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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1173700
審判番号 不服2004-21087  
総通号数 100 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-10-12 
確定日 2008-02-25 
事件の表示 特願2000-273217「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成14年3月19日出願公開、特開2002-78851〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成12年9月8日の出願であって、平成16年9月3日付で拒絶査定がなされたところ、これに対し、同年10月12日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年11月11日付で手続補正がなされたものである。

2 平成16年11月11日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成16年11月11日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
平成16年11月11日付の手続補正(以下、「本件補正」という)により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。

「表示窓に対して複数種の図柄を順次移動させて表示する複数の図柄表示手段と、
これら複数の図柄表示手段を通常始動させる始動信号を出力する始動操作部と、
始動後の各図柄表示手段をそれぞれ停止させる停止信号を出力する停止操作部と、
始動操作部が操作されたとき、表示窓の入賞ライン上に停止する図柄表示手段の図柄組合せを抽選する抽選手段を備えているスロットマシンであって、
抽選手段で抽選される当選図柄毎に、抽選情報を演出表示する複数の演出形態と抽選情報の閲覧権利が得られたことを表示する演出形態とを記憶する記憶装置と、
抽選手段による抽選結果に基づいて記憶装置に記憶されている抽選結果に対応する演出形態の中から一つの演出形態を抽選する演出抽選手段と、
演出抽選手段で抽選された演出形態を停止操作部の操作前に表示させる情報表示手段を設けるとともに、
前記図柄表示手段が作動停止してから表示窓の入賞ライン上に停止する図柄表示手段の図柄組合せを判定するまでの間において、前記演出抽選手段で次のゲーム時に抽選情報を閲覧できる情報閲覧権利が抽選されていることに基づいて、情報閲覧権利獲得の演出形態を情報表示手段で表示させるとともに情報閲覧権利獲得フラグをONにする手段を設け、
更に、前記情報表示手段での抽選演出形態の表示後に停止操作部が操作されたか否かを判別する判別手段の判別結果が非操作状態にあり、かつ、情報閲覧権利獲得フラグがONにあるか否かを判別する判別手段の判別結果がON状態にあるとき、前記表示操作部の操作に基づいて情報閲覧権利獲得フラグをOFFにするとともに情報表示手段に抽選情報を演出表示させる手段を設けてあるスロットマシン。」

上記補正は、平成16年7月12日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された「情報閲覧権利獲得の演出形態を情報表示手段で表示させるように構成してある」及び「情報表示手段に抽選情報を演出表示させるように構成し」との発明特定事項について、「情報閲覧権利獲得の演出形態を情報表示手段で表示させるとともに情報閲覧権利獲得フラグをONにする手段」及び「前記表示操作部の操作に基づいて情報閲覧権利獲得フラグをOFFにするとともに情報表示手段に抽選情報を演出表示させる手段」との限定を付加する補正を含んでおり、この補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-229144号公報(以下、「引用例1」という)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

ア.「【0025】【実施例】図1は、この発明の一実施例にかかるスロットマシンの外観を、図2は機体内部の構成を、それぞれ示す。図示例のスロットマシン1は、ボックス形状の本体部2の前面開口に扉部3を開閉可能に取り付けて成る。前記本体部2の中空内部には、上段位置にリールブロック4や、後記する制御部が搭載された制御基板5などが組み込まれ、下段位置には多数枚のメダルを収容するホッパー6aを有するメダル払出機6などが組み込まれている。
【0026】前記リールブロック4は、金属フレーム7に3個のリール8a,8b,8c、が、駆動源となるステッピングモータ9a,9b,9cとともに組み付けられている。各リール8a,8b,8cの外周面には、図柄,文字,数字などの複数種のシンボルが配置されており、その幾つかのシンボルは、入賞を成立させるための入賞シンボルを構成する。」
イ.「【0028】正面パネル11と下部パネル13との間には、始動レバー14,停止釦スイッチ15a,15b,15c,ベット釦スイッチ17,18,19,精算スイッチ22,切換スイッチ23など、ゲーム実行のための各種操作スイッチが配備されるほか、メダルを直接機体に投入するためのメダル投入口16やフラグ報知モード選択用の選択操作部21(詳細は後記する)が設けられる。また下部パネル13の下方には、メダル払出口25,メダル受け皿24などが設けられる。」
ウ.「【0030】中央の正面パネル11には、図3に示すようなシンボル表示部20が形成される。前記シンボル表示部20には、正面パネル11上にカラー印刷層で囲まれた透明の3個のシンボル表示窓20a,20b,20cが横一列に形成されて成る。各シンボル表示窓20a,20b,20cの背後位置には、前記リールブロック4の3個のリール8a,8b,8cが、外周面をシンボル表示窓20a,20b,20cに向けて配置されている。」
エ.「【0035】さらにこの実施例のスロットマシンは、始動レバー14の操作により各リール8a,8b,8cが始動した直後に、制御部内で抽選を実施し、その抽選結果に応じて入賞ライン上に成立させるシンボルの組合せを決定するようにしている。そして停止釦スイッチ15a,15b,15cが操作される都度、対応するリール8a,8b,8cに対し、それぞれ入賞ライン上に目的とするシンボルが移動するまで引き込んでから停止させる「引込み制御」を実施する。特に前記抽選が「大当たり」となった場合には、入賞ライン上に数字の「7」のシンボル組合せが成立するような引込み制御を行い、さらに「7」のシンボル組合せの成立に応じて、入賞確率の高いボーナスゲームを複数回実行する。」
オ.「【0044】前記CPU32には、バス31を介して各種の入出力部が接続され、CPU32は、ROM33内のプログラムに基づき、各種入力信号を認識しつつ、出力部に駆動信号を与えて、ゲームに関わる一連の処理を実行する。入力部としては、前記メダル払出機6,始動レバー14,停止釦スイッチ15a,15b,15c,ベッド釦スイッチ17,18,19,精算スイッチ22,切換スイッチ23,選択スイッチ21a,21b,21cのほか、メダル投入口16より投入されたメダルを検知するためのメダル検知センサ37などが接続される。また出力部としては、前記ステッピングモータ9a,9b,9cを駆動するリール駆動部36や当たり報知ランプ27などの表示器、ならびに効果音などを出力する音声回路(図示せず)が接続される。
【0045】上記構成において、CPU32は、まずメダル投入口16へのメダル投入またはベッド釦スイッチ17,18,19の操作に応じていずれかの入賞ラインを有効化する。ついで始動レバー14が操作されると、CPU32は、抽選処理を行うと同時に、リール駆動部36を駆動して3個のリール8a,8b,8cを一斉に回転させる。以後、停止釦スイッチ15a,15b,15cが押操作される都度、対応するリール8a,8b,8cを、抽選結果に応じて所定の回転位置まで引き込んで停止させる。
【0046】なお上記した抽選処理は、前記乱数発生器35の出力した乱数値をサンプリングして、そのサンプリング値をROM33内の抽選テーブルと照合することにより行われる。またリールの引込み停止制御は、各リール8a,8b,8c毎に、対応するステッピングモータ9a,9b,9cに与える駆動信号をカウントしつつリールの回転位置を逐次確認し、目的とする回転位置に到達した時点でステッピングモータ9a,9b,9cを停止させることにより実現するものである。ただしいずれの制御も公知のものであるので、ここでは詳細な説明は省略することにする。
【0047】図6は、この発明にかかるスロットマシンの他の例を示す。この実施例のスロットマシン1は、制御部30内でフラグ報知を行うかどうかを選択し、その選択に応じて、適宜、当たり報知ランプ27によるフラグ報知を実行するようにしたもので、前記選択操作部21に代えて、正面パネル11のシンボル表示部の近傍位置に、モード表示ランプ38を配備している。
【0048】このモード表示ランプ38は、機体がフラグ報知を行うように設定されている状態下で点灯するもので、この点灯の有無により、遊技者に、報知モードであるか、非報知モードであるかが報知される。なおその他の構成については図1と同様であるから、各部に同一の符号を付すことにより、詳細な説明を省略する。」
カ.「【0069】図10は、選択操作部21に単一の押釦スイッチを設け、そのスイッチ操作に応じてその時点での入賞フラグの設定状態を報知するようにしたスロットマシンの制御手順を示す。なおゲーム実行のための主要な手順は図7,8と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0070】図示の手順では、全てのリール8a,8b,8cが停止して入賞ライン上に入賞以外のシンボル組合せが成立したとき、および各リール8a,8b,8cが回転してからすべてのリールが停止するまでの間に、スイッチ操作を受け付け、入賞フラグFBの設定状態を遊技者に報知するようにしている。
【0071】各リール8a,8b,8cが停止して特別入賞、一般入賞のいずれも成立しなかった場合に、遊技者が選択操作部21の押釦スイッチを操作すると、ST15が「YES」となる。これを受けてCPU32は、入賞フラグFBの設定状態をチェックし、入賞フラグFBがセットされている場合には、当たり報知ランプ27を点灯させる(ST16,17)。なおこの当たり報知ランプ27の点灯状態は、つぎのゲームの開始操作に応じて解除される(ST2,23)。
【0072】また各リール8a,8b,8cが始動してからすべてのリールが停止するまでの間のいずれかのリールに対する停止操作の前に前記押釦スイッチが操作されると、ST8の「NO」判定に続いてST18が「YES」となる。これを受けてCPU32は、前記と同様に、入賞フラグFBの設定状態をチェックし、入賞フラグFBがセットされている場合には、当たり報知ランプ27を点灯させる(ST19,20)。なおこの場合の当たり報知ランプ27の点灯状態は、最初の停止操作がなされたことに伴い、解除される(ST21,22)。
【0073】上記のような制御手順によれば、遊技者は、入賞ライン上に成立したシンボル組合せから入賞フラグが設定されている可能性があると感じたときなどにスイッチ操作を行って、入賞フラグの設定の有無を確認することができる。特にリーチ目やパターン目について、ある程度の知識を持つ中級の遊技者にとって、このようなフラグの設定状態を必要に応じて確認できる方式のスロットマシンは、ゲーム内容への理解を深める上で最適であり、また自身の予想と実際のフラグ設定とが一致するかどうかを確認できるという、これまでにないゲーム性を提供することができる。」
キ.「【0075】つぎの図11?14の各制御手順は、図6に示したフラグ報知用のモードを自動的に変更するタイプのスロットマシンに導入されるものである。なおいずれの手順においても、ゲームにかかる主要な手順は、図7,8と同様であるので、詳細な説明は省略する。また図示の手順には含んでいないが、各実施例とも、機体が報知モードに設定されている間は、前記モード表示ランプ38を点灯動作させている。」
ク.「【0086】つぎに図13および図14に示す処理は、抽選により、報知モード、非報知モードのいずれかを選択するようにしたものである。この実施例では、初期状態では、機体は非報知モードに設定される(ST1)。この非報知モード下においては、ST2のゲーム開始操作に応じて各リール8a,8b,8cが始動すると、これらリールの停止制御用の抽選に先立ち、モード変更用の抽選が行われる(ST4,5)。さらにこの抽選が当たりになると、つぎのST6が「YES」となり、ST7で機体は報知モードに切り換えられる。
【0087】以下、報知モード下では、入賞フラグFBが設定されたことに応じて、当たり報知ランプ27が点灯し、その点灯状態が特別入賞が成立するまで保持される(ST12?ST20)。なおこの報知モードは、特別入賞の出現に応じて解除され、再び非報知モードへと移行する(ST21)。
【0088】一方、非報知モード下で入賞フラグFBが設定された場合は、なんら報知は行われないが、一度設定された入賞フラグFBが特別入賞が成立するまで保持される点は、報知モード下と同様である。したがって非報知モード下において、入賞フラグFBが持越しされた状態で前記モード変更用の抽選が当たりになると、ST8からST24、25を介してST13へと移行する。これにより当たり報知ランプ27が点灯して、入賞フラグFBが持ち越されていたことが報知される。
【0089】なお上記実施例では、非報知モード下において報知モードに切り換えるか否かを決定しているが、反対に最初は報知モードに設定しておき、非報知モードに切り換えるかどうかを決定するようにしてもよい。また現在設定されているモードに関わらず、所定時間おき、または所定数のゲームが実行される毎に、モードを切り換えるか否かを決定するようにしてもよい。」

以上の記載事項ア?オ、キ、クを参酌すると、引用例1には次の発明(以下、「引用発明1-1」という)が記載されているものと認められる。

「3個のシンボル表示窓20a,20b,20cの背後位置には、外周面に、図柄,文字,数字などの複数種のシンボルが配置された3個のリール8a,8b,8cが、外周面をシンボル表示窓20a,20b,20cに向けて配置され、
CPU32は、始動レバー14,停止釦スイッチ15a,15b,15cを入力部として各種入力信号を認識しつつ、出力部に駆動信号を与えて、ゲームに関わる一連の処理を実行するものであり、まずメダル投入口16へのメダル投入またはベッド釦スイッチ17,18,19の操作に応じていずれかの入賞ラインを有効化し、ついで始動レバー14が操作されると、抽選処理を行うと同時に、リール駆動部36を駆動して3個のリール8a,8b,8cを一斉に回転させ、以後、停止釦スイッチ15a,15b,15cが押操作される都度、対応するリール8a,8b,8cを、抽選結果に応じて所定の回転位置まで引き込んで停止させ、
初期状態では、機体は非報知モードに設定され、この非報知モード下においては、ゲーム開始操作に応じて各リール8a,8b,8cが始動すると、これらリールの停止制御用の抽選に先立ち、モード変更用の抽選が行われ、この抽選が当たりになると、機体は報知モードに切り換えられ、報知モード下では、入賞フラグFBが設定されたことに応じて、当たり報知ランプ27が点灯し、その点灯状態が特別入賞が成立するまで保持され、この報知モードは、特別入賞の出現に応じて解除され、再び非報知モードへと移行するものであり、
機体が報知モードに設定されている間は、モード表示ランプ38を点灯動作させているスロットマシン1。」

また、上記の記載事項カを参酌すると、引用例1にはさらに次の発明(以下、「引用発明1-2」という)が記載されているものと認められる。

「各リール8a,8b,8cが始動してからすべてのリールが停止するまでの間のいずれかのリールに対する停止操作の前に押釦スイッチが操作されると、これを受けてCPU32は、入賞フラグFBの設定状態をチェックし、入賞フラグFBがセットされている場合には、当たり報知ランプ27を点灯させるスロットマシン1。」

そして、原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-206960号公報(以下、「引用例2」という)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

「【0033】図3において、初めに遊技機(スロットマシン1)の電源がオンになると(ステップST1)、制御手段としてのCPUは、表示画面6の画面に「ルーチンパターン」を表示させる(ST2)。ここで遊技者が所定の操作をすると、すなわち、メダル投入口7にメダルを投入し、1-BETスイッチ9又は最大BETスイッチ10を操作した後、スタートレバー5又はスピンスイッチ8を操作すると、リール4L,4C,4Rが回転して可変表示を開始する(ST3)。この時、乱数サンプリングにより抽出した乱数に基づいて入賞/非入賞の判定を行う(ST4)。そして「入賞リクエスト信号」が発生したかどうかを判定し(ST5)、その判定結果に応じて表示画像を決定する。すなわち、「入賞リクエスト信号」が発生していなければ、「ハズレ」用の演出パターン群の中から特定の演出パターンを選択する(ST6)。「入賞リクエスト信号」が発生したときは、その「入賞リクエスト信号」が「大当り」に該当するか否かを判定し(ST7)、“NO”であれば「小当り」用の演出パターン群の中から特定の「小当り」用の演出パターンを選択し(ST8)、“YES”であれば「大当り」用の演出パターン群の中から特定の「大当り」用の演出パターンを選択する(ST9)。ここで、上記各演出パターン群(「ハズレ」用の演出パターン群,「当り」用の演出パターン群,「大当り」用の演出パターン群)はそれぞれ複数の演出パターンで形成し、ROM22に収められている。そして、このように選択したパターンを液晶表示器6に表示させ(ST10)、回転中のリール4L,4C,4Rについて入賞リクエスト信号に応じた停止制御を行って(ST11)、終了する。」

以上の記載事項を参酌すると、引用例2には次の発明(以下、「引用発明2」という)が記載されているものと認められる。

「乱数サンプリングにより抽出した乱数に基づいて入賞/非入賞の判定を行い、「入賞リクエスト信号」が発生していなければ、「ハズレ」用の演出パターン群の中から特定の演出パターンを選択し、「入賞リクエスト信号」が発生したときは、その「入賞リクエスト信号」が「大当り」に該当するか否かを判定し、“NO”であれば「小当り」用の演出パターン群の中から特定の「小当り」用の演出パターンを選択し、“YES”であれば「大当り」用の演出パターン群の中から特定の「大当り」用の演出パターンを選択し、ここで、上記各演出パターン群はそれぞれ複数の演出パターンで形成してROM22に収められており、このように選択したパターンを液晶表示器6に表示させた後、回転中のリール4L,4C,4Rについて入賞リクエスト信号に応じた停止制御を行うスロットマシン1。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明1-1を比較する。
引用発明1-1の「シンボル表示窓20a,20b,20c」は本願補正発明の「表示窓」に相当し、以下同様に、「シンボル」は「図柄」に、「始動レバー14」は「始動操作部」に、「停止釦スイッチ15a,15b,15c」は「停止操作部」に、「スロットマシン1」は「スロットマシン」にそれぞれ相当し、さらに以下のことが言える。
引用発明1-1の「3個のリール8a,8b,8c」に配置されたシンボル(図柄)は、「リール駆動部36を駆動して3個のリール8a,8b,8cを一斉に回転させ」ることによって「シンボル表示窓20a,20b,20c」(表示窓)に対して順次移動させて表示されることは明らかであり、「シンボル表示窓20a,20b,20c」と「リール8a,8b,8c」からなる事項は、本願補正発明の「複数の図柄表示手段」に対応する。
引用発明1-1において、「CPU32は、始動レバー14,停止釦スイッチ15a,15b,15cを入力部として各種入力信号を認識」することから、「始動レバー14」(始動操作部)及び「停止釦スイッチ15a,15b,15c」(停止操作部)は、それぞれ「始動信号」及び「停止信号」を出力することは自明である。
引用発明1-1は「始動レバー14が操作されると、抽選処理を行う」のであるから、「抽選手段」を備えていることは自明であり、該抽選手段の抽選結果に応じて、「停止釦スイッチ15a,15b,15cが押操作される都度、対応するリール8a,8b,8cを・・・所定の回転位置まで引き込んで停止させ」るのであるから、引用発明1-1は、本願補正発明の「始動操作部が操作されたとき、表示窓の入賞ライン上に停止する図柄表示手段の図柄組合せを抽選する抽選手段」を実質的に備えている。
引用発明1-1の「モード変更用の抽選」は、「この抽選が当たりになると、機体は報知モードに切り換えられ、報知モード下では、入賞フラグFBが設定されたことに応じて、当たり報知ランプ27が点灯」するものであり、「機体が報知モードに設定されている間は、モード表示ランプ38を点灯動作させ」ることになる。ここで、「入賞フラグFBが設定されたことに応じて、当たり報知ランプ27が点灯」するということは、本願補正発明において「情報表示手段に抽選情報を演出表示させる」ことによって「抽選情報を閲覧できる」ということと実質的に異ならず、「モード変更用の抽選」を行う手段は、「抽選情報を閲覧できる情報閲覧権利」を抽選するという意味において、本願補正発明の「演出抽選手段」に対応するものである。また、「機体が報知モードに設定されている間は、モード表示ランプ38を点灯動作させ」る事項は、本願補正発明の「情報閲覧権利獲得の演出形態を情報表示手段で表示させる」事項に対応する。そして、引用発明1-1が「報知モード」にある状態とは、本願補正発明において「情報閲覧権利獲得フラグがONにある」状態に他ならず、引用発明1-1が該フラグを「ONにする手段」及び「ONにあるか否かを判別する判別手段」を備えていることは自明である。

したがって、両者は、
「表示窓に対して複数種の図柄を順次移動させて表示する複数の図柄表示手段と、
これら複数の図柄表示手段を通常始動させる始動信号を出力する始動操作部と、
始動後の各図柄表示手段をそれぞれ停止させる停止信号を出力する停止操作部と、
始動操作部が操作されたとき、表示窓の入賞ライン上に停止する図柄表示手段の図柄組合せを抽選する抽選手段を備えているスロットマシンであって、
演出抽選手段で抽選情報を閲覧できる情報閲覧権利が抽選されていることに基づいて、情報閲覧権利獲得の演出形態を情報表示手段で表示させるとともに情報閲覧権利獲得フラグをONにする手段を設け、
更に、前記情報表示手段での抽選演出形態の表示後に、情報閲覧権利獲得フラグがONにあるか否かを判別する判別手段の判別結果がON状態にあるとき、情報表示手段に抽選情報を演出表示させる手段を設けてあるスロットマシン。」
で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願発明では、抽選手段で抽選される当選図柄毎に、抽選情報を演出表示する複数の演出形態と抽選情報の閲覧権利が得られたことを表示する演出形態とを記憶する記憶装置と、抽選手段による抽選結果に基づいて記憶装置に記憶されている抽選結果に対応する演出形態の中から一つの演出形態を抽選する演出抽選手段と、演出抽選手段で抽選された演出形態を停止操作部の操作前に表示させる情報表示手段を設けるのに対して、引用発明1-1では、かかる記憶装置は設けておらず、演出抽選手段は演出形態を抽選するものではなく、情報表示手段は演出抽選手段で抽選された演出形態を表示するものではない点。

(相違点2)
演出抽選手段で抽選情報を閲覧できる情報閲覧権利が抽選されていることに基づいて、情報閲覧権利獲得の演出形態を情報表示手段で表示させるとともに情報閲覧権利獲得フラグをONにするにあたり、本願発明では、抽選情報を閲覧できるのは次のゲーム時であり、図柄表示手段が作動停止してから表示窓の入賞ライン上に停止する図柄表示手段の図柄組合せを判定するまでの間において表示及びフラグのONが実行されるのに対して、引用発明1-1では、実行中のゲーム以降の抽選情報を閲覧でき、演出抽選手段でかかる権利が抽選されると直ちに表示及びフラグのONが実行される点。

(相違点3)
情報閲覧権利獲得フラグがON状態にあるとき、情報表示手段に抽選情報を演出表示させるにあたり、本願発明では、停止操作部が操作されたか否かを判別する判別手段の判別結果が非操作状態にあるときの表示操作部の操作に基づいて行われ、情報閲覧権利獲得フラグはOFFにされるのに対して、引用発明1-1では、常に情報表示手段(報知ランプ27)に抽選情報が演出表示(点灯することによるフラグ報知)が行われ、情報閲覧権利獲得フラグは特別入賞の出現までOFFにされない点。

(4)判断
相違点1について検討する。
引用発明2の「小当り」及び「大当り」は「抽選手段で抽選される当選種類」と言うことができ、「各演出パターン群はそれぞれ複数の演出パターンで形成してROM22に収められて」ている事項は、本願補正発明の「抽選情報を演出表示する複数の演出形態を記憶する記憶装置」を備えた事項に対応する。また、引用発明2において「演出パターン群の中から特定の演出パターンを選択」するにあたり、抽選手段によって選択することは常套手段であるから、本願補正発明の「抽選手段による抽選結果に基づいて記憶装置に記憶されている抽選結果に対応する演出形態の中から一つの演出形態を抽選する演出抽選手段」を実質的に備えていると言える。さらに、引用発明2の「このように選択したパターンを液晶表示器6に表示させた後、回転中のリール4L,4C,4Rについて入賞リクエスト信号に応じた停止制御を行う」事項について、「選択したパターンを液晶表示器6に表示させ」ることは、本願補正発明において「演出抽選手段で抽選された演出形態」を「情報表示手段」に表示させることに対応し、該表示は、「回転中のリール4L,4C,4Rについて入賞リクエスト信号に応じた停止制御を行う」前、すなわち「停止操作部の操作前」になされる。
よって、引用発明2は、「抽選手段で抽選される当選種類毎に、抽選情報を演出表示する複数の演出形態を記憶する記憶装置と、抽選手段による抽選結果に基づいて記憶装置に記憶されている抽選結果に対応する演出形態の中から一つの演出形態を抽選する演出抽選手段と、演出抽選手段で抽選された演出形態を停止操作部の操作前に表示させる情報表示手段を設けたスロットマシン」の発明と換言することができる。
引用発明1-1及び引用発明2は、何れもスロットマシンに関するものであり、しかも両者は抽選情報を演出表示するものである点でも共通するから、引用発明1-1に引用発明2を適用することは、当業者であれば容易になしえるものである。そして、該適用の際、演出形態の記憶・抽選・表示を「小当り」「大当り」の「当選種類毎」に行うことに代えて、「当選図柄毎」に行うようにすること、及び、抽選情報の閲覧権利が得られたことを表示する演出形態についても他の演出形態と同様に記憶・抽選・表示するようにすることは、何れも当業者にとっては設計的事項の範囲のものである。
よって、相違点1にかかる本願補正発明の構成は、引用発明1-1及び引用発明2に基づいて当業者であれば容易に想到しえるものである。

次に、相違点2について検討する。
引用発明1-1では、演出抽選手段で抽選情報を閲覧できる情報閲覧権利が抽選されたとき、抽選情報の閲覧は、実行中のゲーム以降において可能であるが、これを次ゲームにおいて可能とするように変更することは、当業者にとっては設計的事項の範囲のものである。そして、次ゲームにおいて可能とするように変更した場合、情報閲覧権利獲得の演出形態の表示及び情報閲覧権利獲得フラグのONを実行するタイミングは、次のゲームが開始されるまでに行われることを条件として定めることができるから、該タイミングを図柄表示手段が作動停止してから表示窓の入賞ライン上に停止する図柄表示手段の図柄組合せを判定するまでの間とすることは当業者であれば適宜なしえる事項である。
よって、相違点2にかかる本願補正発明の構成は、当業者にとっては設計的事項の範囲のものである。

最後に、相違点3について検討する。
引用例1の第10図は引用発明1-2の制御手順を示すものであるが、該図中「ST8」のステップは「停止操作が操作されたか否かを判別する」ものであり、かかる判別を行うために「判別手段」を備えることは自明である。また、「押釦スイッチ」の操作は、本願補正発明の「表示操作部の操作」に対応するから、引用発明1-2は「停止操作部が操作されたか否かを判別する判別手段の判別結果が非操作状態にあるときの表示操作部の操作に基づいて、情報表示手段に抽選情報を演出表示するスロットマシン」の発明と換言することができる。
そして、情報閲覧権利獲得フラグがON状態にあるという条件の下で、引用発明1-1の「常に情報表示手段に抽選情報が演出表示が行われる」という事項に換えて、引用発明1-2を採用することは、当業者であれば容易になしえるものである。また、引用例1に「現在設定されているモードに関わらず、所定時間おき、または所定数のゲームが実行される毎に、モードを切り換えるか否かを決定するようにしてもよい。」(段落0089、記載事項(2)ク参照)と例示されるように、報知又は非報知のモードを切り換える(情報閲覧権利獲得フラグをON又はOFFにする)タイミングは、スロットマシンの遊技性等を考慮しつつ、当業者が適宜定めるものであり、抽選情報を演出表示が行われると情報閲覧権利獲得フラグをOFFにするようにすることは、当業者が適宜なしえる設計的事項にすぎない。
よって、相違点3にかかる本願補正発明の構成は、引用発明1-1及び引用発明1-2に基づいて当業者であれば容易に想到しえるものである。

また、本願補正発明の作用効果も引用発明1-1、引用発明1-2及び引用発明2に記載された技術事項から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明1-1、引用発明1-2及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3 本願発明について
(1)本願発明
平成16年11月11日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1及び2に係る発明は、平成16年7月12日付手続補正書の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである。

「表示窓に対して複数種の図柄を順次移動させて表示する複数の図柄表示手段と、
これら複数の図柄表示手段を通常始動させる始動信号を出力する始動操作部と、
始動後の各図柄表示手段をそれぞれ停止させる停止信号を出力する停止操作部と、
始動操作部が操作されたとき、表示窓の入賞ライン上に停止する図柄表示手段の図柄組合せを抽選する抽選手段を備えているスロットマシンであって、
抽選手段で抽選される当選図柄毎に、抽選情報を演出表示する複数の演出形態と抽選情報の閲覧権利が得られたことを表示する演出形態とを記憶する記憶装置と、
抽選手段による抽選結果に基づいて記憶装置に記憶されている抽選結果に対応する演出形態の中から一つの演出形態を抽選する演出抽選手段と、
演出抽選手段で抽選された演出形態を停止操作部の操作前に表示させる情報表示手段を設けるとともに、
この情報表示手段での抽選演出形態の表示後で、かつ、停止操作部が操作される前に遊技者によって表示操作部が操作されたことに基づいて、前のゲームで情報閲覧権利が獲得されている条件下において、情報表示手段に抽選情報を演出表示させるように構成し、
更に、図柄表示手段が作動停止してから表示窓の入賞ライン上に停止する図柄表示手段の図柄組合せを判定するまでの間において、前記演出抽選手段で次のゲーム時に抽選情報を閲覧できる情報閲覧権利が抽選されているとき、情報閲覧権利獲得の演出形態を情報表示手段で表示させるように構成してあるスロットマシン。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は前記2(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、前記2で検討した本願補正発明から「情報閲覧権利獲得の演出形態を情報表示手段で表示させるとともに情報閲覧権利獲得フラグをONにする手段」及び「前記表示操作部の操作に基づいて情報閲覧権利獲得フラグをOFFにするとともに情報表示手段に抽選情報を演出表示させる手段」との発明特定事項について、「情報閲覧権利獲得の演出形態を情報表示手段で表示させるように構成してある」及び「情報表示手段に抽選情報を演出表示させるように構成し」のように「情報閲覧権利獲得フラグをONにする」及び「前記表示操作部の操作に基づいて情報閲覧権利獲得フラグをOFFにする」との限定を省いたものに実質的に相当する。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに上記限定事項を付加したものに実質的に相当する本願補正発明が、前記2(4)に記載したとおり、引用発明1-1、引用発明1-2及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も引用発明1-1、引用発明1-2及び引用発明2に基づいて容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1-1、引用発明1-2及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-12-14 
結審通知日 2007-12-20 
審決日 2008-01-07 
出願番号 特願2000-273217(P2000-273217)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池谷 香次郎  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 林 晴男
中槙 利明
発明の名称 スロットマシン  
代理人 北村 修一郎  
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