• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1175128
審判番号 不服2005-3011  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-21 
確定日 2008-03-19 
事件の表示 特願2001-341011「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月13日出願公開、特開2003-135754〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成13年11月6日の出願であって、平成17年1月18日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年2月21日付けで本件審判請求がされるとともに、同年3月22日付けで明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成17年3月22日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正事項及び補正目的
本件補正は特許請求の範囲を補正するものであり、請求人は「請求項1に関する補正は、基本的には、元に請求項1に元の請求項2を加味」及び「元の請求項3?5の発明を削除」と主張しており、当審も本件補正後の請求項1,2は補正前の請求項1,6に対応するものと認める。
そして、本件補正前後の請求項1を比較すると、
「同種の文字からなる表示態様の異なる複数の文字列」を「同種の文字からなる表示態様の異なる3以上の複数の文字列」と補正(以下「補正事項1」という。)し、「選択手段(64)」について「前記抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当りの場合、この選択手段(64)で小さい表示サイズの文字列を選択する選択率よりも大きい表示サイズの文字列を選択する選択率を高くするように構成した」を「前記選択手段(64)は、前記抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当りの場合、表示文字サイズが大きい文字列ほど乱数抽選によって選択する選択率を大きくするように構成されると共に、前記抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当り以外の外れの場合、表示文字サイズが小さい文字列ほど乱数抽選によって選択する選択率を小さくするように構成された」と補正(以下「補正事項2」という。)する。
補正事項1が特許請求の範囲の減縮(平成18年改正前特許法17条の2第4項2号該当)を目的とすることは明らかである。
補正事項2にについては、「抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当りの場合」についての文言が補正前後で若干異なるけれども、実質的には「抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当り以外の外れの場合」についての限定を加えることにより「選択手段(64)」を限定したものといえるから、これも特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)については、特許出願の際独立して特許を受けることができるかどうかも検討しなければならない。

2.補正事項1について
「同種の文字からなる表示態様の異なる3以上の複数の文字列」の意味するところは著しく不明確である。まず、「同種の文字からなる」が何を修飾するかであるが、直後の「表示態様」とすると日本語としてあまりにも不可解となる。可能性があるのは「文字列」を修飾するか、又は「表示態様の異なる3以上の複数の文字列」全体を修飾するかである。前者であれば、個々の文字列を構成する文字が同種であればよく、異なる文字列を構成する文字は異種であってもよいが、後者であれば、文字列全体を構成する文字が、複数の文字列に対して同種でなければならない。
次に、「3以上の複数の文字列」については、数を表す修飾語が2つ並んでいることから、文言どおり解釈すれば「複数の文字列」が「3以上」存することになるが、そのようなことは願書に最初に添付した明細書(以下、添付図面を含めて「当初明細書」という。)に記載されていないし、自明の事項でもない。「3以上の複数の」が単に「3以上」という意味ならば、当初明細書の段落【0049】、【0052】(請求人が補正根拠として主張する段落である。)に、異なる表示態様を「文字列の表示サイズ」のみとして、それを小、中、大の3通りとすることが記載されていることは認める。
しかし、本件補正後の請求項1においては、「前記表示態様変化手段(65)は、文字列の表示サイズを拡大又は縮小させて表示態様を変化させる機能を有し」とあるから、異なる表示態様の1つとして異なる「文字列の表示サイズ」が含まれることは認めることができるものの、それ以外の異なる表示態様を排除するものではなく、そのような場合にまで「3以上」とすることが当初明細書に記載されていると認めることはできない。そもそも、当初明細書には「3以上」との文言記載はない。
そればかりか、異なる表示態様を異なる「文字列の表示サイズ」に限定した場合でも、小、中、大の3通りとすることが当初明細書に記載されているにとどまり、「3以上」との技術思想が記載されているとまでは認めることができない。
以上のとおりであるから、補正事項1は当初明細書の記載の範囲内ではなく、それから自明な事項でもなく(特許法17条の2第3項違反)、かつ補正事項1が原因となって、補正後の請求項1の記載は著しく不明確となっており特許法36条6項1号及び2号に規定する要件を満たさない(その結果、補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない。)。

3.補正事項2について
ここで問題とするのは「抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当り以外の外れの場合、表示文字サイズが小さい文字列ほど乱数抽選によって選択する選択率を小さくするように構成された」との事項である。
当初明細書には「「リーチ有り外れ」判定時において、・・・文字情報として、小、中、大のサイズ「りーち」が夫々選択される選択率は、40%、8%、2%である。」(段落【0053】)との記載があり、同記載によれば、補正事項2とは逆に、「抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当り以外の外れの場合、表示文字サイズが小さい文字列ほど乱数抽選によって選択する選択率を高くするように構成され」ていることになるから、補正事項2は当初明細書に記載されておらず、自明の事項でもない。これを明細書の記載要件としてみれば、補正発明が発明の詳細な説明に記載されていない(本件補正により、本件補正後の請求項1と実質的に同一の文言が段落【0008】に記載されることとなったが、同一文言の記載があるだけでは、サポート要件としては不十分である。)こととなり、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。
もっとも、補正事項2は「・・・「抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当り以外の外れの場合、表示文字サイズが小さい文字列ほど乱数抽選によって選択する選択率を大きくするように構成された」の誤記である可能性が高いから、なお検討をすすめる。上記のとおり誤記であるとすると、本件補正後の請求項1の記載は著しく不明確であり、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
請求人は、誤記に起因する記載不備により補正却下することは杓子定規にすぎると主張するかもしれないが、審判請求時の補正は例外を除けば、出願人(請求人)が自発的に補正できる最後の機会であるのだから、補正にあたっては万全を尽くし、このような誤記があってはならないのは当然のことである。
加えて、請求人は「文章の移動、複写や削除を介して行い、発明の内容に影響を及ぼすような文章の追加はしておりません」と主張しているところ、本件補正前の請求項1は「・・・前記抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当りの場合、この選択手段(64)で小さい表示サイズの文字列を選択する選択率よりも大きい表示サイズの文字列を選択する選択率を高くするように構成した、・・・」との構文になっており、同じく請求項2は「前記抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当り以外の外れの場合、前記選択手段(64)で大きい表示サイズの文字列を選択する選択率よりも小さい表示サイズの文字列を選択する選択率を高くするように構成したことを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。」となっているのだから、文章の移動、複写や削除を介して行えば、自然と「・・・前記抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当りの場合、この選択手段(64)で小さい表示サイズの文字列を選択する選択率よりも大きい表示サイズの文字列を選択する選択率を高くするように構成すると共に、前記抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当り以外の外れの場合、前記選択手段(64)で大きい表示サイズの文字列を選択する選択率よりも小さい表示サイズの文字列を選択する選択率を高くするように構成した・・・」との構文になり、誤記となる可能性などないのであるから、誤記の原因は請求人の重大な過失にあるというよりない。
以上のとおりであるから、補正事項2については、当初明細書に記載されておらず、自明の事項でもない(特許法17条の2第3項違反)か、又は補正事項2が原因となって請求項1の記載が特許法36条6項1号及び2号に規定する要件を満たさない(その結果、補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない。)。

4.進歩性欠如に基づく独立特許要件欠如
(1)補正発明の認定
補正発明は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定されるものであるが、補正事項2が上記のとおり誤記であるとすると、補正発明を次のように認定しなければならない(誤記でなければ、問題なく新規事項追加の理由により却下される。)。また、「3以上の複数の」が「3以上の」と異なる意味であるとすると、この場合も問題なく本件補正は却下されるから、「3以上の」の意味であると解する。
「複数の遊技図柄を変動表示する図柄表示手段(23a,23b,23c,61)と、この図柄表示手段(23a,23b,23c,61)で表示される遊技図柄の変動後の停止図柄態様を特定態様にする大当りか否か抽選判定する抽選判定手段(51,52) と、前記特定態様が成立した場合に遊技者に有利な利益状態を発生させる利益状態発生手段(53)とを備えた弾球遊技機において、
所定の遊技状態において同種の文字からなる表示態様の異なる3以上の文字列の何れかを表示可能な文字情報表示手段(23f,63)を設け、
この文字情報表示手段(23f,63)は、前記文字情報表示手段(23f,63)に表示される文字列の表示態様を変化させる表示態様変化手段(65)を備え、
前記表示態様変化手段(65)は、文字列の表示サイズを拡大又は縮小させて表示態様を変化させる機能を有し、
前記抽選判定手段(51,52) の判定結果を加味して、乱数抽選にて複数の文字列の何れかを選択可能な選択手段(64)を設け、
前記選択手段(64)は、前記抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当りの場合、表示文字サイズが大きい文字列ほど乱数抽選によって選択する選択率を大きくするように構成されると共に、前記抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当り以外の外れの場合、表示文字サイズが小さい文字列ほど乱数抽選によって選択する選択率を大きくするように構成された、
ことを特徴とする弾球遊技機。」

(2)引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-178904号公報(以下「引用例」という。)には、以下のア?オの記載が図示とともにある。
ア.「遊技盤面上に発射された遊技球が特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過するタイミングに起因して抽出される乱数値に従って遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する主制御装置と、
該主制御装置により遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する毎に、画面上の画像を変動表示し、遊技者に有利なゲーム内容であるか否かを示す画像で停止表示するよう制御する画像制御装置と、
を含む遊技機であって、
前記主制御装置に前記画像制御装置へ一方向で情報を送信する情報送信手段を備え、
前記画像制御装置に前記情報送信手段により送信される情報に従い選択又は作成される情報を用いて、所定の確率で遊技者に有利なゲーム内容となる可能性を示す保留予告手段を備えたことを特徴とする遊技機。」(【請求項1】)
イ.「【従来の技術】一般的に知られているパチンコ遊技機は、弾球遊技機の状態に応じて時期を異ならせ、・・・」(段落【0002】)
ウ.「情報送信手段とは、遊技球が特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過したとき、少なくとも保留された画像の変動表示の存在を示すための情報を送信する手段であり、入賞又は通過に基づき抽出される乱数値(大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数及び変動パターン決定用乱数等)又は該乱数値に従って選択又は作成する情報(変動パターン及び各停止図柄等)を同時に送信しても何等差し支えない。」(段落【0008】)
エ.「保留予告手段とは、画像(数字、文字、記号、絵、キャラクタ等)又はLED等の発光部材(フルカラーLED等の多色発光部材も含む)を用いて示しても良く、情報記憶手段の記憶に対して所定の確率で遊技者にリーチ又は大当りとなる予告を判別できる状態で示す手段であれば何等差し支えない。また、画像で表示する際には画像の表示態様の変化によって区別し、LED等の単色発光部材で示す際には点滅スピードの変化によって区別し、フルカラーLED等の多色発光部材で示す際には点滅スピードの変化に加えて発光色の変化により区別しても何等差し支えない。」(段落【0009】)
オ.「図5、図6、図7及び図8を用いて、保留予告を行う際の好適な例を示し、各々について説明する。図5に示す例は、LCDパネルユニット32aの画面上に保留表示領域51、保留予告表示領域52及び特別図柄表示領域53が設けてある。・・・保留予告表示領域52は、前記保留表示領域51の保留表示部51a?51dに対応した保留予告表示部52a?52dを含み、各々保留情報記憶ブロックに記憶された情報を処理した結果により、リーチ及び大当り予告を表示する領域であり、予告は画像(数字、文字、記号、絵、キャラクタ等)を用いて示しても良く、画像の表示態様の変化によって遊技者に有利なゲーム内容となる可能性を複数段階に区別しても良い。特別図柄表示領域53は、左、中及び右の各画像を表示する特別図柄表示部53a?53cを含み、数字、文字、絵等のキャラクタを表示し、画像の変動表示又は静止表示を表示する領域である。」(段落【0024】)

(3)引用例記載の発明の認定
記載ア?オを含む引用例の全記載及び図示によれば、引用例には次のような発明が記載されていると認めることができる。
「遊技盤面上に発射された遊技球が特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過するタイミングに起因して抽出される乱数値に従って遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する主制御装置と、LCDパネルユニットと画像制御装置とを含む弾球遊技機であって、
前記LCDパネルユニットは、保留表示領域、保留予告表示領域及び特別図柄表示領域を有し、
前記特別図柄表示領域は、左、中及び右の各画像を表示する特別図柄表示部を含み、数字、文字、絵等のキャラクタを表示し、画像の変動表示又は静止表示を表示するものであり、
前記画像制御装置は、前記主制御装置により遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する毎に、前記特別図柄表示領域の画像を変動表示し、遊技者に有利なゲーム内容であるか否かを示す画像で停止表示するよう制御するとともに、前記主制御装置から送信される情報に従い選択又は作成される情報を用いて、所定の確率で前記保留予告表示領域に、数字・文字等の画像の表示態様の変化によって遊技者に有利なゲーム内容となる可能性を複数段階に区別して示す保留予告手段を備えた弾球遊技機。」(以下「引用発明」という。)

(4)補正発明と引用発明の一致点及び相違点の認定
引用発明の「特別図柄表示領域」(厳密には、これに「画像制御装置」のうち「特別図柄表示領域の画像を変動表示」を司る制御部を加えたもの)は、補正発明の「複数の遊技図柄を変動表示する図柄表示手段(23a,23b,23c,61)」に相当する。
引用発明の「主制御装置」は「抽出される乱数値に従って遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定」し、その決定毎に「画像制御装置」が「遊技者に有利なゲーム内容であるか否かを示す画像で停止表示するよう制御する」のであるから、補正発明の「図柄表示手段(23a,23b,23c,61)で表示される遊技図柄の変動後の停止図柄態様を特定態様にする大当りか否か抽選判定する抽選判定手段(51,52) 」に相当する。引用発明が「前記特定態様が成立した場合に遊技者に有利な利益状態を発生させる利益状態発生手段(53)」を備えることは自明である。
引用発明の「保留予告表示領域」(厳密には、これに「画像制御装置」のうち「数字・文字等の画像の表示態様の変化によって遊技者に有利なゲーム内容となる可能性を複数段階に区別して示す」機能を司る制御部を加えたもの)は補正発明の「文字情報表示手段(23f,63)」に相当し、同領域に数字・文字等の画像が表示されるのであるが、実施例としては【図5】に「リーチ」及び「大当り」と図示されており、「文字列を表示可能」なことは補正発明と引用発明の一致点としなければならない。
さらに、引用発明は「表示態様の変化によって遊技者に有利なゲーム内容となる可能性を複数段階に区別して示す」のだから、「この文字情報表示手段(23f,63)は、前記文字情報表示手段(23f,63)に表示される文字列の表示態様を変化させる表示態様変化手段(65)を備え」ることも、補正発明と引用発明の一致点である。引用発明において、「所定の遊技状態において」保留予告表示がされることはいうまでもない。
したがって、補正発明と引用発明は、
「複数の遊技図柄を変動表示する図柄表示手段(23a,23b,23c,61)と、この図柄表示手段(23a,23b,23c,61)で表示される遊技図柄の変動後の停止図柄態様を特定態様にする大当りか否か抽選判定する抽選判定手段(51,52) と、前記特定態様が成立した場合に遊技者に有利な利益状態を発生させる利益状態発生手段(53)とを備えた弾球遊技機において、
所定の遊技状態において文字列を表示可能な文字情報表示手段(23f,63)を設け、
この文字情報表示手段(23f,63)は、前記文字情報表示手段(23f,63)に表示される文字列の表示態様を変化させる表示態様変化手段(65)を備えた弾球遊技機。」である点で一致し、以下の各点で相違する。
〈相違点1〉「文字情報表示手段(23f,63)」につき、補正発明が「同種の文字からなる表示態様の異なる3以上の文字列の何れかを表示可能」としているのに対し、引用発明は「表示態様の変化によって遊技者に有利なゲーム内容となる可能性を複数段階に区別して示す」ものの、上記補正発明の構成であるかどうか不明な点。
〈相違点2〉補正発明の「表示態様変化手段(65)」が「文字列の表示サイズを拡大又は縮小させて表示態様を変化させる機能を有」するとともに、補正発明には「前記抽選判定手段(51,52) の判定結果を加味して、乱数抽選にて複数の文字列の何れかを選択可能な選択手段(64)」を設けてあり、「前記選択手段(64)は、前記抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当りの場合、表示文字サイズが大きい文字列ほど乱数抽選によって選択する選択率を大きくするように構成されると共に、前記抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当り以外の外れの場合、表示文字サイズが小さい文字列ほど乱数抽選によって選択する選択率を大きくするように構成され」ているのに対し、引用発明は「表示態様の変化によって遊技者に有利なゲーム内容となる可能性を複数段階に区別して示す」ものの、上記補正発明の発明特定事項を備えるとはいえない点。

(5)相違点の判断
〈相違点1について〉
引用発明は「表示態様の変化によって遊技者に有利なゲーム内容となる可能性を複数段階に区別して示す」ものであり、「複数段階」を3段階以上とすることは設計事項に属する。
そして、「同種の文字からなる表示態様の異なる3以上の文字列の何れかを表示可能」については、前示のとおり複数解釈が可能であるところ、引用発明の実施例では「リーチ」及び「大当り」との文字列を表示しており、これら文字列を構成する文字は「同種の文字」からなっている(「大当り」については、漢字とひらがなが混在しているが、通常漢字のみでは日本語を表現できないので、送り仮名があっても「同種」と評価すべきである。)。
また、表示態様を変化するだけならば、文字そのものは変える必要がないから、「リーチ」又は「大当り」との文字列を、表示態様の変化によって3段階以上に区別すれば、「同種の文字からなる」が何を修飾しようと、相違点1に係る補正発明の構成に至る。
以上のとおりであるから、相違点1に係る補正発明の構成を採用することは設計事項に属する。

〈相違点2について〉
文字列の表示態様を異ならせる手法はさまざま存するところ、文字列の表示サイズを異ならせることは、極めてありふれた手法というよりないから、「表示態様変化手段(65)」が文字列の表示サイズを拡大又は縮小させて表示態様を変化させる機能を有」することは設計事項というよりない。この場合、常識的に考えて、表示サイズが大きいほど遊技者に与える印象が強いことは明らかである。
大当りを予告するに当たり、確定的に予告するのではなく、大当り予告をしても一定の確率ではずれとなり、大当り予告をしなくとも一定の確率で大当りとすることは周知である。もちろん、大当り予告という以上、同予告がされた場合には、されない場合よりも大当りの可能性が高いことは当然である。
そうであれば、文字情報表示手段に文字列を表示するに際し、抽選判定手段の判定結果が大当りであるかはずれであるかによって、いかなる表示態様とするかを抽選により選択(補正発明の「選択手段(64)」の構成に至る。)し、大当り予告の表示態様として、印象度の強い態様(表示文字サイズが大きい文字列)ほどその選択確率を、判定結果が大当りの場合に大きくし、判定結果がはずれの場合に小さくし、結果として、「前記選択手段(64)は、前記抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当りの場合、表示文字サイズが大きい文字列ほど乱数抽選によって選択する選択率を大きくするように構成されると共に、前記抽選判定手段(51,52) の判定結果が大当り以外の外れの場合、表示文字サイズが小さい文字列ほど乱数抽選によって選択する選択率を大きくするように構成された」ものとすることは当業者にとって想到容易である。
すなわち、相違点2に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(6)補正発明の独立特許要件の判断
相違点1,2に係る補正発明の構成を採用することは設計事項であるか当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、補正発明は引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

[補正の却下の決定のむすび]
以上のとおり、本件補正は特許法17条の2第3項及び平成18年改正前の同法同条5項で準用する同法126条5項の規定に違反しているから、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されなければならない。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件審判請求についての判断
1.本願発明の認定
本件補正が却下されたから、本願の請求項5に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年11月22日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項5】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「複数の遊技図柄を変動表示する図柄表示手段(23a,23b,23c,61)と、この図柄表示手段(23a,23b,23c,61)で表示される遊技図柄の変動後の停止図柄態様を特定態様にする大当りか否か抽選判定する抽選判定手段(51,52) と、前記特定態様が成立した場合に遊技者に有利な利益状態を発生させる利益状態発生手段(53)とを備えた弾球遊技機において、
所定の遊技状態において同種の文字からなる異なる表示色の複数の表示態様の文字列の何れかを表示可能な文字情報表示手段(23f,63)を設け、
この文字情報表示手段(23f,63)は、前記文字情報表示手段(23f,63)に表示される文字列の表示態様を変化させる表示態様変化手段(65)を備えた、
ことを特徴とする弾球遊技機。」

2.本願発明と引用発明の一致点及び相違点の認定
「第2[理由]4(4)」で述べたことを踏まえると、本願発明と引用発明は、
「複数の遊技図柄を変動表示する図柄表示手段(23a,23b,23c,61)と、この図柄表示手段(23a,23b,23c,61)で表示される遊技図柄の変動後の停止図柄態様を特定態様にする大当りか否か抽選判定する抽選判定手段(51,52) と、前記特定態様が成立した場合に遊技者に有利な利益状態を発生させる利益状態発生手段(53)とを備えた弾球遊技機において、
所定の遊技状態において同種の文字からなる文字列を表示可能な文字情報表示手段(23f,63)を設け、
この文字情報表示手段(23f,63)は、前記文字情報表示手段(23f,63)に表示される文字列の表示態様を変化させる表示態様変化手段(65)を備えた、
弾球遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。
〈相違点3〉「文字情報表示手段(23f,63)」につき、本願発明が「異なる表示色の複数の表示態様の文字列の何れかを表示可能」としているのに対し、引用発明は「表示態様の変化によって遊技者に有利なゲーム内容となる可能性を複数段階に区別して示す」ものの、上記本願発明の構成を備えるとはいえない点。

3.相違点の判断及び本願発明の進歩性の判断
「第2[理由]4(5)〈相違点2について〉」で述べたように、文字列の表示態様を異ならせる手法はさまざま存し、表示色を異ならせることもその一態様として周知である。
そればかりか、引用例の記載エには、LCDパネルユニットではなくフルカラーLED等の多色発光部材で保留予告する場合であるが、発光色の変化により区別することが記載されている。
引用例に直接記載はないものの、LCDパネルユニットによって特別図柄をも表示すること、及び引用発明がされた当時のLCDパネルユニットの技術水準を考慮すれば、引用発明のLCDパネルユニットはフルカラー表示可能であると解するのが自然であり、仮にそのように解釈できないとしてもフルカラー表示可能なLCDパネルユニットを採用することは設計事項に属する。
そして、LCDパネルユニットがフルカラー表示可能であれば、多色発光部材で保留予告する場合と同様に、表示態様毎に文字列の表示色を異ならせること、すなわち相違点3に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、同構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-17 
結審通知日 2008-01-23 
審決日 2008-02-05 
出願番号 特願2001-341011(P2001-341011)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 537- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 一宮 誠  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 太田 恒明
林 晴男
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 岡村 俊雄  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ