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審決分類 |
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する C06B 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する C06B 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する C06B 審判 訂正 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) 訂正する C06B 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する C06B 審判 訂正 判示事項別分類コード:83 訂正する C06B |
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管理番号 | 1174614 |
審判番号 | 訂正2008-390008 |
総通号数 | 101 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-05-30 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2008-01-24 |
確定日 | 2008-03-03 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3907548号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3907548号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、特許第3907548号(平成14年8月5日特許出願、平成19年1月26日設定登録)に係る願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)を明りょうでない記載の釈明を目的として審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記(1)ないし(7)の各事項のとおり訂正することを求めるものである。(下線部は訂正箇所を意味する。) (1)訂正事項(1) 本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項15を以下のとおり訂正する。 「(a)成分として15?30質量%のメラミンシアヌレート、(b)成分として40?84.9質量%の塩基性硝酸銅、(c)成分として0.1?10質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガムを含有する請求項2記載のガス発生剤組成物。」 (2)訂正事項(2) 本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項16を以下のとおり訂正する。 「(a)成分として15?49.9質量%のメラミンシアヌレートとグアニジン硝酸塩との混合物、(b)成分として50?80質量%の塩基性硝酸銅、(c)成分として0.1?10質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガムを含有する請求項2記載のガス発生剤組成物。」 (3)訂正事項(3) 本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項18を以下のとおり訂正する。 「(a)成分として10?30質量%のメラミンシアヌレート、(b)成分として40?89.4質量%の塩基性硝酸銅、(c)成分として0.1?10質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、(d)成分として0.5?15質量%の水酸化アルミニウムを含有する請求項2記載のガス発生剤組成物。 (4)訂正事項(4) 本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項19を以下のとおり訂正する。 「(a)成分として10?50質量%のメラミンシアヌレートと硝酸グアニジンとの混合物、(b)成分として40?88.9質量%の塩基性硝酸銅、(c)成分として0.1?10質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、(d)成分として1?10質量%の水酸化アルミニウムを含有する請求項2記載のガス発生剤組成物。」 (5)訂正事項(5) 本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項20を以下のとおり訂正する。 「(a)成分として10?30質量%のメラミンシアヌレートとメラミンとの混合物、(b)成分として40?89.8質量%の塩基性硝酸銅、(c)成分として0.1?10質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、(d)成分として0.1?15質量%の水酸化アルミニウムを含有する請求項2記載のガス発生剤組成物。」 (6)訂正事項(6) 本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項21を以下のとおり訂正する。 「(a)成分として10?30質量%のメラミンシアヌレート、(b)成分として40?88.9質量%の塩基性硝酸銅、(c)成分として0.1?10質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、(d)成分として1?10質量%の水酸化マグネシウム又はメタホウ酸を含有する請求項2記載のガス発生剤組成物。」 (7)訂正事項(7) 本件特許明細書の発明の詳細な説明における段落【0029】?【0035】を以下のとおり訂正する。 「【0029】 3成分系のガス発生剤組成物の好ましい一実施形態としては、(a)成分のメラミンシアヌレート及び(b)成分の塩基性硝酸銅及び(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガムを含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)成分のメラミンシアヌレート15?30質量%、(b)成分の塩基性硝酸銅40?84.9質量%及び(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガム0.1?10質量%が好ましい。 【0030】 3成分系のガス発生剤組成物の好ましい他の実施形態としては、(a)成分のメラミンシアヌレートと硝酸グアニジンの混合物、(b)成分の塩基性硝酸銅及び(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガムを含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)成分のメラミンシアヌレートと硝酸グアニジンの混合物15?49.9質量%、(b)成分の塩基性硝酸銅50?80質量%及び(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガム0.1?10質量%が好ましい。 【0031】 3成分系のガス発生剤組成物の好ましい他の実施形態としては、(a)成分のメラミンシアヌレートとメラミンの混合物(b)成分の塩基性硝酸銅及び(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガムを含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)成分のメラミンシアヌレートとメラミンの混合物15?30質量%、(b)成分の塩基性硝酸銅60?80質量%及び(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガム0.1?10質量%が好ましい。 【0032】 4成分系のガス発生剤組成物の好ましい実施形態としては、(a)成分のメラミンシアヌレート、(b)成分の塩基性硝酸銅、(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩及び(d)成分の水酸化アルミニウムを含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)成分のメラミン10?30質量%、(b)成分の塩基性硝酸銅を40?89.4質量%、(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1?10質量%、(d)成分の水酸化アルミニウム0.5?15質量%が好ましい。 【0033】 4成分系のガス発生剤組成物の好ましい他の実施形態としては、(a)成分のメラミンシアヌレートとグアニジン硝酸塩との混合物、(b)成分の塩基性硝酸銅、(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩及び(d)成分の水酸化アルミニウムを含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)成分のメラミンシアヌレートとグアニジン硝酸塩との混合物10?50質量%、(b)成分の塩基性硝酸銅を40?88.9質量%、(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1?10質量%、(d)成分の水酸化アルミニウム1?10質量%が好ましい。 【0034】 4成分系のガス発生剤組成物の好ましい他の実施形態としては、(a)成分のメラミンシアヌレートとメラミンの混合物、(b)成分の塩基性硝酸銅、(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩及び(d)成分の水酸化アルミニウムを含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)成分のメラミンシアヌレートとメラミン10?30質量%、(b)成分の塩基性硝酸銅を40?89.8質量%、(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1?10質量%、(d)成分の水酸化アルミニウム0.1?15質量%が好ましい。 【0035】 4成分系のガス発生剤組成物の好ましい他の実施形態としては、(a)成分のメラミンシアヌレート、(b)成分の塩基性硝酸銅、(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩及び(d)成分の水酸化マグネシウム又はメタホウ酸を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)成分のメラミンシアヌレート10?30質量%、(b)成分の塩基性硝酸銅40?88.9質量%、(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1?10質量%、(d)成分の水酸化マグネシウム又はメタホウ酸1?10質量%が好ましい。」 第2 当審の判断 そこで、これらの訂正事項につき順次検討する。 1.訂正事項(1)?(6)について ア.訂正の目的の適否 上記訂正事項(1)?(6)は、いずれも、本件特許明細書の請求項15、16及び18?21において、発明を特定する技術事項として記載されている3種又は4種の各構成成分の組成比の合計が100質量%を超える場合を含む点で明りょうでない記載を、3種又は4種の構成成分のうち一種の成分の組成比範囲の上限値を低下させることにより、各構成成分の組成比の合計が100質量%を超えないものとするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 したがって、上記訂正事項(1)?(6)は、いずれも特許法第126条第1項第3号に掲げる事項を目的とするものである。 なお、付言すると、審判請求人は、本件審判請求書における訂正事項1について、「しかし、本件特許請求項15に係る発明のように、複数種類の成分からなる組成物において各構成成分の合計が100重量%となることは、当業者はいうまでもなく、一般的に自明であるから、本件特許請求項15のように各成分の合計が100重量%を超える場合が記載されていたとしても発明は明確であり、本来このような記載が問題とはなり得ない。 ところが、このような記載は、発明の内容が明確でない、として特許法第36条6項2号違反となる類型とされているため・・本件はこれを訂正するものである。」と主張している。(審判請求書「訂正の原因」の欄、第2段落?第3段落) しかるに、複数種類の成分からなる組成物に係る発明について、各構成成分の種類と各構成成分の組成比が請求項に記載されている場合、発明を特定する技術事項としての各構成成分の組成比の合計が100質量%を超える場合を含む点が記載されているならば、審判請求人が上記請求書で認めているとおり、当業者に自明な事項、すなわち技術常識に反するのであるから、各構成成分の組成比のいずれかに不明な点が存すると解するのが相当であり、発明が明確であるとは到底いえないものである。 仮に、本件訂正前の請求項15の記載により発明が明確であるならば、当該請求項に記載された事項により発明が明りょうに認識できるのであるから、各構成成分の組成比に係る事項が「明りょうでない記載」に相当するものではなく、本件の上記訂正事項(1)?(6)についての「明りょうでない記載の釈明」なる目的を達するものとはいえない。 してみると、審判請求人の本件審判請求書における上記主張は、当を得ないものである。 イ.新規事項の追加の有無 また、上記訂正事項(1)?(6)につき、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でなされたか否かにつき検討すると、上記訂正事項(1)?(6)に係る(a)成分としてのメラミンシアヌレートとグアニジン硝酸塩との混合物の上限値に係る「49.9質量%」なる事項(訂正事項(2))及び(b)成分としての塩基性硝酸銅の上限値に係る「84.9質量%」(訂正事項(1))、「89.4質量%」(訂正事項(3))、「88.9質量%」(訂正事項(4)及び(6))及び「89.8質量%」(訂正事項(5))なる事項は、本件特許明細書の記載を検討しても、同明細書に記載されておらず、さらに、同明細書に記載された事項に基づき、上記各上限値とすべき臨界的意義を認識し得るものでもない。 そして、上記訂正事項(1)?(6)に係る請求項15、16及び18?21は、いずれも、(a)?(c)の3成分又は(a)?(d)の4成分を「含有する」組成物に係る発明であるから、任意成分の存在が排除されているものではなく、(a)?(c)の3成分又は(a)?(d)の4成分のみの組成比の合計が100質量%である必然性がないのであるから、上記訂正事項(1)?(6)の(a)成分の上限値又は(b)成分の上限値に係る各事項につき、数理学的根拠も存しない。 なお、付言すると、審判請求人は、本件審判請求書における訂正事項1について、「一方、上記のように(b)塩基性硝酸銅の上限「90質量%」を「84.9質量%」と訂正することは当初明細書に記載した範囲内のものであり」と主張している。(審判請求書「訂正の原因」の欄、第4段落中段) しかるに、新たな上限値が(当初)明細書に記載された事項の範囲内の事項であるとするためには、当該上限値が明示的に記載されている事項であるか、(当初)明細書に記載された発明の効果上の差異等の事項に基づき、臨界的意義が認識され得る事項であることを要する(必要ならば平成18年(行ケ)10449号判決等参照。)ものであるから、審判請求人の本件審判請求書における上記主張は、当を得ないものである。 以上のとおりではあるが、上記訂正事項(1)?(6)に係る請求項15、16及び18?21に係る発明は、いずれも、(a)?(c)の3成分又は(a)?(d)の4成分のみからなる組成物に係る態様を包含することも自明であり、当該態様の場合を前提として、訂正事項(1)?(6)に係る請求項15、16及び18?21の(a)?(c)の3成分又は(a)?(d)の4成分のみの組成比の合計が100質量%を超える場合を含む旨の明りょうでない記載に対する釈明をしようとする際に、(a)成分の上限値又は(b)成分の上限値を上記訂正事項(1)?(6)のような各事項に訂正することは、特許請求の範囲の拡張又は変更を伴わない唯一の手段であるから、これを限度として許容すべきものである。 したがって、上記訂正事項(1)?(6)については、本件特許明細書に記載された事項の範囲内の事項であり、いわゆる新規事項の追加に相当するものではない。 ウ.特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 上記訂正事項(1)?(6)につき、本件特許明細書に記載された特許請求の範囲を拡張又は変更するものか否かにつき検討すると、(a)成分の上限値又は(b)成分の上限値に係る上記訂正事項(1)?(6)の各事項は、いずれも、本件特許明細書の特許請求の範囲における請求項15、16及び18?21に記載された(a)成分の範囲又は(b)成分の範囲の上限値のみを当該各範囲内の値に単に低下させているのみであるから、上記訂正事項(1)?(6)は、いずれも特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更させるものではない。 エ.小括 したがって、上記訂正事項(1)?(6)は、いずれも、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、本件特許明細書に記載された事項の範囲内の事項であり、特許請求の範囲の拡張又は変更に相当しないものである。 2.訂正事項(7)について 次に、上記訂正事項(7)について検討すると、訂正事項(7)は、上記訂正事項(1)?(6)の特許請求の範囲に係る訂正により不整合となった明細書の発明の詳細な説明の欄の記載につき、整合するように単に訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項(7)に係る具体的訂正事項は、訂正事項(1)?(6)に係るものと同一であるから、上記1.イ.及びウ.で説示した理由と同一の理由により、訂正事項(7)についても、本件特許明細書に記載された事項の範囲内の事項であり、特許請求の範囲の拡張又は変更に相当しないものである。 3.まとめ 以上のとおりであるから、上記(1)?(7)の各訂正は、いずれも、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 なお、審判請求人は、本件審判請求書において、「本件特許請求項12(審決注:「請求項15」の誤記と認められる。)のように、本来問題となり得ない記載の不備が一部にあり、その訂正が認められないために無効審判で無効とされてしまうのは妥当ではないし、出願審査の段階であればより広い範囲での補正の可能性があったにもかかわらず、それが看過された特許については訂正が認められず、無効理由を解消できなくなるのではやはり妥当性に欠ける。」旨主張している。(審判請求書「訂正の原因」の欄、第5段落) しかるに、特許(出願)に係る明細書、特許請求の範囲及び図面の記載の適否に係る責は専ら出願人(特許権者)に帰するものであるところ、本件訂正前の請求項15に係る上記「明りょうでない記載」は、上記1.ア.で説示したとおり、「本来問題となり得ない記載の不備」ではなく、実質的な記載不備であるから、明りょうでない記載の釈明を目的として訂正できるのであり、また、出願審査の段階における補正の機会についても、法定のとおり(特許法第17条の2)付与されているのであるから、出願人により記載不備が看過された特許につき、後に当該記載不備に起因して無効となったとしても、特段に妥当性を欠くものではない。 したがって、審判請求人の本件審判請求書における上記主張は、当を得ないものである。 第3 むすび 結局、本件審判の請求は、特許法第126条第1項第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同法同条第3項ないし第4項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 メラミンシアヌレートを含むインフレータ用ガス発生剤組成物 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記(a)成分及び必要に応じて(b)成分を含有することを特徴とするガス発生剤組成物。 (a)燃料であるメラミンシアヌレート又はメラミンシアヌレートと含窒素有機化合物の混合物 (b)含酸素酸化剤 【請求項2】 更に、必要に応じて下記(c)成分及び(d)成分から選ばれる1又は2以上を含有する請求項1記載のガス発生剤組成物。 (c)バインダ (d)金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化物、ホウ酸、メタホウ酸等から選ばれる添加剤 【請求項3】 (a)成分の含有量が10?60質量%、(b)成分の含有量が40?90質量%である請求項2記載のガス発生剤組成物。 【請求項4】 (a)成分の含有量が10?60質量%、(b)成分の含有量が40?90質量%、(c)成分の含有量が0?15質量%、(d)成分の含有量が20質量%以下である請求項2記載のガス発生剤組成物。 【請求項5】 (a)成分の燃料が、メラミンシアヌレートと含窒素有機化合物との混合物であるとき、前記含窒素有機化合物が、5-アミノテトラゾール、ビテトラゾールアンモニウム塩を含むテトラゾール類化合物;ニトログアニジン、グアニジン硝酸塩、ジシアンジアミドを含むグアニジン類化合物;メラミン、トリメチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン、アンメリン、アンメランド、メラミンの硝酸塩、メラミンの過塩素酸塩、トリヒドラジノトリアジン、メラミンのニトロ化化合物を含むトリアジン類化合物から選ばれる1又は2以上である請求項1?4のいずれか一項に記載のガス発生剤組成物。 【請求項6】 (b)成分の含酸素酸化剤が、金属硝酸塩、硝酸アンモニウム、金属過塩素酸塩、過塩素酸アンモニウム、金属亜硝酸塩、金属塩素酸塩、塩基性硝酸銅、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸マンガンから選ばれる1又は2以上である請求項1?5のいずれか一項に記載のガス発生剤組成物。 【請求項7】 (c)成分のバインダが、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、カルボキシメチルセルロースカリウム塩、カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、微結晶性セルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドのアミノ化物、ポリアクリルヒドラジド、アクリルアミド・アクリル酸金属塩共重合体、ポリアクリルアミド・ポリアクリル酸エステル化合物の共重合体、ポリビニルアルコール、アクリルゴム、グアガム、デンプン、シリコーンから選ばれる1又は2以上である請求項2?6のいずれか1記載のガス発生剤組成物。 【請求項8】 (d)成分の添加剤が、酸化銅、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化ビスマス、シリカ、アルミナを含む金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化コバルト、水酸化鉄、水酸化マグネシウムを含む金属水酸化物;炭酸コバルト、炭酸カルシウム、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸銅を含む金属炭酸塩又は塩基性金属炭酸塩;酸性白土、カオリン、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、ヒドロタルサイトを含む金属酸化物又は水酸化物の複合化合物;ケイ酸ナトリウム、マイカモリブデン酸塩、モリブデン酸コバルト、モリブデン酸アンモニウム等の金属酸塩、シリコーン、二硫化モリブデン、ステアリン酸カルシウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ホウ酸、メタホウ酸、無水ホウ酸から選ばれる1又は2以上である請求項2?7の記載のガス発生剤組成物。 【請求項9】 (a)成分としてメラミンシアヌレート、(b)成分として塩基性硝酸銅を含有する請求項1記載のガス発生剤組成物。 【請求項10】 (a)成分として15?40質量%のメラミンシアヌレート、(b)成分として60?85質量%の塩基性硝酸銅を含有する請求項1記載のガス発生剤組成物。 【請求項11】 (a)成分として15?60質量%のメラミンシアヌレートと硝酸グアニジンの混合物、(b)成分として40?85質量%の塩基性硝酸銅を含有する請求項1記載のガス発生剤組成物。 【請求項12】 (a)成分として15?50質量%のメラミンシアヌレートとメラミンの混合物、(b)成分として50?85質量%の塩基性硝酸銅を含有する請求項1記載のガス発生剤組成物。 【請求項13】 (a)成分として15?50質量%のメラミンシアヌレートとビテトラゾールアンモニウム塩の混合物、(b)成分として50?85質量%の塩基性硝酸銅を含有する請求項1記載のガス発生剤組成物。 【請求項14】 (a)成分としてメラミンシアヌレート、(b)成分として塩基性硝酸銅、(c)成分としてカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガムを含有する請求項2記載のガス発生剤組成物。 【請求項15】 (a)成分として15?30質量%のメラミンシアヌレート、(b)成分として40?84.9質量%の塩基性硝酸銅、(c)成分として0.1?10質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガムを含有する請求項2記載のガス発生剤組成物。 【請求項16】 (a)成分として15?49.9質量%のメラミンシアヌレートとグアニジン硝酸塩との混合物、(b)成分として50?80質量%の塩基性硝酸銅、(c)成分として0.1?10質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガムを含有する請求項2記載のガス発生剤組成物。 【請求項17】 (a)成分として15?30質量%のメラミンシアヌレートとメラミンとの混合物、(b)成分として60?80質量%の塩基性硝酸銅、(c)成分として0.1?10質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガムを含有する請求項2記載のガス発生剤組成物。 【請求項18】 (a)成分として10?30質量%のメラミンシアヌレート、(b)成分として40?89.4質量%の塩基性硝酸銅、(c)成分として0.1?10質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、(d)成分として0.5?15質量%の水酸化アルミニウムを含有する請求項2記載のガス発生剤組成物。 【請求項19】 (a)成分として10?50質量%のメラミンシアヌレートと硝酸グアニジンとの混合物、(b)成分として40?88.9質量%の塩基性硝酸銅、(c)成分として0.1?10質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、(d)成分として1?10質量%の水酸化アルミニウムを含有する請求項2記載のガス発生剤組成物。 【請求項20】 (a)成分として10?30質量%のメラミンシアヌレートとメラミンとの混合物、(b)成分として40?89.8質量%の塩基性硝酸銅、(c)成分として0.1?10質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、(d)成分として0.1?15質量%の水酸化アルミニウムを含有する請求項2記載のガス発生剤組成物。 【請求項21】 (a)成分として10?30質量%のメラミンシアヌレート、(b)成分として40?88.9質量%の塩基性硝酸銅、(c)成分として0.1?10質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、(d)成分として1?10質量%の水酸化マグネシウム又はメタホウ酸を含有する請求項2記載のガス発生剤組成物。 【請求項22】 (a)成分として10?30質量%のメラミンシアヌレート、(b)成分として50?80質量%の塩基性硝酸銅、(c)成分として0.1?10質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、(d)成分として0.1?10質量%の酸化アルミニウム、シリカ、酸性白土、珪藻土から選ばれる1又は2以上の添加剤を含有するガス発生剤組成物。 【請求項23】 請求項1?22のいずれか一項に記載のガス発生剤組成物を押出し成型して得られる、単孔円柱状又は多孔円柱状のガス発生剤組成物成型体。 【請求項24】 請求項1?22のいずれか一項に記載のガス発生剤組成物を圧縮成型して得られる、ペレット形状のガス発生剤組成物成型体。 【請求項25】 請求項1?22のいずれか一項に記載のガス発生剤組成物、又は請求項23又は24記載のガス発生剤成型体を用いるエアバッグ用インフレータ。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、自動車等のエアバッグ拘束システムに適したガス発生剤組成物、その成型体及びそれらを用いたエアバッグ用インフレータに関する。 【0002】 【従来の技術】 自動車における乗員保護装置としてのエアバッグ用ガス発生剤としては、従来からアジ化ナトリウムを用いた組成物が多用されてきた。しかし、アジ化ナトリウムの人体に対する毒性[LD50(oral-rat)=27mg/kg]や取扱い時の危険性が問題視され、それに替わるより安全ないわゆる非アジド系ガス発生剤組成物として、各種の含窒素有機化合物を含むガス発生剤組成物が開発されている。 【0003】 米国特許4,909,549号には、水素を含むテトラゾール、トリアゾール化合物と酸素含有酸化剤との組成物が開示されている。米国特許4,370,181号には、水素を含まないビテトラゾールの金属塩と酸素を含まない酸化剤とからなるガス発生剤組成物が開示されている。米国特許4,369,079号には、水素を含まないビテトラゾールの金属塩とアルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属亜硝酸塩、アルカリ土類金属硝酸塩、アルカリ土類金属亜硝酸塩及びこれらの混合物からなるガス発生剤組成物が開示されている。米国特許5,542,999号には、GZT,TAGN(トリアミノニトログアニジン),NG(ニトログアニジン)、NTO等の燃料、塩基性硝酸銅、有毒ガスを低減する触媒とクーラント剤からなるガス発生剤が開示されている。特開平10-72273号には、ビテトラゾール金属塩、ビテトラゾールアンモニウム塩、アミノテトラゾールと硝酸アンモニウムからなるガス発生剤が開示されている。特開2001-220282号には、トリアジン誘導体と塩基性金属硝酸塩からなるガス発生剤が開示されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記の非アジド系ガス発生剤組成物は、燃焼温度、燃焼速度、相移転、一酸化炭素及び窒素酸化物の生成量、ガス発生効率、取扱い時の安全性等に問題がある。 【0005】 米国特許4,369,079号のガス発生剤組成物は、燃焼温度が高く、実際に使われると、大量のクーラントが必要となる。米国特許5,542,999号の組成物は、燃焼速度が小さく、短時間で完全燃焼できない恐れがある。特開平10-72273号のガス発生剤は、使用温度範囲において硝酸アンモニウムの相転移による形状変化によって、ガス発生剤成型体が破損し、安定的に燃焼できなくなる。特開2001-220282号以外の非アジド系ガス発生剤の特許では、ガス発生剤の燃料がテトラゾール類、ニトログアニジン、TAGN等が使われており、これらの化合物はすべて危険物で、取り扱う時に安全上に十分に注意を払う必要がある。 【0006】 また、特開2001-220282号に開示された発明も含めて、ガス発生剤の燃料としてメラミンシアヌレートを用いた先行技術はない。 【0007】 従って、本発明の課題は、燃焼温度が低く、一酸化炭素及び窒素酸化物の生成量が少なく、取扱い時に安全なガス発生剤組成物、その成型体及びそれらを用いたエアバッグ用インフレータを提供することである。 【0008】 【課題を解決するための手段】 本発明は、下記(a)成分及び必要に応じて(b)成分を含有することを特徴とするガス発生剤組成物を提供する。 【0009】 (a)燃料であるメラミンシアヌレート又はメラミンシアヌレートと含窒素有機化合物の混合物 (b)含酸素酸化剤 上記発明では、ガス発生剤組成物を(a)成分を含み、(b)成分を含まないものにすることができるが、(a)及び(b)成分の両方を含むものが好ましい。 【0010】 また本発明は、上記のガス発生剤組成物から得られる単孔円柱状、多孔円柱状又はペレット状の成型体を提供する。単孔又は多孔は、貫通孔でも、非貫通孔でも良い。 【0011】 また本発明は、上記のガス発生剤組成物及び成型体を用いたエアバッグ用インフレータを提供する。 【0012】 【発明の実施の形態】 本発明で用いる(a)成分のメラミンシアヌレート又はメラミンシアヌレートと含窒素有機化合物との混合物は、毒性も低く、更に(b)成分と組み合わせた場合には燃焼温度が低く、燃焼速度が大きくなるので好ましい。 【0013】 メラミンシアヌレートは、LD50(oral-rat)が2020mg/kgで、毒性が低く、熱安定性が高く、取扱い時に安全であり、価格も安いので好ましい。 【0014】 含窒素有機化合物としては、5-アミノテトラゾール、ビテトラゾールアンモニウム塩を含むテトラゾール類化合物;ニトログアニジン、グアニジン硝酸塩、ジシアンジアミドを含むグアニジン類化合物;メラミン、トリメチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン、アンメリン、アンメランド、メラミンの硝酸塩、メラミンの過塩素酸塩、トリヒドラジノトリアジン、メラミンのニトロ化化合物を含むトリアジン類化合物から選ばれる1又は2以上が挙げられる。 【0015】 メラミンシアヌレートと含窒素有機化合物との混合物にするときの配合比(質量比)は、本発明の課題を解決する観点から、含窒素有機化合物/メラミンシアヌレートは0.05?8が好ましく、0.1?6がより好ましく、0.2?2が更に好ましい。 【0016】 本発明で用いる(b)成分の含酸素酸化剤としては、金属硝酸塩、硝酸アンモニウム、金属過塩素酸塩、過塩素酸アンモニウム、金属亜硝酸塩、金属塩素酸塩、塩基性硝酸銅、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸マンガンから選ばれる1又は2以上が挙げられ、これらの中でも塩基性硝酸銅が好ましい。 【0017】 塩基性硝酸銅は、使用温度範囲において相転移がなく、融点が高いので、熱安定性が優れている。更に、ガス発生剤の燃焼温度を低くするように作用するので、窒素酸化物の生成量も少なくできる。 【0018】 本発明のガス発生剤組成物を(a)成分及び(b)成分の2成分系にする場合、(a)成分の含有量は10?60質量%が好ましく、15?50質量%がより好ましい。(b)成分の含有量は40?90質量%が好ましく、50?85質量%がより好ましい。 【0019】 2成分系のガス発生剤組成物の好ましい一実施形態としては、(a)メラミンシアヌレート及び(b)塩基性硝酸銅を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は(a)メラミンシアヌレート15?40質量%及び(b)塩基性硝酸銅60?85質量%が好ましい。 【0020】 2成分系のガス発生剤組成物の好ましい他の実施形態としては、(a)メラミンシアヌレートとグアニジン硝酸塩の混合物及び(b)塩基性硝酸銅を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は(a)メラミンシアヌレートとグアニジン硝酸塩の混合物15?60質量%及び(b)塩基性硝酸銅40?85質量%が好ましい。 【0021】 2成分系のガス発生剤組成物の好ましい他の実施形態としては、(a)メラミンシアヌレートとメラミンの混合物及び(b)塩基性硝酸銅を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は(a)メラミンシアヌレートとメラミンの混合物15?50質量%及び(b)塩基性硝酸銅50?85質量%が好ましい。 【0022】 2成分系のガス発生剤組成物の好ましい他の実施形態としては、(a)メラミンシアヌレートとビテトラゾールアンモニウム塩の混合物及び(b)塩基性硝酸銅を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は(a)メラミンシアヌレートとビテトラゾールアンモニウム塩の混合物15?50質量%及び(b)塩基性硝酸銅50?85質量%が好ましい。 【0023】 本発明のガス発生剤組成物を(a)成分の単独系、(a)及び(b)成分の2成分系、又は(a)、(b)及び(d)成分の3成分系にしたとき、その成型体の成型強度が強くない場合は、実際に燃焼する時に成型体が崩れて暴走的に燃焼して、燃焼をコントロールできない恐れがある。そこで、(c)成分のバインダを加えることが好ましい。 【0024】 (c)成分のバインダとしては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMCNa)、カルボキシメチルセルロースカリウム塩、カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート(CAB)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、微結晶性セルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドのアミノ化物、ポリアクリルヒドラジド、アクリルアミド・アクリル酸金属塩共重合体、ポリアクリルアミド・ポリアクリル酸エステル化合物の共重合体、ポリビニルアルコール、アクリルゴム、グアガム、デンプン、シリコーンから選ばれる1又は2以上が挙げられる。これらの中でも、バインダの粘着性能、価格、着火性等を考えると、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMCNa)とグアガムが好ましい。 【0025】 本発明のガス発生剤組成物を(a)成分の単独系、(a)及び(b)成分の2成分系、又は(a)、(b)及び(c)成分の3成分系にしたとき、ガス発生剤の燃焼速度を調整し、燃焼ガスを清浄にする目的で、更に(d)成分の添加剤を加えることが好ましい。 【0026】 (d)成分の添加剤としては酸化第二銅、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化ビスマス、シリカ、アルミナ等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化コバルト、水酸化鉄等の金属水酸化物;炭酸コバルト、炭酸カルシウム、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸銅等の金属炭酸塩又は塩基性金属炭酸塩;酸性白土、カオリン、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、ヒドロタルサイト等の金属酸化物又は水酸化物の複合化合物;ケイ酸ナトリウム、マイカモリブデン酸塩、モリブデン酸コバルト、モリブデン酸アンモニウム等の金属酸塩;シリコーン、二硫化モリブデン、ステアリン酸カルシウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、メタホウ酸、ホウ酸、無水ホウ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。 【0027】 ガス発生剤組成物の燃焼後の一酸化炭素の生成量を減らす場合には、(d)成分として水酸化アルミニウム又は酸化コバルトを添加することが好ましい。 【0028】 本発明のガス発生剤組成物を(a)?(d)成分の3成分系又は4成分系にする場合、各成分の含有量は次のとおりである。(a)成分の含有量は10?60質量%が好ましく、10?50質量%がより好ましい。(b)成分の含有量は40?90質量%が好ましく、50?80質量%がより好ましい。(c)成分の含有量は0?15質量%が好ましく、1?10質量%がより好ましい。(d)成分の含有量は20質量%以下が好ましく、0.5?15質量%がより好ましい。 【0029】 3成分系のガス発生剤組成物の好ましい一実施形態としては、(a)成分のメラミンシアヌレート及び(b)成分の塩基性硝酸銅及び(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガムを含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)成分のメラミンシアヌレート15?30質量%、(b)成分の塩基性硝酸銅40?84.9質量%及び(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガム0.1?10質量%が好ましい。 【0030】 3成分系のガス発生剤組成物の好ましい他の実施形態としては、(a)成分のメラミンシアヌレートと硝酸グアニジンの混合物、(b)成分の塩基性硝酸銅及び(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガムを含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)成分のメラミンシアヌレートと硝酸グアニジンの混合物15?49.9質量%、(b)成分の塩基性硝酸銅50?80質量%及び(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガム0.1?10質量%が好ましい。 【0031】 3成分系のガス発生剤組成物の好ましい他の実施形態としては、(a)成分のメラミンシアヌレートとメラミンの混合物(b)成分の塩基性硝酸銅及び(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガムを含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)成分のメラミンシアヌレートとメラミンの混合物15?30質量%、(b)成分の塩基性硝酸銅60?80質量%及び(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩又はグアガム0.1?10質量%が好ましい。 【0032】 4成分系のガス発生剤組成物の好ましい実施形態としては、(a)成分のメラミンシアヌレート、(b)成分の塩基性硝酸銅、(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩及び(d)成分の水酸化アルミニウムを含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)成分のメラミン10?30質量%、(b)成分の塩基性硝酸銅を40?89.4質量%、(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1?10質量%、(d)成分の水酸化アルミニウム0.5?15質量%が好ましい。 【0033】 4成分系のガス発生剤組成物の好ましい他の実施形態としては、(a)成分のメラミンシアヌレートとグアニジン硝酸塩との混合物、(b)成分の塩基性硝酸銅、(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩及び(d)成分の水酸化アルミニウムを含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)成分のメラミンシアヌレートとグアニジン硝酸塩との混合物10?50質量%、(b)成分の塩基性硝酸銅を40?88.9質量%、(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1?10質量%、(d)成分の水酸化アルミニウム1?10質量%が好ましい。 【0034】 4成分系のガス発生剤組成物の好ましい他の実施形態としては、(a)成分のメラミンシアヌレートとメラミンの混合物、(b)成分の塩基性硝酸銅、(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩及び(d)成分の水酸化アルミニウムを含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)成分のメラミンシアヌレートとメラミン10?30質量%、(b)成分の塩基性硝酸銅を40?89.8質量%、(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1?10質量%、(d)成分の水酸化アルミニウム0.1?15質量%が好ましい。 【0035】 4成分系のガス発生剤組成物の好ましい他の実施形態としては、(a)成分のメラミンシアヌレート、(b)成分の塩基性硝酸銅、(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩及び(d)成分の水酸化マグネシウム又はメタホウ酸を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)成分のメラミンシアヌレート10?30質量%、(b)成分の塩基性硝酸銅40?88.9質量%、(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1?10質量%、(d)成分の水酸化マグネシウム又はメタホウ酸1?10質量%が好ましい。 【0036】 4成分系のガス発生剤組成物の好ましい他の実施形態としては、(a)成分のメラミンシアヌレート、(b)成分の塩基性硝酸銅、(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩及び(d)成分の酸化アルミニウム、シリカ、酸性白土、珪藻土から選ばれる1又は2以上の添加剤を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)成分のメラミンシアヌレート10?30質量%、(b)成分の塩基性硝酸銅50?80質量%、(c)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1?10質量%、(d)成分の添加剤0.1?10質量%が好ましい。 【0037】 本発明のガス発生剤組成物は所望の形状に成型することができ、単孔円柱状、多孔円柱状又はペレット状の成型体にすることができる。これらの成型体は、ガス発生剤組成物に水又は有機溶媒を添加混合し、押出成型する方法(単孔円柱状、多孔円柱状の成型体)又は打錠機等を用いて圧縮成型する方法(ペレット状の成型体)により製造することができる。 【0038】 本発明のガス発生剤組成物又はそれから得られる成型体は、例えば、各種乗り物の運転席のエアバッグ用インフレータ、助手席のエアバッグ用インフレータ、サイドエアバッグ用インフレータ、インフレータブルカーテン用インフレータ、ニーボルスター用インフレータ、インフレータブルシートベルト用インフレータ、チューブラーシステム用インフレータ、プリテンショナー用ガス発生器に適用できる。 【0039】 また本発明のガス発生剤組成物又はそれから得られる成型体を使用するインフレータは、ガスの供給が、ガス発生剤からだけのパイロタイプと、アルゴン等の圧縮ガスとガス発生剤の両方であるハイブリッドタイプのいずれでもよい。 【0040】 更に本発明のガス発生剤組成物又はそれから得られる成型体は、雷管やスクイブのエネルギーをガス発生剤に伝えるためのエンハンサ剤(又はブースター)等と呼ばれる着火剤として用いることもできる。 【0041】 【実施例】 以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。 【0042】 実施例1?18、比較例1?2 表1に示す組成を有するガス発生剤組成物を製造した。これらの組成物の理論計算に基づく燃焼温度、発生ガス効率(単位mol/100gは組成物100g当たりの発生ガスのモル数を表す)、CO及びNO発生量を表1に示す。 【0043】 【表1】 【0044】 表1中、MCはメラミンシアヌレート、GNはグアジニン硝酸塩、BCNは塩基性硝酸銅、CMCNaはカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、BHTKはビテトラゾールカリウム塩である。他の表においても同様に表示した。 【0045】 実施例1?18の燃焼温度は、非アジド系ガス発生剤の比較例1より低い。実施例1?14は、理論上でNOの発生量が0で、比較例1、2に比べれば、NO発生量の低減に効果のあることを示している。実施例1?18のガス発生効率は、アジド系ガス発生剤の比較例2より4割以上上昇している。 【0046】 実施例19?24 表2に示す組成を有するガス発生剤組成物を製造した。これらの組成物のJISK4810-1979の火薬類性能試験法に基づく摩擦感度と落槌感度を試験した。結果を表2に示す。 【0047】 【表2】 【0048】 実施例19?24は、摩擦感度が353Nを超えており、落槌感度が60cm以上であるので、摩擦落槌感度が鈍感であり、取り扱い時の安全性が高い。 【0049】 実施例25?27 表3に示す組成を有するガス発生剤組成物を製造した。これらの組成物について、理学(株)製のTAS型示差熱分析装置による融解温度、発熱開始温度、TG重量減少開始温度を測定した。測定時の昇温速度は20℃/min、測定雰囲気は窒素ガス、測定時のサンプル量は1?2mgであった。結果を表3に示す。 【0050】 【表3】 【0051】 実施例25?27は、融解温度、分解開始温度、重量減少開始温度が200℃以上であるので、熱安定性が良い。 【0052】 実施例28?29 表4に示す組成を有するガス発生剤組成物を製造した。これらの組成物をストランドに成型して、4900、6860、8820kPaの圧力で、窒素雰囲気下で燃焼速度を測定した。6860kPaの燃焼速度と、4900?8820kPaの間の圧力指数を表4に示す。圧力指数は、次式:rb=αPn(式中、rb:燃焼速度、α:係数、P:圧力、n:圧力指数)から求めた。 【0053】 【表4】 【0054】 以上のように実施例28?29に示されたそれぞれの数値は、インフレータガス用ガス発生剤組成物としての実用上の条件を満足していることを示す。 【0055】 【発明の効果】 本発明のガス発生剤組成物及びその成型体は、低毒性で危険性が小さいので取り扱いが安全であり、燃焼速度が大きく、燃焼温度が低く、更に燃焼時に一酸化炭素や窒素酸化物の生成量が少ない。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2008-02-20 |
出願番号 | 特願2002-227094(P2002-227094) |
審決分類 |
P
1
41・
83-
Y
(C06B)
P 1 41・ 853- Y (C06B) P 1 41・ 855- Y (C06B) P 1 41・ 854- Y (C06B) P 1 41・ 832- Y (C06B) P 1 41・ 841- Y (C06B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 近藤 政克 |
特許庁審判長 |
原 健司 |
特許庁審判官 |
鈴木 紀子 橋本 栄和 |
登録日 | 2007-01-26 |
登録番号 | 特許第3907548号(P3907548) |
発明の名称 | メラミンシアヌレートを含むインフレータ用ガス発生剤組成物 |
代理人 | 関口 一哉 |
代理人 | 関口 一哉 |