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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61J |
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管理番号 | 1175009 |
審判番号 | 不服2005-23527 |
総通号数 | 101 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-05-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-12-07 |
確定日 | 2008-03-21 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第276593号「放射性医薬品用容器およびこの容器を用いた放射性医薬品製剤」拒絶査定不服審判事件〔平成11年4月13日出願公開、特開平11-99192号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成9年9月25日の出願であって、平成17年10月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 2.本願発明 本願の請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成16年11月1日付けの手続補正により補正された明細書の、特許請求の範囲の請求項3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「ガラス容器の内表面をシリカを被覆した医薬品用容器に、ガラスへの吸着性が高い放射性物質を充填することを特徴とする放射性物質の吸着防止方法。」 3.引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、特開平2-175630号公報(以下、「引用例」という)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「・・・(略)・・・従来から使用されている方式では、形成される霧滴粒径の問題もあり形成されたSiO_(2)膜はピンホールが存在し、医療品用途例えば薬液を入れるアンプル、バイアルビンの内面コーティングでは満足の行く性能を待ったSiO_(2)膜を得る事は出来ない状態であった。」(第2ページ左下欄第16行?右上欄第1行)) イ.「混合気体中の上記シリルテトライソシアネートはアンプル20内部に送られてその表面に接触して分解し、そこにシリカ薄膜を形成し、かくしてアンプル20のガラス生地からのアルカリ等の溶出防止を図ることができるのである。」(第3ページ右下欄第5?9行) 上記イの記載から、アンプル20がガラス容器であるものと認められる。 これら記載事項及び図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されている。 「ガラス容器の内部の表面にシリカ薄膜を形成したアンプル20に、薬液を入れ、ガラス生地からのアルカリ等の溶出を防止する方法。」 4.対比 本願発明と引用発明とを対比すると、その構造または機能からみて、引用発明の「内部の表面」は、本願発明の「内表面」に相当し、同様に、「アンプル20」は「医薬品用容器」に相当する。 引用発明の「内部の表面にシリカ薄膜を形成した」と本願発明の「内表面をシリカを被覆した」とは同義である。 また、引用発明の「薬液を入れ」と、本願発明の「ガラスへの吸着性が高い放射性物質を充填する」とは、医療用の物質を充填するという点で共通している。 そこで、本願発明の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。 (一致点) 「ガラス容器の内表面をシリカを被覆した医薬品用容器に、医療用の物質を充填する方法。」 そして、両者は次の相違点で相違する。 (相違点) 本願発明は、充填する医療用の物質がガラスへの吸着性が高い放射性物質であり、方法が放射性物質の吸着防止方法であるのに対し、引用発明は、充填する医療用の物質がガラスへの吸着性が高い放射性物質であるか不明であり、方法がガラス生地からのアルカリ等の溶出を防止する方法である点。 5.相違点の判断 上記相違点について検討する。 例えば、特開平8-238297号公報(段落【0005】等参照)でも示されているように、医療用容器において、ガラス容器に201Tl等の放射性物質を入れると、放射性物質がガラスの表面に付着しやすいことは、本願出願前において解決すべき周知の課題であり、また、例えば、同公報や、「杉原正泰編著,医薬品包装の使用性とその評価,講談社,1990年6月1日第1刷発行,第132ページ」等に示されるように、入れた医療用の物質の付着を防ぐために、ガラス容器の内表面をコーティングすることは、本願出願前の周知技術であることを考慮すると、引用発明における内表面にシリカを被覆したアンプル20(医薬品用容器)に、放射性物質を入れ、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願発明による効果も、引用発明及び上記周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。 6.むすび したがって、本願発明は、引用発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-01-07 |
結審通知日 | 2008-01-15 |
審決日 | 2008-01-28 |
出願番号 | 特願平9-276593 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61J)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田中 玲子 |
特許庁審判長 |
阿部 寛 |
特許庁審判官 |
蓮井 雅之 八木 誠 |
発明の名称 | 放射性医薬品用容器およびこの容器を用いた放射性医薬品製剤 |
代理人 | 小野 信夫 |