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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06T
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06T
管理番号 1173383
審判番号 不服2005-17673  
総通号数 100 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-15 
確定日 2008-02-21 
事件の表示 平成 8年特許願第147015号「文字・イメージ混在データの圧縮方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 3月28日出願公開、特開平 9- 81763〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年6月10日(優先権主張平成7年7月7日)の出願であって、平成17年8月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月14日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成17年10月14日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年10月14日付けの手続補正を却下する。

[理由]
2-1.補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「文字データ及びドットマップイメージデータの混在するデータを周辺機器のメモリに供給するに当たり、該データが記憶可能な上記周辺機器のメモリ容量である所与のサイズ以下のドットマップデータに変換する方法において、
文字データとドットマップイメージデータとを分離するステップと、
文字データをラスタライズしてドットマップ文字データを生成するステップと、
上記ドットマップ文字データを可逆的に圧縮して圧縮文字データを生成するステップと、
上記所与のサイズから上記圧縮文字データのサイズを減算して残余のサイズを求めるステップと、
上記ドットマップイメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較して縮小率を定めるステップと、
上記縮小率に従って上記ドットマップイメージデータを縮小し、縮小イメージデータを生成するステップと、
上記縮小イメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較し、上記縮小イメージデータのサイズが上記残余のサイズ以下のときに、上記圧縮文字データ及び上記縮小イメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップと、
上記縮小イメージデータのサイズが上記残余のサイズを上回るときに、上記縮小イメージデータを圧縮して圧縮イメージデータを生成するステップと、
上記圧縮イメージデータのサイズが上記残余のサイズ以下のときに、
上記圧縮文字データ及び上記圧縮イメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップと、
上記圧縮イメージデータのサイズが上記残余のサイズを上回るときに、より高い縮小率で上記イメージデータを縮小し、縮小したデータを圧縮して上記圧縮文字データ及び上記圧縮イメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップと
を有するデータ圧縮方法。」
と補正された。(下線部が補正箇所である。)

2-2.請求の理由の記載
補正後の特許請求の範囲の請求項1について、平成17年10月14日付けで補正された請求の理由には、次の記載がなされている。

「[3-2] 特許請求の範囲の補正が、補正の要件を満たす理由
(1) 補正後の請求項1は、補正前の請求項1に対し、
(イ) 「縮小イメージデータを圧縮する」こと、
(ロ) 「圧縮イメージデータのサイズをメモリの残余のサイズと比較し、比較結果に基づいて縮小率を定める」こと
(ハ) 縮小イメージデータがメモリの残余のサイズを上回らないときは、縮小イメージデータを伝送すること
と言う限定を付加したものです。
これらの限定については、段落0063、0064、0072の記載を根拠とします。
即ち、段落0063、0064には、第3の実施の形態に関し、縮小データの圧縮について記載され、段落0064には、より高い縮小率で圧縮を行うことが記載され、段落0072には、第3の実施の形態のデータ圧縮装置42を第1及び第2の縮小手段28に置き換えることができる旨記載されています。
上記(ハ)の限定は、補正前の請求項9に記載されていたものです。
従って、上記の補正はいずれも、新規事項を追加するものではなく、また発明特定事項を直列的に付加するものです。」

2-3.新規事項の追加の有無について
願書に最初に添付された明細書の段落【0072】には、
「 【0072】
第1及び第2の実施の形態と同様、第3の実施の形態も、適切な縮小率を用いることにより、ドットマップデータを任意のサイズに圧縮できる。従って、第3の実施の形態のデータ圧縮装置42を第1及び第2の実施の形態の縮小手段28に置き換えるとができる。このように置き換えをすれば、縮小を行なうことなく、可逆又は非可逆データ圧縮によりイメージデータを十分に圧縮できる場合に、イメージ品質の不必要な低下を回避することができる。縮小が必要な場合にも、縮小されたデータに圧縮処理を行なうことで、縮小率をより小さくすることができ、これにより、イメージの品質を向上させることができる。」
と記載されているが、補正後の特許請求の範囲の請求項1には上記のように
「上記所与のサイズから上記圧縮文字データのサイズを減算して残余のサイズを求めるステップと、
上記ドットマップイメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較して縮小率を定めるステップと、
上記縮小率に従って上記ドットマップイメージデータを縮小し、縮小イメージデータを生成するステップと、」
と記載されていることから、ドットマップイメージデータのサイズを残余のサイズと比較して定めた縮小率に従って縮小する「第1及び第2の実施の形態の縮小手段28」に相当する処理を行うことが特定されており、補正後の特許請求の範囲の請求項1のデータ圧縮方法は「第3の実施の形態のデータ圧縮装置42を第1及び第2の実施の形態の縮小手段28に置き換える」としたものに対応するものではない。
そして、「第1及び第2の実施の形態の縮小手段28」及び「第3の実施の形態のデータ圧縮装置42」の両者に相当するものをともに備えたものについては、願書に最初に添付された明細書又は図面のいずれにも、記載も示唆もされていない。
また、「上記縮小イメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較し、……」とする点については、「第1及び第2の実施の形態の縮小手段28」はドットマップイメージデータのサイズを残余のサイズと比較して定めた縮小率に従って縮小するものであり、縮小イメージデータのサイズを残余のサイズと比較するものではなく、「第3の実施の形態のデータ圧縮装置42」は段落【0063】及び段落【0064】等に記載されているように、縮小及び圧縮処理をしたデータのサイズと比較するものであるが、縮小しただけのデータのサイズと比較することは示されておらず、願書に最初に添付された明細書又は図面のいずれにも、記載も示唆もされていない。
したがって、「上記所与のサイズから上記圧縮文字データのサイズを減算して残余のサイズを求めるステップと、
上記ドットマップイメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較して縮小率を定めるステップと、
上記縮小率に従って上記ドットマップイメージデータを縮小し、縮小イメージデータを生成するステップ」と
「上記縮小イメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較し、上記縮小イメージデータのサイズが上記残余のサイズ以下のときに、上記圧縮文字データ及び上記縮小イメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップと、
上記縮小イメージデータのサイズが上記残余のサイズを上回るときに、上記縮小イメージデータを圧縮して圧縮イメージデータを生成するステップと、
上記圧縮イメージデータのサイズが上記残余のサイズ以下のときに、
上記圧縮文字データ及び上記圧縮イメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップと、
上記圧縮イメージデータのサイズが上記残余のサイズを上回るときに、より高い縮小率で上記イメージデータを縮小し、縮小したデータを圧縮して上記圧縮文字データ及び上記圧縮イメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップ」とをともに有すること、
及び「上記縮小イメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較し、…」とする処理については、願書に最初に添付された明細書又は図面のいずれにも、記載も示唆もされていないし、それらから自明な事項でもない。

2-4.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合しないので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

2-5.備考
仮に、本件補正が新規事項を含まないものであるとしても、以下のように適法なものとはいえない。
本件補正前の平成17年7月21日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「文字データ及びドットマップイメージデータの混在するデータを周辺機器のメモリに供給するに当たり、該データが記憶可能な上記周辺機器のメモリ容量である所与のサイズ以下のドットマップデータに変換する方法において、
文字データとドットマップイメージデータとを分離するステップと、
文字データをラスタライズしてドットマップ文字データを生成するステップと、
上記ドットマップ文字データを可逆的に圧縮して圧縮文字データを生成するステップと、
上記所与のサイズから上記圧縮文字データのサイズを減算して残余のサイズを求めるステップと、
上記ドットマップイメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較して縮小率を定めるステップと、
上記縮小率に従って上記ドットマップイメージデータを縮小し、縮小イメージデータを生成するステップと,
上記圧縮文字データ及び上記縮小イメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップと
を有するデータ圧縮方法。」

上記2-2.のように、請求人は本件補正は発明特定事項を直列的に付加するものと述べている。
本件補正は、上記補正前の
(1)「上記圧縮文字データ及び上記縮小イメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップ」を
「上記縮小イメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較し、上記縮小イメージデータのサイズが上記残余のサイズ以下のときに、上記圧縮文字データ及び上記縮小イメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップ」とし、
(2)「上記縮小イメージデータのサイズが上記残余のサイズを上回るときに、上記縮小イメージデータを圧縮して圧縮イメージデータを生成するステップ」を新たに付加し、
(3)「上記圧縮イメージデータのサイズが上記残余のサイズ以下のときに、
上記圧縮文字データ及び上記圧縮イメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップ」を新たに付加し、
(4)「上記圧縮イメージデータのサイズが上記残余のサイズを上回るときに、より高い縮小率で上記イメージデータを縮小し、縮小したデータを圧縮して上記圧縮文字データ及び上記圧縮イメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップ」を新たに付加するものである。
上記(1)は、補正前の「上記圧縮文字データ及び上記縮小イメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップ」に「上記縮小イメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較し、上記縮小イメージデータのサイズが上記残余のサイズ以下のときに、」という限定を加えるものであるから、補正前の発明を特定する事項を概念的により下位の発明を特定する事項とする補正といえるが、上記(2)、(3)、及び(4)は新たな発明を特定する事項を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮ではあるが、発明を特定するために必要な事項を限定するものとはいえないので、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号でいう「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」を目的とするものではない。
また、請求項の削除、誤記の訂正、又は明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものでないことは明らかである。
したがって、本件補正は平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に適合しない。

さらにまた、仮に、本件補正が新規事項を含まないものであり、特許法第17条の2第4項第2号でいう「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるとしても、以下のように適法なものとはいえない。
補正後の特許請求の範囲の請求項1には上記のように
「上記所与のサイズから上記圧縮文字データのサイズを減算して残余のサイズを求めるステップと、
上記ドットマップイメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較して縮小率を定めるステップと、
上記縮小率に従って上記ドットマップイメージデータを縮小し、縮小イメージデータを生成するステップと、」
と記載されている。
縮小率は、発明の詳細な説明に
「 【0035】
MiがMrよりも大きい場合には、制御手段26は、イメージデータのサイズをMr以下に減らすための縮小率を計算する。縮小率は、下記の不等式を満たす最小の整数Sである。
【0036】
S ≧ (Mi/Mr)1/2
……」
等と記載されているように、縮小イメージデータが残余のサイズ以下になるように定められるはずであるから(もしそうでないとすれば、その特許請求の範囲の記載は明確であるとはいえないか、又はその請求項に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。)、「上記縮小イメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較し、……」とする処理を行うまでもなく伝送できるものであるし、「上記縮小イメージデータのサイズが上記残余のサイズを上回るときに」とは、どのようなときか不明である。
したがって、本件補正の特許請求の範囲の請求項1に記載された「上記縮小イメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較し、……」とする処理は、その技術的意義が不明であるから、本件補正の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は明確でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、独立して特許を受けることができないので、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。

なお、請求人は、当審による審尋に対する平成19年11月15日付けの回答書により補正案を示しており、その特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「文字データ及びドットマップイメージデータの混在するデータを周辺機器のメモリに供給するに当たり、該データが記憶可能な上記周辺機器のメモリ容量である所与のサイズ以下のドットマップデータに変換する方法において、
文字データとドットマップイメージデータとを分離するステップと、
文字データをラスタライズしてドットマップ文字データを生成するステップと、
上記ドットマップ文字データを可逆的に圧縮して圧縮文字データを生成するステップと、
上記所与のサイズから上記圧縮文字データのサイズを減算して残余のサイズを求めるステップと、
上記ドットマップイメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較して縮小率を定めるステップと、
上記縮小率に従って上記ドットマップイメージデータを縮小し、かつ圧縮を行なって、縮小され、かつ圧縮されたイメージデータを生成するステップと、
上記縮小され、かつ圧縮されたイメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較し、上記縮小され、かつ圧縮されたイメージデータのサイズが上記残余のサイズ以下のときに、上記圧縮文字データ及び上記縮小され、かつ圧縮されたイメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップと、 上記縮小され、かつ圧縮されたイメージデータのサイズが上記残余のサイズを上回るときに、上記イメージデータの縮小及び圧縮を繰り返し、
上記イメージデータの縮小及び圧縮を繰り返すたびに、それまでに行われた縮小で用いられた縮小率よりも高い縮小率を用いて縮小を行ない及び/又はそれまでに行われた圧縮よりも強力な圧縮を行ない、
縮小及び圧縮後のイメージデータのサイズが上記残余のサイズ以下となったら、上記圧縮文字データ及び上記縮小及び圧縮後のイメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送する
ことを特徴とするデータ圧縮方法。」

上記補正案も「上記ドットマップイメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較して縮小率を定めるステップ」を有するにもかかわらず、「上記縮小され、かつ圧縮されたイメージデータのサイズが上記残余のサイズを上回るときに、……」という処理を行うものであるから、本件補正の特許請求の範囲の請求項1に係る発明と同様に不明確なものであり、補正案のように補正されるとしても適法な補正とはいえない。

3.本願発明について
3-1.本願発明
平成17年10月14日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、平成17年7月21日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「文字データ及びドットマップイメージデータの混在するデータを周辺機器のメモリに供給するに当たり、該データが記憶可能な上記周辺機器のメモリ容量である所与のサイズ以下のドットマップデータに変換する方法において、
文字データとドットマップイメージデータとを分離するステップと、
文字データをラスタライズしてドットマップ文字データを生成するステップと、
上記ドットマップ文字データを可逆的に圧縮して圧縮文字データを生成するステップと、
上記所与のサイズから上記圧縮文字データのサイズを減算して残余のサイズを求めるステップと、
上記ドットマップイメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較して縮小率を定めるステップと、
上記縮小率に従って上記ドットマップイメージデータを縮小し、縮小イメージデータを生成するステップと,
上記圧縮文字データ及び上記縮小イメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップと
を有するデータ圧縮方法。」(再掲)

3-2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-123273号公報(平成7年5月12日出願公開、以下、引用例という。)には、図面とともに以下の記載がなされている。

(1)「【0008】2.JPEG/JBIGハイブリッド符号化
上記問題点を改善するため、非可逆符号化方式と可逆符号化方式を組み合せた画像符号化方式が提案されている。これは、自然画像を非可逆符号化方式で、文字画像を可逆符号化方式で、各々符号化するものである。例えば、「1991年電子情報通信学会技術報告CS91-96、”カラーファクシミリのための高能率ハイブリッド符号化方式の提案”」(以下、ハイブリッド符号化方式)がある。
【0009】ハイブリッド符号化方式では、文字画像と自然画像が混在する画像に対して、文字画像領域が抽出され、文字画像領域が2値化され、2値化された文字画像領域が可逆符号化方式であるJBIG(Joint Bi-level Coding Expert Group)方式で符号化され、もとの画像から文字画像領域を差し引いた画像、すなわち、自然画像領域がJPEG方式で符号化される。」

(2)「【0018】4.ハイブリッド符号化の符号量制御
上記問題点を解決するため、目標符号量から文字画像領域の符号量を差し引いた余りを自然画像領域に割当てる方法が考えられる。
【0019】以下、図14を用いて構成を説明する。この方式は、入力画像データ208から文字画像領域209を抽出する文字画像領域抽出手段201と、入力画像データ208から文字画像領域209を差引いて自然画像領域212を生成する自然画像領域抽出手段205と、抽出された文字画像領域209を2値化する2値化手段202と、2値化された文字画像領域210を可逆符号化する可逆符号化手段204と、文字画像領域の符号データ量を計数する手段と、予め設定された目標符号量から文字画像領域の符号量を減じて自然画像領域に割当てる符号量を算出する手段と、割当てられた符号量に制御しながら自然画像領域を非可逆符号化する符号量制御非可逆符号化手段206と、可逆符号化手段204からの文字画像領域符号データ211と非可逆符号化手段206からの自然画像領域符号データ214とを合成する多重化手段207から構成される。
【0020】次に、図14を用いて動作を説明する。文字画像領域抽出手段201において入力画像データ208から文字画像領域209が抽出される。自然画像領域抽出手段205において、入力画像データ208から文字画像領域209が差し引かれ自然画像領域212が生成される。文字画像領域209は、2値化手段202において2値化され、2値化された文字画像領域210は、可逆符号化手段204において符号化され、符号量割当手段203が、文字画像領域の符号量を計数する。符号量割当て手段203において、予め設定された目標符号量から文字画像領域の符号量が減じられ、その結果が自然画像領域212に割当てられる。自然画像領域212は、非可逆符号化手段206において割当てられた符号量に制御されながら符号化される。可逆符号化手段204からの文字画像領域符号データ211と非可逆符号化手段206からの自然画像領域符号データ214は、多重化手段207で合成され、符号データ215として出力される。この結果、文字画像領域符号データ211の符号量と自然画像領域212の符号量の総量が一定量、すなわち、目標符号量となる。以上でハイブリッド符号化の符号量制御の動作説明を終わる。」

したがって、引用例には次の発明(以下、引用発明という。)が記載されているといえる。

「入力画像データから文字画像領域を抽出し、入力画像データから文字画像領域を差引いて自然画像領域を生成し、
2値化された文字画像領域を可逆符号化し、
予め設定された目標符号量から文字画像領域の符号量を減じて自然画像領域に割当てる符号量を算出し、
割当てられた符号量に制御しながら自然画像領域を非可逆符号化する
符号化方式。」

3-3.対比
引用発明は符号化方式に関するものであるから、データ圧縮方法が実質的に示されているといえる。
引用発明の「入力画像データから文字画像領域を抽出し、入力画像データから文字画像領域を差引いて自然画像領域を生成し、」とする点は、「文字画像領域」は本願発明の「文字データ」と異なるものであるが、文字に関するデータである点では変わりはなく、「自然画像領域」はドットマップイメージデータといえるものであるから、文字に関するデータとドットマップイメージデータとを分離する点で、本願発明の「文字データとドットマップイメージデータとを分離するステップ」と共通するものであり、
引用発明の「2値化された文字画像領域を可逆符号化し」とする点は、「2値化された文字画像領域」は本願発明の「ドットマップ文字データ」と同様のものであるから、本願発明の「上記ドットマップ文字データを可逆的に圧縮して圧縮文字データを生成するステップ」と共通するものであり、
引用発明の「予め設定された目標符号量から文字画像領域の符号量を減じて自然画像領域に割当てる符号量を算出し、」とする点は、「予め設定された目標符号量」も本願発明の「周辺機器のメモリ容量である所与のサイズ」も所定のサイズといえる点では変わりはないので、所定のサイズから圧縮文字データのサイズを減算して残余のサイズを求める点で、本願発明の「上記所与のサイズから上記圧縮文字データのサイズを減算して残余のサイズを求めるステップ」と共通するものであり、
引用発明の「割当てられた符号量に制御しながら自然画像領域を非可逆符号化する」とする点は、残余のサイズ以下となるようにドットマップイメージデータのデータ量を減少させる点で、本願発明の「上記縮小率に従って上記ドットマップイメージデータを縮小し、縮小イメージデータを生成するステップ」と共通するものである。
したがって、本願発明と引用発明とを対比すると、次の点で一致する。

「文字に関するデータとドットマップイメージデータの混在するデータを所定のサイズ以下のデータに変換する方法において、
文字に関するデータとドットマップイメージデータとを分離するステップと、
ドットマップ文字データを可逆的に圧縮して圧縮文字データを生成するステップと、
所定のサイズから圧縮文字データのサイズを減算して残余のサイズを求めるステップと、
残余のサイズ以下となるようにドットマップイメージデータのデータ量を減少させるステップと、
を有するデータ圧縮方法。」

また次の点で相違する。

相違点1
本願発明の文字に関するデータは、「文字データをラスタライズしてドットマップ文字データを生成するステップ」を有することから明らかなように文字コードのようなものであるのに対して、引用発明のものは「ドットマップ文字データ」に対応するといえるものである点。

相違点2
本願発明の所定のサイズは、周辺機器のメモリ容量であり、「文字データ及びドットマップイメージデータの混在するデータを周辺機器のメモリに供給するに当たり、該データが記憶可能な上記周辺機器のメモリ容量である所与のサイズ以下のドットマップデータに変換する方法において」とし、「上記圧縮文字データ及び上記縮小イメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップ」を有しているのに対して、引用発明の「予め設定された目標符号量」は何に関するものか具体的な特定がない点。

相違点3
本願発明は、「上記ドットマップイメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較して縮小率を定めるステップ」を有しており、残余のサイズ以下となるようにドットマップイメージデータのデータ量を減少させるステップが、「上記縮小率に従って上記ドットマップイメージデータを縮小し、縮小イメージデータを生成するステップ」であるのに対して、引用発明は縮小するのではなく、割当てられた符号量に制御しながら非可逆符号化する点。

3-4.相違点に対する判断
相違点1及び2について
ページ記述言語で表されるような、文字データ及びドットマップイメージデータの混在するデータは周知のものであり、ページ記述言語で表されるデータをプリンタのような周辺機器に伝送して印刷することも普通に行われることである。
そのような場合に、文字コードのような文字データのままでは印刷ができないので、周辺機器に伝送する前か、または周辺機器でドットマップデータに変換することは当然のことであり、伝送されるデータが周辺機器の記憶可能なメモリ容量以上となることが適切でないことは明らかである。
したがって、引用発明においても、周知のページ記述言語で表されるデータを取り扱うために、本願発明のように「文字データをラスタライズしてドットマップ文字データを生成するステップ」を有するようにして、さらに、それを印刷等するために周辺機器に伝送するデータの符号化に適用することで、本願発明のように「文字データ及びドットマップイメージデータの混在するデータを周辺機器のメモリに供給するに当たり、該データが記憶可能な上記周辺機器のメモリ容量である所与のサイズ以下のドットマップデータに変換する方法において」とし、予め設定された目標符号量を周辺機器のメモリ容量に相当する量にするとともに、「上記圧縮文字データ及び上記縮小イメージデータを上記周辺機器のメモリに伝送するステップ」を有するようにすることに困難な点はない。

相違点3について
拒絶査定の備考で示した周知例(特開昭63-146567号公報、特開平4-29467号公報、及び特開平2-54671号公報)のように、画像データを縮小することで、そのデータ量を減少させることは周知のことであるから、引用発明において割当てられた符号量に制御しながら非可逆符号化するかわりに、縮小率を定め、それに従って上記ドットマップイメージデータを縮小することで、本願発明のように「上記ドットマップイメージデータのサイズを上記残余のサイズと比較して縮小率を定めるステップ」、及び「上記縮小率に従って上記ドットマップイメージデータを縮小し、縮小イメージデータを生成するステップ」とすることに困難な点はない。

したがって、引用発明において、相違点1,2,及び3を本願発明のようにすることは、当業者が容易になしえることである。

3-5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-12-20 
結審通知日 2007-12-25 
審決日 2008-01-08 
出願番号 特願平8-147015
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06T)
P 1 8・ 561- Z (G06T)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松永 稔  
特許庁審判長 板橋 通孝
特許庁審判官 井上 健一
加藤 恵一
発明の名称 文字・イメージ混在データの圧縮方法及び装置  
代理人 前田 実  
代理人 山形 洋一  

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