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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1173540
審判番号 不服2004-3409  
総通号数 100 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-02-19 
確定日 2008-02-21 
事件の表示 平成11年特許願第266998号「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 4月 3日出願公開、特開2001- 87489〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年9月21日の出願であって、平成15年3月13日付で拒絶理由通知がなされ、同年5月16日付で手続補正がなされ、同年8月6日付で拒絶理由通知がなされ、同年10月8日付で手続補正がなされ、平成16年1月14日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月19日に審判請求がなされるとともに、同年3月16日付で手続補正がなされたものである。

2.平成16年3月16日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年3月16日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

「大当りを判定する大当り判定手段と、
大当りに付随する複数の特典の獲得状態を判定する特典判定手段と、
遊技盤に固定された表示手段と、
前記大当り判定手段および前記特典判定手段が大当りおよび複数の特典の獲得状態を判定すると、前記表示手段に大当りを報知する大当り画面および複数の特典の獲得状態を同時に報知する特典画面を表示する表示制御手段とを備え、
前記表示制御手段は、
前記大当り画面を表示した後に前記大当り画面を消去して前記特典画面を表示すると共に、
複数の特典の獲得状態が同一の色彩の背景で表示された複数の告知エリアを表示することで前記特典画面に複数の特典の全ての組合せを表示し、
前記特典判定手段の判定結果に応じた告知エリアの背景を残りの告知エリアの背景と異なる色彩で表示することで表示した全ての組合せから1つを選択する表示を行って複数の特典の獲得状態を報知する
ことを特徴とするパチンコ機。」

と補正された。
上記補正は、平成15年10月8日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記特典画面に複数の特典の全ての組合せを表示」を「複数の特典の獲得状態が同一の色彩の背景で表示された複数の告知エリアを表示することで前記特典画面に複数の特典の全ての組合せを表示」と限定し、同じく「表示した全ての組合せから1つを選択する表示を行うことで複数の特典の獲得状態を報知」を「前記特典判定手段の判定結果に応じた告知エリアの背景を残りの告知エリアの背景と異なる色彩で表示することで表示した全ての組合せから1つを選択する表示を行って複数の特典の獲得状態を報知」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-52539号公報(以下、引用例という。)には、図面とともに、
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ・・・可変表示装置を備え、該可変表示装置における可変表示遊技の結果が特別停止態様になったことに基づき、特別遊技状態を発生可能な遊技機において、
前記特別遊技状態の発生が特定の条件を満たした発生であった場合に、前記特別遊技状態の発生を容易な状態に変換する特別遊技状態発生容易化手段と、
前記特別遊技状態発生容易化手段により特別遊技状態の発生が容易な状態中に、再度特定の条件を満たした特別遊技状態の発生があった場合に、前記特別遊技状態の発生の容易な状態を継続して発生させる特別遊技状態発生容易化継続手段と、
前記特別遊技状態の発生の容易な状態の継続率を、前記特定の条件の成立率を変更することにより抑制する継続抑制手段と、を備えた・・・遊技機。
【0003】・・・確率変動を行う遊技機では、例えば全大当り図柄(15個)のうち、所定個数(例えば、5個)を特定な図柄(確率変動図柄)にして、もしその特定な図柄(例えば、「7」、「7」、「7」)が揃った場合に、大当り終了後、次の大当りが例えば2回発生するまで大当りの発生確率を、例えば1/300から10/300等に通常の確率(低確率状態)から高確率状態に変更する確率変動状態を発生させている。・・・。
【0004】・・・、大当り図柄の発生確率を高くするのではなく、特図始動口に補助変動入賞装置(例えば、普通変動入賞装置:いわゆる普電と呼ばれるもの)を備えるとともに、補助変動入賞装置の開放条件を決定する補助可変表示装置(例えば、普通図柄表示装置)を備えて、所定条件の成立(例えば、特図での普図確変図柄の発生)に基づき、補助可変表示装置の図柄(以下、普図という)の当り確率を高くしたり、普図の可変遊技時間を短くしたりして、補助変動入賞装置(普電)の開放を頻繁にして特図始動口への入賞率を高めることにより、次回の大当りを容易にする普図の確率変動状態を発生させる場合もある。
【0010】
【発明の実施の形態】・・・。
A.遊技盤の構成
・・・。図1において、1は遊技盤であり、・・・遊技領域3が形成されている。この遊技領域3には、複数の識別情報(以下、特別図柄、或いは特図という)を複数列の変動表示部4aに変動表示する特別図柄表示装置4(可変表示装置)と、・・・特別変動入賞装置5と、・・・普通変動入賞装置6(いわゆる普電と呼ばれるもの)と、・・・普通図柄(以下、普図という)を表示する普通図柄表示装置6bと、・・・普通図柄始動口7と、・・・、サイドランプ8c・・・などが備えられている。
【0011】・・・特図始動スイッチ6dが、・・・普図始動スイッチ7aが、それぞれ設けられている。また、・・・継続スイッチ5cが、・・・カウントスイッチ5dがそれぞれ設けられている。・・・。
【0012】・・・、特別図柄表示装置4は、カラーで特図の静止画および変動画が表示可能な、例えば液晶ディスプレイ(LCD)であり、CRTであってもよい。この特別図柄表示装置4に表示される画像表示情報(特図)としては、例えばリールという回転ドラム上に数字および区切りマークからなる識別情報を表示してもよいし、あるいはその他の図柄を表示してパチンコゲームを行うようにしてもよい。・・・。
【0014】・・・、遊技盤1には、その他の各種装飾ランプや、LED等が設けられていてもよい。・・・、遊技盤における遊技領域はどのようなものでもよく、可変表示装置(ここでは特別図柄表示装置4)を使用してその変動表示部4aに複数の識別情報を可変表示可能であり、これら複数列の変動表示部4aの可変表示遊技の結果が予め定めた特別停止態様(例えば、「2」、「2」、「2」のゾロ目図柄)となったときに、特別遊技状態(例えば、大当り状態)を発生可能であるとともに、特別遊技状態の発生が特定の条件を満たした発生(例えば、確率変動図柄(「7」、「7」、「7」)に基づく大当りの発生)であった場合に、特別遊技状態の発生を容易な状態に変換し(例えば、大当り確率を変動する状態にし)、特別遊技状態の発生が容易な状態中(例えば、確率変動遊技中)に、再度特定の条件を満たした特別遊技状態の発生があった場合(・・・)に、特別遊技状態の発生の容易な状態を継続して発生(・・・)可能にする遊技機であれば、任意の構成を取り得る。
【0016】B.制御系の構成
・・・。図2において、この制御系は大きく分けると、役物制御回路100と、表示制御回路200とによって構成される。・・・。
【0017】・・・役物制御回路100は、パチンコ遊技等に必要な役物制御を行うワンチップマイコンからなる役物用IC111と、役物制御の制御プログラム等を格納しているROM112と、・・・分周回路113と、・・・電源回路114と、・・・バッファゲート117と、・・・出力ポート118と、・・・ドライバ119と、・・・サウンドジェネレータ120と、・・・アンプ121と、・・・インターフェース回路122とによって構成される。なお、役物用IC111は、演算処理を行うCPU131およびワークエリアの設定や制御に必要なデータの一時記憶等を行うRAM132を内蔵している。
【0019】表示制御回路200は、役物用IC111からこの場合・・・表示用制御信号(・・・)を受けて特別図柄表示装置4の表示制御を行うもので、画像表示制御用のCPU、ROM、RAMおよび画像用のVDP、フォントROM等を含んで構成される。特別図柄表示装置4は表示制御回路200からの表示制御用の信号に基づいて複数の識別情報(特図)を複数列で変動表示する。・・・。
【0021】・・・、役物用IC111、ROM112、分周回路113および表示制御回路200は、全体として特別遊技状態発生容易化手段、特別遊技状態発生容易化継続手段および継続抑制手段を構成する。特別遊技状態発生容易化手段は、特別遊技状態(大当り)の発生が特定の条件を満たした発生(確率変動図柄、例えば「7」、「7」、「7」に基づく大当りの発生)であった場合に、特別遊技状態の発生を容易な状態に変換する(大当り確率が通常より高くなるように変動させる)。・・・。
【0022】・・・特定の条件とは、確率変動図柄がゾロ目で揃うことであるが、これは、特別停止態様が所定数の特定図柄(例えば、「7」、「7」、「7」)に関連して発生した場合に成立することに相当する。また、特定の条件は特別遊技状態の発生に関連して行われる補助可変表示遊技の結果に基づいて成立するようにしてもよい・・・。
【0023】C.遊技の概要
・・・遊技機で行われる遊技の概要について・・・。ガイドレール2を介して遊技領域中に打込まれた遊技球が、特別図柄始動口を兼ねた普通変動入賞装置6に入賞すると、特別図柄表示装置4の表示部4aの複数の領域において多数の識別図柄(数字、文字、記号、図柄等よりなるもの)が移動(スクロール)する表示(いわゆる変動表示)が行われて、変動表示ゲーム(画像変動遊技)が行われる。そして、この変動表示ゲーム結果としての停止表示態様が所定の態様(例えば、「7、7、7」などのゾロ目)であれば、大当りと呼ばれる特別遊技状態が発生する。
【0024】この特別遊技状態(大当り)が発生すると、特別変動入賞装置5の開閉扉5aが、・・・開放される特別遊技が行われる。この特別遊技のサイクルは、各サイクル中、大入賞口5a内の継続入賞領域を遊技球が通過することを条件に、例えば、最大で16サイクルまで継続して行われる。・・・、特別遊技状態の発生が特定の条件を満たした発生(例えば、確率変動図柄(「7」、「7」、「7」)に基づく大当りの発生)であった場合に、特別遊技状態の発生を容易な状態に変換し(例えば、大当り確率を変動する状態にし)、・・・制御が行われる。
【0025】・・・、大当り確率を高めて大当りを以後2回当りやすくする遊技(確率変動遊技)は特定の図柄で大当りとなった場合(特定の条件の成立した場合)に、所定期間だけその後の大当りの確率を通常よりも高確率に設定する特殊遊技であり、役物制御回路100の制御過程においてなされる制御である。・・・。
【0026】・・・、遊技中に、遊技球が普通図柄始動口7に入賞(通過)したときは、普通図柄表示装置6bの識別情報(・・・)の変動表示による普図の変動表示ゲームが行われる。そして、この変動表示ゲーム結果としての停止表示態様が所定の態様(例えば、「7」)であれば、普図当りと呼ばれる遊技価値が発生する。この遊技価値(普図当り)が発生すると、普通変動入賞装置6の一対の開閉部材6aが逆ハの字に開いた開放状態に、例えば0.5秒程度保持される特定遊技が行われる。これにより、普通変動入賞装置6に遊技球が入賞し易くなり、その分、特図の変動表示ゲームの実施回数が増えて大当り発生の可能性が増す。・・・。
【0027】大当り確率を高めて大当りを以後2回当りやすくする遊技(確率変動遊技)と、普図の変動表示ゲームの他には、さらに所定の特殊遊技が行われたりする。その他の特殊遊技は、例えば特図の変動表示ゲームが50回行われるまでの期間だけ普図の変動表示ゲームの変動時間を短縮するなどの、いわゆる普図時短制御又は普図即止め制御(或いは両者の併用)による遊技状態がある。・・・、普図時短制御とは、普図の変動表示ゲームの変動時間が通常は、例えば60秒程度であるところを6秒程度に短縮する制御であり、また普図即止め制御とは、始動記憶に基づいて普図の変動表示ゲームを行う際に、始動記憶の発生から所定時間(例えば6秒)経過したものに対しては、変動時間を短縮(例えば2秒)して即時に普図を停止させる制御である。
【0028】・・・、この特殊遊技中には、普図当りの際の普通変動入賞装置6の開放時間を例えば3秒程度に増やす処理や、普図当りの際の普通変動入賞装置6の開放回数を通常の1回から3回に増やす等の処理が行われることもある。・・・、このような特殊遊技を行うことにより、単位時間当りの普図のゲーム回数が増えて、普図の当る回数が増える(通常普図の当り確率は1/4程度であるため)。このため、結果的に特図の変動回数が増えて有利な状態になる。またさらに、通常この特殊遊技状態中には、特図の変動についても即止め制御が行われ、さらに有利となる。
【0029】D.制御系の動作
・・・。
(a)役物制御回路のメインルーチン
図3は、役物制御回路100(役物用IC111)により行われるメイン制御処理(メインルーチン)のフローチャートを示す図である。・・・。
【0031】ステップS18:普段処理
普段処理では、始動記憶がある場合に、・・・、乱数抽出による大当り判定を行って特図の停止図柄を決定する。・・・。
【0032】ステップS20:変動開始処理
変動開始処理では、特図のスクロールを開始させる処理を行い、図柄停止処理の番号に処理番号を変更する。
ステップS22:図柄停止処理
図柄停止処理では、特図のスクロールが開始した後、所定時間経過後に、図柄変動を停止させ、停止図柄判定処理の番号に処理番号を変更する。・・・。
【0033】ステップS24:停止図柄判定処理(・・・)
停止図柄判定処理では、・・・、停止図柄が大当り図柄か否か判定され、・・・、大当りであれば、ファンファーレ処理の番号に処理番号が変更される。
・・・。
ステップS28:ファンファーレ処理
ファンファーレ処理では、特別図柄表示装置4に所定時間ファンファーレ表示を行うための処理がなされ、ファンファーレ表示完了の時点で、大当り処理の番号に処理番号が変更される。
【0034】ステップS30:大当り処理(・・・)
大当り処理では、特別遊技(特別変動入賞装置5が開放される遊技)を行うための処理が実行され、大当り状態の終了後は普段処理の番号に処理番号が変更される。なお、大当り処理の中で、例えば特殊遊技(普図の変動表示ゲームの変動時間を短縮する遊技)を行うために、大当り中の表示ゲームの結果によって、普図時短カウンタを例えば50回に設定する処理等を実行してもよい。・・・。
ステップS32:大当り終了処理
大当り終了処理では、大当り状態を終了させる処理がなされ、普段処理の番号に処理番号が変更される。・・・処理番号による分岐処理(ステップS18?S32)によれば、メインルーチンのシーケンスが繰返される度に、遊技状態に応じて処理番号が変更されてゆく。
【0036】次いで、ステップS38で停止図柄作成処理を行う。これは、通常はランダムに停止図柄を作成するが、確率変動図柄(以下、単に確変図柄と略称する)で大当りが発生した場合に、今回の確変図柄が確変図柄削除データとして記憶(後述する大当り処理のサブルーチン参照)されるので、その確変図削除データに基づき該当する削除図柄を除いて大当り図柄や外れ図柄を作成するものである。次いで、ステップS40で表示図柄編集処理を行う。これにより、特図の表示図柄の編集に関する処理が行われる。次いで、ステップS42でデータ転送処理を行い、役物用IC111から表示制御回路200に必要なデータを転送する。これにより、例えば特図の表示図柄の編集結果データが表示制御回路200へ転送される。・・・。
【0037】(b)普段処理
図4は・・・メインルーチンにおけるステップS18の普段処理のサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンが開始されると、まずステップS50で始動記憶があるか否かを判別する。始動記憶とは、普通変動入賞装置6への入賞があって、その入賞状態が記憶され、特図の変動を開始できるような有効な状態になるものをいう。・・・、始動記憶があるときは、・・・、特図始動記憶表示器4cの点灯数が1つだけ少なくなり、遊技者に対して始動記憶に伴う特図の変動開始があって記憶数が減ったことが報知される。次いで、ステップS54で確率変動カウンタ=0であるか否かを判別する。確率変動カウンタとは、確率変動図柄によって大当りが発生した場合に、当該大当り終了後に、大当り確率がアップしてあと何回大当りを発生しやすい状態になるかをカウントするものである。本実施例では、確率変動図柄によって大当りが発生すると、当該大当りを含めて3回の大当りを1セットとして大当り確率が変動するようになっている。
【0038】ステップS54で確率変動カウンタ=0のときはステップS56に分岐して通常確率中の乱数判定値(例えば、判定値1個)を選択してステップS60に進む。したがって、このときは大当り確率はアップせず、通常確率(例えば、1/300)である。一方、ステップS54で確率変動カウンタ=0でないとき(例えば、確率変動カウンタ=2あるいは確率変動カウンタ=1のとき)には、ステップS58に進んで確率アップ中の乱数判定値(例えば、判定値10個)を選択してステップS60に進む。したがって、このときは大当り確率がアップ(例えば、10/300)しており、大当りの発生が容易な状態にある。
【0039】ステップS60では、抽出乱数と大当りの判定値とを比較し、ステップS62で抽出乱数は当り値であるか否かを判別する。・・・。
【0040】・・・、ステップS62で大当りの抽出乱数が当り値であれば、ステップS74に進んで確率変動中であるか否かを判別する。確率変動中でなければ、ステップS76で大当り停止図柄をランダムに決定する。この場合、大当り停止図柄が確変図柄に決定される確率は1/3である。次いで、ステップS68、ステップS70の処理を経てリターンする。これにより、特図のリーチスクロールが行われた後、ランダムに決定された大当り停止図柄で停止する。
【0041】また、ステップS74で確率変動中であれば、ステップS78に分岐して確変図柄削除データに基づき大当り停止図柄を決定する。これは、確変図柄のうち一度揃った図柄を除いた図柄により大当りの停止図柄を決定するものである。したがって、一度揃った確変図柄が削除されるので、大当り確率が低下することになり、結果的に確変状態の発生が複数回連続して継続することが抑制されることになる。ステップS78を経ると、ステップS68、ステップS70の処理を経てリターンする。
【0042】(c)停止図柄判定処理
図5は・・・メインルーチンにおけるステップS24の停止図柄判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンが開始されると、まずステップS100でリーチフラグをクリアし、ステップS102で停止図柄を判定する。次いで、ステップS104で停止図柄が大当り図柄であるか否かを判別し、外れ図柄であれば、ステップS106に分岐して外れ処理に処理番号を変更して今回のルーチンを終了する。・・・。
【0043】一方、ステップS104で停止図柄が大当り図柄であれば、ステップS108に進んで確率変動カウンタ=0であるか否かを判別する。確率変動カウンタ=0でなければ(すなわち、既に確率変動中であるとき)、ステップS110に進んで確率変動カウンタを[-1]だけ更新(つまりデクリメント)して(確率変動カウンタ-1の演算を行って)、ステップS112へ進む。これにより、残りの大当り確率変動回数が1つ減少する。例えば、確率変動カウンタ=[2]のときは確率変動カウンタ=[1]に減少し、確率変動カウンタ=[1]のときは確率変動カウンタ=[0]となる。既に、確率変動カウンタ=0であればステップS110をジャンプしてステップS112に進む。ステップS112ではファンファーレ処理に処理番号を変更して今回のルーチンを終了する。これにより、次回のメインルーチンでは処理NOによる分岐でファンファーレ処理に分岐するように判断される。
【0044】(d)大当り処理
図6は・・・メインルーチンにおけるステップS30の大当り処理のサブルーチンを示すフローチャートである。・・・。
【0047】ステップS168では確率変動図柄での大当り終了であるか否かを判別する。確率変動図柄としては、「1」、「3」、「5」、「7」、「9」の図柄が設定されている。確率変動図柄での大当り終了であれば、ステップS170で確率変動カウンタに[2]をセットしてステップS172へ進む。これにより、確率変動図柄によって大当りが発生すると、当該大当りを含めて3回の大当りを1セットとして大当り確率が変動(アップ)するようになる。一方、確率変動図柄での大当り終了でなければ、ステップS170をジャンプしてステップS172へ進む。ステップS172では確率変動カウンタ=0であるか否かを判別する。これは、確率変動カウンタが[2]、あるいは[1]であるかどうか(残りの大当り確率変動回数があるかどうか)を判断するものである。確率変動カウンタ=0でなければ、ステップS174に進んで今回の大当りが確変図柄での大当りか否かを判別する。
【0048】今回の大当りが確変図柄での大当りであれば、ステップS176で今回の確変図柄を確変図柄削除データとして記憶する。これにより、普段処理のステップS78の処理では、確変図柄削除データに基づき大当り停止図柄が決定されるが、その際、確変図柄のうち一度揃った図柄を除いた図柄により大当りの停止図柄および外れ図柄が決定され、一度揃った確変図柄が削除されることにより、確変図柄の発生率が低下する。なお、確変図柄のうち一度揃った図柄を除いた図柄により大当りの停止図柄を決定する制御は、一度発生した特定図柄に関連した特別停止態様の発生を無効状態に変換するように制御することに相当する。
【0049】次いで、ステップS178で確変削除図柄情報をセットする。これは、特別図柄表示装置4の表示部4a(例えば、LCD)に大当り発生の可能性がある図柄を表示する際に、確変削除図柄を除いて表示するために、情報のセットを行うものである(図8参照)。これにより、遊技者は確変削除図柄を容易に認識することが可能になる。次いで、ステップS180で大当り終了処理に処理番号を変更して今回のルーチンを終了する。これにより、次回のメインルーチンでは処理NOによる分岐で大当り終了処理に分岐するように判断される。一方、ステップS174で確変図柄での大当りでなければ、ステップS176、ステップS178をジャンプしてステップS180へ進む。したがって、今回の大当りが確変図柄による大当りでなければ、その図柄は削除されず、確変図柄の出現確率は前回と変わらない。
【0050】ステップS172で確率変動カウンタ=0であれば、通常図柄による大当り、あるいは残りの大当り確率変動回数がない場合と判断してステップS182に進んで確変図柄削除データをクリアする。これにより、一旦、削除された確変図柄削除データが無くなり、再び、大当り図柄に加えられることになる。したがって、確変図柄の出現確率は初期の状態に戻る。次いで、ステップS184で初期図柄情報をセットする。これにより、特別図柄表示装置4の表示部4a(例えば、LCD)に大当り発生の可能性がある初期図柄情報(つまり全ての特図)が表示されることになる。ステップS184を経ると、ステップS180へ進んで大当り終了処理に処理番号を変更して今回のルーチンを終了する。
【0051】E.確変図柄削除の具体例
・・・、一度揃った確変図柄を削除して確変発生率(確変大当りの成立率)を低下させる制御の具体例について図7?図9を参照して説明する。・・・。
(a)通常時
通常時は、図7(a)に示すように「0」?「E」までの15種類の図柄(特図)があり、これらの図柄は、左、中、右の各列毎にある。そして、そのうち「「1」、「3」、「5」、「7」、「9」の5つの図柄が確変図柄となっており、黒塗りの図柄で表示されている。なお、通常図柄は白抜きの図柄で表示される。したがって、確率変動図柄の出現率(すなわち、確変発生率)は、5/15となる。
【0052】(b)1回目の大当り(確変図柄「3」による大当り)
まず、1回目の大当りとして図9に示すように、確変図柄「3」による大当りが発生した場合、図8(a)に示すように特別図柄表示装置4に「3」、「3」、「3」のゾロ目が揃い、「確変大当りスタート」という表示がされる。そして、大当りゲームが行われる。次いで、確変図柄「3」による大当りが終了すると、その大当り終了後に確変図柄「3」が削除され、図7(b)に示すように確変図柄「3」が削除された状態で大当り図柄の決定が行われるようになる。したがって、確変図柄は「1」、「5」、「7」、「9」の4つとなるが、特図(言換えれば特図乱数)の総数(=15)から1を引いた値(総数-1=14)になり、確変発生率は、4/14となる。
【0053】この場合、確変図柄「3」による大当りが終了した後のゲームでは、特別図柄表示装置4には図8(b)に示すように「1回目 3」という表示がされて大当りの連続が1回目であること、および前回の大当り図柄が「3」であることが表示され、遊技者に報知される。また、このとき特別図柄表示装置4に「確変残り2回」という表示がされるとともに、確変図柄「3」を削除した残りの有効な大当り図柄が表示される。なお、確変図柄のみ○で囲まれている。したがって、遊技者は前回の大当り図柄が「3」であること、前回大当りの確変図柄「3」が削除されていること、確変が残り2回であること、残りの有効な全ての大当り図柄という情報を簡単に認識することができる。
【0054】(c)2回目の大当り(通常大当り)
次いで、2回目の大当りとして図9に示すように、通常図柄による大当りが発生した場合、その大当りゲームが終了しても、当該通常図柄は削除されず、図9に示すように確変図柄「3」が削除された場合と同様の状態で大当り図柄の決定が行われる。
【0058】このように、図7?図9の例では確変図柄で大当りが発生した場合、その大当り終了後に一度揃った当該確変図柄を削除して次回の大当り図柄の決定が行われる。この場合、一度揃った確変図柄が大当り図柄の決定から除外されるので、確変図柄の発生率が減少する。したがって、通常時と比べて確率変動中は大当りが発生しやすくなるが、確変図柄での大当りの発生率が減少し、通常図柄による大当り発生の割合が高くなる。・・・。
【0060】F.第2実施例
・・・。図10は普段処理のサブルーチンを示すフローチャートであり、このサブルーチンの説明に当り、第1実施例の図4と同一処理を行うステップには同一ステップ番号を付して重複説明を省略し、異なる処理を行うステップについて相違するステップ番号を付して説明する。
【0061】図10のサブルーチンが開始されると、ステップS50?ステップS62の処理は第1実施例と同様である。・・・。ステップS62の判別結果でYESのときには(すなわち、大当りの抽出乱数が当り値であれば)、ステップS200に進んで確変決定乱数の抽出を行う。確変決定乱数とは、大当りが発生したときに、以後確率変動させるかどうかを決定するための乱数であり、例えば「0」?「14」までの15種類の乱数が使用される。したがって、ステップS200では15種類のうちから1つの確変決定乱数を抽出する。次いで、ステップS202で確率変動中であるか否かを判別し、確率変動中でなければ、ステップS204に進んで確変図柄を決定する判定値として通常の判定値(ここでは5個)を選択する。したがって、確率変動中でないときは5/15の割合で確変図柄を引くことになる。一方、ステップS202で確率変動中であれば、ステップS206に進んで確変図柄を決定する判定値として確変中の判定値(ここでは3個)を選択する。したがって、確率変動中のときは3/15の割合で確変図柄を引くことになる。
【0062】ステップS204あるいはステップS206を経ると、次いで、ステップS208で確変決定乱数の抽出値と確変図柄を決定する判定値とを比較して、当り値であるか否かを判別する。これは、確変決定乱数の抽出値と、通常の判定値(ここでは5個)あるいは確変中の判定値(ここでは3個)とを比較して判定するものである。このとき、確率変動中であれば確変中の判定値(3個)が選択されるから、3/15の割合で当り値(確変図柄を引くこと)になる。一方、確率変動中でなければ通常の判定値(5個)が選択されるから、5/15の割合で当り値(通常図柄を引くこと)になる。
【0063】確変決定乱数の抽出値と確変図柄を決定する判定値との比較結果が当り値であれば、ステップS208の判別結果がYESとなり、ステップS210に進んで大当り図柄を確変図柄で決定する。これにより、次回大当りが発生した場合、確率変動に移行することになる。また、確変決定乱数の抽出値と確変図柄を決定する判定値との比較結果が当り値でなければ、ステップS208の判別結果がNOとなり、ステップS212に進んで大当り図柄を通常図柄で決定する。これにより、次回大当りが発生した場合、確率変動に移行しない。ステップS210あるいはステップS212を経ると、ステップS68、ステップS70を実行してリターンする。なお、第2実施例ではステップS200で確変決定乱数の抽出を行っているが、このタイミングで行うのではなく、例えば始動入賞時に確変決定乱数を抽出するようにしてもよい。また、確変中の確変図柄の発生率を3/15に固定する以外にも、確変回数が増える毎に4/15→3/15→2/15と確変図柄の発生率を減少させてもよい。あるいは、確変中に確変図柄が出現する毎に4/15→3/15→2/15と確変図柄の発生率を減少させてもよい。
【0064】このように第2実施例では、大当りの抽出を行う乱数が当り値であった場合、確変決定乱数の抽出を行い、確率変動中であれば、3/15の割合で確変決定乱数の抽出結果が当りとなり、確率変動中でなければ5/15の割合で確変決定乱数の抽出結果が当りとなる。したがって、確率変動中は通常時と比べて確率変動図柄の発生率が低下する。その結果、第1実施例と同様に、確率変動中に、再度確変図柄で大当りし、その時点より再度大当りが2回発生するというゲームを少なくすることができる。すなわち、確率変動状態の発生が複数回連続して継続することを抑制することができる。
【0065】G.第3実施例
・・・、図11に示す制御内容のパチンコゲームが行われる。まず、図11(a)に示すように図柄「3」で大当りが発生すると、特別図柄表示装置4に「3」、「3」、「3」のゾロ目が揃い、「大当り発生」という表示がされる。そして、大当りゲームが行われる。次いで、図柄「3」が揃った直後に特別図柄表示装置4の変動表示部4aを使用して別遊技(特別遊技状態の発生に関連して行われる補助可変遊技に相当)が行われる。・・・。
【0066】別遊技では、所定の乱数を使用し、図11(b)に示すように確変を決定するか否かの遊技および確変を決定した場合の確変回数を何回にするかを決定する遊技が行われる。この場合、確率変動継続の抑制制御が行われ、例えば確変の発生および継続回数の決定用の乱数を設け、通常時は1/3等で確変が発生するが、確変中は確変の発生率を1/5等に落とす制御が行われる。また、特別図柄表示装置4の変動表示部4aに表示する画像上でも、確変を決定する「確変」という停止図柄が現れる確率を落とす。同様に、確変中は継続回数も「1回」と表示される割合が多くなるように乱数制御する。
【0067】ここで、別遊技の結果、確変を決定した場合には、図11(c)に一例を示すように確変を決定したことおよび確変回数=1回という表示がされる。なお、確変を決定しない場合には、外れあるいは通常という表示がされる。また、確変回数は、例えばその他に2回という決定がある。・・・。
【0068】このように第3実施例では、特図により確率変動を決定せずに、別遊技により確率変動の発生およびその回数を決定し、通常時は1/3等で確変が発生するが、確変中は確変の発生率を1/5等に落とす乱数制御が行われる。したがって、確率変動中は通常時と比べて確率変動図柄の発生率が低下し、第1実施例と同様に、確率変動中に、再度確変図柄で大当りし、その時点より再度大当りが2回発生するというゲームを少なくすることができる。すなわち、確率変動状態の発生が複数回連続して継続することを抑制することができる。また、特図とは別の遊技で確率変動の発生およびその回数を決定しているので、確実に確率変動状態の抑制を行うことができるとともに、特図とは別の遊技であるから遊技の興趣の向上も可能である。なお、確変中の確率変動の発生率を確率変動の継続回数により徐々に減少させるようにしてもよい。
【0077】確率変動の継続回数が増えるとともに、大当り時における特別変動入賞装置5のカウント数、ラウンド数、賞球数などを少なくすることにより、確率変動継続回数が増えても大当りの出玉を抑制して、射幸心を抑えるようにしてもよい。例えば、確率変動の継続回数が増える毎に、ラウンド数が16R、14R、12R、・・・、カウント数が10個、9個、8個、・・・というような制御を行う。これによると、確率変動の継続するという遊技の面白みを維持しつつ、遊技者の獲得出玉を抑えることができる。
上記実施例では、確変図柄で大当りした場合、例えば確変図柄「3」で大当りした後、「3」の図柄を消去する方法を取っているが、それ以外にも、例えば「3」の図柄を消さずに残しておき、「3」の図柄は以降は確変図柄でなくなるようにしてもよい。その場合には、「3」の図柄は黒塗りの図柄(確変図柄)から白抜きの図柄(通常図柄)に変化させ、確変図柄でなくなったことを遊技者に報知する。これによると、図柄の種類は変わらないから、確率変動の継続を抑制しつつ、遊技の面白みを維持できる。また、「3」の図柄を消さずに残しておき、内部制御で確変中は同一の図柄を出現させないようにしてもよい。
【0078】上記実施例では、確率変動の抑制制御を確率変動が開始されると同時に(確率変動中、常に)行っているが、それ以外にも、例えば確変継続回数が所定回数(例えば、5回等)に達したら確率変動を抑制する制御を開始してもよい。そのようにすると、確率遊技の面白みを変えずに、よりきめ細かく確率変動の連続を抑制することができる。
確率変動回数が増える毎に確率変動の発生率を変更してもよい。例えば、通常時は確率変動の発生率=1/300、確変継続1回目は確率変動の発生率=10/300、確変継続2回目は確率変動の発生率=8/300、・・・というように変更してもよい。また、このような制御を確率変更回数の抑制制御と併せて行ってもよい。これによると、よりきめ細かく確率変動の継続を抑制しつつ、遊技の面白みを維持できる。
【0079】確率変動回数の最高値を、例えば5回に設定(ただし再継続無し)し、「7」の図柄で大当りが発生した場合に確率変動5回、「3」の図柄で大当りが発生した場合に確率変動4回、「5」の図柄で大当りが発生した場合に確率変動3回、・・・というように大当り図柄の種類に応じて確率変動継続回数を規制するようにしてもよい。これによると、大当り発生時の図柄の種類によって、遊技者にワクワクする等の期待感を持たせることができる。
特図の確率変動継続回数が所定値(例えば、5回)に達したら、普図の確率変動制御あるいは普図の時短制御に切り換えてもよい。これによると、普図の方でギャンブル性を抑制することができ、遊技内容の多様化を図ることができる。
との記載が認められる。
また、上記摘記事項および図2・4より、役物制御回路100(役物用IC111)でメイン制御処理(メインルーチン)が行われること(段落【0029】)、メイン制御処理の普段処理では、始動記憶がある場合に、乱数抽出による大当り判定を行っていること(段落【0031】)等から、役物制御回路100は、「大当りを判定する大当り判定手段」を備えているものと認められ、
また、上記摘記事項および図11等より、役物用IC111、ROM112、分周回路113および表示制御回路200は、全体として特別遊技状態発生容易化手段、特別遊技状態発生容易化継続手段および継続抑制手段を構成し、特別遊技状態発生容易化手段は、特別遊技状態(大当り)の発生が特定の条件を満たした発生であった場合に、大当り確率が通常より高くなるように変動させること(段落【0021】)、特定の条件とは、確率変動図柄がゾロ目で揃うことであるが、特別遊技状態の発生に関連して行われる補助可変表示遊技の結果に基づいて成立するようにしてもよいこと(段落【0022】)、役物制御回路100(役物用IC111)でメイン制御処理(メインルーチン)が行われること(段落【0029】)、図柄「3」で大当りが発生すると、特別図柄表示装置4に「3」、「3」、「3」のゾロ目が揃い、「大当り発生」という表示がされ、図柄「3」が揃った直後に特別図柄表示装置4の変動表示部4aを使用して別遊技が行われること(段落【0065】)、別遊技では、所定の乱数を使用し、確変を決定するか否かの遊技および確変を決定した場合の確変回数を何回にするかを決定する遊技が行われること(段落【0066】)等から、役物制御回路100は、「大当り状態の発生に関連して行われる確変と確変回数の獲得状態を判定する特典判定手段」を備えているものと認められ、
また、上記摘記事項および図11等より、役物制御回路100は、パチンコ遊技等に必要な役物制御を行うワンチップマイコンからなる役物用IC111などによって構成されること(段落【0017】)、表示制御回路200は、役物用IC111から表示用制御信号を受けて特別図柄表示装置4の表示制御を行うこと(段落【0019】)、図柄「3」で大当りが発生すると、特別図柄表示装置4に「3」、「3」、「3」のゾロ目が揃い、「大当り発生」という表示がされること(段落【0065】)、別遊技の結果、確変を決定した場合には、確変を決定したことおよび確変回数=1回という表示がされること(段落【0067】)等から、役物制御回路100は、「特別図柄表示装置4に大当りを報知する大当り発生時画面および確変と確変回数の獲得状態を報知する別遊技画面を表示する表示制御手段」を備えているものと認められ、
また、上記摘記事項および図11等より、特別図柄表示装置4は、カラーで特図の静止画および変動画が表示可能な、例えば液晶ディスプレイ(LCD)であり、表示される画像表示情報(特図)としては、例えばリールという回転ドラム上に数字および区切りマークからなる識別情報を表示してもよいこと(段落【0012】)、特別図柄表示装置4に、「大当り発生」という表示がされ、図柄「3」が揃った直後に特別図柄表示装置4の変動表示部4aを使用して別遊技が行われること(段落【0065】)、別遊技の結果、確変を決定した場合には、確変を決定したことおよび確変回数=1回、また、例えばその他に2回という表示がされ、確変を決定しない場合には、外れあるいは通常という表示がされること(段落【0067】)等より、特別図柄表示装置4は、「確変と確変回数の獲得状態が確変決定エリアおよび確変回数エリアを表示することで別遊技画面に確変と確変回数の1つの組合せを表示する」ものと解される。以上を踏まえれば、引用例には、

「大当りを判定する大当り判定手段と、
大当り状態の発生に関連して行われる確変と確変回数の獲得状態を判定する特典判定手段と、
遊技盤1に備えられた特別図柄表示装置4と、
前記大当り判定手段および前記特典判定手段が大当りおよび確変と確変回数の獲得状態を判定すると、前記特別図柄表示装置4に大当りを報知する大当り発生時画面および確変と確変回数の獲得状態を報知する別遊技画面を表示する表示制御手段とを備え、
前記表示制御手段は、
前記大当り発生時画面を表示した後に前記大当り発生時画面を消去して前記別遊技画面を表示すると共に、
確変と確変回数の獲得状態が確変決定エリアおよび確変回数エリアを表示することで前記別遊技画面に確変と確変回数の1つの組合せを表示し、
前記特典判定手段の判定結果に応じた確変を決定するか否かの遊技および確変を決定した場合の確変回数を何回にするかを決定する遊技が行われる表示を行って確変と確変回数の獲得状態を報知する遊技機。」

との発明(以下「引用例発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例発明とを比較すると、引用例発明の「大当り状態の発生に関連して行われる」は本願補正発明の「大当りに付随する」に相当し、以下同様に、「遊技盤1」は「遊技盤」に、「備えられた」は「固定された」に、「特別図柄表示装置4」は「表示手段」に、「大当り発生時画面」は「大当り画面」に、「別遊技画面」は「特典画面」に、「確変決定エリアおよび確変回数エリア」は「複数の告知エリア」に、「遊技機」は「パチンコ機」にそれぞれ相当している。

また、引用例発明の「確変と確変回数」と本願補正発明の「複数の特典」は、「複数の特別権利」で共通し、引用例発明の「確変を決定するか否かの遊技および確変を決定した場合の確変回数を何回にするかを決定する遊技が行われる表示」と、本願補正発明の「告知エリアの背景を残りの告知エリアの背景と異なる色彩で表示することで表示した全ての組合せから1つを選択する表示」は、「特定の演出をする表示」で共通する。したがって、両者は、

「大当りを判定する大当り判定手段と、
大当りに付随する複数の特別権利の獲得状態を判定する特典判定手段と、
遊技盤に固定された表示手段と、
前記大当り判定手段および前記特典判定手段が大当りおよび複数の特別権利の獲得状態を判定すると、前記表示手段に大当りを報知する大当り画面および複数の特別権利の獲得状態を報知する特典画面を表示する表示制御手段とを備え、
前記表示制御手段は、
前記大当り画面を表示した後に前記大当り画面を消去して前記特典画面を表示すると共に、
複数の特別権利の獲得状態が複数の告知エリアを表示することで前記特典画面に複数の特別権利の組合せを表示し、
前記特典判定手段の判定結果に応じた特定の演出をする表示を行って複数の特別権利の獲得状態を報知するパチンコ機。」

の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1、複数の特別権利において、本願補正発明では、「複数の特典」であるのに対して、引用例発明では「確変と確変回数」である点。

相違点2、表示制御手段が特典画面に複数の特典の獲得状態を報知することにおいて、本願補正発明では、「同時に」報知するのに対して、引用例発明では同時であるかどうか不明である点。

相違点3、複数の告知エリアを表示することにおいて、本願補正発明では、「同一の色彩の背景」であるのに対して、引用例発明では同一の色彩の背景であるかどうか不明である点。

相違点4、複数の告知エリアを表示することで特典画面に複数の特典の組合せを表示するのに、本願補正発明では、「全ての組合せ」を表示するとともに、特典判定手段の判定結果に応じた特定の演出をする表示を行って複数の特典の獲得状態を報知することにおいて、特定の演出をする表示が、「告知エリアの背景を残りの告知エリアの背景と異なる色彩で表示することで表示した全ての組合せから1つを選択する表示」を行うのに対して、引用例発明では、「1つの組合せ」であるとともに、特典判定手段の判定結果に応じた特定の演出をする表示を行って複数の特典の獲得状態を報知することにおいて、特定の演出をする表示が、「確変を決定するか否かの遊技および確変を決定した場合の確変回数を何回にするかを決定する遊技が行われる表示」を行うものであり、本願補正発明のような演出手段となっていない点。

(4)判断
上記相違点について検討する。

相違点1について、本願補正発明は、発明の詳細な説明から、複数の特別権利が、確率変動、大当たりラウンド数または時間短縮と時間短縮の継続回数の組み合わせと解される。これらの特別権利は、それぞれ互いに独立した種別の特典である。また、引用例発明は、確変と確変回数の組み合わせであり、この特別権利は、相互に関連した種別の特典である。そこで両者を比較すると、両者は、複数の特別権利が、独立した権利と関連した権利の違いであるが、従来、ラウンド数、確率の高低、変動表示時間の短縮などの特典を組み合わせることが周知{一例として、特開平11-76537号公報(段落【0009】等)参照。}である(以下、「周知技術A」という。)から、引用例発明の確変と確変回数に代えて、前記周知技術Aを適用して、本願補正発明の相違点1に係る複数の特典とすることに格別の創意工夫を要したとはいえず、当業者が必要に応じて容易に想到し得るものといえる。

相違点2について、遊技機分野における表示制御回路において、一般的に、画像表示部に2つの情報を同時に報知する画面を表示することが周知{例えば、特開平9-122316号公報(段落【0017】、【0036】等、図25等)、特開平9-262347号公報(段落【0034】、【0035】等、図16、17等)参照。}である(以下、「周知技術B」という。)から、引用例発明の確変と確変回数の獲得状態を報知する構成に、前記周知技術Bを適用して、本願補正発明の相違点2に係る確変と確変回数の獲得状態を同時に報知する構成とすることに格別の創意工夫を要したとはいえず、当業者が必要に応じて容易に想到し得るものといえる。

相違点3について、遊技機分野において、複数の確定図柄情報が同一の背景色で表示された複数の図柄の表示部を表示することが周知{一例として、特開平10-127875号公報(段落【0123】等、図14等)参照。}である(以下、「周知技術C」という。)から、引用例発明の確変決定エリアおよび確変回数エリアの構成に、前記周知技術Cを適用して、本願補正発明の相違点3に係る確変決定エリアおよび確変回数エリアを同一の色彩の背景の構成とすることに格別の創意工夫を要したとはいえず、当業者が必要に応じて容易に想到し得るものといえる。

相違点4について、遊技機分野において、ルーレット様式のゲームで、ボーナス決定ゲーム画面に普図の可変表示遊技の時間短縮の内容の全ての組合せを表示すること、および、前記時間短縮内容が決まった区域を残りの区域と区別するよう矢印で表示することで表示した全ての組合せから1つを選択する表示を行うことが周知{一例として、特開平9-94328号公報(段落【0215】、【0216】等、図27等)参照。}であり(以下、「周知技術D」という。)、またさらに、有用区画を他の区画と背景の色を変えて区別することも周知{例えば、実願平4-4749号(実開平5-56192号)のCD-ROM(段落【0009】等、図1)、特開平10-85408号公報(段落【0034】、【0035】等、図16、17等)参照。}である(以下、「周知技術E」という。)から、引用例発明の確変と確変回数の1つの組合せ、および、確変を決定するか否かの遊技および確変を決定した場合の確変回数を何回にするかを決定する遊技が行われる表示に代え、前記周知技術D、Eを適用して、本願補正発明の相違点4に係る複数の特典の全ての組合せの構成とするとともに、告知エリアの背景を残りの告知エリアの背景と異なる色彩で表示することで表示した全ての組合せから1つを選択する表示とすることに格別の創意工夫を要したとはいえず、当業者が必要に応じて容易に想到し得るものといえる。

そして、本願補正発明が奏する効果は、引用例発明および周知技術A?Eから当業者が予測し得るものであって格別のものとは認められない。
したがって、本願補正発明は、引用例発明および周知技術A?Eに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成16年3月16日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成15年10月8日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「大当りを判定する大当り判定手段と、
大当りに付随する複数の特典の獲得状態を判定する特典判定手段と、
遊技盤に固定された表示手段と、
前記大当り判定手段および前記特典判定手段が大当りおよび複数の特典の獲得状態を判定すると、前記表示手段に大当りを報知する大当り画面および複数の特典の獲得状態を同時に報知する特典画面を表示する表示制御手段とを備え、
前記表示制御手段は、
前記大当り画面を表示した後に前記大当り画面を消去して前記特典画面を表示すると共に、
前記特典画面に複数の特典の全ての組合せを表示し、表示した全ての組合せから1つを選択する表示を行うことで複数の特典の獲得状態を報知する
ことを特徴とするパチンコ機。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例発明および周知技術A?Eに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例発明および周知技術A?Eに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例発明および周知技術A?Eに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-12-14 
結審通知日 2007-12-18 
審決日 2008-01-09 
出願番号 特願平11-266998
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 仁之▲吉▼川 康史  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 土屋 保光
林 晴男
発明の名称 パチンコ機  
代理人 佐藤 強  

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