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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1173987
審判番号 不服2006-4476  
総通号数 100 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-09 
確定日 2008-03-07 
事件の表示 平成 9年特許願第203230号「中空容器」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 2月23日出願公開、特開平11- 49174〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件出願は、平成9年7月29日に出願され、平成17年8月22日付けで拒絶理由が通知され、それに対し、平成17年10月7日付けで意見書の提出並びに手続補正がなされ、平成18年2月2日付けで拒絶査定がなされた。
これに対し、平成18年3月9日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、同年4月10日付けで手続補正がなされたものである。

本願の請求項1に係る発明は、平成18年4月10日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりである。
「所定の透明度の油分を含まない若しくは油分を含む液体内容物を収容する、所定の透明度を有する容器本体(10)と、
前記容器本体(10)の外周面に巻き付けられた不透明なレッテル(11)と、
前記レッテル(11)の所定位置に設けられた、前記容器本体(10)の内部の視認を可能にする覗き窓(12)と、
前記容器本体(10)を挟んで前記覗き窓(12)と対向する位置の前記レッテル(11)の内面に第1の絵柄を表示する第1の表示部(13)と、
前記覗き窓(12)の周囲の前記レッテル(11)の外面に、前記覗き窓(12)を取り囲む第2の絵柄を表示する第2の表示部(14)と、を備え、
前記第2の表示部(14)に表示される前記第2の絵柄は、前記第1の表示部(13)に表示される前記第1の絵柄と一貫性を有しており、
前記液体内容物が、油分を含まない場合は立体感を伴う表示が可能になり、油分を含む場合は歪んだ像が視認され、
前記覗き窓(12)、第1の表示部(13)及び第2の表示部(14)が、それぞれ前記レッテル(11)に複数設けられることを特徴とする中空容器。」(以下、「本願発明」という。)

2.引用刊行物の記載
2-1.原査定の拒絶の理由に引用された実願昭60-059704号(実開昭61-178334号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、以下の記載がある。
(A)「【実用新案登録請求の範囲】
びん等の透明容器本体と、同容器本体の外周面に装着された合成樹脂よりなる筒形の透明フイルムと、同フイルムの裏面に部分的に印刷された文字等の第1の部分プリント層と、同第1の部分プリント層の層面を含み、かつ一部分に透視用の欠部を空けて上記フイルムシートの裏面全面に印刷されたプリント層と、プリント層の少なくとも上記欠部に対向する部分に印刷された風景画等の第2の部分プリント層とにより形成されている容器。」
(B)「(産業上の利用分野)
この考案は、小口にして販売する飲物等を詰めるのに用いられるびん類の容器に関するものである。」(第1ページ第16-19行)
(C)「(実施例)
以下、第1図乃至第3図に示す一実施例に基づき、本考案の構成を具体的に述べるが、第2図は、第1図の高さHにおける平断面を模式的に示した図、第3図はフィルムシートの展開図である。
実施例の容器は、透明ないし半透明のびん型の容器本体1の外周面に、筒形の透明フィルム2を熱収縮により被着させたものであって、この透明フィルム2は、透明ないし半透明の熱可塑性樹脂材で作られたものである。
しかして、この透明フィルム2の裏面には、同透明フィルム2が装着される以前において、次の順序で夫々の3重のプリント層が印刷されている。
(a)第1の部分プリント層3
この第1の部分プリント層3は、文字形、枠形、縞形等の黒又は他の色により着色された表示形状を有し、図示の場合は、上下2段のストライプと、「A,B,C,300」の文字形が印刷されている。
(b)全面プリント層4
この全面プリント層4は、後述する一部分の透視用の欠部4aを残して、透明フィルム2の裏面の略全面に白色または淡色でべた塗り印刷(グラビア、2回印刷)されたものであって、かつ上記欠部4aは、半円周域以内の大きさで適当の形状で空けられると共に、上述の第1の部分プリント層3にかからないようにしている。
(c)第2の部分プリント層5
この第2の部分プリント層5は、上述全面プリント層4の裏面の上記欠部4aに対向する部分、すなわち容器本体1の外部から欠部4aを透して容器本体1の内部を通して見える部分に、風景画、人物画等の模様が比較的濃色で印刷されたものであり、図示の場合は、山の遠景がほぼ半円周域に印刷されている。
なお、第2図及び第3図では、模式的に表記したために容器本体1の外周面と透明フィルム2との間に環空間が生じているが、実際には、透明フィルム2および3層の各プリント層が厚さがミクロンオーダーであることから、隙間なしに密着している。」(第3ページ第16行-第5ページ第15行)
(D)「このように構成された実施例の容器においては、容器内に酒等を詰めて商品とすれば、顧客あるいは消費者が、第2図の矢指Aのように、欠部4aを透して容器内をのぞいた時に、模様プリント層としての第2の部分プリント層5の画像が立体的な視感で見え、これにより、爽快感や親和感を受ける。」(第5ページ第16行-第6ページ第3行)
(E)「(効果)
以上述べたように、本考案に係る容器によれば、容器本体の外周面に被着されたフィルムの1箇所に透視用の欠部を空けると共に、同欠部の対向箇所に模様プリント層としての第2の部分プリント層を形成させたので、外部から容器内を見た時に、爽快感や親和感が得られ、これにより容器に詰められた飲物等の商品性を向上させる効果がある。」(第6ページ第7-14行)
また、第1-3図には、容器本体1を挟んで欠部4aと対向する位置の全面プリント層4の裏面に風景画、人物画等の模様が比較的濃色で印刷された第2の部分プリント層5が示され、欠部4aの周囲の全面プリント層4の表面に、文字形、枠形、縞形等の黒又は他の色により着色された表示形状を有する第1の部分プリント層3が示されている。

したがって、以上の記載及び第1-3図によれば、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。
「酒等の飲物等を収容する、透明ないし半透明の容器本体1、前記容器本体1の外周面に巻き付けられた一部分の透視用の欠部4aを残して、透明フィルム2の裏面の略全面に白色または淡色でべた塗り印刷された全面プリント層4と、前記全面プリント層4の所定位置に設けられた、前記容器本体1の内部の視認を可能にする欠部4aと、容器本体1を挟んで欠部4aと対向する位置の全面プリント層4の裏面に風景画、人物画等の模様が比較的濃色で印刷された第2の部分プリント層5が示され、欠部4aの周囲の全面プリント層4の表面に、文字形、枠形、縞形等の黒又は他の色により着色された表示形状を有する第1の部分プリント層3と、を備えた中空容器。」(以下、「引用発明1」という)

2-2.原査定の拒絶の理由に引用された特開平08-091379号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の記載がある。
(F)「【特許請求の範囲】
【請求項1】透明または半透明の内容物を収容する透明または半透明の中空容器本体の胴部に、表裏面に表示部が形成されたラベルが、その裏面が中空容器本体に対向するようにしてインサート成形により一体化され、前記ラベルの裏面の表示が前記中空容器本体と内容物とを透過して目視できることを特徴とする、透過式中空容器。
【請求項2】前記中空容器本体の前記ラベル貼着面と対向する面の表面が凸レンズ状に膨出して形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の透過式中空容器。
【請求項3】前記ラベル貼着面と対向する面の表面に、前記ラベルの裏面の表示と同一視野内に位置し、かつ前記ラベルの裏面の表示と調和する第2表示部が形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の透過式中空容器。
【請求項4】前記ラベルの裏面の表示が着色された模様による表示であり、かつ前記第2表示部が文字による表示であることを特徴とする、請求項3に記載の透過式中空容器。」
(G)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は透明の中空容器に関するもので、特に化粧水、化粧用オイル、飲料水、液体洗剤等の液体用容器に好適に用いられる装飾性の優れた透過式中空容器である。」
(H)「【0011】<第1実施例>本実施例の透過式中空容器の製造方法は、まずポリエチレンテレフタレート樹脂を射出成形して有底筒状のプリフォームを作製し、次いでブロー金型内に予めインモールドラベルの裏面がプリフォームに対向するようにしてインモールドラベルを位置させてから、プリフォームを延伸ブローしてインモールドラベルが一体化されたボトルを得る。そしてボトル1の胴部3の正面側3bには紫外線硬化型のインクを用いてスクリーン印刷法により商品名を大きく印刷して第2表示部6を形成した。なお、本発明において第2表示部6はこのように直接印刷するものに限定されるものではなく、透明ラベルに第2表示部を印刷し中空容器本体に一体化させたものを含むものである。
【0012】得られたボトル1は図1に示すように首部2と胴部3と底部4とからなり、胴部3の断面形状は楕円形状をなしている。そして図2に示すように胴部3の背面側3aにインモールドラベル5が一体化されている。
【0013】このボトル1に透明の化粧水を充填して透過式中空容器10を正面から観察してみた。図2に示すように胴部3の正面側3bには商品名を大きく表示した第2表示部6が設けられており、この第2表示部6はボトルを正面から見たときにラベル5のグラデーションを有する着色層及び絵柄からなる表示5bと同一視野内に含まれる位置にあるため、第2表示部6(商品名)が浮き上がって見えた。また、ボトル1の胴部断面形状が楕円形であってすなわちボトル1の正面側3b全体が凸レンズ状態に膨出しているので、充填された化粧水とボトル1の正面側3bの膨らみとによってラベル5の表示5bの絵柄が拡大されて見え、なおかつ見る角度によって細く見えたり太く見えたりして楽しい視覚効果が得られる。」
(I)「【0018】またラベル貼着面と対向する面の表面に、ラベルの視野内に位置し、かつラベルの裏面の表示と調和する第2表示部が形成されていれば、ラベル裏面の表示が第2表示部の背景となって第2表示部が浮き上がって見え、優れた装飾効果をもたらすものである。
【0019】更にラベルの裏面の表示が着色された模様による表示であり、かつ第2表示部が文字による表示であれば、第2表示部の文字が浮き上がり、消費者に対して格別の注意を喚起するものとなるという効果を奏する。」

したがって、以上の記載及び図1-2によれば、引用例2には、以下の点が記載されているものと認められる。
「化粧水、化粧用オイル、飲料水、液体洗剤等の液体内容物を収容し、ボトル1は首部2と胴部3と底部4とからなり、胴部の正面側3bには、第2表示部6が設けられ、胴部の背面側3aにラベル5が一体化され、商品名が表示された第2表示部6は、中空容器本体と内容物とを透過して目視できる着色層及び絵柄からなるラベル5の裏面の表示5bと同一視野内に位置し、かつラベルの裏面の表示5bと調和する透過式中空容器。」

3.対比、判断
引用発明1における、「容器本体1」「欠部4a」「第2の部分プリント層5」「第1の部分プリント層3」は、それぞれ、本願発明における「容器本体(10)」「覗き窓(12)」「第1の表示部(13)」「第2の表示部(14)」に相当する。
引用例1は、上記摘記事項(D)に、「欠部4aを透して容器内をのぞいた時に、第2の部分プリント層5の画像が立体的な視感で見え」ると記載され、第2の部分プリント層5の画像が見えるためには、「透明ないし半透明の容器本体1」は、所定の透明度を有することは明らかであるから、引用発明1の「透明ないし半透明の容器本体1」は、本願発明における「所定の透明度を有する容器本体(10)」に相当する。
また、引用例1は、上記摘記事項(C)の「(b)全面プリント層4」に、「一部分の透視用の欠部4aを残して、透明フィルム2の裏面の略全面に白色または淡色でべた塗り印刷(グラビア、2回印刷)された」と記載され、「全面プリント層4」は欠部4aを残して不透明であることは明らかであるから、引用発明1の「全面プリント層4」は、本願発明の「不透明なレッテル(11)」に相当する。
さらに、引用例1は、上記摘記事項(C)及び第1-3図から、「容器本体1を挟んで欠部4aと対向する位置の全面プリント層4の裏面に風景画、人物画等の模様が比較的濃色で印刷された第2の部分プリント層5」,「欠部4aの周囲の全面プリント層4の表面に、文字形、枠形、縞形等の黒又は他の色により着色された表示形状を有する第1の部分プリント層3」が示されている。よって、引用発明1の全面プリント層4の裏面の「風景画、人物画等の模様」と全面プリント層4の表面の「文字形、枠形、縞形等の黒又は他の色により着色された表示形」は、それぞれ本願発明の「第1の絵柄」と「第2の絵柄」に相当する。

したがって、本願発明と引用発明1を対比すると、両者は、
「液体内容物を収容する、所定の透明度を有する容器本体と、前記容器本体の外周面に巻き付けられた不透明なレッテルと、前記レッテルの所定位置に設けられた、前記容器本体の内部の視認を可能にする覗き窓と、前記容器本体を挟んで前記覗き窓と対向する位置の前記レッテルの内面に第1の絵柄を表示する第1の表示部と、前記覗き窓の周囲の前記レッテルの外面に、第2の絵柄を表示する第2の表示部と、を備えた中空容器。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1
本願発明では、覗き窓(12)を「取り囲む」第2の絵柄は、第1の絵柄と「一貫性を有して」いるのに対し、引用発明1では、「取り囲む」位置ではなく、「一貫性を有して」いるか否か不明な点。

相違点2
本願発明では、「所定の透明度の油分を含まない若しくは油分を含む」液体内容物を収容し、「液体内容物が、油分を含まない場合は立体感を伴う表示が可能になり、油分を含む場合は歪んだ像が視認され」ているのに対し、引用発明1では、酒等の飲物等を収容する点。

相違点3
本願発明では、覗き窓(12)、第1の表示部(13)及び第2の表示部(14)が、それぞれレッテル(11)に「複数」設けられるのに対し、引用発明1では、引用例、第1図によると「欠部4a」は1つのみ設けられている点。

そこで、上記相違点について検討する。
相違点1について
引用例1の摘示事項(D),(E)からみて、引用発明1は、覗き窓を透して容器内をのぞいた時に、第1の絵柄が立体的な視感で見えることによって、商品性を向上させる効果を有している。そして、引用例1の第1図には、内面の第1の絵柄と外面の第2の絵柄を合わせてみることができる点が示され、引用例1の摘示事項(C)には、内面の第1の絵柄と外面の第2の絵柄の事例として、第1の絵柄に「風景画、人物画等の模様」、第2の絵柄に「文字形、枠形、縞形等の黒又は他の色により着色された表示形」が挙げられている。
一方、引用例2では、上記摘記事項(H),(I)に、優れた装飾効果や、格別の注意を喚起するという効果のために、中空容器の外側に商品名が表示された第2表示部6は、中空容器本体と内容物とを透過して目視できる着色層及び絵柄からなるラベル5の裏面の表示5bと同一視野内に位置し、かつラベルの裏面の表示5bと調和する点が記載されている。よって、引用例2には、効果的な表示を行うために、第1の絵柄と第2の絵柄は、合わせて見ることができ、かつ調和することが示されているといえる。
したがって、表示によって商品性を向上させる効果を奏するように、引用発明1においても、合わせてみることができる内面の第1の絵柄と外面の第2の絵柄を選択する際に、挙げられた事例の中から、絵柄に様々な組み合わせを考え得るものであり、第1の絵柄と第2の絵柄を調和させ、一貫性を有するようにそれぞれの絵柄を選択することに格別な困難性はない。
また、一貫性を有するように第1の絵柄と第2の絵柄を選択する際に、第2の絵柄を覗き窓の周囲のどこの位置に配置するかは、絵柄が表示する内容に応じて適宜選択し得るものであり、例えば、絵柄の内容によって、覗き窓を取り囲む位置とすることに格別な困難性はない。
したがって、引用発明1に記載された発明において、覗き窓を取り囲む第2の絵柄は、第1の絵柄と一貫性を有しているようにすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

相違点2について
引用例1は、摘記事項(D)に、酒等を詰めた容器の覗き窓を透して容器内をのぞいた時に、第1の絵柄が立体的な視感で見える点が記載され、第1の絵柄が見えるためには、内容物は所定の透明度を有することは明らかである。よって、引用発明1の容器の内容物は、本願発明における、「所定の透明度の油分を含まない液体内容物」であり、引用発明1には「液体内容物が、油分を含まない場合は立体感を伴う表示が可能」な点も示されているといえる。
一方、引用例2には、摘記事項(G)に、容器の内容物として、油分を含まない場合として、飲料水、油分を含む場合として、化粧水、化粧用オイル、液体洗剤等が記載されており、摘記事項(H)(I)に、「正面側3bの第2表示部6は着色層及び絵柄からなる表示5bと同一視野内に含まれる位置にあるため、第2表示部6が浮き上がって見え、充填された化粧水とボトル1の正面側3bの膨らみとによって表示5bの絵柄が拡大されて見え、なおかつ見る角度によって細く見えたり太く見えたりして楽しい視覚効果が得られる。」と記載され、「立体感を伴う表示」と「歪んだ像が視認されること」が示されているといえる。
そして、容器に収納する内容物を介して視認する場合に、内容物によって屈折率が変わるから、視認される像は内容物によって変化することは、明らかであり、液体内容物が、油分を含む場合は、油分が含まない場合と比較して屈折率が変わることが予想される。
したがって、引用発明1において、引用例2に示されたような内容物を適宜選択して収容する際に、液体内容物が油分を含まない場合あるいは油分を含む場合に応じて、視認される表示部の像は変化し、油分を含まない場合は立体感を伴う表示が可能になり、油分を含む場合は歪んだ像が視認されることに格別な困難性はない。

相違点3について
覗き窓を設けた中空容器の分野において、覗き窓が複数設けられる点については、周知の技術である。(例えば、実願昭60-081170号(実開昭61-196930号)のマイクロフィルムの「欠徐部22、23」参照)
したがって、引用発明1の覗き窓を設けた中空容器において、覗き窓を複数にすることに格別な困難性はなく、引用発明1の覗き窓が複数設けられることに併せて、第1の表示部及び第2の表示部が、それぞれ複数設けられるようにすることにも格別な困難性はない。
そして、本願発明の効果も引用例1ないし2に記載された発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものであり、格別顕著なものとはいえない。

なお、請求人は、平成19年11月29日付の回答書において、「前記第1の表示部(13)に表示される前記第1の絵柄と、前記第2の表示部(14)に表示される前記第2の絵柄と、を互いに関連させ、前記第1の絵柄と前記第2の絵柄とを合わせることにより1つの絵柄を表現し、」と補正する用意があるとし、第1の絵柄と前記第2の絵柄とを合わせることにより1つの絵柄とする旨の補正案を提示している。
しかし、合わせてみることができる内面の第1の絵柄と外面の第2の絵柄を設けた中空容器の分野において、第1の絵柄と第2の絵柄とを合わせることにより1つの絵柄とすることは周知の技術である。(例えば、特開平06-124064号公報の【0006】、実公平05-026038号公報の第3欄第41-43行及び第4欄第9-11行参照)
この周知技術を引用例1ないし2に記載された発明に適用することに格別な困難性はなく、該補正案を採用することはできない。

4.むすび
したがって、本願発明は、引用例1ないし2に記載された発明及び周知技術に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-12-27 
結審通知日 2008-01-09 
審決日 2008-01-25 
出願番号 特願平9-203230
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武内 大志渡邊 真  
特許庁審判長 石原 正博
特許庁審判官 田中 玲子
関 信之
発明の名称 中空容器  
代理人 市川 利光  
代理人 萩野 平  
代理人 小栗 昌平  
代理人 本多 弘徳  
代理人 添田 全一  

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