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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1175492
審判番号 不服2006-10567  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-05-23 
確定日 2008-03-31 
事件の表示 平成 8年特許願第334439号「易開封性詰替え用包装袋」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 6月23日出願公開、特開平10-167290〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1. 手続の経緯・本願発明
本願は、平成8年12月2日の出願であって、その請求項1?6に係る発明は、平成17年11月22日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1は、次のとおり記載されている。
「【請求項1】二層以上のフイルムからなるプラスチック積層フイルムにより構成された包装袋において、袋の上端に非シール突出部を有する巾広シール部を設け、開封後に非シール突出部が突出した注出口を形成するように、巾広シール部の1側端から巾広シール部内端縁にそって内端縁と略平行に設けられ、非シール突出部の側部では形成される注出口の外径が先端部に向けて縮径する勾配を有し、非シール突出部の上端部では突出部を横断して、巾広シール部の他側端に到る非直線状で連続した易開封加工部を設けたことを特徴とする易開封性詰替え用包装袋。」(以下請求項1に係る発明を「本願発明」という。)

2. 刊行物の記載事項
(2-1) 刊行物1
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前である昭和57年5月18日に頒布された実願昭55-157434号(実開昭57-080463号)のマイクロフィルム(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(a)袋状容器(1)の側壁内面に沿つて、小径の管路(2)を設け、該管路(2)の下端部(2a)を容器底部に開口連通せしめ、容器上縁のシール部(3)に、該シール部(3)を切除したとき、管路(2)の上端部が突出した開口部(4)となるように切取線(5)を設けたことを特徴とする液体容器。(実用新案登録請求の範囲)
(b)この考案は飲料、薬液などを充填収容した袋状の液体容器に関するものであつて、開封と同時にストロー状の液体流出路が形成されるような液体容器を提供することを目的とするものである。(1頁12行?同16行)
(c)従来、袋状の液体密封容器は開封に際し、容器上縁の一部を切除して小孔を開口したり、別体の尖鋭端を有するストローを差し通して使用するものが殆んどであり、この種のものは開封時ならびに使用時に往々にして内容液体の溢出を生じたり、別個のストローが必要であるなど取扱上不便を点を有していた。
本考案は上記のような不便を解消する液体容器であつて、予め容器内面の側壁に小径の管路を設け、その下端を容器底部に近接して開口するとともに、液体を収容充填密封機、容器上縁シール部の上部を切除すると同時に、前記管路の上端が突出残存して開口され、収容液体が吸引または流出し得るようにしたものである。(1頁17行?2頁10行)
(d)第1図は液体を充填密封した開封前の本案液体容器の要部を断面とした正面図であつて、1は薄膜製の袋状容器で、所謂4方シールを施した平袋の場合を示しているが、平底を有する自立袋でもよい。(2頁12行?同16行)
(e)容器の材質は通常用いられる合成樹脂薄膜またはこれと他のシート材料との複合材料である。2は容器1内面の側壁に沿つて垂直に形成された折径5?10mm程度の細径の管路であつて、容器の製袋時と同時に形成される。(2頁17行?3頁1行)
(f)該管路2の下端部2aは容器1の底部に近接して、容器1内部に開口連通し、上端は容器1の上縁シール部3によつて封止されるが、このさいに管路2の上端部は、最上部のみをシールするようにし、上縁シール部3の上部分と、管路2の最上部のシール部分とを切除するための階段状のミシン目または凹刻薄肉の切取線5を設け、該切取線5に沿つて上縁シール部3を引裂き切除することによつて、管路2の最上部が、第2図図示のように突出した状態で開口される。(3頁2行?同11行)
(g)6は容器1内に充填された液体で、第1図示状態で密封保持され、第2図示状態の上縁シール部3の切除により、管路2の開口により開封される。(3頁12行?同15行)
(h)上記の管路2の上部の突出長は、実用的には10?20mmとし、ストロー状の吸液口または注出口として便利に用いられる。(3頁19行?4頁1行)
(i)本考案の液体容器は上記の構成、作用を有するので、開封は内容液の溢出を生ずることなく、容易に行うことができ、管路2はストローとして容器を立てたまま吸引することができ、容器本体を押圧することにより内容液体を完全に摂取できる。また、突出管路は内容液体の流出ノズルとして、適量の流出を図ることができ、内容液の使用、移し変えなどの操作が容易に行い得るなど、液状食品ばかりでなく、各種薬液の密封容器として実用上の効果は甚だ優れたものである。(4頁2行?同12行)

上記(a)?(i)の記載、及び第1,2図の記載から、刊行物1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「合成樹脂薄膜と他のシート材料との複合材料により構成された袋状容器1において、容器1の上端に管路2の開口部4を有する上縁シール部3を設け、開封後に管路2の開口部4が突出した注出口を形成するように、上縁シール部3の1側端から上縁シール部3内端縁にそって内端縁と略平行に設けられ、上縁シール部3の上部分と、管路2の最上部のシール部分とを切除するための階段状のミシン目または凹刻薄肉の切取線5を設けた液体容器。」

(2-2) 刊行物2
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前である昭和57年8月4日に頒布された特開昭57-125147号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(j)(1)液体、流動性材料、半固形材料などの内容物を収容するための包装容器であつて、内容物を収容するための空所を形成すべく熱溶着可能な シート材料から作られた略四辺形の袋部材よりなり、前記袋部材にはそのいずれかの一辺に沿つて前記空所の一部にノズル通路を形成すべく熱溶着シ-ルが適用されている包装容器。
(2)前記第(1)項に記載の包装容器において、熱溶着シールが袋部材の上辺の一部に沿つて平行に帯状に適用され、これにより前記上辺に沿うノズル通路が形成されることを特徴とする包装容器。
(3)前記第(1)項に記載の包装容器において、熱溶着シールが袋部材の上辺の一部に沿つて傾斜して帯状に適用され、これにより前記上辺に沿うノズル通路が形成され、このときノズル通路の出口となる側が次第に狭くなるようにされていることを特徴とする包装容器。
(4)前記第(1)項に記載の包装容器において、熱溶着シールが袋部材の上辺に沿つて一方の側辺から他方の側辺の近傍まで延長し、これにより前 記他方の側辺に沿うノズル道路が形成されることを特徴とする包装容器。
(5)前記第(1)項ないし第(4)項のいずれかに記載の包装容器において、ノズル通路の出口部にポリチャックが一体的に形成されていることを特徴とする包装容器。(特許請求の範囲)
(k)本発明は、液体、流動性材料、半固形材料、例えばしようゆ、みそ等の食料品を内容物とする包装容器に関し、一層詳しくは、熱溶着可能なシート材料から作られた略四辺形の袋部材よりなる包装容器であつて、その内容物の取り出しのために該袋部材にノズル通路が形成されている包装容器に関する。(2頁左上欄2行?同8行)
(l) 近年、液状、流動性、半固形状食品、例えはしようゆ、みそ等が熱溶着可能なプラステツクシートなどの袋で包装されて流通していることは周知のとうりである。このような商品が消費者に提供された場合、袋の片端もしくは一辺を切り取ることにより、内容物を取り出して卓上容器もしくは保管容器などに移し替えることが良く行われる。ところで、従来の袋状包袋容器の内容物の移し替えの際に、内容物をこぼしたり、小さな口部の卓上容器などへの注入がむずかしかつたりすることは良く経験することである。また、卓上容器もしくは保管容器の容量が小さい場合には、内容物の全部を移し替えることができないので、開放状態の袋状包装容器内に残された内容物の保管に苦慮することがしばしばあつた。
本発明の目的は、従来の袋状包装容器についての上述の欠点を克服することができる改良包装容器を提供することである。(2頁左上欄9行?同右上欄6行)
(m)本発明による包装容器は、液体、流動性材料、半固形材料を収容するための空所を形成すべく熱溶着可能なシート材料から作られた略四辺形の袋部材より構成され、前記袋部材にはそのいずれかの一辺に沿つて前記空所の一部にノズル通路を形成すべく熱溶着シールが適用されているものである。(2頁右上欄7行?同13行)
(n)本発明による包装容器にあつては、袋部材の空所の一部にノズル通路が形成され、そのノズル通路の一部を切り取ることによつて包装容器の出口を形成して、そこから内容物を取り出すことができるようになつているので、包装容器内の内容物を卓上容器もしくは保管容器などに移し替えることが容易に行えるようになつている。特に、液状もしくは流動性の内容物を小さなロ部の容器に移し替える場合には、ノズル通路の出口を該小さな口部にあてがうことができるので、液状もしくは流動性の内容物をこぼすことなくその内容物の移し替えを行うことができる。(2頁右上欄14行?同左下欄5行)
(o)第1図を参照すると、本発明による包装容器は、参照番号1で全体的に示された袋部材よりなる。袋部材1は、一片の熱溶着可能なシート材料、例えば熱可塑性プラスチツクフイルムによつて構成される。(2頁左下欄20行?同右下欄4行)
(p)第2図には、本発明の別の実施例が図示されており、同一の構成要素には同一の参照番号が付されている。この実地例の包装容器は第1図に図示したものとは次の点で相違する。すなわち、第2図袋装容器は、熱溶着シール5が上辺すなわち上部シール4に対して傾斜して適用されている点で第1図の包装容器とは相違する。第2図の実施例においては、ノズル通路5の出口部を比較的小さくすることができるので、この包装容器は一層小さな口部の容器に内容物を移し変えるのに特に有用である。(3頁左下欄20行?同右下欄10行)
(q)第3図には、さらに別の実施例が図示されており、その包装容器は袋部材11よりなる。袋部材11は1対の熱溶着可能な略四辺形のシート材料の周囲を熱溶着することによつて構成される。袋部材11においては、その上部に幅広の熱溶着シール12が適用され、それは袋部材11の一方の側辺13から他方の側辺14の近傍まで延長し、これによりノズル通路15が袋部材11に形成される。ノズル通路15には、先に述べた実施例と同様に、ポリチャック16を一体的に形成することができる。この実施例の包装容器の内容物を他の容器に移し替える場合には、先ず熱溶着シール18を第3図に一点鎖線17で示すように袋部材11から切り離し、次いでノズル通路15の先端を切り取つて出口部を形成する。なお、一点鎖線17に沿つてミシン目を入れて、熱溶着シール18を手でもつて引き離すようにしてもよい。この寒施例の包装容器についての内容物の移し替えの態様が先の実施例と同様であることば明らかであろう。また、その包装容器を保管容器として使用する態様も先の実施例の場合と同様である。(3頁右下欄11行?4頁左上欄11行)
(r)以上述べたように、本発明の包装容器によれば、袋部材にノズル通路が予ぬ形成されており、このノズル通路を用いて内容物の移し替えを便利に行うことができ、またノズル通路を閉鎖することにより包装容器を保管容器として用いることができる(4頁左上欄12行?同17行)

上記(j)?(o)、(q)、(r)の記載、及び第3図の記載から、刊行物2には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「熱溶着可能なシート材料により構成された包装容器において、袋部材11の上端にノズル通路15の先端を有する幅広の熱溶着シール12を設け、開封後にノズル通路15の先端が突出した注出口を形成するように、幅広の熱溶着シール12の1側端から幅広の熱溶着シール12内端縁にそって内端縁と略平行に設けられ、幅広の熱溶着シール12を袋部材11から切り離し、次いでノズル通路15の先端を切り取って出口部を形成するミシン目を設けた包装容器。」

3. 対比・判断
(3-1)引用発明1との対比及び判断
(3-1-1)対比
本願発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「袋状容器1」、「管路2の開口部4」、「上縁シール部3」及び「切取線5」は、それぞれ本願発明の「包装袋」、「非シール突出部」、「巾広シール部」及び「易開封加工部」に相当する。
本願発明の非シール突出部の上端部では突出部を横断して、巾広シール部の他側端に到る非直線状で連続した易開封加工部について検討するに、本願特許請求の範囲第3項、明細書段落【0012】には、それぞれ次の記載が認められる。
「【請求項3】非シール突出部を袋の側端部に隣接して設けたことを特徴とする請求項1に記載された詰替え用包装袋。」
「【0012】 易開封加工部5は、巾広シール部2の1側端から巾広シール部内端縁3にそって内端縁3と略平行に設けられ、非シール突出部4の上端部では突出部4を横断し、巾広シール部2の他側端に到る非直線状で連続したものとして形成される。(中略)また図2では、非シール突出部4が包装袋1の側端部に隣接して設けられており、開封時には包装袋1の側端部に突出したノズル状の注出口6を有する平袋が得られる。
この易開封加工部5の端部には、手による開封を容易にする為にノッチ(図示せず)を設けることもできる。」
上記記載から本願発明は、非シール突出部4を包装袋1の側端部に隣接して設ける態様も包含するものである。
これに対して、刊行物1の摘示事項(e)には、「2は容器1内面の側壁に沿つて垂直に形成された折径5?10mm程度の細径の管路であつて、容器の製袋時と同時に形成される。」と記載されており、管路2が容器1内面の側壁に沿つて形成されていることが明記されており、第1,2図の記載からも、管路2の開口部4は包装容器1の側端部に隣接して設けることが看取できる。
したがって、本願発明の非シール突出部4と刊行物1に記載の管路2の開口部4とは包装袋の側端部(包装容器の側壁)に隣接させる配置関係で一致している。
また、引用発明1の切取線5が管路2の最上部のシール部分を切除するとは、管路2の最上部のシール部分が切取られることであるから、当該切取線5が管路2の最上部のシール部分を横断していることに他ならない。
さらに、明細書及び図面の記載から、引用発明1の切取線5が上縁シール部3の他側端に到っている点が看取でき、当該切取線5は階段状であるから、直線状でない、すなわち、非直線状に相当することは明らかであり、当該切取線5が連続して形成されていることも明細書及び図面の記載から明らかである。
以上のとおりであるから、本願発明と引用発明1とは、
「袋の上端に非シール突出部を有する巾広シール部を設け、開封後に非シール突出部が突出した注出口を形成するように、巾広シール部の1側端から巾広シール部内端縁にそって内端縁と略平行に設けられ、非シール突出部の上端部では突出部を横断して、巾広シール部の他側端に到る非直線状で連続した易開封加工部を設けたる包装袋。」
という点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
本願発明の包装袋は、二層以上のフイルムからなるプラスチック積層フイルムにより構成されているのに対し、引用発明1の袋状容器1は、合成樹脂薄膜と他のシート材料との複合材料により構成されている点。

[相違点2]
本願発明の易開封加工部は、非シール突出部の側部で形成される注出口の外径が先端部に向けて縮径する勾配を有するのに対し、引用発明1の切取線5は、管路2の開口部4側部で形成される注出口の外径が先端部に向けて縮径されていない点。

[相違点3]
本願発明の包装袋は易開封性詰替え用であるのに対し、引用発明1の液体容器は切取線5により易開封性であるが詰替え用の用途が明記されていない点。

(3-1-2)判断
上記相違点1ないし3について検討する。
[相違点1]
引用発明1の袋状容器1は合成樹脂薄膜と他のシート材料との複合材料により構成されており、複合材料とされていることから、当該袋状容器1が二層以上のフイルムからなる積層フイルムであることを明確に排除しているものとはいえない。さらに、手で容易に開封することのできる、易開封性包装袋において、包装袋を二層以上のフイルムからなるプラスチック積層フイルムにより構成することは、そもそも、実願昭55-114675号(実開昭57-37871号)のマイクロフィルムに記載の「紙、合成樹脂シート或はアルミニウム箔等の基材の表面に、ポリエチレン等の薄膜を積層したラミネート紙をヒートシール等の手段により製袋し」(1頁18行?2頁1行)にみられるように、従来周知である。
したがって、本願発明の上記相違点1は袋状容器の分野における単なる周知材料の選択にすぎない。

[相違点2]
刊行物1の摘示事項(f)には、「(前略)該切取線5に沿つて上縁シール部3を引裂き切除することによつて、管路2の最上部が、第2図図示のように突出した状態で開口される。」と記載されており、刊行物1の第2図には切取線5が突出管路2の側部に沿って形成されている点が明記されている。したがって、上記記載の管路2の最上部が、第2図図示のように突出した状態で開口されるとは、結果的に、切取線5が突出管路2の側部に沿って形成されることを意味している。
また、本願発明の突出した注出口の技術課題は、開封時に突出したノズル状の注出口を形成することにより、簡単に詰替え容器の口部内に挿入することができ、内容物をこぼさずに移し替えることであるのに対し、引用発明1の突出管路2の技術課題は、内容液体の流出ノズルとして、適量の流出を図り、且つ内容液の使用、移し変えなどの操作を容易に行うことであり、引用発明1と本願発明とは解決しようとする課題が同一である。
そこで、本願発明と同一の技術課題を踏まえて、引用発明1の突出管路2について検討するに、流出ノズルとして当該突出管路2が内容液の移し変え等を行う作業の点に鑑みると、突出管路2の開口部4の先端を詰替え容器の口部内に支障なく挿入するためには、突出注出口部の外側に上縁シール部3を、できるだけ残存させないことようにすること、すなわち、突出管路2の開口部4の形状を適切に形成することが、引用発明1の突出管路2において必要事項であることは、当業者にとって明白である。
したがって、引用発明1の切取線5は、上記摘示事項(f)、及び技術課題からみて、突出管路2の側部に沿って形成されることが、技術的にきわめて自然な設定であることが明らかである。
ところで、液体包装袋において、本願発明の非シール突出部に相当する部位に形成される注出口は適宜の形状が採用されるものであると解されるところ、当該非シール突出部に相当する部位に形成される注出口の外径が先端部に向けて縮径される形状も、実願昭62-176576号(実開平1-82172号)のマイクロフィルムの第5図、実願昭63-27534号(実開昭63-154478号)のマイクロフィルムの第1図にみられるように、この出願前から広く採用されている周知の形状である。
そうすると、引用発明1において、容器1の上端の管路2の開口部4の注出口に、外径が先端部に向けて縮径させる形状を採用することは、当該技術分野における周知事項から当業者が容易に想到し得ることであり、引用発明1の突出管路2の開口部4に、外径が先端部に向けて縮径させる形状を採用すれば、切取線5も管路2の開口部4に沿って先端部に向けて縮径させるように形成させることも、刊行物1に記載の上記検討事項から当業者にとって当然に想定し得る設計的事項である。
よって、本願発明の上記相違点2に係る構成は、当該技術分野における周知事項から当業者が容易に想到し得ることである。

[相違点3]
刊行物1の摘示事項(i)には、「(前略)内容液の使用、移し変えなどの操作が容易に行い得るなど、液状食品ばかりでなく、各種薬液の密封容器として実用上の効果は甚だ優れたものである。」と記載されており、液体容器に使用される内容液を移し変えることが示唆されている。
さらに、上端部に台形の非シール突出部を有する広幅シール部を設け、該非シール突出部の両側に孔又は切込みを設けた包装袋の形態、すなわち、本願発明と同様の形態を採用している包装袋に詰替えの用途を選択することは、この出願前周知の事項である(特開平7-285562号公報参照)。
したがって、引用発明1の液体容器に詰替えの用途を選択することは、刊行物1に記載中の示唆、及び当該技術分野における周知事項から当業者が容易に想到し得ることである。

そして、本願発明が奏する効果も、引用発明1及び周知技術から当業者が予測し得たものであり、格別顕著なものとはいえない。

(3-2)引用発明2との対比及び判断
(3-2-1)対比
本願発明と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「袋部材11」、「ノズル通路15の先端」、「幅広の熱溶着シール12」及び「ミシン目」は、それぞれ本願発明の「包装袋」、「非シール突出部」、「巾広シール部」及び「易開封加工部」に相当する。
上記(3-1-1)で述べたとおり、本願発明は、非シール突出部4を包装袋1の側端部に隣接して設ける態様も包含するものである。
これに対して、刊行物2の摘示事項(q)には、「袋部材11においては、その上部に幅広の熱溶着シール12が適用され、それは袋部材11の一方の側辺13から他方の側辺14の近傍まで延長し、これによりノズル通路15が袋部材11に形成される。」と記載されており、第3図の記載からも、ノズル通路15の先端は袋部材11の側辺14に隣接して設けることが看取できる。
したがって、本願発明の非シール突出部4と引用発明2のノズル通路15の先端とは包装袋の側端部(包装容器の側辺)に隣接させるという配置の限りにおいて一致している。
また、引用発明2のミシン目に対応する一点鎖線17の形状が非直線状で連続していることが、刊行物2の第3図の図示内容から明らかである。
以上のとおりであるから、本願発明と引用発明2とは、
「袋の上端に非シール突出部を有する巾広シール部を設け、開封後に非シール突出部が突出した注出口を形成するように、巾広シール部の1側端から巾広シール部内端縁にそって内端縁と略平行に設けられ非直線状で連続した易開封加工部を設けた包装袋。」
という点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点4]
本願発明の包装袋は、二層以上のフイルムからなるプラスチック積層フイルムにより構成されているのに対し、引用発明2の包装容器は、熱溶着可能なシート材料により構成されている点。

[相違点5]
本願発明の易開封加工部は、非シール突出部の側部で形成される注出口の外径が先端部に向けて縮径する勾配を有するのに対し、引用発明2のミシン目は、ノズル通路15の側部で形成される注出口の外径が先端部に向けて縮径されていない点。

[相違点6]
本願発明の易開封加工部は、非シール突出部の上端部では突出部を横断して、巾広シール部の他側端に到るのに対し、引用発明2のミシン目は、ノズル通路15の上端部では該ノズル通路15を横断して、熱溶着シール12の他側端に到ることが明らかでない点。

[相違点7]
本願発明の包装袋は易開封性詰替え用であるのに対し、引用発明2の液体容器はミシン目により易開封性であるが詰替え用の用途が明記されていない点。

(3-2-2)判断
上記相違点4ないし7について検討する。
[相違点4]
手で容易に開封することのできる易開封性包装袋において、包装袋を二層以上のフイルムからなるプラスチック積層フイルムにより構成することは、実願昭55-114675号(実開昭57-37871号)のマイクロフィルムに記載の「紙、合成樹脂シート或はアルミニウム箔等の基材の表面に、ポリエチレン等の薄膜を積層したラミネート紙をヒートシール等の手段により製袋し」(1頁18行?2頁1行)にみられるように、従来周知である。
したがって、本願発明の上記相違点4は袋状容器の分野における単なる周知材料の選択にすぎない。

[相違点5]
刊行物2の摘示事項(q)には、「先ず熱溶着シール12を第3図に一点鎖線17で示すように袋部材11から切り離し、次いでノズル通路15の先端を切り取って出口部を形成する」と記載されており、刊行物2の第3図には一点鎖線17(ミシン目)がノズル通路15の側部に沿って形成されている点が明記されている。したがって、上記記載のノズル通路15の先端を切り取って出口部を形成するとは、結果的に、ミシン目がノズル通路15の側部に沿って形成されることを意味している。
また、本願発明の突出した注出口の技術課題は、開封時に突出したノズル状の注出口を形成することにより、簡単に詰替え容器の口部内に挿入することができ、内容物をこぼさずに移し替えることであるのに対し、引用発明2のノズル通路15の技術課題は、包装容器内の内容物を卓上容器もしくは保管容器などに移し替えることを容易に行い、特に、液体もしくは流動性の内容物を小さな口部の容器に移し替える場合には、ノズル通路の出口を該小さな口部にあてがい、液状もしくは流動性の内容物をこぼすことなくその内容物の移し替えを行うことであり、引用発明2と本願発明とは解決しようとする課題が同一である。
そこで、本願発明と同一の技術課題を踏まえて、引用発明2のノズル通路15について検討するに、流出ノズルとしてノズル通路15が内容液の移し変え等を行う作業の点に鑑みると、ノズル通路15の先端を詰替え容器の口部内に支障なく挿入するためには、突出注出口部の外側に熱溶着シール12を、できるだけ残存させないことようにすること、すなわち、ノズル通路15の先端の形状を適切に形成することが、引用発明2のノズル通路15において必要事項であることは、当業者にとって明白である。
したがって、引用発明2のミシン目は、上記摘示事項(q)と第3図及び技術課題からみて、ノズル通路15の側部に沿って形成されることが、技術的にきわめて自然な設定であることが明らかである。
ところで、刊行物2には、引用発明2の基となる摘記事項(j)?(o)、(q)、(r)の記載に加えて、摘記事項(p)の記載が認められるところ、該摘記事項(p)には、次のことが記載されている。
(p)「(前略)第2図袋装容器は、熱溶着シール5が上辺すなわち上部シール4に対して傾斜して適用されている点で第1図の包装容器とは相違する。第2図の実施例においては、ノズル通路5の出口部を比較的小さくすることができるので、この包装容器は一層小さな口部の容器に内容物を移し変えるのに特に有用である。」
上記記載の熱溶着シール5を上部シール4に対して傾斜させるとは、ノズル通路5の外径が先端部に向けて縮径されることに他ならない。
したがって、刊行物2には本願発明と同様の外径が先端部に向けて縮径される形状を有する注出口が開示されていることになる。
さらに、液体包装袋において、本願発明の非シール突出部に相当する部位に形成される注出口は適宜の形状が採用されるものであると解されるところ、当該非シール突出部に相当する部位に形成される注出口の外径が先端部に向けて縮径される形状も、実願昭62-176576号(実開平1-82172号)のマイクロフィルムの第5図、実願昭63-27534号(実開昭63-154478号)のマイクロフィルムの第1図にみられるように、この出願前から広く採用されている周知の形状である。
そうすると、引用発明2において、容器1の上端のノズル通路15の先端の注出口に、外径が先端部に向けて縮径させる形状を採用することは、刊行物2の上記摘記事項(p)又は当該技術分野における周知事項から当業者が容易に想到し得ることであり、引用発明2のノズル通路15の先端に、外径が先端部に向けて縮径させる形状を採用すれば、ミシン目もノズル通路15に沿って先端部に向けて縮径させるように形成させることも、刊行物2に記載の上記検討事項から当業者にとって当然に想定し得る設計的事項である。
よって、本願発明の上記相違点5に係る構成は、刊行物2の記載事項又は当該技術分野における周知事項から当業者が容易に想到し得ることである。

[相違点6]
上端部に台形の非シール突出部を有する広幅シール部を設け、該非シール突出部の両側に孔又は切込みを設けた包装袋の形態、すなわち、本願発明と同様の形態を採用している易開封性包装袋において、易開封加工部の形状を非シール突出部の上端部では突出部を横断して巾広シール部の他側端に到るようにすることは、上記刊行物1、実願昭62-176576号(実開平1-82172号)のマイクロフィルムの第5図、実願昭63-27534号(実開昭63-154478号)のマイクロフィルムの第1図にもみられるように、この出願前周知の技術事項である。
よって、本願発明の上記相違点6に係る構成は、当該技術分野における周知事項から当業者が容易に想到し得ることである。

[相違点7]
刊行物2の摘示事項(l)、(n)には、
(l)「近年、液状、流動性、半固形状食品、例えはしようゆ、みそ等が熱溶着可能なプラステツクシートなどの袋で包装されて流通していることは周知のとうりである。このような商品が消費者に提供された場合、袋の片端もしくは一辺を切り取ることにより、内容物を取り出して卓上容器もしくは保管容器などに移し替えることが良く行われる。(後略)」
(n)「本発明による包装容器にあつては、袋部材の空所の一部にノズル通路が形成され、そのノズル通路の一部を切り取ることによつて包装容器の出口を形成して、そこから内容物を取り出すことができるようになつているので、包装容器内の内容物を卓上容器もしくは保管容器などに移し替えることが容易に行えるようになつている。特に、液状もしくは流動性の内容物を小さなロ部の容器に移し替える場合には、ノズル通路の出口を該小さな口部にあてがうことができるので、液状もしくは流動性の内容物をこぼすことなくその内容物の移し替えを行うことができる。」と記載されており、包装容器内の内容物を卓上容器もしくは保管容器などに移し替えることが明記されている。
さらに、上端部に台形の非シール突出部を有する広幅シール部を設け、該非シール突出部の両側に孔又は切込みを設けた包装袋の形態、すなわち、本願発明と同様の形態を採用している包装袋に詰替えの用途を選択することは、この出願前周知の事項である(特開平7-285562号公報参照)。
したがって、引用発明2の液体容器に詰替えの用途を選択することは、刊行物2に記載中の示唆、及び当該技術分野における周知事項から当業者が容易に想到し得ることである。

そして、本願発明が奏する効果も、引用発明2及び周知技術から当業者が予測し得たものであり、格別顕著なものとはいえない。

4. むすび
したがって、本願発明は、引用発明1及び周知技術、又は引用発明2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-12-11 
結審通知日 2008-01-08 
審決日 2008-01-25 
出願番号 特願平8-334439
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 谷治 和文  
特許庁審判長 石原 正博
特許庁審判官 関口 勇
田中 玲子
発明の名称 易開封性詰替え用包装袋  
代理人 芳村 武彦  

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