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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない A63F
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正しない A63F
審判 訂正 2項進歩性 訂正しない A63F
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正しない A63F
管理番号 1175462
審判番号 訂正2006-39072  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2006-05-10 
確定日 2008-04-22 
事件の表示 特許第3443024号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第3443024号の請求項1乃至5に係る発明は、平成11年1月22日に特願平11-14912号として特許出願されたものであって、平成15年6月20日にその特許権の設定登録がなされ、その後、特許異議の申立て(異議2003-73272号)がなされ、平成18年1月10日付けで異議決定がなされ、平成18年2月10日付けで知的財産高等裁判所に決定取消を求める訴(平成18年(行ケ)10057号)がなされるとともに、平成18年5月10日付けで本件訂正審判が請求され、平成18年6月12日付けで訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内である平成18年7月18日付けで意見書が提出されたものである。

第2.審判請求の要旨
本件審判請求の要旨は、特許第3443024号に係る明細書(以下、「本件特許明細書」という。)を、本件審判請求書に添付された訂正明細書(以下、「本件訂正明細書」という。)のとおりに訂正しようとするものであって、その訂正内容は以下のとおりのものである。(下線部訂正箇所)
i.訂正事項a
本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載を以下のように訂正する。
【請求項1】複数の絵柄を移動表示させるとともに所定の有効ライン上に停止させることができる可変表示装置と、
遊技者の操作により移動表示中の前記絵柄を前記有効ライン上に停止させる停止手段と、
所定の開始信号に応じて乱数を抽出し、該乱数の抽出値と、一般遊技状態、ボーナス役の内部当たり状態及びボーナスゲーム状態の各状態に対応して設けられた複数の抽選役および該抽選役の当選確率を特定する所定の確率テーブルと、を照合することで、内部当たりか否かを決定する抽選処理手段と、
前記有効ライン上に停止した前記絵柄が、予め決定された入賞の組合せであるか否かを判定する入賞判定手段と、
前記抽選処理手段の抽選処理結果がボーナス役の内部当たりとなった状態であって前記入賞判定手段の判定結果が非入賞となったとき、次回のゲームに前記ボーナス役の内部当たり状態を持ち越すボーナス役内部当たり記憶手段と、を備えた遊技機において、
前記ボーナス役内部当たり記憶手段は、前記ボーナス役の内部当たりを2つ以上記憶可能であり、ボーナス役の内部当たりが持ち越された状態における前記抽選処理手段の抽選処理結果が更にボーナス役の内部当たりとなった場合には、前記持ち越し分のボーナス役の内部当たりに加え、前記抽選処理結果を記憶し、
前記入賞判定手段の判定結果がボーナス役の入賞となったとき、前記ボーナス役内部当たり記憶手段に記憶されたボーナス役の内部当たりに基づいて所定のボーナスゲームを実行するとともに、前記ボーナス役内部当たり記憶手段に記憶されたボーナス役の内部当たりの数を1つ減少させ、前記ボーナス役内部当たり記憶手段に記憶した抽選結果として残りのボーナス役の内部当たりが存在することに基づいて、前記ボーナスゲーム状態が終了した後の抽選条件を、ボーナスゲーム状態が終了した直後のゲームからボーナス役の内部当たり状態に移行させるように変更するようになっており、
かつ、ボーナスゲーム状態に対応して設けられた確率テーブルと一般遊技状態に対応して設けられた確率テーブルとでは、少なくともボーナス役の抽選確率が相違し、ボーナス役の内部当たり状態に対応して設けられた確率テーブルと一般遊技状態に対応して設けられた確率テーブルとでは、ボーナス役以外の抽選確率において相違することを特徴とする遊技機。

ii.訂正事項b
本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項2及び3を削除する。

iii.訂正事項c
本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項4を請求項2に繰り上げるとともに、以下のように訂正する。
【請求項2】所定の開始信号に応じて遊技機の表示部で複数の絵柄を移動表示させるとともに、遊技者の停止操作に応じて該絵柄の移動表示を停止させる表示制御手段と、
一般遊技状態、ボーナス役の内部当たり状態及びボーナスゲーム状態の各状態で前記開始信号を受け付けたとき、複数の抽選役及び該抽選役の当選確率を特定する所定の確率テーブルに基づいて抽選処理を実行し、ボーナス役の内部当たりか否かを決定する抽選処理手段と、
該抽選処理手段の抽選結果がボーナス役の内部当たりである場合であって前記絵柄の移動表示が停止したとき、該停止した絵柄が前記ボーナス役の内部当たりに対応する入賞絵柄の組合せになったか否かを判定する入賞判定手段と、を備えた遊技機の制御装置において、
前記抽選処理手段が、
前記ボーナス役の内部当たり状態及び前記ボーナスゲーム状態のうち少なくとも一つの利益状態における抽選処理を実行するとき、ボーナス抽選確率が0を超えるところの、前記一般遊技状態における抽選処理の確率テーブルよりボーナス抽選確率の低い確率テーブルを使用するとともに、該利益状態における抽選結果がボーナス役の内部当たりであるとき、該抽選結果を記憶するボーナス役内部当たり記憶手段を併有し、
該ボーナス役内部当たり記憶手段に記憶した抽選結果として残りのボーナス役の内部当たりが存在することに基づいて、前記ボーナス役の内部当たりに対応するボーナスゲーム状態が終了した後の抽選条件を、ボーナスゲーム状態が終了した直後のゲームからボーナス役内部当たり状態に移行させるように変更するようにしたことを特徴とする遊技機の制御装置。

iv.訂正事項d
本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項5を請求項3に繰り上げるとともに、以下のように訂正する。
【請求項3】前記一般遊技状態及び前記ボーナス役の内部当たり状態で使用する確率テーブルが、小役、再遊技及び所定のボーナス抽選役を抽選可能で、
前記ボーナスゲーム状態で使用する確率テーブルが、前記所定のボーナス抽選役以外の抽選役を抽選可能であることを特徴とする請求項2に記載の遊技機の制御装置。

v.訂正事項e
本件特許明細書の段落【0012】、【0013】、【0014】、【0015】、【0016】、【0017】、【0018】、【0027】、【0031】、【0034】、【0035】、【0046】、【0062】、【0066】、【0069】の記載を本件訂正明細書のとおりに訂正する。(詳細は省略。)

第3.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否の判断
1.訂正事項aにおける「ボーナス役の抽選確率」について
i.本件特許明細書の記載事項
訂正事項aのうち、「ボーナスゲーム状態に対応して設けられた確率テーブルと一般遊技状態に対応して設けられた確率テーブルとでは、少なくともボーナス役の抽選確率が相違」する構成について、本件特許明細書の段落【0037】、【0065】及び【0066】に以下の記載が認められる。
【0037】 一方、ビッグボーナスゲーム状態においては、例えば全部で30ゲームの一般遊技が可能であるが、このビッグボーナスゲーム状態における一般遊技中、抽選処理部54bは、一般遊技状態で使用する抽選確率テーブル部分Aとは異なる抽選確率テーブル部分B(各テーブル中の「BB中一般」の部分)を使用するようになっており、ビッグボーナス入賞した後(内部当たり後に特定の絵柄(例えば「7」,「7」,「7」)が入賞ライン上に並んだ後)の一般遊技中にBB、RBが再抽選されないようになっている。勿論、ビッッグボーナスゲーム状態における一般遊技中に、BB,RBを抽選可能にし、上述と同様に、RAM53内の所定の抽選履歴書き込み領域(図示していない)に記憶し、そこに記憶した抽選結果に基づいて、ボーナスゲーム状態が終了した後の抽選条件を変更するようなことも考えられる。
【0065】 なお、上述の実施形態においては、抽選処理手段が、ボーナス役の内部当たり状態及びボーナスゲーム状態のうち少なくとも一つの利益状態における抽選処理を実行するとき、一般遊技状態における抽選処理の確率テーブルよりボーナス抽選確率の低い確率テーブルを使用し、前記利益状態における抽選結果が内部当たりであるとき、その抽選結果を記憶し、記憶した抽選結果に基づいて、特定の内部当たりに対応するボーナスゲーム状態が終了した後の抽選条件を変更するようにすることも考えられる。例えば、図13及び図14に示すように、確率テーブル133に、一般遊技状態で使用する抽選確率テーブル部分Aoと、ビッグボーナスゲーム状態における一般遊技状態で使用される抽選確率テーブル部分Coとに加え、抽選確率テーブル部分Aoよりもボーナス抽選確率の低い確率テーブルBoを設けて、これらを遊技状態に応じ切替えて使用する。具体的には、このボーナス抽選確率の低い確率テーブルBoは、例えば3メダル投入状態での抽選確率テーブル部分Aoのデータが52?68であるのに対し、内部当たり用確率テーブル部分のデータが抽選確率テーブル部分Aoのデータの約1/5の値(10?14)となり、小役の抽選確率が全く同じになるようにする。
【0066】 そして、ビッグボーナスやレギュラーボーナスの内部当たり状態における抽選結果が他のボーナス役の内部当たりであるとき、確率テーブルBoに基づくその抽選結果が特定内部当たり記憶部54cに一旦記憶され、上述例と同様に、その記憶した抽選結果に基づいて、ボーナスゲーム状態が終了した後の抽選条件が変更される。これにより、現在ボーナス内部当たり中であった場合に、確かにボーナス抽選は行うが一般遊技中の抽選データより低確率に設定されていることから、むやみにボーナスフラグを当選させず、遊技者と店との利益のバランスが計れる。

ii.「ボーナス役の抽選確率」に係る検討
前記摘示の記載及び図6?8、図13によると、本件特許明細書には、ボーナスゲーム状態に対応して設けられた確率テーブルにおけるボーナス役の抽選確率と、一般遊技状態に対応して設けられた確率テーブルにおけるボーナス役の抽選確率について、前者におけるボーナス役の抽選確率が0であるか、あるいは前者におけるボーナス役の抽選確率が後者におけるボーナス役の抽選確率よりも低い値をとるように設定することが記載されており、両者のボーナス役の抽選確率が単に相違すればよいことは記載されていない。
すなわち、段落【0037】の前段には、まず、ボーナスゲーム状態と一般遊技状態とでは異なる確率テーブルを使用することが記載され、ついで、その具体的実施例として、ボーナスゲーム状態では、ボーナス役を抽選しないことのみが記載されている。そして、段落【0037】の後段には、前段に記載の実施例を否定する別の実施例として、ボーナスゲーム状態においてボーナス役を抽選可能としてもよいことが記載されている。
さらに、段落【0065】及び【0066】には、ボーナスゲーム状態では一般遊技状態よりもボーナス抽選確率の低い確率テーブルを使用することにより遊技者と店との利益のバランスが計れることが記載されている。
しかるに、訂正後の特許請求の範囲の請求項1の発明は、例えば、ボーナスゲーム状態に対応して設けられた確率テーブルにおけるボーナス役の抽選確率が、一般遊技状態に対応して設けられた確率テーブルにおけるボーナス役の抽選確率よりも高い値をとるように設定する実施例を含むものであるところ、当該実施例、及び、これが導出される課題あるいは作用効果を含む技術思想について、本件特許明細書に何らの記載も示唆も認められないから、該発明は、本件特許明細書に記載されていない新規事項を含むものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものである。
特許権者は、段落【0037】に「異なる抽選確率テーブル部分Bを使用する」と記載されていることを根拠に、ボーナスゲーム状態において一般遊技状態よりもボーナス抽選確率の高い確率テーブルを使用することも本件特許明細書に記載された事項の範囲内である旨主張するが、前記記載を含む当該段落の全体の文脈からみて、ボーナスゲーム状態において使用する異なる確率テーブルの内容としては、ボーナス役を抽選しないものしか把握できず、ボーナスゲーム状態において一般遊技状態よりもボーナス抽選確率の高い確率テーブルを使用することは、ボーナス役を抽選する、あるいは抽選しないことに加えて、さらに遊技者の有利を図る別の動機あるいは新たな課題の下に採用される手法として、例えば、変形例として段落【0065】及び【0066】に示されるような具体的な記載を要するものというべきである。
また、特許権者は、発明特定事項の付加限定を行う本件訂正が特許請求の範囲の実質的拡張変更に該当するとの解釈はあり得ない旨主張するが、特許請求の範囲に新たに付加された訂正事項をもって、本件特許明細書に記載された範囲を超える技術思想が含まれることとなった場合に、当該訂正により発明を拡張変更するものというべきことは明らかである。

iii.小括
よって、上記訂正事項aにおける「ボーナスゲーム状態に対応して設けられた確率テーブルと一般遊技状態に対応して設けられた確率テーブルとでは、少なくともボーナス役の抽選確率が相違」する構成は、本件特許明細書に記載されていない新規事項であることのみならず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものと認められる。

2.訂正事項aにおける「ボーナス役以外の抽選確率」について
i.本件特許明細書の記載事項
訂正事項aのうち、「ボーナス役の内部当たり状態に対応して設けられた確率テーブルと一般遊技状態に対応して設けられた確率テーブルとでは、ボーナス役以外の抽選確率において相違する」構成について、本件特許明細書の段落【0032】、【0033】乃至【0036】、【0063】に以下の記載が認められる。
【0032】また、抽選処理部54bは、図6?図8に示すような複数の抽選確率テーブル111,112,113を有し、これらにより複数の抽選役及びそれら抽選役の当選確率を特定するようになっている。また、抽選確率テーブル111は投入メダル数が1枚のときに使用され、抽選確率テーブル112は投入メダル数が2枚のときに使用され、抽選確率テーブル113は投入メダル数が3枚のときに使用されるようになっている。これらのテーブル111?113は、ビッグボーナス(BB)、レギュラーボーナス(RB)、スイカ、オレンジ、再遊技、4枚チェリー、2枚チェリー等の抽選役毎に、出玉率の各設定レベル(例えば1?6までの6段階)について、遊技状態に応じた抽選データを設定したデータテーブルである。なお、抽選に使用する乱数の変動幅(例えば16384)で各抽選データを除したものが抽選確率となる。また、各図の表中における「一般」は一般遊技状態を、「内部中」はBB、RBの内部当たり状態を意味する。
【0033】 また、本実施形態の遊技機では、一般遊技中の当選の確率を高くする高期待値の遊技状態と、一般遊技中の当選の確率を低くする低期待値の遊技状態とに適宜切替えられるようになっており、抽選確率テーブル中の(High)はその高期待値の遊技状態を、(Low)は低期待値の遊技状態を、それぞれ示している。
【0034】 ところで、抽選処理部54bは、図9に示すように、一般遊技状態で使用する高期待値及び低期待値の抽選確率テーブル部分Aを内部当たり状態でも使用するようになっており、BB,RB等のボーナス役の内部当たり状態における抽選処理を、一般遊技状態と同一の確率テーブル部分Aに基づいて実行するようになっている。そして、その内部当たり状態における抽選結果が更に内部当たりとなったときには、その抽選結果を履歴としてRAM53内の所定の抽選履歴書き込み領域である特定内部当たり記憶部54c(特定内部当たり記憶手段)に追加して記憶させる。
【0035】 すなわち、特定内部当たり記憶部54cには、特定の内部当たりフラグが2つ、3つと重複してセットされることで、特定の内部当たりを2つ以上記憶可能であり、特定の内部当たり状態で抽選処理部54bによる入賞判定結果が入賞となったとき、特定内部当たり記憶部54cに記憶された特定の内部当たりのフラグ情報に基づいて所定のボーナスゲームが実行される。そして、ボーナスゲームの終了時にその特定内部当たり記憶部54cに記憶された特定の内部当たりの数(有効フラグ数)が1つ減少し、残りの特定の内部当たりがあるときには、そのボーナスゲームが終了した後の抽選結果を一般遊技状態とは異なるように変更する。
【0036】 具体的には、例えば、ボーナスゲーム状態が終了した後の一般遊技の確率テーブルを高い期待値に設定したり、ボーナスゲーム状態が終了した直後の一般遊技における特定回数のゲーム(例えば1ゲーム目)からボーナスフラグ成立状態(BB,RB内部当たり中)に移行させ、遊技者がボーナス絵柄を入賞ライン上に揃えるように停止操作をすることで、再度ボーナス遊技状態に突入可能(いわゆる「連チャン」)となる。
【0063】 例えば、ボーナスゲーム状態が終了した後の一般遊技の開始時に確率テーブルを高い期待値に設定したり、ボーナスゲーム状態が終了した直後からボーナス内部当たり状態にしたりする。したがって、その後のステップS104の抽選において、遊技者に有利な抽選結果が得られる。」

ii.「ボーナス役以外の抽選確率」に係る検討
前記摘示の記載及び図6?9によると、本件特許明細書には、ボーナス役の内部当たり状態に対応して設けられた確率テーブルにおけるボーナス役以外の抽選確率と、一般遊技状態に対応して設けられた確率テーブルにおけるボーナス役以外の抽選確率とが相違していることは記載されていない。
すなわち、本件特許明細書の段落【0033】、【0036】及び【0063】には、ボーナス役以外の抽選確率が相違する複数の確率テーブルが遊技状態に応じて適宜切替えられる実施例として、ボーナスゲームの終了時に残りの特定の内部当たりがあるときに、ボーナスゲーム状態が終了した後の一般遊技の開始時に確率テーブルを高い期待値に設定することが記載され、また、段落【0034】には、図9に示されるように、一般遊技状態においてボーナス役が内部当たりすると同一の確率テーブルを使用してボーナス役の内部当たり状態に移行することが記載されており、ボーナス役の内部当たり状態と一般遊技状態とでボーナス役以外の抽選確率に係る確率テーブルを特に切替えて使用する例については何ら記載も示唆もない。
しかるに、特許請求の範囲請求項1の記載においては、ボーナス役の内部当たり状態と一般遊技状態とでボーナス役以外の抽選確率が相違することが規定されており、該規定によれば、一般遊技状態からボーナス役の内部当たり状態に移行する際にボーナス役以外の抽選確率が相違するように確率テーブルを切替えることが典型的な事例とみなされるところ、前記各段落の記載をみても、ボーナス役の内部当たり状態とは異なる別の遊技状態から一般遊技状態に移行する際にボーナス役以外の抽選確率が高い確率テーブルに切替える例が記載されているにすぎず、特許請求の範囲に発明を特定する事項として記載する以上は、明細書に具体的に裏付けられていることを要するにもかかわらず、何ら裏付けがなされていない。
また、本件特許明細書には、ボーナス役以外の抽選役が4種類の小役と再ゲームとからなる実施例が記載されているところ、図6?8によると、ボーナス役の内部当たり状態及び一般遊技状態を含む高期待値及び低期待値の抽選確率テーブルのいずれにおいても、再ゲームの抽選確率はすべて同一とされていることからみて、特許請求の範囲の請求項1の記載は、本件特許明細書に記載された事項と整合していないものである。付言すると、4種類の小役と再ゲームとでは抽選役としての機能及び特性が異なることからみて、ボーナス役の内部当たり状態と一般遊技状態とで抽選確率が相違することに意義があるものとして、「ボーナス役以外の抽選役」とするのではなく「小役の抽選役」とするべきであったかと考えられる。
しかして、訂正後の特許請求の範囲の請求項1の発明は、ボーナス役の内部当たり状態と一般遊技状態とではボーナス役以外の抽選役の抽選確率が相違する確率テーブルを使用する発明として規定されているところ、このような技術思想については本件特許明細書に何らの記載も示唆も認められないから、該発明は、本件特許明細書に記載されていない新規事項を含むものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものである。

iii.小括
よって、上記訂正事項aにおける「ボーナス役の内部当たり状態に対応して設けられた確率テーブルと一般遊技状態に対応して設けられた確率テーブルとでは、ボーナス役以外の抽選確率において相違する」構成は、本件特許明細書に記載されていない新規事項であることのみならず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものと認められる。

3.まとめ
したがって、上記訂正は、平成15年改正前の特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合しないから、当該訂正は認められない。

第4.独立特許要件の適否
1.本件訂正発明
本件特許第3443024号の訂正後の発明は、本件訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至3(以下、「本件訂正発明1乃至3」という。)に記載された事項(前記第2.i,iii,iv参照)により特定されるものである。

2.特許法第29条第2項適用について
本件訂正発明1乃至3が、本件出願前の刊行物である下記の刊行物1乃至9に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとして、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものか否かについて、以下検討する。
刊行物1:特開平6-335560号公報
刊行物2:特許第2781929号公報
刊行物3:「パチスロ必勝ガイド1993年6月号」(第4巻第8号通
巻第31号)第8?11頁、平成5年6月1日、株式会社白夜
書房発行
刊行物4:「パチンコ攻略マガジン増刊10月28日号、パチスロ攻略
マガジンNo.5」(第3巻第14号通巻第38号)第70
?71頁、1991年10月28日、株式会社双葉社発行
刊行物5:「パチンコ攻略マガジン増刊8月19日号、パチスロ攻略マ
ガジンNo.4」(第3巻第11号通巻第36号)第88?
89頁、1991年8月19日、株式会社双葉社発行
刊行物6:「パチスロ必勝ガイド1993年5月号」(第4巻第7号通
巻第30号)第6?9頁、平成5年5月1日、株式会社白夜書
房発行
刊行物7:「パチンコパチスロ攻略情報2」第60?61頁、著者(株
)キャッツ・タイムス社、発行者桑原良夫、発行所(株)2
2世紀社、1989年12月15日初版発行
刊行物8:特開昭59-186580号公報
刊行物9:特開平9-173530号公報

(1)各刊行物に記載の発明
i.刊行物1〔特開平6-335560号公報〕に記載された発明
刊行物1には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0019】さらに、ビッグボーナスゲーム中あるいはボーナスゲーム中ではない通常ゲーム中に、当りライン上に「G」すなわち「JAC」が3つ揃えば、再ゲームが成立して後述するようにコイン投入等を行なうことなくスタート操作を行なうのみで再度可変表示装置70が可変開始される。また、ビッグボーナスゲーム中にこの「G」が有効ライン上に3つ揃えばボーナスゲームの開始が行なわれる。また、ボーナスゲーム中にこの「G」が当りライン上に3つ揃えばボーナスゲーム中の入賞となりコインが15枚払出される。」(第5頁第8欄第22?31行)、
(イ)「【0049】以上説明したように、1ゲームにおけるゲーム結果に賭ける賭数を入力設定するべく遊技者がコインをコイン投入口18から投入するごとにS58によりランダムカウンタのランダム値Rが読出される。そして、遊技者がコインを1枚だけコイン投入口18に投入して1ゲームをスタートさせた場合には、その1枚の投入コインに基づいて読出されたランダム値Rが格納されてそのランダム値Rを利用して可変表示装置の可変停止時の価値付与内容が事前決定される。・・・なお、ランダム値Rの抽出をスタート操作により行なうようにしてもよい。」(第11頁第19欄第40行?第20欄第14行)、
(ウ)「【0051】図9および図12は、リール回転処理のプログラムを示すフローチャートである。」(第11頁第20欄第34?35行)、
(エ)「【0052】次にS66に進み、格納されているランダム値Rを用いて所定の演算を行なう処理がなされる。その所定の演算とは、ランダム値Rに対し所定の値を加算したり減算したり乗じたり除したりあるいはランダム値Rを二乗または三乗したり、あるいは所定の関数にランダム値Rを代入して答えを算出したりする演算である。次にS67に進み、その演算結果を、投入数・設定値・確率変動カウンタ・小役判定モードに応じた当選許容値と比較する処理が行なわれる。
【0053】この当選許容値は、たとえば図10(c),(d)や図11に示されているように、ビッグボーナスゲーム(BB)当選許容値,レギュラーボーナスゲーム(RB)当選許容値,再ゲーム当選許容値,小役当選許容値の4種類から構成されている。この各当選許容値は、テーブルの形でROM47に記憶されている。」(第12頁第21欄第2?17行)、
(オ)「【0059】図11(b)は、3枚賭で、小役判定モードが「高確率時」で、確率変動カウンタの値が「0」以外の場合で、確率設定値が「4」の場合が示されており、図10(a),(b)の表に従って、図11(b)に示すように、各当選許容値が定められている。図11(c)は、3枚賭で、小役判定モードが「高確率時」で、ビッグボーナスゲーム当選フラグセット中あるいはレギュラーボーナスゲーム当選フラグセット中の場合が示されている。この場合には、ビッグボーナスゲーム当選許容値とレギュラーボーナス当選許容値とが存在しない。図11(d)は、3枚賭で、小役判定モードが「ビッグボーナス時」の場合が示されている。この場合はビッグボーナス当選許容値と再ゲーム当選許容値とが存在しない。また、この場合のボーナスゲーム当選許容値は、図10(b)の一番下の行の数値が用いられる。」(第13頁第23欄第2?16行)、
(カ)「【0062】S76では、前記S67による比較結果、ランダム値Rを用いた演算結果がビッグボーナス当選許容値に含まれているか否かすなわち0≦演算結果<b0であるか否かの判断がなされ、含まれている場合にはS77に進み、ビッグボーナス当選フラグがセットされてS80に進む。一方、前記S67による比較結果、ランダム値Rを用いた演算結果がビッグボーナス当選許容値ではないがボーナス当選許容値に含まれている場合(b0≦演算結果<b1)には、S78によりYESの判断がなされてS79に進み、ボーナス当選フラグがセットされてS80に進む。」(第13頁第23欄第49行?第24欄第9行)、
(キ)「【0075】一方、再ゲーム当選フラグがセットされていない場合にはS125に進み、ビックボーナス当選フラグがセットされているか否かの判断が行なわれる。ビックボーナス当選フラグがセットされている場合にはS126に進み、他のリールが停止しているか否かの判断がなされ、他のリールがまだ停止していない場合にはS127に進み、現在の図柄番号から4図柄先以内にビックボーナス図柄(本実施例ではA)があるか否かの判断がなされ、ある場合にはS128によりビックボーナス図柄を有効ライン上に停止させた後S152に進む。一方、現在の図柄番号から4図柄先以内にビックボーナス図柄がない場合にはその回のゲームにおけるビックボーナスゲームの開始を諦めてS139に進む。なお、S127によりNOの判断がなされた場合においても、ビックボーナス当選フラグは引続きセットされたままの状態であるために次回のゲームにおいて再度ビックボーナス図柄を有効ライン上に停止させんとする制御が試みられ、実際にビックボーナス図柄が有効ライン上に停止するまでその試みが繰返し実行される。」(第16頁第29欄第34行?第30欄第2行)、
(ク)「【0082】S166によりビックボーナス入賞であると判断された場合にはS167に進み、各小役当選判定値をビックボーナス時の値にし、ビックボーナスゲームカウンタを「30」にセットし、ボーナス回数カウンタを「3」にセットし、ビックボーナス当選フラグをクリアし、払出し予定数を「15」にセットし、ビックボーナスゲームフラグをセットし、遊技効果ランプを第1態様で点滅させ、ビッグボーナス音をスピーカから発生させる処理が行なわれる。この各小役当選判定値をビックボーナス時の値にセットして各小役当選判定値の個数を大幅に増やす制御がなされるために、各小役当選の確率が大幅に向上し、ビックボーナスゲーム時においては高確率で小役図柄が揃うように制御される。なお、ビッグボーナスゲーム中においては特に小役当選の判定を行なうことなく、複数種類の小役当選フラグのうち所定のものを毎ゲームセットするようにしてもよい。一方、S168によりボーナス入賞であると判断された場合にはS169に進み、ボーナスゲームカウンタを「12」にセットし、JAC入賞カウンタを「8」にセットし、ボーナス当選フラグをクリアし、払出し予定数を「15」にセットし、ボーナスゲームフラグをセットし、遊技効果ランプを第2態様で点滅させ、ボーナス音をスピーカから発生させる処理が行なわれる。」(第17頁第32欄第30行?第18頁第33欄第2行)、
(ケ)「【0096】次にS195Bに進み、現時点におけるランダム値Rを格納する処理がなされ、S195Cにより、その格納した値を用いて所定の演算を行なう処理がなされる。・・・次にS195Dに進み、その演算結果を確率変動当選許容値と比較する処理がなされる。この確率変動当選許容値とは、ビッグボーナスゲーム発生確率を向上させることができる許容値のことである。」(第20頁第37欄第15?26行)、
(コ)「【0097】・・・前記S175,S195Sの処理を行なうことにより、確率変動時になれば、ビッグボーナス当選確率が向上するとともに「高確率時」の小役払出率が100%(いわゆる等倍返し)となるため、ビッグボーナスに当選するまでの間コインを減らさずにゲームを行なうことができる。」(第20頁第38欄第21?26行)、
(サ)「【0098】さらに、確率変動を行なうか否かの抽選時期は実施例に限定されるものではない。たとえば、ビッグボーナス当選時,ビッグボーナス発生時,ビッグボーナスゲーム終了時の次のゲーム,特定の小役発生時,再ゲーム時,ボーナス当選時,ボーナス発生時,ボーナスゲーム終了後の次のゲーム等の時期であってもよい。」(第20頁第38欄第42?47行)、
(シ)「【0110】(7)確率変動状態となったときには、丸1ビッグボーナスゲーム発生確率のみ、丸2レギュラーボーナスゲーム発生確率のみ、丸3各小役発生確率のみ、丸4再ゲーム発生確率のみ、を変動制御するようにしてもよい。」(第22頁第42欄第19?23行)、
(ス)「【0114】(11)確率変動が開始された後所定期間が経過した場合に、確率変動状態を終了させてもよい。たとえば、丸1確率変動状態が開始した後、所定ゲーム数に達した場合やコインが所定累積投入数に達した場合に、終了させてもよい。あるいは、丸2前記(7)に示した確率変動制御の対象となっている役が所定回数発生した場合に確率変動状態を終了させてもよい。」(第23頁第43欄第10?16行)。

前記摘示の記載及び図面によれば、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「所定のスタート信号に応じて遊技機の表示部5L、5C、5Rで複数の図柄を可変表示させるとともに所定の有効ライン上に停止させることができる可変表示装置90と、
遊技者の停止操作により移動表示中の前記図柄を前記有効ライン上に停止させるストップボタン9と、
遊技者の停止操作に応じて前記可変表示装置90における前記図柄の可変表示を停止させる表示制御手段と、
所定のスタート信号に応じてランダム値Rを抽出し、該ランダム値Rの演算結果と、通常ゲーム状態、ビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスの当選フラグのセット状態及びビッグボーナスゲーム状態の各状態に対応して設けられた、ビッグボーナスゲーム、レギュラーボーナスゲーム、再ゲーム及び4種類の小役から構成されている複数の当選役および該複数の当選役の当選確率を当選許容値をもって特定する所定のテーブルとを比較することで、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、再ゲームあるいは小役の種類に相当する当選フラグをセットするか否かを決定する当選処理プログラム手段(S58,S66,S67,S76,S78,S81,S83)と、
前記有効ライン上に停止した前記図柄が、ビッグボーナスゲーム、レギュラーボーナスゲーム、再ゲーム及び4種類の小役から構成されている、予め決定された入賞の組合せであるか否かを判定する入賞判定プログラム手段(S163,S166,S168,S170,S175A)と、
前記当選処理プログラム手段の当選処理結果がビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスの当選フラグがセットされた状態であって前記入賞判定プログラム手段の判定結果が非入賞となったとき、次回のゲームに前記ビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスの当選フラグのセット状態をクリアすることなく持ち越す当選持ち越しプログラム手段(S125?S130)と、
を備えた遊技機において、
前記当選持ち越しプログラム手段は、前記ビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスの当選フラグをいずれか1つのみセット可能であり、
前記入賞判定プログラム手段の判定結果がビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスの入賞となったとき、前記当選持ち越しプログラム手段に記憶されたビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスの当選フラグのセットに基づいてビッグボーナスゲームあるいはボーナスゲームを実行するとともに、前記当選持ち越しプログラム手段に記憶されたビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスの当選フラグをクリアさせ(S167,S169)、ビッグボーナスゲーム状態が終了した直後に通常ゲーム状態に移行させるようになっており、
かつ、ビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスの当選フラグのセット中における当選処理においては、ビッグボーナスゲームとレギュラーボーナスゲームの当選許容値が存在しない(S75Y)とともに、ビッグボーナスゲーム中あるいはボーナスゲーム中における当選処理においては、ビッグボーナスゲームの当選許容値が存在しない(S66,S69,S71,S72)ように、通常ゲーム状態における当選処理のテーブルとは異なるテーブルを使用することによって、
通常ゲーム状態で使用するテーブルが、ビッグボーナスゲーム、レギュラーボーナスゲーム、再ゲーム及び4種類の小役の当選役を当選処理可能であるとともに通常時と高確率時とでは少なくとも小役の当選許容値が異なり、また、ビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスの当選フラグのセット状態で使用するテーブルが、再ゲーム及び4種類の小役の当選役を当選処理可能であり、さらに、ビッグボーナスゲーム状態で使用するテーブルが、ビッグボーナスゲーム以外のボーナスゲーム及び4種類の小役の当選役を当選処理可能である遊技機。」

ii.刊行物2〔特許第2781929号公報〕に記載された発明
(ア)「この当り外れ決定用カウンタはこのプログラムが実行されるごとに「1」ずつ加算されるものであり、その最大値はたとえば「235」であり「235」に達すればクリアされ再度「0」からカウントアップされるものである。そして、「0」の場合は、後述するS33,S34により大当りとなる特定の価値内容が事前決定されて記憶される。」(第5頁第10欄第5?11行)、
(イ)「次に、S33では、当りはずれ決定用カウンタが「0」であるか否かの判断がなされ、「0」であると判断された場合には、S34に進み当り記憶カウンタの「1」の加算処理がなされる。」(第6頁第11欄第31?34行)。

iii.刊行物3〔パチスロ必勝ガイド1993年6月号〕に記載された発明
(ア)「裏ROMプログラムの流れを解説していこう。裏プログラムが起動するのは、ビッグのフラグが成立してからである。他の役には、何ら加工は加えられていない。判定の合否がそのままフラグの成立、不成立になる。出現率の低さから、今までいろんな推測がなされていたレギュラーについても、これは同じだ。ビッグの抽選に合格すると、貯金か否かの判定に進む。この確率は前述のように貯金設定値で変わる。ここで貯金でなければ、ビッグのフラグが成立。当たり前だがこのビッグは連チャンしない。」(第9頁第3段第9?24行)、
(イ)「貯金が選択されると貯金カウンター(貯金の数を記憶)を+1。そしてこの数値が、あらかじめ決められていた目標貯金数に到達しているかを参照する。到達していなければ、貯金決定。設定された数が貯まるまで、前記の方式で貯金し続ける。つまり言い返すと、目標貯金数に到達していれば、貯金の放出が始まるのである。なお、ここで貯金カウンターは“連チャン残り回数”に加算され、これを新しい連チャン残り回数とする。紛らわしい処理だが、貯金カウンターと連チャン残りの回数は、要するに機能的には同じ意味。混乱しないように。あくまでもプログラムがそうなっているという話である。連チャンビッグフラグ成立後は、よくあるお決まりのパターンだ。高確率でビッグのフラグを再抽選(確率は放出確率設定値による)。当選すれば、ビッグのフラグが成立。そして連チャン残り回数を-1。この数値が0になるまで高確率抽選を続ける。」(第10頁第1段第1?37行)、
(ウ)パチスロ機「Triumph」の写真(第8頁右下)、
(エ)「これが裏トライアンフの連チャンの仕組みだ」のフローチャート
「BIGフラグは成立したか?YES→・・・貯金目標数に達したか?NO→通常設定値にしたがった各役の抽選を行う」(第8頁?第9頁下欄)、
(オ)「通常設定別各役の確率」の表(第11頁右下)、
(カ)「放出スピード設定別放出確率」の表(第11頁左下)。

iv.刊行物4〔パチンコ攻略マガジン増刊10月28日号、パチスロ攻略マガジンNo.5〕に記載された発明
(ア)「まず、この機種のボーナスの抽選は、他機種と全く同じ方法で行なわれる。つまり、コインを投入し、リールが回転を始めてストップボタンが点灯したその瞬間に行なわれる。そして、ビッグボーナスのフラグが成立して、成立したそのプレーで7の絵柄を目押ししていると、当然7がそろう。これも、他機種と同じだ。しかし、成立したプレーで7がそろわなかった場合の、貯留→大放出のパターンは、ワイルドキャッツとセブンボンバー独自の抽選方法が用いられている。ただし、両機種はそれぞれ微妙に貯留の仕方が異なるので、先にワイルドキャッツに的を絞って話をすすめていくことにしよう。もし、ビッグボーナスのフラグが成立したそのプレーで、7がそろえられなかった場合は、次の抽選が行なわれる。そして、
(1)成立したフラグを貯留する
(2)貯留せず、7がそろうまでフラグをたてた状態のままにしておく
このどちらかに決められる。この時(1)の貯留される確率は約55%になる。そして、運悪く貯留の抽選を引いてしまうと、ビッグボーナス絵柄がそろうことはなく、放出のチャンスが訪れるまで、マシン内部に貯留されてしまう。もし(1)を引いた場合は、見分ける方法がある。丸1?丸4の、小役が絡まない高確率のリーチ目が出る。したがって、丸1?丸4のリーチ目が出て、なおかつ次のプレーで7を目押ししたが、そろわなかった場合は、抽選で運悪く貯留されてしまったことになる。ただし、貯留したビッグボーナスのフラグはちゃんと覚えておいて、あとでまとめて放出してくれる。したがって、それほどガッカリする必要はない。また、(2)を引く確率は残りの約45%となっていて、フラグは成立したままの状態なので、いつでも7をそろえることができる。しかもうれしいことに、(2)を抽選した場合の特典として、もしそれまでにビッグボーナスのフラグが貯留されていれば、そのぶんのフラグを一気に放出してくれるのだ。これをまとめてみると、次のようになる。ビッグボーナスのフラグが成立したプレーで7をそろえられなかった場合は、貯留の抽選が行われる。そして運良く貯留されなければ、7の絵柄がそろったあと、それまで貯め込んでいたフラグを放出する。ということである。」(第70頁第1段第28行?第2段第35行、第71頁第3段第1?14行)、
(イ)「もし、運良く抽選で(2)を引いて7をそろえた場合は、ボーナスゲーム終了後から、43分の1という高確率で貯め込んでいたビッグボーナスのフラグを放出してくれる。もちろん、抽選で放出となったフラグが、再び貯留となることはない。また、この放出時でも、通常プレーと同様に両ボーナスの抽選は行なわれている。」(第71頁第3段第35行?第4段第6行)、
(ウ)「セブンボンバーの連チャン理論」のフローチャート(第71頁左上)。

v.刊行物5〔パチンコ攻略マガジン増刊8月19日号、パチスロ攻略マガジンNo.4〕に記載された発明
(ア)「まず、次ページの図を見てほしい。これがワイルドキャッツの連チャンの理論である。連チャンする台のマシン内部には、このように成立したボーナスフラグを、抽選を行って保留する機構があったのだ。(第88頁第1段第9?13行)、
(イ)「連チャンする台の場合でも、ビッグボーナスのフラグが成立したそのプレーで7の絵柄がそろった場合は、他機種同様にビッグボーナスのゲームに入ることができる。ところが、フラグが成立したプレーで7の絵柄がそろえられなかった場合は約1.8分の1の確率(55.6%)で、フラグが保留カウンターに保留されてしまうのだ。そして、保留されたビッグボーナスのフラグは、次のビッグボーナス終了後に、毎プレー抽選確率を43分の1(セブンボンバーではさらに高くなっているらしい)と高確率に上げて、返してくれるというわけである。」(第88頁第1段第20行?第2段第6行)、
(ウ)「連チャン抽選の概略図」のフローチャート(第89頁上欄)。

vi.刊行物6〔パチスロ必勝ガイド1993年5月号〕に記載された発明
(ア)「さて、そんな情勢下の中、またまたとんでもない機能を満載した凄い裏モノが発覚した。機種は「トライアンフ」「ミスターマジック」「アラジンII」。出玉率を調整する通常の6段階設定に加え、一度立ったフラグを貯め込む確率を調整する設定が11段階、貯金したフラグを吐き出す確率を調節する設定が9段階、連チャンモードに突入した際の再抽選確率を調節する設定が9段階、なんとトータルで5346種類ものゲーム性がコントロール可能な機能を登載しているのである。」(第7頁第1段第2行?第2段第5行)、
(イ)「元祖貯金マシン、ワイルドキャッツは一度立ったビッグボーナスのフラグを約2分の1の確率で貯金していたわけだが、今回の裏モノ3機種は貯金確率自体が調節できるようになっている。」(第8頁第1段第1?6行)、
(ウ)「連チャンシステムの(予想)流れ図」のフローチャート(第9頁下欄)。

vii.刊行物7〔パチンコパチスロ攻略情報2〕に記載された発明
(ア)「小役の保留システム
小役が発生した場合、機械側は役を揃えようとするが、プレイヤーのドラムの止め方によって小役が揃わなかった場合は、その役は保留されることになる。小役はチェリー・オレンジ・ベル(ライム兼用)ごとに最高7個まで保留される。だがそれ以上小役が乱数とマッチングしても消滅してしまう。
ビッグボーナス・レギュラーボーナスに関しては最大保留数は1であるため、フラグが成立した場合、役を揃えない限り再び乱数とマッチングはしない。そして一度立ったボーナスのフラグは消滅することはない。」(第60頁下段第5?15行)、
(イ)「複合役の判定
複合役とは 2種類以上の小役が同時に揃うことであり、「ファイヤーバード7U」ではチェリーとオレンジの複合役がある。この機種は各小役が揃う度保留している数を減らすように計算をしているが、その揃い方については特別な処理をしていない。つまり、小役が揃った場合はその小役の保留数を減らすだけで払い出されるコイン枚数までは計算していない。」(第61頁上段第1?8行)。

viii.刊行物8〔特開昭59-186580号公報〕に記載された発明
(ア)「スタートレバーの操作により回転駆動される複数のリールと、これらのリールを停止させるリールストップ手段とを有するスロットマシンにおいて、前記リールの回転駆動後に、順次発生される乱数列から一つの乱数を特定するサンプリング手段と、前記特定された乱数が確率テーブル中のいかなる群に属するかを比較照合する手段と、前記比較照合の結果を入賞ランク別のリクエスト信号として出力するリクエスト発生手段と、前記リクエスト信号を評価し、前記リールのストップ位置を設定すると共に、前記リールストップ手段を制御するリールストップ制御手段とを備えたことを特徴とするスロットマシン。」(第1頁左下欄第5?18行)、
「第9図は発生、更新される乱数値のサンプリング、ヒットリクエストチェック処理のフローチャートである。このフローチャートは、第4図に示したフローチャートにおける“ヒットリクエスト”処理に該当するもので、ゲーム開始後例えばスタートレバーの操作後の所定のタイミング信号・・・により、その時点で乱数値RAM80(第8図)に存在する乱数値をそのゲームの乱数値として決定する。こうして決定された乱数値は第9図のフローチャートに従い、後述する入賞確率テーブルと照合され、大ヒットに該当する数値であれば大ヒットリクエスト信号の発生、また中ヒットに該当する数値であれば中ヒットリクエスト信号の発生というように小ヒットまでの判断、処理がなされいずれかのヒットリクエストが発生されるかあるいはヒットリクエストなしかがチェックされることになる。」(第5頁左上欄第12行?右上欄第9行)、
「さらにRAM5には得られたヒットに応じたエリア、すなわち大ヒットエリア5a、中ヒットエリア5b、小ヒットエリア5c、ヒットなしのエリア5dにフラグがセットされる。」(第7頁左下欄第18?右下欄2行)、
「また、リールの処理は4コマずれを想定して説明してきたが、このためヒットリクエストに対応したシンボルがその4コマずれの範囲内に存在しないこともあり得る。(特に大ヒットシンボルは少ないため、充分あり得る。)このような場合にはヒットリクエストを満足しない結果となってしまい、設定された入賞確率が低下することになり、特に大ヒットでその影響が大きくなる。これを適正化するためには、ヒットリクエストが発生されながらも入賞なしとなった場合にはそのヒットリクエストを次回のゲームまで保存するようにすればよい。」(第9頁右下欄第10行?第10頁左上欄第1行)。
「すなわち、前述したヒットリクエストが発生すると、各ヒットリクエストをカウントするリクエストカウンタが+1され、RAM上にストアされる。そして、ヒットした際に、そのリクエストカウンタは-1の減算処理が行われる。また、ヒットしない場合にはそのまま保存され、最終的にリクエストカウンタが零になるまでヒットリクエストが発生し、このためにペイアウト率は一定に保たれる。」(第17頁左上欄第8?15行)。

ix.刊行物9〔特開平9-173530号公報〕に記載された発明
(ア)「【請求項1】 一般遊技中に抽選を行う抽選手段と、この抽選手段の抽選結果により、一般遊技より有利な条件で遊技を行わせる特別遊技に移行させる特別遊技移行手段とを備えたスロットマシンにおいて、上記抽選手段は、特別遊技の継続中も、次回の特別遊技に移行させるか否かの抽選を行い、上記特別遊技移行手段は、特別遊技の継続中、前記抽選手段の抽選結果により、次回の特別遊技に移行させるようにしたことを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】 特別遊技移行手段は、次回の特別遊技の終了後、前回の特別
遊技から次回の特別遊技への移行時点に復帰させて、前回の特別遊技を継続させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のスロットマシン。」(第2頁第1欄第2?14行)、
(イ)「【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、スロットマシンに関し、特に特別遊技、例えばいわゆるビッグボーナスの継続中に、さらに次回のビッグボーナスの抽選を行わせるようにしたものである。」(第2頁第1欄第19?23行)、
(ウ)「【0030】 また、第1回目のビッグボーナスでは、上記したレギュラーボーナスが所定回数、例えば3回行われるか、或いはこれ以外の一般遊技が所定回数、例えば30回行われるまでの間、継続してビッグボーナスを行うことができる。上記した第1回目のビッグボーナスの遊技中にも、抽選手段141により、一般遊技よりも有利な条件で遊技を行わせるビッグボーナスに移行させるか否かの抽選を行い、この抽選結果がビッグボーナスに移行させるものである場合には、遊技者に対して、第2回目のビッグボーナスに移行するための権利が与えられる。」(第4頁第5欄第43行?第6欄第3行)、
(エ)「【0034】 そして、第3回目のビッグボーナスが終了すると、上記した第2回目のビッグボーナスから第3回目のビッグボーナスへ移行した時点に戻り、第2回目のビッグボーナスを継続することができる。なお、上記したように、順次、ビッグボーナス中に、さらに次回のビッグボーナスに移行させるか否かの抽選を行うようにしても良いが、次回のビッグボーナスへの移行回数を制限するようにしても良い。すなわち、例えばビッグボーナスに移行させるか否かの抽選は、ビッグボーナスの継続中ではない一般遊技中及び第1回目のビッグボーナスにおいてのみ行わせ、第2回目のビッグボーナスにおいては、第3回目のビッグボーナスに移行するための抽選は行わないようにしても良い。このようにビッグボーナスへの移行回数は、適宜設定することができる。」(第4頁第6欄第35?48行)。

(2)対比及び判断
(2-1)本件訂正発明1について
i.本件訂正発明1と引用発明(刊行物1に記載された発明)との対比
本件訂正発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「図柄」、「可変表示」、「ストップボタン9」、「スタート信号」、「通常ゲーム」、「ビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスの当選フラグのセット」、「ビッグボーナスゲームあるいはボーナスゲーム」、「ビッグボーナスゲーム、レギュラーボーナスゲーム、再ゲーム及び小役」、「テーブル」、「比較」、「当選フラグのセット」、「当選処理プログラム手段(S58,S66,S67,S76,S78,S81,S83)」、「入賞判定プログラム手段(S163,S166,S168,S170,S175A)」及び「当選持ち越しプログラム手段(S125?S130)」は、それぞれの機能に照らし、それぞれ本件訂正発明1の「絵柄」、「移動表示」、「停止手段」、「開始信号」、「一般遊技」、「ボーナス役の内部当たり」、「ボーナスゲーム」、「複数の抽選役」、「確率テーブル」、「照合」、「内部当たり」、「抽選処理手段」、「入賞判定手段」及び「ボーナス役内部当たり記憶手段」に相当する。
また、引用発明においては、抽出した「ランダム値R」に所定の演算を施したものをもって照合(比較)に利用しているが、該演算の前後を通じて乱数特性を保持するから、いずれも本件訂正発明1の「乱数」に相当する。
そして、本件訂正発明1と引用発明は、いずれもボーナスゲームを実行すると、ボーナス役内部当たり記憶手段に記憶されたボーナス役の内部当たりの数を(1→0を含めて)更新させるようになっている点で共通する。
さらに、引用発明における「ビッグボーナスゲーム中あるいはボーナスゲーム中における当選処理においては、ビッグボーナスゲームの当選許容値が存在しない(S66,S69,S71,S72)」ことは、本件訂正発明1における「ボーナスゲーム状態に対応して設けられた確率テーブルと一般遊技状態に対応して設けられた確率テーブルとでは、少なくともボーナス役の抽選確率が相違し」ていることに相当するとともに、引用発明における「ビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスの当選フラグのセット状態で使用するテーブルが、再ゲーム及び小役の2種類の当選役を当選処理可能であり」ということ及び「通常ゲーム状態で使用するテーブルが、ビッグボーナスゲーム、レギュラーボーナスゲーム、再ゲーム及び4種類の小役の当選役を当選処理可能であるとともに通常時と高確率時とでは少なくとも小役の当選許容値が異なり」ということは、本件訂正発明1における「ボーナス役の内部当たり状態に対応して設けられた確率テーブルと一般遊技状態に対応して設けられた確率テーブルとでは、ボーナス役以外の抽選確率において相違する」ことに相当する。
そうすると、本件訂正発明1と引用発明は、下記の点で一致並びに相違するものと認められる。
一致点.「複数の絵柄を移動表示させるとともに所定の有効ライン上に停止させることができる可変表示装置と、
遊技者の操作により移動表示中の前記絵柄を前記有効ライン上に停止させる停止手段と、
所定の開始信号に応じて乱数を抽出し、該乱数の抽出値と、一般遊技状態、ボーナス役の内部当たり状態及びボーナスゲーム状態の各状態に対応して設けられた、複数の抽選役および該抽選役の当選確率を特定する所定の確率テーブルとを照合することで、内部当たりか否かを決定する抽選処理手段と、
前記有効ライン上に停止した前記絵柄が、予め決定された入賞の組合せであるか否かを判定する入賞判定手段と、
前記抽選処理手段の抽選処理結果がボーナス役の内部当たりとなった状態であって前記入賞判定手段の判定結果が非入賞となったとき、次回のゲームに前記ボーナス役の内部当たり状態を持ち越すボーナス役内部当たり記憶手段と、を備えた遊技機において、
前記入賞判定手段の判定結果がボーナス役の入賞となったとき、前記ボーナス役内部当たり記憶手段に記憶されたボーナス役の内部当たりに基づいて所定のボーナスゲームを実行するとともに、前記ボーナス役内部当たり記憶手段に記憶されたボーナス役の内部当たりの数を更新させるようになっている、遊技機。」
相違点A.ボーナス役内部当たり記憶手段が、本件訂正発明1は、ボーナス役の内部当たりを2つ以上記憶可能であり、ボーナス役の内部当たりが持ち越された状態における抽選処理手段の抽選処理結果が更にボーナス役の内部当たりとなった場合には、前記持ち越し分のボーナス役の内部当たりに加え、前記抽選処理結果を記憶し、ボーナスゲームを実行すると前記ボーナス役内部当たり記憶手段に記憶されたボーナス役の内部当たりの数を1つ減少させる構成を備えているのに対し、引用発明は、ボーナス役の内部当たりを1つのみ記憶可能であり、ボーナスゲームを実行すると、前記ボーナス役内部当たり記憶手段に記憶されたボーナス役の内部当たりをクリアさせるものであって、本件訂正発明1に係る前記構成を備えていない点。
相違点B.本件訂正発明1は、ボーナスゲームを実行すると、残りのボーナス役の内部当たりが存在することに基づいて、ボーナスゲーム状態が終了した後の抽選条件を、ボーナスゲーム状態が終了した直後のゲームからボーナス役の内部当たり状態に移行させるように変更する構成を備えているのに対し、引用発明は、ボーナスゲーム状態が終了した直後のゲームから一般遊技状態に移行させるものであって、本件訂正発明1に係る前記構成を備えていない点。

ii.相違点Aの検討
相違点Aについて、刊行物3、刊行物4、刊行物5、刊行物6、刊行物8、刊行物9の記載を検討する。
まず、刊行物3には、「裏トライアンフ」なる機種について、スタートして最初に通常設定値にしたがった各役の抽選を行い、ビッグの抽選に合格すると、貯金か否かの判定に進み、貯金が選択されると貯金カウンターを+1し、目標貯金数に到達していなければ、貯金が決定され、再び最初に戻り、通常設定値にしたがった各役の抽選を行い、設定された目標貯金数に到達すると貯金の放出が始まり、連チャンビッグフラグが成立し、連チャン残り回数を-1するものが記載されている。また、刊行物3の第8-9頁に記載の「これが裏トライアンフの連チャンの仕組みだ」のフローチャートには、「START」→「通常設定値にしたがった各役の抽選を行う」→「BIGフラグは成立したか」YES→「貯金設定に応じた貯金抽選を行う」→「貯金か?」NO→「単発BIGフラグ成立」→「通常設定値にしたがった各役の抽選を行う」という動作手順、すなわち、当該パチスロ機において、各役の抽選によりBIGフラグが成立した場合に貯金設定に応じた貯金抽選を行い、該貯金抽選により貯金が選択されたときは単発BIGフラグが成立する動作手順が示され、ついで、該刊行物3の第11頁に記載の「(貯金確率設定別)貯金確率」の表には、設定0のときに貯金確率が0/256、すなわち0%となるものが記載されており、これからすると、貯金確率の設定を0にした場合に成立するBIGフラグは、いずれも単発BIGフラグとして処理されるため、ゲームを継続的に行うことで複数発生したときのボーナス役の内部当たりは、すべて単発BIGフラグの集合により形成されることになるから、前記単発BIGフラグの集合をボーナス役の内部当たりとして記憶する記憶手段において、ボーナス役の内部当たりを2つ以上記憶可能な構成であることは当業者にとって明らかである。なお、刊行物3に紹介されている「裏トライアンフ」が違法機であることは、当業者が当該刊行物の記載からその発明の技術的構成を理解することと無関係である。
同じく、刊行物4には、「ワイルドキャッツ」なるパチスロ機について、他機種と同じ方法でボーナスの抽選が行われ、ビッグボーナスのフラグが成立して、成立したそのプレーで7の絵柄がそろわなかった場合に貯留するか否かの抽選が行われ、貯留の抽選を引くと放出のチャンスが訪れるまでマシン内部に貯留され、後にビッグボーナスのフラグが成立して7の絵柄がそろったときに、それまで貯め込んでいたフラグを43分の1という高確率で該貯留フラグがなくなるまで放出するものが記載されている。また、刊行物4に記載される「セブンボンバー」なるパチスロ機について、ボーナス役の内部当たりが成立したそのプレーで7がそろえられなかった場合は、100%成立したフラグを貯留するものが記載されており、これからすると、初回のボーナス役内部当たりを格納する記憶手段と、次回(2回目)以降に抽選されるボーナス役内部当たりの格納手段とにより、ボーナス役の内部当たりを2つ以上記憶可能な構成であることは当業者にとって明らかである。
同じく、刊行物5には、「ワイルドキャッツ」なるパチスロ機について、スタートしてビッグの通常抽選でビッグボーナスのフラグが成立し、そのプレーで7の絵柄がそろえられなかった場合は、約1.8分の1の確率でフラグが保留カウンターに保留されてしまい、保留されたビッグボーナスのフラグは、次のビッグボーナス終了後に、毎プレー抽選確率を43分の1の高確率で返してくれるものが記載されている。
同じく、刊行物6には、「トライアンフ」「ミスターマジック」「アラジンII」なる3種のパチスロ機について、スタートして正規の確率でビッグの抽選を行い、ビッグの抽選に当たると貯金抽選を行い、貯金の抽選に当たると貯金カウンターを+1し、貯金放出抽選に当たると貯金放出モードに移行し、連チャンモードに応じてビッグのフラグが成立すると貯金カウンターを-1するものが記載されている。
同じく、刊行物8には、スロットマシンについて、大ヒットを含む入賞ランク別のヒットリクエスト、すなわちボーナス役の内部当たりが発生すると、各ヒットリクエストをカウントするリクエストカウンタを+1し、実際にヒットした際にそのリクエストカウンタを-1し、また、実際にヒットしない場合にはそのまま保存され、最終的にリクエストカウンタが0になるまでヒットリクエストが発生するものが記載されており、これからすると、前記リクエストカウンタは、実際にヒットしない場合には、ヒットリクエストが発生する毎にリクエストカウンタを逐次+1することになるから、リクエストカウンタによりボーナス役の内部当たりを2つ以上記憶可能な構成であることは当業者にとって明らかである。
同じく、刊行物9には、スロットマシンについて、一般遊技中及びビッグボーナスの遊技中に、次回のビッグボーナスに移行させるか否かの抽選を行い、抽選結果がビッグボーナスに移行させるもの、すなわちボーナス役の内部当たりである場合には、次回のビッグボーナスの遊技に移行するための権利が与えられ、ここでビッグボーナスに移行させる表示態様が停止表示された場合には、直ちに次回のビッグボーナスに移行させるものが記載されており、該刊行物9における一般遊技中には、本件訂正発明1における一般遊技状態とボーナス役の内部当たり状態とが含まれるとともに、次回のビッグボーナスの遊技に移行するための権利が遊技中に複数回にわたって発生した場合には、該権利がすべて保存されることからすると、ボーナス役の内部当たりを2つ以上記憶可能な構成であることは当業者にとって明らかである。
そうすると、引用発明に示される、ボーナス役の内部当たりを1つのみ記憶可能な構成に代えて、前記刊行物3、刊行物4、刊行物5、刊行物6、刊行物8、刊行物9に示される技術(以下「周知技術A」という。)を採用して、前記相違点Aに係る本件訂正発明1のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。

iii.相違点Bの検討
相違点Bについて、刊行物3、刊行物4、刊行物5、刊行物6、刊行物8の記載を検討する。
まず、刊行物8には、ボーナス役の内部当たりを2つ以上記憶可能としたスロットマシンについて、最終的にボーナス役の内部当たりが0になるまでボーナス役の内部当たりが発生することが記載されており、これからすると、ボーナスゲーム終了後の1ゲーム目からボーナス役の内部当たり状態に移行させる構成であることは当業者にとって明らかである。
また、刊行物3乃至6には、各種のパチスロ機について、ボーナス役の内部当たりについて貯金が行われている場合に、所定のボーナスゲーム状態が終了した直後のゲームから、所定の確率で前記貯金されたボーナス役の内部当たりをもって内部当たり状態に移行させるようにした構成が記載されている。特に、刊行物3に記載の「裏トライアンフ」なるパチスロ機において、その貯金確率を0に設定した場合には、実行中のボーナスゲーム状態が終了したことを条件に、記憶されている残りの単発BIGフラグによるボーナス役をもって1ゲーム目から内部当たり状態に移行させるものとなることは当業者にとって明らかである。
そうすると、引用発明における、ボーナスゲーム状態が終了した直後の一般遊技状態において、前記刊行物3、刊行物4、刊行物5、刊行物6、刊行物8に示される技術(以下「周知技術B」という。)に基づいて、前記相違点Bに係る本件訂正発明1のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。

iv.特許権者は、ボーナスゲーム状態が終了した直後のゲームからボーナス役の内部当たり状態に移行させることについて、刊行物3乃至6の記載からは想到できない旨主張するが、相違点Bに係る本件訂正発明1の構成は、本件特許の設定登録時の特許明細書の段落【0036】に「ボーナスゲーム状態が終了した直後の一般遊技状態における特定回数のゲーム(例えば1ゲーム目)からボーナスフラグ成立状態(BB、RB内部当たり中)に移行させ」と記載されていたものに基づき、これから刊行物3乃至6にもっぱら記載される、複数回数目のゲームからボーナス役の内部当たり状態に移行させるパチスロ機を回避するために、「1ゲーム目」に相当するものに発明を限定して訂正する程度の事項であって、ボーナス役の内部当たり状態に移行させるゲーム回数の起点を何回目に設定するかは、前記刊行物3に記載のパチスロ機において、その貯金確率を0に設定した場合にボーナスゲーム終了後の1ゲーム目から内部当たり状態に移行させるものを含むことからみても、当業者が任意に選択すべき単なる設計的事項にすぎないというべきである。

v.本件訂正発明1の作用効果の検討
本件訂正発明1の作用効果は、引用発明及び前記周知技術A及びBに基づいて、当業者が容易に予測できるものである。

vi.小括
よって、本件訂正発明1は、引用発明及び前記周知技術A及びBに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(2-2)本件訂正発明2について
i.本件訂正発明2と引用発明(刊行物1に記載された発明)との対比
前記(2-1)i.における本件訂正発明1と引用発明との対比を踏まえて、本件訂正発明2と引用発明とを対比すると、本件訂正発明2と引用発明は、下記の点で一致並びに相違するものと認められる。
一致点.「所定の開始信号に応じて遊技機の表示部で複数の絵柄を移動表示させるとともに、遊技者の停止操作に応じて該絵柄の移動表示を停止させる表示制御手段と、
一般遊技状態、ボーナス役の内部当たり状態及びボーナスゲーム状態の各状態で前記開始信号を受け付けたとき、複数の抽選役及び該抽選役の当選確率を特定する所定の確率テーブルに基づいて抽選処理を実行し、ボーナス役の内部当たりか否かを決定する抽選処理手段と、
該抽選処理手段の抽選結果がボーナス役の内部当たりである場合であって前記絵柄の移動表示が停止したとき、該停止した絵柄が前記ボーナス役の内部当たりに対応する入賞絵柄の組合せになったか否かを判定する入賞判定手段と、を備えた遊技機の制御装置において、
前記抽選処理手段が、
前記ボーナス役の内部当たり状態及び前記ボーナスゲーム状態のうち少なくとも一つの利益状態における抽選処理を実行するとき、前記一般遊技状態における抽選処理の確率テーブルよりボーナス抽選確率の低い確率テーブルを使用するとともに、
ボーナス役内部当たり記憶手段を併有する遊技機の制御装置。」
相違点C.ボーナス役の内部当たり状態及びボーナスゲーム状態のうち少なくとも一つの利益状態における抽選処理を実行するときに使用する、一般遊技状態における抽選処理の確率テーブルよりボーナス抽選確率の低い確率テーブルが、本件訂正発明2は、ボーナス抽選確率が0を超えるものであるのに対し、引用発明は、ボーナス役の内部当たり状態及びボーナスゲーム状態のいずれにおいてもビッグボーナス抽選確率が0のものである点。
相違点D.ボーナス役内部当たり記憶手段が、本件訂正発明2は、利益状態における抽選結果がボーナス役の内部当たりであるとき、該抽選結果を記憶する構成を備えているのに対し、引用発明は、本件訂正発明2に係る前記構成を備えていない点。
相違点E.抽選処理手段が、本件訂正発明2は、ボーナス役内部当たり記憶手段に記憶した抽選結果として残りのボーナス役の内部当たりが存在することに基づいて、ボーナスゲーム状態が終了した後の抽選条件を、ボーナスゲーム状態が終了した直後のゲームからボーナス役の内部当たり状態に移行させるように変更する構成を備えているのに対し、引用発明は、ボーナスゲーム状態が終了した直後のゲームから一般遊技状態に移行させるものであって、本件訂正発明2に係る前記構成を備えていない点。

ii.相違点Cの検討
相違点Cに係る本件訂正発明2の構成は、本件特許明細書に「現在ボーナス内部当たり中であった場合に、確かにボーナス抽選は行うが一般遊技中の抽選データより低確率に設定されていることから、むやみにボーナスフラグを当選させず、遊技者と店との利益のバランスが計れる。」(段落【0066】)と記載されるように、一般遊技状態のときよりもボーナス役の内部当たり状態又はボーナスゲーム状態におけるボーナス役の当選確率を低くして、ボーナスゲームが連続して発生するのをある程度制限することで遊技者と店との利益のバランスを計るという技術的意義のものである。
まず、相違点Cに係る本件訂正発明2の構成のうち、「ボーナス役の内部当たり状態及びボーナスゲーム状態のうち少なくとも一つの利益状態における抽選処理を実行するとき、ボーナス抽選確率が0を超える確率テーブルを使用する」という構成は、前記相違点A及びBの検討において示したように、周知技術(例えば、刊行物3、刊行物4、刊行物5、刊行物6、刊行物8、刊行物9参照。以下「周知技術C」という。)である。
ところで、刊行物9〔特開平9-173530号公報〕には、「順次、ビッグボーナス中に、さらに次回のビッグボーナスに移行させるか否かの抽選を行うようにしても良いが、次回のビッグボーナスへの移行回数を制限するようにしても良い。すなわち、例えばビッグボーナスに移行させるか否かの抽選は、ビッグボーナスの継続中ではない一般遊技中及び第1回目のビッグボーナスにおいてのみ行わせ、第2回目のビッグボーナスにおいては、第3回目のビッグボーナスに移行するための抽選は行わないようにしても良い。このようにビッグボーナスへの移行回数は、適宜設定することができる。」(第4頁第6欄第39?48行)と記載されるように、第2回目以降のボーナスゲーム状態におけるボーナス役の当選確率を0として、ボーナスゲームが2回まで連続して発生するのを許容し、3回以上連続して発生するのを制限することが示されており、これが遊技者と店との利益のバランスを計るという技術的意義のものであることは明らかである。
また、引用発明を認定した刊行物1には、「【0097】確率変動時になれば、ビッグボーナス当選確率が向上するとともに・・・ビッグボーナスに当選するまでの間コインを減らさずにゲームを行なうことができる。」、「【0098】確率変動を行なうか否かの抽選時期は実施例に限定されるものではない。たとえば、ビッグボーナス当選時,ビッグボーナス発生時,ビッグボーナスゲーム終了時の次のゲーム,特定の小役発生時,再ゲーム時,ボーナス当選時,ボーナス発生時,ボーナスゲーム終了後の次のゲーム等の時期であってもよい。」、「【0110】(7)確率変動状態となったときには、丸1ビッグボーナスゲーム発生確率のみ、丸2レギュラーボーナスゲーム発生確率のみ・・・を変動制御するようにしてもよい。」、「【0114】前記(7)に示した確率変動制御の対象となっている役が所定回数発生した場合に確率変動状態を終了させてもよい。」と記載されるように、ボーナス役が所定回数発生した後にその役の当選確率を現在の高確率状態から通常確率状態に低下させる確率変動制御技術が示されており、該技術がボーナス役の当選確率を低下させることにより、ボーナス役が所定回数を超えて連続して発生することやコインを減らさずにゲームを行なえることをある程度制限して遊技者と店との利益のバランスを計る手法であることは技術常識である。そして、前記刊行物1に記載の「ボーナス役が所定回数発生した後にその当選確率を低下させる」ことが、ボーナス役が連続して発生することを確率操作によって制限する機能において、相違点Cに係る本件訂正発明2の構成における、「一般遊技状態における抽選処理のときよりもボーナス抽選確率が低い確率テーブルを使用する」ことに対比できることは明らかである。
そうすると、引用発明に示される、ボーナス役の内部当たり状態及びボーナスゲーム状態において使用される確率テーブルについて、前記周知技術Cを採用するとともに、前記刊行物9及び刊行物1に記載される、ボーナスゲームが連続して発生するのをある程度制限することを課題に、その具体的実現手段として、該刊行物9に示される、ボーナスゲーム状態においてボーナス役の当選回数を直接制限する手法に代えて、前記刊行物1に示される、当選回数の期待値である当選確率を低下させるという等価な手法を採用して、前記相違点Cに係る本件訂正発明2のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。

iii.相違点Dの検討
相違点Dに係る本件訂正発明2の「利益状態における抽選結果がボーナス役の内部当たりであるとき、該抽選結果を記憶する」という構成は、相違点Aに係る本件訂正発明1の構成と比較すると、相違点Aに係る本件訂正発明1の構成に実質的に含まれるものであるところ、前記相違点Aの検討にて示したように、前記相違点Aに係る本件訂正発明1の構成は、周知技術Aに基づいて当業者が容易に想到できるものである。
そうすると、引用発明において、前記周知技術Aに基づいて、前記相違点Dに係る本件訂正発明2のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。

iv.相違点Eの検討
相違点Eに係る本件訂正発明2の構成は、相違点Bに係る本件訂正発明1の構成と比較すると、相違点Bに係る本件訂正発明1の構成と実質的に同一であるところ、前記相違点Bの検討にて示したように、前記相違点Bに係る本件訂正発明1の構成は、周知技術Bに基づいて当業者が容易に想到できるものである。
そうすると、引用発明において、前記周知技術Bに基づいて、前記相違点Eに係る本件訂正発明2のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。

v.本件訂正発明2の作用効果の検討
本件訂正発明2の作用効果は、引用発明及び前記周知技術A乃至Cに基づいて、当業者が容易に予測できるものである。

vi.小括
よって、本件訂正発明2は、引用発明及び前記周知技術A乃至Cに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(2-3)本件訂正発明3について
i.本件訂正発明3と引用発明(刊行物1に記載された発明)との対比
前記(2-2)i.における本件訂正発明2と引用発明との対比を踏まえて、本件訂正発明3と引用発明とを対比すると、本件訂正発明3と引用発明は、本件訂正発明2と引用発明との前記一致点及び相違点C乃至Eに加えて、下記の点で一致並びに相違するものと認められる。
一致点.「一般遊技状態及びボーナス役の内部当たり状態で使用する確率テーブルが、小役、再遊技を抽選可能で、
前記ボーナスゲーム状態で使用する確率テーブルが、前記所定のボーナス抽選役以外の抽選役を抽選可能である遊技機の制御装置。」
相違点F.ボーナス役の内部当たり状態で使用する確率テーブルが、本件訂正発明3は、所定のボーナス抽選役を抽選可能なものであるのに対し、引用発明は、本件訂正発明3に係る前記構成を備えていない点。

ii.相違点C乃至Eの検討
本件訂正発明3が引用する、相違点C乃至Eに係る本件訂正発明2の構成は、前記(2-2)ii乃至iv.において検討したとおり、引用発明及び前記周知技術A乃至Cに基づいて当業者が容易に想到できるものである。

iii.相違点Fの検討
相違点Fに係る本件訂正発明3の「ボーナス役の内部当たり状態で使用する確率テーブルが、所定のボーナス抽選役を抽選可能な」という構成は、相違点Cの検討にて示したように、周知技術(例えば、刊行物3、刊行物4、刊行物5、刊行物6、刊行物8、刊行物9参照。以下、同じく「周知技術C」という。)であるから、引用発明において、前記周知技術Cに基づいて、前記相違点Fに係る本件訂正発明3のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。

iv.本件訂正発明3の作用効果の検討
本件訂正発明3の作用効果は、引用発明及び前記周知技術A乃至Cに基づいて、当業者が容易に予測できるものである。

v.小括
よって、本件訂正発明3は、引用発明及び前記周知技術A乃至Cに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.まとめ
以上のとおり、本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載される本件訂正発明1乃至3は、本件出願前の刊行物に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件訂正は、独立特許要件に係る平成15年改正法による改正前の特許法第126条第4項の規定により認められない。

第5.むすび
以上のとおり、本件訂正は、平成15年改正前の特許法第126条第2項乃至第4項の規定に適合しないから、当該訂正は認められない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-04 
結審通知日 2006-08-09 
審決日 2006-08-23 
出願番号 特願平11-14912
審決分類 P 1 41・ 841- Z (A63F)
P 1 41・ 853- Z (A63F)
P 1 41・ 856- Z (A63F)
P 1 41・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 一宮 誠  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 渡部 葉子
川島 陵司
登録日 2003-06-20 
登録番号 特許第3443024号(P3443024)
発明の名称 遊技機及びその制御装置  
代理人 松尾 憲一郎  
代理人 中山 俊彦  
代理人 岩坪 哲  
代理人 小林 茂雄  

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