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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1175647
審判番号 不服2004-24700  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-12-02 
確定日 2008-04-04 
事件の表示 平成11年特許願第370829号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 9月19日出願公開、特開2000-254306〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年3月9日に出願した特願平11-61686号の一部を平成11年12月27日に新たな特許出願としたものであって、平成16年3月26日付で拒絶理由通知がなされ、平成16年6月4日付で手続補正がなされ、平成16年10月26日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年12月2日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成16年12月8日付で手続補正がなされたものである。

2.平成16年12月8日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年12月8日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

「制御装置を介して図柄表示部L1、L2、L3を備える図柄表示器で可変表示ゲームを行い、その可変表示ゲームに寄与する入賞球の数である入賞記憶数を記憶すると共に、それらの入賞記憶数に対して特別遊技状態を生起するか否かも併せて記憶する遊技機であって、
前記可変表示ゲームにおいて、図柄表示部L1と図柄表示部L2の図柄が揃って停止し、図柄表示部L3の図柄が変動しているリーチアクション中に、前記入賞記憶数が予め設定した個数になると、この可変表示ゲームが特別遊技状態を生起する可能性を示唆する特別な報知態様で遊技者に報知することを特徴とする遊技機。」

と補正された。

上記補正は、平成16年6月4日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「図柄表示器を介して可変表示ゲームを行い」を「制御装置を介して図柄表示部L1、L2、L3を備える図柄表示器で可変表示ゲームを行い」と限定し、同じく「入賞球の数である入賞記憶数を記憶する」を「入賞球の数である入賞記憶数を記憶すると共に、それらの入賞記憶数に対して特別遊技状態を生起するか否かも併せて記憶する」と限定し、同じく「リーチアクション中であるとき、前記入賞記憶数が予め設定個数になると、特別遊技状態を生起する可能性を示唆する特別な報知態様で遊技者に報知する」を「図柄表示部L1と図柄表示部L2の図柄が揃って停止し、図柄表示部L3の図柄が変動しているリーチアクション中に、前記入賞記憶数が予め設定した個数になると、この可変表示ゲームが特別遊技状態を生起する可能性を示唆する特別な報知態様で遊技者に報知する」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-700号公報(以下、引用例という。)には、図面とともに、
【特許請求の範囲】
【請求項1】 表示状態が変化可能な可変表示装置を有する遊技機であって、
前記可変表示装置を可変開始させた後、表示結果を導出表示させる制御を行なう可変表示制御手段と、
前記可変表示装置の表示結果内容を該可変表示装置が可変開始する以前の段階から予め決定しておく表示結果内容事前決定手段とを含み、
前記可変表示装置は、特定のキャラクタを前記可変表示装置に表示させる制御を行なうことが可能であり、前記表示結果内容事前決定手段により表示結果内容を特定の表示態様に相当するものにする決定が行なわれた場合に、該特定の表示態様が表示結果として導出表示される以前の段階から、前記特定の表示態様が表示されることを前記特定のキャラクタを用いて遊技者に報知する表示制御を行なう・・・、遊技機。
【請求項2】 前記可変表示制御手段は、前記特定のキャラクタを用いて遊技者に報知する表示制御を行なう場合に、前記特定のキャラクタの表示状態を変化させる制御を行なう・・・遊技機。
【請求項4】 音を発生するための音発生手段と、
前記遊技機の遊技状態に応じた音を作成し、その作成した音を前記音発生手段から発生させるための音作成手段とをさらに含み、
前記音作成手段は、前記表示結果内容事前決定手段により表示結果内容を前記特定の表示態様に相当するものにする決定が行なわれた場合に、該特定の表示態様が表示結果として導出表示される以前の段階から、予め定められた特別の音を作成し、かつ、その作成した音を前記音発生手段から発生させる・・・遊技機。
【0014】第1実施例
図1・・・。パチンコ遊技機の遊技盤1の前面には、遊技領域3が形成されている。パチンコ遊技機は、・・・打球操作ハンドルを遊技者が操作することにより、パチンコ玉を1個ずつ発射することができ・・・遊技領域3内に導かれる。
【0015】遊技領域3の中央には、複数種類の識別情報を可変表示して表示状態が変化可能な可変表示装置4が設けられている。可変表示装置4の下方には、可変入賞球装置10が設けられている。この可変入賞球装置10は、・・・開閉板12が開成して打玉が入賞可能な遊技者にとって有利となる第1の状態と、・・・開閉板12が閉成して打玉が入賞不可能な遊技者にとって不利な第2の状態とに変化可能に構成されている。・・・。
【0016】・・・始動口9に入賞した始動入賞玉は始動玉検出器21により検出され、その検出出力に基づいて可変表示装置4が可変開始される。
【0017】この可変表示装置4は、・・・、可変表示部5が設けられている。この可変表示部5は、図1に示すように、左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とに3分割されており、すべての可変表示部が一斉に可変開始することにより複数種類の図柄等からなる識別情報が上から下に向かってスクロール表示され、まず左可変表示部が停止制御され、次に右可変表示部が停止制御され、最後に中可変表示部が停止制御される。
【0018】この可変表示装置4が可変停止された状態で、識別情報が、予め定められた特定の識別情報の組合せ(たとえば777)となり、表示結果が予め定められた特定の表示態様となった場合には、特定遊技状態が発生して可変入賞球装置10が第1の状態に制御されて所定の遊技価値が付与可能な大当り状態となる。・・・。
【0019】このような可変表示装置の可変表示中においては、リーチ状態が発生する場合がある。・・・。
【0021】可変表示装置4が可変表示中に打玉が再度始動口9に入賞して始動玉検出器21により検出されれば、その始動入賞玉が記憶される。この始動入賞記憶の上限は、たとえば「4」と定められている。現時点における始動入賞記憶個数が始動記憶表示器6により表示される。可変表示装置4が可変停止した後、再度可変開始可能な状態になってから前記始動入賞記憶に基づいて可変表示装置4が再度可変開始される。・・・。
【0023】・・・パチンコ遊技機には、パチンコ遊技機の遊技状態を制御するための制御回路として、制御用のプログラムを記憶しているプログラム記憶手段としてのROM,そのROMに記憶されているプログラムに従って制御動作する制御中枢手段としてのCPU,そのCPUにより制御される遊技機の制御用データを記憶する制御用データ記憶手段としてのRAM,外部との信号の整合性をとるためのI/Oポート等を有する遊技制御基板が設けられている。
【0025】図2を参照して、遊技制御基板は、基本回路40、音回路41、7セグLED・LED回路42、ソレノイド・ランプ回路43、アドレスデコード回路44、初期リセット回路45、クロック用リセットパルス回路46、電源回路47、スイッチ入力回路48、および情報出力回路53を含む。
【0026】基本回路40は、制御用プログラムに従ってパチンコ遊技機の各種機器を制御する。基本回路40の内部には、制御用プログラムを記憶しているROM(・・・)と、その制御用プログラムに従って制御動作を行なうためのCPU(・・・・ )と、CPUのワーク用メモリとして機能するRAM(・・・)、I/O(・・・)ポートと、クロック発生回路とが設けられている。・・・。
【0029】音回路41は、基本回路40から出力される音声発生指令信号に応答して、効果音データを作成し、作成した効果音データを音出力装置52に与える。・・・。
【0030】7セグLED・LED回路42には、・・・、始動記憶表示器6、・・・が接続されている。7セグLED・LED回路42は、基本回路40から出力される制御信号に応答して、・・・、始動記憶表示器6、・・・のLEDの点灯状態の制御・・・を行なう。
【0034】基本回路40から、・・・画像制御基板29には、コネクタ30を介して、画像表示のためのコマンドデータDAT0?DAT7、コマンドデータのストローブ信号STRVが供給される。
【0035】図3は、可変表示装置4に用いられている画像制御基板29に形成された回路の構成を示すブロック図である。画像制御基板29には、基本回路32、キャラクタROM33、VDP(・・・)34、VRAM35、ワークRAM36、制御ROM37、発振回路38およびリセット回路39が設けられている。
【0036】基本回路32は、コネクタ30を介して、図2の遊技制御基板と接続されている。基本回路32は、遊技制御基板からコネクタ30を介して画像の表示のためのコマンドデータDAT0?DAT7、コマンドデータのストローブ信号STRVを受ける。・・・。基本回路32は、CPUを内蔵し、画像制御基板29に形成された回路の全体を制御する。
【0037】基本回路32は、受信したコマンドデータDAT0?DAT7に応答して、画像制御基板29に形成された回路全体を制御する。基本回路32は、VDP34および制御ROM37に、アドレス信号、データ信号および制御信号を送り、VDP34と制御ROM37との間で、データ信号の送受信を行なう。そして、基本回路32は、受信したデータに基づいて、ワークRAM36を作業領域として用いて、画像制御基板29に形成された回路全体の制御を行なう。制御ROM37は、基本回路32の動作を制御するための制御用プログラムを予め記憶しており、基本回路32から送信されてきたアドレス信号および制御信号に応答して、該当する制御用プログラムをデータ信号として基本回路32へ返信する。
【0038】・・・VDP34は、基本回路32からの制御信号に応答して、画像データを生成する。・・・。VDP34は、キャラクタROMアドレス信号、キャラクタROMデータ信号およびキャラクタROM制御信号をキャラクタROM33へ送信する。キャラクタROM33からVDP34へは、キャラクタROMデータ信号等の信号が返信される。
【0039】VDP34は、基本回路32から出力される制御信号に応答して、可変表示部5に表示される画像を構成するための画像データを生成する。VRAM35は、VDP34が生成した画像データを一時的に記憶する。VDP34が生成し、VRAM35に記憶される画像データは、所定数のドットの集合を単位としたキャラクタの識別番号である。
【0040】画像データには、複数のキャラクタの識別番号が、表示される配置関係に従って含まれている。これをマップデータという。個々のキャラクタの識別番号は、制御ROM37に予め記憶されている。可変表示部5に表示される画面を構成するために必要なキャラクタの識別番号が制御ROM37から読出され、VDP34により、表示画面におけるキャラクタの配置関係を示すためのマップデータとして、VRAM35に記憶される。
【0041】キャラクタROM33は、キャラクタの識別番号に対応するドットデータを予め記憶している。VDP34は、所定のタイミングでVRAM35からマップデータを読出し、マップデータに含まれる各キャラクタの識別番号に基づいて、各キャラクタのドットデータを読出す。VDP34は、読出したドットデータに基づいて、RGB信号(RED,GREEN,BLUE)信号を生成する。
【0042】・・・。LCDモジュールは、送信されてきたRGB信号および複合同期信号SYNCに基づいて、可変表示部5に画像を表示する。なお、図1に示した可変表示装置4の可変表示部5は、LCDモジュールに含まれる画像表示面である。
【0043】図4は、遊技制御,可変表示装置4の可変表示制御に用いられる各種ランダムカウンタを説明するための説明図である。C RND1は、大当りを発生させるか否かを事前決定するために用いられ、・・・る。
【0047】・・・、C RND RCHは、リーチの種類を決定するためのものであ・・・る。・・・。このC RND RCHの抽出は、C RND1の読出と同時期に行なわれる。このC RND RCHの値と、リーチの種類(たとえば、図柄の変動パターンの種類)とが予め対応付けられている。
【0048】・・・、C RND YOKは、大当り予告決定用に用いられ、・・・る。・・・。このC RNDYOKの抽出は、C RND1の読出と同時期に行なわれる。
【0049】・・・、大当り予告は、C RND YOKでそれを実行するか否かが決定され、同時にその予告の方法も決定される。大当り予告は、大当りが発生することが事前に決定されている場合でも、そうでない場合でも導出表示されるが、前者の場合は後者に比較して容易に実行するようになっている。・・・。
【0050】図5は、ランダムカウンタの値により大当りを発生させるか否かを事前に決定するための手順を示すフローチャートである。このフローチャートにより変動表示の結果を大当りとするか否かを事前に決定し、さらに停止図柄の種類,大当り予告の種類を決定する。この実施例においては、大当り予告の報知が、特別の音、特定のキャラクタ、あるいはその両方を用いる3種類のいずれかの方法により行なわれる。特別の音による予告報知は、音出力装置52によって行なわれ、特定のキャラクタによる予告報知は、可変表示装置4において行なわれる。この予告報知の際に表示されるキャラクタは通常の遊技時において表示されない特別のものであり、この予告報知の際に発生される音は通常の遊技時に発生されない特別の音である。ここで、キャラクタとは、可変表示装置4により表示される、人間,動物,図形あるいは物等を表わす映像である。
【0051】打玉が始動口9に入賞して始動玉検出器21により検出されれば、その時点におけるC RND1の値を抽出し、その抽出値が「3」のときには、大当りを発生させることが事前決定される。そして、大当りを発生させることが事前決定された場合には、・・・、C RND YOKの抽出値により大当り予告を実行するか否かの決定および大当り予告の種類の決定が行なわれる。・・・。
【0056】・・・図6に示される大当り予告テーブルにおいては、各種の遊技状態ごとにC RND YOKの抽出値と、大当り予告の報知方法との関係が予め定められている。
【0057】・・・。遊技状態は、大当りが事前決定されていない遊技状態(・・・)、大当りが事前決定されておりかつ始動入賞記憶数が2以上である遊技状態(・・・・)、および大当りが事前決定されておりかつ始動入賞記憶数が1以下の遊技状態(・・・)の3種類に分類されている。
【0059】遊技状態が「大当り・始動記憶2以上」である場合には、C RND YOKとの抽出値、「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」?「99」の場合には、特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「100」?「199」の場合には、キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「200」?「449」の場合には、音およびキャラクタの両方による真の大当り予告の報知を行なう。・・・。
【0060】遊技状態が「大当り・始動記憶1以下」の場合には、C RND YOKと、「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」?「224」の場合には、特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「225」?「449」の場合には、キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。・・・。
【0062】・・・大当り予告処理は、図2に示した遊技制御基板の基本回路40が実行する制御プログラムのメインルーチンの実行に付随して実行される。
【0063】・・・、ステップS(以下単にSという)1により、大当り予告フラグがセットされているか否かの判断がなされる。・・・。大当り予告が実行される場合には、この大当り予告フラグが、・・・S5においてセットされる。
【0064】S1で大当り予告フラグがセットされていると判断された場合には、・・・S6に進む。一方、S1で大当り予告フラグがセットされていないと判断された場合には、S2に進み、始動入賞記憶中に大当りを発生させることが事前に決定されたものが含まれているか否かの判断がなされる。
【0065】・・・、S2で始動入賞記憶中に大当りがあると判断された場合には、S3に進み、始動入賞記憶後に抽出されたC RND YOKの値に基づき、図6の大当り予告テーブルを参照する。その際には、遊技状態およびC RND YOKの抽出値に応じた報知方法が大当り予告テーブルを用いて決定される。
【0066】・・・、S4で大当り予告を実行すると判断された場合には、S5に進む。
【0068】S5では、大当り予告フラグをセットする処理がなされる。その場合には、S3で決定した報知方法の種類に対応する大当り予告フラグがセットされる。すなわち、大当り予告フラグは、報知方法の種類のそれぞれに対応して複数種類存在する。
【0069】・・・S6では、決定された報知方法に対応する大当り予告を実際に行なう処理がなされる。すなわち、図6の大当り予告テーブルに設定されている特別の音による報知、キャラクタによる報知、または特別の音、およびキャラクタの両方による報知のいずれかの方法による大当り予告の報知が実行される。・・・。S7において、大当り予告を終了させる条件としては、真の大当り予告の場合には大当りが発生する回の可変表示が行なわれたこと、・・・、可変表示が所定回数行なわれたこと等が考えられる。
【0070】・・・。大当り予告をするか否かは、大当り予告テーブルに基づいて決定され、大当り予告を行なう場合の報知方法も大当り予告テーブルに基づいて決定される。大当り予告には、真の大当り予告(大当りを発生させることが事前に決定されている場合の予告報知)と、偽りの大当り予告(大当りを発生させることが事前に決定されていない場合の予告報知)とが含まれる。真の大当り予告と、偽りの大当り予告とのそれぞれの報知方法の種類は同じである。さらに、この大当り予告は、複数種類の報知方法を選択的に用いた報知が行なわれる。
【0071】・・・。遊技者は、大当り予告が実行されることにより、大当りが発生することを予感することができる。このため、大当りが発生する以前の可変表示の段階から大当りの発生に対する遊技者の期待感を高めることができる。・・・。
【0072】・・・。特定のキャラクタ、特別の音、または、特定のキャラクタおよび特別の音の両方を用いた大当り予告の報知が行なわれる。そのキャラクタは、通常の遊技時に表示されない特別のものであり、また、その特別の音は、通常の遊技時に発生されないものである。このため、これらを用いた大当り予告報知が行なわれることにより、このパチンコ遊技機においては遊技状況にアクセントを付けることができる。
【0073】・・・、大当り予告報知としてキャラクタ等による予告報知を行なう場合に、単に、真の大当り予告の報知のみを行なうこととすれば、大当りの予告報知がない場合には始動入賞記憶中に大当りを発生させることが事前決定されているものがないということを遊技者に知られてしまうというおそれがある。・・・。
【0076】・・・、大当り予告報知として真の大当り予告の報知と、偽りの大当り予告の報知とを併せて行なう例を説明したが、・・・、これに限らず、真の大当り予告の報知のみを行なう場合にも適用されるものである。
【0077】次に、大当り予告処理の実行によってなされる大当り予告の報知方法の具体例を説明する。以下に説明する報知方法の具体例は、図6の大当り予告テーブルに設定されている報知方法の具体例である。
【0078】・・・図9においては、始動記憶表示器6の始動記憶状態と、各始動記憶に対応する可変表示部5の表示内容および特別の音の内容とが図中の丸数字によって関連付けられて示されている。図中に示される可変表示部5には、左可変表示部5a,中可変表示部5b,右可変表示部5cのそれぞれに図柄が可変表示される。
【0079】この場合には、3つ目の始動記憶が大当りとなることが事前に決定されている。まず、1つ目の始動記憶に対応して「ヤッター」という特別の音のみが報知される(上段参照)。そして、2つ目の始動記憶に対応して、「ヤッター」という特別の音の報知がなされるとともに、所定の人形状のキャラクタ55が可変表示部5の画面の左横から出現し、所定の位置で停止する。その後腕を上下する動作を行なう(中段参照)。このキャラクタ55の動作は左,中,右の可変表示部5a,5b,5cの変動が停止した後も継続して行なわれる。そして、3つ目の始動記憶に対応して、特別の音の報知がなされるとともに、キャラクタ55の動作がさらに継続される。
【0080】・・・、偽りの大当り予告の報知の場合に限り、その大当り予告報知の最後の回のリーチ表示において、キャラクタ55が画面の左横へ戻って消えるようにされている。・・・。
【0081】・・・、このように報知される特別の音の種類は、リーチ表示回ごとに異なるようにしてもよい。また、キャラクタ55の動作は、リーチ表示回ごとに異なるようにしてもよい。
【0082】・・・。図10を参照して、・・・、2つ目の始動記憶が大当りとなることが事前に決定されている。まず、1つ目の始動記憶に対応しての「ヤッター」という特別の音が報知される(上段参照)。そして、2つ目の始動記憶に対応して、「ヤッター」という特別の音の報知がさらになされる。なお、図9および図10に示した特別の音は、合成された音である例を示したが、これに限らず、特別の音は、通常の遊技時に発生されない音であればよく、たとえば効果音であってもよい。
【0083】・・・。図11を参照して、・・・、2つ目の始動記憶が大当りとなることが事前に決定されている。まず、1つ目の始動記憶に対応して特定のキャラクタ55が可変表示部5の画面の左横から出現し、所定の位置で停止の後腕を上下する動作を行なう。このキャラクタ55の移動の動作は、左,中,右の可変表示部5a,5b,5cの変動が停止した後も継続してなされる。そして、2つ目の始動記憶に対応してキャラクタの動作が継続される(下段参照)。
【0084】・・・。図12を参照して、・・・、3つ目の始動記憶が大当りとなることが事前に決定されている。この場合には、通常時において、特定のキャラクタ55が可変表示部5の画面の左横に横向きで表示されている。そして、1つ目の始動記憶に対応して、キャラクタ55の色が変化する(上段参照)。そして、2つ目の始動記憶に対応して、キャラクタ55が、手を上に上げる動作を行なう(中段参照)。そして、3つ目の始動記憶に対応して、キャラクタ55が正面を向く動作をする(下段参照)。このように、図12の例では、キャラクタ55の動作、形状および色が変化する。
【0085】・・・、この図12において示したキャラクタ55の動作は、単なる一例である。この大当り予告においては、キャラクタ55の動作、形状または色のいずれか1つが変化するようにしてもよい。また、キャラクタ55の動作,形状,色に加えてあるいはそれに代えて、キャラクタ55の大きさやキャラクタ55の画面上の登場位置を変化させたりキャラクタ55自体が他のキャラクタと入れ替わるようにすることにより、大当り予告を報知するようにしてもよい。
【0096】・・・。
(1) 図3に示した画像制御基板29に形成された回路により、可変表示装置4を可変開始させた後、表示結果を導出表示させる制御を行なう可変表示制御手段が構成されている。図2に示した遊技制御基板の基本回路40および図5に示したフローチャートにより、可変表示装置の表示結果内容を可変表示装置が可変開始する以前の段階から予め決定しておく表示結果内容事前決定手段が構成されている。さらに、可変表示制御手段は、特定のキャラクタを可変表示装置に表示させる制御を行なうことが可能であり、図8のフローチャートに示されるように、表示結果内容事前決定手段により表示結果内容を特定の表示態様に相当するものにする決定が行なわれた場合に、特定の表示態様が表示結果として導出表示される以前の段階から、特定の表示態様が表示されることを特定のキャラクタ(図9参照)を用いて遊技者に報知する制御を行なう機能も有する。
【0097】(2) この遊技機においてなされる報知の報知態様(報知方法)には、特定のキャラクタおよび特別の音の両方による報知(図9参照)、特別の音のみによる報知(図10参照)、特定のキャラクタのみによる報知(図11および図12参照)が含まれる。キャラクタによる報知の態様には、キャラクタの動作の変化、キャラクタの形状の変化、キャラクタの色の変化のいずれか、または、それらの組合せによる報知態様(図12参照)が含まれる。特別の音による報知の態様には、合成された音声、効果音による報知態様が含まれる。
【0104】(9)・・・、特定の表示態様が表示結果として導出表示される予定となっている回の可変表示以前の段階から、前記特定の表示態様が表示されることを遊技者に事前に報知するものを示したが、それに代えて、前記特定の表示態様が表示結果として導出表示される予定となっている回の可変表示の段階から報知を始めて、前記特定の表示態様が表示されることを遊技者に事前に報知するようにしてもよい。
【0107】
【発明の効果】・・・、特定の表示態様が表示結果として導出表示される以前の段階から、特定の表示態様が表示されることが特定のキャラクタを用いて報知される。このため、遊技に対する遊技者の期待感および興趣をより一層向上させることができる。さらに、遊技中において、通常の遊技時の表示状態と異なり、特定のキャラクタを用いた報知がなされるため、遊技状況にアクセントを付けることができる。さらに、可変表示装置による表示の面白さを十分に演出することができる。
【0110】・・・、可変表示装置の表示結果内容を特定の表示態様に相当するものにする決定が行なわれた場合に、特定の表示態様が表示結果として導出表示される以前の段階から、予め定められた特別の音が発生されるので、報知は、特定のキャラクタを用いることに加えて、特別の音の発生によっても行なわれる。このため、報知による遊技者の期待感および興趣をさらに向上させることができる。また、遊技者が可変表示に注目していない場合でも報知が可能である。
との記載が認められる。
以上の摘記事項から、引用例には、

「基本回路40を介して左可変表示部5a,中可変表示部5b,右可変表示部5cの可変表示部5を設けた可変表示装置4で可変表示ゲームを行い、可変表示装置4が可変表示中に打玉が再度始動口9に入賞して始動玉検出器21により検出されれば、その始動入賞玉の数である始動入賞記憶個数を記憶すると共に、それらの始動入賞記憶個数に対して大当り状態を発生させるか否かも併せて記憶するパチンコ遊技機であって、
前記可変表示ゲームにおいて、左可変表示部5a,中可変表示部5b,右可変表示部5cのそれぞれに図柄が可変表示される場合に、始動入賞記憶中に大当りを発生させることが事前に決定されたものが含まれていると、この可変表示ゲームが大当り状態を発生させる導出表示以前の段階から特定のキャラクタで遊技者に予告報知するパチンコ遊技機。」

との発明(以下「引用例発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例発明とを比較すると、引用例発明の「基本回路40」は本願補正発明の「制御装置」に相当し、以下同様に、「左可変表示部5a,中可変表示部5b,右可変表示部5cの可変表示部5」は「図柄表示部L1、L2、L3」に、「設けた」は「備える」に、「可変表示装置4」は「図柄表示器」に、「可変表示装置4が可変表示中に打玉が再度始動口9に入賞して始動玉検出器21により検出されれば、その始動入賞玉の数」は「その可変表示ゲームに寄与する入賞球の数」に、「始動入賞記憶個数」は「入賞記憶数」に、「大当り状態」は「特別遊技状態」に、「発生させる」は「生起する」に、「パチンコ遊技機」は「遊技機」に、「導出表示以前の段階から」は「可能性を示唆する」に、「特定のキャラクタ」は「特別な報知態様」に、「予告報知」は「報知」にそれぞれ相当している。

また、引用例発明の「左可変表示部5a,中可変表示部5b,右可変表示部5cのそれぞれに図柄が可変表示される場合に」と本願補正発明の「図柄表示部L1と図柄表示部L2の図柄が揃って停止し、図柄表示部L3の図柄が変動しているリーチアクション中に」は「図柄表示器の可変表示中の特定の時期に」で共通し、以下同様に、「始動入賞記憶中に大当りを発生させることが事前に決定されたものが含まれていると」と「入賞記憶数が予め設定した個数になると」は「特定の条件になると」で共通する。したがって、両者は、

「制御装置を介して図柄表示部L1、L2、L3を備える図柄表示器で可変表示ゲームを行い、その可変表示ゲームに寄与する入賞球の数である入賞記憶数を記憶すると共に、それらの入賞記憶数に対して特別遊技状態を生起するか否かも併せて記憶する遊技機であって、
前記可変表示ゲームにおいて、図柄表示器の可変表示中の特定の時期に、特定の条件になると、この可変表示ゲームが特別遊技状態を生起する可能性を示唆する特別な報知態様で遊技者に報知する遊技機。」

の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1、図柄表示器の可変表示ゲームが特別遊技状態を生起する可能性を示唆する特別な報知態様で遊技者に報知する可変表示中の特定の時期において、本願補正発明では、「図柄表示部L1と図柄表示部L2の図柄が揃って停止し、図柄表示部L3の図柄が変動しているリーチアクション中」であるのに対して、引用例発明では「左可変表示部5a,中可変表示部5b,右可変表示部5cのそれぞれに図柄が可変表示される場合」である点。

相違点2、可変表示ゲームが特別遊技状態を生起する可能性を示唆する特別な報知態様で遊技者に報知する特定の条件が、本願補正発明では、「入賞記憶数が予め設定した個数になる」ことであるのに対して、引用例発明では「始動入賞記憶中に大当りを発生させることが事前に決定されたものが含まれている」ことである点。

(4)判断
上記相違点について検討する。
相違点1について、一般的に、左特別図柄表示部と右特別図柄表示部の図柄が両方停止し、中特別図柄表示部の図柄が変動しているリーチアクション中に可変表示ゲームが大当たりを予告するために通常図柄と異なる図柄の報知を行うことが周知{例えば、特開平9-56896号公報(段落【0036】等)、特開平7-68032号公報(段落【0028】等、図2)参照}である(以下、「周知例A」という。)から、引用例発明の「左可変表示部5a,中可変表示部5b,右可変表示部5cのそれぞれに図柄が可変表示される場合」、つまり、全ての可変表示部5a?cが変動中であることに代えて、前記周知例Aを適用して本願補正発明の相違点1に係る「図柄表示部L1と図柄表示部L2の図柄が揃って停止し、図柄表示部L3の図柄が変動しているリーチアクション中」とした点に格別の発明力を要したとはいえず、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項であるといえる。

相違点2について、一般的に、特別図柄始動入賞記憶数が4個の場合に、リーチ可変表示遊技の発生確率をさらに低く変えたり、4個以上のオーバーフロー数を積算して所定値を超えた場合に景品を与えたりする等の付加的機能を持たせることが周知{例えば、特開平9-276496号公報(段落【0081】等)、特開平9-140868号公報(段落【0182】等)参照}である(以下、「周知例B」という。)から、遊技者に特別遊技状態を生起する可能性を示唆する報知に際して、引用例発明のように「始動入賞記憶中に大当りを発生させることが事前に決定されたものが含まれていること」にするか、本願補正発明のように「入賞記憶数が予め設定した個数になること」にするかは、報知する条件が違うものであるが、どちらとも始動入賞記憶に着目したものであり、始動入賞記憶に基づく条件を設定するにあたり、前記引用例発明のものに代え、前記周知例Bを適用して本願補正発明の相違点2に係る構成とした点に格別の創意工夫を要したとはいえず、当業者が必要に応じて容易に想到し得たものといえる。

そして、本願補正発明が奏する効果は、引用例発明および周知例A・Bから当業者が予測し得るものであって格別のものとは認められない。
したがって、本願補正発明は、引用例発明および周知例A・Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成16年12月8日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成16年6月4日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「図柄表示器を介して可変表示ゲームを行い、その可変表示ゲームに寄与する入賞球の数である入賞記憶数を記憶すると共に、その記憶個数に対応して報知する遊技機であって、
前記可変表示ゲームにおいてリーチアクション中であるとき、前記入賞記憶数が予め設定個数になると、特別遊技状態を生起する可能性を示唆する特別な報知態様で遊技者に報知することを特徴とする遊技機。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例発明および周知例A・Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例発明および周知例A・Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例発明および周知例A・Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-22 
結審通知日 2008-01-29 
審決日 2008-02-13 
出願番号 特願平11-370829
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎池谷 香次郎  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 土屋 保光
林 晴男
発明の名称 遊技機  
代理人 犬飼 達彦  
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