、評価回路27のデータ入力はデコーダ30を通じて再生装置22の出力31に接続され、情報ブロック評価回路のデータ出力27はコーダ32を通じてビデオレコーダの録画装置15の入力33に接続されている。認識回路26において情報ブロックの始端識別符号Aを認識した際に作られる出力信号はデコーダ回路30のデータ入力34を開き、その結果、情報ブロックの終端識別符号Eを認識するまで走査された情報ブロックのデータはデータバス10を通じて中間記憶装置35に記憶される。)」(6欄53行ないし7欄8行)

(K2.12) 「Der Zwischenspeicher 35 wird von einer Speichersteuerschaltung 36, die auch Bestandteil der Informationsblock-Steuerschaltung 28 sein kann, verwaltet. Ausserdem werden beim Empfang des Anfangskennungszeichens A des Informationsblokkes die von der Positioniereinrichtung 18 erkannten Positionsdaten PA in den Zwischenspeicher 35 eingespeichert. Die Informationsblock-Auswertschaltung 27 enthaelt im dargestellten Ausfuehrungsbeispiel ausserdem eine Titeleingabeanordnung 37, mittels der waehrend eines Aufzeichnungsbetriebszustandes des Videorecorders der Titel des Aufzeichnungsblockes, der gerade auf den Aufzeichnungstraeger 2 aufgezeichnet wird, eingegeben werden kann.
(中間記憶装置35は、情報ブロック制御回路28の構成要素とすることもできる記憶装置制御回路36により管理される。さらに、情報ブロックの始端識別符号Aを受信した際には、位置決め装置18により認識された位置データPAは中間記憶装置35に記憶される。さらに、情報ブロック評価回路27は、図示した実施例においては、タイトル入力装置37を含んでおり、このタイトル入力装置37により、ビデオレコーダの録画動作状態中に、記録媒体2上に録画されつつある録画ブロックのタイトルを入力することができる。)」(7欄14行ないし27行)

(K2.13) 「Anhand des in Fig.3 dargestellten Flussdiagramms wird die Verarbeitung des lnformationsblockes waehrend der einzelnen Betriebszustaende des in Fig.1 dargestellten Videorecorders naeher erlaeutert. Die einzelnen Betriebszustaende werden durch die Eingabe eines Befehles ”Schneller Rueckauf” SRL oder ”Aufzeichnung”AN oder ”Wiedergabe” WG oder ”Schneller Rueckauf ” SRL oder ”Aufzeichnung ” AN oder ”Wiedergabe ”WG oder ”Suchlauf ” SL in die Bedienungssteuerschaltung 8 eingeschaltet. Diese Befehle sind in dem F1ussdiagramm der Fig.3 durch stark umrandete Romben gekennzeichnet. Die Eingabe eines dieser Befehle loest vor dem Ablauf des eigentlichen Befehles in der Informationsblock-Steuerschaltung 28 zunaechst einen Programmlauf 40 aus , durch den die Daten des naechststehenden Informationsblockes IBn in den Zwischenspeicher 35 der Informationsblock-Auswerteschaltung 27 eingespeichert werden. Dieser Programmablauf 40 schaltetzunaechst die Betriebssteuerschaltung 9 des Videorecoders ueber den Betriebssteuerbus 5 in den Wiedergabebetriebszustand VL-WG, um das Anfangskennungszeichen A des naechsten Informationsblockes IBn zu erkennen. Beim Auftreten des dadurch erzeugten Erkennungssignales werden die von der Positioniereinrichtung zum Zeitpunkt des Auftretens des Anfangskennungssignales ausgegebenen Positionsdaten PA und die dem Anfangskennungszeichen A folgenden Daten des Infonmationsblockes bis zum Erkennen des Endekennungszeichens E in den Zwischenspeicher 35 eingespeichert. Danach wird der in die Bedienungssteuerschaltung 8 eingegebene Befehl ausgefuehrt.
Wird dagegen nach einer bestimmten, in Fig.2 schematisch angedeuteten Suchlaufstrecke dA kein Anfangskennungszeichen erkannt, z.B. nach dem Einlegen eines leeren Aufzeichnungstregers in Anfangsposition, wird der Suchlauf zur Erkennung des Anfangskennungszeichens A abgebrochen und nach einem Ruecklauf RL, der etwa gleich der Suchlaufstrecke dA ist, die dort ermittelten Positionsdaten PA in den Zwischenspeicher 35 eingespeichert und der Inhalt des Zwischenspeichers einschliess1ich der Anfangs- und Endekennungszeichen A und E auf dem Aufzeichnungstraeger 2 aufgezeichnet und danach die Abarbeitung des eingegebenen Befehles gestartet.
(図3に示したフローダイヤグラムに基づき、図1に示したビデオレコーダの個々の動作状態中における情報ブロックの処理をさらに詳細に説明する。個々の動作状態は、命令「早戻し」SRL又は「録画」AN又は「再生」WG又は「サーチ」SLを操作制御回路に入力することによりオンになる。これらの命令は、図3のフローダイヤグラムにおいては、太線の菱形により示されている。これらの命令の入力により、情報ブロック制御回路28における本来の命令の進行の前に、次の情報ブロックIBnのデータを情報ブロック評価回路27の中間記憶装置35に記憶させるプログラムフロー40が開始される。次の情報ブロックIBnの始端識別符号Aを認識するために、このプログラムフロー40はまずビデオレコーダの動作制御回路9を動作制御バス5を通じて再生動作状態VL-WGに切換える。これにより作られた認識信号が現れた場合は、位置決め装置により始端識別し信号の出現の時点で出力された位置テータP1及び始端識別符号Aに続く情報ブロックのデータは、終端識別符号Eを認識するまで、中間記憶装置35に記憶される。その後に、操作制御回路8に入力された命令が実行される。
これに対して、図2に概略を示した特定のサーチ区間dAの後に始端識別符号が認識されなかった場合は、例えば、始端位置への空の記録媒体の挿入の後に、始端識別符号Aを認識するためのサーチが中止され、サーチ区間dAとほほ同じ巻戻しRLの後に、そこで得られた位置データPAが中間記憶装置35に記憶され、始端識別符号A及び終端識別符号Eを含めた中間記憶装置の内容が記録媒体2上に記憶され、その後に、入力された命令の処理が開始される。)」(7欄33行ないし8欄6行)

(K2.14) 「Beim Erkennen des Anfangskennungszeichens A des Informationsblockes wird das Aufzeichnungs- und Wiedergabegeraet in den Aufzeichnungsbetriebszustand VL-AN umgeschaltet und die nunmehr im Zwischienspeicher befindlichen Daten einschliesslich der Anfangs- und Endekennungszeichen A und E in einem Aufzeichnungsvorgang 45 auf den Aufzeichnungstraeger 2 aufgezeichnet.
(情報ブロックの始端識別符号Aを認識した場合は、録画・再生装置は録画動作状態VL-ANに切換えられ、中間記憶装置の中に存在する始端識別符号A及び終端識別符号Eを含めたデータが録画プロセス45において記録媒体2上に録画される。)」(8欄30行ないし37行)

(K2.15) 「Hat die Informationsblock- Auswertschaltung 27 bei der Abarbeitung des eingegebenen Aufzeichnungsbefehles ANfestgestellt, dass der abgetaustet und zwischengespeicherte Informationsblock am weitesten von der Anfangsstellung Po des Aufzeichnungstraegers 2 entfernt ist, wird den Positionsdaten PAmax dieses Informationsblockes eine Titelnummer TNr und ein Speicheraum zur Eingabe des Titels fuer den aufzuzeichnenden Aufzeichnungsblock AB zugeordnet. Gleichzeitig wird die Betriebssteuerschaltung 9 des Aufzeichnungs-und Wiedergabegraetes 1 so lange in den Aufzeichnungsbetriebszustand VL-AN geschaltet, bis ein AufzeichnungsblockendesignaI EAB das Ende des auf dem Aufzeichnungstraeger 2 uebertragenen Aufzeichnungsblockes AB signalisiert, wie durch die Programmschleife 51 im F1ussdiagramm der Fig.3 angedeutet ist. Danach wird mittels des Vorganges 45 hinter delm zuletzt auf delm Aufzeichnungstraegers aufgezeichneten Aufzeichnungsblock ein neuer Informationsblock mit den im Zwischenspeicher 35 gespeicherten Daten und den der Position des Anfangskennungszeichens A dieses Informationsblockes zugeordneten Positionsdaten PA aufgezeichnet.
(情報ブロック評価回路27が、入力された録画命令ANの処理の際に、走査及び中間記憶された情報ブロックが記録媒体2の始端位置Poから最も離れていることを確認した場合は、この情報ブロックの位置データPAmaxには、タイトル番号TNr及び録画すべき録画ブロックABのためにタイトルを入力するための記憶スペースが割当てられる。同時に、図3のフローダイヤグラムのプログラムループ51が示しているように、録画ブロック終端信号EABが記録媒体2上に伝送された録画ブロックABの終端を信号で知らせるまでは、録画・再生装置1の動作制御回路9は録画動作状態VL-ANに切換えられる。その後に、最後に記録媒体上に録画された録画ブロックの後ろにおけるプロセス45により、新しい情報ブロックが、中間記憶装置35の中に記憶されたデータ及びその情報ブロックの始端識別符号Aの位置に割当てられた位置データPAとともに録画される。)」(10欄11行ないし32行)

(K2.16) 「Anhand der Schematischen Darstellung in Fig.4 soll gezeigt werden, wie mit Hilfe der Informationsblock-Auswerteschaltung 27 eines in Fig.1 dargestellten Aufzeichnungs- und Wiedergabegeraetes 1 die den einzelnen Aufzeichnungsbloecken ABn zugeordneten und vorangestellten Informationsbloecke IBn jeweils vervollstaendigt werden und jeweils das vollstaendige Inhaltsverzichnis der auf dem Aufzeichnungstraeger 2 aufgezeichneten Aufzeichnungsbloecke angezeigt wird. Die auf dem bandfoermig dargestellten Aufzeichnungstraeger 2 schematisch engezeichneten Aufzeichnungsbloecke AB1 bis AB4 sind fortlaufend durchnumeriert, ebenso die ihnen vorangestellten Informationsbloecke IB. Die rechteckigen Felder 53 unterhalb der Informationsbloekke geben schematisch den Inhalt der Informationsbloekke an, wobei die erste Zeile das Anfangskennungszeichen A, dessen Positionsdaten und das Endekennungszeichen E enthaelt, Die darunterliegenden Zeilen enthalten die Titelnummer TNr in lautender Numerierung, die Positionsdaten des Anfangskennungszeichens A des Informationsblocks, dem die Titelnummer zugeordnet ist, und den zugehoerigen Titel (T1 bis T4). Unterhalb dieser Felder 53 ist die Kopfposition des Aufzeichnungs- und Wiedergabekopfes 17 bezueglich des Aufzeichnungstraegers an der Stelle der Anfangspositionen PA1 bis PA5 angegeben. Die rechteckigen Felder 54 oberhalb des schematisch dargestellten Aufzeichnungstraegers 2 enthalten den Inhalt des Zwischenspeichers 35 waehrend der Abarbeitung der in dem Diagramm angegebenen befehle. Daraus ist ersichtlich, dass der Informationsblock IB1 bis IB5 jeweils am Ende eines abgearbeiteten Befehls die Titel saemtlicher bisher aufgezeichneter Aufzeihnungsbloecke AB1 bis AB4 enthaelt, so dass der unmittelbar vor dem Informationsblock stehende Aufzeichnungs- und Wiedergabekopf immer einen Informationsblock abtastet, der den aktuellen Stand der Titel aller auf dem Aufzeichnungstraeger enthaltenen Aufzeichnungsbloecke enthaelt. Der Benutzer hat somit stets einen schnellen Zugriff zum tatsaechlichien Inhalt des Aufzeichnungstraegers 2.
(図4の概略図に基づき、図1に示した録画・再生装置の情報ブロック・評価装置により、どのようにして個々の録画ブロックABnに割当てられ、前置された情報ブロックIBnをそれぞれ完成し、それぞれ記録媒体2上に録画された録画ブロックの完全な内容目録を表示することができるのかを明らかにするものとする。テープ状のものとして図示してある記録媒体上に概略的に記入された録画ブロックAB1?AB4には一連番号が付けられており、同様に、それらに前置された情報ブロックIBにも一連番号が付けられている。情報ブロックの下方の長方形フィールド53は情報ブロックの内容を概略的に表示しており、しかも、その1行目は始端識別符号A,その位置データ及び終端識別符号Eを含んでいる。それ以降の行は、一連番号としてのタイトル番号TNr、タイトル番号が割当てられた情報ブロックの始端識別符号Aの位置データ、及び付属のタイトル(T1?T4)を含んでいる。このフィールド53の下方には、始端位置PA1?PA5の場所における記録媒体に関する録画・再生ヘッド17のヘッド位置が表示されている。概略的に図示された記録媒体2の上方の長方形フィールド54は、ダイヤグラムに表示された命令の処理中における中間記憶装置35の内容を含んでいる。これから明らかになるのは、情報ブロックIB1?IB5が、処理された命令の終了時には、これまでに録画された録画ブロックAB1?AB5の全てのタイトルをそれぞれ含んでおり、従って、情報ブロックの直前に位置する録画・再生ヘッドが、記録媒体上に含まれている全ての録画ブロックのタイトルの実際の状態を含む情報ブロックを常に走査するということである。従って、ユーザーは記録媒体2の実際の内容に常に迅速にアクセスすることができる。)」(10欄41行ないし11欄12行)


[7.2]本件発明3について

[7.2.1]刊行物2に記載された発明(以下、「刊行物2発明」という。)の対比(対応関係)
本件発明3と刊行物2発明とを対比すると次のことが認められる。

(a)刊行物2発明の目的・概要
刊行物2には、前掲(K2.1)(K2.6)(K2.7)(K2.9)によれば、
記憶媒体を排出する前に、記録媒体がまずトラックの始端又は終端に送られ、続いて装置の中間記憶装置の内容がトラックの始端又は終端における情報ブロックをトラックに記録し、この情報ブロックは、記録媒体の内容の再生の前に走査され中間記憶装置に記憶されて表示され、これにより、記録媒体上に記録されたテキストブロックの始端・終端の位置を知ることができる従来の最新技術を出発点として、
録画ブロックの始端及び終端が識別情報により示されるだけではなく、ユーザーがあまり時間を使わずに記録媒体のとの位置にどの録画ブロックが存在するのかを知ることができるようにすることを基本的課題(目的)とする、記録媒体を備えた録画・再生装置(ビデオレコーダ)の発明が開示されている。
特に図1には、その実施例装置として、テレビジョン受像機6と、記録媒体2(ビデオテープ)を使用するビデオレコーダーが示されている。
これらのことから、また、刊行物2の全趣旨からみて、録画ブロックを「インデックスするためのシステム」の発明が開示されていることは明らかである。

(b)「放送情報を記録し、インデックスするためのシステム」、「前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するための記録装置」について
前掲(K2.1)?(K2.16)において、特に前掲(K2.9)(K2.5)によれば、刊行物2発明は、希望番組の送信者データ及び時間データと、ユーザーが希望番組として選択した放送番組のタイトルを希望番組記憶装置11の中に記憶し、記憶された「送信者データ」及び「時間データ」は、録画・再生装置1の受信回路12を制御し、その結果、希望する放送番組は自動的に受信されビデオ信号に変換され、記録媒体2のトラック上に録画される。すなわち、自動録画される。

上記「放送番組」は、本件発明3でいう「放送情報」に相当することは明らかであるから、刊行物2発明も本件発明3と同様、上記「放送情報を受信し、記録媒体に記録するための記録装置」を有している。

また、刊行物2発明の録画は、「放送情報」の録画を意味するといえ、上記(a)で前述した、刊行物2の記録媒体上の「録画ブロック」は、記録媒体上に「放送情報」を記録したブロックといえる。
したがって、刊行物2発明は、全体として、「放送情報を記録し、インデックスするためのシステム」といえ、この点において本件発明3と変わらない。

(c)「前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするための手段であって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、手段」について

(c1)スケジュール情報

(i)本件発明3
本件発明3の「放送情報のプログラム名称を含む」「放送情報に関連するスケジュール情報」に関して、
発明の詳細な説明では「この補足データをストアできるようにしたシステムおよび方法に関する。このような補足データとしては、時刻、チャネル、プログラム名称、プログラム形式などのスケジュール情報がある。ストアしたデータは、スケジュール情報によって指定された補足テレビジョンプログラムを記録するように、VCRを自動的にプログラムするのに用いられる。」(本件特許公報2頁4欄27?32行)と記載されていて、
本件発明3でいう「放送情報に関連するスケジュール情報」とは、具体的には、「放送情報のプログラム名称」の他、「時刻、チャネル、プログラム形式など」を含むものであって、テレビジョンプログラム(放送情報)を自動記録するのに利用されるものを指すものである。
また、「スケジュール」という用語の意味から、「予定」を示す情報と解せられ、上記「時刻」、「チャネル」とは放送情報の「放送予定時刻」、「放送予定チャネル」を意味すると解される。
すなわち、本件発明3の「放送情報に関連するスケジュール情報」とは、
放送情報に関連する予定を示す情報であって、その内容は、少なくとも「放送情報のプログラム名称を含む」もので、他に放送情報の「放送予定時刻」、「放送予定チャネル」などを含み得る情報と解される。

(ii)刊行物2発明
これに対して、刊行物2発明では、同じく前掲(K2.9)によれば、希望番組記憶装置11の中に、希望番組の送信者データ及び時間データ、希望番組として選択した「放送番組のタイトル」を入力する手法として、以下の2つの例を挙げている。
〈第1の手法〉
ユーザーが操作制御回路8の入力装置(図示されていない)を通じて入力する手法(便宜上、「第1の手法」という。)。
〈第2の手法〉
テレビ受像機6がビデオデコーダ又はテレテキストデコーダを含んでいる場合の手法(便宜上、「第2の手法」という。)であって、ユーザーは、例えば、カーソルにより、テレビ受像機6の画面7上に示されている番組予告の中の録画のために選択した放送番組に標識を付け、その放送番組のデータ(上記「送信者データ」及び「時間データ」と解される。)及び「タイトル」を希望番組として希望番組記憶装置11に伝送する手法。
この手法のものは、テレビ受像機6の画面7上に番組予告が表示され、その「番組予告」の中から録画を希望する放送番組に標識を付けて選択すると、
・「送信者データ」及び「時間データ」と放送番組の「タイトル」
であって、
・その標識を付けた放送番組であって選択した放送番組に対応する情報で あって、
・自動録画(記録)に必要な受信回路12を制御する
情報が、希望番組記憶装置11に記憶されると解される。
そして、上記「番組予告」とは放送が予定される(複数の)放送番組を告知するものであって「放送番組に関連する予定を示す情報」といえ、上記放送番組の「タイトル」は、本件発明3でいう「放送情報のプログラム名称」に相当することは明らかである。
また、この「放送番組のタイトル」を入力する手法は、前掲(K2.8)にも「画面のビデオテキスト表示から希望番組のタイトルを選択すること、」と記載されている。
〈第3の手法〉
また、前掲(K2.8)によれば、ライトペンによりテレビ番組雑誌から希望番組のタイトルを走査し、希望番組記憶装置に、録画ブロックのタイトルを入力する手法(便宜上、「第3の手法」という。)も示されていて、
テレビ番組雑誌には、通常、放送予定の「放送番組」のタイトル(名称)が掲載されているから、これがライトペンにより読み取られて希望番組記憶装置に入力されると解され、
したがって、希望番組記憶装置に記憶される「録画ブロックのタイトル」とは、放送予定の「放送番組」のタイトル(名称)と解される。

上記第2の手法にて、希望番組記憶装置11に記憶された上記「送信者データ」及び「時間データ」は、録画・再生装置1の受信回路12を制御して希望放送番組を自動録画するためのものであることから、上記「送信者データ」は送信者(例えば放送局)を特定するデータであって、「放送番組」の「放送予定チャネル」と解され、また「時間データ」は「放送番組」の「放送予定時刻」を意味するものと解され、
上記第2の手法にて、希望番組記憶装置11に入力される放送番組のタイトル(希望番組のタイトル)」は、本件発明3でいう「放送情報のプログラム名称」に相当する。
そして、上記第2の手法にて希望番組記憶装置11に記憶される、これら3つの情報(「放送番組のタイトル(希望番組のタイトル)」、「送信者データ」、「時間データ」)は、
放送情報に関連する予定を示す情報といえるから、「放送情報に関連するスケジュール情報」といえ、その内容は、少なくとも「放送情報のプログラム名称を含む」ものであるから、
本件発明3でいう、「放送情報に関連するスケジュール情報」であって、「放送情報のプログラム名称を含む」情報といいえるものである。
(なお、上記第1または第3の手法によって、希望番組記憶装置11に記憶される、上記3つの情報も、放送情報に関連する予定を示す情報といえるから、「放送情報に関連するスケジュール情報」であって、「放送情報のプログラム名称を含む」ものといえる限りにおいては、本件発明3と変わらない。)

(c2)スケジュール情報を受信し、ストアするための手段
刊行物2発明の上記「希望番組記憶装置11」は、本件発明3でいうスケジュール情報、をストアする手段といいえるものである。
上記第2の手法の場合、「ビデオデコーダ又はテレテキストデコーダ」により、上記3つの情報(「スケジュール情報」)を取得しているとはいえるものの、刊行物2の記載だけからは、この取得が「受信」によりなされるかは明らかではない。

(c3)以上のことから、刊行物2発明も、「前記放送情報に関連するスケジュール情報を取得し、ストアするための手段であって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、手段」を有しているといいえる点では、本件発明3と相違はないものの、その「取得」が「受信」によりなされる点については刊行物2に明記されていらず、明らかではない。

(d)「前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するための手段」について
上記(c)で前述したように、テレビ受像機6がビデオデコーダ又はテレテキストデコーダを含んでいる場合、ユーザーは、例えば、カーソルにより、テレビ受像機6の画面7上に示されている番組予告の中の録画のために選択した放送番組に標識を付けて、記録媒体に記録するための放送情報を選択できるのであるから、「前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するための手段」に相当する機能手段の存在を認めることができる。

(e)「前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段とを有し、前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含み」、「前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するための手段を有し」について

(e1)記録媒体2の記録構造、録画ブロック(AB)と情報ブロック(IB)の構造
前掲(K2.1)?(K2.16)において、特に前掲(K2.1),(K2.10),図2によれば、刊行物2発明の録画・再生装置は、記録媒体2上において、2つの隣接する録画ブロックABm及びABnが情報ブロックIBnにより相互に分離された形で記録するものであり、情報ブロックIBnは、順に、
特別の識別標識25(IBK)、
始端識別符号A、
始端識別符号Aの位置データPA
:録画ブロックに前置された記録媒体上の情報ブロックの始端位置を明 らかにしてくれるもの、
タイトルリスト39
:各タイトルTには、
タイトル番号TNr(図2では、1,2,・・・)及び
タイトル(図2では、T1,T2,・・・)及び
表示されたタイトルを有する録画ブロック(AB1,AB2,・・)
に前置された情報ブロック(IB1,IB2,・・・)の始端識別 符号Aの位置データ(図2では、PA1,PA2,・・・)
が割当てられている。
終端識別符号E
からなっている。

そして、上記各位置データPAは、タイトルTとともに各録画ブロックに前置された記録媒体上の情報ブロックの始端位置を明らかにしてくれるものである{(K2.10)}。
これらの情報ブロックは録画・再生装置により走査及び中間記憶され、ユーザーのために画面上に視覚化可能な状態で表示される{(K2.1)}。

(e2)録画ブロック(AB)と情報ブロック(IB)の記録の詳細

(i)情報ブロック評価回路、中間記憶装置35
情報ブロックのデータの認識及び評価のために、図1に示した録画・再生装置は、制御バス29を通じて情報ブロック評価回路の回路を制御する情報ブロック制御回路28を備えた情報ブロック評価回路27を含んでおり、情報ブロック評価回路27は、情報ブロック制御回路28、デコーダ30、コーダ32、中間記憶装置35、記憶装置制御回路36,タイトル入力装置37を含んでいる{前掲(K2.11)の「情報ブロック制御回路28を備えた情報ブロック評価回路27」,「評価回路27のデータ入力はデコーダ30を通じて再生装置22の出力31に接続され」,「情報フロック評価回路のデータ出力27はコーダ32を通じてビデオレコーダの録画装置15の入力33に接続されている。」、前掲(K2.12)の「中間記憶装置35は、情報ブロック制御回路28の構成要素とすることもできる記憶装置制御回路36により管理される。」,「情報ブロック評価回路27は、図示した実施例においては、タイトル入力装置37を含んでおり」、前掲(K2.13)の「次の情報ブロックIBnのデータを情報ブロック評価回路27の中間記憶装置35に記憶させるプログラムフロー40」}。

《情報ブロック評価回路の入出力》
情報ブロック評価回路27は、デコーダ30を通じて再生装置22からデータ入力され、コーダ32を通じてビデオレコーダの録画装置15の入力33にデータ出力する{(K2.11)}ほかに、中間記憶装置35やへの入力やタイトル入力装置37への入力がある。

《中間記憶装置35の入力》
位置決め装置18により認識された位置データPAが入力される{(K2.11)}。
希望番組の録画ブロック(AB)の録画のための装置の録画動作状態において、希望番組のタイトルが希望番組記憶装置(1135)から情報ブロック評価回路(27)の中間記憶装置に伝送される{(K2.5)、希望番組記憶装置(35)は、希望番組記憶装置(11)の誤りであることは明らかである。}。
同様のことは、前掲(K2.8)にも記載されていて、記録媒体上への録画ブロックの録画の前に、録画・再生装置に入力された希望番組のタイトルは、希望番組記憶装置を通じて装置の情報ブロック評価回路の中間記憶装置に引継ぐ。

《タイトル入力装置37の入力》
ビデオレコーダの録画動作状態中に、記録媒体2上に録画されつつある録画ブロックのタイトルが入力され得る{(K2.12)}。

(ii)録画ブロック(AB)と情報ブロック(IB)の記録動作
前掲(K2.16),図4には、情報ブロック・評価装置により、個々の録画ブロックABnに割当てられ、前置された情報ブロックIBnをそれぞれ完成し、それぞれ記録媒体2上に録画された録画ブロックの完全な内容目録を表示することができるのかが明らかにされており、前掲(K2.13)及び図3に記載されている動作を参照すれば、以下のようにして、同図4記載の記録媒体2上に情報ブロック、録画ブロックが記録されていくものである。

《本来の命令の進行前の準備のフロー40》
(次の情報ブロックIBnのデータを情報ブロック評価回路27の中間記憶装置35に記憶させるプログラムフロー40、IB1の記録)
(1)空の記録媒体の挿入の後、(本来の命令の進行の前に、次の情報ブロックIBnのデータを情報ブロック評価回路27の中間記憶装置35に記憶させるプログラムフロー40が開始されるが、図2に概略を示した特定のサーチ区間dAの後に始端識別符号が認識されず、)始端識別符号Aを認識するためのサーチが中止される(K2.13)。

(2)サーチ区間dAとほほ同じ巻戻しRLされる(K2.13)。

(3)IB1の記録
そこで得られた位置データPAが中間記憶装置35に記憶され、始端識別符号A及び終端識別符号Eを含めた中間記憶装置の内容が記録媒体2上に記憶される{(K2.13)}。
すなわち、図4の情報ブロックの下のフィールド53(図45の情報ブロックの下のフィールド「54」は「53」の誤りである。)に示されるように、情報ブロックIB1に、「A,PA1,E」が記録される。

《録画》{(K2.15)}
(4)録画命令ANの処理の際、走査及び中間記憶された情報ブロックが記録媒体2の始端位置P0から最も離れていることを確認した場合は、この情報ブロックの位置データPAmaxには、タイトル番号TNr及び録画すべき録画ブロックABのためにタイトルを入力するための記憶スペースが割当てられる。

(5)録画ブロックAB1の記録
プログラムループ51が示しているように、録画ブロック終端信号EABが記録媒体2上に伝送された録画ブロックABの終端を信号で知らせるまでは、録画・再生装置1の動作制御回路9は録画動作状態VL-ANに切換えられる。このとき、録画ブロックAB1、すなわち、本件発明3でいう「放送情報」が記録される。

(6)IB2の記録
その後(最後に記録媒体上に録画された録画ブロックAB1の記録後)に、プロセス45により、新しい情報ブロックIB2が、中間記憶装置35の中に記憶されたデータ及びその情報ブロックの始端識別符号Aの位置に割当てられた位置データPAとともに記録される。
このとき、記録された情報ブロックIB2は、「A,PA2,E」「1,PA1,T1」であり、中間記憶装置35の内容は、「2,PA2,□T2」、「1,PA1,T1」となっている。
この位置データPA1は、記録された「放送情報」の録画ブロックAB1の情報ブロックIB1の位置を示している。

《タイトルの入力、記録》
(e2)(i)でも上述したように、
前掲(K2.12)によれば、録画動作状態中、すなわち、録画ブロックAB1の記録中に、タイトル入力装置37により、記録媒体2上に録画されつつある録画ブロックのタイトルを入力することができるとあり、
また、前掲(K2.5)(K2.8)によれば、記録媒体上への録画ブロックの録画の前に、録画・再生装置に入力された希望番組のタイトルは、希望番組の録画ブロックの録画のための装置の録画動作状態において、希望番組記憶装置(11)から情報ブロック評価回路(27)の中間記憶装置に伝送されるのであるから、
希望番組記憶装置11に既に入力されている希望番組のタイトルは、録画ブロックAB1の記録中に、中間記憶装置35に伝送される。
これらのことと、図4に示されている、例えば、録画ブロックAB1の記録動作(AN)中の中間記憶装置35の内容「1,PA1,□T1」(AB1の上に記載されている長方形のフィールド54の内容)とを照らしてみれば、
タイトル入力装置37か、希望番組記憶装置11か、いずれかから、タイトルT1が中間記憶装置35に入力され記憶されると解され、
中間記憶装置35に入力され記憶されたそのタイトルT1は、その録画ブロックAB1の記録終了後に、次の情報ブロックIB2の中に「T1」として記録されると理解される。

(7)2番目の録画(録画ブロックAB2の記録、次の情報ブロックIB3の記録)
2番目の録画(AB2)も上記と同様になされる。すなわち、録画命令ANにより、「放送情報」がAB2に記録され、その記録中にそのタイトルT2が中間記憶装置35に入力され、録画ブロックAB2の記録終了後に、次の録画ブロックAB3の情報ブロックIB3が、
最初に記録された「放送情報」のタイトル番号1,
最初に記録された「放送情報」情報ブロックの位置PA1,
最初に記録された「放送情報」タイトルT1
と、
2番目に記録された「放送情報」のタイトル番号2
2番目に記録された「放送情報」の情報ブロックの位置PA2,
2番目に記録された「放送情報」のタイトルT2
を内容に含んで記録される。

(8)3番目の録画(録画ブロックAB3の記録、次の情報ブロックIB4の記録)も上記(7)と同様である。

《巻き戻しSRL後のIB1の再記録》
(9)3番目の録画(AB3)終了後、次の情報ブロックIB4の記録後、始端位置まで巻き戻され(SRL)、情報ブロックの始端識別符号Aを認識した場合は、録画・再生装置は録画動作状態VL-ANに切換えられ、中間記憶装置の中に存在する始端識別符号A及び終端識別符号Eを含めたデータが録画プロセス45において記録媒体2上に録画される(K2.14)。
このとき、記録済みの1番目の情報ブロックIB1は再記録されて、「A,PA1,E」、「1,PA1,T1」、「2,PA2,T2」、「3,PA3,T3」が記録される。すなわち、記録された1?3番目の「放送情報」のタイトル番号(1,2,3)、情報ブロックの位置(PA1,PA2,PA3)、タイトル(T1,T2,T3)が記録される。これらのうち、「A,PA1,E」以外の、「1,PA1,T1」、「2,PA2,T2」、「3,PA3,T3」は、実質的に追加記録されている。

《情報ブロックIBnの完成》
上記(9)以後は省略するが、このようにして、情報ブロックが、個々の録画ブロックABnに割当てられ、前置された情報ブロックIBnをそれぞれ完成し、それぞれ記録媒体2上に録画された録画ブロックの完全な内容目録(タイトル、位置データPAを含む)を表示し得るようになる。
情報ブロックIB1?IB5が、処理された命令の終了時には、これまでに録画された録画ブロックAB1?AB5の全てのタイトルをそれぞれ含んでおり、従って、情報ブロックの直前に位置する録画・再生ヘッドが、記録媒体上に含まれている全ての録画ブロックのタイトルの実際の状態を含む情報ブロックを常に走査して、ユーザーが記録媒体2の実際の内容に常に迅速にアクセスできるものとなる{(K2.16)}。

(e3)「インデックス情報」
以上のことからすれば、位置データPAは、
例えば、上記(3)で記録されるIB1内のPA1や、上記(6)で記録されるIB2内のPA2のように、録画ブロックABnを記録する以前に、将来記録する録画ブロックABnの情報ブロックIBnとしてその中に、その情報ブロックの始端位置を示す位置データPAとして記録されるもの(前者)と、
例えば、上記(6)で記録されるIB2内のPA1や、上記(9)で再記録される第1番目のIB1において追加記録されるPA2やPA3のように、記録済みの各録画ブロックの情報ブロックの始端位置を示す位置データPAとして情報ブロック内に記録されるもの(後者)とがある。
その後者の「位置データPA」、中でも、特に再記録される第1番目のIB1において追加記録される「位置データPA」(上記PA2やPA3)は、記録された録画ブロックAB(AB2やAB3)の直前に位置する、その録画ブロックAB(AB2やAB3)の情報ブロックIB(IB2やIB3)の位置を、最初(第1番目)の情報ブロック内に示しているものであるから、記録された録画ブロックAB(AB2やAB3)が記録媒体のどこに記録されているかを判別するインデックスに使用し得ることは明らかであり、
「録画ブロック」は、「放送情報」を記録したブロックであることは、既に上述(b)したとおりであるから、
本件発明3でいう「前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報」といい得るものであり、かつ、「記録媒体に記録された放送情報のインデックス」ともいい得るものである。
また、上記後者の「位置データPA」は、「記録された放送情報を含む記録媒体に」記録するものである。

(e4)本件発明3の「放送情報のプログラム名称」(インデックスとしての)
上記(e1)(e2)からすれば、刊行物2におけるタイトルTの情報ブロックへの記録は、
例えば、上記(5),(7)に見られるように、録画ブロックABmの録画終了直後に、次の録画ブロックABnの情報ブロックIBn内に、録画ブロックABmのタイトルTmとして記録されるもの(前者)と、
例えば、上記(9)のように、既に記録済みの第1番目の情報ブロックIB1(タイトルは未記録)の再記録時に、追加記録されるタイトルT1?T3(後者)とがある。
いずれも、中間記憶装置35に記憶されたタイトルが、記録媒体上の情報ブロックに記録されるものである。
これら「タイトルT」は「録画ブロック」のタイトルではあるが、「録画ブロック」が「放送情報」を記録したブロックであることは、既に上述(b)したとおりであるから、
「放送情報」の「タイトル」といえる。すなわち「放送情報」の「プログラム名称」といえるものである。
また、これら「タイトルT」は、「記録された放送情報を含む記録媒体に」記録するものである。
そして、特に後者の「タイトルT」は、(e3)で上述した後者の「位置データPA」とともに記録された「放送情報」のインデックスに使用し得ることは明らかである。

(e5)本件発明3の「前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段」
上記(e3)(e4)からすれば、刊行物2発明にも、「記録媒体に記録された放送情報のインデックス」であって、「前記インデックスは、放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含」むものの存在が認められるのであるから、それを「作成し、ストアするための手段」の存在も認めることができ、この点において、本件発明3と変わりはない。
なお、「インデックス」を「放送情報に関連するスケジュール情報を用いて」作成する点については、(f)で後記する。

(e6)本件発明3の「前記記録された放送情報を含む前記記録媒体にインデックスを記録するための手段」
上記後者の「位置データPA」(これが、「放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報」といえることは既に述べたとおりである。)も、
上記「タイトルT」(これが、「放送情報」の「プログラム名称」といえることは既に述べたとおりである。)も、
それぞれ、上記(e3)(e4)でみたように、「記録された放送情報を含む記録媒体に」記録するものであって、「放送情報」のインデックスに用いるものであるから、これらを合わせたものを本件発明3と同様の用語を用いて「インデックス」と称すれば、刊行物2発明でも、「インデックス」は、「記録された放送情報を含む前記記録媒体に」記録している。
したがって、刊行物2発明も、「前記記録された放送情報を含む前記記録媒体にインデックスを記録するための手段」を有しているといえ、この点において、本件発明3と変わりはない。、

(e7)まとめ(e)
以上のことから、刊行物2発明も、「前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段とを有し、前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含み」、「前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するための手段を有し」ているといえ、この点において、本件発明3と変わりはない。

(f)「前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成される」について

本件発明3の上記特定事項における「スケジュール情報」、すなわち、インデックスを作成するのに用いるスケジュール情報とは、「前記放送情報のプログラム名称」であることは明らかであるところ、
刊行物2発明において、
テレビ受像機6がビデオデコーダ又はテレテキストデコーダを含んでいる場合、希望番組記憶装置11には、放送情報に関連するスケジュール情報といいえる「放送情報のプログラム名称」が記憶されることは、上記(c)で前述したとおりであり、
録画ブロックAB1の記録中に、希望番組記憶装置11に既に入力されている希望番組のタイトルは中間記憶装置35に伝送され、中間記憶装置35に入力され記憶されたそのタイトルT1は、その録画ブロックAB1の記録終了後に、次の情報ブロックIB2の中に「T1」として記録され、
巻き戻しSRL後の1番目の情報ブロックIB1の再記録時に、タイトル「T1」{上記(e4)の「後者」のタイトルT}が追加記録されることは、
上記「(e2)の(i)《中間記憶装置35の入力》および (ii)《タイトルの入力、記録》、《巻き戻しSRL後のIB1の再記録》、並びに(e4)」で上述したとおりである。

そうすると、上記(e4)の追加記録される後者のタイトルT{例えば、上記巻き戻しSRL後の第1番目のIB1の再記録時に記録されるT1やT2やT3}は、記録媒体2に記録された放送情報(例えば、録画ブロックAB1やAB2やAB3に記録された希望番組/放送情報)のタイトルであって、元をたどれば、希望番組記憶装置11に記憶された、「放送情報に関連するスケジュール情報」といいえる「放送情報のプログラム名称」そのものである。
すなわち、上記(e4)の追加記録される後者のタイトルT{例えば、第1番目のIB1の再記録時に記録されるT1やT2やT3}、すなわち、「放送情報のプログラム名称」は、前記記録媒体に記録された放送情報{例えば、録画ブロックAB1やAB2やAB3に記録された希望番組/放送情報}に関連するスケジュール情報(すなわち、「放送情報のプログラム名称」)を用いて作成したインデックスといい得るものである。

したがって、上記(e)において、刊行物2発明も有すると認定した「インデックスを作成し、ストアするための手段」は、「前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成される」ものといえ、この点において本件発明3と変わりはない。

(g)「データプロセッサ」について
本件発明3では、「前記記録装置に接続されたデータプロセッサ」を有し、前記「データプロセッサ」が、「スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するための手段」と「前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段」を有するとしているところ、
上記で認定したように、刊行物2発明も、「スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するための手段」と「前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段」を有するものの、刊行物2には、これら手段を、「前記記録装置に接続されたデータプロセッサ」が有するとはしていない。
相違が認められる。

[7.2.2]一致点、相違点
以上の対比結果によれば、本件発明3と刊行物2発明との一致点、相違点は次のとおりということができる。

[一致点]
放送情報を記録し、インデックスするためのシステムであって、
前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するための記録装置と、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を取得し、ストアするための手段であって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、手段と、
を備え、
前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するための手段と、
前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段とを有し、
前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含み、
前記システムは、前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するための手段を有し、且つ、
前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成されるシステム。

[相違点]

[相違点1]
前記放送情報に関連するスケジュール情報を取得し、ストアするための手段であって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、手段における、放送情報に関連するスケジュール情報の取得が、
本件発明3では、受信によりなされるのに対して、
刊行物2発明では、受信によりなされるとの記載がなくこの点不明である点。

[相違点2]
前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するための手段と、
前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段であって、
前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成される手段が、
本件発明3では、
前記記録装置に接続されたデータプロセッサが有するものとするのに対して、
刊行物2発明では、
これら手段が、特に、前記記録装置に接続されたデータプロセッサが有するものとはしていない点。

[7.2.3]相違点の判断

(1)相違点1について

(1a)刊行物1
前記刊行物1{前掲(K1.1)?(K1.10)}には、大要、ビデオテキストサービスを通じて提供される番組表により、録画すべきテレビ番組を選択して自動録画する発明が記載されており、
ビデオテキスト(サービス)は、ビデオ信号の垂直帰線消去区間内の特定のデータ行の中において、最新のビデオ情報とともに、受信機側において適当なデコーダにより様々な内容を有する表としてテレビ画面に表示される多色の英数字記号及び図形に変換されるデータブロックが伝送されるサービスであり{(K1.5)}、
このビデオテキスト情報サービスの重要な構成要素が、特定の時間帯についての様々なテレビ局の有料放送を取出すことが可能な番組表の提供であり、「ビデオテキストプログラム化ビデオレコーダ」(VPV)と呼ばれるシステムにおいては、番組表は、テレビ画面上への英数字の再生に不可欠なデータに加えて、有料番組並びにその開始及び終了予定時間を知ることができる、その他のテレビ画面上では不可視のデータも含んでおり、
「ビデオ番組サービス」(VPS)と呼ばれるシステムにおいても、テレビ局により放映される有料番組には、同様に有料番組、その開始及び終了を示すデータ識別信号を付加するようにしてあり{(K1.6)}、
ビデオテキストサービスによってテレビ信号(ビデオ信号)の垂直帰線消去区間に含まれた形で伝送される上記番組データ(番組表)を、ビデオ録画装置の中に組み込まれたデコーダで、受信したテレビ信号からデコードし{(K1.1)}、
これにより、番組表の提示やその中から自動録画を希望する各有料番組の選択を可能にし、自動録画に必要な全てのデータを録画装置の記憶装置に保存するようにして{(K1.8)}選択した希望する各有料番組を自動記録すること{(K1.6)}が記載されている。

また、前掲(K1.6)によれば、前記VPV及びVPSシステムに基づくテレビ番組の自動記録{(K1.6)}として、
選択された有料番組の自動録画の際に、ビデオ信号の垂直帰線消去領域に含まれた番組データも記録されるようにして、再生の際に、ビデオ録画装置の中に組込まれたビデオテキストデコーダが有料番組を放送時間及びタイトルにより識別する{(K1.3)}。
この再生の際、ビデオ録画装置の中に組込まれたビデオテキストデコーダが有料番組を放送時間及びタイトルにより識別する」のであるから、「有料番組の放送時間」及び「有料番組のタイトル」は共にビデオ録画装置で記録されていると想定され、また、「録画の進行の際に、有料番組及び送信時間を示すデータがともに記録される」(K1.10)なる記載からすれば、
選択された有料番組の自動録画の際に、ビデオ信号の垂直帰線消去領域に含まれた「番組データ」であって、ビデオテキストサービスで伝送される「番組データ」には、有料番組の放送時間及び有料番組のタイトルが含まれているといえる。
したがって、刊行物1には、下記の技術(以下、「刊行物1記載技術A」という。)が記載されているといえる。

記《刊行物1記載技術A》
「ビデオ信号の垂直帰線消去区間内の特定のデータ行の中において、最新のビデオ情報とともに、受信機側において適当なデコーダにより様々な内容を有する表としてテレビ画面に表示される多色の英数字記号及び図形に変換されるデータブロックが伝送されるビデオテキスト(サービス)であって、
そのデータブロックとして、有料番組の放送時間及び有料番組のタイトルを含む番組表(番組データ)をデータブロックとして伝送されるビデオテキスト(サービス)に基づくテレビ番組の自動記録技術であって、
テレビ信号(ビデオ信号)の垂直帰線消去区間に含まれた形で伝送される上記番組表(番組データ)を、ビデオ録画装置の中に組み込まれたデコーダで、受信したテレビ信号からデコードし、希望する各有料番組を選択して自動録画できるようにしたものにおいて、
選択された有料番組の自動録画の際に、ビデオ信号の垂直帰線消去領域に含まれた番組データである有料番組の放送時間及び有料番組のタイトルを記録し、有料番組の再生の際に、ビデオ録画装置の中に組込まれたビデオテキストデコーダが有料番組を放送時間及びタイトルにより識別し、この放送時間およびタイトルを、再生される有料番組にミキシングして画面に表示する技術」

(1b)テレテキスト
「テレテキスト」とは、「受像機をディスプレイ端末機として活用し、テレビ放送電波に多重情報センタから文字および図形情報を提供するサービスあるいはシステムの総称」(「テレビジョン用語辞典」、テレビジョン学会編、コロナ社、1984年9月1日発行、180頁?181頁)である。

(1c)容易想到性の判断
上記「刊行物1記載技術A」の「有料番組の放送時間及び有料番組のタイトルを含む番組表(番組データ)」は、本件発明3でいう「放送情報に関連するスケジュール情報」であって、「放送情報のプログラム名称」(「有料番組のタイトル」)を含むものといい得るから、上記「刊行物1記載技術A」は、放送情報に関連するスケジュール情報を「受信」により取得し、これを用いて、刊行物2発明と同様、希望番組(放送情報)を自動記録するものである。
したがって、刊行物2発明の「前記放送情報に関連するスケジュール情報を取得し、ストアするための手段であって、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成される手段」に、
上記「刊行物1記載技術A」の、放送情報に関連するスケジュール情報を「受信」により取得する技術を適用して、
上記[相違点1]に係る本件発明3の構成とすること、すなわち、「前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするための手段であって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、手段」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

また、上記「[7.2.1]対比(c)」において、刊行物2発明では、テレビ受像機6がビデオデコーダ又はテレテキストデコーダを含んでいる場合、ビデオデコーダ又はテレテキストデコーダによって、「放送情報に関連するスケジュール情報」(希望番組の送信者データ及び時間データ、希望番組として選択した放送番組のタイトル)を「取得」しているとしたところ、
上記(1b)によれば、テレテキストは、文字および図形情報を放送するサービスであるから、刊行物2のテレテキストデコーダも、放送を受信してその文字および図形情報をデコードするものと容易に想定され、
さらに、上記(1b)によれば、上記「刊行物1記載技術A」のビデオテキストサービスも「テレテキスト」といえるのであり、この「刊行物1記載技術A」のテレテキストは、放送番組のタイトル、放送時間のデータを放送(送信)し、受像機で受信するシステム(サービス)といえるのである。
これらのことからみても、 上記[相違点1]に係る本件発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(2)相違点2について

(2a)刊行物2発明の「放送情報のインデックス」とは、「位置データPA」や「タイトルT」等の、特定の情報を意味する「データ」である以上、その作成やストアは、データの処理であるから、これを単に「記録装置に接続されたデータプロセッサ」が行うとすることは、容易想到でない格別な事項とはいえない。

また、この点につき、刊行物2発明を具体的にみても、
「位置データPA」や「タイトルT」(本件発明3でいう「インデックス」)を内容に含む情報ブロックIBのデータについて、前掲(K2.11)によれば、「情報ブロックのデータは記録媒体2上に存在する録画ブロックABの信号とは別のコーディングで記録媒体2上に録画されているので、評価回路27のデータ入力はデコーダ30を通じて再生装置22の出力31に接続され、情報ブロック評価回路のデータ出力27はコーダ32を通じてビデオレコーダの録画装置15の入力33に接続されている。認識回路26において情報ブロックの始端識別符号Aを認識した際に作られる出力信号はデコーダ回路30のデータ入力34を開き、その結果、情報ブロックの終端識別符号Eを認識するまで走査された情報ブロックのデータはデータバス10を通じて中間記憶装置35に記憶される。」としていて、
「インデックス」を内容に含む情報ブロックIBのデータの作成や記憶には、データの処理が伴うものといえ、
したがって、刊行物2発明の「前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアする」のに伴うデータ処理、「前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成する」のに伴うデータ処理を行うのに、記録装置に接続されたデータプロセッサを用いることは、装置を構成するにあたり、当業者が容易になし得る設計的事項と言うべきである。

以上のことから、刊行物2発明の「前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段であって、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成される手段」を、前記記録装置に接続されたデータプロセッサが有するものとすることは、当業者が容易になし得ることである。

(2b)刊行物2発明の、「スケジュール情報」とは、(ビデオデコーダ又はテレテキストデコーダにより)番組予告される放送番組の「送信者データ」・「時間データ」・「タイトル」であって、予告される番組の「データ」である。そして、「スケジュール情報」から「放送情報を選択」する処理は、予告される番組のデータから、特定の放送番組のデータを選択的に特定し保持する処理であるから、データの処理である。
したがって、これを単に「記録装置に接続されたデータプロセッサ」が行うとすることは、容易想到でない格別な事項とはいえない。

また、この点につき、刊行物2発明を具体的にみても、
上記「[7.2.1]対比(c)(d)」での検討でみたように、また、上記前掲(K2.9)に記載されるように、刊行物2発明では、「前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報」の選択は、
テレビ受像機6がビデオデコーダ又はテレテキストデコーダを含んでいる場合、ユーザーは、例えば、カーソルにより、テレビ受像機6の画面7上に示されている番組予告の中の録画のために選択した放送番組に標識を付けてなされるのであり、
このとき、カーソルの作成・移動や、標識に付与に伴う選択した放送番組を特定する処理、また、特定した放送番組の保持のための放送番組の「送信者データ」,「時間データ」,「タイトル」の希望番組記憶装置11への記憶処理等、上記選択は、データ処理を伴うものである。
したがって、刊行物2発明の「前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択する」のに伴うデータ処理を行うのに、
記録装置に接続されたデータプロセッサを用いることは、装置を構成するにあたり、当業者が容易になし得る設計的事項と言うべきである。
すなわち、「前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するための手段」が、前記記録装置に接続されたデータプロセッサが有するものとすることは、当業者が容易になし得ることである。

(2c)以上のことから、上記[相違点2]に係る本件発明3の構成とすること、すなわち、刊行物2発明が有するとした
「前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するための手段と、
前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段であって、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成される手段」 を、前記記録装置に接続されたデータプロセッサが有するものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(3)効果等
以上のように、上記相違点1および2に係る本件発明3の構成は、当業者に想到容易ではない格別のものであるとはいえず、また、これら相違点を総合的に検討しかつ本件発明3の構成を全体としてみても当業者が容易に想到し得たものといえ、その効果も、上記刊行物2、刊行物1の記載から予測できる程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるともいえない。

(4)被請求人の主張についての検討
前記「[4.2.2](1-2)」で前記した、甲第2号証(刊行物2)に関する被請求人の主張の要点は、
甲第2号証記載の「記録ブロックのタイトル」は、訂正後の請求項1記載の「インデックス」に含まれる「放送情報のプログラム名称」とは異なるから、甲第2号証は、「インデックス」に含まれる「前記放送情報のプログラム名称」を作成することも、ストアすることも教示も示唆もしていない。
というものである。
訂正後の請求項1記載の「インデックス」に含まれる「放送情報のプログラム名称」とは、「放送情報に関連するスケジュール情報を用いて」作成した、インデックスに含まれる「放送情報のプログラム名称」であるから、
上記主張は、
(ア)甲第2号証記載の「記録ブロックのタイトル」は、単に記録ブロックの名称であって、「放送情報に関連するスケジュール情報を用いて」作成した「放送情報のプログラム名称」ではないというものか、又は
(イ)さらに、その「スケジュール情報」は「受信し」たものであるとの条件をつけて、
甲第2号証記載の「記録ブロックのタイトル」は、単に記録ブロックの名称であって、
「放送情報に関連するスケジュール情報」であって且つ、「受信し」たものを用いて作成した「放送情報のプログラム名称」ではないというもの
と思われる。

しかしながら、前記「[7.2.1]対比」の「(e2)の(i)《中間記憶装置35の入力》および (ii)《タイトルの入力、記録》、《巻き戻しSRL後のIB1の再記録》、並びに(e4)、(f)」で認定・判断したとおり、
甲第2号証(刊行物2)記載の「記録ブロックのタイトル」は、テレビ受像機6がビデオデコーダ又はテレテキストデコーダを含んでいる場合、
希望番組記憶装置11には、番組予告から選択した希望番組のタイトルであって、放送情報に関連するスケジュール情報といいえる「放送情報のプログラム名称」が記憶されるのであり、
例えば、録画ブロックAB1の記録中に、希望番組記憶装置11に既に入力されている希望番組のタイトルは中間記憶装置35に伝送され、中間記憶装置35に入力され記憶されたそのタイトルT1は、その録画ブロックAB1の記録終了後に、次の情報ブロックIB2の中に「T1」として記録され、
巻き戻しSRL後の1番目の情報ブロックIB1の再記録時に、タイトル「T1」{上記(e4)の「後者」のタイトルT}が追加記録される。
このタイトルT1は、希望番組記憶装置11に記憶された、「放送情報に関連するスケジュール情報」といいえる「放送情報のプログラム名称」そのものである。
したがって、上記被請求人の主張(ア)は当を得ない。

また、前記「(1)相違点1について」で認定・判断したとおり、テレビ受像機6がビデオデコーダ又はテレテキストデコーダを含んでいる場合、甲2号証における希望番組記憶装置11に記憶された「放送情報に関連するスケジュール情報」を「受信」により取得するものとすることは、甲第1号証の参酌により当業者容易想到であり、そのようにしたものは、受信した「放送情報に関連するスケジュール情報」に含まれる「放送情報のプログラム名称」が、希望番組記憶装置11に記憶され、中間記憶装置35を介して情報ブロックにおける「タイトル」として記録されることになるのである。
したがって、甲第2号証のものは受信したものを用いて作成した「放送情報のプログラム名称」ではないことをだけを主張し、甲第1号証との組み合わせの容易性を考慮しない被請求人の上記主張(イ)も当を得ない。

なお、上記主張が、
刊行物2には「このタイトル入力装置37により、ビデオレコーダの録画動作状態中に、記録媒体2上に録画されつつある録画ブロックのタイトルを入力することができる。」(K2.12)と明記してある以上、
希望番組記憶装置11に既に入力されている希望番組のタイトルが、録画動作状態中に中間記憶装置35に伝送され同装置35に記憶されるとしても、情報ブロックのタイトルとして記録されるのは、タイトル入力装置37により入力されたものである。
テレビ受像機6がビデオデコーダ又はテレテキストデコーダを含んでいる場合、希望番組記憶装置11には、放送情報に関連するスケジュール情報といいえる「放送情報のプログラム名称」が記憶され、これが、中間記憶装置35に伝送されて入力されたとしても、「放送情報のプログラム名称」が、情報ブロックのタイトルとして記録される(インデックスとして記録される)のではなく、情報ブロックに録画ブロックのタイトルとして記録されるのは、タイトル入力装置37により入力されたものである。
との理由に基づくものである場合について以下に検討しておく。

タイトル入力装置37により、録画ブロックのタイトルを入力する場合においても、(希望番組記憶装置11から伝送されて入力される場合と同様)一旦中間記憶装置35にタイトルが入力され、中間記憶装置35に入力されたタイトルが、情報ブロックに「タイトル」として記録されることは、図4{各録画ブロックABの上に長方形で示されるフィールドに記載される中間記憶装置35の内容(例えば、AB1上の「□T1」)と、各情報ブロックIBの下に長方形で示されるフィールドに記載される、記録された情報ブロックの内容(例えば、IB2の下の「T1」)}から明らかである。
その違いは、タイトル入力装置37による入力は、録画動作状態中の入力であるのに対して、希望番組記憶装置11へのタイトル入力は、録画前に行われる{(K2.2.8)}。すなわち、希望番組記憶装置11を用いるのは、番組の自動録画(予約録画)をする場合であり、したがって、録画中はユーザが操作できないまたは操作しない状況を想定したものであるのに対して、タイトル入力装置37を用いるのは、リアルタイムで録画する場合であってユーザーが録画中にタイトルを入力するのと考えるのが普通である。
したがって、希望番組記憶装置11を用いる場合は、希望番組記憶装置11に前もって入力されたタイトルが、録画中に中間記憶装置35に伝送され、情報ブロックに記録されるのである。

そして、テレビ受像機6がビデオデコーダ又はテレテキストデコーダを含んでいる場合、希望番組記憶装置11には、放送情報に関連するスケジュール情報といいえる「放送情報のプログラム名称」が記憶されるのであるから、その、放送情報に関連するスケジュール情報といいえる「放送情報のプログラム名称」が情報ブロック(インデックスとして)に記録されるのである。

さらに、甲第1号証の参酌により当業者容易想到であると判断した、
甲第2号証において、テレビ受像機6がビデオデコーダ又はテレテキストデコーダを含んでいる場合であって、その希望番組記憶装置11に記憶された「放送情報に関連するスケジュール情報」を「受信」により取得するものとしたものは、受信した「放送情報に関連するスケジュール情報」に含まれる「放送情報のプログラム名称」が、希望番組記憶装置11に記憶され、中間記憶装置35を介して情報ブロックにおける「タイトル」として記録されることになるのである。
したがって、上記の主張も当を得ない。

なお、また、仮に、
『甲2号証(刊行物2)において、テレビ受像機6がビデオデコーダ又はテレテキストデコーダを含んでいる場合には、放送情報の「プログラム名称」が希望番組記憶装置11に記憶されているものの、その「プログラム名称」が記録媒体の情報ブロックにタイトルとして記録されるものではない。』
としても、
希望番組記憶装置11に既に記憶されている「放送情報に関連するスケジュール情報」に含まれる放送情報の「プログラム名称」を、そのまま記録媒体の(インデックスとして利用する)情報ブロックにタイトルとして記録すれば、より便利であることは、当業者に自明であるから、そのようにすること(希望番組記憶装置11に既に記憶されている「放送情報に関連するスケジュール情報」に含まれる放送情報の「プログラム名称」を、そのまま記録媒体の(インデックスとして利用する)情報ブロックにタイトルとして記録すること)は、当業者が容易に想到し得ることであり、
また、そのようにすることは、上記「刊行物1記載技術A」からみても、当業者が容易に想到し得ることである。
( なお、『記録のために選択された番組の番組タイトルを、番組記録時にカセットテープ(記録媒体)に記録し、記録された番組の再生時テレビジョン画面上に挿入表示する技術』が、甲第1号証に開示されていることについては、被請求人も認めている{[4.2.2](1-1)}。)

(5)まとめ(本件発明3)
以上のとおりであるから、本件発明3は、刊行物2(甲第2号証)に記載された発明および刊行物1(甲第1号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[7.2.4]無効判断(本件発明3)
以上のとおりであるから、本件発明3(訂正後の請求項3に係る発明)に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであって、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

[7.3]本件発明1について

本件発明1は、本件発明3から、「前記データプロセッサ」が、「前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するための手段」を有する点の構成を除いた発明である。

[7.3.1]刊行物2に記載された発明(以下、「刊行物2発明」という。)との対比(対応関係)
本件発明3と刊行物2に記載された発明との対応関係については、前記[7.2.1]に記載したとおりであるところ、これを援用する。

[7.3.2]一致点、相違点
本件発明1と刊行物2発明との一致点、相違点は次のとおりということができる。

[一致点]
放送情報を記録し、インデックスするためのシステムであって、
前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するための記録装置と、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を取得し、ストアするための手段であって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、手段と、
を備え、
前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段とを有し、
前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含み、
前記システムは、前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するための手段を有し、且つ、
前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成されるシステム。

[相違点]

[相違点1]
前記放送情報に関連するスケジュール情報を取得し、ストアするための手段であって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、手段における、放送情報に関連するスケジュール情報の取得が、
本件発明1では、受信によりなされるのに対して、
刊行物2発明では、受信によりなされるとの記載がなくこの点不明である点。

[相違点2]
前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段であって、
前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成される手段が、
本件発明1では、
前記記録装置に接続されたデータプロセッサが有するものとするのに対して、
刊行物2発明では、
この手段が、特に、前記記録装置に接続されたデータプロセッサが有するものとはしていない点。
上記[相違点1]は、前記「[7.2.2]一致点、相違点」の項で記載した、本件発明3との[相違点1]と同じであり、
上記[相違点2]は、前記「[7.2.2]一致点、相違点」の項で記載した、本件発明3との[相違点2]から、『「前記データプロセッサ」が、「前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するための手段」を有する』点を除いたものと同じである。

[7.3.3]相違点の判断

(1)相違点1について
前記本件発明3に係る、前記「[7.2.3](1)相違点1について」でした判断と同じである。(「本件発明3」は「本件発明1」と読み替える。)

(2)相違点2について
前記本件発明3に係る、前記「[7.2.3](2)相違点2について」でした判断{(2a)を除く。}と同じである。(「本件発明3」は「本件発明1」と読み替える。)

(3)効果等
上記相違点1および2に係る本件発明1の構成は、当業者に想到容易ではない格別のものであるとはいえず、また、これら相違点を総合的に検討しかつ本件発明1の構成を全体としてみても当業者が容易に想到し得たものといえ、その効果も、上記刊行物2、刊行物1の記載から予測できる程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるともいえない。

(4)被請求人の主張についての検討
前記「[7.2.3](4)被請求人の主張についての検討」でした検討と同じである。

(5)まとめ(本件発明1)
以上のとおりであるから、本件発明1は、刊行物2(甲第2号証)に記載された発明および刊行物1(甲第1号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[7.3.4]無効判断(本件発明1)
以上のとおりであるから、本件発明1(訂正後の請求項1に係る発明)に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであって、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

[7.4]本件発明4について

本件発明4は、
「システム」の発明である本件発明3を、「方法」で表現するとともに、
本件発明3の「システム」が有する「記録装置」,「スケジュール情報を受信し、ストアするための手段」,「インデックスを記録するための手段」を、それぞれ、「記録するステップ」,「スケジュール情報を受信し、ストアするステップ」,「インデックスを記録するステップ」とし、
本件発明3の「記録装置に接続されたデータプロセッサ」が有する「放送情報を選択するための手段」,「インデックスを作成し、ストアするための手段」を、それぞれ、「放送情報を選択するステップ」,「インデックスを作成し、ストアするステップ」とするとともに、これら手段を「記録装置に接続されたデータプロセッサ」が有するとする要件を削除したものであって、同要件を削除する点を除き、本件発明3と発明構成上実質的に相違しない。

[7.4.1]刊行物2に記載された発明(以下、「刊行物2発明」という。)との対比(対応関係)
本件発明3と刊行物2に記載された発明との対応関係については、前記[7.2.1]に記載したとおりであるところ、これを援用する。

[7.4.2]一致点、相違点
本件発明4と刊行物2発明との一致点、相違点は次のとおりということができる。

[一致点]
放送情報を記録し、インデックスするための方法であって、
前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するステップと、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を取得し、ストアするステップであって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、ステップと、
前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するステップと、
前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするステップであって、前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含む、ステップと、
を有し、
前記インデックスは、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて作成され、且つ前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するステップと、を有する方法。

[相違点]
前記放送情報に関連するスケジュール情報を取得し、ストアするステップであって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、ステップにおける、放送情報に関連するスケジュール情報の取得が、
本件発明4では、受信によりなされるのに対して、
刊行物2発明では、受信によりなされるとの記載がなくこの点不明である点。

[7.4.3]相違点の判断

(1)相違点について
前記本件発明3に係る、前記「[7.2.3](1)相違点1について」でした判断と同じである。(「本件発明3」は「本件発明4」と読み替える。)

(2)効果等
本件発明4の効果も、上記刊行物2、刊行物1の記載から予測できる程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるともいえない。

(3)被請求人の主張についての検討
前記「[7.2.3](4)被請求人の主張についての検討」でした検討と同じである。

(4)まとめ(本件発明4)
以上のとおりであるから、本件発明4は、刊行物2(甲第2号証)に記載された発明および刊行物1(甲第1号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[7.4.4]無効判断(本件発明4)
以上のとおりであるから、本件発明4(訂正後の請求項4に係る発明)に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであって、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

[7.5]本件発明2について

本件発明2は、
「システム」の発明である本件発明1を、「方法」で表現するとともに、
本件発明1の「システム」が有する「記録装置」,「スケジュール情報を受信し、ストアするための手段」,「インデックスを記録するための手段」を、それぞれ、「記録するステップ」,「スケジュール情報を受信し、ストアするステップ」,「インデックスを記録するステップ」とし、
本件発明1の「記録装置に接続されたデータプロセッサ」が有する「インデックスを作成し、ストアするための手段」を、「インデックスを作成し、ストアするステップ」とするとともに、同手段を「記録装置に接続されたデータプロセッサ」が有するとする要件を削除したものであって、同要件を削除する点を除き、本件発明1と発明構成上実質的に相違しない。

[7.5.1]刊行物2に記載された発明(以下、「刊行物2発明」という。)との対比(対応関係)
本件発明3と刊行物2に記載された発明との対応関係については、前記[7.2.1]に記載したとおりであるところ、これを援用する。

[7.5.2]一致点、相違点
本件発明2と刊行物2発明との一致点、相違点は次のとおりということができる。

[一致点]
放送情報を記録し、インデックスするための方法であって、
前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するステップと、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を取得し、ストアするステップであって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、ステップと、
前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするステップであって、前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含む、ステップと、
を有し、
前記インデックスは、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて作成され、且つ前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するステップと、を有する方法。

[相違点]
前記放送情報に関連するスケジュール情報を取得し、ストアするステップであって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、ステップにおける、放送情報に関連するスケジュール情報の取得が、
本件発明2では、受信によりなされるのに対して、
刊行物2発明では、受信によりなされるとの記載がなくこの点不明である点。

[7.5.3]相違点の判断

(1)相違点について
前記本件発明3に係る、前記「[7.2.3](1)相違点1について」でした判断と同じである。(「本件発明3」は「本件発明2」と読み替える。)

(2)効果等
本件発明2の効果も、上記刊行物2、刊行物1の記載から予測できる程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるともいえない。

(3)被請求人の主張についての検討
前記「[7.2.3](4)被請求人の主張についての検討」でした検討と同じである。

(4)まとめ(本件発明2)
以上のとおりであるから、本件発明2は、刊行物2(甲第2号証)に記載された発明および刊行物1(甲第1号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[7.5.4]無効判断(本件発明2)
以上のとおりであるから、本件発明2(訂正後の請求項2に係る発明)に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであって、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

【第8】むすび
以上のとおりであるから、、訂正後の請求項1ないし4に係る発明に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、他の無効理由について検討するまでもなく、無効とすべきものである。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
VCRスケジューリング用システムおよび方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】放送情報を記録し、インデックスするためのシステムであって、
前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するための記録装置と、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするための手段であって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、手段と、
前記記録装置に接続されたデータプロセッサと、
を備え、
前記データプロセッサは、前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段を有し、前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含み、
前記システムは、前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するための手段を有し、
前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項2】放送情報を記録し、インデックスするための方法であって、
前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するステップと、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするステップであって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、ステップと、
前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするステップであって、前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含む、ステップと、
を有し、
前記インデックスは、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて作成され、且つ前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するステップと、を有することを特徴とする方法。
【請求項3】放送情報を記録し、インデックスするためのシステムであって、
前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するための記録装置と、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするための手段であって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、手段と、
前記記録装置に接続されたデータプロセッサと、
を備え、
前記データプロセッサは、前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するための手段と、前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするための手段とを有し、前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含み、
前記システムは、前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するための手段を有し、且つ、
前記インデックスを作成し、ストアするための手段は、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて、前記インデックスを作成するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項4】放送情報を記録し、インデックスするための方法であって、
前記放送情報を受信し、記録媒体に記録するステップと、
前記放送情報に関連するスケジュール情報を受信し、ストアするステップであって、前記スケジュール情報は前記放送情報のプログラム名称を含む、ステップと、
前記スケジュール情報から前記記録媒体に記録するための放送情報を選択するステップと、
前記記録媒体に記録された放送情報のインデックスを作成し、ストアするステップであって、前記インデックスは、前記放送情報のプログラム名称と前記放送情報が前記記録媒体のどこに記録されているかを判別するためのインデックス情報とを含む、ステップと、
を有し、
前記インデックスは、前記記録媒体に記録された放送情報に関連するスケジュール情報を用いて作成され、且つ前記記録された放送情報を含む前記記録媒体に前記インデックスを記録するステップと、を有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】関連発明に対するクロスレファレンス本発明は、本出願人に1987年11月10日に発行された米国特許第4,706,121号の「TVスケジュールシステム及び方法」に記載の発明の改良に関する。
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般的にテレビジョン補足データがテレビジョン放送の中に埋込まれ、キューに応じて視聴者がこの補足データをストアできるようにしたシステムおよび方法に関する。このような補足データとしては、時刻、チャネル、プログラム名称、プログラム形式などのスケジュール情報がある。ストアしたデータは、スケジュール情報によって指定された補足テレビジョンプログラムを記録するように、VCRを自動的にプログラムするのに用いられる。
【0003】
【従来の技術】上記の関連特許は、テレビジョンに表示したり、VCRに記録したりする放送プログラムを、利用者がスケジュール情報に基づいて選択できるようにしたシステム及び方法を記載している。この特許で論述され、かつその出願に記録されている従来技術は、テレビジョンセットあるいはVCRの機能性を向上させるための種々のシステム及びプログラムを示している。この技術に関して、同様のシステムおよび方法が多数知られているが、これらのシステムおよび方法の中には放送されている題材に関する補足情報を与える方法について考慮しているものはない。ある種の視聴者にとって特に感心の深い補足情報の一例は、正規の放送時間に広告される製品に関する補足的な情報である。このようなコマーシャル時間は、視聴率の高い主要時間帯、あるいはスポーツ放送時に特に高価なものであり、従ってコマーシャルは一般的に30秒?1分間の長さになっている。しかし、多くの広告製品について、視聴者はコマーシャルの中で提供される情報よりももっと多くの情報を、例えば、特徴、価格、および地域的な入手可能性などについて、その製品の購入決定の前に得ることを望んでいる。このような補足情報を、これを必要としている視聴者に対して選択的に提供する能力があれば、これは広告主やテレビジョン情報を提供するその他の人達にとって極めて価値のあるものとなる。
【0004】
【発明の概要】従って、本発明の目的は、テレビジョン放送の中の題材に関する補足情報の受信を、視聴者が対話的に選択できるシステムおよび方法を提供することである。他の1つの目的は、放送時間の安価な時間帯に記録を行うための補足情報を与える、上記のようなシステムおよび方法を提供することである。本発明のさらに他の1つの目的は、視聴者が補足情報をメニューから選択できるようにした同様なシステムおよび方法を提供することである。本発明のさらに他の目的は、テープに記録される題材の改良されたインデックスを与えるVCRスケジュールコントローラを提供することである。これらの、関連のある目的の達成は、ここに開示したVCRスケジューリング用の新規なシステムおよび方法の使用によって得られる。本発明によるVCRスケジューリング用のシステムおよび方法は、記録装置、放送受信器、およびこの記録装置と放送受信器に接続されたデータプロセッサを備えている。また、このデータプロセッサは、放送中に放送受信器にキューを与える手段を含んでいる。また、このデータプロセッサには、キューに対する使用者の応答を受信する手段が接続されている。また、キューに対する使用者の応答する手段が、記録装置を制御して補足情報を記録する。
【0005】本発明による、放送の中で補足情報を提供する方法は、放送中に、その放送に関連する補足情報の入手可能に関するキューを与えることを含んでいる。キューに対する応答は使用者から送られる。使用者からの応答を受信すると、補足情報が使用者に送られる。好ましくは、補足情報は後で放送される。補足情報に対するスケジュール情報は、放送と一緒に与えられる。スケジュール情報は、使用者がキューに対して応答したときストアされ、補足情報が放送されたとき、この補足情報を記録装置を用いて記録するのに用いられる。この装置を用いると、補足情報が、放送者側にとって有利でかつ便利な時間帯に、選択的に視聴者に送られ、視聴者は迅速かつ便利な方法でこれを再生することができる。補足データを送信する1つの方法は、テレテキスト形式のデータを含むビデオ信号のビデオブランキングインタバル(VBI)セグメントを用いることである。テレテキスト受信器ベースの装置が、補足データのデコードに用いられる。
【0006】キューとしては、スクリーン上の字幕、音声信号または音声メッセージ、または装置上の表示器、あるいは視聴者の注意を引くどんなものでもよい。キューは、受信した補足データの内容に基づいて装置によって選択的に発生させることができ、あるいは通常のテレビジョンの画像または音声に含ませることもできる。視聴者は、リモートコントローラ上のキューを押したり、装置上のスイッチを操作したり、大きな音声を発したりしてキューに応答でき、あるいはその他どのような方法でも、システムが補足データをストアするように作動させることができる。視聴者がキューに応じてデータをストアするのに成功すると、システムは確認通知を行う。これは、別の字幕、音声信号または音声メッセージ、または視聴者に、キューに対する応答が入力されたことを報知するどのような方法でもよい。これによってシステムは、自動的にVCRを、補足データによって定められたスケジュールのチャネルおよび時刻に同調させる。
【0007】本発明の前述し、かつこれに関連する目的、利点、および特長は、下記に図面を参照して行った本発明の詳細な説明によって、当業者にとってさらに明瞭になるものである。
【0008】
【実施の形態】図面、特に図1を参照すると、本発明による集積されたVCRスケジュールコントローラのブロック図が示されている。この実施の形態では、コントローラはVCRの中に内蔵されているが、VCRと別置にすることもでき、例えばVCRに入力を与えVCRのリモート装置を用いることができる。放送データはアンテナ1またはケーブル2を介してプログラマブルチューナ3で受信され、その1つの出力がテレテキスト受信器4の入力14に接続されている。テレテキスト受信器としては、Sears Caption Decoderを用いることができる。テレテキスト受信器4の出力はマイクロプロセッサ5に接続されている。マイクロプロセッサ出力はビデオディスプレイ発生器10へ接続されており、これがテレビジョン受像器60用のテキストの作成に用いられる。ビデオスイッチ15はディスプレイ発生器10の出力17をTV受像器60に接続し、マイクロプロセッサ5からのメッセージを表示させる。
【0009】マイクロプロセッサ5はランダムアクセスメモリ9とシステムクロック/カレンダ6をもっている。マイクロプロセッサ5は、埋込まれたデータの処理が終るとキューを発生し、シンボルまたはメッセージをディスプレイ発生器10へ送り、TV受像器60に表示させる。リモートコントロール受信器20は、リモートコントローラ22から、視聴者のキューに応答した入力による指令を受ける。リモートコントロール受信器20は、入力ライン21に接続されて制御信号を与え、マイクロプロセッサが埋込まれたデータをメモリ9にストアするようにする。これによってマイクロプロセッサは、視聴者の入力を受領した確認としてのメッセージをディスプレイ発生器10へ送る。キューの実行は、マイクロプロセッサ5を用いるほかに、種々な方法が可能である。最も簡単な方法は、放送の音声またはビデオの一部として音声または視覚による刺激を用いることである。この場合、ディスプレイ発生器10およびディスプレイスイッチ15は何れも不用である。キューを、放送の音声部またはビデオ部とは別に、例えばVBI内で設け、これをマイクロプロセッサによって、テレビ受像器60に与えられる信号の音声部またはビデオ部に追加することは、本発明のシステムがなくても、視聴者にとって面倒なものではない。
【0010】マイクロプロセッサ5はシステムクロック6をモニタし、これを、埋込まれた補足データからストアしたスケジュールと比較する。システムタイムがスケジュールタイムの1つに一致すると、マイクロプロセッサ5がプログラマブルチューナ3をストアされたチャネルにセットし、ライン32上の制御信号によってVCRへの記録を開始させる。VCRは、その信号をアンテナ35またはケーブル36から受信する。図2に示すシステム90では、スケジュール情報を放送の一部として受信するのに加えて、スケジュール情報をモデム94を用いてコンピュータ5で受信し、コンピュータ5で処理するようにすることも可能である。この場合は、使用者の選択に基づいて、1つまたは複数のプログラムスケジュールリストがコンピュータメモリにストアされる。放送の所定の時間に、コンピュータ5がVCR30を作動させ、選択したプログラムを記録させる。コンピュータ5の直列出力ポート32はVCR30の制御バスに接続され、VCRをオンにし、チャネル選択の制御を行い、プログラムの記録を可能にする。
【0011】このシステム90は、テレビジョンガイドステーションリストを、ケーブル利用者のチャネル選択に自動的に変換する特徴をもっている。VCR30を留守中の記録のためにプログラムするたびごとに、ステーションリストをローカルチャネル番号に変換する必要を無くすために、使用者は変換を1回だけ入力すればよいようなメモリが設けられている。入力後は、変換はコンピュータ5で処理される。スクリーン表示される入力テーブルが設けられ、使用者が各ステーションの名称または番号に対応するケーブルチャネル番号を入力するようにリクエストする。あるいは、バーコード読取器を用いてバーコード変換ガイドからステーションの名称または番号と、ケーブル番号とを両方とも読取るようにしてもよい。何れの方法でも、変換データはメモリ内のテーブルにストアされる。留守中のレコーディングでは、ステーションに対応するチャネル番号は、コンピュータ5によって、VCR30上のチャネル選択を制御するのに用いられる。システム90に局部的にストアされている上記のような変換を用いることによって、ケーブルスケジュール情報は、地域または国内ベースでのケーブルチャネル名(例えばESPN)で供給でき、またそのケーブルサービスに対する適当なローカルチャネル番号の選択はコントローラ90によって行われる。
【0012】このシステム90は、プログラムの自動検索に電子式インデックス法を用いている。記録中、プログラムの位置は、ディジタル読出しを有するキャプスタンカウンタで判別される。この、プログラムをどこに記録すべきかを判別するインデックス情報は、プログラムの名称と共にログ内にストアされる。再生時は、VCR30は自動的にインデックス位置に行き、再生を開始する。VCR30からのライン101は、インデックスデータを含む直列バスである。これは、コンピュータ5の直列入力ポートに接続されている。検索は現在のインデックス値とストアされたインデックス値とを比較することによって行われる。検索は、VCR30からのインデックス値がストアされたインデックス値と一致したとき完了する。
【0013】システム90はまた、セルフインデックスによるカセットの記録も行う。各カセットテープのスタートに、カセットに記録された各プログラムのスタート位置およびエンド位置に関する完全な記述がプログラム名と共にストアされる。再生中、この情報は、VCR30のテレテキストデコーダで読出されて画面上に表示され、使用者は、何が記述されているかを迅速に判別し、自動的に所望のプログラムにアクセスすることができる。アクセスはログから名称を選択することによって行われる。記録中、上述したように、各テープごとに完全なログが作られる。テープをVCR30から取出す前に、テープをスタート位置まで巻戻し、ログ情報をテープのVBI(ビデオブランキングインタバル)トラックに、前記の本出願人に許可された特許に記載された形式のVBIエンコーダ110を用いて記録する。ライン102は、コンピュータ5からVBIエンコーダ110への直列出力であり、ライン103は、VCR30のビデオ入力ポートに接続された、ログ情報の埋込まれたビデオ信号である。ログ情報の記録中、VCR30はその信号をアンテナ入力35からビデオ入力へ受信する。
【0014】再生中は、VBIテレテキストデコーダ108はVCRからのデータを、VCR30のビデオ出力ポートであるライン107を介して受信する。デコードが終ると、データはライン106を介してコンピュータ5の第2の入力ポートに受信される。上述した以外については、図2に示す本発明の実施例の構成および動作は、図1に示す実施例と同じである。本発明のシステムを実施する上でのさらに詳細な事項は、本出願人の上記許可された特許に記載されており、その開示内容はここでも参考として用いられている。上記の説明から、前述した本発明の目的を達成できる、新規なVCRのスケジュールシステムおよびプログラムが得られることが、当業者にとって明白になると思われる。このシステムおよび方法によって、視聴者が、放送されている情報に関連するさらに他の情報を対話形式で選択することが可能となり、これはメニュー選択を用いて行うことができる。上記の他の情報は、視聴者による記録のために、安価な、あるいは利用率の低い放送時間帯に放送することができる。
【0015】さらに、本発明の形態および詳細について、上記に説明した以外の種々の変更が可能であることは、当業者にとって明白なことである。従って、そのような変更は、添付した特許請求の精神および範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるVCRスケジューリングシステムのブロック図である。
【図2】本発明によるVCRスケジューリングの他のシステムのブロック図である。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2007-08-08 
結審通知日 2006-05-08 
審決日 2006-05-19 
出願番号 特願平10-327797
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 藤内 光武木方 庸輔  
特許庁審判長 乾 雅浩
特許庁審判官 益戸 宏
奥村 元宏
登録日 2003-12-19 
登録番号 特許第3505410号(P3505410)
発明の名称 VCRスケジューリング用システムおよび方法  
代理人 森下 夏樹  
代理人 安村 高明  
代理人 山本 秀策  
代理人 安村 高明  
代理人 田辺 恵基  
代理人 山本 秀策  
代理人 森下 夏樹  

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