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審決分類 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G03G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G03G
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G03G
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G03G
管理番号 1175012
審判番号 不服2005-24250  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-12-15 
確定日 2008-03-21 
事件の表示 平成10年特許願第247727号「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 3月 3日出願公開、特開2000- 68657〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は平成10年8月19日の出願であって、平成17年8月11日付けの拒絶理由通知に対して同年10月24日付けで手続補正がされたが、同年11月11日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年12月15日付けで審判請求がされると共に、平成18年1月16日付けで手続補正がされたものである。


第2.平成18年1月16日付けの手続補正についての補正却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
平成18年1月16日付けの手続補正(以下「本件補正」という)を却下する。

〔理由〕
2-1.本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするもので、特許請求の範囲については、平成17年10月24日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲を以下のとおりに補正しようとする補正事項を含む。
なお、補正前の請求項4には「?画像読取装置。」と記載されているが、「?画像形成装置。」の誤記と認める。

<補正前>
【請求項1】
本体フレームと、前記本体フレームとは別体のフレームから構成されるフレームにおいて、
前記別体のフレームに、複数のユニットを位置決めして搭載可能であり、かつ、複数のユニットのうち、1つのユニットが別のユニットに光を照射することを特徴とするフレーム。
【請求項2】
本体フレームと、前記本体フレームとは別体のフレームから構成されるフレームにおいて、
前記別体のフレームに、複数のユニットを位置決めして搭載可能であり、かつ、複数のユニットのうち、1つのユニットが別のユニットに画像を転写することを特徴とするフレーム。
【請求項3】
請求項1または2記載のフレームにおいて、
前記別体のフレームは吊設された側板を有し、前記側板に別のユニットを位置決めできることを特徴とするフレーム。
【請求項4】
接地面を有する本体フレームと、この本体フレームに設けられた、該本体フレームとは別構造体の位置決め用フレームを有する画像形成装置であって、
前記位置決め用フレームは、前ステー、後ステ?、右ステ?及び左ステーを有し、
前記前ステ?は前側板を、後ステーは後側板をそれぞれ有し、
前記前側板、後側板間に作像ユニットを、前記位置決め用フレームに書込みユニットを設けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、前記位置決め用フレームに中間転写体とレジストローラを設けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記位置決め用フレームに読み込みユニットを設けることを特徴とする画像形成装置。

<補正後>
【請求項1】
本体フレームと、前記本体フレームとは別体のフレームから構成される画像形成装置において、
前記別体のフレームに、書込ユニットと感光体を位置決めして搭載可能であり、かつ、前記書込ユニットが感光体に光を照射することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、前記別体のフレームに、中間転写体を位置決めして搭載可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置において、
前記別体のフレームは吊設された側板を有し、前記側板に感光体、中間転写体及びレジストローラが位置決めして設けられていることを特徴とする画像形成装置。

2-2.補正の目的
補正前の特許請求の範囲には、請求項1ないし請求項3に「フレーム」の発明が記載され、また、請求項4ないし請求項6に「画像形成装置」の発明が記載されていた。そして、上記補正後の請求項1ないし請求項3に係る発明は「画像形成装置」の発明であるから、本件補正は補正前の請求項1ないし請求項3を削除し、補正前の請求項4を補正して請求項1としたものである。
しかし、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項4に係る発明から本体フレームに関して「接地面を有する」という特定事項、また、位置決めフレームに関して「前ステー、後ステ?、右ステ?及び左ステーを有し、前記前ステ?は前側板を、後ステーは後側板をそれぞれ有し、」といった特定事項を削除しており、補正は請求項の限定的減縮を目的としたものではない。

また、本件補正による請求項1についての補正が、補正前の請求項1を補正したものとしても、補正後の請求項1に係る発明は「画像形成装置」の発明であり、一方、補正前の請求項1に係る発明は「フレーム」の発明である。「画像形成装置」と「フレーム」とが異なる物品であることは明らかであり、また、両者の間には上位概念、下位概念といった関係はないから、請求項に記載された他の構成を減縮する補正の有無とは関係なく、「フレーム」の発明を「画像形成装置」の発明とする補正は請求項の限定的減縮を目的としたものではない。

したがって、本件補正による請求項1についての補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当せず、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に該当しない。また、上記請求項1についての補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とする補正にも該当せず、同法第17条の2第4項第1号、第3号、及び第4号に該当しない。

2-3.補正却下のむすび
以上のとおり、本件補正は平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法159条第1項において読み替えて準用する同法53条第1項の規定により、却下されるべきものである。


第3.本願発明
3-1.本願発明について
平成18年1月16日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし請求項3に係る発明は平成17年10月24日付けで提出された手続補正書により補正されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明は以下のとおりである。(以下、「本願発明1」という。)

「 【請求項1】
本体フレームと、前記本体フレームとは別体のフレームから構成されるフレームにおいて、
前記別体のフレームに、複数のユニットを位置決めして搭載可能であり、かつ、複数のユニットのうち、1つのユニットが別のユニットに光を照射することを特徴とするフレーム。」

なお、上記請求項1の記載では「別のユニット」が「別体のフレーム」に位置決めされているのか必ずしも明確にされていない(「複数のユニット」に「別のユニット」が含まれていることが明確にされていない)が、発明の詳細な説明の記載や、審判請求人の審判請求書における主張を参酌すると、「別のユニット」は「複数のユニット」の一つであって、「1つのユニット」と「別のユニット」は共に「別体のフレーム」に位置決めされているものと認め、検討を進める。

3-2.引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開昭62-65051号公報には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与。)

a)「1 底板の上面に前フレームおよび後フレームが垂直に設けられ、前フレームおよび後フレームに光学系を内蔵するための光学系フレームが取り付けられる複写機のフレームにおいて、
前記前フレームおよび後フレームのそれぞれの下端に、切断面と、その下端面がこの切断面より上方に位置する折り曲げ片とを形成し、
前記前フレームおよび後フレームの前記切断面が前記底板の上面に当接するようにしたことを特徴とする、複写機のフレーム。」(特許請求の範囲第1項)

b)「4 前記光学系フレームと前記前フレームおよび後フレームとの対応する位置にそれぞれ形成されるピン孔、および
前記ピン孔に嵌め込まれるピンを備える、特許請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに記載の複写機のフレーム。」(特許請求の範囲第4項)

c)「(産業上の利用分野)
この発明は複写機のフレームに関し、特に底板の上に前フレームや後フレームを組み立て、これら前フレームおよび後フレームに光学系フレームを取り付けた、複写機のフレームに関する。」(第2頁左上欄第13?17行)

d)「(実施例)
第1図はこの発明の一実施例を示す斜視図である。複写機のフレーム10は、平面はぼ矩形の底板12を含み、この底板12の上面には、後フレーム14と、協働して前フレームを構成する前右フレーム16および前左フレーム18とが、はぼ垂直に組み立てられる。そして、これら各フレーム14,16および18の上端には、その内部に電子複写機の光学系たとえば光源やミラーなどを保持するための光学系フレーム20が取り付けられる。この光学系フレーム20は4つのフレーム部材22,24,26および28によって構成される。
このような複写機のフレーム10は、第2図に示す電子複写機のハウジング内に固定的に収納され、それによって、第2図の点線で示す感光体ドラム34や種々の構成部品を位置決めしかつ支持する。
複写機においては、感光体ドラム34と光学系とは非常に精度よく組み立てられなければならない。なぜなら、それらの相対的位置関係がずれると、得られる複写画像にぶれやずれあるいは歪みなどが生じるからである。そのために、特に光学系フレーム20の高さ方向の精度および横方向の精度が非常に重要になるのである。この実施例では、光学系フレーム20の高さ方向は、主として、各フレーム14,16および18と底板12との当接部ないし嵌合部30の切断面と底板の上面との突き合わせによって位置決めし、光学系フレーム20の横方向の位置決めは、主として、ピン取り付け板32に設けられたピンとこのピンが挿通されるピン孔とによって達成する。」(第3頁左上欄第1行?右上欄第12行)

e)「 第5図に示すようにして各フレーム14,16および18を底板12上に組み立てた後、第6図に示す光学系フレーム20が、第1図に示すように、各フレーム14?18に取り付けられる。」(第4頁右上欄第18行?左下欄第1行)

f)「 このように、後フレーム14,前右フレーム16および前左フレーム18と光学系フレーム20とをピン孔とピンとによって位置決めするようにすれば、ピンによって各フレーム14?18と光学系フレーム20とを仮固定することができる。
また、ピンの外径D2とピン孔の内径D1および高さHとのクリアランスを最小に設定することによって、光学系フレーム20を極めて精度よく位置決めすることができる。」(第5頁右上欄第19行?左下欄第7行)

g)上記d)に摘記した内容、及び第2図によると、感光体ドラム34と光学系との相対的位置関係を精度よくするために、底板12に対するフレーム14,16および18の取り付けや、フレーム14,16および18に対する光学系フレーム20の取り付けを工夫しているのであるから、感光体ドラム34は光学系フレーム20に取り付けられているのではなく、底板12、フレーム14,16または18のいずれかを基準にして取り付けられていることが理解できる。

h)引用文献1には、電子複写機の感光体ドラム34周りの構成については明記されていないが、感光体ドラム34の周りには帯電手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段等の種々の構成部品が感光体ドラム34に対して位置決めされていることは当業者にとって明らかなことである。

上記引用文献1に記載された事項及び図面の記載を勘案すると、引用文献1には複写機のフレームの発明として、次の発明が記載されている。
「底板12、後フレーム14、前右フレーム16、および前左フレーム18とを組み立てたフレームに、光学系フレーム20を取り付けた複写機のフレーム10であって、底板12、後フレーム14、前右フレーム16、または前左フレーム18のいずれかに感光体ドラム34を位置決めし、光学系フレーム20に光源やミラーなどの光学系を位置決めした複写機のフレーム10。」

3-3.本願発明1と引用文献1に記載された発明の対比
本願発明1と引用文献1に記載された発明を対比すると、引用文献1に記載された発明の「底板12、後フレーム14、前右フレーム16、および前左フレーム18とを組み立てたフレーム」は複写機のフレームを構成する主たるフレームであるから、本願発明1の「本体フレーム」に相当する。
引用文献1に記載された発明の「光学系フレーム20」は、「底板12、後フレーム14、前右フレーム16、および前左フレーム18とを組み立てたフレーム」を組み立てた後に取り付けられ(上記摘記事項e)、ピンによって各フレーム14?18と位置決めされるものであるから(上記摘記事項f)、「底板12、後フレーム14、前右フレーム16、および前左フレーム18とを組み立てたフレーム」とは別体のフレームといえる。そうすると、引用文献1に記載された発明の「光学系フレーム20」は、本願発明1の「別体のフレーム」に相当する。
引用文献1に記載された発明の「光源やミラーなどの光学系」は、本願発明1の「ユニット」に相当する。
引用文献1に記載された発明の「感光体ドラム34」は、複写機における一つのユニットといえ、「光源やミラーなどの光学系」から光を照射されるものであるから、本願発明1の「別のユニット」に相当する。

そうすると、本願発明1と引用発明1とは、次の点で一致する。
<一致点>
「本体フレームと、前記本体フレームとは別体のフレームから構成されるフレームにおいて、前記別体のフレームに、ユニットを位置決めして搭載可能であり、かつ、該ユニットが別のユニットに光を照射することを特徴とするフレーム。」

一方で両者は次の点で相違する。
<相違点>
本願発明1は、別体のフレームに光を照射する「1つのユニット」と光が照射される「別のユニット」とを位置決めして搭載可能であるのに対し、引用文献1に記載された発明は、別体のフレーム(光学系フレーム20)に光を照射する1つのユニット(光源やミラーなどの光学系)を位置決めして搭載可能であるが、光が照射されるユニット(感光体ドラム34)は搭載してなく、該光が照射されるユニットは本体フレームに位置決めされている点。

3-4.当審の判断
電子写真装置の分野において、感光体と該感光体に光を照射する光学ユニットとを1つの支持部材(フレーム)に支持し、両者間の位置決めの精度を良くすることは、実願平1-7212号(実開平2-100260号)のマイクロフィルム、特開平10-213952号公報、及び特開昭54-7346号公報等に記載されているように周知である。
引用文献1に記載された発明も、光学系である「1つのユニット」と、感光体である「別のユニット」との相対的位置関係を問題としているのであるから、「1つのユニット」と「別のユニット」とを同じ「別体のフレーム」に位置決め搭載することによって、「1つのユニット」と「別のユニット」との相対的位置関係を更に良くすることは当業者であれば容易になし得ることである。
なお、引用文献1に記載された発明は、上記a)及びb)等に摘記した構成により、感光体ドラム34と光学系との相対的位置関係の問題を一応解決しているから、更に周知技術を採用することは阻害要因があるようにみえるかもしれない。しかしながら、上記h)に指摘したとおり、感光体との位置決めが必要な部材は光学系だけではないから、感光体と光学系とを共通のフレームに位置決めすれば、上記a)及びb)等に摘記した構成は感光体と光学系以外の部材との位置決めに貢献する。したがって、引用文献1に記載された発明に周知技術を採用することに阻害要因はない。

そして、相違点1に係る構成としたことによる作用効果は、引用文献1に記載された発明に周知技術を適用することにより、当業者が容易に予測できる範囲内のものであって、本願発明1が格別の作用効果を有するものではない。
したがって、本願発明1は引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-5.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-17 
結審通知日 2008-01-22 
審決日 2008-02-04 
出願番号 特願平10-247727
審決分類 P 1 8・ 573- Z (G03G)
P 1 8・ 572- Z (G03G)
P 1 8・ 121- Z (G03G)
P 1 8・ 571- Z (G03G)
P 1 8・ 574- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鳥居 稔  
特許庁審判長 山下 喜代治
特許庁審判官 小宮山 文男
下村 輝秋
発明の名称 画像形成装置  
代理人 樺山 亨  
代理人 本多 章悟  

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