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審決分類 |
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する B65D 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する B65D 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する B65D 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する B65D |
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管理番号 | 1173000 |
審判番号 | 訂正2008-390003 |
総通号数 | 100 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-04-25 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2008-01-10 |
確定日 | 2008-02-18 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3961588号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3961588号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、特許第3961588号発明(平成8年6月18日特許出願、平成19年5月25日設定登録)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記(1)及び(2)のとおり訂正することを求めるものである。 (1)特許明細書の発明の詳細な説明の【0039】の 「【発明の効果】 以上説明したように、本発明の包装用内装材は、比重が大きく重量のある放射性核種溶出装置の保護の点で十分な能力を有し、しかも発泡スチロール製の内装材が有する種々の問題点を解消することが可能なものである。」を誤記の訂正を目的として、 「その結果、実施例の内装材を装填した収納箱を1個燃焼させた場合には黒煙の発生は極めて少なく、その程度は種火の燃焼開始時とほぼ同様であった。また、同収納箱を3個燃焼させた場合には黒煙の発生が見られたが、その程度は発泡スチロールからなる内装材を装填した収納箱を1個燃焼させた場合よりもはるかに少なかった。したがって、本実施例の内装材は、焼却処分を行うことにほとんど問題がないことが確認された。」と訂正する。 (2)特許明細書の発明の詳細な説明の【0040】の 「【発明の効果】 以上説明したように、本発明の包装用内装材は、収納物品の保護の点、特に比重が大きく重量のある収納物品の保護の点で十分な能力を有し、しかも発泡スチロール製の内装材が有する種々の問題点を解消することが可能なものであり、放射性核種溶出装置を輸送箱内に収納する際に特に好適に使用されるものである。」を誤記の訂正を目的として、 「【発明の効果】 以上説明したように、本発明の包装用内装材は、比重が大きく重量のある放射性核種溶出装置の保護の点で十分な能力を有し、しかも発泡スチロール製の内装材が有する種々の問題点を解消することが可能なものである。」と訂正する。 2.当審の判断 これらの訂正事項について検討する。 特許権者は、平成19年3月15日付けで手続補正書を提出して補正を行ったが、その中で本来の意図としては段落【0040】の【発明の効果】の項を補正するところ、錯誤により段落【0039】を補正し、段落【0040】は補正されなかったものである。 上記事情を考慮すれば、現在の特許明細書の段落【0039】の記載は明らかな誤記と認められるので、上記(1)の訂正は、特許権者が補正することを意図していなかった【0039】を補正前の本来の記載に戻すよう訂正するものであり、この訂正は誤記の訂正を目的とするものである。 また、上記(2)の訂正は、上記手続補正により、本来補正しようと意図していた段落【0040】を、本来の意図通りに訂正するものであり、現在の特許明細書の【0040】の記載は明らかな誤記と認められるので、この訂正も誤記の訂正を目的とするものである。 そして、上記各訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 また、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、訂正前の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明と同一であるから、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でもない。 3.むすび したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項乃至第5項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 放射性核種溶出装置包装用内装材 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】肉厚が0.2?3.0mmの薄肉のプラスチック成形体からなり、放射性核種溶出装置を輸送箱内に収納する際の内装材として形成された包装用内装材であって、 輸送箱の内周面に相応する形状を有する外壁部と、外壁部の内側に設けられた内壁部とを有し、かつ、放射性核種溶出装置の一部又は全部が挿入される収容凹部が前記内壁部に形成されているとともに、該収容凹部の底部に放射性核種溶出装置から収容凹部の壁部に加わる衝撃を吸収する衝撃吸収部が設けられている下側部材と、 輸送箱の内周面に相応する形状を有する外壁部と、外壁部の内側に設けられた内壁部とを有し、前記下側部材上に配置される上側部材とを具備し、 かつ、前記下側部材は上パッド及び下パッドを有し、上パッドの外壁部及び下パッドの外壁部によって下側部材の外壁部が構成され、上パッドの内壁部及び下パッドの内壁部によって下側部材の内壁部が構成され、上パッドの収容凹部及び下パッドの収容凹部によって下側部材の収容凹部が構成され、上パッド並びに下パッドの外壁部及び内壁部にはそれぞれリブが形成されており、 輸送箱内に装填した下側部材の収容凹部に放射性核種溶出装置を挿入し、該下側部材上に上側部材を配置し、かつ輸送箱の上部開口部を閉じたときに、下側部材と上側部材との間に放射性核種溶出装置がほぼ動かない状態で保持されるよう構成したことを特徴とする放射性核種溶出装置包装用内装材。 【請求項2】下側部材及び上側部材を形成するプラスチックとして焼却したときに炉を傷めるような高熱及び毒性ガスを発生しないプラスチックを用いた請求項1に記載の放射性核種溶出装置包装用内装材。 【請求項3】プラスチックが炭酸カルシウム含有ポリエチレンである請求項2に記載の放射性核種溶出装置包装用内装材。 【請求項4】下側部材及び上側部材を形成するプラスチックとして生分解性プラスチックを用いた請求項1に記載の放射性核種溶出装置包装用内装材。 【請求項5】下側部材及び上側部材を形成するプラスチックに帯電防止剤を練り込む手段、又は、下側部材及び上側部材に帯電防止剤を塗布する手段を採用した請求項1?4のいずれか1項に記載の放射性核種溶出装置包装用内装材。 【請求項6】下側部材と上側部材、下側部材同士又は上側部材同士を積み重ね可能とした請求項1?5のいずれか1項に記載の放射性核種溶出装置包装用内装材。 【請求項7】下側部材の収容凹部の底壁部下面に中空略短軸円柱状のプラスチック成形体を固定し、該プラスチック成形体を衝撃吸収部とした請求項1?6のいずれか1項に記載の放射性核種溶出装置包装用内装材。 【請求項8】下側部材を輸送箱に装填したときに中空略短軸円柱状プラスチック成形体からなる衝撃吸収部の下端が輸送箱の底面に接触又は近接するようにした請求項7に記載の放射性核種溶出装置包装用内装材。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、輸送箱内に比重が大きく重量のある放射性核種溶出装置を安定に保持するための包装用内装材に関する。 【0002】 【従来の技術】 過テクネチウム酸ナトリウム(^(99m)Tc)注射液等の放射性医薬を医療現場で製造する際に用いられる放射性核種溶出装置として、図6に示すものが知られている。図6において、aはプラスチック製容器本体、bはプラスチック製蓋体、cは蓋体bに形成された生理食塩液バイアル挿入凹部、dは無菌減圧バイアル挿入凹部、eは容器本体a内に配設された放射性核種溶出カラム、fは生理食塩液流通管、gは溶出液流通管を示す。 【0003】 本装置を用いて放射性医薬を調製する場合、凹部cに生理食塩液バイアルjを挿入した後、凹部dに無菌減圧バイアルkを挿入する。これにより、生理食塩液バイアルj中の生理食塩液がニードルhから吸引され、流通管fを通ってカラムe内に入り、カラムe内で生理食塩液に放射性核種が溶出された後、溶出液が流通管gを通ってニードルiから無菌減圧バイアルk内に入る。そして、得られた放射性核種を薬学的に許容される担体と混合することにより放射性医薬が得られる。 【0004】 前述した放射性核種溶出装置では、容器本体a内に鉛等の放射線遮蔽金属からなる比重の大きい金属ブロックを装填し、この金属ブロックに形成したカラム収納部にカラムeを収納している。したがって、この放射性核種溶出装置は、高さ21cm、幅13cm、奥行き11cm程度の大きさであるにもかかわらず、重量は約10kgと非常に重い。 【0005】 そのため、従来より、重量物である前述した放射性核種溶出装置を輸送箱内に収納するに際しては、所定形状に成形した発泡スチロール製のかなり強度の高い包装用内装材を輸送箱内に装填し、この内装材で放射性核種溶出装置を保持するようにしており、これにより輸送時における輸送箱の落下、転倒等によって放射性核種溶出装置が破損し、放射性物質が漏洩することを防止している。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、これまで放射性核種溶出装置を輸送箱に収納する際に使用されてきた発泡スチロール製の内装材は、下記の点で十分に満足できるものではなかった。 ▲1▼近年、発泡スチロールの焼却廃棄処分は高熱を発生する点で規制されつつあり、実際、福井県の条例においては発泡スチロールを焼却廃棄することができなくなった。そのため、焼却したときに炉に損傷を与えるような高熱を発生しない材質、あるいは焼却以外の方法によって廃棄できる材質からなる包装用内装材が要望されている。 ▲2▼発泡スチロールからなる内装材は、エコロジーの観点から、将来的には包装廃棄物リサイクル法等によって回収することが必要となる。したがって、発泡スチロールからなる内装材を用いた場合、該内装材の回収のための費用や作業が必要となり、コストの上昇を招くことになる。 ▲3▼発泡スチロールからなる内装材は静電気を帯電しやすく、帯電防止剤を練り込んだり塗布したりすることが困難で粉塵等を吸着しやすいため、医薬品や医療用器材の包装資材としては薬事法におけるGMP(good manufacturing practice)の観点から好ましくない。 ▲4▼発泡スチロールからなる内装材は嵩高である上、積み重ねることが難しく、大きな在庫スペース及び廃棄スペースを必要とするため、資材の減容化の観点から好ましくない。 【0007】 本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、比重が大きく重量のある放射性核種溶出装置の保護の点で十分な能力を有し、しかも前述した発泡スチロール製の内装材が有する種々の問題点を解消することが可能な包装用内装材を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】 本発明は、上記目的を達成するため、肉厚が0.2?3.0mmの薄肉のプラスチック成形体からなり、放射性核種溶出装置を輸送箱内に収納する際の内装材として形成された包装用内装材であって、 輸送箱の内周面に相応する形状を有する外壁部と、外壁部の内側に設けられた内壁部とを有し、かつ、放射性核種溶出装置の一部又は全部が挿入される収容凹部が前記内壁部に形成されているとともに、該収容凹部の底部に放射性核種溶出装置から収容凹部の壁部に加わる衝撃を吸収する衝撃吸収部が設けられている下側部材と、 輸送箱の内周面に相応する形状を有する外壁部と、外壁部の内側に設けられた内壁部とを有し、前記下側部材上に配置される上側部材とを具備し、 かつ、前記下側部材は上パッド及び下パッドを有し、上パッドの外壁部及び下パッドの外壁部によって下側部材の外壁部が構成され、上パッドの内壁部及び下パッドの内壁部によって下側部材の内壁部が構成され、上パッドの収容凹部及び下パッドの収容凹部によって下側部材の収容凹部が構成され、上パッド並びに下パッドの外壁部及び内壁部にはそれぞれリブが形成されており、 輸送箱内に装填した下側部材の収容凹部に放射性核種溶出装置を挿入し、該下側部材上に上側部材を配置し、かつ輸送箱の上部開口部を閉じたときに、下側部材と上側部材との間に放射性核種溶出装置がほぼ動かない状態で保持されるよう構成したことを特徴とする放射性核種溶出装置包装用内装材を提供する。 【0009】 本発明の内装材によれば、放射性核種溶出装置が下側部材と上側部材との間にほぼ動かない状態で保持されるので、輸送特等において放射性核種溶出装置が良好に保護される。また、本発明の内装材においては、下側部材の収容凹部の底部に前述した衝撃吸収部が設けられているため、輸送箱の落下等によって収容凹部内の重量のある放射性核種溶出装置から収容凹部の壁部(周壁及び底壁)に大きな衝撃が加わった場合でも、この衝撃の一部又は全部が上記衝撃吸収部に吸収される。したがって、輸送箱が落下したような場合でも、内装材は容易に破損することがなく、収納された放射性核種溶出装置は下側部材と上側部材との間に安定に保持され、良好に保護されるものである。 【0010】 本発明の内装材に設ける衝撃吸収部の形状、構造に限定はなく、落下時等に放射性核種溶出装置から収容凹部の壁部に加わる衝撃の一部又は全部を吸収し、内装材が大きく破損することを防止できるものであればどのような形状、構造であってもよい。このような衝撃吸収部の好適な態様としては、例えば後述する実施例に示すように、収容凹部の底壁部の下面に中空略短軸円柱状のプラスチック成形体を固定し、該プラスチック成形体を衝撃吸収部とする態様が挙げられる。 【0011】 【発明の実施の形態】 本発明の内装材を構成する下側部材及び上側部材は、比較的薄肉のプラスチック成形体、好ましくは肉厚が0.2?3.0mm程度のプラスチック成形体によって形成する。下側部材及び上側部材を形成するプラスチックの種類に特に限定はないが、焼却したときに炉を傷めるような高熱及び毒性ガスを発生しないプラスチック又は生分解性プラスチックであることが好ましい。前者のプラスチックを用いた場合には内装材を問題なく焼却廃棄することが可能となり、また後者の生分解性プラスチックを用いた場合には内装材を土中に埋めることなどによって廃棄することが可能となるため、いずれの場合も廃棄物処理コストを下げることができるという利点が得られる。 【0012】 焼却したときに炉を傷めるような高熱及び毒性ガスを発生しないプラスチックとしては、例えば、炭酸カルシウム含有ポリエチレン等の炭酸カルシウム含有ポリオレフィンを好適に使用することができる。この場合、炭酸カルシウム含有ポリオレフィン中の炭酸カルシウム含有量に限定はないが、20?40重量%、特に30重量%程度とすることが適当である。また、生分解性プラスチックとしては、例えば、コーンスターチ樹脂(商品名:バイオポール)等を使用することができる。 【0013】 本発明においては、下側部材及び上側部材を形成するプラスチックに帯電防止剤を練り込む手段、又は、下側部材及び上側部材に帯電防止剤を塗布する手段を採用することができ、これにより各部材が静電気を帯電して粉塵等を吸着することを防止することができる。この場合、帯電防止剤としては、例えば、アニオン活性剤、カチオン活性剤等の界面活性剤を用いることができる。 【0014】 また、本発明においては、下側部材と上側部材、下側部材同士又は上側部材同士を積み重ね可能とすることが好ましく、これにより内装材の在庫時及び廃棄時における減容化を図って内装材の在庫スペース及び廃棄スペースを縮小することができるとともに、内装材の回収の容易化及び低コスト化を達成することができる。この場合、下側部材及び上側部材の一方の部材の内側に他方の部材を挿入可能としたり、下側部材の内側に他の下側部材を挿入可能としたり、上側部材の内側に他の上側部材を挿入可能としたりすることにより、一層の減容化を図ることができる。 【0015】 本発明において、下側部材及び上側部材は、それぞれ単一のプラスチック成形体によって形成してもよく、複数のプラスチック成形体を接合することにより形成してもよい。また、下側部材及び上側部材の成形法に限定はなく、射出成形法、圧縮成形法、真空成形法、ブロー成形法等の任意の成形法によって成形することができる。 【0016】 図1?図5は本発明の一実施例に係る包装用内装材を示すもので、この内装材は輸送箱内に図6に示したような放射性核種溶出装置及びバイアル箱(生理食塩液バイアルや無菌減圧バイアルを入れた箱)を収納する際に使用されるものである。図1は内装材全体の正面図、図2は斜め上方から見た下側部材の斜視図、図3は斜め下方から見た下側部材の斜視図、図4は下側部材に放射性核種溶出装置及びバイアル箱を装着した状態を示す斜め上方から見た斜視図、図5は下側部材と上側部材との間に放射性核種溶出装置及びバイアル箱を保持した状態を示す断面図である。 【0017】 本実施例の内装材は、下側部材2と上側部材4とから構成されている。下側部材2は、別々に成形した上パッド6、下パッド8及び衝撃吸収部10を接合したもの、上側部材4は単一の成形体からなるものであり、これら上パッド6、下パッド8、衝撃吸収部10及び上側部材4はいずれも炭酸カルシウム含有ポリエチレン(炭酸カルシウム含有量30重量%)によって形成されている。この場合、上パッド6、下パッド8、上側部材4は真空成形法で成形され、衝撃吸収部10はブロー成形法で成形されている。また、各成形体の肉厚は1.2mm程度であり、プラスチック中には帯電防止剤が練り込まれている。 【0018】 下側部材2の上パッド6は、輸送箱の内周面に相応する形状を有するほぼ垂直な四角枠状の外壁部12と、外壁部12の内側に設けられ、外壁部12の上部と一体に形成された内壁部14とを有する。内壁部14の中央には、放射性核種溶出装置16の下部が挿入される略四角形の大型の収容凹部18が形成されている。また、収容凹部18の各辺部の外側方には、バイアル箱20の下部が挿入される4つの小型の収容凹部22が形成されている。さらに、内壁部14の各隅部には、上側部材4の係合凹部(後述)に係合する4つの係合凸部24が突設されている。また、外壁部12及び内壁部14には、上パッド6の強度を向上させるための多数のリブ26が形成されている。 【0019】 下側部材2の下パッド8は、輸送箱の内周面に相応する形状を有するほぼ垂直な四角枠状の外壁部28と、外壁部28の内側に設けられ、外壁部28の上部と一体に形成された内壁部30とを有する。内壁部30の中央には略四角形の収容凹部32が形成され、前記収容凹部18を形成する上パッド6の突出部19の下部が収容凹部32内に挿入されるようになっている。また、外壁部28及び内壁部30には、下パッド8の強度を向上させるための多数のリブ34が形成されている。上パッド6と下パッド8とは、上パッド6の突出部19を下パッド8の収容凹部32内に挿入し、突出部19の底壁下面と収容凹部32の底壁上面とを両面粘着テープ、接着剤等で接合することにより連結されている。 【0020】 下側部材2の衝撃吸収部10は中空略短軸円柱状のもので、その下面周縁部には下方に膨出した膨出部36が形成され、該膨出部36によって衝撃吸収部10の強度向上が図られている。衝撃吸収部10の上面は、下パッド8の収容凹部32の底壁下面に両面粘着テープ、接着剤等によって接合されている。また、衝撃吸収部10の下端及び下パッド8の外壁部28の下端はほぼ同一平面上に存在しており、下側部材2を輸送箱内に装填したときに、下パッド8の外壁部28の下端及び衝撃吸収部10の下端が輸送箱の底面に接触又は近接するようになっている。 【0021】 この場合、本実施例の内装材においては、上パッド6の外壁部12及び下パッド8の外壁部28によって下側部材2の外壁部が構成され、上パッド6の内壁部14及び下パッド8の内壁部30によって下側部材2の内壁部が構成され、上パッド6の収容凹部18及び下パッド8の収容凹部32によって下側部材2の収容凹部が構成された状態となっている。 【0022】 また、上側部材4は、輸送箱の内周面に相応する形状を有するほぼ垂直な四角枠状の外壁部38と、外壁部38の内側に設けられ、外壁部38の下部と一体に形成された内壁部40とを有する。内壁部40の中央には、放射性核種溶出装置16の上端部が挿入される略四角形の収容凹部42が形成されている。また、収容凹部42の各辺部の外側方には、バイアル箱20の上端部が挿入される4つの収容凹部44が形成されている。さらに、内壁部40の各隅部には、前述した上パッド6の係合凸部24と係合する4つの係合凹部(図示せず)が設けられている。また、外壁部38及び内壁部40には、上側部材4の強度を向上させるための多数のリブ46が形成されている。この上側部材4は、天地を逆にすることにより、内部に上パッド6を挿入した状態で下側部材2に重ね合わせることができるものである。 【0023】 本実施例の内装材を用いて段ボール紙等からなる四角形の輸送箱に放射性核種溶出装置及びバイアル箱を収納する場合、図5に示すように、輸送箱50(一点鎖線で示す)内に下側部材2を装填し、上パッド6の収容凹部18に放射性核種溶出装置16、収容凹部22にバイアル箱20を挿入した後、係合凸部24と係合凹部(図示せず)とを係合させた状態で下側部材上2に上側部材4を配置し、さらに輸送箱50の上部開口部を閉じるもので、これにより下側部材2と上側部材4との間に放射性核種溶出装置16及びバイアル箱20がほぼ動かない状態で保持される。 【0024】 [実験例] 強耐水性段ボール紙からなる四角形の輸送箱の内部に、炭酸カルシウム含有ポリエチレン(炭酸カルシウム含有量30重量%)からなる前記実施例の包装用内装材を用いて1個の放射性核種溶出装置(重量約10kg)及び4個のバイアル箱を収納し、下記輸送試験及び80cm落下試験を行った。 【0025】 輸送試験 放射性核種溶出装置及びバイアル箱を収納して封緘した輸送箱(1群:3検体)を千葉県から福岡及び札幌にそれぞれ空輸し、外装状態及び内容品(放射性核種溶出装置及びバイアル箱)の状態を観察した。さらに、同じ輸送箱をトラックに積載して福岡及び札幌から千葉県に陸路により返送し、再度外装状態及び内容品の状態を観察した。 【0026】 その結果、往路(空輸)及び復路(トラック便)のいずれにおいても、外装状態及び内容品の状態に問題は見られなかった。したがって、本実施例の内装材は、輸送時における内容品の保護の点で十分な能力を持つことが確認された。 【0027】 80cm落下試験 放射性核種溶出装置及びバイアル箱を収納して封緘した輸送箱(1群:3検体)を底面、側面又は天面を下に向けて80cmの高さから床(表面エポキシ塗装)の上に落下させ、内装材及び内容品(放射性核種溶出装置及びバイアル箱)の状態を観察した。 【0028】 その結果、底面、側面、天面のいずれを下に向けて落下させた場合においても、内装材には軽微な亀裂やへこみが生じた程度であり、内容品は内装材によって十分に保護されており、内容品の状態に問題は見られなかった。したがって、本実施例の内装材は、落下時における内容品の保護の点で十分な能力を持つことが確認された。 【0029】 また、強耐水性段ボール紙からなる四角形の輸送箱の内部に、炭酸カルシウム含有ポリエチレン(炭酸カルシウム含有量30重量%)からなる前記実施例の包装用内装材を用いて1個の放射性核種溶出装置(重量約10kg)を収納し、下記A型輸送物適合試験を行った。 【0030】 A型輸送物適合試験 放射性核種溶出装置及びバイアル箱を収納して封緘した輸送箱について、平成2年科学技術庁告示7号の試験方法に則り、A型輸送物としての適合性を調べた。この場合、下記に示す水吹付け試験を行った後、圧縮試験、落下試験及び貫通試験をそれぞれ行った。 【0031】 [水吹付け試験] 風の影響を極力除外した降雨実験室にて、輸送箱に約50mm/hrの雨を1時間降らせた。その後10分間放置し、輸送箱を手に取ったときに水が流れるようであれば手で振って水を切り、さらに紙製タオルで輸送箱表面の水を拭き取った。 【0032】 [圧縮試験] 水吹付け試験後、1時間以内に本試験を行った。本試験では、輸送箱を床に置き、その上に銅板(厚さ5mm、縦500mm、横500mm、重量6.6kg)を載せた後、銅板の上に鉛ブロック(厚さ50mm、縦100mm、横200mm、重量11.3kg)を14個積み上げた(総重量165kg)。この状態を24時間維持した後、輸送箱を開けて内装材の状態を調べた。 【0033】 [落下試験] 水吹付け試験後、1時間以内に本試験を行った。本試験では、コンクリート床面から輸送箱最下部までの距離が1.2mになるように輸送箱を保持し、輸送箱のもっとも弱いと思われる部分(下側の角)が床面に衝突するように床面上に輸送箱を落下させた。その後、輸送箱を開けて内装材の状態を調べた。 【0034】 [貫通試験] 水吹付け試験後、1時間以内に本試験を行った。本試験では、輸送箱の上面から貫通棒(重量6kg、直径3.2cmで先端は半球状、ステンレススチール製)の最下部までの距離を1.7mにとり、輸送箱の最も弱いと思われる部分(側面)に貫通棒を落下させた。その後、輸送箱を開けて内装材の状態を調べた。 【0035】 [試験結果の判定基準] 前記告示で定められている「放射性同位元素の漏洩がないこと」に対しては、放射性核種溶出装置からカラム内の樹脂がこぼれていないことを適合の基準とした。「表面における一センチメートル線量等量率が著しく増加せず、かつ、二ミリシーベルト毎時(第七号ただし書きに該当する場合は、十ミリシーベルト毎時)を超えないこと」については、下記▲1▼?▲5▼を適合の基準とし、目視検査、実寸測定等を行って判定した。 ▲1▼箱から放射性核種溶出装置が飛び出さないこと。 ▲2▼カラム及び樹脂が放射性核種溶出装置から飛び出さないこと。 ▲3▼放射性核種溶出装置の鉛ブロックにひび割れが生じて遮蔽能力が落ちないこと。 ▲4▼鉛ブロックが放射性核種溶出装置内に留まっていること。 ▲5▼輸送箱の最も短くなった1辺の寸法が縮小率として9%を超えないこと。 【0036】 試験結果を前記基準により判定した結果、圧縮試験、落下試験、貫通試験のいずれにおいても、前記実施例の包装用内装材を用いて放射性核種溶出装置を収納した輸送箱はA型輸送物の基準に適合することが確認された。 【0037】 さらに、強耐水性段ボール紙からなる四角形の輸送箱の内部に、炭酸カルシウム含有ポリエチレン(炭酸カルシウム含有量30重量%)からなる前記実施例の包装用内装材を装填し、下記燃焼試験を行った。 【0038】 燃焼試験 実施例の内装材を装填した収納箱を封緘し、その1個又は3個を焼却炉に入れ、燃焼状況及び煙突からの煙の排出状況を目視により観察した。この場合、十分な種火を用いて予め焼却炉全体を暖めておいた後、焼却炉内に収納箱を入れた。また、対照実験として、発泡スチロールからなる内装材を装填した収納箱を封緘し、この収納箱を同様にして焼却した。 【0039】 その結果、実施例の内装材を装填した収納箱を1個燃焼させた場合には黒煙の発生は極めて少なく、その程度は種火の燃焼開始時とほぼ同様であった。また、同収納箱を3個燃焼させた場合には黒煙の発生が見られたが、その程度は発泡スチロールからなる内装材を装填した収納箱を1個燃焼させた場合よりもはるかに少なかった。したがって、本実施例の内装材は、焼却処分を行うことにほとんど問題がないことが確認された。 【0040】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明の包装用内装材は、比重が大きく重量のある放射性核種溶出装置の保護の点で十分な能力を有し、しかも発泡スチロール製の内装材が有する種々の問題点を解消することが可能なものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の一実施例に係る包装用内装材を示す正面図である。 【図2】 同内装材の下側部材を斜め上方から見た斜視図である。 【図3】 同内装材の下側部材を斜め下方から見た斜視図である。 【図4】 同内装材の下側部材に放射性核種溶出装置及びバイアル箱を装着した状態を示す斜め上方から見た斜視図である。 【図5】 同内装材の下側部材と上側部材との間に放射性核種溶出装置及びバイアル箱を保持した状態を示す断面図である。 【図6】 放射性核種溶出装置の一例を示す断面図である。 【符号の説明】 2 下側部材 4 上側部材 10 衝撃吸収部 12 外壁部 14 内壁部 16 放射性核種溶出装置 18 収容凹部 28 外壁部 30 内壁部 38 外壁部 40 内壁部 50 輸送箱 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2008-02-06 |
出願番号 | 特願平8-177366 |
審決分類 |
P
1
41・
855-
Y
(B65D)
P 1 41・ 854- Y (B65D) P 1 41・ 852- Y (B65D) P 1 41・ 856- Y (B65D) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石田 宏之、柳田 利夫 |
特許庁審判長 |
寺本 光生 |
特許庁審判官 |
石原 正博 松縄 正登 |
登録日 | 2007-05-25 |
登録番号 | 特許第3961588号(P3961588) |
発明の名称 | 放射性核種溶出装置包装用内装材 |
代理人 | 鈴木 健之 |
代理人 | 玉利 房枝 |
代理人 | 鈴木 健之 |
代理人 | 畑中 芳実 |
代理人 | 磯田 志郎 |
代理人 | 玉利 房枝 |
代理人 | 中尾 俊輔 |
代理人 | 伊藤 高英 |
代理人 | 大倉 奈緒子 |
代理人 | 伊藤 高英 |
代理人 | 畑中 芳実 |
代理人 | 中尾 俊輔 |
代理人 | 磯田 志郎 |
代理人 | 大倉 奈緒子 |