ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B |
---|---|
管理番号 | 1175660 |
審判番号 | 不服2006-6083 |
総通号数 | 101 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-05-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-03-31 |
確定日 | 2008-04-04 |
事件の表示 | 特願2003- 32076「レンズ一体型光ファイバの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 8月26日出願公開、特開2004-240361〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願発明 本願は、平成15年2月10日に特許出願したものであって、本願の請求項に係る発明は、平成18年4月18日付手続補正書で補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項2に係る発明は、次のとおりのものと認める。 「(a)コアとクラッドとを含む光ファイバの端部において、前記コアの端面に対して液滴を吐出して、レンズ前駆体を前記コアの端面上に形成し、 (b)前記レンズ前駆体を硬化させて、レンズを形成すること、を含む、レンズ一体型光ファイバの製造方法。」(以下、「本願発明」という。) 2.刊行物記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用した本願の出願日前に頒布された刊行物1:特開平5-107428号公報には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】他の光学部品に接続される光ファイバのコアの端面が、該光ファイバのクラッドの端面よりも凹んでおり、且つ該コア端面の形状或いは該コア端面に取り付けられるレンズ部材の表面形状は前記クラッドの端面から突出しない範囲で凸面形状に形成されていることを特徴とする光ファイバの端部構造。 【0038】 図4は本発明のさらに他の実施例にかかる光ファイバの端部構造を示す側断面図である。即ち同図(a),(b)の実施例の場合は、コア11の端面を平面状とし、その端面にレンズ部材23,25を取り付けて構成されている。このレンズ部材23,25は半球レンズをコア11端面に接着して構成しても良いし、コア11端面に樹脂を半球状となるように付着させ硬化させて構成してもよい。この実施例の場合でもレンズ部材23,25の表面がクラッド13の端面から突出しないようにすれば、上記図1に示す実施例と同様の作用効果が生じる。」 上記によれば刊行物1には、 「光ファイバのコアの端面が、該光ファイバのクラッドの端面よりも凹んでおり、且つ平面状とされたものにおいて、前記コアの端面に樹脂を半球状となるように付着させ硬化させて光ファイバ端部にレンズ部材を形成する方法。」 の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 3.対比 本願発明と上記引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「樹脂を半球状となるように付着させ」たものは、「硬化してレンズ部材を形成する」のであるから、本願発明の「レンズ前駆体」に相当することは明らかである。 (イ)引用発明の「レンズ部材」は、本願発明の「レンズ」に相当し、引用発明の「光ファイバの端部にレンズ部材が形成され」たものは、本願発明の「レンズ一体型光ファイバ」に相当することは明らかである。 よって、両者は、 「(a)コアとクラッドとを含む光ファイバの端部において、レンズ前駆体を前記コアの端面上に形成し、 (b)前記レンズ前駆体を硬化させて、レンズを形成すること、を含む、レンズ一体型光ファイバの製造方法。」 で一致し、以下の点で相違する。 (相違点) 本願発明では、レンズ前駆体を、コアの端面に対して液滴を吐出して形成するのに対して、引用発明では、コアの端面に樹脂を半球状となるように付着させて形成する点。 4.判断 上記相違点について検討する。 マイクロレンズアレイ等の微小なレンズを形成するのに、インクジェット方式でレンズを形成したい部分に液滴を吐出し、凸形状とし、熱または紫外線などにより硬化させることは、原審の拒絶理由で引用した刊行物(特開2002-189137号公報(【0030】参照。)、特開2002-57372号公報(【0026】参照。))に記載されているように従来周知の技術である。(なお、上記刊行物には「吐出」という文言がないので、さらに必要であれば、例えば、特開2000-280367号公報(【0062】?【0064】)及び特開平11-2704号公報(【0026】?【0031】)を参照されたい。) そうしてみると、引用発明の光ファイバ端部にレンズを形成する方法において、コアの端面に樹脂を付着させる手段として、上記従来周知の液滴を吐出する方法を採用することは当業者が容易に想到し得たことである。 また、本願発明によってもたらされる効果は、刊行物1に記載された事項及び従来周知の技術から予測し得る程度のものであって、格別とはいえない。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-02-01 |
結審通知日 | 2008-02-06 |
審決日 | 2008-02-20 |
出願番号 | 特願2003-32076(P2003-32076) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G02B)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 横林 秀治郎 |
特許庁審判長 |
向後 晋一 |
特許庁審判官 |
小牧 修 岩本 勉 |
発明の名称 | レンズ一体型光ファイバの製造方法 |
代理人 | 大渕 美千栄 |
代理人 | 伊奈 達也 |
代理人 | 布施 行夫 |