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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03C
管理番号 1173034
審判番号 不服2006-3160  
総通号数 100 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-02-21 
確定日 2008-02-14 
事件の表示 平成 9年特許願第368956号「熱現像感光材料」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 7月21日出願公開、特開平11-194445〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年12月26日の出願であって、その請求項1ないし4に係る発明は、平成17年12月20日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】 支持体の少なくとも一方の側に、感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光性層と、該感光性層と隣接して支持体から遠い側に非感光性層をそれぞれ少なくとも1層以上有する熱現像感光材料において、該感光性層と非感光性層の厚みの総和が5?14μmであり、かつ銀量が0.3?1.6g/m^(2)であって該銀量に占めるハロゲン化銀の量の比が25%以下であり、更に該ハロゲン化銀の粒子が平均粒径0.01?0.1μmの単分散度30%以下の単分散のハロゲン化銀であることを特徴とする熱現像感光材料。」

2.引用刊行物の記載内容
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平9-311393号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次のような事項が記載されている。
(1)「【請求項1】 露光波長での吸光度が0.3以上であり、かつ500nmでの吸光度が0.2以下である支持体を有し、この支持体上に、ハロゲン化銀の平均粒子サイズが0.01μm 以上0.4μm 以下である感光性ハロゲン化銀乳剤層を有するレーザー露光用感光材料。
【請求項2】 感光性ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀の平均粒子サイズが0.01μm 以上0.1μm 以下である請求項1のレーザー露光用感光材料。
【請求項3】 感光性ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀の塗布銀量が支持体1m^(2 )当たり0.1g以上0.5g以下である請求項1または2のレーザー露光用感光材料。
【請求項4】 レーザー露光の波長が600nm以上である請求項1?3のいずれかのレーザー露光用感光材料。
【請求項5】 レーザー露光の波長が700nm以上である請求項4のレーザー露光用感光材料。
【請求項6】 熱現像を施す熱現像感光材料である請求項1?5のいずれかのレーザー露光用感光材料。」
(2)「【0078】本発明の感光性ハロゲン化銀の塗布銀量としては、支持体(感光材料)1m^(2) 当たりの塗布量で、ヘイズの観点から、0.5g/m^(2)以下、さらには0.1?0.5g/m^(2)であることが好ましい。また本発明の感光性ハロゲン化銀の使用量としては有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3モル以下がより好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好ましい。」
(3)「【0112】本発明における感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層としては、いかなる付着防止材料を使用してもよい。・・・
【0113】本発明における乳剤層もしくは乳剤層の保護層には、・・・光吸収物質およびフィルター染料を含む写真要素において使用することができる。また、・・・染料を媒染することができる。
【0114】本発明における乳剤層もしくは乳剤層の保護層には、艶消剤、例えばデンプン、二酸化チタン・・・ポリマービーズなどを含有することができる。・・・」
(4)「【0127】実施例1
<支持体の作成>ポリエチレンテレフタレートを溶解してTダイより押出し・・・フィルム全幅を210℃に加熱処理した。
【0128】・・・
【0129】・・・
【0130】(有機酸銀乳剤Aの調製)ベヘン酸840g、ステアリン酸95g を・・・N-ブロモスクシンイミド1 %水溶液1.1 リットルを添加し、次いで硝酸銀17% 水溶液2.3 リットルを攪拌しながら徐々に添加した。さらに液温を35℃とし、攪拌しながら臭化カリウム2%水溶液1.5 リットルを2 分間かけて添加した後30分間攪拌し、N-ブロモスクシンイミド1%水溶液2.5 リットルを添加・・・得られたゲル状のベヘン酸/ステアリン酸銀および臭化銀の混合物をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#3000-K )の2.6%イソプロピルアルコール溶液1800g で分散し、さらにポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#4000-2 )600g、イソプロピルアルコール300gと共に分散し有機酸銀塩乳剤(平均短径0.05μm 、平均長径1.2 μm 、変動係数25% の針状粒子)を得た。臭化カリウムの添加によりできた臭化銀の平均粒子サイズは0.06μm であった。
【0131】<乳剤層塗布液の調製>上記で得た有機酸銀乳剤に銀1モル当たり以下の量となるように各薬品を添加した。・・・
【0132】<乳剤面保護層塗布液>CAB171-15S(イーストマンケミカル(株)製酢酸酪酸セルロース)75g 、4-メチルフタル酸5.7g 、テトラクロロフタル酸無水物1.5g 、フタラジン12g 、0.3g のメガファックスF-176P、シルデックスH31(洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ3μm )2g 、sumidur N3500 (住友バイエルウレタン社製ポリイソシアネート)6g を2-ブタノン3070g と酢酸エチル30g に溶解したものを調製した。
【0133】<バック面塗布液>・・・
【0134】・・・
【0135】上記のように調製した乳剤層塗布液を、上述した100μm ポリエチレンテレフタレート支持体上に全塗布銀量が1.1g/m^(2)(ハロゲン化銀として0.12g/m^(2))となるように塗布した後、乳剤層と反対の面上にバック面塗布液を乾燥厚さ3μm となるように塗布した。さらに、乳剤面上に乳剤面保護層塗布液を乾燥厚さ2μm となるように塗布した。・・・」

同じく特開平7-84352号公報(以下、「刊行物2」という。)には、次のような事項が記載されている。
(5)「【請求項1】 有機銀塩と、還元剤と、感光性ハロゲン化銀および感光性ハロゲン化銀形成剤のうちのいずれかとを少なくとも含有する熱現像性感光体において、下記一般式(II)の化合物および下記一般式(III)の化合物の少なくとも一方と、下記一般式(I)の化合物とを含有することを特徴とする熱現像性感光体。
《 一般式(II)、(III)、および(III)は省略 》 」
(6)「【0121】また、熱現像感光体の透明度を上げ、画像濃度を高くし、生保存性を改良し、場合によっては感光体の耐熱性を高めるために、所望により感光材料層の上に保護層を設けることができる。保護層の膜厚は1?20μmが適当である。」
(7)「【0141】本発明において、感光層の厚さは0.1?50μm、さらには1?30μm、特には2?20μmとするのが好ましい。」
(8)「【0153】(実施例1)下記の組成よりなる感光性組成物を安全光下で調製した。
【0154】
ポリビニルブチラール 5.0g
ベヘン酸銀 2.5g
ベヘン酸 2.0g
臭化銀 0.2g
フタラジノン 1.0g
2,2’-メチレンビス(6-
t-ブチル-4-メチルフェノール) 1.0g
キシレン 30ml
n-ブタノール 30ml
上記の臭化銀は結晶の面指数が{100}の立方晶であって、1辺の長さの平均が0.07μmの結晶であった。
【0155】前記の化合物(I-4)5mgと化合物(II-1)5mgとをN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)10mlに溶解し、その溶液を上記感光性組成物に添加した。さらに、2-メルカプトベンゾオキサゾール60mgをDMF1mlに溶解した溶液を上記感光性組成物に添加した。
【0156】この感光性組成物をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に乾燥膜厚10μmとなるように塗布して感光層とし、その上に保護層として乾燥膜厚2μmのポリビニルアルコール層を塗布して本発明の熱現像性感光体を得た。」
(9)「【0167】・・・
(実施例2)
下記の組成より成る感光性組成物を安全光下で調製した。
【0168】
ポリビニルホルマール 5.0g
ベンゾトリアゾール銀 3.0g
ホモフタル酸 0.5g
臭化銀(ヘキサクロロイリジウム(IV)酸
ナトリウム添加物;10^(-6)mol%/AgBr)0.2g
フタラジノン 1.0g
4,4’-メチレンビス(6-
t-ブチル-4-メチルフェノール) 1.0g
キシレン 35ml
n-ブタノール 25ml
上記の臭化銀は結晶の面指数が{100}の立方晶であって、1辺の長さの平均が0.06μmの結晶であった。
【0169】上記組成物に、前記した化合物(I-6)5mgと化合物(II-3)7mgとをDMF7mlに溶解したものを添加し、また同時に2-メルカプトベンゾチアゾール70mgをDMF1.5mlに溶解したものを添加した。
【0170】この組成物をPETフィルム上に乾燥膜厚10μmとなるように塗布し、感光層を設け、その上に保護層として乾燥膜厚2μmのポリビニルアルコール層を塗布し、本発明の感光体を得た。」

3.対比・判断
刊行物1には、「支持体上に、ハロゲン化銀の平均粒子サイズ0.01μm 以上0.1μm 以下である感光性ハロゲン化銀乳剤層を有し、塗布銀量が支持体1m^(2) 当たり0.1g以上0.5g以下であるレーザー露光用熱現像感光材料」〔請求項2、3、6;(1)参照〕の発明が記載されているものと認める。
そこで、本願発明と、刊行物1に記載の発明とを対比すると、
後者の「感光性ハロゲン化銀乳剤層」、「ハロゲン化銀の平均粒子サイズ0.01μm 以上0.1μm 以下」、「塗布銀量」は、前者の「感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光性層」、「ハロゲン化銀の粒子の平均粒径0.01?0.1μm」、「銀量」にそれぞれ相当するから、
両者は、「支持体の少なくとも一方の側に、感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光性層を有する熱現像感光材料において、該ハロゲン化銀の粒子が平均粒径0.01?0.1μmである熱現像感光材料」である点で一致し、次の点で相違する。
・相違点1
層構成が、前者では、感光性層と隣接して支持体から遠い側に非感光性層をそれぞれ少なくとも1層以上有し、感光性層と非感光性層の厚みの総和が5?14μmであるのに対して、後者では特定されていない点。
・相違点2
感光性層の銀量が、前者では、0.3?1.6g/m^(2)であって銀量に占めるハロゲン化銀の量の比が25%以下であるのに対して、後者では、支持体1m^(2) 当たり0.1g以上0.5g以下であり、銀量に占めるハロゲン化銀の量の比について特定されていない点。
・相違点3
ハロゲン化銀粒子が、前者では、単分散度30%以下の単分散のハロゲン化銀であるのに対して、後者では特定されていない点。

上記相違点について検討する。
・相違点1について
刊行物1には、画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができ、乳剤層の保護層には、艶消剤を含有することができること〔(3)参照〕、さらに、実施例1には、乳剤面保護層塗布液を調製して、感光性層に乳剤面保護層塗布液を乾燥厚さ2μm となるように塗布して乳剤層の保護層を形成すること〔(4)参照〕が記載されている。
本願発明の非感光性層は、感光性層に隣接して支持体から遠い側に位置する、感光性ハロゲン化銀を実質的に含まない層(本願明細書【0011】、【0012】)であるから、刊行物1に記載の乳剤層の保護層も、感光性層に隣接して支持体から遠い側に位置し、感光性ハロゲン化銀を含まないことから、厚さ2μmの非感光性層であるといえる。
また、刊行物2には、感光性層の厚さは0.1?50μm、さらには1?30μm、特には2?20μmとするのが好ましいこと〔(7)参照〕、保護層の厚さは1?20μmが適当であること〔(6)参照〕、さらに、実施例1、2として、乾燥膜厚10μmとなるように塗布して感光性層を設け、その上に乾燥膜厚が2μmとなるように塗布して保護層を設けること〔(8)、(9)参照〕が記載されており、その保護層は本願発明の非感光性層に相当する。
そうすると、刊行物1には、非感光性層の厚さを2μmとすることが、また、刊行物2には、感光性層の厚さを0.1?50μmとし、非感光性層の厚さを1?20μmし、実施例として感光性層を厚さ10μm、非感光性層を厚さ2μmとして、厚みの総和を12μmとすることが記載されているのであるから、感光性層と非感光性層の厚みの総和を5?14μm程度にすることは、当業者が容易になし得たことである。
・相違点2について
刊行物1に記載の熱現像感光材料の銀量は、支持体1m^(2) 当たり0.1g以上0.5g以下であるが、支持体の上には支持体と同じ面積の感光性層を有するので、支持体1m^(2 )当たりと熱現像感光材料1m^(2)当たりとは同じ意味のことであり、銀量が0.1?0.5g/m^(2)であることである。
したがって、本願発明の銀量0.3?1.6g/m^(2)と、刊行物1に記載の銀量とは範囲が重なっているものである。
さらに、刊行物1には、有機銀塩1モルに対してハロゲン化銀0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3モル以下がより好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好ましいこと〔(2)参照〕も記載されている。
その特に好ましいとする0.03モル以上0.25モル以下であることは、銀量に占めるハロゲン化銀の量の比で言い換えると33.3%以下であることであり、本願発明の銀量に占めるハロゲン化銀の量の比が25%以下の範囲と重なるものである。
してみると、銀量を、0.3?1.6g/m^(2)とし、銀量に占めるハロゲン化銀の量の比を25%以下とすることは、刊行物1に記載された銀量及び銀量に占めるハロゲン化銀の量の比の範囲と重なるものであり、その範囲を検討して上記の範囲に特定することは当業者が容易になし得たことである。
・相違点3について
熱現像感光材料に、単分散度30%以下であるような単分散性ハロゲン化銀粒子を用いることは、特開昭62-139551号公報(5頁右下欄?6頁左上欄、実施例)、特開昭62-169152号公報(実施例)、特開昭63-52137号公報(実施例)等に記載されるように周知である。
したがって、平均粒径0.01?0.1μmであるハロゲン化銀粒子として、単分散度30%以下のものを用いることは、当業者が容易になし得たことである。

さらに、本願明細書を検討すると、本願発明の効果として現像後の膜付きが改良される点が挙げられているが、特開昭62-135825号公報(2頁右下欄、実施例)、特開昭63-276044号公報(2頁右上欄、実施例)、特開平1-274130号公報(2頁右上欄、実施例)、特開平2-79039号公報(2頁左上欄、実施例)等に記載されるように、現像後の膜付きは熱現像感光材料に当然要求される性能である。
そして、表1(本願明細書【0134】)の試料NO.9は「比較例」(有機マット剤を含有する点で、無機マット剤を含有することを特徴とする請求項3に係る発明の実施例でないものである。)であるが、本願発明の構成をすべて備えるものである。
しかるに、同じく表2(本願明細書【0135】)の現像後の膜付きを評価する「接着性」において、試料NO.9は「2」であって、「本発明」の試料NO.4?8の「3?5」に比較して劣るものである。
そうすると、本願発明の効果としての現像後の膜付きが改良される点は、本願発明の構成から得られる効果ではない。
また、上記相違点1ないし3であげた本願発明の構成を採用したことにより、当業者が予測し得ない格別顕著な効果を奏したとものとも認められない。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
 
審理終結日 2007-12-03 
結審通知日 2007-12-11 
審決日 2007-12-26 
出願番号 特願平9-368956
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大瀧 真理  
特許庁審判長 岡田 和加子
特許庁審判官 淺野 美奈
阿久津 弘
発明の名称 熱現像感光材料  

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