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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B25B
管理番号 1173718
審判番号 不服2005-5751  
総通号数 100 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-04-04 
確定日 2008-02-15 
事件の表示 平成 8年特許願第506804号「複数の異なるサイズの工具用ハンドル」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 2月15日国際公開、WO96/04105、平成10年 6月 2日国内公表、特表平10-505547〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本件出願は、1995年7月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1994年7月29日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成16年3月16日付けで拒絶の理由が通知され、同16年6月21日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同16年12月16日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、これに対し、同17年4月4日に本件審判の請求がされ、その後、同17年5月2日に特許請求の範囲を含む明細書を補正対象書類とする手続補正書が提出されたものである。
その後、当審において、平成19年1月12日付けで拒絶の理由が通知され、これに対し、平成19年5月17日に意見書及び手続補正書が提出された。
本件出願の請求項1乃至58に係る発明は、平成19年5月17日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至58に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1、請求項22、及び請求項49に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1、請求項22、請求項49に記載された次のとおりのものと認める。(以下それぞれ、「本願発明1」、「本願発明22」、及び「本願発明49」という。)
(1)本願発明1
「2つの端部と筒状の表面とを持ち、工具を受入れかつ保持する筒状の工具用ハンドルであって、工具は所定の角度のベンドを持ちかつ被対象物と係合する近接端を含む延長されたロッドを含み、ベンドとロッドの先端との間に取付け端部を備え、工具用ハンドルは筒状に形成された多数の外表面及び複数の連続的な保持スロットを含み、該複数の連続的な保持スロットは対応するサイズの工具の取付け端部を保持するために複数の該表面の1つの中に一体的に形成されている多数の異なるサイズの工具用ハンドル。」
(2)本願発明22
「2つの端部と筒状の表面とを持ち、各々異なるサイズの複数の工具を受入れかつ保持する筒状の工具用ハンドルであって、複数の工具の各々は予め定めた角度のベンドを持ち、被対象物を係合するための近接端を含む延長されたロッド及びベンドと末端との間に取付け端部を備え、工具用ハンドルは複数の筒状の表面に形成された複数の保持スロットを含み、その各保持スロットは対応の工具の取付け端部を受入れてその工具の近接端が筒状の表面から突き出る工具用ハンドル。」
(3)本願発明49
「多数のサイズの工具を受入れ、保持するための工具用ハンドルであって、 該工具用ハンドルは2つの端部と、複数の外表面と、複数の保持スロットとを含み、
該スロットの各々は複数個の外表面の1つの内部に形成されかつ対応した深さ寸法と保持スロットの底を貫通した孔を有しており、
各工具は所定の角度のベンドを持つ延長されたロッドと、ワークピースと結合するための近接端と、ベンドと、ベンドと先端との間の取付け端とを含み、
更に工具が、その近接端を対応するサイズの孔を通して通過させ、かつその取付け端を保持スロット内に嵌め込むことにより工具用ハンドルに保持される工具用ハンドル。」

2 引用刊行物記載の発明
当審における拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前である平成3年5月7日に頒布された「実願平1-106700号(実開平3-47775号)のマイクロフィルム」(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 第2頁第2行-第4行
「〔産業上の利用分野〕
本考案は、L形のレンチに装着して使用するハンドルの構成に関するものである。」
イ 第4頁第2行-第5頁第13行
「第2図?第5図は本考案によるハンドルの一実施例を示すもので、第2図は正面図、第3図は下面図、第4図は分解斜視図、第5図は正面断面図である。
これらの図において、50は棒状の金属や硬質のプラスチックからなるロッドである。ロッド50には、一端に鍔52を設け、他端には長手方向に沿う溝54を形成してある。この溝54には、ロッド50の端部から中央部に向かってその幅と深さが段階的に小さくなるように段差を設けてある。すなわち第4図と第5図から明らかなように、溝54は、幅がW_(1)で深さがD_(1)の第1の溝54Aと、この第1の溝54Aの延長上にあり且つ溝54Aよりも幅W_(2)及び深さD_(2)共に小さい第2の溝54Bとからなっている。そして、第1の溝54Aの中には直径が溝幅W_(1)とほぼ同一寸法の貫通孔56Aを設け、第2の溝54Bの中には、直径が溝幅W_(2)とほぼ同一寸法の貫通孔56Bを形成してある。
ロッド50は円筒形のカバー60に挿入してあり、カバー60はロッドの長手方向に沿って移動自在にしてある。カバー60には、ロッド50の溝54のある面の裏面に対向する部分に、ロッドの長手方向に沿う切欠部62を設けてある。切欠部62は、第3図から明らかなように溝54に似た形状をしており、切欠部62内に貫通孔56A、56Bが見えている。
ロッドの鍔52とカバー60間に取付けたスプリング70によって、カバー60は図で左方向に常に付勢されている。カバー60は、ロッド50に固定されたピン状のストッパー80に切欠部62が係合して停止している。切欠部62に係合したストッパー80は、カバー60がロッド50の周りを回転するのを防止する回転止めの役目も果たしている。」
ウ 第5頁第14行-第6頁第12行
「このハンドルを比較的太いレンチ40に対して使用する場合は次のようにする。まず、第6図のようにカバー60をスプリング70に抗して図で右方向に移動させ、レンチの長辺部41を貫通孔56Aに挿入する。そして、短辺部42を溝54A内に嵌めこんだ後、カバー60から手を離すとカバー60はスプリング70に押されて元の位置に戻る。すると、第1図のように、長辺部41がカバー60の切欠部62を通って下方に大きく突出した状態となり、レンチ40は溝54Aと貫通孔56A及びカバー60によってハンドル内にしっかりと保持される。
一方、ハンドルを細めのレンチ40Bに装着する場合には、第7図のように直径の小さい方の貫通孔56Bを使用する。すなわち、スプリング70を押し縮めながらカバー60を前よりも大きく右方向に移動した後、レンチの長辺部41を貫通孔56Bに挿入する。そして短辺部42を溝54B及び溝54A内に嵌めこんでからカバー60を戻せば、レンチ40Bはハンドル内に緩みなく保持される。」
エ ここで、図面を参照すると、ハンドルであるロッド50は2つの端部と筒状の表面を有し、全体として筒状であることが見て取れる。また、レンチ40、40Bは、所定の角度、あるいは予め定めた角度のベンドを持っているロッド状のものであることが理解できる。そして、長辺部41の先端が被対象物と係合する、あるいはワークピースと結合するものであることが明らかであるので、長辺部41の先端を「近接端」と称することができる。近接端は、図面から明らかなように、ロッド50の筒状の表面から突き出ている。また、レンチ40のベンドと先端、あるいは末端との間の短辺部42は、ロッド50の溝54に保持されていることから、この短辺部42が取付け端部、あるいは取付け端であることが理解できる。さらに、ロッド50に設けられている溝54Aと溝54Bとは全体として連続している。溝54A、54Bは、ロッド50の外表面の内部に一体的に形成されていることは明らかである。そして、図面から明らかなように、溝54A、54Bはレンチ40、40Bの太さに対応した深さ寸法と底を貫通した貫通孔56A、56Bを有している。

以上、アないしウの記載事項、及びエの認定事項から、引用例には、
「2つの端部と筒状の表面とを持ち、レンチ40、40Bを受入れかつ保持する筒状のハンドルであって、レンチ40、40Bは所定の角度のベンドを持ちかつ被対象物と係合する近接端を含む長辺部41を含み、ベンドとロッド状の先端との間に取付け用の短辺部42を備え、ハンドルであるロッド50は筒状に形成された外表面及び連続的な溝54A、54Bを含み、該連続的な溝54A、54Bは対応する太さのレンチ40、40Bを保持するために該表面に一体的に形成されている複数の異なる太さのレンチ用ハンドル。」(以下、「引用発明1」という。)、及び、
「2つの端部と筒状の表面とを持ち、各々異なる太さの複数のレンチ40、40Bを受入れかつ保持する筒状のハンドルであって、複数のレンチ40、40Bの各々は予め定めた角度のベンドを持ち、被対象物を係合するための近接端を含む長辺部41及びベンドと末端との間に取付け用の短辺部42を備え、ハンドルは筒状の表面に形成された溝54を含み、その溝54は対応のレンチ40、40Bの取付け用の短辺部42を受入れてそのレンチ40、40Bの近接端が筒状の表面から突き出るハンドル。」(以下、引用発明2」という。)、及び、
「複数の太さのレンチ40、40Bを受入れ、保持するためのハンドルであって、
該ハンドルは2つの端部と、外表面と、溝54A、54Bとを含み、
該溝54A、54Bの各々は、外表面の内部に形成されかつレンチ40、40Bの太さに対応した深さ寸法と底を貫通した貫通孔56A、56Bを有しており、
各レンチ40、40Bは所定の角度のベンドを持つ長辺部41と、ワークピースと結合するための近接端と、ベンドと、ベンドと先端との間の取付け用の短辺部42とを含み、
さらにレンチ40、40Bが、その近接端を対応する太さの貫通孔56A、56Bを通して通過させ、レンチ40、40Bの取付け用の短辺部42が対応する溝54内に嵌め込むことによりハンドルであるロッド50に保持されるハンドル。」(以下、引用発明3」という。)が、それぞれ記載されていると認められる。

3 対比及び当審の判断

3-1 本願発明1に対して
3-1-1 対比
本願発明1と引用発明1を対比すると、引用発明1の「レンチ40、40B」、「ハンドル」、「長辺部41」、「取付け用の短辺部42」、「溝54A、54B」、「太さ」はそれぞれ本願発明1の「工具」、「工具用ハンドル」、「延長されたロッド」、「取付け端部」、「保持スロット」、「サイズ」に相当する。
また、引用発明1の「複数の」は、本願発明1の「多数の」の上位概念である。
したがって、両者は、
「2つの端部と筒状の表面とを持ち、工具を受入れかつ保持する筒状の工具用ハンドルであって、工具は所定の角度のベンドを持ちかつ被対象物と係合する近接端を含む延長されたロッドを含み、ベンドとロッドの先端との間に取付け端部を備え、工具用ハンドルは筒状に形成された外表面及び連続的な保持スロットを含み、該連続的な保持スロットは対応するサイズの工具の取付け端部を保持するために該表面に形成されている複数の異なるサイズの工具用ハンドル。」で一致し、次の点で相違する。
<相違点1>
工具用ハンドルの全体形状に関し、本願発明1では、さらに「多数の外表面」を有しているのに対し、引用発明1では、多数の外表面は設けられていない点。
<相違点2>
工具用ハンドルに設けられる保持スロットに関し、本願発明1では、「複数の連続的な保持スロットを含み、多数の異なるサイズの工具用ハンドル」であるのに対し、引用発明1では、連続的な保持スロットである溝54A、54Bは1つしか設けられておらず、そのためハンドルは、複数の工具用ではあるが多数の工具用ではない点。
3-1-2 当審の判断
上記相違点について検討する。
<相違点1>について
工具用ハンドルとして多数の外表面を有するものは、当審の拒絶理由でも引用している実願昭55-87280号(実開昭57-13165号)のマイクロフィルム(特に、図面の第4図、第5図を参照。)や実願昭53-127672号(実開昭55-45442号)のマイクロフィルム(特に、全部の図面を参照。)に示されているように、本件出願の優先権主張日前、周知の事項であり、また、引用発明1のハンドルであるロッド50として多数の外表面を有する形状を採用できないとする阻害要因も格別見当たらないことからすれば、引用発明1において、ハンドルであるロッド50の外表面として多数の外表面を有するものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
<相違点2>について
工具用ハンドルに複数の保持スロットを形成し、結果として多数の異なる工具に適用可能な工具用ハンドルは、上記実願昭55-87280号(実開昭57-13165号)のマイクロフィルム(特に、図面の第2図、第4図、第5図を参照。)や実願昭53-127672号(実開昭55-45442号)のマイクロフィルム(特に、図面の第2図、第3図を参照。)に示されているように、あるいは、当審の拒絶理由でも引用している米国特許第2,409,613号明細書(特に、図面の第1図ないし第4図参照。)に示されているように、本件出願の優先権主張日前、周知の事項であり、また、引用発明1において、保持スロットに相当する溝54A、54Bを複数設けられないとする阻害要因も格別見当たらないことから、引用発明1において、保持スロットに相当する溝54A、54Bを複数設けるようにし、結果として多数の異なるサイズの工具用ハンドルとすることは、当業者が容易になし得たものである。

3-2 本願発明22に対して
3-2-1 対比
本願発明22と引用発明2を対比すると、引用発明2の「異なる太さ」、「レンチ40A、40B」、「ハンドル」、「長辺部41」、「取付け用の短辺部42」、「溝54」はそれぞれ本願発明22の「異なるサイズ」、「工具」、「工具用ハンドル」、「延長されたロッド」、「取付け端部」、「保持スロット」に相当する。
したがって、両者は、
「2つの端部と筒状の表面とを持ち、各々異なるサイズの複数の工具を受入れかつ保持する筒状の工具用ハンドルであって、複数の工具の各々は予め定めた角度のベンドを持ち、被対象物を係合するための近接端を含む延長されたロッド及びベンドと末端との間に取付け端部を備え、工具用ハンドルは筒状の表面に形成された保持スロットを含み、その保持スロットは対応の工具の取付け端部を受入れてその工具の近接端が筒状の表面から突き出る工具用ハンドル。」で一致し、次の点で相違する。
<相違点3>
工具用ハンドルの全体形状に関し、本願発明22では、さらに「複数の筒状の表面」を有しているのに対し、引用発明2では、複数の表面は設けられていない点。
<相違点4>
工具用ハンドルに設けられる保持スロットに関し、本願発明22では、「複数の保持スロットを含む」としているのに対し、引用発明2では、保持スロットである溝54A、54Bは1つしか設けられていない点。
3-2-2 当審の判断
上記相違点について検討する。
<相違点3>について
工具用ハンドルとして複数の筒状の表面を有するものは、当審の拒絶理由でも引用している実願昭55-87280号(実開昭57-13165号)のマイクロフィルム(特に、図面の第4図、第5図を参照。)や実願昭53-127672号(実開昭55-45442号)のマイクロフィルム(特に、全部の図面を参照。)に示されているように、本件出願の優先権主張日前、周知の事項であり、また、引用発明2のハンドルであるロッド50として複数の筒状の表面を有する形状を採用できないとする阻害要因も格別見当たらないことからすれば、引用発明2において、ハンドルであるロッド50の外表面として複数の筒状の表面を有するものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
<相違点4>について
工具用ハンドルに複数の保持スロットを形成することは、上記実願昭55-87280号(実開昭57-13165号)のマイクロフィルム(特に、図面の第2図、第4図、第5図を参照。)や実願昭53-127672号(実開昭55-45442号)のマイクロフィルム(特に、図面の第2図、第3図を参照。)に示されているように、あるいは、当審の拒絶理由でも引用している米国特許第2,409,613号明細書(特に、図面の第1図ないし第4図参照。)に示されているように、本件出願の優先権主張日前、周知の事項であり、また、引用発明2において、保持スロットに相当する溝54A、54Bを複数設けられないとする阻害要因も格別見当たらないことから、引用発明2において、保持スロットに相当する溝54A、54Bを複数設けるようにすることは、当業者が容易になし得たものである。

3-3 本願発明49に対して
3-3-1 対比
本願発明49と引用発明3を対比すると、引用発明3の「太さ」、「レンチ40、40B」、「ハンドル」、「溝54A、54B」、「貫通孔56A、56B」、「長辺部41」、「取付け用の短辺部42」はそれぞれ本願発明49の「サイズ」、「工具」、「工具用ハンドル」、「保持スロット」、「孔」「延長されたロッド」、「取付け端」に相当する。
また、引用発明3の「複数の太さのレンチ40、40B」は、本願発明49の「多数のサイズの工具」の上位概念である。
さらに、引用発明3の「レンチ40、40Bの太さに対応した深さ寸法と底」は、本願発明49の「対応した深さ寸法と底」に相当する。
したがって、両者は、
「複数のサイズの工具を受入れ、保持するための工具用ハンドルであって、 該工具用ハンドルは2つの端部と、外表面と、保持スロットとを含み、
該スロットの各々は外表面の内部に形成されかつ対応した深さ寸法と保持スロットの底を貫通した孔を有しており、
各工具は所定の角度のベンドを持つ延長されたロッドと、ワークピースと結合するための近接端と、ベンドと、ベンドと先端との間の取付け端とを含み、
更に工具が、その近接端を対応するサイズの孔を通して通過させ、かつその取付け端を保持スロット内に嵌め込むことにより工具用ハンドルに保持される工具用ハンドル。」で一致し、次の点で相違する。
<相違点5>
工具用ハンドルの全体形状に関し、本願発明49では、「複数の外表面」を有しているのに対し、引用発明3では、複数の外表面は設けられていない点。
<相違点6>
工具用ハンドルに設けられる保持スロットに関し、本願発明49では、「複数の保持スロットを有しているとし、多数のサイズの工具を受入れ」るとしているのに対し、引用発明3では、保持スロットである溝54A、54Bは1つしか設けられておらず、そのためハンドルは、複数のサイズに対応できるものではあるが多数のサイズに対応できるものではない点。
3-3-2 当審の判断
上記相違点について検討する。
<相違点5>について
工具用ハンドルとして複数の外表面を有するものは、当審の拒絶理由でも引用している実願昭55-87280号(実開昭57-13165号)のマイクロフィルム(特に、図面の第4図、第5図を参照。)や実願昭53-127672号(実開昭55-45442号)のマイクロフィルム(特に、全部の図面を参照。)に示されているように、本件出願の優先権主張日前、周知の事項であり、また、引用発明3のハンドルであるロッド50として複数の外表面を有する形状を採用できないとする阻害要因も格別見当たらないことからすれば、引用発明3において、ハンドルであるロッド50の外表面として複数の外表面を有するものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
<相違点6>について
工具用ハンドルに複数の保持スロットを形成し、結果として多数のサイズの工具を受入るようにすることは、上記実願昭55-87280号(実開昭57-13165号)のマイクロフィルム(特に、図面の第2図、第4図、第5図を参照。)や実願昭53-127672号(実開昭55-45442号)のマイクロフィルム(特に、図面の第2図、第3図を参照。)に示されているように、あるいは、当審の拒絶理由でも引用している米国特許第2,409,613号明細書(特に、図面の第1図ないし第4図参照。)に示されているように、本件出願の優先権主張日前、周知の事項であり、また、引用発明3において、保持スロットに相当する溝54A、54Bを複数設けられないとする阻害要因も格別見当たらないことから、引用発明3において、保持スロットに相当する溝54A、54Bを複数設けるようにし、結果として多数のサイズの工具を受入れ可能とすることは、当業者が容易になし得たものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明1、22、49は、引用例に記載された各発明及び上記周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-09-07 
結審通知日 2007-09-13 
審決日 2007-10-01 
出願番号 特願平8-506804
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B25B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今関 雅子所村 美和  
特許庁審判長 野村 亨
特許庁審判官 豊原 邦雄
福島 和幸
発明の名称 複数の異なるサイズの工具用ハンドル  
代理人 山口 巖  

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