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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1174970
審判番号 不服2004-23312  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-11-12 
確定日 2008-03-21 
事件の表示 特願2000- 34111「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 7月24日出願公開、特開2001-198320〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年1月20日に出願した特願2000-12060号の一部を平成12年2月10日に新たな特許出願としたものであって、平成16年3月30日付で拒絶理由通知がなされ、平成16年6月4日付で手続補正がなされ、平成16年10月22日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年11月12日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

2.平成16年11月12日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年11月12日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

「少なくとも払い出し単位数毎に設けられ、それぞれ検出毎に入賞信号を発する入賞球検出器と、
実際に払い出した遊技球を検出し、検出毎に確認信号を発する払い出し球検出器と、
各入賞信号及び確認信号を受領すべく各入賞球検出器及び払い出し球検出器と個別に結線され、各入賞信号の受領数と払い出し単位数との積を加える一方、確認信号の受領数を減じて算出される払い出しの要請球数を演算する演算手段と、
要請球数に応じて遊技球を払い出し可能な払い出し手段とを備えた遊技機であって、
各入賞球検出器と演算手段とを、少なくとも入賞球検出器の払い出し単位数毎に異なる形状の端子を介して結線する一方、
演算手段は、受領した入賞信号がいずれの入賞球検出器から発せられたものであるかを、結線の相違によって認識するとともに、入賞信号の受領数と、該入賞信号を発した入賞球検出器と対応する払い出し単位数とを積算することを特徴とする遊技機。」

と補正された。

上記補正は、平成16年6月4日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「・・・入賞球検出器と、・・・払い出し球検出器と、演算手段と、・・・払い出し手段とを備えており、」を「・・・入賞球検出器と、・・・払い出し球検出器と、演算手段と、・・・払い出し手段とを備えた遊技機であって、」と限定し、同じく「各入賞球検出器と演算手段との結線は、少なくとも入賞球検出器の払い出し単位数毎に異なる形状の端子を介してなされる」を「各入賞球検出器と演算手段とを、少なくとも入賞球検出器の払い出し単位数毎に異なる形状の端子を介して結線する一方、演算手段は、受領した入賞信号がいずれの入賞球検出器から発せられたものであるかを、結線の相違によって認識するとともに、入賞信号の受領数と、該入賞信号を発した入賞球検出器と対応する払い出し単位数とを積算する」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された実願平4-89098号(実開平5-91778号公報)のCD-ROM(以下、引用例という。)には、図面とともに、
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 入賞孔と、
この入賞孔に入賞した遊技球を1個ずつ検出し、入賞信号を出力する入賞検知装置と、
この入賞検知装置からの入賞信号にもとづいて、予め設定された賞球数に見合う利益を遊技者に付与し、作動信号を出力する利益付与装置とを備えた遊技機において、
上記遊技機は、入賞検知装置からの入賞信号の入力にもとづいて、予め設定された賞球数を加算するとともに、利益付与装置からの作動信号の入力にもとづいて、該利益付与装置から付与された利益に見合う賞球数を、前記加算値から減算して未払い賞球数を演算する演算装置と、・・・デジタル表示装置とを備えた・・・遊技機。
【0001】
【産業上の利用分野】
・・・、遊技機、・・・いわゆるパチンコ機等のように遊技球を弾球することによって遊技を行なう遊技機に関するものである。
【0005】
・・・、短時間に多数の入賞があった場合に、遊技客は・・・入賞回数に一致した払い出が行なわれるであろうとの予測の下にゲームを行なっている・・・。ところが、遊技客の心理として、・・・、入賞回数に対して、払い出し個数が少ないのではないかとの懸念を抱くことがある・・・。
【0006】
また、前記した表示部を備えた従来の遊技機では、現在持ち球として保有している全球数は表示されているものの、短時間に多数の入賞があった場合に、何回入賞し、かつ何個の球が払い出されたのかということはいぜん不明であり、入賞回数に対して、払い出し個数が少ないのではないかとの懸念を消すことはできないという問題点があった。
【0009】
【作 用】
・・・、入賞検知装置(5)が、入賞孔(4)への入賞を検知すると、入賞検知装置(5)から演算装置(9)に入賞信号(7)が出力される。
また、払い出し装置(6)により、遊技球を払い出しが行われると、払い出し装置(6)から演算装置(9)に作動信号(8)が出力される。
【0010】
そして、演算装置(9)は、入賞検知装置(5)から入賞信号(7)によって加算し、払い出し装置(6)の作動信号(8)によって減算して、未払い遊技球数を演算する。
・・・。
【0011】
・・・。
第1図中、1は、遊技機本体、2はその盤面、3は盤面に設けられた表示装置である。また、盤面2には、複数の入賞孔4が設けてある。
【0012】
第2図中、5は、入賞孔4への遊技球の入賞を検知する入賞検知装置、6は遊技球を払い出す払い出し装置、9は入賞検知装置5からの入賞信号7によって加算し、払い出し装置6の作動信号8によって減算し、未払い遊技球数を演算する演算装置、・・・。
【0013】
・・・遊技機は、・・・ゲームの途中、盤面2に設けられた入賞孔4に遊技球が入賞すると、その入賞を遊技球への接触あるいは、無接触によって入賞検知装置5が検知する。
【0014】
・・・、この入賞検知装置5からの入賞信号7が演算装置9に入力され、入賞に対応する払い出し遊技球数を表示装置3に表示することとなる。一方、演算装置9に入賞信号7が入力されると、演算装置9から払い出し装置6に出力されて払い出し装置6が作動し、遊技球が払い出されると共に、作動信号8が演算装置{(演算信号)、以下、()内は当審で誤記と認めて訂正する。}9に入力され、払い出し遊技球数に一致した数字分だけ表示装置3の表示数字を減算する。
【0015】
・・・、入賞球数が1個で、その入賞によって払い出される遊技球数が15個の場合には、入賞信号7によって表示装置3に「15」が表示されると共に、払い出し装置6によって払い出されて表示装置3の数字が「0」となる。
しかしながら、ここで、極めて短時間の間に入賞球数が5個あった場合には、5回の入賞信号7によって表示装置3に「75」が表示され、払い出し装置6による払い出しに従って、表示装置での表示が「75」から順次「60」、「45」、「30」、「15」、「0」と減算表示される。もちろん、表示装置3への表示が「30」の時に、更に4個の遊技球が入賞した場合には、表示数字が「90」となり、その数字に対応した数の球が順次払い出されることとなる。
【0017】
・・・、入賞に対する払い出し遊技球を10個と15個との2種類となるような入賞孔4,4aを設けた場合にあっては、各々の入賞孔4,4aに対応するような異なった入賞信号7,7aを出力すればよい。
・・・。
また、更に払い出し個数の異なる払い出し装置6,6a、例えば15個払い出す払い出し装置6と30個払い出す払い出し装置6aとを設け、表示装置3への表示数字が「30」を越えている場合には、30個払い出す払い出し装置6aを用いるように形成し、各々払い出し装置6,6aの払い出し個数に対応した作動信号8,8aが演算装置9に入力されるように形成すると、払い出しに要する時間が短縮でき、遊技の迅速化が図れる。
【0018】
なお、このような場合であっても、未払い遊技球数が表示装置3に表示され、払い出しに従った作動信号8,8aによって、該数字が減算表示されるので、払い出された遊技球数及び未払い遊技球数が遊技客に明白に認識できる・・・。
【0019】
・・・、どの入賞孔4に入賞しても、同一遊技球数の払い出を行なう場合には、表示装置3に入賞回数を表示させても、入賞回数と払い出し遊技球数の積によって未払い遊技球数が認識できるので、同一の効果を奏する。

との記載が認められる。

また、上記摘記事項および図1・2より、入賞信号にもとづいて、予め設定された賞球数に見合う利益を遊技者に付与し、作動信号を出力する利益付与装置とを備えた遊技機であること(【請求項1】)、払い出し装置(6)により、遊技球を払い出しが行われると、払い出し装置(6)から演算装置(9)に作動信号(8)が出力されること(段落【0009】)、払い出し装置6が作動し、遊技球が払い出されると共に、作動信号8が演算装置9に入力されること(段落【0014】)、入賞に対する払い出し遊技球を10個と15個との2種類となるような入賞孔4,4aを設けた場合にあっては、各々の入賞孔4,4aに対応するような異なった入賞信号7,7aを出力すればよく、また、払い出し個数の異なる払い出し装置6,6aを用いるように形成し、各々払い出し装置6,6aの払い出し個数に対応した作動信号8,8aが演算装置9に入力されるように形成すること(段落【0017】)等から、遊技機は、「10個または15個の払い出し遊技球を検出し、払い出し個数に対応した作動信号8を出力する設定賞球数払い出し検出器」を備えているものと認められ、
また、上記摘記事項および図1・2より、演算装置9は入賞検知装置5からの入賞信号7によって加算し、払い出し装置6の作動信号8によって減算し、未払い遊技球数を演算すること(段落【0012】)、入賞検知装置5からの入賞信号7が演算装置9に入力され、演算装置9に入賞信号7が入力されると、演算装置9から払い出し装置6に出力されて払い出し装置6が作動し、遊技球が払い出されると共に、作動信号8が演算装置9に入力されること(段落【0014】)、入賞に対する払い出し遊技球を10個と15個との2種類となるような入賞孔4,4aを設けた場合にあっては、各々の入賞孔4,4aに対応するような異なった入賞信号7,7aを出力すればよいこと(段落【0017】)等、すなわち、入賞信号7を伝達する伝達材と入賞信号7aを伝達する伝達材と作動信号8を伝達する伝達材が存在すること、および、電気信号の伝達に被伝達部材に電線を介して配線することは自明であるから、演算装置9は、「各入賞信号7,7a及び作動信号8を入力すべく各入賞検知装置5,5a及び設定賞球数払い出し検出器と個別に配線され」ているものと認められ、
また、上記摘記事項および図1・2より、入賞孔に入賞した遊技球を1個ずつ検出し、入賞信号を出力する入賞検知装置と、この入賞検知装置からの入賞信号にもとづいて、予め設定された賞球数に見合う利益を遊技者に付与し、作動信号を出力する利益付与装置とを備えた遊技機において、入賞検知装置からの入賞信号の入力にもとづいて、予め設定された賞球数を加算するとともに、利益付与装置からの作動信号の入力にもとづいて、該利益付与装置から付与された利益に見合う賞球数を、前記加算値から減算して未払い賞球数を演算する演算装置を備えた遊技機であること(【請求項1】)、入賞検知装置5からの入賞信号7が演算装置9に入力され、入賞に対応する払い出し遊技球数を表示装置3に表示すること(段落【0014】)、入賞に対する払い出し遊技球を10個と15個との2種類となるような入賞孔4,4aを設けた場合にあっては、各々の入賞孔4,4aに対応するような異なった入賞信号7,7aを出力すればよいこと(段落【0017】)等、すなわち、演算装置9は入賞信号7,7aを受信して、入賞信号7を伝達する配線と入賞信号7aを伝達する配線を信号の種類によって認識できるものと認められるから、演算装置9は、「入力した入賞信号7,7aがいずれの入賞検知装置5,5aから出力されたものであるかを、演算装置9への入賞信号7,7aの受信場所を結ぶ配線の区別によって認識する」と解される。以上を踏まえれば、引用例には、

「入賞に対する払い出し遊技球が10個または15個の2種類に設けられ、それぞれ検出毎に入賞信号7,7aを出力する入賞検知装置5,5aと、
10個または15個の払い出し遊技球を検出し、払い出し個数に対応した作動信号8を出力する設定賞球数払い出し検出器と、
各入賞信号7,7a及び作動信号8を入力すべく各入賞検知装置5,5a及び設定賞球数払い出し検出器と個別に配線され、各入賞信号7,7aの入力数と10個または15個との積を加算する一方、作動信号8の入力数を減算して払い出しの未払い遊技球数を演算する演算装置9と、
未払い遊技球数に応じて遊技球を払い出し可能な払い出し装置6,6aとを備えた遊技機であって、
各入賞検知装置5,5aと演算装置9とを、少なくとも入賞検知装置5,5aの10個または15個の2種類に配線する一方、
演算装置9は、入力した入賞信号7,7aがいずれの入賞検知装置5,5aから出力されたものであるかを、演算装置9への入賞信号7,7aの受信場所を結ぶ配線の区別によって認識するとともに、入賞信号7,7aの入力数と、該入賞信号7,7aを出力した入賞検知装置5,5aと対応する10個または15個とを積算する遊技機。」

との発明(以下「引用例発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例発明とを比較すると、引用例発明の「入賞に対する払い出し遊技球が10個または15個の2種類に」は本願補正発明の「少なくとも払い出し単位数毎に」に相当し、以下同様に、「入賞信号7,7a」は「入賞信号」に、「出力する」は「発する」に、「入賞検知装置5,5a」は「入賞球検出器」に、「10個または15個の払い出し遊技球」は「実際に払い出した遊技球」に、「入力」は「受領」に、「配線」は「結線」に、「加算する」は「加える」に、「減算して」は「減じて算出される」に、「未払い遊技球数」は「要請球数」に、「演算装置9」は「演算手段」に、「払い出し装置6,6a」は「払い出し手段」にそれぞれ相当している。
また、引用例発明の「払い出し個数に対応した作動信号8を出力する設定賞球数払い出し検出器」と本願補正発明の「検出毎に確認信号を発する払い出し球検出器」は「払い出し関係信号を発する払い出し球関係検出器」で共通し、引用例発明の「演算装置9への入賞信号7,7aの受信場所を結ぶ配線の区別」と本願補正発明の「結線の相違」は「特定の配線」で共通する。したがって、両者は、

「少なくとも払い出し単位数毎に設けられ、それぞれ検出毎に入賞信号を発する入賞球検出器と、
実際に払い出した遊技球を検出し、払い出し関係信号を発する払い出し球関係検出器と、
各入賞信号及び払い出し関係信号を受領すべく各入賞球検出器及び払い出し球関係検出器と個別に結線され、各入賞信号の受領数と払い出し単位数との積を加える一方、払い出し関係信号の受領数を減じて算出される払い出しの要請球数を演算する演算手段と、
要請球数に応じて遊技球を払い出し可能な払い出し手段とを備えた遊技機であって、
各入賞球検出器と演算手段とを、少なくとも入賞球検出器の払い出し単位数毎に結線する一方、
演算手段は、受領した入賞信号がいずれの入賞球検出器から発せられたものであるかを、特定の配線によって認識するとともに、入賞信号の受領数と、該入賞信号を発した入賞球検出器と対応する払い出し単位数とを積算する遊技機。」

の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1、遊技球を検出し、払い出し関係信号を発する払い出し球関係検出器において、本願補正発明では、「検出毎に確認信号を発する払い出し球検出器」であるのに対して、引用例発明では「払い出し個数に対応した作動信号8を出力する設定賞球数払い出し検出器」であり、本願補正発明のような払い出し球検出器の構成になっていない点。

相違点2、各入賞球検出器と演算手段とを、入賞球検出器の払い出し単位数毎に結線することにおいて、本願補正発明では、「異なる形状の端子を介して」結線しているのに対して、引用例発明ではそのような構成になっていない点、および、演算手段が受領した入賞信号がいずれの入賞球検出器から発せられたものであるかを特定の配線によって認識することにおいて、本願補正発明では、「結線の相違」によって認識しているのに対して、引用例発明では、「演算装置9への入賞信号7,7aの受信場所を結ぶ配線の区別」によって認識している点、

(4)判断
上記相違点について検討する。
〈相違点1について〉
弾球遊技機分野において、一般的に、払出された景品玉を1個づつ検出して、その検出信号をマイクロコンピュータに与える景品玉計数検出器が周知{例えば、特開平2-291886号公報(第5頁左欄下段第10?14行等)、特開昭64-83282号公報(第9頁右欄上段第11?17行等)参照}である(以下、「周知例A」という。)から、引用例発明の「設定賞球数払い出し検出器」に代えて、周知例Aのものを適用して本願補正発明の相違点1に係る「検出毎に確認信号を発する払い出し球検出器の構成」とした点に格別の発明力を要したとはいえず、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項であるといえる。

〈相違点2について〉
一般的に、電気的接続の技術分野において、個別結線毎に異なる形状のコネクタを介して結線することが周知{例えば、特開平11-250991号公報(段落【0003】等)、実願昭62-140542号(実開昭64-44581号)のマイクロフィルム(第3頁第7?18行等、第1・2図)参照}である(以下、「周知例B」という。)から、引用例発明の結線に際して、周知例Bのものを適用して本願補正発明の個別結線毎に「異なる形状の端子を介して結線する」ことは、格別の創意工夫を要したとはいえず、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項であるといえる。そして、特定の配線の認識において、演算手段が信号線の種類を認識判断するのに、端子の形状そのものを認識して演算することはできない。してみると、本願補正発明の「結線の相違」とは、図2からSW1、SW2、SW3?5と主基板とをそれぞれ単一の信号線で結んで、主基板側のそれぞれの信号線の受け入れ場所が違うことと解される。そうすると、引用例発明も引用例の図2から入賞信号7,7aが演算装置9の信号線の受け入れ場所に別々に配線されているので、引用例発明の「演算装置9への入賞信号7,7aの受信場所を結ぶ配線の区別」と本願補正発明の「結線の相違」とは実質的に同一の構成と認められる。

なお、審判請求書の「4.本願発明と引用文献1との対比 」で、「本願発明は、コネクタを入れ替えるという不正行為を防止するべくしてなされたものであるのに対して、引用文献1の発明は、遊技者へ正確な払い出し情報を提示しようとするものであり、不正行為防止に係る思想については全く考慮していない技術である。したがって、このような目的・効果が全く異なる上、本願発明の課題について示唆すら見当たらない引用文献1を、本件出願に係る発明の際に参酌するはずもなく、そもそも引用文献ですらないと思料する。」と主張している。しかしながら、遊技機分野において、遊技機に対する遊技者側や遊技店側からの電気的不正接続の防止は、常日頃から注意すべき技術課題(例えば、特開平11-19311号公報、特開平10-286365号公報参照)である。したがって、本願補正発明の構成が、引用例発明の構成に周知例A?Bを適用して当業者が適宜なし得る程度の設計的事項である以上、その構成には不正防止の技術課題が内在しており、結果として同じ作用効果を得られるものである。

そして、本願補正発明が奏する効果は、引用例発明および周知例A?Bから当業者が予測し得るものであって格別のものとは認められない。
したがって、本願補正発明は、引用例発明および周知例A?Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成16年11月12日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成16年6月4日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「少なくとも払い出し単位数毎に設けられ、それぞれ検出毎に入賞信号を発する入賞球検出器と、
実際に払い出した遊技球を検出し、検出毎に確認信号を発する払い出し球検出器と、
各入賞信号及び確認信号を受領すべく各入賞球検出器及び払い出し球検出器と個別に結線され、各入賞信号の受領数と払い出し単位数との積を加える一方、確認信号の受領数を減じて算出される払い出しの要請球数を演算する演算手段と、
要請球数に応じて遊技球を払い出し可能な払い出し手段とを備えており、
各入賞球検出器と演算手段との結線は、少なくとも入賞球検出器の払い出し単位数毎に異なる形状の端子を介してなされることを特徴とする遊技機。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例発明および周知例A?Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例発明および周知例A?Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-21 
結審通知日 2008-01-22 
審決日 2008-02-04 
出願番号 特願2000-34111(P2000-34111)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池谷 香次郎  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 林 晴男
▲吉▼川 康史
発明の名称 遊技機  
代理人 石田 喜樹  
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