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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1173354
審判番号 不服2004-5016  
総通号数 100 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-11 
確定日 2008-02-20 
事件の表示 特願2000- 41909「パチンコ遊技機の打球発射ハンドル」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月21日出願公開、特開2001-224766〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年2月18日の出願であって、平成15年9月8日付で拒絶理由通知がなされ、同年11月12日付で手続補正がなされ、平成16年2月2日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月11日に審判請求がなされるとともに、同年4月6日付で手続補正がなされたものである。

2.平成16年4月6日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年4月6日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

「発射球の打撃力を調節する操作レバーと、該操作レバーの移動を検出する移動検出スイッチと、該操作レバーを移動状態にロックするロック手段と、該操作レバーに人体が接触したことを検知するタッチスイッチと、該移動検出スイッチが作動しかつタッチスイッチが作動した場合に打球発射装置に打球を発射させる打球発射制御回路とからなるパチンコ遊技機の打球発射ハンドルにおいて、打球発射制御回路に操作レバーロック状態報知手段を付設し、該打球発射制御回路は前記タッチスイッチが作動することなく前記移動検出スイッチのみが作動した場合に該操作レバーロック状態報知手段を作動させるよう構成したことを特徴とするパチンコ遊技機の打球発射ハンドル。」

と補正された。
上記補正は、平成15年11月12日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「発射球の打撃力を調節する操作レバー」を「発射球の打撃力を調節する操作レバーと、該操作レバーを移動状態にロックするロック手段」と限定し、同じく「前記移動検出スイッチのみが作動した場合」を「前記タッチスイッチが作動することなく前記移動検出スイッチのみが作動した場合」と限定するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-233853号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、

【特許請求の範囲】
【請求項1】 パチンコ機の前面枠の前面に固着される碗状の握持部と、該握持部の前部に取着されるキャップ部との間に、外周に複数の指掛突部が形成された操作レバーを回転自在に設けてなるパチンコ機の打球力調節用ハンドルにおいて、
前記操作レバーの複数の指掛突部のうち少なくとも一個所の指掛突部の後面にパチンコ球を嵌入可能な凹部を設けると共に、その凹部に嵌入したパチンコ球を握持部の外周面に圧接可能とし、
一方、握持部の外周面には、操作レバーの戻し位置で前記凹部に対応してパチンコ球の圧接状態を解除する凹面部を設けた・・・パチンコ機の打球力調節用ハンドル。
【0008】
【実施例】・・・打球力調節用ハンドルが適用される電動式パチンコ機の発射装置部分について図1および図2・・・において、1はパチンコ機の前面枠、2は該前面枠1の裏面にビス等で固着される打球発射装置の取付基板である。
【0009】取付基板2のほぼ中央部後面には支軸3によって打球杆4が回転自在に支持されている。5は取付基板2の後面にモータ取付枠6を介して固着された低速回転モータで、該モータ5の回転軸7にカム8が固着されている。9は前記打球杆4と一体をなすアームで、これにカム8と係合し得るローラー10が設けられており、カム8がローラー10に係合することによって打球杆4を反復回転させるようになっている。11,12は打球杆4の反復回転範囲を規制するため取付基板2に固着されたストッパである。
【0010】13は・・・操作レバー21の回転軸であり、・・・。15はばね調節器で、・・・、ダイヤル18の回動によって引ばね16の初期引張力が自由に調節できるようになっている。
【0011】・・・ハンドル19は、碗形に形成された握持部20と、回転軸13を有した操作レバー21と、半球状のキャップ部22とよりなる。
【0012】握持部20は中心に円筒状基部23が形成され、その円筒状基部23を前面枠1の前面に固着された軸受筒24に嵌合してビス25を締付けすることで該軸受筒24に固着できるようにしている。該握持部20内にはマイクロスイッチ26が固設され、該マイクロスイッチ26を作動させる揺動部材27がビス28により揺動自在に支持されている。揺動部材27は、その一端の押釦部29が握持部20の切欠から外周に突出していると共に、他端には当接片30が形成され、該当接片30は操作レバー21に形成された突起31に係合し得るようになっている。また、握持部20の内底部には複数本の筒状の間隔保持突起32が形成されている。
【0013】・・・操作レバー21は、中心に回転軸13がEリング33により止着され、かつ回転軸13を中心として前記握持部20の間隔保持突起32が遊嵌し得る円弧状孔34が開設され、さらに外周には握持部20の外周面より突出する複数の指掛突部35a?35cが一体に形成されている。そして、回転軸13を円筒状基部23の貫通孔36に挿通して回転自在に支持されると共に、間隔保持突起32と円弧状孔34とによってその回転範囲が規制されるようになっている。
【0014】・・・、操作レバー21が引ばね16によって回転付勢されて図5実線で示す戻り位置に置かれているとき、突起31が当接片30に係合して押圧し、マイクロスイッチ26をオフ状態に保持している。
【0016】・・・打球力調節用ハンドル19は、遊技者が操作レバー21の指掛突部35a?35cに指を掛けて該操作レバー21を回転すると突起31による当接片30の押圧が解除されてマイクロスイッチ26がオンし、低速回転モータ5が回転する。この低速回転モータ5の回転で・・・打球杆4が反復回転し、・・・パチンコ球が打撃され遊技盤上に発射される。そして、操作レバー21の回転を調節すると・・・、打球杆4の打球力が任意に調節され打球の発射が調節される。
【0017】・・・操作レバー21に形成された複数の指掛突部35a?35cのうち、図5実線で示す操作レバー21の戻し位置において押釦部29の近くに位置する指掛突部35aの後面にパチンコ球を嵌入可能な凹部39を設けている。・・・。この凹部39はパチンコ球を嵌入したとき、該パチンコ球が握持部20の外周面に強く圧接して操作レバー21が回転しないように固定保持可能なように選ばれる。
【0018】・・・、握持部20の外周面には・・・凹面部41を設ける。この凹面部41は、指掛突部35aの凹部39にパチンコ球を嵌入した状態においてそのパチンコ球が凹部39から自然に落下し得るようにするためのものである。
【0019】・・・、操作レバー21を図5鎖線に示すように所望の位置に回転させた後、操作レバー21の後面から指掛突部35aの凹部39にパチンコ球Bを強い力で押して嵌入させると、該パチンコ球Bが握持部20の外周面に強く圧接することになり、これによって操作レバー21は戻らないように固定保持される。このため、操作レバー21を握っていなくても所望の位置へ打球を発射することができることになり、指に負担を掛けることなく楽に遊技を行うことができる。
【0020】・・・、指掛突部35aの凹部39にパチンコ球を嵌入した状態で操作レバー21を図5実線の戻し位置に強制回転させると、該凹部39と握持部20の外周面に形成した凹面部41とが一致して凹部39に嵌入されたパチンコ球Bが自然に落下することになり、これによって操作レバー21の固定が解除される。したがって、遊技者が凹部39にパチンコ球を嵌入したまゝの状態で帰っても従業員が操作レバー21を戻し位置に回転させるだけの簡単な操作で凹部39に嵌入されたまゝのパチンコ球を取外すことができ、次の遊技者に迷惑を及ぼすようなことがなくなる。
【0021】
【発明の効果】・・・パチンコ機の打球力調節用ハンドルは、操作レバーの指掛突部の後面に設けられた凹部にパチンコ球を嵌入させるだけの簡単な操作で操作レバーを所望の回転位置に固定保持することができる。
【0022】・・・、操作レバーを戻し位置に回転させるだけの簡単な操作で指掛突部の凹部に嵌入されたパチンコ球を取外すことができる等の利点がある。
との記載が認められる。

また、上記摘記事項および図4より、握持部20内にはマイクロスイッチ26が固設され、該マイクロスイッチ26を作動させる揺動部材27がビス28により揺動自在に支持されていること(段落【0012】)、操作レバー21が戻り位置に置かれているとき、マイクロスイッチ26をオフ状態に保持していること(段落【0014】)、操作レバー21を回転するとマイクロスイッチ26がオンすること(段落【0016】)等が把握できるので、マイクロスイッチ26は、「操作レバー21の移動を検出する」ものと認められ、
また、上記摘記事項および図2・5より、ハンドル19は、握持部20と、操作レバー21と、キャップ部22とよりなること(段落【0011】)、操作レバー21に形成された複数の指掛突部35a?35cのうち、操作レバー21の戻し位置において押釦部29の近くに位置する指掛突部35aの後面にパチンコ球を嵌入可能な凹部39を設けて、この凹部39はパチンコ球を嵌入したとき、該パチンコ球が握持部20の外周面に強く圧接して操作レバー21が回転しないように固定保持可能なように選ばれること(段落【0017】)、操作レバー21を所望の位置に回転させた後、操作レバー21の後面から指掛突部35aの凹部39にパチンコ球Bを強い力で押して嵌入させると、該パチンコ球Bが握持部20の外周面に強く圧接することになり、これによって操作レバー21は戻らないように固定保持されるため、操作レバー21を握っていなくても所望の位置へ打球を発射することができることになり、指に負担を掛けることなく楽に遊技を行うことができること(段落【0019】)等が把握できるので、打球力調節用ハンドル19は、「操作レバー21を所望の位置に回転させた後戻らないようにする固定保持手段」を有するものと認められ、
また、上記摘記事項および図1・2等より、打球力調節用ハンドルが適用される電動式パチンコ機の発射装置部分について、パチンコ機の前面枠、該前面枠1の裏面にビス等で固着される打球発射装置の取付基板があること(段落【0008】)、取付基板2には支軸3によって打球杆4が回転自在に支持され、取付基板2の後面にモータ取付枠6を介して固着された低速回転モータの回転軸7にカム8が固着されて、カム8がローラー10に係合することによって打球杆4を反復回転させるようになっていること(段落【0009】)、打球力調節用ハンドル19は、遊技者が操作レバー21の指掛突部35a?35cに指を掛けて該操作レバー21を回転すると突起31による当接片30の押圧が解除されてマイクロスイッチ26がオンし、低速回転モータ5が回転し、この低速回転モータ5の回転で打球杆4が反復回転し、パチンコ球が打撃され遊技盤上に発射されること(段落【0016】)等が把握できるので、電動式パチンコ機の発射装置は、「マイクロスイッチ26が作動した場合に打球発射装置に打球を発射させるパチンコ球打撃発射制御回路」を有するものと認められる。
したがって、引用例には、

「打球杆4の打球力が任意に調節され打球の発射を調節する操作レバー21と、該操作レバー21の移動を検出するマイクロスイッチ26と、該操作レバー21を所望の位置に回転させた後戻らないようにする固定保持手段と、該マイクロスイッチ26が作動した場合に打球発射装置に打球を発射させるパチンコ球打撃発射制御回路とからなる電動式パチンコ機の打球力調節用ハンドル19において、操作レバー21に形成された指掛突部35aの後面にパチンコ球Bを嵌入可能な凹部39を設け、握持部20の外周面に凹面部41を設け、前記指掛突部35aの凹部39にパチンコ球を嵌入した状態で操作レバー21を戻し位置に強制回転させると、該凹部39と凹面部41とが一致してパチンコ球Bを自然に落下させ、操作レバー21の固定を解除させるよう構成した電動式パチンコ機の打球力調節用ハンドル19。」

の発明(以下「引用例発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例発明とを比較すると、引用例発明の「打球杆4の打球力が任意に調節され打球の発射を調節する」は本願補正発明の「発射球の打撃力を調節する」に相当し、以下同様に、「操作レバー21」は「操作レバー」に、「マイクロスイッチ26」は「移動検出スイッチ」に、「所望の位置に回転させた後戻らないようにする」は「移動状態にロックする」に、「固定保持手段」は「ロック手段」に、「電動式パチンコ機」は「パチンコ遊技機」に、「打球力調節用ハンドル19」は「打球発射ハンドル」にそれぞれ相当すると認められる。
また、引用例発明の「マイクロスイッチ26が作動した場合に打球発射装置に打球を発射させるパチンコ球打撃発射制御回路」と、本願補正発明の「移動検出スイッチが作動しかつタッチスイッチが作動した場合に打球発射装置に打球を発射させる打球発射制御回路」は、「所定のスイッチが作動した場合に打球発射装置に打球を発射させる発射制御回路」で共通する。したがって、両者は、

「発射球の打撃力を調節する操作レバーと、該操作レバーの移動を検出する移動検出スイッチと、該操作レバーを移動状態にロックするロック手段と、所定のスイッチが作動した場合に打球発射装置に打球を発射させる発射制御回路とからなるパチンコ遊技機の打球発射ハンドル。」

の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1、打球発射制御回路において、打球発射装置に打球を発射させる条件として、本願補正発明では、「操作レバーに人体が接触したことを検知するタッチスイッチを設け、移動検出スイッチが作動しかつタッチスイッチが作動した場合」であるのに対して、引用例発明では「マイクロスイッチ26が作動した場合」であり、本願補正発明のような構成になっていない点、

相違点2、遊技者が操作レバーを回転状態でロックしたまま放置した場合に、本願補正発明では、「打球発射制御回路に操作レバーロック状態報知手段を付設し、該打球発射制御回路は前記タッチスイッチが作動することなく前記移動検出スイッチのみが作動した場合に該操作レバーロック状態報知手段を作動させるよう構成」しているのに対して、引用例発明では「操作レバー21の固定を解除させる」機能を有する構成とし、本願補正発明のような報知機能を有する構成になっていない点、

(4)判断
上記相違点について検討する。

相違点1について、遊技機分野において、一般的に、打球発射ハンドルに手を触れるとオンになるタッチセンサを設け、打球発射ハンドル回転検知スイッチがオンしかつタッチセンサがオンした場合に打球発射装置に打球を発射させる打球発射制御手段が例えば、特開平4-352976号公報(段落【0010】、【0018】等、図4、6等)、特開昭61-290974号公報(第2頁左欄上段第10行?同頁右欄上段第9行、第2頁右欄下段第5?15行等、第1、2図)に記載されるように従来周知(以下、「周知技術A」という。)であり、さらに、タッチセンサを打球発射ハンドルの回動部分に設けるか固定部分に設けるかは設計事項の範囲内であることを考慮すると、打球発射装置に打球を発射させる条件として、引用例発明のマイクロスイッチ26が作動した場合に代えて、前記周知技術Aを採用して本願補正発明のように移動検出スイッチが作動しかつタッチスイッチが作動した場合とした点に格別の創意工夫を要したとはいえず、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項である。

相違点2について、遊技機分野において、ハンドルロック制御回路にハンドルロック表示器を付設し、該ハンドルロック制御回路はタッチセンサが未だOFFの場合にハンドルスイッチのみがONのままであった場合に該ハンドルロック表示器を点滅させることが例えば、特開平6-296731号公報(段落【0010】、【0044】、【0045】等、図1、13、14(b)等)に記載されるように従来周知である(以下、「周知技術B」という。)。そこで、本願補正発明と周知技術Bとを比較すると、周知技術Bの「ハンドルロック制御回路」は本願補正発明の「打球発射制御回路」に相当し、以下同様に、「ハンドルロック表示器」は「操作レバーロック状態報知手段」に、「タッチセンサ」は「タッチスイッチ」に、「未だOFFの場合に」は「作動することなく」に、「ハンドルスイッチ」は「移動検出スイッチ」に、「ONのままであった場合に」は「作動した場合に」に、「点滅させる」は「作動させる」にそれぞれ相当する。さらに、引用例発明においても、遊技者が操作レバーを回転状態でロックしたまま放置した場合に、操作レバー21の固定を解除し易くする構成を備えているから、引用例発明に前記周知技術Bを適用して、本願補正発明の上記相違点2に係る構成を追加した点に格別の発明力を要したとはいえず、当業者が必要に応じて容易に想到し得るものといえる。

そして、本願補正発明が奏する効果は、引用例発明および周知技術A、Bから当業者が予測し得るものであって格別のものとは認められない。
したがって、本願補正発明は、引用例発明および周知技術A、Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成16年4月6日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成15年11月12日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「発射球の打撃力を調節する操作レバーと、該操作レバーの移動を検出する移動検出スイッチと、該操作レバーに人体が接触したことを検知するタッチスイッチと、該移動検出スイッチが作動しかつタッチスイッチが作動した場合に打球発射装置に打球を発射させる打球発射制御回路とからなるパチンコ遊技機の打球発射ハンドルにおいて、打球発射制御回路に操作レバーロック状態報知手段を付設し、該打球発射制御回路は前記移動検出スイッチのみが作動した場合に該操作レバーロック状態報知手段を作動させるよう構成したことを特徴とするパチンコ遊技機の打球発射ハンドル。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、その記載事項および引用例発明は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
(a)対比
そこで、本願発明と引用例発明とを比較すると、前記「2.(3)」に記載したことから、両者は、

「発射球の打撃力を調節する操作レバーと、該操作レバーの移動を検出する移動検出スイッチと、所定のスイッチが作動した場合に打球発射装置に打球を発射させる発射制御回路とからなるパチンコ遊技機の打球発射ハンドル。」

の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1、発射制御回路において、打球発射装置に打球を発射させる条件として、本願発明では、「操作レバーに人体が接触したことを検知するタッチスイッチを設け、移動検出スイッチが作動しかつタッチスイッチが作動した場合」であるのに対して、引用例発明では「マイクロスイッチ26が作動した場合」であり、本願発明のような構成になっていない点、

相違点2、遊技者が操作レバーを回転状態でロックしたまま放置した場合に、本願発明では、「打球発射制御回路に操作レバーロック状態報知手段を付設し、該打球発射制御回路は前記移動検出スイッチのみが作動した場合に該操作レバーロック状態報知手段を作動させるよう構成」しているのに対して、引用例発明では「操作レバー21の固定を解除させる」機能を有する構成とし、本願発明のような報知機能を有する構成になっていない点、

(b)判断
上記相違点について検討する。

相違点1については、前記「2.(4)の相違点1についての判断」に記載したとおりである。

相違点2について、遊技機分野において、ハンドル操作制御回路にハンドル操作表示器を付設し、該ハンドル操作制御回路はハンドル回動検出器だけが出力信号を出した場合に該ハンドル操作表示器を点灯表示させることが例えば、実願昭59-119939号(実開昭61-34276号)のマイクロフィルム(第2頁第13?16行、第3頁第4?7行、第5頁第3?13行、第6頁第15行?第6頁第1行等、第1、2図)、 特開平6-296731号公報(段落【0010】、【0044】、【0045】等、図1、13、14(b)等)に記載されるように従来周知である(以下、「周知技術B’」という。)。そこで、本願発明と周知技術B’とを比較すると、周知技術B’の「ハンドル操作制御回路」は本願発明の「打球発射制御回路」に相当し、以下同様に、「ハンドル操作表示器」は「操作レバーロック状態報知手段」に、「ハンドル回動検出器だけ」は「移動検出スイッチのみ」に、「出力信号を出した場合」は「作動した場合」に、「点灯表示させる」は「作動させる」にそれぞれ相当する。さらに、引用例発明においても、遊技者が操作レバーを回転状態でロックしたまま放置した場合に、操作レバー21の固定を解除し易くする構成を備えているから、引用例発明に前記周知技術B’を適用して、本願発明の上記相違点2に係る構成を追加した点に格別の発明力を要したとはいえず、当業者が必要に応じて容易に想到し得るものといえる。

そして、本願発明が奏する効果は、引用例発明および周知技術A、B’から当業者が予測し得るものであって格別のものとは認められない。
したがって、本願発明は、引用例発明および周知技術A、B’に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例発明および周知技術A、B’に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-12-06 
結審通知日 2007-12-11 
審決日 2007-12-25 
出願番号 特願2000-41909(P2000-41909)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池谷 香次郎  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 太田 恒明
林 晴男
発明の名称 パチンコ遊技機の打球発射ハンドル  
代理人 伊藤 浩二  

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