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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1175489
審判番号 不服2006-4771  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-15 
確定日 2008-03-31 
事件の表示 特願2001- 74028「画像読み取り装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 9月27日出願公開、特開2002-281258〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成13年3月15日の出願であって、平成18年2月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年3月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日に手続補正がなされたものである。

第2 平成18年3月15日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年3月15日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】 画像読み取り部と画像メモリと外部端末との接続部とを備えた装置であって、
画像読取部で読み取った画像を画像メモリボックスに蓄積した後に、前記外部端末からの要求に応じて送出する第1のモードを設けるために、
前記画像メモリを区分して複数の画像メモリボックスを構成すると共に、
画像メモリボックス毎に画像メモリボックスの名称とIDとを登録自在にする機能と、
IDを登録済みの画像メモリボックスでは、正しいIDが入力されたときにのみ画像読み取り部で読み取った画像ファイルを記憶し、かつ外部端末から正しいIDが入力されたときにのみ、前記外部端末へ画像メモリボックスに記憶済みで前記外部端末から要求された画像ファイルを送出し、
IDを未登録の画像メモリボックスでは、IDの照合無しに画像読み取り部で読み取った画像ファイルを記憶し、かつ記憶済みの画像ファイルを前記外部端末からの要求に応じて、前記外部端末へ送出する機能と、
前記外部端末に送出済みの画像ファイルを削除するか否かを画像メモリボックス毎に設定する機能と、
削除を設定した画像メモリボックスから前記外部端末に送出済みの画像ファイルを削除する機能と、
前記外部端末からの要求に応じ、前記画像メモリボックスの名称と、画像メモリボックス内の画像ファイルの画像のプレビュー画像を、前記接続部から前記外部端末へ送出し、ここでIDを登録済みの画像メモリボックスでは、前記外部端末から正しいIDが入力されたときにのみ、前記プレビュー画像を前記外部端末へ送出するようにした、機能とを設けると共に、
前記外部端末からの要求に応じて画像を読み取り、読み取った画像ファイルを画像メモリに蓄積して、前記外部端末へ送出すると共に画像メモリから削除する第2のモードを設けたことを特徴とする、画像読み取り装置。」
と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項について限定を付加するものであって、特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-324282号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の事項及び図面が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータネットワークを介して相互に接続されたコピーシステムと端末と第3のネットワーク装置とからなり、コピーシステムにおいて原稿を読み取って得た画像データを端末からの指示に応じて第3のネットワーク装置へ送信するネットワークコピーファイル管理システム,このようなネットワークコピーファイル管理システムを構成するコピーシステム,このようなコピーシステムの中核をなすコピーサーバ,上述したようなネットワークコピーファイル管理システムによるネットワークコピーファイル管理方法,コンピュータを上述したようなコピーサーバとして機能させるためのプログラムを格納したコンピュータ可読媒体に、関する。」

イ 「【0008】請求項1記載の発明は、ネットワークを介して互いに接続されたコピーシステムと端末と第3のネットワーク装置とからなるネットワークコピーファイル管理システムにおいて、前記コピーシステムは、原稿を読み取って画像データを得る画像読取部と、この画像読取部によって得られた画像データを画像ファイルのフォーマットに変換してディスクに保存する画像ファイル保存部と、端末からの要求に応じて、要求された所定範囲の画像ファイルの管理情報を前記端末へ送信する管理情報応答部と、端末からの要求に応じて、要求された画像ファイルを前記ディスクから読み出して端末によって特定された第3のネットワーク装置へ送信する画像ファイル送信部とを備え、前記端末は、所定範囲の画像ファイルの管理情報を前記コピーシステムに対して要求する管理情報要求部と、要求に応じて前記コピーシステムが送信して来た管理情報を表示する表示部と、この表示部に表示された管理情報が示す画像ファイルのうちの何れかを特定する旨のオペレータによるデータ入力,及び、画像ファイルの送信先としての第3のネットワーク装置を特定する旨のオペレータによるデータ入力を受け付ける入力部と、この入力部によって受け付けられたデータ入力によって特定された何れかの画像ファイルを前記特定された第3のネットワーク装置へ送信する事を前記コピーシステムに対して要求する画像ファイル送信要求部とを備えることを、特徴とする。
(中略)
【0012】請求項3記載の発明は、請求項1の画像ファイル保存部が、前記画像データをJPEG圧縮することによって詳細画像用JPEGデータを生成するとともに、前記画像データの解像度を落としてからJPEG圧縮することによって概略画像用JPEGデータを生成し、これら詳細画像用JPEGデータ及び前記概略画像用JPEGデータを結合して一つのJPEGファイルに格納することで、特定したものである。
(中略)
【0018】請求項9記載の発明は、請求項1のディスクには多数のディレクトリが定義されており、前記画像ファイルは何れかのディレクトリに格納されていることで、特定したものである。
(中略)
【0024】請求項15記載の発明は、請求項3又は6のコピーシステムが、前記端末からの要求に応じて要求された画像ファイルから前記概略画像用JPEGデータを抽出してこの前記概略画像用JPEGデータを概略画像用JPEGファイルに格納して前記端末へ送信する概略画像用JPEGファイル応答部を更に備え、前記端末が、所定範囲の画像ファイルに関する前記概略画像用JPEGファイルを前記コピーシステムに対して要求する概略画像用JPEGファイル要求部を更に備え、前記表示部が、要求に応じて前記コピーシステムが送信して来た前記概略画像用JPEGファイル中の前記概略画像用JPEGデータに基づいて概略画像を表示することで、特定したものである。」

ウ 「【0035】(全体構成)図1は、本実施形態によるネットワークコピー制御システムの概略構成図を示す。本例のネットワークコピー制御システムは、例えばLAN又はインターネットのようなネットワークNWによって相互に接続された複数組のコピーシステム1,1’及び多数台(若しくは1台)のクライアント端末2から、構成される。各コピーシステム1,1’は互いに全く同じ構成を有しているので、以下、一方のコピーシステム1についてのみ詳細な構成の説明を行う。
【0036】コピーシステム1は、専用コンピュータ又は一般的なパーソナルコンピュータからなるコピーサーバ(ファイルサーバ)10と、このコピーサーバ10に夫々接続されたスキャナ20及びプリンタ21とから、構成される。
【0037】更に、このコピーサーバ10は、バス(データバス及びシステムバス)Bによって互いに接続されたCPU17,RAM11,入出力制御部12,ハードディスク13,通信デバイス14,SCSIインタフェース15及びセントロニクスインタフェース16と、入出力制御部12に接続されたタッチパネル18,LCD(Liquid Crystal Display)19及びキーボード23とから、構成されている。
(中略)
【0041】コンピュータ可読媒体としてのハードディスク13は、CPU17によって読み取られて実行される制御プログラム(オペレーションシステムプログラムを含む)131,並びに、クライアント端末2からの要求に応じて配信される多数のハイパーテキストデータ(そのうちの一つが“WebExplore.html”132)及びJavaアプレットのクラスファイル133を、格納している。これら制御プログラム等は、図示せぬCD-ROMドライブ等を介して、このハードディスク13にダウンロードされたものである。さらに、ディスクとしてのハードディスク13には、後述する各種画像ファイル(JPEGファイル,TIFFファイル)を格納するための画像ファイル領域134が、確保されている。
【0042】この画像ファイル領域134には固有のドライブ名が与えられており、その内部は、論理的に、ツリー構造となっている。即ち、その全体がルートディレクトリとして定義されているとともに、当該ルートディレクトリの領域の全部又は一部が0個乃至複数個の下階層のサブディレクトリとして定義され、更に、各サブディレクトリの領域の全部又は一部が0個乃至複数個の下階層のサブディレクトリとして定義されているのである。そして、各サブディレクトリには、夫々ディレクトリ名が付与されているので、全てのサブディレクトリは、ルートからツリー状に枝分かれした各サブディレクトリのディレクトリ名を辿ることによって特定される。このようにルートから目的とするサブディレクトリに到る一連のサブディレクトリに付されたディレクトリ名の連なりを、「パス名」と称する。また、ルート及び各サブディレクトリを総称して、「ディレクトリ」と称するものとする。上述した各画像ファイルは、画像ファイル領域134内に定義された何れのディレクトリにも格納可能である。そして、何れかのディレクトリに格納された画像ファイルは、そのファイル名,及び、格納されたディレクトリのパス名により、特定される。」

エ 「【0287】<スキャンモードでの画像ファイルの格納>最初に、プライマリコピーシステム1をスキャンモードに設定して原稿を読み込んだ場合の動作を、図46のタイムチャートを参照して説明する。この場合、動作の前提として、オペレータは、タッチパネル18に表示されているスキャンモードボタン53を押下し、その結果として表示されるスキャンモード基本操作画面(図36)上で各種のパラメータを設定するとともに、スキャナ20のフラットベット又はADFに原稿をセットする。
【0288】このような準備を行った後でオペレータがキーボード23中のスタートキーを押下すると、オペレーションパネル部118は、これらのパラメータ及びスタートキーが押下された旨を含んだキー情報メッセージを、マネジメント部114対して送信する(S006)。このキー情報メッセージを受け取ったマネジメント部114は、このキー情報メッセージに含まれていた各パラメータを保持しつつ、スキャナ部115に対して、スキャナ動作確認要求メッセージを送信する(S114)。このスキャナ動作確認要求メッセージを受信したスキャナ部115は、スキャナ20がビジー状態であるかアイドル状態であるをか、マネジメント部114に対して応答する(S203)。この応答を受け取ったマネジメント部114は、応答がビジー状態であった場合にはビジーを表示するための表示番号を設定した表示切替メッセージを、また、応答がアイドル状態であった場合にはスキャン中を表示するための表示番号を設定した表示切替メッセージを、オペレーションパネル部118へ送信する(S122,S124)。この表示切替メッセージを受信したオペレーションパネル部118は、LCD19上に、表示番号に従った表示を行う(S008)。
【0289】また、スキャナ部115からの応答がアイドル状態であった場合には、マネジメント部114は、HDD制御部113に対して、キー情報メッセージに含まれていた各種パラメータを付した「スキャン及びHDD格納依頼メッセージ」を送信する(S123)。マネジメント部114から「スキャン及びHDD格納依頼メッセージ」を受け取ったHDD制御部113は、スキャナ部115に対して、「スキャン及びHDD格納依頼メッセージ」に付されていた各種パラメータを付したスキャン要求メッセージを送信する(S303)。すると、スキャナ部115は、スキャン要求メッセージに付されていた各種パラメータに従って、スキャナ20のフラットベット又はADFにセットされている原稿の一頁毎に、スキャンの実行をスキャナ20に指示する(S211)。
【0290】そして、スキャナ部115は、スキャナ20から所定ライン分のスキャンデータを受信する毎に、受信したスキャンデータをHDD制御部113へ送信する(S213)。そして、各頁の最終ラインを含むスキャンデータを送信し終わると、スキャナ部115は、HDD制御部113に対してスキャン終了メッセージを送信するとともに(S217,S218)、残頁がない場合には、マネジメント部114に対して処理終了メッセージを送信する(S219)。HDD制御部113は、「スキャン及びHDD格納依頼メッセージ」中のファイルタイプパラメータに応じて、JPEGファイル又はTIFFファイルを作成する。何れの画像ファイルにおいても、原稿が複数頁である場合には、スキャナ部115から受信したスキャンデータに基づいて各頁についての画像データ(JPEGデータ又は24ビットRGBデータ)を作成して、画像ファイル内に格納する。さらに、各頁について、夫々、スキャンデータの解像度を落としてJPEG圧縮したJPEGサムネイルデータを作成しして、画像ファイル内に格納する。このようにして画像ファイルを作成すると、HDD制御部113は、マネジメント部114に対して処理終了メッセージを送信する(S363,S374)。」

オ 「【0292】<クライアント端末からのファイル操作>次に、クライアント端末のウェッブブラウザ301からプライマリコピーシステム1へのファイル操作の場合の動作を説明する。
(中略)
【0296】〔ファイルリスト表示〕次に、初期画面が表示されている状態下、ファイルリスト表示が選択されて(S505)、何れかのディレクトリ名がクリックされた場合における動作を、説明する。
【0297】・プライマリコピーシステム1内のディレクトリ名がクリックされた場合
初期画面80の左側の窓85中に表示されているプライマリコピーシステム1又はその下層のディレクトリ名をオペレータがクリックすると、図47に示されるように、Javaアプレット133は、プライマリコピーシステム1に対して、クリックされたディレクトリ名に対応したパス名を指定したファイルリスト要求パケットを、送信する(S508)。このファイルリスト要求パケットを受信したプライマリコピーシステム1の制御部112は、ハードディスク13から、ファイルリスト要求パケット内において指定されたパス名に対応するディレクトリ内のファイル情報(サブディレクトリ名,並びに、各画像ファイルのファイル名,ファイルサイズ,タイムスタンプ,ファイル属性及び頁数)を読み出して(S714)、このファイル情報を要求元のJavaアプレット133へ応答する(S715)。このファイル情報を受信したJavaアプレット133は、初期画面の左側の窓85におけるオペレータによってクリックされたディレクトリ名の下階層に、受信したファイル情報に基づいたサブディレクトリ名のツリー表示を行う(S510)。同時に、HDD制御部113は、図44に示されるように、初期画面の右側の窓86内に、受信したファイル情報の一覧表示(ファイルリスト表示)を行う(S512)。
(中略)
【0302】〔サムネイル表示〕次に、初期画面が表示されている状態下、サムネイル表示が選択されて(S505)、何れかのディレクトリ名がクリックされた場合における動作を、説明する。
【0303】・プライマリコピーシステム1内のディレクトリ名がクリックされた場合
初期画面80の左側の窓85中に表示されているプライマリコピーシステム1又はその下層のディレクトリ名をオペレータがクリックすると、図49に示されるように、ファイルリスト表示の場合と同様にして、ファイル情報がJavaアプレット133へ応答され、初期画面80の左側の窓85中にツリー表示がなされる(S508,S714,S715、S509,S510)。
【0304】次に、Javaアプレット133は、受信したファイル情報中に含まれるファイル名のうち最初のものについて、表示タイプパラメータをサムネイルと設定するとともにパス名及びそのファイル名を設定したファイルダウンロード要求パケットを、プライマリコピーシステム1に対して送信する(S515)。このファイルダウンロード要求パケットを受信したプライマリコピーシステム1の制御部112は、ファイルダウンロード要求パケット内において指定されたパス名及びファイル名に対応する画像ファイルをハードディスク13内から読み出すとともに、その画像ファイル中の最初の頁のJPEGサムネイルデータを抽出し、そのJPEGサムネイルデータを格納したJPEGサムネイルファイルを、要求元のJavaアプレット133へ送信する(S721,S727)。なお、ファイル情報中に複数のファイル名が含まれる場合には、最初のファイル名から所定個数(予めオペレータによって設定されている表示サムネイル数と同個数)のファイル名について、夫々、上述したファイルダウンロード要求パケット送信(S515)及びJPEGサムネイルファイルの送信(S727)が、繰り返される。
【0305】所定個数又はファイル情報中の全てのファイル名についてJPEGサムネイルファイルを受信すると、Javaアプレット133は、図45に示すように、受信してセーブしておいた各JPEGサムネイルファイルに基づいて、初期画面80の右側の窓86内に、サムネイルの表示を行う。」

カ 「【0313】〔ファイルコピー〕次に、ファイルリスト表示又はサムネイル表示がなされている状態下、何れかのファイル名がドラッグされて、何れかのディレクトリ名上にドロップされた場合における動作を、説明する。
【0314】・ドラッグされたファイル名のディレクトリがプライマリコピーシステム1内であり且つドロップされたディレクトリがマイコンピュータ又はその下層のディレクトリであった場合
この場合、図51に示されるように、Javaアプレット133は、ドラッグされたファイル名及びそのパス名をコピー元として設定するとともにドロップされた自クライアント端末2内のディレクトリに対応するパス名をコピー先として設定したファイルダウンロード要求パケットを、プライマリコピーシステム1に対して送信する(S531)。
【0315】このファイルダウンロード要求パケットを受信したプライマリコピーシステム1の制御部112は、ファイルダウンロード要求パケット内においてコピー元として指定されたパス名及びファイル名に対応する画像ファイルをハードディスク13内から読み出して(S723)、要求元のJavaアプレット133に対して送信する(S727)。
【0316】この画像ファイルを受信したJavaアプレット133は、受信した画像ファイルを、ハードディスク38において、コピー先として指定されたパス名に対応するディレクトリへ書き込む(S533)。」

キ 「【0349】〔ファイルリネーム〕次に、ファイルリスト表示又はサムネイル表示がなされている状態下、何れかのファイル名又はサムネイルがクリックされた後に、メニューバー83から「ファイル」の「削除」がクリックされ,若しくは削除ボタン83dがクリックされ、更に、新たなファイル名又はディレクトリ名が入力された場合における動作を、説明する。
【0350】・クリックされたリネーム対象ファイル又はリネーム対象ディレクトリがプライマリコピーシステム1内であった場合
この場合、図58に示されるように、Javaアプレット133は、クリックされたリネーム対象ファイル名又はリネーム対象ディレクトリ名,そのパス名及び新たなファイル名又はディレクトリ名を設定したファイルリネーム要求パケットを、プライマリコピーシステム1に対して送信する(S557)。
【0351】このファイルリネーム要求パケットを受信したプライマリコピーシステム1の制御部112は、ハードディスク13内において、ファイルリネーム要求パケットによって指定されたパス名及びリネーム対象ファイル名又はリネーム対象ディレクトリ名に対応するファイル又はディレクトリの名称を、ファイルリネーム要求パケットによって指定された新たな名称に変更する(S762)。そして、そのリネーム結果を、Javaアプレット133へ応答する(S761)。
【0352】このリネーム結果を受信したJavaアプレット133は、受信したリネーム結果に応じて、リネーム対象ファイル又はリネーム対象ディレクトリについて表示されている名称をリニューする(S561)。」

ク 「【0358】<実施形態による効果>以上説明したように、本実施形態のネットワークコピーファイル管理システムによると、オペレータがコピーサーバ10のタッチパネル18からスキャンモード選択ボタン53を押下して、キーボード23中のスタートキーを押下すると、スキャナ20のフラットベット又はADFにセットされている原稿が読み取られるが、直ちにプリンタ21において用紙上に印字されることなく、読み取って得られた画像データが画像ファイル(JPEGファイル又はTIFFファイル)に格納されて、ハードディスク13内に保存される。そのうえで、オペレータがJavaアプレット133のクラスファイルをこのコピーサーバ10からダウンロードして、Javaアプレット133を実行することにより、このコピーサーバ10のハードディスク13に格納されている各画像ファイルの管理情報(ファイル名,ファイルサイズ,タイムスタンプ,ファイル属性,その画像ファイルに格納されている画像データの頁数)や各画像ファイルに格納されている画像データの概略画像(サムネイル)を、選択的に、クライアント端末2のディスプレイ40上に表示することができる。更に、クライアント端末2のディスプレイ上に表示されている何れかの画像ファイルのファイル名がドラッグされて、何れかのディレクトリ名上にドロップされると、コピーサーバ10のハードディスク13内に格納されている特定の画像ファイルが他のコピーシステム1’のコピーサーバ10又は他のクライアント端末2へコピーされる。従って、オペレータは、プライマリコピーシステム1のサーバ10に格納されている画像ファイルを、必要な時に必要な第3のネットワーク装置(セカンダリコピーシステム1’又は他のクライアント端末2)へ任意に送信することができるので、従来のFAXメールサービスよりもはるかに高画質且つ高速に、また、パソコン通信にて画像データを送信する場合よりもはるかに簡単に画像の送信が可能となる。」

これらの記載及び図面によれば、引用例には、
「コピーシステム1は、スキャナ20と、スキャナ20により読み取って得られた画像データを格納するハードディスク13を備えたコピーサーバ10とを備え、ネットワークNWによってクライアント端末2と接続され、
コピーサーバ10は、
スキャナ20によって読み取って得られた画像データを、画像ファイルのフォーマットに変換して、ハードディスク13内に定義された多数のディレクトリのいずれかのディレクトリに保存し、
クライアント端末2からディレクトリ名に対応したパス名を指定したファイルリスト要求パケットを受信すると、ハードディスク13から、指定されたパス名に対応するディレクトリ内のファイル情報(サブディレクトリ名,並びに、各画像ファイルのファイル名,ファイルサイズ,タイムスタンプ,ファイル属性及び頁数)や各画像ファイルに格納されている画像データの概略画像(サムネイル)を読み出して、クライアント端末2に送信する機能と、
ファイルリネーム要求パケットを受信すると、ハードディスク13内において、ファイルリネーム要求パケットによって指定されたパス名及びリネーム対象ファイル名又はリネーム対象ディレクトリ名に対応するファイル又はディレクトリの名称を、ファイルリネーム要求パケットによって指定された新たな名称に変更する機能と、
クライアント端末2からファイルダウンロード要求パケットを受信すると、指定されたパス名及びファイル名に対応する画像ファイルをハードディスク13内から読み出して、クライアント端末2へ送信する機能と、
を備えたコピーシステム。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

3.対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明における「スキャナ20」、「ハードディスク13」及び「クライアント端末2」は、それぞれ本願補正発明の「画像読み取り部」、「画像メモリ」及び「外部端末」に相当する。また、引用発明は、「ネットワークNWによってクライアント端末2と接続」されていることから、本願補正発明の「外部端末との接続部」に相当する構成を備えることは明らかである。
したがって、引用発明と本願補正発明とは、「画像読み取り部と画像メモリと外部端末との接続部とを備えた装置」である点で共通する。
(2)引用発明における「画像ファイル」は、読み取って得られた画像データを画像ファイルのフォーマットに変換したものであり、ハードディスク13内に定義された多数のディレクトリのいずれかのディレクトリに保存されるものであるから、本願補正発明の「画像ファイル」に相当する。
また、引用発明における「ディレクトリ」または「サブディレクトリ」は、ハードディスク13内の画像ファイルを格納する領域の単位であるから、本願補正発明の「画像メモリボックス」に相当し、引用発明と本願補正発明とは、「画像メモリを区分して複数の画像メモリボックスを構成」している点で一致する。
(3)引用発明は、「ファイルリネーム要求パケットを受信すると、ハードディスク13内において、ファイルリネーム要求パケットによって指定されたパス名及びリネーム対象ファイル名又はリネーム対象ディレクトリ名に対応するファイル又はディレクトリの名称を、ファイルリネーム要求パケットによって指定された新たな名称に変更する機能」を備え、「ディレクトリ」の名称を登録する機能を有することは明らかであるから、引用発明と本願補正発明とは、「画像メモリボックス毎に画像メモリボックスの名称を登録自在にする機能」を有する点で共通するといえる。
(4)引用発明は、「スキャナ20によって読み取って得られた画像データを、画像ファイルのフォーマットに変換して、ハードディスク13内に定義された多数のディレクトリのいずれかのディレクトリに保存」し、「クライアント端末2からファイルダウンロード要求パケットを受信すると、指定されたパス名及びファイル名に対応する画像ファイルをハードディスク13内から読み出して、クライアント端末2へ送信する機能」を有することから、引用発明と本願補正発明とは、「画像読み取り部で読み取った画像ファイルを記憶し、外部端末へ画像メモリボックスに記憶済みで前記外部端末から要求された画像ファイルを送出」する機能を有する点で共通する。
(5)引用発明における「画像データの概略画像(サムネイル)」が、本願補正発明の「画像ファイルの画像のプレビュー画像」に相当することは技術常識から明らかであり、引用発明は、「クライアント端末2からディレクトリ名に対応したパス名を指定したファイルリスト要求パケットを受信すると、ハードディスク13から、指定されたパス名に対応するディレクトリ内のファイル情報(サブディレクトリ名,並びに、各画像ファイルのファイル名,ファイルサイズ,タイムスタンプ,ファイル属性及び頁数)や各画像ファイルに格納されている画像データの概略画像(サムネイル)を読み出して、クライアント端末2に送信する機能」を有することから、引用発明と本願補正発明とは、「外部端末からの要求に応じ、前記画像メモリボックスの名称と、画像メモリボックス内の画像ファイルの画像のプレビュー画像を、前記接続部から前記外部端末へ送出」する機能を有する点で共通するといえる。
(6)引用発明における上記各機能を総合すると、本願補正発明と同様に、「画像読取部で読み取った画像を画像メモリボックスに蓄積した後に、前記外部端末からの要求に応じて送出する第1のモードを設ける」のための機能ということができる。
そして、引用発明の「コピーシステム1」と本願補正発明の「装置」とは、いずれも「画像読み取り装置」といえる。

以上を踏まえると、本願補正発明と引用発明とは次の一致点、相違点がある。
【一致点】
「画像読み取り部と画像メモリと外部端末との接続部とを備えた装置であって、
画像読取部で読み取った画像を画像メモリボックスに蓄積した後に、前記外部端末からの要求に応じて送出する第1のモードを設けるために、
前記画像メモリを区分して複数の画像メモリボックスを構成すると共に、
画像メモリボックスごとに画像メモリボックスの名称を登録自在にする機能と、
画像メモリボックスでは、画像読み取り部で読み取った画像ファイルを記憶し、かつ記憶済みの画像ファイルを前記外部端末からの要求に応じて、前記外部端末へ送出する機能と、
前記外部端末からの要求に応じ、前記画像メモリボックスの名称と、画像メモリボックス内の画像ファイルの画像のプレビュー画像を、前記接続部から前記外部端末へ送出する機能とを設けた、画像読み取り装置。」

【相違点1】
本願補正発明は、画像メモリボックスごとに「ID」を登録自在であり、「IDを登録済みの画像メモリボックス」では、「外部端末から正しいIDが入力されたときにのみ」画像読み取り部で読み取った画像ファイルを記憶し、外部端末へ画像メモリボックスに記憶済みで前記外部端末から要求された画像ファイルを送出し、また、外部端末からの要求に応じ、画像メモリボックス内の画像ファイルの画像のプレビュー画像を外部端末へ送出し、一方、「IDを未登録の画像メモリボックス」では、「IDの照合無しに」画像読み取り部で読み取った画像ファイルを記憶し、かつ記憶済みの画像ファイルを前記外部端末からの要求に応じて、前記外部端末へ送出する機能、すなわち「画像メモリボックス」への画像ファイル及びプレビュー画像の入出力を「ID」により管理する機能を有するの対し、引用発明は、「画像メモリボックス」への画像ファイル及びプレビュー画像の入出力をIDにより管理する機能については特定されていない点。

【相違点2】
本願補正発明は、「外部端末に送出済みの画像ファイルを削除するか否かを画像メモリボックス毎に設定する機能と、削除を設定した画像メモリボックスから前記外部端末に送出済みの画像ファイルを削除する機能」を設けているのに対し、引用発明は、前記機能を設けていない点。

【相違点3】
本願補正発明は、「外部端末からの要求に応じて画像を読み取り、読み取った画像ファイルを画像メモリに蓄積して、前記外部端末へ送出すると共に画像メモリから削除する第2のモード」を設けているのに対し、引用発明は、前記モードを設けていない点。

4.判断
以下、相違点について検討する。
(1)相違点1について
ハードディスク等の記憶手段を備えた装置において、記憶手段に設定されたメモリボックスごとにIDまたはパスワードの登録を可能とし、IDまたはパスワードが登録されたメモリボックスでは、正しいIDまたはパスワードが入力されたときにのみメモリボックスへのデータの記憶及びメモリボックスからのデータの送出等のアクセスを許可し、一方、IDまたはパスワードが未登録のメモリボックスでは、IDまたはパスワードの照合なしにデータの前記アクセスを許可する技術、すなわち、メモリボックスへのアクセスをIDまたはパスワードで管理する技術は、例えば、特開平8-65473号公報に記載されているように、周知である。
画像メモリを用いて画像ファイル等の入出力を行う引用発明において、前記周知技術を採用することは、当業者が適宜なし得たことである。

前記特開平8-65473号公報には、以下の記載がある。
なお、該記載における「箱」が「メモリボックス」に相当する。
「【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ファクシミリ端末からのファクシミリ電文データをファクシミリ蓄積交換装置の箱に蓄積し、かつ、ファクシミリ端末からの要求に基づいて送信するとともに、ファクシミリ蓄積交換装置に接続した運用制御装置から運用状態の制御設定を行うファクシミリ蓄積交換システムにおいて、運用制御装置がファクシミリ蓄積交換装置に箱の開設を指示し、この箱にファクシミリ電文データを登録し、又は、取り出すためのパスワードを送出するとともに、ファクシミリ蓄積交換装置は、運用制御装置からの指示で箱を開設し、かつ、この箱に運用制御装置から指示された登録用及び取り出し用のそれぞれのパスワードを設定するとともに、ファクシミリ端末からのファクシミリ電文データの登録時にファクシミリ端末から指定される登録パスワードと、設定した登録用のパスワードとが一致した場合に、箱にファクシミリ電文データを蓄積し、又は、ファクシミリ端末から指定される取り出しパスワードと、設定した取り出しパスワードが一致した場合に、箱からファクシミリ電文データを取り出す構成としてある。」
「【0031】ステップ61で取り出しの場合、ファクシミリ端末12a?12nからの取り出し要求があった箱に、パスワードが設定されているか否かを判断する(ステップ65)。ここでパスワードが設定されている場合(Yes)、ファクシミリ端末12a?12nから指定されたパスワードと、箱に設定されている登録パスワードの一致を判断する(ステップ66)。ここで一致している場合(Yes)、原稿の取り出しを処理する(ステップ67)。
【0032】また、ステップ65でパスワードが設定されていない場合(No)、指定された箱内の最初に取り出された原稿にパスワードが設定されているか否かを判断する。ここでパスワードが設定されていない場合(No)、ステップ67の原稿取り出しを処理し、パスワードが設定されている場合(Yes)、ファクシミリ端末12a?12nから指定されたパスワードと、指定された原稿に付与されているパスワードの一致を判断する(ステップ68,69)。ここで一致している場合(Yes)、ステップ67の原稿取り出しを処理する。また、一致していない場合(No)、箱内に次の原稿があるか否かを判断し、原稿がない場合は処理を終了し、また、原稿がある場合は、ステップ65に戻って以降の処理手順を繰り返し、箱内の原稿がなくなるまで、その処理を実行する(ステップ70)。」

(2)相違点2について
画像読み取り装置において、外部端末に送出済みの画像ファイルを削除するか否かを設定する機能を有し、削除が設定されている場合に、外部端末に送出済みの画像ファイルを削除することは、例えば、特開平9-252374号公報に記載されているように周知技術である。
ハードディスク等の記憶手段において、記憶手段に設定された「メモリボックス」ごとに種々の設定をすることは、例えば、特開2000-201248号公報及び前掲の特開平8-65473号公報に記載されているように常套手段であり、引用発明において、送出済みの画像ファイルの削除に係る前記周知技術を「メモリボックス」ごとに設定することは、当業者が容易に想到し得たことである。

前記特開平9-252374号公報には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合画像処理センタ装置が、通信回線を介して複数の端末装置と接続され、複合画像処理センタ装置から端末装置に、原稿画像の画像情報が送信される複合画像処理システムに関する。」
「【0039】このように、原稿の読取りが終了すると複合画像処理センタ装置1は、他のユーザに開放されて有効に利用され、ユーザが複合画像処理センタ装置1に読み取らせた原稿画像を、当該ユーザの端末装置への転送後直ちに消去するか、当該ユーザ以外のユーザにも使用可能にするかは、当該ユーザの判断で指定できるので、機密原稿の読取り使用も安全に行われ、有用な情報を他のユーザに開放することも可能になる。」

また、特開2000-201248号公報には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】画像データを記憶領域に記憶する画像記憶装置等に関する。」
「【0162】図35を用いて、本発明に関わるパーソナルボックスについて説明する。HD304は、テンポラリ領域900とパーソナルボックス領域901で構成されている。テンポラリ領域900は、電子ソートを行うために画像データを一時的に記憶させる領域であり、ジョブ終了後に、それらの画像データは消去される。
(中略)
【0168】各パーソナルボックスは、ボックス毎に自動消去機能を設定することが出来る。自動消去機能とは、パーソナルボックスに画像データを格納してから自動消去するまでの期間(例えば2時間)が経過したことに応じてパーソナルボックスに格納された画像データをHD304から自動消去するよう画像データの自動消去処理を行う為の機能である。自動消去するまでの期間はユーザが設定することが出来る。」

(3)相違点3について
読み取った画像ファイルを画像メモリに蓄積して、前記外部端末へ送出すると共に画像メモリから削除するモードを備えた画像読み取り装置は、例えば、特開平9-51398号公報、特開平11-298697号公報に記載されているように周知である。
外部端末からの要求に応じて画像読み取り装置が所定の処理を行う引用発明において、前記周知技術を付加し、上記相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

特開平9-51398号公報には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、原稿の画像を読み取ってネットワークへ送出する画像データを生成するスキャナ機能を有する装置(デジタル複写装置を含むスキャナ装置)と、そのスキャナ装置と少なくとも1個のホストマシン装置あるいはさらにファイルサーバ装置がネットワークによって接続された画像処理ネットワーク・システム(中略)に関する。」
「【0101】そして、アップロードの際、ワークステーション装置3側においてコピー機能(COPY機能)が指定されていれば、デジタル複写装置4側に元の画像ファイルが残されたまま、ワークステーション装置3側に画像ファイルが転送され、以後デジタル複写装置4側に残された画像ファイルに対して、設定されたタイムアウト時間まで再度アクセスがなければ、これが自動的に消去される。
【0102】また、このときワークステーション装置3側において、移動機能(MOVE機能)が指定されていれば、ワークステーション装置3側に画像ファイルが正しく転送された後、デジタル複写装置4側に格納されていた画像ファイルが直ちに消去される。その後、ワークステーション装置3側にインストロールされている画像を取り扱うことができるアプリケーションソフトウェア9やユーティリティソフトウェア10によって、アップロードされた画像ファイル中の画像データに対し、最終目的を達成するのに必要な処理が行われる。」

また、特開平11-298697号公報には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワーク接続されると共に、画像メモリを搭載し、ネットワークスキャナ機能を有する画像形成装置に用いて好適な画像読み取り装置に関する。」
「【0045】上記のように、本実施の形態によるネットワークスキャン機能を有する画像形成装置は、ネットワークスキャンを行うときには、複数の原稿画像をすべて不揮発性画像メモリに読み込み、すべての原稿画像を読み込んだ後にすべての不揮発性画像メモリ上の画像データを一枚ずつ揮発性メモリ上に展開し、その画像変換とホストコンピュータへの画像データの転送した後に、不揮発性メモリから転送済みの画像データを消去する一括画像転送モード(第1のモード)と、複数の原稿画像を読み込むと同時に一枚ずつ揮発性メモリ上に展開し、すぐに画像変換とホストコンピュータへの画像データの転送する逐次画像転送モード(第2のモード)とを切り替えることを特徴とする。」

そして、本願補正発明の奏する作用効果は、引用例に記載された発明及び周知技術の奏するそれぞれの作用効果から当然に予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

なお、上記判断にあたっては、平成20年1月8日に審判請求人が提出した上申書の内容も参酌した。

5.本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反するものであり、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成18年3月15日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年12月6日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】 画像読み取り部と画像メモリと外部端末との接続部とを備えた装置であって、
前記画像メモリを区分して複数の画像メモリボックスを構成すると共に、
画像メモリボックス毎に画像メモリボックスの名称とIDとを登録自在にする機能と、
IDを登録済みの画像メモリボックスでは、正しいIDが入力されたときにのみ画像読み取り部で読み取った画像ファイルを記憶し、かつ正しいIDが入力されたときにのみ外部端末へ記憶済みの画像ファイルを送出し、IDを未登録の画像メモリボックスでは、IDの照合無しに画像読み取り部で読み取った画像ファイルを記憶し、かつ記憶済みの画像ファイルを外部端末へ送出する機能と、
外部端末に送出済みの画像ファイルを削除するか否かを画像メモリボックス毎に設定する機能と、
削除を設定した画像メモリボックスから外部端末に送出済みの画像ファイルを削除する機能と、
外部端末からの要求に応じ、前記画像メモリボックスの名称と、画像メモリボックス内の画像ファイルの画像もしくはそのプレビュー画像を、前記接続部から外部端末へ送出する機能とを設けたことを特徴とする、画像読み取り装置。」

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、上記「第2 2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が前記「第2 3.」、「第2 4.」に記載したとおり、引用例1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないので、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-02-01 
結審通知日 2008-02-04 
審決日 2008-02-18 
出願番号 特願2001-74028(P2001-74028)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣川 浩  
特許庁審判長 西山 昇
特許庁審判官 月野 洋一郎
松永 稔
発明の名称 画像読み取り装置  
代理人 塩入 明  
代理人 塩入 みか  

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