• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1174990
審判番号 不服2005-13045  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-07-07 
確定日 2008-03-21 
事件の表示 特願2000-178291「情報再生システム、そのシステムに用いる情報再生装置および情報提供装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年12月26日出願公開、特開2001-359079〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【第1】経緯

[1]手続き
本願は、平成12年6月14日の出願であって、手続の概要は以下のとおりである。
拒絶理由通知 :平成17年2月22日(起案日)
手続補正(明細書の補正):平成17年4月25日
拒絶査定 :平成17年6月10日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成17年7月 7日
手続補正 :平成17年7月 7日
前置審査報告 :平成17年8月29日

【第2】補正却下の決定

上記平成17年7月7日付け手続補正(以下、本件補正という。)について次の通り決定する。

[補正却下の決定の結論]

平成17年7月7日付けの手続補正を却下する。

[理由]

[1]本件補正の内容

本件補正は、本件補正前、平成17年4月25日付け手続補正書記載の特許請求の範囲に対してする補正であり、請求項1、請求項6および請求項11にそれぞれ記載された発明を特定する事項である「代替情報」を「新しい代替情報」と補正するものである。

[2]本件補正の適合性

[2-1]補正の範囲(第17条の2第3項)

上記代替情報を「新しい代替情報」とする補正事項は、願書に最初に添付した明細書の【0009】、【0019】及び【0031】等の記載に基づくものであり、願書に最初に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてする補正である。

[2-2]補正の目的(第17条の2第4項1号?4号)

上記補正事項は、特許請求の範囲についてする補正である。
上記補正事項は、補正前の請求項1,6,11における「代替情報」を「新しい代替情報」に限定するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。

[2-3]独立特許要件(第17条の2第5項)
そこで、本件補正後の請求項に係る発明が独立特許要件(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条5項の規定)を満たすか否かについて以下に検討する。

[2-3-1]補正後発明
本件補正後の請求項1から請求項13までに係る発明のうち、請求項6に係る発明(以下、「補正後発明」ともいう。)は、下記のとおりである。

記《補正後発明》
【請求項6】
予め記録された記録情報を再生する情報再生装置と、前記情報再生装置に接続され前記情報再生装置に情報を提供する情報提供装置とを含む情報再生システムに用いられる情報再生装置であって、
前記情報提供装置は、前記情報再生装置に代替情報を送信するための代替情報送信手段を含み、
前記情報再生装置は、
前記記録情報の中から予め定められた時間に関する条件を満足する抽出情報を抽出するための抽出手段と、
前記情報提供装置と前記抽出手段とに接続され、前記抽出手段により抽出された抽出情報を代替するための新しい代替情報を前記情報提供装置に要求するための要求手段と、
前記情報提供装置に接続され、前記代替情報送信手段により送信された前記代替情報を受信して、受信した前記代替情報により前記抽出情報を代替して、前記記録情報を再生するための再生手段とを含む、情報再生装置。

[2-3-2]先願明細書の記載

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前の他の出願であって、当該他の出願を基礎とする優先権主張を伴う特願2000-269033号についての出願公開(特開2001-292115号公報、平成13年10月19日)がされた時に、出願公開がされたものとみなされた特願2000-27408号(出願日:2000年1月31日,以下「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下「先願明細書」という。)には、以下の記載がある。
なお、先願明細書の記載の各摘示の後に、上記公開公報における同摘示の記載箇所を括弧書きで付記する。


《請求項1?4》
(K1)「【請求項1】 予め編成された番組本体データと補助素材群の組合せからなるマルチメディアコンテンツ群によるコンテンツデータとして連続ストリーミングを送出する送信サーバ機能部と、
上記送信サーバ機能部から送られてくる連続ストリーミングを受信して、分割された各番組本体データ及び各捕縄素材に附属する各属性データとユーザ及びユーザ機器のプロファイルデータの演算により、コンテンツデータの順番を入れ替えた新たな編成を構築する編成制御機能を備えた端末機能部と
からなる情報提供システム。
【請求項2】 上記端末機能部は、上記属性データとプロファイルデータの演算結果に基づいて、オンデマンドで追加コンテンツデータを取り込むオンデマンド制御機能を有することを特徴とする請求項1記載の情報提供システム。
【請求項3】 上記端末機能部は、上記プロファイルデータを一時的に他のプロファイルデータに置き換え可能な記憶手段を備えることを特徴とする請求項1記載の情報提供システム。
【請求項4】 上記端末機能部は、上記編成制御機能により構築された新たな編成にしたがったコンテンツデータの再生結果を上記送信サーバ機能部に通知する機能を有し、
上記送信サーバ機能部は、上記端末機能部から通知された上記新たな編成にしたがったコンテンツデータの再生結果に基づいて清算処理を行う管理者機能を有することを特徴とする請求項1記載の情報提供システム。」(公開公報の請求項1?4)

《従来技術、解決しようとする課題、目的》
(K2)「【0002】
【従来の技術】
地上波による放送や衛星放送、CATVなどの放送システムでは、放送局側で番組内容にコマーシャル(CM)を挿入して送信している。すなわち、CMの導入により伝送コストやコンテンツに対するコストを視聴者に代わってCMスポンサが肩代わりすることにより、視聴者はリーズナブルなコストでサービスを受けることができるようになっている。
【0003】
また、従来より、放送された番組を磁気テープを記録媒体としたビデオカセットテープレコーダ(以下、VCRという)などの記録再生装置により記録しておき、時間のあるときに記録媒体から所望の番組を再生することが広く行われている。」(公開公報の段落0002,0003)

(K3)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般家庭ユーザが使用するVCRなど記録再生装置においては、録画した番組と再生する番組は同一のものである。すなわち、従来、番組と番組の間に挿入されたCMは恒常的なものである。
【0007】
しかしながら、CMは一種の商品情報であるから、有効期間があり、また対象にする視聴者を選ぶはずである。
【0008】
例えば、ある期間限定のバーゲンに関するCM告知は、その期間が経過してから再生されても、告知という観点からは無意味なものとなってしまう。また、例えば視聴者が男性である場合、通常は女性用の化粧品などの宣伝の効果が薄いと考えられるが、従来、記録再生装置によって録画された放送番組は視聴者の性別に拘わらず画一的に再生されてしまう。」(公開公報の段落0006?0008)

(K4)「【0012】
そこで、本発明の目的は、放送時の編成と再生時の編成を意図的に変更することを可能にすることにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、放送時には伝えきれない精度の高い情報をユーザに提供することができようにすることにある。
・・・(中略)・・・
【0015】
さらに、本発明の他の目的は、補助素材の差し替えに応じた清算処理を行い、CM枠の再販を可能にすることある。」(公開公報の段落0012?0015)

《実施の形態》
(K5)「【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
本発明は、例えば図1に示すような構成の情報提供システムに適用される。この情報提供システムは、放送用番組クリップと放送用CMクリップの組合せからなるコンテンツデータを連続ストリーミングとして送出する放送局1と、上記放送局1から連続ストリーミングを受信する情報端末装置2と、上記情報端末装置2がインターネットなどのネットワークを介して接続される追加クリップサーバ装置3などにより構成されている。
【0021】
この情報提供システムにおいて、上記放送局1には、コンテンツクリップ(番組)提供者4により予め編成された番組本体データが上記放送用番組クリップとして配布される。また、上記放送局1には、CMスポンサ6による依頼に基づいて広告代理店7からのCM作成の発注に応じてコンテンツクリップ(CM)提供者5により作成された補助素材データ群が放送用CMクリップとして配布される。
【0022】
上記放送用番組クリップ及び放送用CMクリップを構成する番組本体データ及び補助素材データにはそれぞれ属性が定義され、番組本体データ及び補助素材データにそれそれぞれ属性データが附属されている。
【0023】
そして、上記放送局1は、上記予め編成された番組本体データからなる放送用番組クリップと上記補助素材群からなる放送用CMクリップの組合せからなるマルチメディアコンテンツ群によるコンテンツデータを連続ストリーミングとして送出する。」(公開公報の段落0026?0030)

(K6)「【0024】
上記放送局1から送られてくる連続ストリーミングを受信する情報端末装置2は、上記放送局1から送られてくる連続ストリーミングを受信して半導体メモリやハードディスクなどのランダムアクセス再生が可能な記録媒体に保存する図2に示すような構成の記録再生装置10からなる。
【0025】
すなわち、この記録再生装置10は、録画結果保存部11、個人プロファイル保存部12、ユーザ機器プロファイル保存部13、適用プロファイル生成部14、再編成検討部15、ダウンロード機能部16、最終構成部17やコンテンツ再生部18等からなる。また、この記録再生装置10は、出力装置19が接続されている。」(公開公報の段落0031,0032)

(K7)「【0026】
上記録画結果保存部11は、録画本体保存部11Aと録画属性保存部11Bからなり、上記放送局1から送られてくる連続ストリーミングを受信することにより得られた放送用番組クリップ及び放送用CMクリップを上記録画本体保存部11Aに保存するとともに、上記録画本体保存部11Aに保存した放送用番組クリップ及び放送用CMクリップに附属する各属性データを録画属性保存部11Bに保存する。
【0027】
上記個人プロファイル保存部12には、視聴者の名前、年齢、性別、職業、趣味などのユーザのプロファイルデータを保存する。
【0028】
上記ユーザ機器プロファイル保存部13には、記録再生装置10の設置住所、設置場所、時刻などのプロファイルデータを保存する。
【0029】
上記適用プロファイル生成部14は、上記個人プロファイル保存部12に保存されているユーザのプロファイルデータと上記ユーザ機器プロファイル保存部13に保存されているユーザ機器のプロファイルデータを演算することにより、適用プロファイルデータを生成する。」(公開公報の段落0033?0036)

(K8)「【0030】
上記再編成検討部15は、上記録画結果保存部11に録画されているコンテンツクリップすなわち放送用番組クリップ及び放送用CMクリップの属性と上記適用プロファイル生成部14により生成された適用プロファイルデータの比較演算を行い、その演算結果に基づいて、コンテンツクリップの再生順を変更するとともに、不足しているコンテンツクリップすなわち追加すべきコンテンツクリップの種類を判別し、インターネットなどのネットワーク20を介して追加クリップサーバ装置3に追加すべきコンテンツクリップの種類を通知して、ダウンロード機能部16により追加クリップサーバ装置3から追加すべきコンテンツクリップをオンデマンドでダウンロードする。
【0031】
上記最終構成部17は、上記ダウンロード機能部16によりダウンロードした追加コンテンツクリップを含めて再生順を再編成して、最終編成を構成する。
【0032】
そして、上記コンテンツ再生部18は、上記最終構成部17により構成された最終編成に従って、上記録画結果保存部11及び上記ダウンロード機能部16から放送用番組クリップ、放送用CMクリップ及び追加コンテンツクリップを読み出し、コンテンツデータに含まれていた音声・画像あるいはプログラムを再生して、スピーカ、モニター装置或いはデータ処理装置などからなる出力装置19に出力する。
【0033】
すなわち、この記録再生装置10は、属性とプロファイルとの関係によって制御され、オンデマンドでの追加クリップの導入を許可/不許可する機能を有する。そして、許可の場合には、入替え対象のクリップが持つ属性とプロファイルの関係から指定されるカスタマイズされたコンテンツクリップ及びその属性をインターネットなどのネットワーク20経由で追加クリップサーバ装置3から取り込むことができるようになっている。・・・(以下略)」」(公開公報の段落0037?0040)

(K9)「【0035】
上記追加クリップサーバ装置3は、追加クリップ本体保存部31と追加クリップ属性保存部32からなる追加クリップ保存部30を備え、上記コンテンツクリップ(番組)提供者4及びコンテンツクリップ(CM)提供者5により配布された追加番組クリップ及び追加CMクリップを上記追加クリップ本体保存部31に保存するとともに、上記追加クリップ本体保存部31に保存した追加番組クリップ及び追加CMクリップに附属する各属性データを追加クリップ属性保存部32に保存している。そして、この追加クリップサーバ装置3は、上記情報端末装置2の記録再生装置10からインターネットなどのネットワーク20を介して追加すべきコンテンツクリップの種類が通知されると、追加コンテンツクリップ検索部30により上記追加クリップ保存部31に保存されている追加コンテンツクリップを探し出し、追加コンテンツクリップ伝送部33から上記インターネットなどのネットワーク20を介して上記情報端末装置2に追加コンテンツクリップを伝送する。
【0036】
ここで、この情報提供システムにおいて、上記追加クリップサーバ装置3は、管理者機能を有し、上記情報端末装置2から上記最終編成に従った最終的な再生結果がネットワーク20経由で送られてくるようになっており、管理者機能により受け取った結果を集計し、入替え事実の把握を自動的に行って広告代理店7に通知することにより、CMなどのスポンサ6群に対して清算処理を行う。」(公開公報の段落0042,0043)

(K10)「【0038】
このような構成の情報提供システムでは、例えば、以下に説明するようなCM入替えを行うことができる。
【0039】
ここで、11月1日?12月24日の期間に行われる売出しを告知するCMを「CM1224」と呼ぶ。また、12月25日?1月20日の期間に行われるバーゲンを告知するCMを「CM0120」と呼ぶ。また、所得が10万ドル以上、対象年齢30歳以上の視聴者に流すための特別CMを「CM10万」と呼ぶ。また、所得が10万ドル以下の世帯に視聴者に流すためのCMを「CM00万」と呼ぶ。さらに、番組の実体の最初の部分を番組Part1、その次を番組Part2と呼ぶ。
【0040】
そして、12月20日のオリジナルの放送は、番組Part1、CM1224、番組Part2、CM00万本体、CM0120の順に行われたとする。
【0041】
「CM1224」には属性(有効期限:11月1日?12月24日、入替え促進)が与えられており、この属性データが放送用CMクリップ「CM1224」とともに放送されたとする。
【0042】
また、上記「CM0120」には属性(有効期限:12月25日?01月20日、入替え促進)が与えられており、この属性データが放送用CMクリップ「CM0120」とともに放送されたとする。
【0043】
また、上記「CM00万」には、属性(対象所得10ドル以下、対象年齢無制限、入替え促進、オンデマンドスワップ促進)が与えられており、この属性データが放送用CMクリップ「CM00万」とともに放送されたとする。
【0044】
さらに、「番組Part1」及び「番組Part2」には属性(nil)が与えられており、この属性データが放送用番組クリップ「番組Part1」,「番組Part2」とともに放送されたとする。
【0045】
上記12月20日のオリジナルの放送を受信した情報端末装置2では、放送用番組クリップ及び放送用CMクリップすなわち番組Part1本体、CM1224本体、番組Part2本体、CM100万本体、CM120本体等を上記記録再生装置10の録画本体保存部11Aに保存するとともに、上記録画本体保存部11Aに保存した放送用番組クリップ及び放送用CMクリップに附属する各属性データすなわち番組Part1属性、CM1224属性、番組Part2属性、CM100万属性、CM0120属性等を録画属性保存部11Bに保存する。
【0046】
ここで、上記記録再生装置10の個人プロファイル保存部12には、プロファイルAとして、例えば、
デフォルト地域:マンハッタン
使用者の名前 :AAA
年齢:42歳
性別:男性
職業:エンジニア
所得:11万ドル
趣味:音楽、映画
年齢情報伝送:可能
オンライン受信:可能
などのプロファイルデータが保存されているものとする。なお、上記個人プロファイル保存部12には、複数のプロファイルを保存することが許されている。
【0047】
また、上記記録再生装置10のユーザ機器プロファイル保存部13には、プロファイル1として、例えば、
時刻:タイマからの逐次検出
設置住所:居間
設置場所:ニューヨーク州、ニューヨーク、・・・マジソン通り
などのユーザ機器のプロファイルデータが保存されているものとする。」(公開公報の段落0045?0054)

(K11)「【0048】
そして、この情報端末装置2の記録再生装置10により上記12月20日のオリジナルの放送を録画した内容の再生操作を視聴者AAAが例えば12月26日に行ったとする。
【0049】
上記情報端末装置2の記録再生装置10は、再生操作が行われると、上記適用プロファイル生成部14において、上記個人プロファイル保存部12に保存されているプロファイルAのプロファイルデータと上記ユーザ機器プロファイル保存部13に保存されているプロファイル1のプロファイルデータの例えば和集合を演算することにより、適用プロファイルデータを生成し、上記再編成検討部15において、上記録画結果保存部11に録画されているコンテンツクリップすなわち放送用番組クリップ及び放送用CMクリップの属性を上記適用プロファイル生成部14により生成された適用プロファイルデータと比較検討し、その結果に基づいて、コンテンツクリップの再生順を変更するとともに、不足しているコンテンツクリップすなわち追加すべきコンテンツクリップの種類を判別し、ダウンロード機能部16によりインターネットなどのネットワーク20を介して追加クリップサーバ装置3から追加すべきコンテンツクリップをオンデマンドでダウンロードする。
【0050】
この例では、2番目のクリップとして録画された「CM1224」は、その属性を適用プロファイルデータと比較検討した結果、期限切れと判断され、かつ、入替え促進なので、26日でも有効な「CM0120」が繰り上げられて配置される。
【0051】
また、この例では、適用プロファイルの所得が10万ドルを越え、所得情報伝送可能で、かつ、オンライン受信可能になっており、各クリップの属性のうち「CM00万」は入替え促進かつオンデマンドスワップ促進になっているので、番組Part1等を再生しながら、同時にネットワーク20経由で追加クリップサーバ装置3にアクセスして「CM00万」と入れ替える適当なクリップを検索し、その結果として「CM140万」をネットワーク20経由で上記追加クリップサーバ装置3からダウンロードする。
【0052】
そして、上記最終構成部17において、上記ダウンロード機能部16によりダウンロードした追加コンテンツクリップを含めて再生順を再編成して構成された最終編成に従って、コンテンツ再生部18により上記録画結果保存部11及び上記ダウンロード機能部16から放送用番組クリップ、放送用CMクリップ及び追加コンテンツクリップを読み出して再生する。
【0053】
上記コンテンツ再生部18では、番組Part1、CM0120、番組Part2、オンデマンドCM10万の順に再生される。」(公開公報の段落0055?0060)

(K12)「【0055】
また、この情報提供システムにおいて、上記情報端末装置2は上記最終編成に従った最終的な再生結果をネットワーク20経由で管理者機能を有する追加クリップサーバ装置3に送る。
【0056】
そして、追加クリップサーバ装置3では、管理者機能により受け取った結果を集計し、入替え事実の把握を自動的に行って広告代理店7に通知する。これにより、広告代理店7やスポンサ6等は、入替え頻度などに基づいて必要な課金などの清算処理を行う。」(公開公報の段落0062,0063)

(K13)「【0057】
この情報提供システムでは、管理者機能を有する追加クリップサーバ装置3により、上記情報端末装置2側で再生順が変更された結果を管理し、再販結果を自動集計して元のCMスポンサ6との間で清算処理を行うことができる。したがって、CMなどの提供者は、一度自分が提供したCMが期限切れになっても、その枠を第3者に再販する機会が与えられ、損失を最小にするとどめることができる。・・・(以下略)」(公開公報の段落0064)

(K14)「【0058】
このような構成の情報提供システムでは、情報端末装置2側で各番組本体データ及び各補助素材に附属する各属性データとユーザ及びユーザ機器のプロファイルデータの演算により、コンテンツデータの順番を入れ替えた新たな編成を構築することができるので、放送時の編成と再生時の編成を意図的に変更することができ、再生時に視聴者の希望に沿った内容のクリップに差し替えたり、その瞬間に視聴者にアピールしたい内容のクリップに差し替えて再生することができる。
また、情報端末装置2側で上記属性データとプロファイルデータの演算結果に基づいて、追加クリップサーバ装置に対して、オンデマンドで追加コンテンツデータを要求し、上記追加コンテンツデータを取り込むことができるので、再生時刻やユーザの生活スタイルなどに合わせてカスタマイズした情報を取り込むことができる。
これにより、放送時には伝えきれない精度の高い情報をユーザに提供することができ、しかも、ユーザは、通常の放送番組を見る場合と差異がなく、違和感なく番組を楽しむことができる。
【0059】
すなわち、この情報提供システムでは、例えば、タイマーカレンダー情報をプロファイルに反映させ、期限切れのCMを差し替えることができる。また、住んでいる地域情報をプロファイルに反映させ、全国版CMを地方版CMに差し替えることができる。また、収入情報をプロファイルに反映させ、高額商品のCMを控える(増やす)ようにCMを差し替えることができる。また、タイマーカレンダー情報をプロファイルに反映させ、桜前線を追いかけた結果から案内する地域を差し替える花見旅行番組や、例えば、3月には補助素材部分が九州の案内だったが4月には東北の案内に指し変わるような旅行案内番組を送出することができる。・・・(以下略)」(公開公報の段落0065,0066)

《発明の効果》
(K15)「【0062】
また、本発明によれば、上記属性データとプロファイルデータの演算結果に基づいて、オンデマンドで追加コンテンツデータを要求し、上記追加コンテンツデータを取り込むことができるので、再生時刻やユーザの生活スタイルなどに合わせてカスタマイズした情報を取り込むことができる。これにより、放送時には伝えきれない精度の高い情報をユーザに提供することができ、しかも、ユーザは、通常の放送番組を見る場合と差異がなく、違和感なく番組を楽しむことができる。」(公開公報の段落0116)

[2-3-3]対比

(a)先願明細書記載の情報提供システムの概要構成

(a1)請求項記載の用語,構成要素(「送信サーバ機能部」,「端末機能部」、)と、実施例(実施の形態)の記載の用語,構成要素(「放送局1」,「追加クリップサーバ装置3」,「情報端末装置2」,「記録再生装置10」)の関係
図1を参照し、前掲(K1)と(K5)(K6)(K9)等を比較すれば、以下のことが理解される。
・請求項1,2でいう、番組本体データ、補助素材、コンテンツデータ、端末機能部は、それぞれ、実施例の、番組クリップ、CMクリップ、コンテンツクリップ、情報端末装置2を指すものであること。、
・「追加クリップサーバ装置3」は、前掲(K9)の段落【0036】,(K12)によれば、管理者機能を有し清算処理を行うとしていて、請求項4の記載(K1)と合致することから、「送信サーバ機能部」に含まれると理解される。したがって、請求項の「送信サーバ機能部」は、実施例の「放送局1」、「追加クリップサーバ装置3」を含むものであること。
・前掲(K6)からすれば、「情報端末装置2」は「記録再生装置10」を主たる構成とするもので、請求項の「端末機能部」に対応するものであること。
・以上によれば、「情報提供システム」は、「放送局1」及び「追加クリップサーバ装置3」(以上、「送信サーバ機能部」に含まれる)と、「記録再生装置10」を主たる構成とする「情報端末装置2」(端末機能部)等により構成されているものである。

(a2)情報提供システムの概要構成
上記(a1)をふまえて、その請求項1,2の窓を通してみれば、先願明細書には、大要、「情報提供システム」として、以下のものが記載されているということができる。すなわち、
放送局側から送信される、CMが挿入された番組内容を記録再生装置で記録して再生する場合、再生される番組に挿入されたCMは恒常的なもの(放送時に編成されたままのもの)であることによる問題点、例えばある期間限定のバーゲンに関するCMの告知は、その期間が過ぎてから再生されても、告知という観点からは無意味なものとなってしまう、あるいは例えば男性の視聴者にも、女性用化粧品のCM等の宣伝効果が薄いCMが画一的に再生されてしまう等の問題点の解決を図るものであって{(K2)?(K4)}、
「放送局1」、「追加クリップサーバ装置3」を含む「送信サーバ機能部」と「記録再生装置10」(情報端末装置2)等からなり、
「記録再生装置10」(情報端末装置2)は、「放送局1」から送られてくる、予め編成された番組クリップとCMクリップの組合せからなるコンテンツデータ(その連続ストリーミング)を受信し、これを分割した各番組クリップ及び各CMクリップに附属する各属性データとユーザ及びユーザ機器のプロファイルデータとの演算により、上記受信したコンテンツデータの順番を入れ替え(以下、簡単に「順番入れ替え」ともいう)た新たな編成を構築することができるようにしたもの(請求項1)であって、
さらに、上記属性データとプロファイルデータの演算結果に基づいて、追加コンテンツデータを要求して取り込むオンデマンド取り込み(以下、簡単に「オンデマンド取り込み」ともいう)ができるようにしたもの(請求項2)。

(b)前提構成
補正後発明の前提構成である「予め記録された記録情報を再生する情報再生装置と、前記情報再生装置に接続され前記情報再生装置に情報を提供する情報提供装置とを含む情報再生システムに用いられる情報再生装置」(以下、「構成1」という。)について

実施の形態に関する前掲(K6)?(K9),図1,図2に照らせば、
「記録再生装置10」は、『予め記録された記録情報を再生する情報再生装置』といい得ること、
「記録再生装置10」は、「追加クリップサーバ装置3」から「追加コンテンツクリップ」を取り込む(ダウンロード){(K8)(K9)}から、「追加クリップサーバ装置3」は、「記録再生装置10」に『情報を提供する情報提供装置』といい得ること、
「追加クリップサーバ装置3」は、「記録再生装置10」にネットワークを介して『接続されている』{(K5)}こと、
以上は、明らかであり、
「記録再生装置10」と「追加クリップサーバ装置3」を含めたものを『情報再生システム』と称し得る。
すなわち、「記録再生装置10」は補正後発明でいう「情報再生装置」に、
「追加クリップサーバ装置3」は補正後発明でいう「情報提供装置」に、
「記録再生装置10」と「追加クリップサーバ装置3」を合わせたものは
補正後発明でいう「情報再生システム」に、
上記構成1の限りにおいて、それぞれ、相当するものということができる。
以上によれば、先願明細書記載の発明として、前提構成として、上記「構成1」を具備するものを認めることができる。

(c)補正後発明の「前記情報提供装置は、前記情報再生装置に代替情報を送信するための代替情報送信手段を含み」(以下、「構成2」という。)について
前掲(K8)(K9)、図2によれば「追加クリップサーバ装置3」(補正後発明の「情報提供装置」に相当する)は、「記録再生装置10」(補正後発明の「情報再生装置」に相当する)に「追加コンテンツクリップ」を送信するための「追加コンテンツクリップ伝送部」を有しており、
「追加コンテンツクリップ」は、記録情報(の一部)を代替するための情報、すなわち『代替情報』であることは、CM入替えについての具体例を示す前掲(K10)(K11)からも明らかであるから、この「追加コンテンツクリップ伝送部」は、上記「構成2」でいう『前記情報再生装置に代替情報を送信するための代替情報送信手段』といい得るものである。
したがって、先願明細書記載の発明として、上記「構成2」を具備するものを認めることができる。

(d)補正後発明の
「前記情報再生装置は、
前記記録情報の中から予め定められた時間に関する条件を満足する抽出情報を抽出するための抽出手段と、
前記情報提供装置と前記抽出手段とに接続され、前記抽出手段により抽出された抽出情報を代替するための新しい代替情報を前記情報提供装置に要求するための要求手段と、
前記情報提供装置に接続され、前記代替情報送信手段により送信された前記代替情報を受信して、受信した前記代替情報により前記抽出情報を代替して、前記記録情報を再生するための再生手段とを含む」(以下、「構成3」という。)について

(d1)補正後発明の「抽出情報」
上記「抽出情報」とは、その後段にて「抽出情報を代替するための新しい代替情報」、「代替情報により前記抽出情報を代替して」と記載されていることから、「前記記録情報の中から予め定められた時間に関する条件を満足するものとして特定された特定の記録情報」、をいうものである。

(d2)順番入れ替え、オンデマンド取り込み、再編成・再生
上記(a2)で上述した、先願明細書記載の情報提供システムの上記「順番入れ替え」や「オンデマンド取り込み」、およびこれに続く最終再編成・再生等の処理は、前掲(K7)(K8)(K9),(K11)の【0049】【0052】によれば、以下のようにしてなされる。

(ア)順番入れ替え 記録再生装置10(情報端末装置2)内の再編成検討部15は、各クリップ(番組クリップとCMクリップ)に附属する各属性データと、ユーザ及びユーザ機器のプロファイルデータの“比較演算”を行い、その演算結果に基づいて、前記コンテンツデータの順番の入れ替えをする。
(イ)オンデマンド取り込み 情報端末装置2側の記録再生装置10内の再編成検討部15は、上記属性データとプロファイルデータの“比較演算”を行い、その演算結果に基づいて、不足しているコンテンツクリップすなわち追加すべきコンテンツクリップの種類を判別し、インターネットなどのネットワーク20を介して追加クリップサーバ装置3に、追加すべきコンテンツクリップの種類を通知して追加すべきコンテンツクリップを要求し、ダウンロード機能部16により追加クリップサーバ装置3から追加すべきコンテンツクリップをオンデマンドでダウンロード取り込みする。
このとき、この要求に応じて、追加クリップサーバ装置3内の追加コンテンツクリップ伝送部33から上記インターネットなどのネットワーク20を介して記録再生装置10に追加コンテンツクリップを伝送する。
“比較演算”
再編成検討部15でなされる上記比較演算とは、
上記各属性データと、
ユーザのプロファイルデータ(年齢、性別、職業、趣味などのデータ)およびユーザ機器のプロファイルデータ(設置住所、設置場所、時刻などのデータ)から生成した適用プロファイルデータ{例えば(K11)【0049】段落に示される上記ユーザとユーザ機器の各プロファイルデータの和集合})とを、比較演算するものである。{(K7)(K8),段落【0027】?【0030】}
(ウ)再編成・再生 最終構成部17は、上記ダウンロード機能部16によりダウンロードした追加コンテンツクリップを含めて再生順を再編成して、最終編成を構成する。 コンテンツ再生部18は、最終構成部17により構成された最終編成に従って、上記録画結果保存部11及び上記ダウンロード機能部16から放送用番組クリップ、放送用CMクリップ及び追加コンテンツクリップを読み出して再生する。(段落【0031】【0032】【0052】)

(d3)具体例
上記(ア)?(ウ)の処理について、前掲(K10)(K11)記載の具体例(以下、簡単に「具体例」ともいう)により検討する。

(d3-1)具体例
〈条件〉
記録コンテンツクリップを、
12月20日に放送され記録されたもので、「番組Part1、
CM1224、番組Part2、CM00万本体、CM0120」、
それらの属性を、
CM1224の属性
:有効期限:11月1日?12月24日、入替え促進
CM0120の属性
:有効期限:12月25日?01月20日、入替え促進
CM00万本体の属性
:対象所得10ドル以下、対象年齢無制限、入替え促進、
オンデマンドスワップ促進
とし{段落【0045】}、
プロファイルを、
前掲(K10)の段落【0046】【0047】の記載のとおりとする。

上記条件の下、12月20日に放送され記録された上記コンテンツクリップは、12月26日の再生時には、「CM1224」から「CM0120」への入れ替えと「CM00万」から「CM10万」への入れ替えが行われて、最終的に「番組Part1、CM0120、番組Part2、オンデマンドCM10万」の順に再生される。{段落【0053】}

(d3-2)前掲(K11)は、上記具体例を例に、上記(ア)?(ウ)の処理の例を示すものであり、同例からみた、再編成検討部15、ダウンロード機能部16,最終構成部17、再生部18等の機能・構成について、以下、上記「構成3」と対比検討する

〈上記(ア)の処理〉
上記(ア)の処理に対応する、「CM1224」から「CM0120」への入れ替えは、再編成検討部15によりなされるもので、上記「CM1224」は、その属性を適用プロファイルデータと比較演算(比較検討)した結果、期限切れと判断され、かつ、入替え促進なので、入れ替えすべきものであると特定されて、26日でも有効な「CM0120」が繰り上げられて配置される。{段落【0050】}
これは、「CM1224」は、その属性を適用プロファイルデータと比較演算(比較検討)した結果、期限切れと判断されるのであるから、その属性である有効期限:11月1日?12月24日と、プロファイルであるタイマから逐次検出される再生時刻とが比較演算されているものと理解され、
「再生時刻(当然日時も含まれると解される。)が有効期限を超えている」という「予め定められた時間に関する条件」を満足するものとして(入れ替えのために)特定(抽出)されるものである。
すなわち、「CM1224」を、「記録情報の中から予め定められた時間に関する条件を満足するものとして特定された特定の記録情報」として抽出し、「CM0120」と入れ替えているといえ、
したがって、「再編成検討部15」は、補正後発明でいう『前記記録情報の中から予め定められた時間に関する条件を満足する抽出情報を抽出するための抽出手段』に相当する手段を具備するものといえる。
もっとも、「CM1224」の代わりに入れ替えられる「CM0120」は、記録済みの代替情報であって要求して受信したものではない。
これは、後記する「CM00万」とは異なり、「CM1224」の属性が、入替え促進ではあるものの、オンデマンドスワップ促進とはされていないからである。

〈上記(イ)?(ウ)の処理〉
上記(イ)?(ウ)の処理に対応する、「CM00万」から「CM10万」への入れ替え、再編成・再生は、以下のようにしてなされる。

《(イ)の処理》
「CM00万」は、再編成検討部15により、その属性を適用プロファイルデータと比較演算(比較検討)した結果、入替え促進かつオンデマンドスワップ促進になっていて、かつ、適用プロファイルの所得が10万ドルを越えているから、「CM00万」と入れ替える適当なクリップを追加クリップサーバ装置3に要求し、その結果として、ダウンロード機能部16により「CM10万」( 段落【0051】の「CM140万」は正しくは「CM10万」であることは明らかである。)を追加クリップサーバ装置3からダウンロードする。{段落【0051】}
これは、上記の「CM1224」と同様、「CM00万」を、「記録情報の中から予め定められた(ユーザの収入に関する)条件を満足する」ものとして特定された特定の記録情報」として抽出しているといえ、これを代替するための新しい代替情報(「CM10万」)を「追加クリップサーバ装置3」にオンデマンド取り込み要求していることに他ならない。

したがって、「再編成検討部15」は、補正後発明でいう『前記記録情報の中から予め定められた条件を満足する抽出情報を抽出するための抽出手段』に相当する手段を具備するものといえる(これは、「CM1224」についての処理からいえたのと同様である。)とともに、
補正後発明でいう『前記情報提供装置(追加クリップサーバ装置3)と前記抽出手段とに接続され、抽出手段により抽出された抽出情報を代替するための新しい代替情報を前記情報提供装置に要求するための要求手段』に相当する手段をも具備するものといえる。
もっとも、上記抽出条件は、ユーザの収入に関する条件であって「時間に関する条件」ではない。
この具体例では、コンテンツクリップ「CM1224」も「CM00万」も、その属性として「入替え促進」が付与されていることで、再生時に所定条件を満足すれば代替クリップで代替される点では同じであるが、
代替クリップの入手先が異なり、「オンデマンドスワップ促進」属性が付与されている後者のみが、追加クリップサーバ装置から要求して取り込むオンデマンド取り込みし、「オンデマンドスワップ促進」属性が付与されていない前者は記録済みクリップから入手するという違いがある。

《(ウ)の処理》
「最終構成部17」において、追加クリップサーバ装置3内の「追加コンテンツクリップ伝送部33」から伝送されて「ダウンロード機能部16」によりダウンロードした追加コンテンツクリップである新しい代替情報「CM10万」を含めて再生順を再編成して構成された最終編成に従って、「コンテンツ再生部18」により最終的に上記(d3-1)の順で再生される。すなわち、「CM00万」は、ダウンロードした新しい代替情報「CM10万」に入れ替えられて再生される。{段落【0035】【0052】【0053】}
また、「追加コンテンツクリップ伝送部33」は、補正後発明でいう「代替情報送信手段」といい得ることは(c)で前記したとおりである。

したがって、「ダウンロード機能部16」と「最終構成部17」と「コンテンツ再生部18」を合わせたものは、補正後発明でいう『前記情報提供装置(追加クリップサーバ装置3)に接続され、前記代替情報送信手段(追加コンテンツクリップ伝送部33)により送信された前記代替情報を受信して、受信した前記代替情報により前記抽出情報を代替して、前記記録情報を再生するための再生手段』に相当する手段を具備するものといえる。

(d3-3) まとめ(d3)
以上、この具体例によれば、先願明細書記載の発明として、「時間に関する条件」との規定については別として、この規定以外の上記「構成3」を具備するものを認めることができる。

(d4)「時間に関する条件」
先願明細書記載の発明として、予め定められた「時間に関する条件」を満足する抽出情報についても、その代替情報を要求して受信する発明を認定することができるか否かについて、そのような発明を認定することはできないとする請求人の主張も含め、以下に検討する。

請求人は、「先願明細書には、ダウンロードされるのは、有効期限に基づいて判断された情報ではなく、所得額に基づいてダウンロードされる情報であるとしか記載されていません。
先願明細書には、1)有効期限の切れたCMは視聴させない、2)所得額に応じたCMを視聴させるという技術思想は記載されているとしても、情報(広告情報)の有効期限が切れている場合には新しい代替情報を、番組編成に沿って視聴させるという技術思想が記載されていません。」と主張する。

確かに、上記「具体例」は、記録情報の中から予め定められた時間に関する条件を満足する抽出情報(すなわち、記録情報の中から予め定められた時間に関する条件を満足するものとして特定された特定の記録情報)を抽出すること、および、抽出情報を受信済みの代替情報により代替することを明示してはいるものの、
予め定められた時間に関する条件を満足する抽出情報について、その代替情報を情報提供装置に要求して受信することを明示的に示すものではない。 また、記録情報の中からユーザの収入に関する条件(予め定められた時間に関する条件ではない)を満足する抽出情報については、その代替情報を情報提供装置に要求して受信した代替情報により代替することを明示してはいるものの、
予め定められた時間に関する条件を満足する抽出情報については、その代替情報を要求して受信することを明示的に示すものではない。

しかしながら、上記「具体例」は、先願発明の実施例としてのコンテンツ再編成の一具体例を示すに過ぎず、先願明細書記載の発明のすべてでないことは言うまでもなく、先願明細書の請求項1,2の特定事項(K1)や他の記載を総合勘案すれば、
先願明細書記載の発明として、予め定められた時間に関する条件を満足する抽出情報についても、その代替情報を要求して受信する発明を認定することができ、「時間に関する条件」との規定を含め、上記「構成3」を具備するものを認めることができる。
以下にその理由を示す。

《理由》
(1)請求項2では、属性データとプロファイルデータの演算結果に基づいてコンテンツデータの順番を入れ替えること(請求項1)に加えて、同じ属性データとプロファイルデータの演算結果に基づいてオンデマンドで追加コンテンツデータを取り込むとしているところ、
その演算として、属性データとしての「期限」とプロファイルデータとして「時刻(タイマーカレンダー情報)」との比較演算が示され、期限切れのコンテンツを期限切れでないコンテンツに差し替えることが示されているのであるから、
一具体例として挙げられた期限切れのコンテンツ差し替えが、たとえ記録済みのコンテンツとの差し替えであるとしても、オンデマンドでの追加コンテンツデータとの差し替えを何ら排除するわけではなく、むしろ、期限切れによる差し替えは、記録済みのコンテンツとの差し替えに限らず、追加コンテンツデータとの差し替えも含むとみるべきである。
付言すれば、「CM1224」を記録済みの「CM0120」に差し替える上記具体例においても、再生日時が1月20日を過ぎれば、適切なCMクリップがなく“不足”することは明白であり、したがって、1月20日以降のことも考えるなら「オンデマンドスワップ促進」属性を付与しておくべきことは極めて普通に想定されることであり、それにより、コンテンツ送出後もそのCM枠の第3者への再販も可能となるという目的{前掲(K4),(K13) 段落【0057】}にも合致することになるのである。
この例を「オンデマンドスワップ促進」としなかったのは、むしろ、「オンデマンドスワップ促進」の典型例を「CM00万」としたため、記録済みの順番入れ替えの典型例とする必要からと考えるべきである。
先願明細書記載の発明として、予め定められた「時間に関する条件」を満足する抽出情報についても、その代替情報を要求して受信する発明を認定し得るものである。

(2)前掲(K14)の段落【0058】には、「このような構成の情報提供システムでは、・・・各属性データと・・・のプロファイルデータの演算により、コンテンツデータの順番を入れ替えた新たな編成を構築することができるので、放送時の編成と再生時の編成を意図的に変更することができ、再生時に視聴者の希望に沿った内容のクリップに差し替えたり、その瞬間に視聴者にアピールしたい内容のクリップに差し替えて再生することができる。」との記載があるところ、
「・・・再生時に視聴者の希望に沿った内容のクリップに差し替えたり、」の部分は、差し替えたクリップ(代替情報)は必ずしも要求して受信するものに限らないが、これに続く「その瞬間に視聴者にアピールしたい内容のクリップに差し替えて再生する」とは、その瞬間、すなわち再生する瞬間に視聴者にアピールしたい内容のクリップに差し替えることをいい、そのようにするためには、その再生する瞬間にアピールしたい内容のクリップは前もって送出できないから、その瞬間に追加コンテンツとして取り込むように動作させる必要があると想定され、
そのように動作させるためには、上記具体例の「CM1224」に付与した様に有効期限(より短い期限が望ましいかもしれないが)と入替え促進の属性のほか、「オンデマンドスワップ促進」属性を付与しておけばよいことは明らかである。
すなわち、有効期限と入替え促進属性に加えて「オンデマンドスワップ促進」属性を付与するような発明も先願明細書は記載しているとみるべきである。
したがって、先願明細書記載の発明として、予め定められた「時間に関する条件」を満足する抽出情報についても、その代替情報を要求して受信する発明を認定し得るものである。

(3)同じ段落【0058】の、上記記載部分に続いて、「また、情報端末装置2側で上記属性データとプロファイルデータの演算結果に基づいて、追加クリップサーバ装置に対して、オンデマンドで追加コンテンツデータを要求し、上記追加コンテンツデータを取り込むことができるので、再生時刻やユーザの生活スタイルなどに合わせてカスタマイズした情報を取り込むことができる。
これにより、放送時には伝えきれない精度の高い情報をユーザに提供することができ、しかも、ユーザは、通常の放送番組を見る場合と差異がなく、違和感なく番組を楽しむことができる。」との記載があるところ、
同記載は、「再生時刻」に合わせて追加コンテンツデータを「取り込む」ことを示している。これは、上記(1)と同様、有効期限と入替え促進の属性のほか、「オンデマンドスワップ促進」属性を付与しておくことでなされることも明らかであり、
このことからみても、先願明細書記載の発明として、予め定められた「時間に関する条件」を満足する抽出情報についても、その代替情報を要求して受信する発明を認定し得るものである。

(4)上記に続く段落【0059】には、「すなわち、この情報提供システムでは、例えば、タイマーカレンダー情報をプロファイルに反映させ、期限切れのCMを差し替えることができる。・・・(中略)・・・また、タイマーカレンダー情報をプロファイルに反映させ、桜前線を追いかけた結果から案内する地域を差し替える花見旅行番組や、例えば、3月には補助素材部分が九州の案内だったが4月には東北の案内に指し変わるような旅行案内番組を送出することができる。」との記載があるところ、
桜前線の移動日時は、前もって確定できないから、タイマーカレンダー情報を利用して、入替え促進、オンデマンドスワップ促進の属性を付与して送出しておいて、これを実際の再生日時に合致した地域のコンテンツに差し替えると普通に想定できることからみても、
先願明細書記載の発明として、予め定められた「時間に関する条件」を満足する抽出情報についても、その代替情報を要求して受信する発明を認定し得るものである。

(d5) まとめ(d)
以上によれば、先願明細書記載の発明として、上記「構成3」を具備するものを認めることができる。

(e)結論(補正後発明との対比、同一性結論)
上記(a)?(d)によれば、先願明細書記載の発明として、補正後発明の上記「構成1」、「構成2」、「構成3」の全てを具備するものを認めることができる。
したがって、先願明細書には補正後発明と同一の発明が記載されている。

[2-3-4]まとめ
以上、補正後発明は先願明細書に記載された発明と同一である。
また、上記先願が本願出願日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされたもの(とみなされたもの)であること、先願明細書に記載された発明をした者が補正後発明の発明者と同一の者ではないこと、本願出願時にその出願人と上記先願の出願人とが同一の者ではないこと、以上は明らかである。

[2-3-5]むすび(独立特許要件)
以上、本件補正後の請求項6に係る発明は、上記先願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

[2-3-6]むすび(決定)
以上、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

【第3】本願発明
平成17年7月7日付けの手続補正は上記のとおり却下する。
本願の請求項1から請求項13までに係る発明は、本願明細書及び図面(平成17年4月25日付け手続補正書により補正された明細書及び図面)の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1から請求項13までに記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち、請求項6に係る発明(以下、本願発明ともいう)は、下記のとおりである。

記《本願発明》
【請求項6】
予め記録された記録情報を再生する情報再生装置と、前記情報再生装置に接続され前記情報再生装置に情報を提供する情報提供装置とを含む情報再生システムに用いられる情報再生装置であって、
前記情報提供装置は、前記情報再生装置に代替情報を送信するための代替情報送信手段を含み、
前記情報再生装置は、
前記記録情報の中から予め定められた時間に関する条件を満足する抽出情報を抽出するための抽出手段と、
前記情報提供装置と前記抽出手段とに接続され、前記抽出手段により抽出された抽出情報を代替するための代替情報を前記情報提供装置に要求するための要求手段と、
前記情報提供装置に接続され、前記代替情報送信手段により送信された前記代替情報を受信して、受信した前記代替情報により前記抽出情報を代替して、前記記録情報を再生するための再生手段とを含む、情報再生装置。

【第4】査定の検討

[1]先願明細書の記載
原査定の拒絶の理由に引用された,上記先願と同じ出願である、本願の出願の日前の他の出願であって、当該他の出願を基礎とする優先権主張を伴う特願2000-269033号についての出願公開(特開2001-292115号公報、平成13年10月19日)がされた時に、出願公開がされたものとみなされた特願2000-27408号(出願日:2000年1月31日,以下「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書及び図面(同じく「先願明細書」という。)には、前記「【第2】[2-3-2]」に記載したとおりの記載がある。

[2]本願発明と先願明細書記載発明との対比
本願発明は、【第2】で検討した上記補正後発明の構成の一部である、
「前記抽出手段により抽出された抽出情報を代替するための新しい代替情報を前記情報提供装置に要求するための要求手段」を、
「前記抽出手段により抽出された抽出情報を代替するための代替情報を前記情報提供装置に要求するための要求手段」としたものであり、上記補正後発明の構成から下線部「新しい」を削除したものに相当する。
したがって、前記「【第2】[2-3-3]」の(a)?(e)でした、補正後発明と先願明細書記載の発明との対比を、そのまま援用する。
上記対比によれば、先願明細書には本願発明と同一の発明が記載されている。

[3]まとめ
本願発明は先願明細書に記載された発明と同一である。
また、上記先願が本願出願日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされたもの(とみなされたもの)であること、先願明細書に記載された発明をした者が本願発明の発明者と同一の者ではないこと、本願出願時にその出願人と上記先願の出願人とが同一の者ではないこと、以上は明らかである。

【第5】むすび
以上、本願の請求項6に係る発明は、上記先願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
したがって、残る請求項1?請求項5,請求項7?請求項13までに係る各発明について特に検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-11 
結審通知日 2008-01-22 
審決日 2008-02-05 
出願番号 特願2000-178291(P2000-178291)
審決分類 P 1 8・ 161- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩井 健二  
特許庁審判長 乾 雅浩
特許庁審判官 奥村 元宏
益戸 宏
発明の名称 情報再生システム、そのシステムに用いる情報再生装置および情報提供装置  
代理人 野田 久登  
代理人 深見 久郎  
代理人 仲村 義平  
代理人 堀井 豊  
代理人 酒井 將行  
代理人 森田 俊雄  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ