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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1174976
審判番号 不服2005-5870  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-04-05 
確定日 2008-03-21 
事件の表示 特願2000- 6223「ジュアルダマシーンコンデンサを備えた集積回路デバイスおよびこれを製造するための関連する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 7月28日出願公開、特開2000-208743〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年1月12日(パリ条約による優先権主張 1999年1月12日、米国)の出願であって、平成16年12月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成17年4月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年5月2日に手続補正がなされ、その後当審において、平成18年6月28日付けで審尋がなされ、同年12月28日に回答書が提出されたものである。

2.平成17年5月2日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)について
[補正却下の決定の結論]
平成17年5月2日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)本件補正の内容
補正前の請求項1ないし27を、補正後の請求項1ないし11と補正するものであり、補正前の請求項1、請求項10及び請求項18は、補正後の請求項1、請求項7及び請求項11に対応し、補正前の請求項2、請求項6,請求項7ないし9、請求項16及び請求項17は、一応、補正後の請求項2ないし6、請求項10及び請求項8に対応しており、補正後の請求項1及び請求項9は以下のとおりである。
また、補正後の請求項9は、補正前のいずれの請求項にも対応していない。

「【請求項1】 半導体基板;
前記半導体基板に隣接して設けられた、内部に開口部を有する、絶縁層であって、前記絶縁層は、半導体基板に隣接する下側絶縁層部、前記下側絶縁層部上のエッチング停止層と、前記エッチング停止層上の上側絶縁層部とを含み、前記開口部は前記上側絶縁層部と前記エッチング停止層の上側部と前記下側絶縁層部の下側部を有している、絶縁層;および
積層コンデンサを含み、
ここで、前記積層されたコンデンサは、
前記開口部に整合する下側金属電極、
前期下側金属電極上及び前記開口部内に位置づけられた積層されたコンデンサ絶縁層、ここで、前記積層されたコンデンサは前記下側金属電極上に位置づけられた第1の絶縁層及び前記下側金属電極により還元される前記第1の絶縁層上に位置づけられた第2の絶縁層を含み、前記第1の絶縁層は前記第2の絶縁層と前記下側の金属電極の間の障壁として機能し、前記第2の絶縁層の還元を抑制し、及び
前記積層されたコンデンサ絶縁層に隣接する上側金属電極を含み、ここで、前記コンデンサは前記絶縁層の上側表面部と隣接する実質的に同一平面を有する実質的に平坦な上側表面を有する、
ことを特徴とする集積回路デバイス。」
「【請求項9】 前記積層されたコンデンサ絶縁層が、更に前記酸化タンタル絶縁層上に位置づけられた第3の金属酸化物絶縁層を含むことを特徴とする請求項7の集積回路デバイス。」

(2)補正内容の検討
(2-1)補正後の請求項9について
(a)補正後の請求項9は、補正前の請求項10を補正した補正後の請求項7を引用するものである。
(b)補正前の請求項10を直接又は間接的に引用する、補正前の請求項11ないし17は、
「【請求項11】前記下側電極の端と前記コンデンサ絶縁層の端が、前記コンデンサの上側表面に終端することを特徴とする請求項10の集積回路デバイス。
【請求項12】 前記上側金属電極が、前記コンデンサ絶縁層に隣接して設けられた障壁金属層と、前記金属障壁層に隣接して設けられた銅の層から形成されることを特徴とする請求項10の集積回路デバイス。
【請求項13】 前記障壁金属層が窒化タンタルを含むことを特徴とする請求項12の集積回路デバイス。
【請求項14】 前記上側金属電極と下側金属電極のおのおのが、窒化タンタルを含むことを特徴とする請求項10の集積回路デバイス。
【請求項15】 前記コンデンサ絶縁層が、約25より大きな誘電定数を有することを特徴とする請求項10の集積回路デバイス。
【請求項16】 前記第一と第二の金属酸化膜層のおのおのが、酸化チタンを含むことを特徴とする請求項10の集積回路デバイス。
【請求項17】 前記上側および下側金属電極層のおのおのが、窒化チタンを含むことを特徴とする請求項16の集積回路デバイス。」であって、補正後の請求項9の如く、「前記積層されたコンデンサ絶縁層が、更に前記酸化タンタル絶縁層上に位置づけられた第3の金属酸化物絶縁層を含むこと」、言い換えると、「コンデンサ絶縁層」について「第3の金属酸化物絶縁層」を備えるものに限定した、補正前の請求項10を直接又は間接に引用する請求項は存在しない。
(c)上記(a)及び(b)より、補正後の請求項9に対応する補正前の請求項が存在しないので、補正後の請求項9は、実質的に請求項を追加したものである。
したがって、補正後の請求項9を追加する補正は、特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれの目的にも該当しない。
(2-2)補正前の請求項1についての補正
(a)補正前の請求項1についての補正は、補正前の請求項1の「積層された、前記開口部に整合する下側金属電極、前記下側金属電極に隣接するコンデンサ絶縁層、および前記コンデンサ絶縁層に隣接する上側金属電極から構成されるコンデンサを含む集積回路デバイスであって、前記コンデンサが、前記絶縁層の隣接する上側表面部分と実質的に同一平面となるように形成された実質的に平坦な上側表面を有する」を補正後の請求項1の「積層コンデンサを含み、 ここで、前記積層されたコンデンサは、 前記開口部に整合する下側金属電極、 前期下側金属電極上及び前記開口部内に位置づけられた積層されたコンデンサ絶縁層、ここで、前記積層されたコンデンサは前記下側金属電極上に位置づけられた第1の絶縁層及び前記下側金属電極により還元される前記第1の絶縁層上に位置づけられた第2の絶縁層を含み、前記第1の絶縁層は前記第2の絶縁層と前記下側の金属電極の間の障壁として機能し、前記第2の絶縁層の還元を抑制し、及び 前記積層されたコンデンサ絶縁層に隣接する上側金属電極を含み、ここで、前記コンデンサは前記絶縁層の上側表面部と隣接する実質的に同一平面を有する実質的に平坦な上側表面を有する、」と補正するものである。
(b)補正前の請求項1についての補正は、実質的に、補正前の請求項1に対し、a.第1の絶縁層と第2の絶縁層を含む点、b.第1の絶縁層が下側金属電極により還元されるものである点、c.第1の絶縁層が第2の絶縁層の還元を抑制するものである点、を新たに付加するものであり、これらにより補正前の請求項1に係る発明が対象としていない第2の絶縁層の還元の抑制という新たな事項を技術的課題とするものとなったから、補正前の請求項1と補正後の請求項1とは、解決しようとする課題が同一ではないものとなった。
(c)したがって、補正前の請求項1についての補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当せず、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当するとも言えないから、特許法第17条の2第4項各号に掲げるいずれの目的にも該当しない。
(2-3)補正前の請求項10及び請求項18についての補正
補正前の請求項10及び請求項18についての補正は、上記「(2-2)補正前の請求項1についての補正」において検討したと同様の理由により、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当せず、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当するとも言えないから、特許法第17条の2第4項各号に掲げるいずれの目的にも該当しない。

(2-4)小むすび
したがって、補正後のその余の請求項について検討するまでもなく、本件補正は、新たに請求項を追加するものであるとともに、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当せず、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当するとも言えないから、特許法第17条の2第4項各号に掲げるいずれの目的にも該当しない。

以下においては、仮に、本件補正が、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものであって、且つ同条第3項の要件をも満たしているとして、同条第5項で準用する、同法第126条第5項に規定する要件(独立特許要件)を満たしているか否かについて検討する。

(2-5)独立特許要件について
(2-5-1)補正後の請求項1について
(a)補正後の請求項1における「積層コンデンサを含み、 ここで、前記積層されたコンデンサは、 前記開口部に整合する下側金属電極、 前期下側金属電極上及び前記開口部内に位置づけられた積層されたコンデンサ絶縁層、ここで、前記積層されたコンデンサは前記下側金属電極上に位置づけられた第1の絶縁層及び前記下側金属電極により還元される前記第1の絶縁層上に位置づけられた第2の絶縁層を含み、前記第1の絶縁層は前記第2の絶縁層と前記下側の金属電極の間の障壁として機能し、前記第2の絶縁層の還元を抑制し、」において、「ここで、前記積層されたコンデンサは」で始まる文が2つ存在し、その各々が異なる内容であり文意が不明瞭であって、補正後の請求項1に係る発明の構成は不明確であるから、特許法第36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
(b)補正後の請求項1の「前記積層されたコンデンサは前記下側金属電極上に位置づけられた第1の絶縁層及び前記下側金属電極により還元される前記第1の絶縁層上に位置づけられた第2の絶縁層を含み」とは、言い換えると、補正後の請求項1に係る発明は、「第1の絶縁層」及び「第2の絶縁層」のみを備えた積層コンデンサを備えるものを含むものであるが、明細書又は図面には、積層コンデンサが「第1の絶縁層」及び「第2の絶縁層」のみを含み「第3の絶縁層」を含まない実施例は、記載されていないから、補正後の請求項1に係る発明は、少なくとも上記の構成については、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(c)上記(a)及び(b)の理由により、補正後の請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
(2-5-2)補正後の請求項7及び請求項11について
上記「(2-5-1)請求項1について」において検討したと同様の理由により、補正後の請求項7及び請求項11に係る発明は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

(2-6)むすび
よって、補正後の請求項1、請求項7、請求項9及び請求項11に係る発明を含む本件補正は、新たに請求項を追加するものであるとともに、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当せず、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明とも言えないから、特許法第17条の2第4項各号に掲げるいずれの目的にも該当せず、仮に、本件補正が、同条第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものであって、且つ同条第3項の要件をも満たしているとしても、同条第5項で準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものであり、適法でない補正を含む本件補正は、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明
平成17年5月2日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし27に係る発明は、平成16年9月30日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし27に記載された事項により特定されるものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載されている事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】 半導体基板;
前記半導体基板に隣接して設けられた、内部に開口部を有する、絶縁層であって、前記絶縁層は、半導体基板に隣接する下側絶縁層部、前記下側絶縁層部上のエッチング停止層と、前記エッチング停止層上の上側絶縁層部とを含み、前記開口部は前記上側絶縁層部と前記エッチング停止層の上側部と前記下側絶縁層部の下側部を有している、絶縁層;および
積層された、前記開口部に整合する下側金属電極、前記下側金属電極に隣接するコンデンサ絶縁層、および前記コンデンサ絶縁層に隣接する上側金属電極から構成されるコンデンサを含む集積回路デバイスであって、前記コンデンサが、前記絶縁層の隣接する上側表面部分と実質的に同一平面となるように形成された実質的に平坦な上側表面を有することを特徴とする集積回路デバイス。」

4.刊行物記載の発明
(1)刊行物1. 特開平8-139293号公報
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張日前に日本国内において頒布された特開平8-139293号公報には、図1、図2、図5及び図7とともに以下の事項が記載されている。
「【請求項1】 半導体基板と、
この半導体基板上に形成された絶縁層と、
前記半導体基板に形成されたスイッチング用トランジスタ及び前記絶縁層上に形成された電荷蓄積容量素子とを有するメモリセルと
を具備する半導体記憶装置において、
前記絶縁層にはトレンチが形成されており、前記電荷蓄積容量素子は、前記トレンチの内面に下部電極層、誘電体層及び上部電極を順次堆積してなることを特徴とする半導体記憶装置。」
「【発明の属する技術分野】本発明は、半導体記憶装置及びその製造方法に係り、特に、スイッチング用トランジスタの上方に立体的に形成された電荷蓄積容量素子を有する半導体記憶装置及びその製造方法に関する。」(0001段落)
「【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、貴金属下部電極および高誘電率薄膜を使用した薄膜キャパシタ、特に蓄積電荷量の大きい立体構造の薄膜キャパシタの作成を可能にし、それによって小型化かつ高集積化された半導体記憶装置を提供することにある。」(0011段落)
「【発明の形態】以下、図面を参照して、本発明の種々の実施例について説明する。
実施例1
図1は、本発明の第1の実施例の半導体記憶装置の断面図である。図1において、第1導電型半導体基板1の、素子間分離酸化膜2により分離された領域には、第2導電型不純物拡散層6a,6bが形成されているとともに、その表面には、ゲート酸化膜3を介してワード線4が形成され、これらによりメモリセルのトランジスタ部が構成されている。
【0035】このトランジスタ部の上方には、平坦化絶縁膜9に形成されたトレンチ内に、バリアメタル12、下部電極13、高誘電率薄膜14、上部電極15が順次形成され、薄膜キャパシタが構成されている。なお、この薄膜キャパシタは、コンタクトプラグを介して第2導電型不純物拡散層6bに接続され、一方、ビット線8が第2導電型不純物拡散層6aに接続されている。参照符号5,7は層間絶縁膜、10は研磨停止層をそれぞれ示す。
【0036】次に、図1に示す半導体記憶装置の製造プロセスについて、図2及び図3を参照して説明する。まず、図2(a)に示すように、第1導電型半導体基板1にメモリセルのトランジスタ部およびビット線8を形成した後、平坦化用の絶縁膜9および研磨停止層10を形成した。絶縁膜9を平坦化するためにエッチバック法を用いても良いし、また化学的機械的研磨法などを用いても良い。研磨停止層10としては、酸化アルミニウム等の絶縁膜を用い、また平坦化絶縁膜9としては、ホウケイ酸ガラス(BSG)を用いた。
【0037】次に、図2(b)に示すように、薄膜キャパシタを内壁に形成するためのトレンチ部を形成するために、まず公知のフォトリソグラフィーおよびプラズマエッチングにより平坦化用絶縁膜9にコンタクト孔を形成した後、LPCVD法によりコンタクト孔をポリシリコンで埋め、コンタクトプラグ11を形成し、埋め込まれたポリシリコンにリンを拡散して10?100Ω/□と低抵抗化した。その後、再び公知のフォトリソグラフィーおよびプラズマエッチングにより、平坦化用絶縁膜9に薄膜キャパシタ形成用トレンチ部を形成した。」(0034段落ないし0037段落)
「実施例3
図4及び図5は、本発明の第3の実施例に係る半導体記憶装置の製造工程を示す断面図である。図4(a)及び図4(b)に示す、トレンチ部を形成するまでの工程は第1の実施例と同様である。次いで、図5(a)に示すように、TiNからなるバリアメタル12、Ptからなる下部電極13、Ba_(0.5) Sr_(0.5) TiO_(3) からなる高誘電率薄膜14、Ptからなる上部電極15および平坦化用導電膜16を順次形成した。平坦化用導電膜16としては、ポリシリコンなどの半導体膜にドーピングしたものを用いた。
【0046】その後、図5(b)に示すように、機械的研磨ないしは化学的機械的研磨により研磨停止層に形成されているバリアメタル、下部電極、高誘電率薄膜、上部電極および平坦化用導電膜を除去し、再び平坦化した。その後、図5(c)に示すように、形成したキャパシタ端部を層間絶縁膜18で覆うことにより、トレンチ内部に薄膜キャパシタを作成することが出来た。」(0045段落及び0046段落)
ここで、0045段落の「平坦化用導電膜16」は、図5(a)を参照すると、「平坦化用導電膜17」の誤記であることは明らかである。

(a)薄膜キャパシタ形成用トレンチ部は、平坦化用の絶縁層9のみでなく、実質的に絶縁膜の研磨停止層10にも形成されていることは明らかである。
(b)図5及びその説明において、トレンチ部に形成されたPtからなる下部電極13,前記下部電極に接して形成された高誘電率薄膜14、及び前記高誘電率薄膜14に接して形成されたPtからなる上部電極15により、キャパシタが形成されることは明らかである。
(c)図5(b)及び「図5(b)に示すように、機械的研磨ないしは化学的機械的研磨により研磨停止層に形成されているバリアメタル、下部電極、高誘電率薄膜、Ptからなる上部電極および平坦化用導電膜を除去し、再び平坦化した。」(0046段落)との記載から、下部電極、高誘電率薄膜、Ptからなる上部電極からなるキャパシタの上側表面と、前記キャパシタに近接する研磨停止層10の上側表面とが実質的に同一平面となることは明らかである。

したがって、刊行物1には、以下の発明が記載されている。
「半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された、平坦化用の絶縁層9と絶縁膜の研磨停止層10からなる絶縁層であって、前記絶縁層9と前記研磨停止層10に形成された薄膜キャパシタ形成用トレンチ部を備えた前記絶縁層と、
前記トレンチ部に形成されたPtからなる下部電極13,前記下部電極に接して形成された高誘電率薄膜14、及び前記高誘電率薄膜14に接して形成されたPtからなる上部電極15からなるキャパシタとを備え、
前記キャパシタの上側表面と、前記キャパシタに近接する前記研磨停止層10の上側表面とが実質的に同一平面であることを特徴とする半導体記憶装置。」

(2)刊行物2. 特開平9-321046号公報
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張日前に日本国内において頒布された特開平9-321046号公報には、図7及び図8とともに以下の事項が記載されている。
「【0049】実施形態3
図8(C)は、本発明の半導体装置の一実施形態の素子断面図である。また図7及び図8は、本実施形態の半導体装置の製造方法を素子断面図により表した製造工程図である。本実施形態の半導体装置は、まず図7(A)に示すように、シリコン基板(301)上に第1のシリコン酸化膜(302)を形成した後、第1の窒化膜(351)を約0.1μmの厚さで形成する。その上に、第1の配線としてアルミからなる厚さ0.5μmの配線A(303)を所定の形状で形成し、次いで第2のシリコン酸化膜(304)を約1.3μmの厚さで全面に成膜する。
【0050】次に、図7(B)に示すように、CMPによって第2のシリコン酸化膜の表面が平坦になるまで研磨する。研磨量は、配線A上におけるシリコン酸化膜の厚さが約0.7μmとなるようにする。
【0051】上記の平坦化した表面の全面に第2の窒化膜(352)を0.1μmの厚さで形成し、さらに第3のシリコン酸化膜(353)を約0.5μmの厚さで形成する(図7(C))。
【0052】続いて、通常のフォトリソグラフィー技術で形成されたフォトレジスト(305)をマスクとして、第3のシリコン酸化膜(353)、第2の窒化膜(352)及び第2のシリコン酸化膜(304)からなる積層絶縁膜を約1.5μmの深さまで異方性エッチングし、孔状開口部(320)及び第2の溝状開口部(321)を形成する(図8(A))。このとき、孔状開口部(320)は配線A上に位置するため深さが約1.3μmとなる。第2の溝状開口部(321)は下に配線Aが無いため深さが約1.5μmとなる。なお、上記の積層絶縁膜をエッチングする際には、シリコン酸化膜と窒化膜とでエッチングガス等のエッチング条件を変えて行ってもよい。
【0053】フォトレジスト(305)を除去した後、同様のフォトリソグラフィー技術で溝状開口部を有するフォトレジスト(306)を形成する。なお、孔状開口部(320)は十分に深いので底部にレジストが残存していてもよい。
【0054】このフォトレジスト(306)をマスクとして、第3のシリコン酸化膜、第2の窒化膜および第2のシリコン酸化膜からなる積層膜を約0.5μmの深さまで異方性エッチングし、第1の溝状開口部(311、312)を形成する(図8(B))。この異方性エッチングの際に、シリコン酸化膜のエッチング速度に比べて窒化膜のエッチング速度が十分に小さくなるような条件を用いることが重要である。すなわち窒化膜は溝エッチング時のエッチングストッパーとなるため、溝の深さは窒化膜の位置である約0.5μmとなる。
【0055】フォトレジスト(306)の除去後、金属としてアルミを全面に形成し、次いでCMPによりアルミ表面と第3のシリコン酸化膜表面とが同一平面になるまで研磨する。この結果、図8(C)に示すように、積層絶縁膜に開けられた開口部をアルミが埋めることになる。
【0056】配線Aはビアホール(341)内のアルミを介して配線B(331)と接続している。配線B(331)及び配線C(332)は厚さが約0.5μmであり、二層目配線として機能する。配線D(333)は厚さが約1.0μmであり、同様に二層目配線として機能する。」(0049段落ないし0056段落)

5.対比・判断
本願発明と刊行物1に記載された発明(以下、「刊行物発明」という。)とを対比検討する。
(a)刊行物発明の「薄膜キャパシタ形成用トレンチ部」、「Ptからなる下部電極13」、「高誘電率薄膜14」、「Ptからなる上部電極15」、「キャパシタ」及び「半導体記憶装置」は、それぞれ、本願発明の「開口部」、「下側金属電極」、「コンデンサ絶縁層」、「上側金属電極」、「コンデンサ」及び「集積回路デバイス」に相当する。
(b)刊行物発明の「前記半導体基板上に形成された」「絶縁層」は、「半導体基板」に隣接して設けられていることは明らかであるから、刊行物発明の「前記半導体基板上に形成された」「絶縁層」は、本願発明の「半導体基板に隣接して設けられた」「絶縁層」に相当する。
(c)刊行物発明の「薄膜キャパシタ形成用トレンチ部」も、本願発明の「開口部」もいずれも、内部に、「キャパシタ」(刊行物発明)又は「コンデンサ」(本願発明)を形成するものであることは明らかであるから、刊行物発明の「薄膜キャパシタ形成用トレンチ部を備えた前記絶縁層」は、本願発明の「内部に開口部を有する、絶縁層」に相当する。
(d)刊行物発明の「前記キャパシタの上側表面と」、「前記研磨停止層10の上側表面とが実質的に同一平面であること」は、本願発明の「コンデンサが、前記絶縁層の」「上側表面部分と実質的に同一平面となるように形成された実質的に平坦な上側表面を有する」ことに相当する。
(e)刊行物発明の「Ptからなる下部電極13,前記下部電極に接して形成された高誘電率薄膜14、及び前記高誘電率薄膜14に接して形成されたPtからなる上部電極15からなるキャパシタ」は、本願発明の「下側金属電極、前記下側金属電極に隣接するコンデンサ絶縁層、および前記コンデンサ絶縁層に隣接する上側金属電極から構成されるコンデンサ」に相当する。
(f)刊行物発明において、「Ptからなる下部電極13,前記下部電極に接して形成された高誘電率薄膜14、及び前記高誘電率薄膜14に接して形成されたPtからなる上部電極15」が積層されていることは明らかである。

したがって、本願発明と刊行物発明とは、
「半導体基板;
前記半導体基板に隣接して設けられた、絶縁層;および
積層された、下側金属電極、前記下側金属電極に隣接するコンデンサ絶縁層、および前記コンデンサ絶縁層に隣接する上側金属電極から構成されるコンデンサを含む集積回路デバイスであって、前記コンデンサが、前記絶縁層の上側表面部分と実質的に同一平面となるように形成された実質的に平坦な上側表面を有することを特徴とする集積回路デバイス。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1
本願発明が、「内部に開口部を有する、絶縁層であって、前記絶縁層は、半導体基板に隣接する下側絶縁層部、前記下側絶縁層部上のエッチング停止層と、前記エッチング停止層上の上側絶縁層部とを含み、前記開口部は前記上側絶縁層部と前記エッチング停止層の上側部と前記下側絶縁層部の下側部を有している、絶縁層」を備えているのに対して、
刊行物発明は、「平坦化用の絶縁層9と絶縁膜の研磨停止層10からなる絶縁層であって、前記絶縁層9と前記研磨停止層10に形成された薄膜キャパシタ形成用トレンチ部を備えた前記絶縁層」を備えている点。
相違点2
本願発明が、「前記開口部に整合する下側金属電極」を備えているのに対して、
刊行物発明は、「前記トレンチ部に形成されたPtからなる下部電極13」を備えている点。
相違点3
本願発明が、「前記コンデンサが、前記絶縁層の隣接する上側表面部分と実質的に同一平面となるように形成された実質的に平坦な上側表面を有する」のに対して、
刊行物発明は、「前記キャパシタの上側表面と、前記キャパシタに近接する前記研磨停止層10の上側表面とが実質的に同一平面である」点。

6.当審の判断
以下、各相違点について検討する。
[相違点1について]
(a)刊行物2の図7,図8及び0049段落ないし0056段落には、導電層であるビアホール341及び配線331ないし333形成用の開口部311、312を形成するために、シリコン基板301上に、第2のシリコン酸化膜304、第2の窒化膜352及び第3のシリコン酸化膜353を順次積層して形成することが記載されるとともに、前記第2の窒化膜は、溝エッチング時のエッチングストッパーとなることも記載されている(0054段落)。
したがって、刊行物2には、「シリコン基板301上に、第2のシリコン酸化膜304、エッチングストッパーの第2の窒化膜352及び第3のシリコン酸化膜353を順次積層した構成であって、前記第2のシリコン酸化膜304、前記第2の窒化膜352及び前記第3のシリコン酸化膜353に開口部311及び312を形成した構成」が記載されている。
(b)刊行物2に記載された「積層した構成」と、本願発明の「絶縁層」を対比すると、刊行物2の「積層した構成」の構成要素の「第2のシリコン酸化膜304、第2の窒化膜352及び第3のシリコン酸化膜353」はいずれも絶縁層であるから、刊行物2の「積層した構成」は、実質的に「絶縁層」であり、刊行物2の「エッチングストッパーの第2の窒化膜352」がエッチング停止層であることは明らかであって、さらに、「第2のシリコン酸化膜304」、「第2の窒化膜352」及び「第3のシリコン酸化膜353」がこの順に積層していることも明らかであるから、刊行物2の「第2のシリコン酸化膜304」、「第2の窒化膜352」、「第3のシリコン酸化膜353」、「開口部311」及び「積層した構成」は、それぞれ、本願発明の「下側絶縁層部」、「エッチング停止層」、「上側絶縁層部」、「開口部」及び「絶縁層」に相当する。
(c)ここで、刊行物発明の「平坦化用の絶縁層9と絶縁膜の研磨停止層10からなる絶縁層」に代えて、刊行物2に記載される「第2のシリコン酸化膜304、第2の窒化膜352及び第3のシリコン酸化膜353を順次積層して形成した」積層膜である「絶縁膜」を用いる際には、刊行物発明の「前記キャパシタの上側表面」と「実質的に同一平面」となるのは、刊行物2に記載される「絶縁層」の最も上に位置する「第3のシリコン酸化膜353」の上側表面であることは、当業者にとって明らかである。
(d)したがって、刊行物発明の「平坦化用の絶縁層9と絶縁膜の研磨停止層10からなる絶縁層」に代えて、刊行物2に記載される「第2のシリコン酸化膜304、第2の窒化膜352及び第3のシリコン酸化膜353を順次積層して形成した」積層膜を用いることにより、本願発明の如く、「内部に開口部を有する、絶縁層であって、前記絶縁層は、半導体基板に隣接する下側絶縁層部、前記下側絶縁層部上のエッチング停止層と、前記エッチング停止層上の上側絶縁層部とを含み、前記開口部は前記上側絶縁層部と前記エッチング停止層の上側部と前記下側絶縁層部の下側部を有している、絶縁層」を備えたものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
(e)さらに、刊行物2に記載される、第2のシリコン酸化膜304、第2の窒化膜352及び第3のシリコン酸化膜353からなる積層構造の絶縁層を刊行物発明に用いることにより、刊行物2に記載される構成の「第2の窒化膜」がエッチングストッパーとして機能することも明らかである。

[相違点2について]
(a)本願の図6及び「図5に示すように、第二の絶縁層38内の、第一の開口56によって区切られる境界内に、少なくとも第二の開口60がエッチングされる。・・・次に、図6に示すように、例えば、窒化タンタル、窒化チタン、窒化タングステンなどの障壁金属を堆積することで、下側電極44を形成される。」(0028段落及び0029段落)には、下部電極44は、直接開口部56,60に形成することが記載されている。
一方、刊行物1においては、図5及びその説明において「図4(a)及び図4(b)に示す、トレンチ部を形成するまでの工程は第1の実施例と同様である。次いで、図5(a)に示すように、TiNからなるバリアメタル12、Ptからなる下部電極13、Ba_(0.5) Sr_(0.5) TiO_(3) からなる高誘電率薄膜14、Ptからなる上部電極15および平坦化用導電膜16を順次形成した。」(0045段落)こと、言い換えると、「トレンチ部」にバリアメタル12を介して下部電極13を形成することが記載されている。
(b)刊行物1の図5及びその説明に記載される、「トレンチ部」と「Ptからなる下部電極13」の間に形成される「バリアメタル」は、バリアメタルが導電接続する層との関係で必要であるか否かが決まるものであるから、「下部電極13」等の材質を適宜選択すれば、「バリアメタル」を不要とすることができることは、当業者に取って明らかである。
(c)したがって、刊行物発明の「前記トレンチ部に形成されたPtからなる下部電極13」において、「バリアメタル」が不要であれば、「トレンチ部」に直接「Ptからなる下部電極13」を形成することにより、本願発明の如く、「前記開口部に整合する下側金属電極」との構成を備えるものとすることは、当業者が何ら困難性なくなし得たものである。
(d)さらに、見方を変えると、刊行物1の(0045)段落等には、「トレンチ部」と「Ptからなる下部電極13」の間に形成される「バリアメタル」が「TiN」で形成されると記載されており、「TiN」が導電層であることは明らかであるから、TiNからなる「バリアメタル」と「Ptからなる下部電極13」とからなる2層膜による「下部電極」が構成されているとすると、2層膜による「下部電極」は、「トレンチ部」に直接接して形成されていると言える。
したがって、刊行物発明の2層膜による「下部電極」は「トレンチ部」に「整合」したものであるから、本願発明と刊行物発明は、相違点2については、実質的に相違していない。

[相違点3について]
(a)上記[相違点2について]において検討したとおり、「トレンチ部」と「下部電極13」の間に形成される「バリアメタル」を形成するか否かは、「バリアメタル」に直接接する「導電材料」等との関連で決定するものである。
(b)したがって、刊行物発明の「前記トレンチ部に形成された下部電極13」において、「バリアメタル」が不要であれば、刊行物発明において、「キャパシタ」と「研磨停止層10」とを含む「絶縁層」が「近接する」のみでなく「隣接する」ようにすることは、当業者が何ら困難性なくなし得たものである。

よって、本願発明は、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

7.むすび
以上のとおりであるから、本願は、請求項2ないし27に係る発明について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-24 
結審通知日 2007-10-29 
審決日 2007-11-09 
出願番号 特願2000-6223(P2000-6223)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
P 1 8・ 573- Z (H01L)
P 1 8・ 574- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 571- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀧内 健夫松本 貢北島 健次  
特許庁審判長 河合 章
特許庁審判官 棚田 一也
井原 純
発明の名称 ジュアルダマシーンコンデンサを備えた集積回路デバイスおよびこれを製造するための関連する方法  
代理人 臼井 伸一  
代理人 岡部 正夫  
代理人 本宮 照久  
代理人 朝日 伸光  
代理人 産形 和央  
代理人 越智 隆夫  
代理人 加藤 伸晃  
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