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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1174956
審判番号 不服2004-6670  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-01 
確定日 2008-03-21 
事件の表示 特願2000-298511「映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法及び記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 4月12日出願公開、特開2002-109134〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年9月29日の出願であって、平成15年5月23日付けの拒絶理由通知に対して同年7月28日付けで手続補正がなされたが、平成16年2月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月1日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同年5月6日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年5月6日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成16年5月6日付けの手続補正を却下する。

[理由]
2-1.補正の内容
平成16年5月6日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲は、次のとおりである。
「【請求項1】 放送用コンピュータにより、デジタル処理されたプロモーションやマーケティングに関連するインタラクティブCMを設置場所を認識できるアクセス番号とともに所定の場所に設置されている大型の表示媒体を用いて告知する工程と、
携帯用の通信端末により、前記アクセス番号にアクセスした視聴者からの反応を視聴者情報集計コンピュータにより集計する工程と、
前記視聴者情報集計コンピュータにより集計された結果に基づき、制御用コンピュータにより前記放送用コンピュータによる告知動作を制御する工程と、
前記インタラクティブCMの告知に対する前記視聴者からの反応であるコミュニケーションを、ビジュアル・コミュニケーション、サウンド・コミュニケーション、メモリ・コミュニケーションの何れかによって実行する工程とを有する
ことを特徴とする映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項2】 前記ビジュアル・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、公共施設に設置されているスクリーンに表示させ、前記携帯用の通信端末からの反応を示す信号を場内アンテナを介して受け取る工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項3】 前記ビジュアル・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、街頭に設置されている大型ビジョンに表示させる工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項4】 前記ビジュアル・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、商品販売所の店頭のビジョンに表示させる工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項5】 前記サウンド・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、公共施設に設置されているスクリーンの映像に連動して送出される音声を含む情報として流す工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項6】 前記サウンド・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、街頭に設置されている大型ビジョンの映像に連動して送出される音声を含む情報として流す工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項7】 前記サウンド・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、商品販売所の店頭のビジョンの映像に連動して送出される音声を含む情報として流す工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項8】 関連情報をデータとして前記音声に含ませる工程が含まれることを特徴とする請求項5?7の何れかに記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項9】 前記メモリ・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、公共施設に設置されているスクリーンに告知させる際、Webアドレスを前記視聴者の通信端末に記憶させる工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項10】 前記メモリ・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、街頭に設置されている大型ビジョンに告知させる際、Webアドレスを前記視聴者の通信端末に記憶させる工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項11】 前記メモリ・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、商品販売所の店頭のビジョンに告知させる際、Webアドレスを前記視聴者の通信端末に記憶させる工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項12】 請求項1?11の何れかに記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法を実行可能なプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体。」

また、本件補正により補正された明細書第7段落の記載は、次のとおりである。
「【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法は、放送用コンピュータにより、デジタル処理されたプロモーションやマーケティングに関連するインタラクティブCMを設置場所を認識できるアクセス番号とともに所定の場所に設置されている大型の表示媒体を用いて告知する工程と、携帯用の通信端末により、アクセス番号にアクセスした視聴者からの反応を視聴者情報集計コンピュータにより集計する工程と、視聴者情報集計コンピュータにより集計された結果に基づき、制御用コンピュータにより放送用コンピュータによる告知動作を制御する工程と、インタラクティブCMの告知に対する視聴者からの反応であるコミュニケーションを、ビジュアル・コミュニケーション、サウンド・コミュニケーション、メモリ・コミュニケーションの何れかによって実行する工程とを有することを特徴とする。
また、ビジュアル・コミュニケーションを用いる場合、インタラクティブCMを、公共施設に設置されているスクリーンに表示させ、携帯用の通信端末からの反応を示す信号を場内アンテナを介して受け取る工程が含まれるようにすることができる。
また、ビジュアル・コミュニケーションを用いる場合、インタラクティブCMを、街頭に設置されている大型ビジョンに表示させる工程が含まれるようにすることができる。
また、ビジュアル・コミュニケーションを用いる場合、インタラクティブCMを、商品販売所の店頭のビジョンに表示させる工程が含まれるようにすることができる。
また、サウンド・コミュニケーションを用いる場合、インタラクティブCMを、公共施設に設置されているスクリーンの映像に連動して送出される音声を含む情報として流す工程が含まれるようにすることができる。
また、サウンド・コミュニケーションを用いる場合、インタラクティブCMを、街頭に設置されている大型ビジョンの映像に連動して送出される音声を含む情報として流す工程が含まれるようにすることができる。
また、サウンド・コミュニケーションを用いる場合、インタラクティブCMを、商品販売所の店頭のビジョンの映像に連動して送出される音声を含む情報として流す工程が含まれるようにすることができる。
また、関連情報をデータとして音声に含ませる工程が含まれるようにすることができる。
また、メモリ・コミュニケーションを用いる場合、インタラクティブCMを、公共施設に設置されているスクリーンに告知させる際、Webアドレスを視聴者の通信端末に記憶させる工程が含まれるようにすることができる。
また、メモリ・コミュニケーションを用いる場合、インタラクティブCMを、街頭に設置されている大型ビジョンに告知させる際、Webアドレスを視聴者の通信端末に記憶させる工程が含まれるようにすることができる。
また、メモリ・コミュニケーションを用いる場合、インタラクティブCMを、商品販売所の店頭のビジョンに告知させる際、Webアドレスを視聴者の通信端末に記憶させる工程が含まれるようにすることができる。
本発明の記録媒体は、請求項1?11の何れかに記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法を実行可能なプログラムが記録されていることを特徴とする。
本発明に係る映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法及び記録媒体においては、放送用コンピュータにより、デジタル処理されたプロモーションやマーケティングに関連するインタラクティブCMをアクセス番号とともに告知し、通信端末により、アクセス番号にアクセスした視聴者からの反応を視聴者情報集計コンピュータにより集計するとともに、視聴者情報集計コンピュータにより集計された結果に基づき、制御用コンピュータにより放送用コンピュータによる告知動作を制御するようにする。」

2-2.当初明細書の記載
本件出願の願書に最初に添付された明細書(以下、「当初明細書」という。また、願書に最初に添付された明細書及び図面を「当初明細書等」という。)中には、以下の記載が存在している。
『【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0009】図1は、本発明の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法の一実施の形態に係るデータベース・マーケティングシステムの概要を説明するための図、図2?図4は、図1のデータベース・マーケティングシステムにおけるデータベース・マーケティング方法を説明するためのフローチャートである。
【0010】図1に示すデータベース・マーケティングシステムは、たとえば映画館を想定したものであり、番組表データベース10、シネアドデジタルアーカイブデータベース11、放送用コンピュータ12、デジタルプロジェクタ13、スクリーン14、場内アンテナ15、正誤フィルター装置16、視聴者情報集計コンピュータ17、制御用コンピュータ18を備えている。
【0011】番組表データベース10には、番組表に関するデータが登録されている。シネアドデジタルアーカイブデータベース11には、放送に関するデータが登録されている。
【0012】放送用コンピュータ12は、番組表データベース10に登録されている番組表に基づき、シネアドデジタルアーカイブデータベース11に登録されている放送に関するデータをデジタルプロジェクタ13に送出する。
【0013】デジタルプロジェクタ13は、放送用コンピュータ12から送出される放送に関するデータを映像信号に変換してスクリーン14に投射する。スクリーン14は、デジタルプロジェクタ13によって投射された映像を映し出す。
【0014】場内アンテナ15は、たとえば映画館内の複数の視聴者20が携帯している携帯電話やモバイル端末等の通信端末21からの反応を示す信号を受取る。ここでの反応とは、たとえばスクリーン14上に、選択式の問題が出され、それに対する回答をたとえば090-1234-5678にダイヤルして答えた結果である。この場合、複数の視聴者20がたとえば090-1234-5678にダイヤルすると、たとえば視聴者情報集計コンピュータ17が自動応答し、「1?3の何れかのキーを押した後、#を押して下さい」といったメッセージが流れるようになっている。
【0015】正誤フィルター装置16は、複数の視聴者20からの反応である回答を受取ると、正解と不正解とに振分けて、正解に関するデータを視聴者情報集計コンピュータ17に送出する。
【0016】視聴者情報集計コンピュータ17は、正誤フィルター装置16からの正解に関するデータを受取ると、集計処理を行い、その結果に関するデータを制御用コンピュータ18にフィードバックする。
【0017】制御用コンピュータ18は、視聴者情報集計コンピュータ17からの結果に関するデータを受取ると、放送用コンピュータ12による放送に関するデータの送出を制御する。
【0018】ここで、放送に関するデータの送出を制御するとは、たとえば視聴者情報集計コンピュータ17によってフィードバックされる結果に応じて、スクリーン14に映し出す次の映像内容を瞬時に差換えたりすることである。
【0019】またここで、上述した複数の視聴者20からの反応を得る方法は、いわゆるビジュアル・コミュニケーションである。このようなビジュアル・コミュニケーションは、視覚による反応を効果的に測定することが可能であり、このような方法を採用することで、定量的な測定が可能となる。また、その結果から、次に流す広告を反応に応じて変更することができる。
【0020】なお、このようなビジュアル・コミュニケーションに限らず、たとえばサウンド・コミュニケーションやメモリ・コミュニケーションによる方法を採用することもできる。
【0021】ここで、サウンド・コミュニケーションとは、音楽、音声情報等の聴覚で反応する情報を大型映像を通して視聴者20へ発信し、視聴者20からの反応を情報発信者側へフィードバックしてコミュニケ-ションを図る方法である。この方法の場合も、視聴者20が携帯している携帯電話やモバイル端末等の通信端末21からの反応を受取ることにより、定量的な効果測定が可能となるとともに、次に流す広告原稿を反応に応じて変更することができる。
【0022】この場合、電子透かしの技術により、放送される音源自身に音源情報の一部を関連情報としてエンコード処理し発信するようにしてもよい。この際、視聴者20側が大型映像を通じて発信された音楽情報を携帯電話やモバイル端末等の通信端末21によってキャッチし、その音楽情報をA/D変換し、さらにデコードすることで、発信された関連情報の詳細の理解が可能となる。
【0023】また、メモリ・コミュニケーションとは、その場で即時に反応を返すと言うより、ある一定時間後に電話回線やインターネットブラウザ等を経由して情報発信者側へ反応をフィードバックしてコミュニケ-ションを図る方法である。この場合、情報の伝達は、上述したビジュアルであってもサウンドであってもよく、その他の方法であってもよい。
【0024】またこの場合、たとえば大型映像に表示されたWebアドレスを、携帯電話やモバイル端末等の通信端末21に一時的に記憶させ(メモリ化させ)、たとえば映画終了後にそのWebアドレスを用いてアクセスするようにすることで、映画自体の定量的な反応の効果測定が可能となる。またこの場合、映画自体の感想等をWebアドレスを用いて開いたホームページ上で記入するようにもできる。
【0025】次に、以上のような構成のデータベース・マーケティングシステムにおけるデータベース・マーケティング方法について説明する。
【0026】なお、以下に説明する問題は、たとえば5問程度用意されている。それぞれの問題は、難易度が異なるものである。また、正解者はたとえば5名程度に設定されている。また、5名以内の残った正解者には、たとえば映画の割引券や粗品が贈呈されるようになっている。
【0027】そして、まず、図2に示すように、デジタル処理されたプロモーションやマーケティングに関するインタラクティブCMがスクリーン14に表示される(ステップ201)。このとき、スクリーン14に問題が表示されるとともに、回答先の電話番号が表示される(ステップ202)。
【0028】すなわち、たとえば図1に示すように、
「問題
MI-2Kの主役は?
1.Tom
2.John
3.Scott
回答は、090-1234-5678へ」としたようなものである。
【0029】視聴者20は、表示された番号へアクセスする(ステップ203)。このとき、場内アンテナ15により回線が接続される(ステップ204)。回線が接続されると、音声ガイドで正解番号を誘導し(ステップ205)、回答者の正誤判断を行う(ステップ206)。ここで、不正解者は参加権利を失い(ステップ207)、正解者は次の問題の参加資格を得る。
【0030】すなわち、たとえば音声ガイドで正解番号を誘導するに際し、たとえば図3の(ステップ301)に示すように、「音声ガイドに従い、
“1”を入力:正解です。次へ進む際はパスワード“#”・“0”を入力してください。
“2”を入力:不正解です。ありがとうございました。
“3”を入力:不正解です。ありがとうございました。」
とした正誤判断が行われる。
【0031】このとき、回答者の正誤判断の結果は、視聴者情報集計コンピュータ17によって集計された後、制御用コンピュータ18にその集計結果がフィードバックされる(ステップ208)。また、視聴者情報集計コンピュータ17は、回答結果をたとえばグラフ状の結果として即座に集計する(ステップ209,210)。
【0032】またこのとき、制御用コンピュータ18は、正解者の数を判定し(ステップ211)、正解者多数である場合には、次の問題が選択される(ステップ212)。すなわち、正解者が多すぎる場合には難易度の高い問題に変更される(ステップ213)。正解者が適度に多い場合には、最初に予定されていた順番の問題が用意され、次の問題へ進む(ステップ214)。ここでの問題の選択に際しては、たとえば制御用コンピュータ18側にて予め第1の問題の回答者の予定数を複数設定しておくことで、何れかの予定数に応じて自動的に次の問題を選択できるようにすることができる。
【0033】次の問題へ進む場合、たとえば図4に示すように、スクリーン14に第2問目の問題が出題され表示される(ステップ401)。視聴者20は表示された番号へアクセスする(ステップ402)。このとき、場内アンテナ15により回線が接続される(ステップ403)。
【0034】ここで、最初に前回正解者の判定パスワードを入力する(ステップ404)。そして、音声ガイドで正解番号を誘導して正誤を判定し、正解者には新たなパスワードを通達する(ステップ405)。
【0035】ここでの正解番号を誘導して正誤を判定する方法は、上述の(ステップ301)で説明した内容に沿ったものである。回答者の正誤判断の結果は、上述した(ステップ208)で説明したように、視聴者情報集計コンピュータ17によって集計された後、制御用コンピュータ18にその集計結果がフィードバックされる。
【0036】以上のようにして問題が何問か出題され、上述した(ステップ211)にて正解者の数が規定以下に達すると、(ステップ215)に示すように、配信番組が変更される。このとき、図4の(ステップ406)に示すように、最終的な正解者には、音声ガイドで伝達を行う。
【0037】また、図2の(ステップ216,217)に示すように、制御用コンピュータ18により制御されている放送用コンピュータ12により、番組表へのアクセスとシネアドデジタルアーカイブデータベース11へのアクセスが行われ、番組表に基づく放送が行われる。
【0038】またこのとき、視聴者20が携帯している携帯電話やモバイル端末等の通信端末21を切るようなメッセージがスクリーン14に表示されたり、通信端末21を通して音声出力されたりする(ステップ218)。そして、次のシネアド番組へ進む(ステップ219)。
【0039】このように、本実施の形態では、放送用コンピュータ12により、デジタル処理されたプロモーションやマーケティングに関連するインタラクティブCMをアクセス番号とともに告知し、携帯電話やモバイル端末等の通信端末21により、アクセス番号にアクセスした視聴者20からの反応を視聴者情報集計コンピュータ17により集計するとともに、視聴者情報集計コンピュータ17により集計された結果に基づき、制御用コンピュータ18により放送用コンピュータ12によるビジュアル、サウンド、メモリの何れかによる告知動作を制御するようにしたので、リアルタイムでのデータベース・マーケティングの促進を図ることができる。
【0040】なお、本実施の形態では、本発明を映画館に適用した場合について説明したが、この例に限らず、たとえば音楽パッケージ販売におけるプロモーションに適用することができる。
【0041】すなわち、たとえば渋谷や銀座等のように、人が多く集る街頭に設置されている大型ビジョンより、任意の歌手の新曲プロモーションビデオCMを放送する。その際に、アクセス番号を同時に表示する。たとえば、「今、携帯電話で090-8888-0123にアクセスすると、ダウンロードサービスを実施中(本日中のみ)。」とした内容を表示する。このとき、渋谷の街頭に設置されている大型ビジョンにおいては、090-8888-0123を表示し、銀座の渋谷の街頭に設置されている大型ビジョンにおいては、090-8888-0122を表示するようにする。
【0042】これにより、渋谷や銀座を歩行中の人で、流したCMに関心を持った人の人数がダウンロード用アクセスサーバに接続された段階で把握できる。また、電話番号の末尾が0122の場合、銀座からのアクセスであると認識でき、電話番号の末尾が0123の場合、渋谷からのアクセスであると認識できる。
【0043】また、ダウンロード用アクセスサーバにアクセスしてダウンロードした人へは、先行予約や割引販売等の対象として登録することで、プラスαのサービスを享受できる。』(第8?43段落)

2-3.特許法第17条の2第3項についての判断
放送用コンピュータにより告知されたアクセス番号にアクセスした視聴者からの反応を集計して、「集計された結果に基づき、制御用コンピュータにより前記放送用コンピュータによる告知動作を制御する」工程を少なくとも有するデータベース・マーケティング方法において、本件補正後の明細書の特許請求の範囲の請求項1及び第7段落に記載された前記アクセス番号を、「設置場所を認識できる」アクセス番号とする補正を含む本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲を超える内容を含むものである。
以下、具体的に説明する。
当初明細書第9?39段落等には、映画館での実施に係る実施形態(以下、「第1実施形態」という。)が記載されており、また、当初明細書第40?43段落には、音楽パッケージ販売におけるプロモーションに係る実施形態(以下、「第2実施形態」という。)が記載されている。
そして、本件補正後に記載された「設置場所を認識できる」アクセス番号とは、第2実施形態において、「このとき、渋谷の街頭に設置されている大型ビジョンにおいては、090-8888-0123を表示し、銀座の街頭に設置されている大型ビジョンにおいては、090-8888-0122を表示するようにする。」(当初明細書第41段落。なお、「銀座の渋谷の」という記載は「銀座の」の誤記と認めた。)を根拠としていることは一応は理解できるものであって、これにより、集計した結果として、渋谷や銀座を歩行中の人で、流したCMに関心を持った人の「人数」が把握できる(当初明細書第42段落)ことも一応は理解できる。
けれども、前記第2実施形態では、把握された前記「人数」に基づき、街頭に設置されている大型ビジョンによって新曲プロモーションビデオCMを放送する動作を制御することは記載も示唆もされていないため、前記「集計された結果に基づき、制御用コンピュータにより前記放送用コンピュータによる告知動作を制御する」という発想が、前記第2実施形態において開示されているということはできない。
一方、前記「集計された結果に基づき、制御用コンピュータにより前記放送用コンピュータによる告知動作を制御する」という発想は、第1実施形態において開示されていることは明らかであるが、その映画館のスクリーンに映し出される電話番号は「090-1234-5678」という一種類のみであり「設置場所を認識できる」ような電話番号を映画館のスクリーンに映し出すことは記載も示唆もされていないため、前記「設置場所を認識できる」アクセス番号を告知することが、前記第1実施形態において開示されているということはできない。
そうすると、当初明細書等に記載された第1実施形態や第2実施形態は、いずれも、本件補正後の、放送用コンピュータにより告知された「設置場所を認識できるアクセス番号」にアクセスした視聴者からの反応を集計して、「集計された結果に基づき、制御用コンピュータにより前記放送用コンピュータによる告知動作を制御する」という技術思想を開示していたといえるものではない。
また、第1実施形態及び第2実施形態の両者を包含する上位概念としては、換言すれば、両実施形態の共通部分である「CMとともに告知された電話番号にアクセスした視聴者からの反応を集計する」ことに留まるのだから、本件補正後に記載された前記技術思想が、当初明細書等に記載された第1実施形態及び第2実施形態の両者を包含する上位概念として把握できるものでもない。
また、第1実施形態の技術は、映画館の単一のスクリーンに表示されるインタラクティブCMにて出題された問題の正解者数に基づいて前記単一のスクリーンの次の表示内容を制御するものであるが、複数のスクリーンに対する表示制御について記載も示唆もされておらず、一方、第2実施形態の技術は、音楽パッケージ販売における任意の歌手の新曲プロモーションビデオCMにおけるダウンロードサービスを行うものであるが、前記新曲プロモーションビデオCMにおいて視聴者の反応に応じて次の表示内容を制御するインタラクティブ性について記載も示唆もされていないことを踏まえれば、両者のCM及び制御の内容が整合しているとはいえないため、前記第1実施形態の内容と前記第2実施形態の内容とを併せ持つような一の発明を想定することもできないから、前記一の発明が、当初明細書等に開示されていたということもできない。
そして、本件補正後に記載された前記技術思想が、当初明細書等のその余の箇所に記載されているということもできない。
したがって、放送用コンピュータにより告知されたアクセス番号にアクセスした視聴者からの反応を集計して、「集計された結果に基づき、制御用コンピュータにより前記放送用コンピュータによる告知動作を制御する」工程を少なくとも有するデータベース・マーケティング方法において、本件補正後の明細書の特許請求の範囲の請求項1及び第7段落に記載された前記アクセス番号を、「設置場所を認識できる」アクセス番号とする補正を含む本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内にあるものであるということはできないから、特許法第17条の2第3項に規定された要件に違反するものである。

2-4.本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正の前の特許請求の範囲は、平成15年7月28日付け手続補正書によって補正された、次のとおりのものである。
「【請求項1】 放送用コンピュータにより、デジタル処理されたプロモーションやマーケティングに関連するインタラクティブCMをアクセス番号とともに所定の場所に設置されている大型の表示媒体を用いて告知する工程と、
携帯用の通信端末により、前記アクセス番号にアクセスした視聴者からの反応を視聴者情報集計コンピュータにより集計する工程と、
前記視聴者情報集計コンピュータにより集計された結果に基づき、制御用コンピュータにより前記放送用コンピュータによる告知動作を制御する工程と、
前記インタラクティブCMの告知に対する前記視聴者からの反応であるコミュニケーションを、ビジュアル・コミュニケーション、サウンド・コミュニケーション、メモリ・コミュニケーションの何れかによって実行する工程とを有する
ことを特徴とする映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項2】 前記ビジュアル・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、公共施設に設置されているスクリーンに表示させ、前記携帯用の通信端末からの反応を示す信号を場内アンテナを介して受け取る工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項3】 前記ビジュアル・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、街頭に設置されている大型ビジョンに表示させる工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項4】 前記ビジュアル・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、商品販売所の店頭のビジョンに表示させる工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項5】 前記サウンド・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、公共施設に設置されているスクリーンの映像に連動して送出される音声を含む情報として流す工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項6】 前記サウンド・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、街頭に設置されている大型ビジョンの映像に連動して送出される音声を含む情報として流す工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項7】 前記サウンド・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、商品販売所の店頭のビジョンの映像に連動して送出される音声を含む情報として流す工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項8】 関連情報をデータとして前記音声に含ませる工程が含まれることを特徴とする請求項5?7の何れかに記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項9】 前記メモリ・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、公共施設に設置されているスクリーンに告知させる際、Webアドレスを前記視聴者の通信端末に記憶させる工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項10】 前記メモリ・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、街頭に設置されている大型ビジョンに告知させる際、Webアドレスを前記視聴者の通信端末に記憶させる工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項11】 前記メモリ・コミュニケーションを用いる場合、前記インタラクティブCMを、商品販売所の店頭のビジョンに告知させる際、Webアドレスを前記視聴者の通信端末に記憶させる工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。
【請求項12】 請求項1?11の何れかに記載の映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法を実行可能なプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体。」

2-5.特許法第17条の2第4項及び第5項についての判断
前記「2-3.」にて述べたとおり、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないが、仮に本件補正が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしているとした場合を想定した上で、特許法第17条の2第4項及び第5項に規定する要件についても判断する。
この場合、本件補正前後の特許請求の範囲の記載からみて、本件補正は、補正前の請求項1に記載されていた「アクセス番号」を「設置場所を認識できるアクセス番号」に限定したものであるといえるから、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の限縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

特許を受けようとする発明である本件補正後の請求項1に記載された発明は次のとおりのものであり、当該発明(本願補正発明)は、発明の詳細な説明に記載されていないものである。
「放送用コンピュータにより、デジタル処理されたプロモーションやマーケティングに関連するインタラクティブCMを設置場所を認識できるアクセス番号とともに所定の場所に設置されている大型の表示媒体を用いて告知する工程と、
携帯用の通信端末により、前記アクセス番号にアクセスした視聴者からの反応を視聴者情報集計コンピュータにより集計する工程と、
前記視聴者情報集計コンピュータにより集計された結果に基づき、制御用コンピュータにより前記放送用コンピュータによる告知動作を制御する工程と、
前記インタラクティブCMの告知に対する前記視聴者からの反応であるコミュニケーションを、ビジュアル・コミュニケーション、サウンド・コミュニケーション、メモリ・コミュニケーションの何れかによって実行する工程とを有する
ことを特徴とする映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。」

以下、具体的に説明する。
本願補正発明における、前記「前記視聴者情報集計コンピュータにより集計された結果に基づき、制御用コンピュータにより前記放送用コンピュータによる告知動作を制御する」という工程は、本願明細書第9?39段落等に記載された第1実施形態としてのみ記載されているが、前記第1実施形態では前記「設置場所を認識できる」アクセス番号を告知するような工程は記載されておらず、また、前記「設置場所を認識できる」アクセス番号を告知するような工程は、本願明細書第40?43段落に記載された第2実施形態としてのみ記載されているが、前記第2実施形態では前記「前記視聴者情報集計コンピュータにより集計された結果に基づき、制御用コンピュータにより前記放送用コンピュータによる告知動作を制御する」という工程は記載されていない。
また、前記第1実施形態の前記工程と前記第2実施形態の前記工程とを併せ持つような発明が、発明の詳細な説明に一の発明として記載されていると認めることもできない。
そうすると、本件補正後の、放送用コンピュータにより告知された「設置場所を認識できるアクセス番号」にアクセスした視聴者からの反応を集計して、「集計された結果に基づき、制御用コンピュータにより前記放送用コンピュータによる告知動作を制御する」という発明が、発明の詳細な説明に記載されているということはできない。
したがって、本願補正発明は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものである。

2-6.補正却下についてのまとめ
以上のとおり、本件補正は、本件出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
また、仮に本件補正が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしているとしても、以上のとおり、本件出願は、本願補正発明が発明の詳細な説明に記載されていないから、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものである。
以上のことから、本件補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
平成16年5月6日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年7月28日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「放送用コンピュータにより、デジタル処理されたプロモーションやマーケティングに関連するインタラクティブCMをアクセス番号とともに所定の場所に設置されている大型の表示媒体を用いて告知する工程と、
携帯用の通信端末により、前記アクセス番号にアクセスした視聴者からの反応を視聴者情報集計コンピュータにより集計する工程と、
前記視聴者情報集計コンピュータにより集計された結果に基づき、制御用コンピュータにより前記放送用コンピュータによる告知動作を制御する工程と、
前記インタラクティブCMの告知に対する前記視聴者からの反応であるコミュニケーションを、ビジュアル・コミュニケーション、サウンド・コミュニケーション、メモリ・コミュニケーションの何れかによって実行する工程とを有する
ことを特徴とする映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法。」

4.引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-201119号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに、下記(a)ないし(i)の事項が記載されている。
(a)「【0033】静止画データベース102は、固定ディスクにファイルとして格納されている画像データ群であり、制御部3でファイル名を指定することにより問題に対応する静止画情報を出力させることができるようになっている。ただし記録方法は固定ディスクに限定されず、格納方法もファイル形式に限定されるものではない。
【0034】問題データベース103は、本発明の問合せ情報に相当する実際に出題する問題と選択肢の情報が文字情報として格納されており、制御部3で問題番号を指定することにより当該番号で特定される問題の文字情報を読み出すことが可能に構成されている。具体的には、問題データベース103は、コンピュータ装置の固定ディスクに複数レコードからなるファイルの形式で格納されており、各レコードに問題一つが対応させられている。ただし記録方法は固定ディスクに限定されず、格納方法もファイル形式に限定されるものではない。各レコードは、問題番号をキーフィールドとして、問題文字データ、選択肢数、選択肢文字データ、正解選択肢データ、送出フラグ、対応動画アドレス、動画送出時間、対応静止画ファイル名などの各フィールドから構成されている。問題文字データは、問題文を表示させるためのテキストコード群である。選択肢数は選択肢の数を示す数値である。選択肢文字データは、各選択肢を表示させるためのテキストコード群が選択肢ごとに格納されたものである。正解選択肢データは、正解である選択肢を特定する番号などである。送出フラグは、当該問題を送出したか否かを示すマークであり、初期状態は「未送出」を示すコードになっている。このマークは、問題が放送された時に「送出」を示すコードに変更されるものである。対応動画アドレスは、問題に対応している動画像を表示させるためにVTR送出装置に与えるべきアドレスである。動画送出時間は、この動画像の送出時間長を示す。対応静止画ファイル名は、対応する静止画が格納された静止画データベースにおけるファイル名である。」(第33?34段落)
(b)「【0040】制御部3は、本発明の配信装置の一部をなし、本情報配信システムを制御可能になっている。制御部は、プロセスコンピュータ301、番組編成データベース302および視聴者データベース303を備えている。」(第40段落)
(c)「【0041】(中略)連絡先は受付部で登録された視聴者の加入者回線電話番号、PHS番号、携帯電話番号などである。(以下略)」(第41段落)
(d)「【0042】受付部4は、本発明の受付装置として動作するように、網制御装置401、回線接続部402、音声認識部403、プッシュボタン受信部404、音声応答部405、制御部406、固定ディスク407および通信制御部408を備えて構成されている。これらは、多数の電話を並行して受信し音声回答可能な専用装置として構成されているが、コンピュータに音声入出力アダプターを接続し、コンピュータにて音声認識および音声合成ソフトウェアを実行することにより、受付部としての機能を果たすように構成してもよい。」(第42段落)
(e)「【0044】(動作)次に本実施形態の動作を説明する。図2に、制御部3が所定のプログラムを実行することにより実現される視聴者参加情報配信処理を説明するフローチャートを示す。
【0045】配信処理
プロセスコンピュータ301は、随時番組編成データベース302を参照し、ソース群1の切替や送出部2の制御が必要か否かを判断している。本実施例のクイズ番組を開始すべき時刻になるまでは(S101;NO)、他番組のための処理(S102)を継続する。クイズ番組を開始すべき時刻になったら(S101;YES)、当該システムはクイズ番組の放映を開始する。
【0046】まずプロセスコンピュータは静止画データベース102から初期画像を表示させるためのファイルを読み取り、オンエアスイッチ部201にこの画像を送出させる(S103)。図4に初期画像の表示例を示す。この画面はクイズ番組の表題10が表示され、視聴者に対しクイズに参加するためのルール集11が文字表示されて構成される。
【0047】次いでプロセスコンピュータは乱数などにより任意の問題番号を生成する(S104)。そしてこの問題番号をキーとして問題データベース103を検索し(S105)、抽出された問題レコードの送出フラグを参照する。抽出された問題レコードの送出フラグに使用済みのマークが付されている場合(S106;YES)、この問題レコードは既に放送されたことを示している。このときはプロセスコンピュータは問題番号の発生から繰り返す(S104?)。一方、抽出された問題レコードの送出フラグに使用済みのマークが付されていない場合(S106;NO)、この問題レコードはまだ放送されていないことを示しているので、このレコードに基づいて問題画像の生成が行なわれる。
【0048】問題画像を生成する際に、プロセスコンピュータは、この問題レコードの送出フラグに使用済みのマークを書き込む(S108)。次いで問題に対する解答時間を設定するタイマーをスタートさせる(S109)。これにより解答時間が計測される。そして問題レコードに対応動画像アドレスや対応静止画像ファイル名が記録されている場合に、プロセスコンピュータはそれらの再生を開始する(S110)。そして問題レコードの内容に対応させてプロセスコンピュータは問題文の画像を生成し出力させる(S111)。
【0049】問題画像の構成は任意に考えられる。例えば図5の表示例では、題名表示20、問題文表示21、選択肢表示22、注意書き表示23および残り時間表示24の各欄から画面が構成されている。問題文の長さを予め定めておけば問題文表示の欄の大きさや文字サイズを固定化可能である。選択肢表示では、問題文によって定まる選択肢数によって各選択肢の配置や文字の大きさを変更することが可能である。もちろん選択肢数を固定しておけば、選択肢配置や文字の大きさを固定化できる。残り時間表示は、タイマーによってカウントダウンされる解答のための残り時間が表示される。なお、残り時間を音声合成によって音声情報として放送するようにしてもよい。」(第44?49段落)
(f)「【0051】プロセスコンピュータは、解答時間中上記表示を継続する(S112;NO)。解答時間が終了したら(S112;YES)、プロセスコンピュータは受付部4に対して解答締切を告知し、受付部から送信されてきた解答情報に基づく集計を行う(S113)。解答情報の蓄積については図3にて後述する。
【0052】集計の方法には種々考えられる。例えば、通常、クイズ番組は複数の問題に対する解答内容を競うものなので、それに対応した集計を行う。解答の集計を制御部3で行うか受付部4で行うかは任意である。ただし問題に対する解答時間が終了する度に結果を表示する場合には、受付部が集計を行う構成であってもその中間結果を制御部に一旦送信する必要がある。本実施形態では、一問ごとに受付部4がまとめてその問いに対する解答情報を制御部に送信し、制御部3が解答の正否を判定し解答情報の集計を行うものとして説明する。」(第51?52段落)
(g)「【0053】第1問に対する解答情報群が送信されてきたら、プロセスコンピュータ301は、解答情報を参照して解答してきた視聴者に係るID番号をキーとして問題ごとの正否を記録する解答状況リストを視聴者データベース303に作成する。そして受付部から解答情報が寄せられる毎に、そのときの問題に対応するリスト中のフィールドに、解答の正否を記録していく。本実施形態では途中参加が認められないものとするため後に視聴者のレコードが加えられることはない。つまり視聴者が途中参加しようとしても図3の処理により受付部ではじかれてしまうからである。
【0054】解答に対する評価をどのように設定するかは任意である。例えば、勝ち抜き戦であれば、解答情報を集計するに当たり、第1問からその問題まで正解をし続けている視聴者のみが、次の問題への挑戦権があるものとして判定する。(中略)
【0055】集計の結果、正解者数の数が1より多い場合は(S114;正解者>1)、問題総数が予定されていた最大数に達していない限り(S115;NO)、プロセスコンピュータは集計結果をリストアップし画像として作成し送出する(S116)。図6は、勝ち抜き戦をする番組における集計結果の画像表示例である。この表示画像は、問題表示30、リスト31、勝ち残り人数表示31により構成されている。(中略)
【0056】正解者数が1名のみであった場合(S114;正解者=1)、その回で優勝者が決定することになるので、プロセスコンピュータは勝者表示画像を生成し送出する(S119)。(以下略)」(第53?56段落)
(h)「【0074】以上の実施形態1によれば以下の利点を有する。
1)本実施形態によれば、視聴者からの解答情報を問題のたびに集計可能に構成したので、従来型のクイズ番組などではできなかった視聴者参加型の情報配信システムを提供することが可能である。視聴者が自宅に居ながらにして電話一本でクイズ番組に参加できるという大変興味深い双方向通信時代の新しいエンターテイメントを提供可能である。」(第74段落)
(i)「0120-xxxx」及び「-視聴者によるクイズ勝ち抜き戦。あなたは100万円を手にすることができるか-」等の文字列が表示されたもの。(第4図)

ここで、前記摘記事項(e)には、プロセスコンピュータにより、静止画データベースから初期画像を表示させるためのファイルを読み取って送出部に送出させることや、問題データベースから抽出された問題レコードに基づいて生成された問題画像を出力させることが記載されているから、プロセスコンピュータにより前記初期画像及び前記問題画像を含むクイズ番組を送出させることが記載されているといえるものであり、前記摘記事項(a)を併せて参酌すれば、前記クイズ番組の画像は、デジタル処理されたものであることが理解できる。
また、前記摘記事項(h)には、前記クイズ番組は自宅に居る視聴者が電話で参加できる番組であることが記載されているから、送出された前記クイズ番組の内容は前記視聴者の自宅にある何らかの表示装置を利用することによって前記視聴者に視覚的に認知されるものであって、また、前記摘記事項(i)を併せて参酌すれば、送出される前記クイズ番組の内容には電話番号の情報も含まれていることは明らかであるから、前記視聴者は前記クイズ番組とともに告知された前記電話番号に電話をかけることによって前記クイズ番組として告知された問題に対して解答できるものであり、そして、問題に対する解答を視聴者から得るためのコミュニケーションにおいて、前記告知された問題は視聴者に視覚的に認知されるものであるのだから、ビジュアル・コミュニケーションが行われているということができる。
また、前記摘記事項(d)には、受付部としての機能をコンピュータによって実現することも記載されており、また、前記摘記事項(f)には、プロセスコンピュータが集計を行うことに代えて、受付部で解答の集計を行うような集計方法も記載されているところ、前記受付部としての機能をコンピュータにより果たすように構成するのであれば、受付部で解答の集計を行う場合、前記プロセスコンピュータとは別途設けられた、前記受付部のコンピュータが、前記解答の集計を行う機能を有していることになるといえるものであって、また、前記摘記事項(c)も併せて参酌すれば、視聴者が携帯電話により受付部に回線接続することも記載されているということができる。
また、前記摘記事項(g)には、勝ち抜き戦による前記クイズ番組において、集計の結果として得られた正解者数に応じて、プロセスコンピュータにより、集計結果の画像と勝者表示画像のどちらを送出すべきかを判断することによって、前記プロセスコンピュータによる画像生成動作を制御することが記載されており、また、前記摘記事項(f)には、受付部が集計を行う構成では、問題に対する解答時間が終了する度に結果を表示するために結果を受付部から制御部に送信することが記載されているから、受付部により集計された結果に基づき、視聴者へ告知される内容を変更するような前記プロセスコンピュータに係る動作制御が行われているということができる。
また、前記摘記事項(e)ないし(g)に記載された動作を含む制御部の処理は、前記摘記事項(b)を併せて参酌すれば、配信装置を活用した方法としても把握できるものである。

してみれば、引用文献には、
「プロセスコンピュータにより、デジタル処理された視聴者参加可能クイズ番組を電話番号とともに視聴者の自宅にある表示装置を用いて告知する工程と、
携帯電話により前記電話番号に回線接続した視聴者からの解答を受付部のコンピュータにより集計する工程と、
前記受付部のコンピュータにより集計された結果に基づき、プロセスコンピュータにより前記プロセスコンピュータによる告知動作を制御する工程と、
前記視聴者参加可能クイズ番組の告知に対する前記視聴者からの解答であるコミュニケーションを、ビジュアル・コミュニケーションによって実行する工程とを有する
ことを特徴とする配信装置を活用した方法。」
の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。

5.対比
本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「受付部のコンピュータ」は、本願発明の「視聴者情報集計コンピュータ」に相当する。
また、引用発明の「プロセスコンピュータ」と、本願発明の「放送用コンピュータ」及び「制御用コンピュータ」とは、以下の相違点1において相違するが、「コンピュータ」という概念で共通するということができる。
また、引用発明の「視聴者参加可能クイズ番組」と本願発明の「プロモーションやマーケティングに関連するインタラクティブCM」とは、以下の相違点2において相違するが、「インタラクティブコンテンツ」という概念で共通するということができる。
また、引用発明の「電話番号」、「携帯電話」、「回線接続した」及び「解答」はそれぞれ、本願発明の「アクセス番号」、「携帯用の通信端末」、「アクセスした」及び「反応」に包摂される。
また、引用発明の「視聴者の自宅にある表示装置」と本願発明の「所定の場所に設置されている大型の表示媒体」とは、以下の相違点3において相違するが、「所定の場所に設置されている表示媒体」という概念で共通するということができる。
また、引用発明の「ビジュアル・コミュニケーションによって」は、本願発明の「ビジュアル・コミュニケーション、サウンド・コミュニケーション、メモリ・コミュニケーションの何れかによって」という択一的選択肢を含む発明特定事項から選択された「ビジュアル・コミュニケーションによって」に相当する。
そして、引用発明の「配信装置を活用した方法」と本願発明の「映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法」とは、以下の相違点2において相違するが、両方法は「映像送出装置を活用した方法」である点で共通するということができる。

そうすると、本願発明と引用発明とは、
「コンピュータにより、デジタル処理されたインタラクティブコンテンツをアクセス番号とともに所定の場所に設置されている表示媒体を用いて告知する工程と、
携帯用の通信端末により、前記アクセス番号にアクセスした視聴者からの反応を視聴者情報集計コンピュータにより集計する工程と、
前記視聴者情報集計コンピュータにより集計された結果に基づき、コンピュータにより前記コンピュータによる告知動作を制御する工程と、
前記インタラクティブコンテンツの告知に対する前記視聴者からの反応であるコミュニケーションを、ビジュアル・コミュニケーションによって実行する工程とを有する
ことを特徴とする映像送出装置を活用した方法。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]本願発明では「放送用コンピュータ」により告知を行い、「制御用コンピュータにより前記放送用コンピュータによる」告知動作を制御しているのに対して、引用発明では単一の「プロセスコンピュータ」により告知及び告知動作の制御を行っている点。

[相違点2]本願発明の方法は「データベース・マーケティング」方法であって、告知されるインタラクティブコンテンツが、本願発明では「プロモーションやマーケティングに関連する」「CM」であるのに対して、引用発明の方法及び引用発明において告知されるインタラクティブコンテンツは、そのようになっていない点。

[相違点3]本願発明では「大型の」表示媒体を用いているのに対して、引用発明では、表示媒体を用いているが「大型の」表示媒体に特定されているものではない点。

6.当審の判断
[相違点1について]
本願発明における「放送用コンピュータ」及び「制御用コンピュータ」という用語が意味する事項は必ずしも明確ではないため、発明の詳細な説明中の記載を参酌してみると、例えば、本願明細書第12段落には、放送用コンピュータ12は、番組表データベース10に登録されている番組表に基づき、シネアドデジタルアーカイブデータベース11に登録されている放送に関するデータをデジタルプロジェクタ13に送出するものであると記載されており、また、本願明細書第17,18段落には、制御用コンピュータ18は、視聴者情報集計コンピュータ17から結果に関するデータを受取ることによりフィードバックされる結果に応じて、スクリーン14に映し出す次の映像内容を瞬時に差換えたりするように、放送用コンピュータ12による放送に関するデータの送出を制御するものであることが記載されている。
一方、引用発明の「プロセスコンピュータ」については、前記摘記事項(e)に、プロセスコンピュータ301は、番組編成データベース302を参照するとともに、静止画データベース102や問題データベース103から読み取った内容に基づいた画像を送出部2のオンエアスイッチ部201に送出させるものであることが記載されており、また、前記「4.」においても述べたように、前記摘記事項(f)及び(g)には、プロセスコンピュータ301は、受付部により集計された結果に基づき、視聴者へ告知される内容を変更するような動作制御を行うものであることが記載されている。
以上のことを考慮すると、引用発明の「プロセスコンピュータ」は、「放送用」のコンピュータであるとともに「制御用」のコンピュータでもあると解釈できるから、結局、当該相違点1は、「放送用」及び「制御用」のそれぞれに係る複数の機能を、本願発明では、複数のコンピュータがそれぞれ担っているのに対して、引用発明では、単一のコンピュータが担っている、という点に帰着するものである。
しかしながら、一般に、システムが実現すべき複数の機能を単一のコンピュータが担うようにするのか、または、複数のコンピュータがそれぞれ担うようにするのかは、システム構築の際に当業者が任意に選択しうる設計的事項にすぎないことである。
してみれば、引用発明において、画像を視聴者に送るための「放送用」の機能と集計結果に基づく制御を行うための「制御用」の機能の両者を単一のコンピュータが担うようにする代わりに、両機能それぞれを別々のコンピュータが担うような構成にすることは、当業者にとって格別の困難性を伴うことなくなし得ることにすぎない。
そうすると、相違点1に係る本願発明の構成は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものというべきである。

[相違点2について]
そもそも「CM」、すなわち、コマーシャルメッセージという広告放送は当業者にとって周知のものであって、また、視聴者からの反応を得ることは、前記視聴者に対して番組を告知するかCMを告知するかという違いに関係なく、前記視聴者に告知されるコンテンツがインタラクティブ性を有していることにより必然的に達成できることにすぎないから、視聴者からの反応を得るために前記視聴者に対して告知するインタラクティブコンテンツを「番組」とするか「CM」とするかは、設計的事項にすぎないことであるといえる。
(なお、若松澄則ほか,「映像情報メディア年報 2-2 放送現業」,2000年7月20日,映像情報メディア学会誌,社団法人映像情報メディア学会,第54巻,第7号,第963頁右欄第7?10行には、「連動形の一例として,番組提供スポンサのCMを双方向化し,CM中に商品に関するクイズを出題し,視聴者は双方向の機能を利用し回答するような番組もある.」と記載されているので、参考までに挙げておく。)
そして、告知されるコンテンツが「CM」であれば、そのような告知は、視聴者に対する何らかの宣伝、すなわち、プロモーションやマーケティング活動の一環として行われているのは自明のことである。
してみれば、引用発明において、視聴者に対して告知するインタラクティブコンテンツを「プロモーションやマーケティングに関連する」「CM」にすることは、当業者にとって格別の困難性を伴うことなくなし得ることにすぎず、このような構成とすれば、引用発明の方法においても、広告等に対する反応を携帯電話から得ることとなるのだから、本願発明の方法と同様にリアルタイムでの「データベース・マーケティング」の促進を図ることができるといえる。
そうすると、相違点2に係る本願発明の構成は、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に想到することができたものというべきである。

[相違点3について]
そもそも「大型の」表示媒体は当業者にとって周知のものであって、また、表示媒体の視聴者に向けて告知を行うことは、前記表示媒体として「大型の」表示媒体を用いるか否かに関係なく、告知すべき情報が視覚的な手段によって視聴者に認識されることにより必然的に達成できることにすぎないから、告知を行うために用いられる表示媒体を「大型の」表示媒体とするか否かは、設計的事項にすぎないことであるといえる。
してみれば、引用発明において、視聴者への告知を行うために用いられる表示媒体を「大型の」表示媒体にすることは、当業者にとって格別の困難性を伴うことなくなし得ることにすぎない。
そうすると、相違点3に係る本願発明の構成は、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に想到することができたものというべきである。

[本願発明の作用効果及び審判請求人の主張について]
そして、本願発明が奏する作用効果についてみても、引用発明及び周知事項から当業者が予測し得る程度のものであり、格別のものとはいえない。
なお、審判請求の理由における審判請求人の主張は、本願発明の構成、すなわち、請求項1に記載された発明特定事項に基づいたものではないから、採用することができない。

7.むすび
したがって、本願の請求項1に係る発明は、引用文献に記載された発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-21 
結審通知日 2008-01-22 
審決日 2008-02-05 
出願番号 特願2000-298511(P2000-298511)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
P 1 8・ 537- Z (G06Q)
P 1 8・ 561- Z (G06Q)
P 1 8・ 572- Z (G06Q)
P 1 8・ 575- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 貝塚 涼  
特許庁審判長 藤内 光武
特許庁審判官 田川 泰宏
坂庭 剛史
発明の名称 映像送出装置を活用したデータベース・マーケティング方法及び記録媒体  
代理人 堀 城之  

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