ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D |
---|---|
管理番号 | 1175643 |
審判番号 | 不服2006-22647 |
総通号数 | 101 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-05-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-10-05 |
確定日 | 2008-04-02 |
事件の表示 | 特願2001-132266「ブローボトル」拒絶査定不服審判事件〔平成14年11月12日出願公開、特開2002-326619〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願発明 本願は、平成13年4月27日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成18年8月4日にした手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1は、次のとおり記載されている。 「【請求項1】 肩部と胴部の断面を、角部を面取りした四角形とした四面体ボトルであって、 胴部が、横凹リブを境とした上部胴部と下部胴部とからなり、 上下胴部が、それぞれ四面の側壁面と、隣り合う側壁面を結ぶ角部壁面とを具えており、 上下の角部壁面は、横凹リブの方向に向かうにしたがって細巾とするとともに、中央部に設けた細巾の底面と、該底面と角部壁面の両側縁部を結ぶ傾斜壁とから形成された縦方向に延びる凹部を設けていることを特徴とするブローボトル。」 (以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。) 2 引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である登録実用新案第3050587号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の記載がある。 「【0024】 図1?図4は、本考案の一実施の形態に係る二軸延伸ブロー成形容器(以下、単に容器と称す。)を示す図である。」 「【0025】 図1には、容器の正面図が示されており、この容器10は、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)を用いて、二軸延伸ブロー成形により、上端側の開口部を含むネック部12と…ショルダー部14と…胴部20とが一体に成形された小容量(例えば350ml)のものとなっている。」 「【0026】 胴部20は、同じ幅の4つの壁部22を有する横断面略正方形状に形成されている。この胴部20には、壁部22同士の交差部4箇所にそれぞれ壁部22よりも幅狭の面取り部24が高さ方向にわたって形成され、交差部の補強をなすようになっている。」 「【0027】 また、胴部20の高さ方向(縦方向)略中央位置に、内方に窪む補強周溝26が形成されるようになっている。この補強周溝26は、壁部22および面取り部24にわたり周方向に連続して設けられるようになっており、この補強周溝26を境に、胴部20が上下に区分けされるようになっている。……」 「【0030】…各面取り部24に補強縦溝34を形成することで、面取り部24の補強を行うようにしている。」 「【0032】 この補強縦溝34は、補強周溝26を横切って面取り部24の上下方向(縦方向)略全長にわたって形成され、面取り部24の略全長で補強を行っている。」 「【0034】 したがって、この補強縦溝34によって面取り部24の略全長にわたり連続して補強されることとなり、元々幅が狭く補強された状態の面取り部24がさらに補強縦溝34によって補強されることで、相対的にその面取り部24に挟まれる壁部22が面取り部24に比し撓みやすい状態となり……」 そして、図1には、ボトルの形態をなし、壁部22及び面取り部24がショルダー部まで延長している容器10が図示され、図2には、角部を面取りした略正方形状の、該容器10の胴部20の横断面が図示されている。 以上の記載及び図1ないし図3によれば、引用例1には次の発明が記載されていると認められる。 「ショルダー部14と胴部20の断面を、角部を面取りした略正方形状としたボトルであって、胴部が補強周溝26を境に上下に区分けされ、上下の胴部が、それぞれ4面の壁部22と、壁部22同士の交差部に形成された面取り部24とを具えており、上下の面取り部24に補強縦溝34が形成され、面取り部24が補強されたブロー成形ボトル。」 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である実願平2-129064号(実開平4-84121号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、以下の記載がある。 a「本考案は、液体を収容する合成樹脂製の角形ボトルに関する。」(明細書2頁4ないし5行) b「本考案は…横方向の力に対して剛性を有する角形ボトルとすることを技術的課題とする。」(同2頁16ないし17行) c「本件の第1の考案は、互いに直角方向に延びる4つの長辺1と、この4つの長辺1によって形成される隅部を、4つの短辺10に形成し……横断面形状が8角形をなす合成樹脂製の角形ボトルにおいて、前記各短辺10を内方に弧状に凹入させて凹入部11に形成して角形ボトルとした。第2の考案は、第1の考案の各凹入部11の中央部に、縦方向に延びる第2凹溝12をそれぞれ設け、この第2凹溝12の側部を、外側が広がる形状の傾斜面3に形成して角形ボトルとした。」(同2頁19行ないし3頁10行) d「〔作用〕本考案の角形ボトルは、長辺1に対して、その長辺1を押圧するような横方向の力が加えられた場合に、短辺10は凹入部11に形成されているので、外側へは膨出しない。……また、第2凹溝12…の傾斜面3は、凹入部11…の屈曲を防止する。」(同3頁19行ないし4頁9行) 以上の記載及び第2図によると、引用例2には次の発明が記載されていると認められる。 「4つの長辺1と隅部に形成される4つの短辺10からなる合成樹脂製の角形ボトルにおいて、短辺10を内方に弧状に凹入させて凹入部11に形成し、凹入部11の中央部に、縦方向に延びる第2凹溝12を設け、第2凹溝12の側部を、外側が広がる形状の傾斜面3に形成した、横方向の力に対して剛性を有する合成樹脂製角形ボトル。」 3 対比 本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例1記載の発明の「ショルダー部14」、「略正方形状」、「ボトル」、「補強周溝26」、「壁部22」、「壁部22同士の交差部に形成された」及び「面取り部24」は、それぞれ本願発明の「肩部」、「四角形」、「四面体ボトル」、「横凹リブ」、「側壁面」、「隣り合う側壁面を結ぶ」及び「角部壁面」に相当するから、両者は、 「肩部と胴部の断面を、角部を面取りした四角形とした四面体ボトルであって、 胴部が、横凹リブを境とした上部胴部と下部胴部とからなり、 上下胴部が、それぞれ四面の側壁面と、隣り合う側壁面を結ぶ角部壁面とを具えているブローボトル」 である点で一致し、次の点で相違する。 相違点1 本願発明では、上下の角部壁面は、横凹リブの方向に向かうにしたがって細巾とするのに対して、引用例1記載の発明では、そのようになっていない点。 相違点2 本願発明では、上下の角部壁面は、中央部に設けた細巾の底面と、該底面と角部壁面の両側縁部を結ぶ傾斜壁とから形成された縦方向に延びる凹部を設けているのに対して、引用例1記載の発明では、上下の角部壁面に補強縦溝34が形成されている点。 4 相違点の検討 そこで、上記各相違点について検討する。 《相違点1について》 内圧の変化に対応させるために、ボトルの角部壁面をボトル中央部の方向に向かうにしたがって細巾とすることは、本願の出願前に周知の技術(例えば、実願平2-52806号(実開平4-13508号)のマイクロフィルム、特開平9-20323号公報、特開平11-171157号公報参照。)であるから、引用例1記載の発明において、上下の角部壁面について上記周知技術を適用して、横凹リブの方向に向かうにしたがって細巾とし、相違点1に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 《相違点2について》 本願明細書の段落【0002】、【0003】、【0009】及び【0010】の記載によると、本願発明は、相違点2に係る事項を備えることにより、従来のストレート面である角部壁面に比して、角部壁面の剛性が強化されるというものである。 しかしながら、引用例2には、角形ボトルの長辺1を押圧するような横方向の力が加えられた場合に、角部壁面に凹入部11に形成されているので、外側へは膨出せず、第2凹溝12の傾斜面3が凹入部11の屈曲を防止し、角形ボトルに横方向の力に対する剛性を与えること(上記記載b、d参照。)が記載されている。 本願発明の凹部は中央部に設けた細巾の底面と該底面と角部壁面の両側縁部を結ぶ傾斜壁とから形成されているので、その断面の形状は引用例2のものとはやや異なってはいるが、引用例2の第1図あるいは第2図に記載された凹部とほぼ同様の形状であって、具体的に細部をどのような形状とするかは当業者が必要に応じ適宜なし得る設計的事項にすぎない。しかも、横方向押圧時の角部壁面の外側への膨出や屈曲等の変形を防止し、角形ボトルに横方向の力に対する剛性を与えるという作用効果の面で、格別の差異が生じるものとも認められない。 したがって、本願発明は、引用例1及び引用例2記載の発明並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-01-23 |
結審通知日 | 2008-01-29 |
審決日 | 2008-02-12 |
出願番号 | 特願2001-132266(P2001-132266) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65D)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高橋 裕一、渡邊 真 |
特許庁審判長 |
寺本 光生 |
特許庁審判官 |
関口 勇 田中 玲子 |
発明の名称 | ブローボトル |
代理人 | 吉村 眞治 |