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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1173520
審判番号 不服2004-356  
総通号数 100 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-05 
確定日 2008-02-18 
事件の表示 特願2000-270881「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 3月19日出願公開、特開2002- 78849〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年9月7日の出願であって、平成15年8月25日付けの拒絶の理由に対し、同年10月17日付けで明細書についての手続補正がなされ、同年11月26日付けで拒絶の査定がされ、これに対し、平成16年1月5日付けで拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年10月17日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される、次のとおりのものと認める。

「周囲に複数の図柄を表示した回転リールと、
前記回転リールの回転を制御すると共に、一定確率で入賞図柄の抽選を行うための制御装置とを備えた遊技機において、
遊技として、通常遊技と、特定の入賞確定或いは抽選結果に基づいて開始する特別遊技とを少なくとも備え、
前記特別遊技は、入賞確率の大きい特定遊技と、この特定遊技の導入確率が高い特定導入遊技とを少なくとも備え、
前記特定導入遊技は、前記特定遊技への移行或いは小役入賞が可能な小役遊技を備え、
前記特定導入遊技中の所定の最大回数の前記特定遊技の終了、或いは、前記特定導入遊技中の所定の最大回数の前記小役遊技の終了を、前記特定導入遊技の終了条件として設定し、
前記特定導入遊技中、前記特定遊技が所定の最大回数に到達する前に、前記小役遊技が所定の最大回数に達して、前記特定導入遊技が終了する確率、いわゆるパンク確率を決定するためのパンク確率決定手段と、
前記パンク確率決定手段により決定されたパンク確率を遊技者に向かって報知するためのパンク確率報知手段とを備え、
前記遊技機は、前記特定導入遊技中の前記特定遊技の残りの実施可能回数と、前記特定導入遊技中の小役遊技の残りの実施可能回数と、前記小役遊技中の前記特定遊技へ移行するための抽選確率との組合せに基づいて予め計算したパンク確率を、前記特定遊技の残りの実施可能回数と前記小役遊技の残りの実施可能回数とにしたがって記憶したパンク確率記憶手段を備え、
前記パンク確率決定手段は、前記特定導入遊技中の前記特定遊技の残りの実施可能回数と、前記特定導入遊技中の前記小役遊技の残りの実施可能回数とに基づいて、前記パンク確率記憶手段から採取した数値をパンク確率として決定していることを特徴とする遊技機。」

第3 引用刊行物の記載事項
(1)引用例
原査定に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2000-229145号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0097】本発明に係るスロットマシン1は、図1に示すように、前面に開閉可能な前面扉2を有する筐体3を備えている。前面扉2には、その前面のほぼ中央より上部に、表示窓4を設け、表示窓4には、筐体3の内部に配置した3個のリール5a?cの外周表面がそれぞれ臨んでいる。……」

「【0108】上記した各リール5a?cの外周表面には、複数種類の図柄が所定間隔で表示された、透光性を有するリールテープが貼り付けられている。……」

「【0113】<入賞態様>予め定めた入賞態様には、一般的な入賞態様の他に、一般遊技と比較して遊技者に有利な特別遊技の開始条件となる特別入賞態様がある。更に、特別入賞態様には、いわゆるビッグボーナスの入賞態様とレギュラーボーナスの入賞態様とがある。」

「【0116】<ビッグボーナス>上記したビッグボーナスの入賞態様とは、例えば、有効となった入賞ライン上に停止表示された図柄の組み合わせが、「7」「7」「7」となったことを開始条件として行われる遊技であり、所定枚数、例えば15枚の遊技メダルが払い出された後、更に、一般遊技と比較して多くの遊技メダルを獲得でき遊技者にとって有利なビッグボーナスを行うことができる。
【0117】このビッグボーナスでは、ビッグボーナス中一般遊技(BB中一般遊技)と呼ばれる小役の抽選確率が高くなった一般遊技と同様の遊技を最大30回まで行うことができ、この一般遊技と同様の遊技中に、有効となった入賞ライン上に停止表示された図柄の組み合わせが「スイカ」「スイカ」「スイカ」となると、10枚の遊技メダルが払い出され、左側の表示窓に「チェリー」が停止表示されると、2枚の遊技メダルが払い出され、有効となった入賞ライン上に停止表示された図柄の組み合わせが「プラム」「プラム」「プラム」となると、5枚の遊技メダルが払い出されるとともに最大3回のJACゲームを行うことができる。
【0118】<JACゲーム>このJACゲームでは、所定枚数、例えば1枚の遊技メダルを投入してスタートスイッチ20を操作し、リール5a?cの回転を開始させた後、各ストップスイッチ21a?cを操作して各リール5a?cの回転を停止させる。
【0119】そして、停止図柄の組み合わせが所定の組み合わせ、例えば「プラム」「プラム」「プラム」となった場合に、所定枚数、例えば15枚の遊技メダルが払い出される。このJACゲームでは、最大ゲーム回数と最大入賞回数が制限されており、例えば上記したゲームが、最大ゲーム回数である12回行われるか、または、上記した入賞が、最大入賞回数である8回に達するとJACゲームが終了する。
【0120】<レギュラーボーナス>また、上述したビッグボーナスの他に、いわゆるレギュラーボーナスと称される特別遊技の態様がある。
【0121】このレギュラーボーナスの入賞態様とは、例えば、有効となった入賞ライン上に停止表示された図柄の組み合わせが、「BAR」「BAR」「BAR」となったことを開始条件として行われる遊技であり、所定枚数、例えば15枚の遊技メダルが払い出された後、レギュラーボーナスを行うことができる。
【0122】このレギュラーボーナスは、上述したビッグボーナスと比較して獲得できる利益が少なくなっており、例えば上述したJACゲームを最大1回行うことができるようになっている。上述した一連の遊技動作は、筐体3内に設けられた制御装置により制御される。」

「【0208】メイン制御基板100は、図18に示すように、スロットマシンにおける遊技動作の主制御を行うための基板で、CPU101、ROM102、RAM103、CPU101の動作クロック信号を生成するためのクロック回路104、ビッグボーナス等の当選確率を設定するための確率設定部105を備えている。
【0209】上記ROM102には、スロットマシン60の遊技における処理の手順がシーケンスプログラムとして記憶されているとともに、抽選確率等を決定するための入賞確率テーブルや、内部当選役、および遊技状態に応じたリール5a?cの停止制御を行うための停止制御テーブル等のデータが記憶されており、シーケンスプログラムに基づいてCPU101等が動作することによりスロットマシン60における遊技が制御される。」

「【0368】<特別遊技における演出>また、特別遊技であるビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに移行すると、特別遊技における演出が行われる。
【0369】先に説明したように、ビッグボーナスでは、ビッグボーナス中一般遊技(BB中一般遊技)と呼ばれる小役の抽選確率が高くなった一般遊技と同様の遊技を最大30回まで行うことができ、このBB中一般遊技に、有効となった入賞ライン上に停止表示された出目図柄の組み合わせが所定の組み合わせとなると所定数の遊技メダルが払い出される。また、ビッグボーナスにおいて有効となった入賞ライン上に停止表示された出目図柄の組み合わせがJACゲームへ移行するための特定の組み合わせとなると、最大3回のJACゲームを行うことができる。
【0370】〔1回目のBB中一般遊技演出〕まず、ビッグボーナス中に行われる一般遊技における演出を説明する。この演出は、1回目のBB中一般遊技演出、2回目のBB中一般遊技演出、3回目のBB中一般遊技演出、ビッグボーナスの終了演出の4パターンから構成される。」

「【0379】ここで、リプレイハズシについて説明する。ビッグボーナスでは、小役の抽選確率の高いBB中一般遊技を最大30回まで行うことができるが、この遊技中にJACゲームに移行するための特定図柄(例えばリプレイ図柄と同様)が構成された場合には、JACゲームに移行する。即ち、ビッグボーナスでは、一般遊技と同様の遊技を最大許容回数(30回)まで行い、この遊技中に入賞態様を数多く発生させることにより、多くの遊技メダルを獲得することができるものであるが、最大許容回数(30回)に達する以前にJACゲームに移行するための特定図柄が構成されてJACゲームに移行してしまうと、獲得できるはずであった遊技メダル数が減少することとなる。したがって、最大許容回数が近づくまで例えば25回までは、JACゲームに移行するための開始条件が内部当選したにも拘わらず、いわゆる目押し技術を駆使して、リール5a?cで特定図柄が構成されないように停止操作を行い、最大許容回数(30回目の遊技)になるべく近いゲーム数になったときにJACゲームに移行するための特定図柄が構成されるように停止操作を行うようにすることにより、遊技者は最大限の利益を得ることができる。
【0380】ここで、1回目のBB中一般遊技とは、ビッグボーナスが開始してから1回目のJACゲームが開始されるまでの一般遊技のことで、同様に2回目のBB中一般遊技とは1回目のJACゲーム終了から2回目のJACゲーム開始までの一般遊技、3回目のBB中一般遊技とは2回目のJACゲーム終了以降の一般遊技のことを表している。
【0381】このように、従来7セグメント表示器やランプでビッグボーナス中の一般遊技の消化回数を表示していたが、上記のように所定の単位で異なる背景画像や異なるキャラクタを用いて演出を行うようにすれば、遊技の進行を的確に把握できる。またそれに伴って、現在リプレイハズシを実行すべきなのか、JACゲームに突入させるべきなのかを的確に判断できる(つまりリプレイハズシをし過ぎてJACゲームを未消化のうちにビッグボーナスゲームを終了させてしまうと、いくら一般遊技中に子役を多く獲得しても意味がなく、一般遊技での子役の獲得も最大限行いつつ、JACゲームも規定数獲得することが必要である)。」

前記摘示の記載及び図面によれば、引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「外周表面に、複数種類の図柄が所定間隔で表示された、透光性を有するリールテープが貼り付けられているリール5a?cと、
スロットマシンにおける遊技動作の主制御を行うための基板で、CPU101、ROM102、RAM103、CPU101の動作クロック信号を生成するためのクロック回路104、ビッグボーナス等の当選確率を設定するための確率設定部105を備えているメイン制御基板100とを備え、
上記ROM102には、スロットマシン60の遊技における処理の手順がシーケンスプログラムとして記憶されているとともに、抽選確率等を決定するための入賞確率テーブルや、内部当選役、および遊技状態に応じたリール5a?cの停止制御を行うための停止制御テーブル等のデータが記憶されており、シーケンスプログラムに基づいてCPU101等が動作することによりスロットマシン60における遊技が制御される、
スロットマシン1において、
予め定めた入賞態様には、一般的な入賞態様の他に、一般遊技と比較して遊技者に有利な特別遊技の開始条件となる特別入賞態様があり、
更に、特別入賞態様には、いわゆるビッグボーナスの入賞態様とレギュラーボーナスの入賞態様とがあり、
ビッグボーナスでは、ビッグボーナス中一般遊技(BB中一般遊技)と呼ばれる小役の抽選確率が高くなった一般遊技と同様の遊技を最大30回まで行うことができ、この一般遊技と同様の遊技中に、有効となった入賞ライン上に停止表示された図柄の組み合わせが「スイカ」「スイカ」「スイカ」となると、10枚の遊技メダルが払い出され、左側の表示窓に「チェリー」が停止表示されると、2枚の遊技メダルが払い出され、有効となった入賞ライン上に停止表示された図柄の組み合わせが「プラム」「プラム」「プラム」となると、最大3回のJACゲームを行うことができ、
レギュラーボーナスでは、JACゲームを最大1回行うことができ、
7セグメント表示器やランプでビッグボーナス中の一般遊技の消化回数を表示し、1回目のBB中一般遊技演出、2回目のBB中一般遊技演出、3回目のBB中一般遊技演出、ビッグボーナスの終了演出で異なる背景画像や異なるキャラクタを用いて演出を行うようにしたことで、遊技の進行を的確に把握でき、またそれに伴って、現在リプレイハズシを実行すべきなのか、JACゲームに突入させるべきなのかを的確に判断できる
スロットマシン。」

第4 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「外周表面に、複数種類の図柄が所定間隔で表示された、透光性を有するリールテープが貼り付けられているリール5a?c」は本願発明の「周囲に複数の図柄を表示した回転リール」に、「スロットマシン1」は「遊技機」に、「ビッグボーナス」は「特定導入遊技」に、「レギュラーボーナス」及び「JACゲーム」は「特定遊技」に、それぞれ相当する。

また、引用発明の「メイン制御基板100」は、「スロットマシンにおける遊技動作の主制御を行うための基板で、CPU101、ROM102、RAM103、CPU101の動作クロック信号を生成するためのクロック回路104、ビッグボーナス等の当選確率を設定するための確率設定部105を備えている」ものであり、さらに、「上記ROM102には、スロットマシン60の遊技における処理の手順がシーケンスプログラムとして記憶されているとともに、抽選確率等を決定するための入賞確率テーブルや、内部当選役、および遊技状態に応じたリール5a?cの停止制御を行うための停止制御テーブル等のデータが記憶されており、シーケンスプログラムに基づいてCPU101等が動作することによりスロットマシン60における遊技が制御される」のであるから、「前記回転リールの回転を制御すると共に、一定確率で入賞図柄の抽選を行うための制御装置」であるということができる。

そして、引用発明では、「予め定めた入賞態様には、一般的な入賞態様の他に、一般遊技と比較して遊技者に有利な特別遊技の開始条件となる特別入賞態様があ」るから、引用発明の遊技には一般遊技と特別遊技とがあり、特別遊技は特別入賞態様に基づいて開始されるものであるといえる。したがって、引用発明は、「遊技として、通常遊技と、特定の入賞確定或いは抽選結果に基づいて開始する特別遊技とを少なくとも備え」るものである。

それから、引用発明においては、「ビッグボーナスでは、ビッグボーナス中一般遊技(BB中一般遊技)と呼ばれる小役の抽選確率が高くなった一般遊技と同様の遊技を最大30回まで行うことができ、この一般遊技と同様の遊技中に、有効となった入賞ライン上に停止表示された図柄の組み合わせが「スイカ」「スイカ」「スイカ」となると、10枚の遊技メダルが払い出され、左側の表示窓に「チェリー」が停止表示されると、2枚の遊技メダルが払い出され、有効となった入賞ライン上に停止表示された図柄の組み合わせが「プラム」「プラム」「プラム」となると、最大3回のJACゲームを行うことができ」る。したがって、引用発明の「ビッグボーナス中一般遊技(BB中一般遊技)」は、JACゲームへの移行或いはスイカやチェリーの入賞が可能な遊技であるといえる。ここで、「JACゲーム」は「特定遊技」に相当し、引用発明の「スイカやチェリーの入賞」は「小役入賞」の一種であるから、引用発明の「ビッグボーナス中一般遊技(BB中一般遊技)」は、「前記特定遊技への移行或いは小役入賞が可能な小役遊技」であるといえる。

さらに、引用発明の「ビッグボーナス」は、「ビッグボーナス中一般遊技(BB中一般遊技)は最大30回まで行うことができ、」また、「最大3回のJACゲームを行うことができ」るものであるが、最大の遊技回数が定められているということは、その回数に達するとビッグボーナスが終了するということであるから、引用発明は、ビッグボーナス中の所定の最大回数(30回)のビッグボーナス中一般遊技(BB中一般遊技)の終了、或いは、ビッグボーナス中の所定の最大回数(3回)のJACゲームの終了を、ビッグボーナスの終了条件として設定したもの、すなわち、「前記特定導入遊技中の所定の最大回数の前記特定遊技の終了、或いは、前記特定導入遊技中の所定の最大回数の前記小役遊技の終了を、前記特定導入遊技の終了条件として設定し」たものであるといえる。

そのうえ、引用発明は、「7セグメント表示器やランプでビッグボーナス中の一般遊技の消化回数を表示し、1回目のBB中一般遊技演出、2回目のBB中一般遊技演出、3回目のBB中一般遊技演出、ビッグボーナスの終了演出で異なる背景画像や異なるキャラクタを用いて演出を行うようにしたことで、遊技の進行を的確に把握でき、またそれに伴って、現在リプレイハズシを実行すべきなのか、JACゲームに突入させるべきなのかを的確に判断できる」ものである。ここで、段落0381の「つまりリプレイハズシをし過ぎてJACゲームを未消化のうちにビッグボーナスゲームを終了させてしまうと、いくら一般遊技中に子役を多く獲得しても意味がなく、一般遊技での子役の獲得も最大限行いつつ、JACゲームも規定数獲得することが必要である」という記載を考慮すれば、引用発明は、「リプレイハズシをし過ぎてJACゲームを未消化のうちにビッグボーナスゲームを終了させてしまう」危険度(すなわち、パンクの危険度)が分かるような表示・演出(すなわち、報知)を行い、それに伴って、現在リプレイハズシを実行すべきなのか、JACゲームに突入させるべきなのかを遊技者が的確に判断できるようにするものであるといえる。してみると、引用発明の「ビッグボーナス中の一般遊技の消化回数」と「1回目のBB中一般遊技演出」等は、「パンク確率」そのものではないものの、「パンクの危険度に関する情報」である点で、本願発明の「パンク確率」と共通する。したがって、引用発明は、「パンクの危険度に関する情報を遊技者に向かって報知する」点で、本願発明と共通するものである。

そうすると、本願発明と引用発明の両者は、以下の点でそれぞれ、一致並びに相違するものと認められる。

一致点
「周囲に複数の図柄を表示した回転リールと、
前記回転リールの回転を制御すると共に、一定確率で入賞図柄の抽選を行うための制御装置とを備えた遊技機において、
遊技として、通常遊技と、特定の入賞確定或いは抽選結果に基づいて開始する特別遊技とを少なくとも備え、
前記特別遊技は、入賞確率の大きい特定遊技と、この特定遊技の導入確率が高い特定導入遊技とを少なくとも備え、
前記特定導入遊技は、前記特定遊技への移行或いは小役入賞が可能な小役遊技を備え、
前記特定導入遊技中の所定の最大回数の前記特定遊技の終了、或いは、前記特定導入遊技中の所定の最大回数の前記小役遊技の終了を、前記特定導入遊技の終了条件として設定し、
パンクの危険度に関する情報を遊技者に向かって報知する遊技機。」
である点。

相違点
パンクの危険度に関する情報を遊技者に向かって報知するために、本願発明では、「前記特定導入遊技中、前記特定遊技が所定の最大回数に到達する前に、前記小役遊技が所定の最大回数に達して、前記特定導入遊技が終了する確率、いわゆるパンク確率を決定するためのパンク確率決定手段と、前記パンク確率決定手段により決定されたパンク確率を遊技者に向かって報知するためのパンク確率報知手段とを備え、前記遊技機は、前記特定導入遊技中の前記特定遊技の残りの実施可能回数と、前記特定導入遊技中の小役遊技の残りの実施可能回数と、前記小役遊技中の前記特定遊技へ移行するための抽選確率との組合せに基づいて予め計算したパンク確率を、前記特定遊技の残りの実施可能回数と前記小役遊技の残りの実施可能回数とにしたがって記憶したパンク確率記憶手段を備え、前記パンク確率決定手段は、前記特定導入遊技中の前記特定遊技の残りの実施可能回数と、前記特定導入遊技中の前記小役遊技の残りの実施可能回数とに基づいて、前記パンク確率記憶手段から採取した数値をパンク確率として決定している」のに対し、引用発明では、「7セグメント表示器やランプでビッグボーナス中の一般遊技の消化回数を表示し、1回目のBB中一般遊技演出、2回目のBB中一般遊技演出、3回目のBB中一般遊技演出、ビッグボーナスの終了演出で異なる背景画像や異なるキャラクタを用いて演出を行うようにしたことで、遊技の進行を的確に把握でき、またそれに伴って、現在リプレイハズシを実行すべきなのか、JACゲームに突入させるべきなのかを的確に判断できる」点。

第5 判断
(1)相違点について
引用発明は、リプレイハズシをすべきか、JACゲームに突入させるべきかを判断できるように、パンクの危険度を遊技者に向かって報知するものである。パンクの危険度を遊技者に向かって報知するという趣旨からすれば、一般的に、事象の起こる割合を示す指標として「確率」を用いて報知することが周知であるから(例えば、特開2000-217966号公報、特開平11-137821号公報を参照。)、パンクという事象の起こる割合である「パンク確率」を遊技者に報知するように引用発明を変更することは、当業者が容易に想起できるものである。そしてそのためには、報知されるパンク確率を決定するためのパンク確率決定手段と、パンク確率決定手段により決定されたパンク確率を遊技者に向かって報知するためのパンク確率報知手段とが必要なことは、当然である。

そして、JACゲームは、BB中一般遊技において所定の抽選確率で抽選されることで内部当選することは、当業者にとって周知(例えば、特開2000-210408号公報[図11]、特開2000-210413号公報[図6-8]を参照。)である。また、そのような当選・落選の抽選において、当選回数が特定の回数(残りのJACゲーム回数)未満となる確率(パンク確率)は、抽選確率と試行回数(残りのBB中一般遊技回数)とに基づいて演算可能であること、すなわち、パンク確率が「前記特定導入遊技中の前記特定遊技の残りの実施可能回数と、前記特定導入遊技中の小役遊技の残りの実施可能回数と、前記小役遊技中の前記特定遊技へ移行するための抽選確率との組合せに基づいて」計算できることは、自明である。さらに、パラメータから演算によって求めることができる値を、必要となったときに演算するのではなく、予め演算してパラメータに対応させて記憶しておき、必要となったときにパラメータに対応する値を採取することは、周知(例えば、三角関数表、対数表、単位換算表などがある。)である。してみると、「前記遊技機は、前記特定導入遊技中の前記特定遊技の残りの実施可能回数と、前記特定導入遊技中の小役遊技の残りの実施可能回数と、前記小役遊技中の前記特定遊技へ移行するための抽選確率との組合せに基づいて予め計算したパンク確率を、前記特定遊技の残りの実施可能回数と前記小役遊技の残りの実施可能回数とにしたがって記憶したパンク確率記憶手段を備え、前記パンク確率決定手段は、前記特定導入遊技中の前記特定遊技の残りの実施可能回数と、前記特定導入遊技中の前記小役遊技の残りの実施可能回数とに基づいて、前記パンク確率記憶手段から採取した数値をパンク確率として決定している」点も、設計事項というべきである。

以上のとおりであるから、引用発明に、相違点に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易に想到できたものである。

(2)作用効果について
そして本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から、当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明が特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-12-10 
結審通知日 2007-12-13 
審決日 2008-01-04 
出願番号 特願2000-270881(P2000-270881)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 澤田 真治  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 太田 恒明
中槙 利明
発明の名称 遊技機  
代理人 黒田 博道  

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