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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1175243
審判番号 不服2005-763  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-01-13 
確定日 2008-03-27 
事件の表示 平成 8年特許願第212592号「遊技機製造用搬送姿勢修正装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 2月24日出願公開、特開平10- 52529〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年8月12日の出願であって、平成16年7月21日付けで拒絶理由が通知され、これに対し同年9月2日付けで手続補正がなされ、同年12月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成17年1月13日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年2月14日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成17年2月14日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年2月14日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)本件補正後の本願発明
平成17年2月14日付けの手続補正により、特許請求の範囲は、
「【請求項1】 遊技基板又は遊技盤を一方向に搬送する搬送ラインに、
搬送される遊技基板又は遊技盤の姿勢を検査してその姿勢が予め設定された正規の姿勢と異なる際に姿勢変更出力を発生する測定手段と、
遊技基板又は遊技盤の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための反転ステージと、
遊技基板又は遊技盤の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための捕捉機構とを備えた遊技機製造用搬送姿勢修正装置において、
反転ステージは、遊技基板又は遊技盤を搬送ラインの搬送方向と同じ方向に搬送・停止するコンベアを備え、
捕捉機構は、反転ステージより上方に反転ステージに対し昇降しかつ上昇後に水平面内で回転・停止するように設けられた回転板と、回転板から下方に突出して回転板に設けられた吸着パッドと、吸着パッドにバルブを介して接続された真空発生源とを備え、
遊技基板又は遊技盤が搬送ラインにより反転ステージに向けて搬送される際に、測定手段が搬送ラインから反転ステージに向けて搬送される遊技基板又は遊技盤の姿勢を検出して姿勢変更出力を反転ステージ及び捕捉機構に出力し、
上記姿勢変更出力の基になった遊技基板又は遊技盤が搬送ラインから反転ステージに到着すると、コンベアが遊技基板又は遊技盤の搬送を停止し、捕捉機構の回転板が回転を停止したまま捕捉機構の吸着パッドによる反転ステージの上の遊技基板又は遊技盤を吸引吸着可能な位置まで下降して停止し、この回転板が下降する途中又は停止した後のいずれかにおいて、バルブが開動作して吸着パッドの外気の吸引動作を開始することにより、吸引パッドが反転ステージの上の遊技基板又は遊技盤を吸引吸着し、回転板が上昇して吸引パッドに吸引吸着された遊技基板又は遊技盤がコンベアより浮上支持された後、吸引パッドに吸引吸着された遊技基板又は遊技盤の姿勢が正規の姿勢となるように回転板が水平面内で一方向に回転して停止したまま下降し、上記吸引パッドに吸引吸着されたまま正規の姿勢に修正された遊技基板又は遊技盤がコンベアの上に到達すると、バルブが大気開放動作して吸着パッドの吸引を大気開放し、上記正規の姿勢に修正された遊技基板又は遊技盤が吸引パッドより解放されてコンベア上に搭載されると、コンベアが遊技基板又は遊技盤の搬送を開始して正規の姿勢に修正された遊技基板又は遊技盤を反転ステージから搬送ラインに送ることを特徴とする遊技機製造用搬送姿勢修正装置。」
と補正された。

上記補正は、本件補正前の請求項2を削除するとともに、
請求項1は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「搬送ライン」について「遊技基板又は遊技盤の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための」及び「遊技基板又は遊技盤を搬送ラインの搬送方向と同じ方向に搬送・停止するコンベアを備え」との限定を付加し
同じく「捕捉機構」について「吸着パッドにバルブを介して接続された真空発生源を備え」との限定を付加し、
同じく「回転板」について「反転ステージに対し昇降しかつ上昇後に回転・停止する」との限定を付加し、
同じく「吸着パッド」について「回転板から下方に突出して回転板に設けられた」との限定を付加し、
さらに、「遊技機製造用搬送姿勢修正装置」の動作について、「遊技基板又は遊技盤が搬送ラインにより反転ステージに向けて搬送される際に、測定手段が搬送ラインから反転ステージに向けて搬送される遊技基板又は遊技盤の姿勢を検出して姿勢変更出力を反転ステージ及び捕捉機構に出力し、
上記姿勢変更出力の基になった遊技基板又は遊技盤が搬送ラインから反転ステージに到着すると、コンベアが遊技基板又は遊技盤の搬送を停止し、捕捉機構の回転板が回転を停止したまま捕捉機構の吸着パッドによる反転ステージの上の遊技基板又は遊技盤を吸引吸着可能な位置まで下降して停止し、この回転板が下降する途中又は停止した後のいずれかにおいて、バルブが開動作して吸着パッドの外気の吸引動作を開始することにより、吸引パッドが反転ステージの上の遊技基板又は遊技盤を吸引吸着し、回転板が上昇して吸引パッドに吸引吸着された遊技基板又は遊技盤がコンベアより浮上支持された後、吸引パッドに吸引吸着された遊技基板又は遊技盤の姿勢が正規の姿勢となるように回転板が水平面内で一方向に回転して停止したまま下降し、上記吸引パッドに吸引吸着されたまま正規の姿勢に修正された遊技基板又は遊技盤がコンベアの上に到達すると、バルブが大気開放動作して吸着パッドの吸引を大気開放し、上記正規の姿勢に修正された遊技基板又は遊技盤が吸引パッドより解放されてコンベア上に搭載されると、コンベアが遊技基板又は遊技盤の搬送を開始して正規の姿勢に修正された遊技基板又は遊技盤を反転ステージから搬送ラインに送る」との限定を付加したものであって、
平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除及び同項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1:特開平7-155432号公報には、図面とともに、
「【0013】【課題を解決するための手段】この発明は、遊技機の遊技盤を構成するための基板の表面に接着剤を塗布し装飾用の化粧板を貼付する化粧板貼付装置であって、上記基板の表面に接着剤を塗布する糊付装置の次段に設定された化粧板貼付位置に対応して、複数枚の化粧板を積層状態で格納可能な化粧板収納部と、該化粧板収納部から化粧板を1枚宛分離可能な吸引手段と、該吸引手段により吸着された化粧板を上記化粧板収納部から化粧板貼付位置まで移送する移送手段とからなる化粧板吸着移動装置を配設するとともに、上記化粧板貼付位置には基板の位置決めを行なう基板位置決め手段を設け、・・・
【0014】さらに、望ましくは、上記化粧板貼付位置の前段には積層された複数の基板を一枚宛分離して上記加熱装置に送り出す送出装置と上記基板を加熱されたプレスによって厚み方向に圧力を加えて加熱乾燥させる加熱装置と糊付手段を、また上記化粧板貼付位置の後段には表面に化粧板が接合された上記基板を押圧して化粧板と基板とを密着させる押圧装置とをそれぞれ連続して配設するとともに、上記各装置もしくはこれらの装置間には上記基板を間歇的に移動させる移送装置を設ける。
【0020】上記送出手段10によって送り出されたベニヤ板1は次段の加熱手段30内に入り、一旦停止される。・・・
【0021】加熱が終了するとベニヤ板1は、再び前方へ搬送されて糊付手段40内へ入る。・・・
【0022】接着剤が塗布されたベニヤ板1は、次の貼合手段50へ送られて、ここで一旦停止される。そして、位置決め機構によって位置決めされてから、上方から降りて来る作動部材76によって、それに保持された化粧板2がベニヤ板1の表面に接合される。
【0023】それから、更に前方へ搬送されて次段の押圧手段80内に入り、ここで再び停止されて上方から降りて来る第2の昇降盤81によって押圧されて表面の化粧板2がベニヤ板1にしっかりと圧着される。
【0044】上記糊付手段40より送り出されたベニヤ板は、次段の貼合手段50へ入る。貼合手段50の入口には、移送用ローラー51が複数個配設されており、それらはチェーン52a,52bを介してモ-タ53に連結され、これによって、ベニヤ板を更に前方へ移送する。ローラー51は周枠54によって保持されている。上記ローラー51の前方には、位置決め手段としてのストッパ55が上下動可能に配設され、ベニヤ板はこのストッパ55に当接して一旦停止する。この停止位置の側方には、位置決め手段としての位置決め基準片56が周枠54に固設されており、反対側の側部には横押し装置57が配設されている。
【0046】上記ストッパ55によってベニヤ板が停止されると横押し装置57が作動して、図10および図11に示すようにエアーシリンダ57aが収縮して押圧部材57bがベニヤ板1の側面を押圧して、前記位置決め基準片56に押し付ける。このときベニヤ板1はローラー51の回転力によって常にストッパ55に押し付けられている。
【0047】そのため、ベニヤ板1はストッパ55と位置決め基準片56とによって極めて正確に位置決めされる。・・・」
との記載が認められ、
摘記した上記の記載や図面等によれば、引用文献1には、
「送出手段10、加熱手段30、糊付手段40、貼合手段50及び押圧手段80をそれぞれ連続して配設するとともに、これらの装置間に上記基板を間歇的に移動させる移送装置を設け、基板を前方に移動させて加熱、糊付、貼合及び押圧を行う装置に、
基板の位置決め手段としてのストッパ55、位置決め基準片56及び横押し装置57が配設されている貼合手段50を備えた化粧板貼付装置において、
貼合手段50は、基板を前方へ移送するローラー51が配設され、上記ストッパ55に当接して基板が一旦停止するようになっており、
上記ストッパ55によって上記基板が停止されると、上記横押し装置57が作動して上記基板の側面を押圧し、上記位置決め基準片56に押し付けて、上記基板を正確に位置決めし、該正確に位置決めされた基板に化粧板2を接合した後、貼合手段50から前方へ搬送する化粧板貼付装置。」
の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「基板」は、本願補正発明の「遊技基板又は遊技盤」に相当し、
以下同様に、「前方へ移送する」は「搬送ラインの搬送方向と同じ方向に搬送する」に、
「一旦停止する」は「停止する」に、
「正確に位置決めされた基板」は「正規の姿勢に修正された遊技基板又は遊技盤」に、
「前方へ搬送する」は「搬送ラインに送る」に、それぞれ相当する。
さらに、引用文献1の記載等から、以下のことが言える。
a.引用発明の「基板を前方に移動させて加熱、糊付、貼合及び押圧を行う装置」が、「基板を一方向に搬送する搬送ライン」として機能していることは明らかである。

b.引用発明の「貼合手段50」に配設されている「ストッパ55、位置決め基準片56及び横押し装置57」は、摘記した段落0047に記載されるように、基板を正確に位置決めするためのものであるから、引用発明の「貼合手段50」と、本願補正発明の「反転ステージ」とは、「遊技基板又は遊技盤の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための場所」となっている点で共通している。

c.引用発明の「基板の位置決め手段としてのストッパ55、位置決め基準片56及び横押し装置57」は、摘記した段落0047に記載されるように、基板を正確に位置決めするためのものであって、これらが「基板の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための」ものであることは明らかであるから、引用発明の「基板の位置決め手段としてのストッパ55、位置決め基準片56及び横押し装置57」と、本願補正発明の「遊技基板又は遊技盤の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための捕捉機構」とは、「遊技基板又は遊技盤の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための機構」である点で共通している。
また、引用発明の「化粧板貼付装置」が「遊技機製造用搬送姿勢修正装置」を含むものであることも明らかである。

d.引用発明の「ローラー51」及び「ストッパ55」は、「基板を前方へ移送・一旦停止する」ものであって、本願補正発明の「コンベア」に実質的に相当しているから、引用発明の「ストッパ55によって上記基板が停止」は、本願補正発明の「コンベアが遊技基板又は遊技盤の搬送を停止」に相当するということができる。

e.引用発明の「上記横押し装置57が作動して上記基板の側面を押圧し、上記位置決め基準片56に押し付け」る動作と、本願補正発明の「捕捉機構の回転板が回転を停止したまま捕捉機構の吸着パッドによる反転ステージの上の遊技基板又は遊技盤を吸引吸着可能な位置まで下降して停止し、この回転板が下降する途中又は停止した後のいずれかにおいて、バルブが開動作して吸着パッドの外気の吸引動作を開始することにより、吸引パッドが反転ステージの上の遊技基板又は遊技盤を吸引吸着し、回転板が上昇して吸引パッドに吸引吸着された遊技基板又は遊技盤がコンベアより浮上支持された後、吸引パッドに吸引吸着された遊技基板又は遊技盤の姿勢が正規の姿勢となるように回転板が水平面内で一方向に回転して停止したまま下降し、上記吸引パッドに吸引吸着されたまま正規の姿勢に修正された遊技基板又は遊技盤がコンベアの上に到達すると、バルブが大気開放動作して吸着パッドの吸引を大気開放」する動作とは、「遊技基板又は遊技盤を正規の姿勢に修正」する動作である点で共通している。

以上を総合すると、両者は、
「遊技基板又は遊技盤を一方向に搬送する搬送ラインに、
遊技基板又は遊技盤の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための場所と、
遊技基板又は遊技盤の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための機構とを備えた遊技機製造用搬送姿勢修正装置において、
反転ステージは、遊技基板又は遊技盤を搬送ラインの搬送方向と同じ方向に搬送・停止するコンベアを備え、
遊技基板又は遊技盤の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための機構は、コンベアが遊技基板又は遊技盤の搬送を停止し、上記遊技基板又は遊技盤を正規の姿勢に修正し、その後、コンベアが遊技基板又は遊技盤の搬送を開始して正規の姿勢に修正された遊技基板又は遊技盤を反転ステージから搬送ラインに送る遊技機製造用搬送姿勢修正装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願補正発明は、「搬送される遊技基板又は遊技盤の姿勢を検査してその姿勢が予め設定された正規の姿勢と異なる際に姿勢変更出力を発生する測定手段」を備え、該「測定手段」が「姿勢変更出力を反転ステージ及び捕捉機構に出力し」ているのに対し、引用発明はそのような測定手段を備えていない点。

[相違点2]
「遊技基板又は遊技盤の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための場所」を、本願補正発明においては「反転ステージ」としているのに対し、引用発明においては「貼合手段50」とし、基板を正確に位置決めした後に化粧板2を貼り付ける場所ともなっている点。

[相違点3]
遊技基板又は遊技盤の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための機構である本願補正発明の「捕捉機構」は、「反転ステージより上方に反転ステージに対し昇降しかつ上昇後に水平面内で回転・停止するように設けられた回転板と、回転板から下方に突出して回転板に設けられた吸着パッドと、吸着パッドにバルブを介して接続された真空発生源とを備え」ているのに対し、同様の機構である引用発明の「位置決め手段」は、「ストッパ55、位置決め基準片56及び横押し装置57」からなり、構成要素が異なっている点。

[相違点4]
「遊技基板又は遊技盤を正規の姿勢に修正」する動作が、本願補正発明では、「捕捉機構の回転板が回転を停止したまま捕捉機構の吸着パッドによる反転ステージの上の遊技基板又は遊技盤を吸引吸着可能な位置まで下降して停止し、この回転板が下降する途中又は停止した後のいずれかにおいて、バルブが開動作して吸着パッドの外気の吸引動作を開始することにより、吸引パッドが反転ステージの上の遊技基板又は遊技盤を吸引吸着し、回転板が上昇して吸引パッドに吸引吸着された遊技基板又は遊技盤がコンベアより浮上支持された後、吸引パッドに吸引吸着された遊技基板又は遊技盤の姿勢が正規の姿勢となるように回転板が水平面内で一方向に回転して停止したまま下降し、上記吸引パッドに吸引吸着されたまま正規の姿勢に修正された遊技基板又は遊技盤がコンベアの上に到達すると、バルブが大気開放動作して吸着パッドの吸引を大気開放」するものであるのに対し、引用発明では、「上記横押し装置57が作動して上記基板の側面を押圧し、上記位置決め基準片56に押し付け」るものである点。

(4)判断
[相違点1について]
引用発明においては、送られてくる基板全部に対して、貼合手段50においてストッパ55、位置決め基準片56及び横押し装置57により位置決めを行っているため、基板の姿勢を検査する測定手段を備えていないが、搬送装置の分野において、事前に搬送されてくる物品の姿勢を検査してその姿勢が予め設定された正規の姿勢と異なる際に姿勢変更出力を発生する測定手段を設けることは、例えば、原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献2:特開平6-286853号公報(特に、段落0029)及び文献3:実願昭62-31602号(実開昭63-139231号)のマイクロフィルム(特に、明細書第3頁第2?7行)に記載されているように、従来周知の技術(以下、「周知技術A」という。)である。
そして、引用発明及び周知技術Aともに、物品の姿勢を正規の姿勢に修正するという目的が共通しているから、引用発明に上記従来周知の技術を適用して、「搬送される基板の姿勢を検査してその姿勢が予め設定された正規の姿勢と異なる際に姿勢変更出力を発生する測定手段」を設け、該「測定手段」から「姿勢変更出力を出力」するように構成することは当業者が容易に想到し得る事項である。

[相違点2について]
「遊技基板又は遊技盤の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための場所」について、本願補正発明では「反転ステージ」としているのに対し、引用発明においては、基板を正確に位置決めした後に化粧板2を貼り付ける場所ともなっているため「貼合手段50」としている。
しかし、本願補正発明の「反転ステージ」は、反転という表現を用いてはいるものの、本件補正の請求項1には回転板の回転量についての限定が無い点、明細書の段落0027における「捕捉機構が180°のような1回転以下の所定の角度範囲で回転することで、遊技基板1の姿勢を変えられる」との記載及び段落0035における「捕捉機構7の回転角度範囲を例えば90°に定めることで、遊技基板1の姿勢を横向きに修正することもできる。」との記載等を考慮すると、遊技基板又は遊技盤を反転させる場所という意味で用いられているものではなく、1回転以下の所定の角度範囲で回転できる場所という意味で用いられているものと認められる。
そうしてみると、本願補正発明の「反転ステージ」と引用発明の「貼合手段50」とは、「遊技基板又は遊技盤の姿勢を正規の姿勢となるように修正する」という機能において、格別相違するものではなく、かつ、引用発明の「貼合手段50」において行われる化粧板2の貼り付けを省いて基板の搬送を行うことは、当業者が容易に実施し得ることである。

[相違点3、4について]
物品の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための機構として、物品の上方において昇降し、かつ、上昇後に水平面内で回転・停止するように設けられた回転体と、回転体から下方に突出して回転体に設けられた吸着パッドと、吸着パッドにバルブを介して接続された真空発生源とを備える機構を採用することは、例えば、文献4:実願平1-118958号(実開平3-59188号)のマイクロフィルム(特に、第1図、明細書第4頁第12行?第5頁第2行及び明細書第8頁第9行?第10頁第10行)、文献5:特開平4-348888号公報(特に、図3及び段落0010、0016、0026?0028)及び文献6:特開平8-71975号公報(特に、図2、6及び段落0018、0019、0031?0032)に記載されるように、従来周知の技術(以下、「周知技術B」という。)である。
また、吸着パッドを回転板から下方に突出して設ける点も、文献7:特開昭61-214988号公報(特に、第4図及び[従来の技術]の項)及び文献8:実願昭59-96789号(実開昭61-15231号)のマイクロフィルム(特に、第2図及び明細書第4頁第10?20行)に記載されているように、従来周知の技術(以下、「周知技術C」という。)であるとともに、引用文献1にも、化粧板2を吸着移動するための装置(化粧板吸着移動装置70)ではあるが、上下動する作動部材76に吸着面を設ける機構を採用することが記載されているから、物品の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための機構として、引用発明の「位置決め手段」に代えて、本願補正発明の「捕捉機構」のような機構を採用することは、当業者が容易に想到し得る。
そして、そのような機構を採用した場合に、該機構に上記2.(3)[相違点4]の項に記載した本願補正発明のような動作を行わせることは、文献4、5に記載された装置の動作(特に、文献4の明細書第9頁第4行?第10頁第10行及び文献5の段落0026?0028を参照)や引用文献1の化粧板吸着移動装置70の動作(特に、段落0052?0055を参照)からみて、当業者が適宜採用する設計的な事項と判断される。

さらに、本願補正発明の作用効果も、引用発明、周知技術A?C及び引用文献1に記載された化粧板吸着移動装置70の構成及び動作から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用発明、周知技術A?C及び引用文献1に記載された化粧板吸着移動装置70の構成及び動作に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成17年2月14日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成16年9月2日付けの手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「搬送ラインにより搬送される遊技基板又は遊技盤の姿勢を検査してその姿勢が予め設定された正規の姿勢と異なる際に姿勢変更出力を発生する測定手段と、
測定手段からの姿勢変更出力により当該姿勢変更出力の基になった遊技基板又は遊技盤の搬送を停止する反転ステージと、
測定手段からの姿勢変更出力により反転ステージに停止された遊技基板又は遊技盤を反転ステージより浮上支持して遊技基板又は遊技盤の姿勢を正規の姿勢となるように修正した後に姿勢の修正された遊技基板又は遊技盤を反転ステージに戻す捕捉機構とを備え、
捕捉機構が、反転ステージより上方に昇降および水平面内での回転・停止可能に設けられた回転板と、遊技基板又は遊技盤を吸引吸着・開放する吸着パッドとを備えたことを特徴とする遊技機製造用搬送姿勢修正装置。」

(1)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1及びその記載事項は、上記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、上記「2.(1)」で検討した本願補正発明から、
「搬送ライン」についての限定事項である「遊技基板又は遊技盤の姿勢を正規の姿勢となるように修正するための」及び「遊技基板又は遊技盤を搬送ラインの搬送方向と同じ方向に搬送・停止するコンベアを備え」との構成を省き、
「捕捉機構」についての限定事項である「吸着パッドにバルブを介して接続された真空発生源を備え」との構成を省き、
「回転板」についての限定事項である「反転ステージに対し昇降しかつ上昇後に回転・停止する」との構成を省き、
「吸着パッド」についての限定事項である「回転板から下方に突出して回転板に設けられた」との構成を省き、
さらに、「遊技機製造用搬送姿勢修正装置」の動作についての、「遊技基板又は遊技盤が搬送ラインにより反転ステージに向けて搬送される際に、測定手段が搬送ラインから反転ステージに向けて搬送される遊技基板又は遊技盤の姿勢を検出して姿勢変更出力を反転ステージ及び捕捉機構に出力し、上記姿勢変更出力の基になった遊技基板又は遊技盤が搬送ラインから反転ステージに到着すると、コンベアが遊技基板又は遊技盤の搬送を停止し、捕捉機構の回転板が回転を停止したまま捕捉機構の吸着パッドによる反転ステージの上の遊技基板又は遊技盤を吸引吸着可能な位置まで下降して停止し、この回転板が下降する途中又は停止した後のいずれかにおいて、バルブが開動作して吸着パッドの外気の吸引動作を開始することにより、吸引パッドが反転ステージの上の遊技基板又は遊技盤を吸引吸着し、回転板が上昇して吸引パッドに吸引吸着された遊技基板又は遊技盤がコンベアより浮上支持された後、吸引パッドに吸引吸着された遊技基板又は遊技盤の姿勢が正規の姿勢となるように回転板が水平面内で一方向に回転して停止したまま下降し、上記吸引パッドに吸引吸着されたまま正規の姿勢に修正された遊技基板又は遊技盤がコンベアの上に到達すると、バルブが大気開放動作して吸着パッドの吸引を大気開放し、上記正規の姿勢に修正された遊技基板又は遊技盤が吸引パッドより解放されてコンベア上に搭載されると、コンベアが遊技基板又は遊技盤の搬送を開始して正規の姿勢に修正された遊技基板又は遊技盤を反転ステージから搬送ラインに送る」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明、周知技術A?C及び引用文献1に記載された化粧板吸着移動装置70の構成及び動作に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、周知技術A?C及び引用文献1に記載された化粧板吸着移動装置70の構成及び動作に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、周知技術A?C及び引用文献1に記載された化粧板吸着移動装置70の構成及び動作に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、他の請求項(請求項2)に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-24 
結審通知日 2008-01-29 
審決日 2008-02-13 
出願番号 特願平8-212592
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 納口 慶太西村 仁志  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 土屋 保光
林 晴男
発明の名称 遊技機製造用搬送姿勢修正装置  
代理人 宮園 純一  
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