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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1175523
審判番号 不服2005-16815  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-01 
確定日 2008-04-03 
事件の表示 平成 9年特許願第313776号「制御装置および画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 6月 2日出願公開、特開平11-149377〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成9年11月14日の出願であって、平成17年4月8日付けで拒絶理由が通知され、同年6月13日付けで手続補正がなされたが、同年7月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月1日に審判請求がなされるとともに、同年9月29日付けで手続補正がなされたものである。

第2.平成17年9月29日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年9月29日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正
平成17年9月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の内容は、
平成17年6月13日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の記載
「【請求項1】 装置本体を制御するプログラムを格納する本体記憶手段と,
所定のプログラムが格納され,前記装置本体に対して着脱自在な外部記憶手段と,
前記外部記憶手段と前記装置本体との接続状態を検知し,この接続状態を示す検知信号を出力する検知手段と,
任意の指示に応じて特定信号を出力する特定信号出力手段と,
前記外部記憶手段上,または前記本体記憶手段上のプログラムのうちいずれかを呼び出すかを決定する周辺制御手段と,
前記周辺制御手段により呼び出しが決定されたプログラムにしたがって前記装置本体を制御する本体制御手段と,
を備え,
前記特定信号と,前記外部記憶手段と前記装置本体との接続を示す前記検知信号と,が出力され,前記特定信号の出力中に前記装置本体の電源がオンされた場合に,前記周辺制御手段により前記外部記憶手段上のプログラムが呼び出され,前記本体制御手段が当該プログラムにしたがった動作を実行すること特徴とする制御装置。
【請求項2】 前記本体制御手段は,前記特定信号出力手段からの特定信号が出力され,かつ前記検知手段により前記外部記憶手段の接続が検知されない場合,前記本体記憶手段上のプログラムが呼び出されること特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】 前記本体制御手段は,前記特定信号出力手段からの特定信号が出力され,かつ前記検知手段により前記外部記憶手段の接続が検知されない場合,前記本体側記憶手段上のプログラムが呼び出され,前記外部記憶手段の接続エラーを示すメッセージを出力すること特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】 装置本体を制御するプログラムを格納する本体記憶手段と,
所定のプログラムが格納され,前記装置本体に対して着脱自在な外部記憶手段と,
前記外部記憶手段と前記装置本体との接続状態を検知し,この接続状態を示す検知信号を出力する検知手段と,
任意の指示に応じて特定信号を出力する特定信号出力手段と,
前記外部記憶手段上,または前記本体記憶手段上のプログラムのうちいずれかを呼び出すかを決定する周辺制御手段と,
前記周辺制御手段により呼び出しが決定されたプログラムにしたがって前記装置本体を制御する本体制御手段と,
を備え,
前記特定信号と,前記外部記憶手段と前記装置本体との接続を示す前記検知信号と,が出力され,前記特定信号の出力中に前記装置本体の電源がオンされた場合に,前記周辺制御手段により前記外部記憶手段上のプログラムが呼び出され,前記本体制御手段が当該プログラムにしたがった動作を実行する制御装置を有すること特徴とする画像形成装置。
【請求項5】 前記本体制御手段は,前記特定信号出力手段からの特定信号が出力され,かつ前記検知手段により前記外部記憶手段の接続が検知されない場合,前記本体記憶手段上のプログラムが呼び出されること特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】 前記本体制御手段は,前記特定信号出力手段からの特定信号が出力され,かつ前記検知手段により前記外部記憶手段の接続が検知されない場合,前記本体側記憶手段上のプログラムが呼び出され,前記外部記憶手段の接続エラーを示すメッセージを出力すること特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)を、

「【請求項1】 装置本体を制御するプログラムを格納する本体記憶手段と,
前記装置本体を制御する前記プログラムとは異なる更新対象のプログラムまたはオプションプログラムが格納され,前記装置本体に対して着脱自在な外部記憶手段と,
前記外部記憶手段と前記装置本体との接続状態を検知し,この接続状態を示す検知信号を出力する検知手段と,
任意の指示に応じて特定信号を出力する特定信号出力手段と,
前記外部記憶手段上のプログラムを呼び出し可能とする周辺制御手段と,
前記周辺制御手段により呼び出されたプログラム,および前記本体記憶手段に格納されたプログラムにしたがった制御を行なう本体制御手段と,
を備え,
前記特定信号と,前記外部記憶手段と前記装置本体との接続を示す前記検知信号と,が出力され,前記特定信号の出力中に前記装置本体の電源がオンされた場合に,前記周辺制御手段により前記外部記憶手段上のプログラムが呼び出されることを特徴とする制御装置。
【請求項2】 前記本体制御手段は,前記特定信号出力手段からの特定信号が出力され,かつ前記検知手段により前記外部記憶手段の接続が検知されない場合,前記本体記憶手段上のプログラムが呼び出されること特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】 前記本体制御手段は,前記特定信号出力手段からの特定信号が出力され,かつ前記検知手段により前記外部記憶手段の接続が検知されない場合,前記本体側記憶手段上のプログラムが呼び出され,前記外部記憶手段の接続エラーを示すメッセージを出力すること特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】 装置本体を制御するプログラムを格納する本体記憶手段と,
前記装置本体を制御する前記プログラムとは異なる更新対象のプログラムまたはオプションプログラムが格納され,前記装置本体に対して着脱自在な外部記憶手段と,
前記外部記憶手段と前記装置本体との接続状態を検知し,この接続状態を示す検知信号を出力する検知手段と,
任意の指示に応じて特定信号を出力する特定信号出力手段と,
前記外部記憶手段上のプログラムを呼び出し可能とする周辺制御手段と,
前記周辺制御手段により呼び出されたプログラム,および前記本体記憶手段に格納されたプログラムにしたがった制御を行なう本体制御手段と,
を備え,
前記特定信号と,前記外部記憶手段と前記装置本体との接続を示す前記検知信号と,が出力され,前記特定信号の出力中に前記装置本体の電源がオンされた場合に,前記周辺制御手段により前記外部記憶手段上のプログラムが呼び出される制御装置を有すること特徴とする画像形成装置。
【請求項5】 前記本体制御手段は,前記特定信号出力手段からの特定信号が出力され,かつ前記検知手段により前記外部記憶手段の接続が検知されない場合,前記本体記憶手段上のプログラムが呼び出されること特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】 前記本体制御手段は,前記特定信号出力手段からの特定信号が出力され,かつ前記検知手段により前記外部記憶手段の接続が検知されない場合,前記本体側記憶手段上のプログラムが呼び出され,前記外部記憶手段の接続エラーを示すメッセージを出力すること特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)
に補正するものである。

2.補正の適否
(1)新規事項の有無
補正後の請求項1?6は、その記載からして、次の発明特定事項を含んでいる。

(イ)「周辺制御手段により呼び出されたプログラム,および前記本体記憶手段に格納されたプログラムにしたがった制御を行なう本体制御手段」

ここで、補正後の請求項1?6記載の「外部記憶手段上のプログラムを呼び出し可能とする周辺制御手段」を勘案すると、(イ)における「周辺制御手段により呼び出されたプログラム」は「外部記憶手段上のプログラム」を意味すると解される。
してみると、補正後の請求項1?6に係る発明の特定事項である「本体制御手段」は、周辺制御手段により呼び出された外部記憶手段上のプログラムと前記本体記憶手段に格納されたプログラムとが同時に動作して、これら2つのプログラムの動作にしたがった制御を行なうことを技術的態様として含むものである。
しかしながら、
発明の詳細な説明を参酌しても(備考:下線は、当審で便宜上付与したもの。)
「【0008】
・・・(中略)・・・ 画像形成装置において,前記本体制御手段は,前記選択手段からの選択信号がONされ,かつ前記検知手段により前記外部記憶手段の接続が検知された場合,前記外部記憶手段上のプログラムよりブートするものである。
【0009】
すなわち,請求項1に記載の画像形成装置によれば,ICカードなどの外部記憶手段を接続した場合に,その外部記憶手段の使用を選択し,外部記憶手段に格納されているプログラムよりブートすることにより,外部記憶手段をダウンロード用およびオプションプログラム用としても使用することが可能となり,かつユーザーの作業性も向上させることができる。」、
「【0027】
したがって,ICカード107接続時において,特定SW106を操作しながら電源をONしたときに,ICカード107上の格納されているプログラムよりブートすることにより,ICカード107をダウンロード用およびオプションプログラム用としても使用することができ,しかもユーザーの作業性も向上させることができる。」、
「【0029】
そこで,この実施の形態2では,前述の実施の形態1の構成・動作に対し,特定SW106を操作しながら,電源104をONしたときにICカード検知部206によってICカード107の接続が検知されない場合,フラッシュROM204上のプログラムでブートする例について,図6および図7を用いて説明する。」、
「【0038】
〔実施の形態3〕
この実施の形態3では,実施の形態2において,特定SW106がONで,かつ電源104がONされた場合であっても,ICカード107が完全にICカード接続部205に接続されていない場合,フラッシュROM204のプログラムをブートすると共に,表示部103にエラーメッセージの表示を出力する例について,図8および図9を用いて説明する。」、
「【0045】
このように,特定SW106がONで,かつ電源104がONされた場合であっても,ICカード107が完全にICカード接続部205に接続されていない場合には,強制的にフラッシュROM204よりブートする。」、
「【0047】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明に係る画像形成装置(請求項1)によれば,請求項1に記載の画像形成装置によれば,ICカードなどの外部記憶手段を接続した場合に,その外部記憶手段の使用を選択し,外部記憶手段に格納されているプログラムよりブートする」、
「【0048】
また,本発明に係る画像形成装置(請求項2)によれば,請求項1に記載の効果に加え,ICカードなどの外部記憶手段が完全に本体接続部分に接続されていない場合,画像形成装置の本体記憶手段(たとえば,フラッシュROM)のプログラムをブートする」等と記載されているように、
「本体制御手段」は、外部記憶手段(ICカード)上のプログラム、または前記本体記憶手段(フラッシュROM)に格納されたプログラムのうちいずれかのプログラムをブートするものである。
よって、補正後の請求項1?6に係る発明の含む技術的態様(すなわち、「本体制御手段」が、周辺制御手段により呼び出された外部記憶手段上のプログラムと前記本体記憶手段に格納されたプログラムとが同時に動作して、これら2つのプログラムの動作にしたがった制御を行なうこと)は、出願当初の明細書又は図面に記載されておらず、かつ、その記載から自明なものでもないから、上記事項を追加する本件補正は、出願当初の明細書又は図面に記載した範囲でしたものではないので、特許法第17条の2第3項(新規事項)の規定に違反するものである。

(2)補正の目的要件
仮に、本件補正が、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであると仮定した場合に、本件補正が、特許法第17条の2第4項(補正の目的)の規定に適合しているものであるのかどうかについて以下に検討する。
補正後の請求項1?6は、それぞれ補正前の請求項1?6に対応したものである。
そして、補正後の請求項1及び請求項4に記載された発明は、補正前の請求項1及び請求項4に記載された発明の特定事項である「外部記憶手段上,または前記本体記憶手段上のプログラムのうちいずれかを呼び出すかを決定する周辺制御手段」を「外部記憶手段上のプログラムを呼び出し可能とする周辺制御手段」に変更し、
さらに補正前の請求項1及び請求項4に記載された発明の特定事項である「周辺制御手段により呼び出しが決定されたプログラムにしたがって前記装置本体を制御する本体制御手段」を「周辺制御手段により呼び出されたプログラム,および前記本体記憶手段に格納されたプログラムにしたがった制御を行なう本体制御手段」に変更したものである。

また、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明の特定事項である「前記特定信号の出力中に前記装置本体の電源がオンされた場合に,前記周辺制御手段により前記外部記憶手段上のプログラムが呼び出され,前記本体制御手段が当該プログラムにしたがった動作を実行すること」から、「前記本体制御手段が当該プログラムにしたがった動作を実行する」を削除したものである。
また、補正後の請求項4に記載された発明は、補正前の請求項4に記載された発明の特定事項である「前記特定信号の出力中に前記装置本体の電源がオンされた場合に,前記周辺制御手段により前記外部記憶手段上のプログラムが呼び出され,前記本体制御手段が当該プログラムにしたがった動作を実行する制御装置」から、「前記本体制御手段が当該プログラムにしたがった動作を実行する」を削除したものである。

しかしながら、補正後の請求項1及び請求項4に記載された発明の特定事項である「周辺制御手段」の「外部記憶手段上のプログラムを呼び出し可能とする」機能は、補正前の請求項1及び請求項4に記載された発明の特定事項である「周辺制御手段」の「外部記憶手段上,または前記本体記憶手段上のプログラムのうちいずれかを呼び出すかを決定する」機能を限定するものでなく、また概念的に下位にしたものでもない。

また、補正後の請求項1及び請求項4に記載された発明の特定事項である前記「周辺制御手段により呼び出されたプログラム」は、補正後の請求項1及び請求項4における記載「外部記憶手段上のプログラムを呼び出し可能とする周辺制御手段」を参酌すると、「外部記憶手段上のプログラム」を意味すると解されることから、補正後の請求項1及び請求項4に記載された発明の特定事項である「本体制御手段」は、周辺制御手段により呼び出された外部記憶手段上のプログラムと前記本体記憶手段に格納されたプログラムとが同時に動作して、これら2つのプログラムの動作にしたがった制御を行なうことを技術的態様として含むものである。
他方、補正前の請求項1及び請求項4に記載された発明の特定事項である「周辺制御手段により呼び出しが決定されたプログラム」は、補正前の請求項1及び請求項4における記載「外部記憶手段上,または前記本体記憶手段上のプログラムのうちいずれかを呼び出すかを決定する周辺制御手段」を参酌すると、外部記憶手段上,または前記本体記憶手段上のプログラムのうちいずれかのプログラムを意味すると解されることから、補正前の請求項1及び請求項4に記載された発明の特定事項である「本体制御手段」は、外部記憶手段上のプログラム、または前記本体記憶手段に格納されたプログラムのうちいずれかのプログラムの動作にしたがった制御を行うものである。
してみれば、明らかに、補正後の請求項1及び請求項4に記載された発明の特定事項である「本体制御手段」の「周辺制御手段により呼び出されたプログラム,および前記本体記憶手段に格納されたプログラムにしたがった制御を行なう」機能は、補正前の請求項1及び請求項4に記載された発明の特定事項である「本体制御手段」の「周辺制御手段により呼び出しが決定されたプログラムにしたがって前記装置本体を制御する」機能を限定するものでなく、また概念的に下位にしたものでもない。

また、補正後の請求項1に記載された発明において、補正前の請求項1に記載された発明の特定事項である「前記本体制御手段が当該プログラムにしたがった動作を実行する」ことが削除されていることから、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定したものではない。
同様に、補正後の請求項4に記載された発明の特定事項である制御装置の機能について、補正前の請求項4に記載された発明の特定事項である制御装置の「前記本体制御手段が当該プログラムにしたがった動作を実行する」機能が削除されていることから、補正後の請求項4に記載された発明は、補正前の請求項4に記載した発明を特定するために必要な事項を限定したものではない。

以上のように、これらの補正は、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定したものではなく、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮(請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの)を目的とするものとは認められない。
また、上記補正が、特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除、第3号の誤記の訂正に該当するものでないことは明らかである。さらに、原査定の拒絶の理由では、明りょうでない記載について指摘していないことから、特許法第17条の2第4項第4号の明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)に該当するものとも認められない。

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.結語
本件補正は、特許法第17条の2第3項(新規事項)の規定に適合していないから、特許法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、仮に、本件補正が、特許法第17条の2第3項(新規事項)の規定に適合していると仮定した場合においても、本件補正が、特許法第17条の2第4項(補正の目的)の規定に適合していないから、特許法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
したがって、いずれにしても、本件補正は、特許法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成17年9月29日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成17年6月13日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「装置本体を制御するプログラムを格納する本体記憶手段と,
所定のプログラムが格納され,前記装置本体に対して着脱自在な外部記憶手段と,
前記外部記憶手段と前記装置本体との接続状態を検知し,この接続状態を示す検知信号を出力する検知手段と,
任意の指示に応じて特定信号を出力する特定信号出力手段と,
前記外部記憶手段上,または前記本体記憶手段上のプログラムのうちいずれかを呼び出すかを決定する周辺制御手段と,
前記周辺制御手段により呼び出しが決定されたプログラムにしたがって前記装置本体を制御する本体制御手段と,
を備え,
前記特定信号と,前記外部記憶手段と前記装置本体との接続を示す前記検知信号と,が出力され,前記特定信号の出力中に前記装置本体の電源がオンされた場合に,前記周辺制御手段により前記外部記憶手段上のプログラムが呼び出され,前記本体制御手段が当該プログラムにしたがった動作を実行すること特徴とする制御装置。」

2.引用文献
A.これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された実願平3-99007号(実開平5-52939号)のCD-ROM(以下「引用文献」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【0002】
【産業上の利用分野】
この考案は、ハードディスクならびにフロッピーディスクからシステムの起動ができるパーソナルコンピュータに用いて好適な起動ディスク判断機構に関する。」

(イ)「【0010】
【課題を解決するための手段】
本考案の起動ディスク判断機構は、ハードディスクならびにフロッピーディスクからシステムの起動ができるパーソナルコンピュータにおいて、フロッピーディスクの存在を無視するか否かの情報が設定される記憶回路と、ここに設定される内容に従いフロッピーディスクを無視するか否かを判断するプログラム中の第1の手段と、フロッピーディスクから情報を得てシステムディスクか否かを判断するプログラム中の第2の手段とを具備し、システムの起動時、フロッピーディスク装置にシステムディスク以外のフロッピーディスクが装填されていたときにもハードディスクから起動することを特徴とする。
【0011】
・・・(中略)・・・ また、フロッピーディスクを無視しない場合には、FDDに装填されたフロッピーディスクがシステムディスクでない場合にのみハードディスクから起動する機能を実現する。
・・・(中略)・・・
【0015】
符号12は起動プログラムであり、設定回路11に従い設定されている状態を見て起動ディスクを選択するための制御手順が格納される。具体的にはBIOSプログラムとしてインプリメントされ、図2にその制御手順がフローチャートとして示されている。
【0016】
符号13はシステムディスク判断プログラムであり、起動プログラム12から呼ばれ、ディスク装置にシステムがあるか否かを判断するプログラムである。図2にその制御手順がフローチャートで示されている。」

(ウ)「【0021】
ユーザがパーソナルコンピュータをハードディスクから起動すると決まっている場合は,起動時にフロッピーディスクの情報を読む必要が無いため、設定回路11に対し無視する情報設定を行う。
【0022】
これは外部にスイッチを付加したり、セットアップ時にデフォルト設定を行うことで実現される。」

(エ)「【0024】
ここで、フロッピーディスクドライブ(FDD)にシステムディスクを挿入すると、パーソナルコンピュータはフロッピーディスクから起動される。 ・・・(中略)・・・
【0025】
ハードディスクが正常ならばハードディスクから起動を開始する。フロッピーディスクの存在を無視しない場合は、フロッピーディスクから情報を読み、システムディスクであることを確認して起動を開始する。 ・・・(中略)・・・
【0026】
一方、いずれの場合においてもフロッピディスクが挿入されてない場合は、システムディスク以外の媒体が装填されているものとしてエラー処理がなされる。」

(ア)及び(エ)における記載から、
引用文献には、パーソナルコンピュータ本体を制御するプログラムを格納するハードディスクと,システムディスク(すなわち、所定のプログラム)が格納され,前記パーソナルコンピュータ本体に対して着脱自在なフロッピーディスクとを備えたパーソナルコンピュータが記載されていると認められる。
また、(エ)の段落【0024】における記載「 ここで、フロッピーディスクドライブ(FDD)にシステムディスクを挿入すると、パーソナルコンピュータはフロッピーディスクから起動される。」及び段落【0026】における記載「一方、いずれの場合においてもフロッピディスクが挿入されてない場合は、・・・(後略)」からすると、引用文献において、前記パーソナルコンピュータ本体は、フロッピーディスクが前記パーソナルコンピュータ本体に装着されているかどうか、を検知する機能を有する(すなわち、フロッピーディスクと前記パーソナルコンピュータ本体との接続状態を検知する手段を有する)ものと認められる。

そして、(イ)の段落【0010】における記載「フロッピーディスクの存在を無視するか否かの情報が設定される記憶回路」、段落【0015】における記載「符号12は起動プログラムであり、設定回路11に従い設定されている状態を見て起動ディスクを選択するための制御手順が格納される。」、及び段落【0022】における記載「これは外部にスイッチを付加したり、・・・(中略)・・・で実現される。」、並びに(ウ)の段落【0021】における記載「ユーザがパーソナルコンピュータをハードディスクから起動すると決まっている場合は,起動時にフロッピーディスクの情報を読む必要が無いため、設定回路11に対し無視する情報設定を行う。」及び(エ)における記載「フロッピーディスクの存在を無視しない場合は、フロッピーディスクから情報を読み、システムディスクであることを確認して起動を開始する。」からすると、
前記パーソナルコンピュータは、外部のスイッチからの指示に応じてフロッピーディスクからの起動を行うことを表す特定状態を記憶する設定回路を備えていると解される。

そして、(イ)の段落【0015】における記載「符号12は起動プログラムであり、設定回路11に従い設定されている状態を見て起動ディスクを選択するための制御手順が格納される。」からすると、
前記パーソナルコンピュータは、前記フロッピーディスク上,または前記ハードディスク上のプログラムのうちいずれかを呼び出すかを決定する起動プログラム(すなわち、起動手段)を備えていると解される。
なお、前記パーソナルコンピュータが、起動手段により呼び出しが決定されたプログラムにしたがって前記パーソナルコンピュータ本体を制御するCPUを備えることは、当業者にとって自明である。

そして、(エ)における記載「フロッピーディスクの存在を無視しない場合は、フロッピーディスクから情報を読み、システムディスクであることを確認して起動を開始する。」等からすると、
前記パーソナルコンピュータは、前記フロッピーディスクが前記パーソナルコンピュータ本体に接続され,前記特定状態を表している時に前記パーソナルコンピュータ本体の起動がなされた場合に,前記起動手段により前記フロッピーディスク上のプログラムが呼び出され,前記CPUが当該プログラムにしたがった動作を実行するものと解される。

よって、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

パーソナルコンピュータ本体を制御するプログラムを格納するハードディスクと,
所定のプログラムが格納され,前記パーソナルコンピュータ本体に対して着脱自在なフロッピーディスクと,
前記フロッピーディスクと前記パーソナルコンピュータ本体との接続状態を検知する手段と,
外部のスイッチからの指示に応じてフロッピーディスクからの起動を行うことを表す特定状態を記憶する設定回路と,
前記フロッピーディスク上,または前記ハードディスク上のプログラムのうちいずれかを呼び出すかを決定する起動手段と,
前記起動手段により呼び出しが決定されたプログラムにしたがって前記パーソナルコンピュータ本体を制御するCPUと,
を備え,
前記フロッピーディスクが前記パーソナルコンピュータ本体に接続され,前記特定状態を表している時に前記パーソナルコンピュータ本体の起動がなされた場合に,前記起動手段により前記フロッピーディスク上のプログラムが呼び出され,前記CPUが当該プログラムにしたがった動作を実行すること特徴とするパーソナルコンピュータ。

3.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、
引用発明の「パーソナルコンピュータ」は、本願発明の「装置」および「制御装置」に相当する。
また、引用発明の「ハードディスク」、「フロッピーディスク」、「起動手段」、及び「CPU」は、それぞれ、本願発明の「本体記憶手段」、「外部記憶手段」、「周辺制御手段」、及び「本体制御手段」に相当する。
また、コンピュータが起動された場合とは、通常、コンピュータの電源がオンされた場合であることは当業者にとって自明であることから、引用発明の「パーソナルコンピュータ本体の起動がなされた場合」は、本願発明の「装置本体の電源がオンされた場合」に相当する。
そして、引用発明の「前記フロッピーディスクと前記パーソナルコンピュータ本体との接続状態を検知する手段」と、本願発明における「前記外部記憶手段と前記装置本体との接続状態を検知し,この接続状態を示す検知信号を出力する検知手段」とはともに、前記外部記憶手段と前記装置本体との接続状態を検知する検知手段である点で共通する。
また、引用発明の「外部のスイッチからの指示に応じてフロッピーディスクからの起動を行うことを表す特定状態を記憶する設定回路」と、本願発明における「任意の指示に応じて特定信号を出力する特定信号出力手段」とはともに、任意の指示に応じて特定状態を表す特定状態提示手段である点で共通する。
また、引用発明の「前記フロッピーディスクが前記パーソナルコンピュータ本体に接続され,前記特定状態を表している時」と本願発明の「前記外部記憶手段と前記装置本体との接続を示す前記検知信号と,が出力され,前記特定信号の出力中」とは、ともに前記外部記憶手段が前記装置本体に接続され,前記特定状態を表している時である点で共通する。

よって、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。

(一致点)
装置本体を制御するプログラムを格納する本体記憶手段と,
所定のプログラムが格納され,前記装置本体に対して着脱自在な外部記憶手段と,
前記外部記憶手段と前記装置本体との接続状態を検知する検知手段と,
任意の指示に応じて特定状態を表す特定状態提示手段と,
前記外部記憶手段上,または前記本体記憶手段上のプログラムのうちいずれかを呼び出すかを決定する周辺制御手段と,
前記周辺制御手段により呼び出しが決定されたプログラムにしたがって前記装置本体を制御する本体制御手段と,
を備え,
前記外部記憶手段が前記装置本体に接続され,前記特定状態を表している時に前記装置本体の電源がオンされた場合に,前記周辺制御手段により前記外部記憶手段上のプログラムが呼び出され,前記本体制御手段が当該プログラムにしたがった動作を実行すること特徴とする制御装置。

(相違点1)
「前記外部記憶手段と前記装置本体との接続状態を検知する検知手段」について、本願発明は、外部記憶手段と前記装置本体との接続状態を示す検知信号を出力するのに対して、引用発明が、フロッピーディスク(「外部記憶手段」に相当)と前記パーソナルコンピュータ(「装置」に相当)本体との接続状態を示す検知信号を出力するかどうか、明らかでない点。

(相違点2)
「任意の指示に応じて特定状態を表す特定状態提示手段」について、本願発明が、任意の指示に応じて特定信号を出力する特定信号出力手段であるのに対して、引用発明は、外部のスイッチからの指示に応じて(「任意の指示に応じて」に対応)特定状態を記憶する設定回路である点。

(相違点3)
本願発明は、前記外部記憶手段と前記装置本体との接続を示す前記検知信号と,が出力され,前記特定信号の出力中に前記装置本体の電源がオンされた場合に,前記周辺制御手段により前記外部記憶手段上のプログラムが呼び出され,前記本体制御手段が当該プログラムにしたがった動作を実行するのに対して、引用発明は、フロッピーディスクが前記パーソナルコンピュータ本体に接続され,前記特定状態を表している時に前記パーソナルコンピュータ本体の起動がなされた場合(「装置本体の電源がオンされた場合」に相当)に,前記起動手段により前記フロッピーディスク上のプログラムが呼び出され,前記CPUが当該プログラムにしたがった動作を実行するものである点。

4.判断
まず、相違点1について検討する。
本願の出願日前である平成2年12月10日に頒布された刊行物である特開平2-297760号公報に「フロッピーディスク媒体が装着されているか否かを機械的に検出し、その内容をディスク装着検出信号101として発信する」(2頁左上欄10行目?12行目。)とあるように、フロッピーディスクとコンピュータ本体との接続状態を検知し,この接続状態を示す検知信号を出力する検出手段は当業者にとって周知である。
してみれば、引用発明の「前記フロッピーディスクと前記パーソナルコンピュータ本体との接続状態を検知する手段」において、本願発明のように、フロッピーディスクとパーソナルコンピュータ本体との接続状態を示す検知信号を出力する構成とすることは、当業者であれば、適宜なし得たことである。

次に相違点2について検討する。
本願の出願日前である平成3年7月15日に頒布された刊行物である特開平3-163631号公報に
「6は外部スイッチ制御回路であり、外部スイッチ5の操作信号をCPUIに送出し、CPUIに第2図に示す制御を促す。」(2頁右上欄下から2行目?左下欄1行目。)と記載されているように、
また、昭和62年12月22日に頒布された刊行物である特開昭62-295155号公報に
「前記スイッチ入力が特定の状態でないときは、該スイッチ入力に対応するプログラムをロードするようにしたものである。」(2頁右上欄12行目?15行目。)と記載されているように、
外部のスイッチからの指示に応じて特定信号を出力する特定信号出力回路は当業者にとって周知である。
してみれば、引用発明の「外部のスイッチからの指示に応じてフロッピーディスクからの起動を行うことを表す特定状態を記憶する設定回路」に代えて、本願発明のように、外部のスイッチからの指示に応じて特定信号を出力する特定信号出力回路とすることは当業者であれば適宜なし得たことである。

そして、上記相違点1及び相違点2の検討結果を勘案すれば、引用発明が本願発明のように「前記フロッピーディスクと前記パーソナルコンピュータ本体との接続を示す前記検知信号と,が出力され,前記特定信号の出力中に前記パーソナルコンピュータ本体の起動がなされた場合に,前記起動手段により前記フロッピーディスク上のプログラムが呼び出され,前記CPUが当該プログラムにしたがった動作を実行する構成になることは、論理的に明らかである。
よって、相違点3は格別のものではない。

そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。

したがって、本願発明は、引用発明、及び前記周知技術から容易に発明することができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献及び周知技術から容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2号に該当し、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-31 
結審通知日 2008-02-05 
審決日 2008-02-18 
出願番号 特願平9-313776
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 漆原 孝治  
特許庁審判長 赤川 誠一
特許庁審判官 桑江 晃
橋本 正弘
発明の名称 制御装置および画像形成装置  
代理人 酒井 宏明  

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