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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G04B
管理番号 1174836
審判番号 不服2005-23798  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-12-08 
確定日 2008-03-13 
事件の表示 特願2000-389110「腕時計」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 7月 5日出願公開、特開2002-189084〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年12月21日の出願であって、平成17年11月2日付け(発送日:同年11月8日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月8日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成16年6月18日付け手続補正書及び平成17年9月12日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は、次のとおりである。
「【請求項1】
ガラスを固定するガラス縁と、
前記ガラス縁の下面に接触しムーブメントを収納する胴と、
前記ガラス縁と前記胴との間の防水性を確保するために前記ガラス縁と前記胴の間に設けた第1のパッキンと、
前記パッキンより内側に配置し前記ガラス縁と前記胴を固定するためのねじとを有し、
前記ガラス縁は、文字板見切り径から前記ガラス縁の外形までを文字板を受ける文字板受面部と、前記ねじと係合する雌ねじ部と、前記第1のパッキンを受けるパッキンボックスと、前記胴を受ける受面とからなる腕時計。」(以下、「本願発明」という。)

2.引用例に記載された発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、実願昭63-25549号(実開平1-132992号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、「携帯用時計」に関し、次の事項が図面とともに記載されている。
「第1図は本考案の実施例を示したもので、ガラス1,ガラス縁2,ムーブ3,中わく4,ガラス縁パッキンボックス5,胴6,おねじ7,ねじピン8からなり、ガラス縁2にねじピン8をロー付け等で固着し、ムーブ3,中わく4,胴6を組み込み、おねじ7でねじ止めしたものである。
この時、ねじピン8の側面でガラス縁パッキンボックス5の一部を形成することにより、長さ?分だけケースの径小化、軽量化を可能にした。」(明細書3頁2行?10行)
前記記載中、パッキンボックス5内にはパッキンが収納されていることは明らかであることを考慮すると、
前記記載及び第1図から、
(1)ガラス1を固定するガラス縁2、
(2)ガラス縁2の下面に接触しムーブ3を収納する胴6、
(3)ガラス縁2と胴6との間に設けたパッキン、
(4)パッキンより外側に配置しガラス縁2と胴6を固定するおねじ7、
(5)おねじ7と係合し、ガラス縁2に固着されたねじピン8、
が読みとれる。
また、第1図から、次の事項(6)?(11)が見てとれる。
(6)ガラス1とムーブ3との間には文字板が存在すること。
(7)ガラス縁2は該文字板を押さえる受面部を有すること。
(8)ガラス縁2の受面部とガラス縁パッキンボックス5との間には、パッキンを組み付ける突起部がガラス縁2に形成されていること。
(9)ガラス縁2の面がガラス縁パッキンボックス5を形成する面の一部を構成していること。
(10)ガラス縁2の外周部側には、胴6と当接する当接面が形成されていること。
(11)ガラス縁2は、文字板を押さえる受面部の内径からガラス縁の外径にわたって形成されていること。
前記(5)?(11)の事項をまとめると、
(12)ガラス縁2は、文字板を押さえる受面部の内径からガラス縁2の外径にわたって、文字板を押さえる受面部と、パッキンを組み付ける突起部と、ガラス縁パッキンボックス5と、おねじ7と係合するねじピン8と、胴6と当接する当接面とからなることが見てとれることになる。

以上の記載事項(1)?(4)、(12)を総合勘案すると、引用例には次の発明が記載されていると認められる。
「ガラス1を固定するガラス縁2と、
前記ガラス縁2の下面に接触しムーブ3を収納する胴6と、
前記ガラス縁2と前記胴6との間に設けたパッキンと、
前記パッキンより外側に配置し前記ガラス縁2と前記胴6を固定するおねじ7とを有し、
前記ガラス縁2は、文字板を押さえる受面部の内径からガラス縁2の外径にわたって、文字板を押さえる受面部と、パッキンを組み付ける突起部と、ガラス縁パッキンボックス5と、おねじ7と係合するねじピン8と、胴6と当接する当接面とからなる携帯用時計。」(以下、「引用例に記載された発明」という。)

3.対比
本願発明と引用例に記載された発明とを対比する。
引用例に記載された発明における、
「ガラス1」、「ガラス縁2」、「ムーブ3」、「胴6」、「ガラス縁2と前記胴6との間に設けたパッキン」、「ガラス縁パッキンボックス5」、「おねじ7」、「文字板を押さえる受面部の内径」、「ガラス縁2の外径にわたって」、「文字板を押さえる受面部」、「ねじピン8」、「胴6と当接する当接面」、は本願発明における、
「ガラス」、「ガラス縁」、「ムーブメント」、「胴」、「ガラス縁と前記胴との間の防水性を確保するために前記ガラス縁と前記胴の間に設けた第1のパッキン」、「第1のパッキンを受けるパッキンボックス」、「ねじ」、「文字板見切り径」、「ガラス縁の外形までを」、「文字板を受ける文字板受面部」、「雌ねじ部」、「胴を受ける受面」、にそれぞれ相当する。
また、引用例に記載された発明は「携帯用時計」である一方、本願発明は「腕時計」であるが、腕時計は携帯用時計として代表的なものであることは広く認識されており、引用例に接した当業者が、携帯用時計として第一に想起するはずの時計であることから、引用例に記載された発明における「携帯用時計」は本願発明における「腕時計」に相当するといえる。
してみると、両者は
(一致点)
「ガラスを固定するガラス縁と、
前記ガラス縁の下面に接触しムーブメントを収納する胴と、
前記ガラス縁と前記胴との間の防水性を確保するために前記ガラス縁と前記胴の間に設けた第1のパッキンと、
前記ガラス縁と前記胴を固定するためのねじとを有し、
前記ガラス縁は、文字板見切り径から前記ガラス縁の外形までを文字板を受ける文字板受面部と、前記ねじと係合する雌ねじ部と、前記第1のパッキンを受けるパッキンボックスと、前記胴を受ける受面とからなる腕時計。」
で一致し、以下の点で相違している。
(相違点)
パッキンとねじとの配置関係及びパッキンの組み付けについて、
本願発明では、パッキンをねじの外側に配置し、「突起部」を有しないガラス縁によりパッキンを組み付けることでガラス縁はパッキンを組み付ける壁幅(D)を有しないものとしているのに対し、引用例に記載された発明では、パッキンをねじの内側に配置し、「パッキンを組み付ける突起部」を有するガラス縁によりパッキンを組み付けている点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
腕時計において、防水性確保のためのパッキンを締め付けねじの外側の胴本体内に配置し、該パッキンより内側に配したねじの締付力により上方から押さえ部材の平面部でパッキンを押さえることにより、突起部を用いることなくパッキンを組み付けるようにすることは周知である(例えば、特開昭55-70770号公報:2頁左上欄12行?右上欄16行、及び第1図に示された結合部材3、パッキン8を参照のこと、または、実願昭55-151776号(実開昭57-73682号公報)のマイクロフィルム:特に第2図に示されたガラス縁5、パッキン4を参照のこと)。
そうすると、本願発明のようにパッキンをねじの外側に配置し、ガラス縁に突起部を有しないものでパッキンの組み付けることでガラス縁はパッキンを組み付ける壁幅(D)を有しないものとすることは、当業者ならば容易に想到し得るところといえる。

そして、本願発明の作用効果は、引用例に記載された発明及び周知技術から当業者が予測可能なものであって、格別なものではない。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおりであるから、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-08 
結審通知日 2008-01-15 
審決日 2008-01-30 
出願番号 特願2000-389110(P2000-389110)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 五閑 統一郎  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 山下 雅人
岡田 卓弥
発明の名称 腕時計  
代理人 松下 義治  

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