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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2007800054 審決 特許
無効200680226 審決 特許
無効200580230 審決 特許
無効200680235 審決 特許
無効200680241 審決 特許

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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A41D
管理番号 1176221
審判番号 無効2006-80248  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-11-28 
確定日 2008-04-18 
事件の表示 上記当事者間の特許第3798708号発明「耳保温フレーム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3798708号の請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
1.特許出願:平成14年2月20日
本願は、平成9年7月3日(優先権主張 平成8年7月3日:米国)に出願された特願平9-178524号の一部を新たな特許出願(特願2002-43705号)されたものであり、本件特許出願に係る優先権主張の日は、平成8年7月3日((以下「本願優先日」という。)である。
2.特許権設定の登録:平成18年4月28日
3.特許掲載公報発行:平成18年7月19日
4.株式会社 日 悌(以下「請求人」という。)による本件無効審判の 請求:平成18年11月28日(同年12月29日受付)
5.特許権者:株式会社 ワンエイティーズ,インコーポレイテッド
(以下「被請求人」という。)に対する請求書の副本の送達
:平成18年12月27日
6.被請求人による答弁書の提出:平成19年3月26日
7.請求人に対する上記5の答弁書副本の送付
:平成19年5月28日(発送日:同年5月30日)
8.被請求人に対する無効理由、被請求人に対する職権審理結果の通知
:平成19年5月28日(発送日:同年5月30日)
9.請求人より弁駁書の提出
:平成19年8月22日(同年8月22日受付)
11.被請求人より上記8で通知した無効理由通知に対する意見書の提出
:平成19年8月30日
12.請求人に対する上記11の意見書の送付、及び被請求人に対する上記 9の弁駁書の送付:平成19年9月10日(発送:同年9月13日)

第2 本件特許発明
本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る発明は、登録時の明細書(以下「本願明細書」という。)及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。

【請求項1】
第一端部に突出部を有しかつ第二端部に通路を有する第一湾曲部分、および
第一端部に突出部を有しかつ第二端部に通路を有する第二湾曲部分を有するバンドを含み、
各前記通路は前記バンドの対向湾曲部分の摺動を可能にする第一スロット部を有し、かつ前記バンドの対向湾曲部分の突出部の摺動を可能にする第二スロット部を有し、それにより各前記第一および第二湾曲部分の一端部が重合して対向湾曲部分へ摺動自在に取付けられて前記バンドの相対的全長を調節する、耳保温フレーム。
【請求項2】
更に取付けヘッドを有する2つの耳カップを含み、各前記取付けヘッドが前記バンドの1つの湾曲部分の1つの突出部へ取付けられている、請求項1に記載の耳保温フレーム。
【請求項3】
前記バンドの前記第一湾曲部分の通路は前記バンドの第一湾曲部分と一体的に形成され、前記バンドの前記第二湾曲部分の通路は前記バンドの第二湾曲部分と一体的に形成されている、請求項1に記載の耳保温フレーム。
【請求項4】
前記バンドの前記第1湾曲部分はその内面上に一連の隆起部を有し、前記隆起部は前記バンドの第2湾曲部分によって形成される重合部と係合して、前記バンドの全長の調節を行う際に両湾曲部分の相対的摺動運動に対して抵抗するように構成されている、請求項1に記載の耳保温フレーム。

第3 請求人の主張
1.請求の趣旨
請求人は、審判請求書において、
「本件特許第3798708号の請求項1ないし4に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」
との審決を求め、弁駁書等を総合すると、本件特許の請求項1ないし4に係る発明を無効にすべき理由として、概略、次のように主張している。
「本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、下記証拠方法に挙げる、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲第1号証の1、甲第2号証、甲第3号証、及び資料1ないし4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条の第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件特許の請求項1ないし4に係る発明についての特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。」

2.証拠方法
(1)甲第1号証の1:請求人により頒布されたカタログ「’89?90 WINTER」版の表紙、3、7、8、12頁及び裏表紙
(2)甲第1号証の2:請求人により頒布されたカタログ「’89?90 WINTER」版の12頁下段「お知らせ」記事の左側に掲載された写真 のうち、前列右側で白色をしたヘッドバンドと耳あての拡大写真。
(3)甲第1号証の3:甲第1号証の2の拡大写真から作成したヘッドバン ドと耳あてカップの説明書及び図面。
(4)甲第2号証:カタログ「’90?91 WINTER CATALO G」版の表紙、5、7頁及び裏表紙
(5)甲第3号証:実公昭63-20232号公報
(6)甲第4号証:請求人の監査役川畑菊盛の陳述書
(7)資料1:米国特許第2216954号明細書
(8)資料2:米国特許第1628483号明細書
(9)資料3:米国特許第3249949号明細書
(10)資料4:実開昭60-29141号公報

第4 当審が通知した無効理由の概要
当審が、平成19年5月28日付けで通知した無効理由は、概略、次のとおりのものである。
「本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、本願優先権日前に頒布された刊行物である、実願昭56-194205号(実開昭58-104076号)のマイクロフィルム 、及び実願昭59-128149号(実開昭61-42186号)のマイクロフィルムに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件特許の請求項1ないし4に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項に違反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。」

第5 被請求人の主張
被請求人は、上記第1、6の答弁書において、
「本件請求事件は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」
との審決を求め、同答弁書及び上記第1、11の意見書等を総合すると、概略、次のように主張している。
「請求人が提出した甲第1号証の1、甲第2号証、甲第3号証、及び資料1ないし資料4、並びに無効理由通知で引用された実願昭56-194205号(実開昭58-104076号)のマイクロフィルム 及び実願昭59-128149号(実開昭61-42186号)のマイクロフィルムのいずれにも、本件特許の請求項1ないし4に係る発明の第2スロット部が記載されていない。
本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、第2スロット部により、第二湾曲部分の突出部の摺動を可能にするものである。
したがって、本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、甲第1号証の1、甲第2号証、甲第3号証、資料1ないし資料4、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件特許の請求項1ないし4に係る発明についての特許は無効とされるべきものではない。」

第6 当審の判断
1.刊行物1に記載された発明
当審が無効理由通知で引用した実願昭56-194205号(実開昭58-104076号)のマイクロフィルム (以下「刊行物1」という。)には、図面とともに次のように記載されている。
「以下本考案を図面に示す実施例に基づいて説明する。
第1ないし9図において、ヘツドバンド1は一対のばね性を具備したバンド材1L,1Rおよびスライダ2L,2Rからなる。前記スライダ2L,2Rには、第2図のようにスライダ孔3L,3Rがそれぞれ設けられている。
前記スライダ孔3Lの内面の一側にはバンド材1Rの一端部が固着される一方、スライダ2Rの内面の一側にはバンド材1Lの一端部が固着されている。また、前記スライダ孔3Lにはバンド材1Lが長さ方向に移動自在に貫通される一方、スライダ孔3Rにはバンド材1Rが長さ方向に移動自在に貫通されている。このため、ヘツドバンド1は、スライダ2L,2R間の間隔を変えてバンド材1L,1Rの互いに重なり合う部分の長さを変化することにより、その全長を伸縮することができるようになつている。
前記ヘツドバンド1の両端部には、左側嵌合部材4L、右側嵌合部材4Rがそれぞれねじ12L,12Rにより、ねじ止めされている。前記各嵌合部材4L,4Rには、それぞれねじ5L,5Rの先端部が螺着されており、これらのねじ5L,5Rには、それぞれ左側発音部支持部材6L、右側発音部支持部材6Rが回動自在に支持されている。
前記各嵌合部材4L,4Rにはそれぞれ凹部7が設けられており、他方、前記各発音部支持部材6L,6Rには前記凹部7に対応する凸部8が設けられている。そして、各発音部支持部材6L,6Rをヘツドバンド1の内側から外側方向に向かつて回動して行くと、各発音部支持部材6L,6Rが大略ヘツドバンド1の両端部の延長方向に位置するときに、第3ないし6図のように凹部7と凸部8とが嵌合し、各発音部支持部材6L,6Rがそれ以上ヘツドバンド1の外側方向へ回動できないようになつている。」
(明細書第3頁15行?第5頁10行)

上記記載及び各図の図示内容を総合すると、次のことが確認できる。
(a)バンド材1Lは、ねじ12Lにより嵌合部材4Lにねじ止めされる第1端部と、スライダ2Rの内面の一側に固着される第2端部を有する第一湾曲部分を有していること。
(b)同様に、バンド材1Rは、ねじ12Rにより嵌合部材4Rにねじ止めされる第1端部と、スライダ2Lの内面の一側に固着される第2端部を有する第二湾曲部分を有していること。
(c)スライダ2L、2Rは通路を有し、この通路は、他方のバンド材の摺動を可能にするスライダ孔3L、3Rを有しており、それにより、バンド材1L及びバンド材1Rの一端部が重合して、対向する湾曲部分へ摺動自在に取り付けられ、その相対的全長を調節することができるヘッドフォンフレームを構成していること。

したがって、以上の記載及び各図の図示内容を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。
「第一端部を有し、かつ、第二端部に通路を備えたスライダ(2R)を有する第一湾曲部分、及び
第一端部を有し、かつ、第二端部に通路を備えたスライダ(2L)を有する第二湾曲部分を有するバンド材(1L、1R)を含み、
各前記通路は前記バンド材(1L、1R)の対向湾曲部分の摺動を可能にするスライダ孔(3L、3R)を有し、それにより各前記第一及び第二湾曲部分の一端部が重合して対向湾曲部分へ摺動自在に取り付けられて前記バンド材(1L、1R)の相対的全長を調節する、ヘッドフォンフレーム。」

2.本件特許発明1について
(1)対比
本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明1」という。)と刊行物1記載の発明とを対比すると、その文言の意義、機能、構造等からみて、刊行物1記載の発明における「バンド材(1R)」及び「バンド材(1R)」は本件特許発明1の「バンド」に相当し、同様に「スライダ孔(3L、3R)」は「第一スロット部」に相当する。
そして、刊行物1記載の発明における「ヘッドホンフレーム」と「耳保温フレーム」とは、「耳あてフレーム」の限りで一致するから、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
〈一致点〉
「第一端部を有しかつ第二端部に通路を有する第一湾曲部分、及び、
第一端部を有しかつ第二端部に通路を有する第二湾曲部分を有するバンドを含み、
各前記通路は前記バンドの対向湾曲部分の摺動を可能にする第一スロット部を有し、それにより各前記第一及び第二湾曲部分の一端部が重合して対向湾曲部分へ摺動自在に取付けられて前記バンドの相対的全長を調節する、耳あてフレーム。」
〈相違点1〉
本件特許発明1においては、バンドの第一湾曲部分及び第二湾曲部分が「第一端部に突出部」を有しており、通路が「前記バンドの対向湾曲部分の突出部の摺動を可能にする第二スロット部」を有しているのに対して、刊行物1記載の発明においては、バンドの第一湾曲部分及び第二湾曲部分が、先端に第1端部を有するものの、この第一端部が突出部を有しているのか否か明確でなく、かつ、スライダ(2L)、スライダ(2R)が第2スロット部を有していない点。
〈相違点2〉
耳あてフレームが、本件特許発明1は耳保温フレームであるのに対して、刊行物1記載の発明は、ヘッドホンフレームである点。

(2)相違点についての検討及び判断
本件特許発明1の相違点1に係る構成の技術的意義について検討する。
本件明細書の特許請求の範囲の請求項1において、本件特許発明1における第一端部の突出部がどのような方向に突出するものであるのか、あるいは、この突出部が耳保温フレームのバンド部において、どのような機能を奏するのかなんら特定されていない。
そこで、本件明細書段落【0043】ないし【0046】の記載及び【図30】ないし【図32】の図示内容をみてみると、第一端部の突出部は、バンド部分232の端部のタブ242の厚くなった部分、あるいはバンド部分234の端部244に設けられた隆起領域を含むものと解される。
そして、本件明細書の特許請求の範囲の請求項1には、「バンドの対向湾曲部分の突出部の摺動を可能にする第二スロット部」と記載されているが、本件明細書の上記記載及び図示内容からみて、この第二スロット部は、個別のバンド部分232とバンド部分234とを連結するに当たり、他方のバンド部材の第一端部に形成されたタブ242の厚くなった部分、あるいは隆起領域を通過可能に摺動させるためのものであって、双方の第一端部を通過させ、バンド部分232とバンド部分234を連結させた後は、バンドの相対的全長を調節する際し、突出部が第二スロット部を摺動するものとは解されない。
したがって、本件特許発明1の第二スロット部は、単に、バンドの第一端部が、他の部分より厚みがあるような場合に、これを他方のバンドの通路を通過させるため、バンドの第一端部の形状に合わせるために設けられたものと解するのが相当である。
これに対し、刊行物1記載の発明において、上記刊行物1の摘示事項のうち、特に「前記スライダ孔3Lの内面の一側にはバンド材1Rの一端部が固着される一方、スライダ2Rの内面の一側にはバンド材1Lの一端部が固着されている。また、前記スライダ孔3Lにはバンド材1Lが長さ方向に移動自在に貫通される一方、スライダ孔3Rにはバンド材1Rが長さ方向に移動自在に貫通されている。このため、ヘツドバンド1は、スライダ2L,2R間の間隔を変えてバンド材1L,1Rの互いに重なり合う部分の長さを変化することにより、その全長を伸縮することができるようになつている。」及び第2図の図示内容からみて、個別のバンド材(1L)とバンド材(1R)の第二端部は、それぞれ、スライダ(2R)、スライダ(2L)の内面の一側に固着されており、その状態でこれらを連結するに当たり、バンド材(1L)の嵌合部材(4L)にねじ止めされる第一端部はスライダ(2L)のスライダ孔(3L)を、またバンド材(1R)の嵌合部材(4R)にねじ止めされる第一端部はスライダ(2R)のスライダ孔(3R)をそれぞれ通過させるものと解することができる。
してみると、各スライダ孔(3L)(3R)の形状が、各バンド材(1L)、(1R)の第一端部を含め、その断面形状に整合しているのは明白である。
ここで、一方の部材を他の部材に設けた通路に挿入するに当たり、一方の部材の断面が2つ以上の部分を有する場合、他方の部材の通路を、一方の部材の断面形状に整合させるべく、各形状に対応させて、個別にスロット部を設けることは、当業者が当然に考慮すべき技術的事項と解されるところ、例えば、実願昭63-34491号(実開平1-138671号)のマイクロフィルム(特に溝7、芯孔8、挿入溝9の構造を参照のこと。)、実願平4-83612号(実開平6-42071号)のCD-ROM(特に口金8に形成した挿入溝6の構造を参照のこと。)にみられるように、本願優先日前より、機械設計上広く知られた周知技術(以下「周知技術1」という。)である。
そして、刊行物1記載の発明において、嵌合部材(4L)にねじ止めされる第一端部に適宜肉厚部等を形成することは、例えば、ねじ止め部の強度向上の観点等から設計上適宜なし得ることであり、それに合わせ、スライダ孔(3L、3R)に加え、この肉厚部等の挿入を可能にする第二スライダ孔を設けることにより、本件特許発明1の相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

〈相違点2について〉
ヘッドホンフレーム及び耳保温フレームが、その機能や構造からみて互いに転用可能であることは、当業者にとって明白であり、現に、本件明細書においても、実施例としてヘッドホンが記載されている。
してみると、刊行物1記載の発明を耳保温フレームに転用し、本件特許の相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

本件特許発明1を全体構成でみても、刊行物1記載の発明及び周知技術1から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。
したがって、本件特許発明1は、刊行物1記載の発明及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.本件特許発明2について
本件特許の特許請求の範囲の請求項2に係る発明(以下「本件特許発明2」という。)と刊行物1記載の発明とを対比すると、上記相違点1、2に加え、次の点で相違する。
〈相違点3〉
本件特許発明2においては、耳保温フレームが取付けヘッドを有する2つの耳カップを含み、この取付けヘッドがバンドの1つの湾曲部分の1つの突出部へ取付けられているのに対して、刊行物1記載の発明においては、ヘッドホンフレームがバンド材(1L、1R)の第一端部へ取り付けられる嵌合部材(4L、4R)、この嵌合部材(4L、4R)に嵌合される発音部支持部材(6L、6R)及び発音部(9L、9R)を有するものの、耳カップを有しているか否か不明である点。

相違点1及び2については既に検討したので、相違点3について検討する。
耳あて装置において、ヘッドバンドの端部を耳カップの取り付け部に連結することは、例えば、特開平5-207581号公報(特に円環状をした主部26及びフランジ部29からなるハウジングの構造を参照のこと。)、実願昭60-94635号(実開昭62-3526号)のマイクロフィルム(特に押さえカバーDの構造を参照のこと。)、実願昭63-21972号(実開平1-125319号)のマイクロフィルム(特に耳覆い本体2の構造を参照のこと。)にみられるように、本願優先日前より、広く採用されている周知技術(以下「周知技術2」という。)であって、当業者が適宜採用し得る程度の技術的事項である。
してみると、本件特許発明2の相違点3に係る構成は、刊行物1記載の発明におけるバンド材(1L、1R)の第一端部に、周知技術2に係る耳カップを取り付けることにより当業者が容易に想到し得ることである。
本件特許発明2を全体構成でみても、刊行物1記載の発明及び周知技術1、2から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。
したがって、本件特許発明2は、刊行物1記載の発明及び周知技術1、2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.本件特許発明3について
本件特許の特許請求の範囲の請求項3に係る発明(以下「本件特許発明3」という。)と刊行物1記載の発明とを対比すると、上記相違点1、2に加え、次の点で一応相違する。
〈相違点4〉
本件特許発明3においては、「前記バンドの前記第一湾曲部分の通路は前記バンドの第一湾曲部分と一体的に形成され、前記バンドの前記第二湾曲部分の通路は前記バンドの第二湾曲部分と一体的に形成されている」のに対して、刊行物1記載の発明においては、バンド材(1R、1L)とスライダ(2L、2R)とが一体的に形成されたものか否か明確ではない点。

相違点1及び2については既に検討したので、相違点4について検討する。
刊行物1記載の発明においても、バンド材(1L)、(1R)の第二端部は、通路を備えたスライダ(2R)、(2L)の内面の一側にそれぞれ固着されており、バンド材(1L)とスライダ(2R)、バンド材(1R)とスライダ(2L)をそれぞれ一体的に形成することにより、本件特許発明3の相違点4に係る構成とすることは、当業者が設計上適宜採用し得る程度の設計的事項にすぎないものである。
したがって、本件特許発明3は、刊行物1記載の発明及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.本件特許発明4について
本件特許の特許請求の範囲の請求項4に係る発明(以下「本件特許発明4」という。)と刊行物1記載の発明とを対比すると、上記相違点1、2に加え、次の点で相違する。
〈相違点5〉
本件特許発明4においては、「前記バンドの前記第1湾曲部分はその内面上に一連の隆起部を有し、前記隆起部は前記バンドの第2湾曲部分によって形成される重合部と係合して、前記バンドの全長の調節を行う際に両湾曲部分の相対的摺動運動に対して抵抗するように構成されている」のに対し、刊行物1記載の発明においては、第1湾曲部分が本件特許発明4のような一連の隆起部を有していない点。

相違点1及び2については既に検討したので、相違点5について検討する。
耳あて装置の全長を調整するために、内面上の一連の隆起部を、重合部と係合させ、相対的摺動運動に対して抵抗を与えることは、例えば、前述の特開平5-207581号公報(特に支持体4とスライダ5との間のクリック機構を参照のこと。)、実願昭60-46791号(実開昭61-5092号)のマイクロフィルム(トップバンド3の係合欠部34及びスライドバンド4の係合ピン47に関する構造を参照のこと。)にみられるように、本願優先日前より、広く採用されている周知技術(以下「周知技術3」という。)であり、当業者が適宜採用し得る程度の技術的事項にすぎないものである。
してみると、刊行物1記載の発明において、バンド材(1L)、(1R)の重合部に周知技術3を適用し、本件特許発明4の相違点5に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
本件特許発明4を全体構成でみても、刊行物1記載の発明及び周知技術1、3から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。
したがって、本件特許発明4は、刊行物1記載の発明及び周知技術1、3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおり、本件特許発明1ないし4は、刊行物1記載の発明及び周知技術1ないし3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件特許発明1ないし4は、いずれも特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であるから、本件特許発明1ないし4についての特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。
また、審判に関する費用の負担については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条により被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-11-19 
結審通知日 2007-11-27 
審決日 2007-12-10 
出願番号 特願2002-43705(P2002-43705)
審決分類 P 1 113・ 121- Z (A41D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 水野 治彦大野 弘  
特許庁審判長 石原 正博
特許庁審判官 関口 勇
関 信之
登録日 2006-04-28 
登録番号 特許第3798708号(P3798708)
発明の名称 耳保温フレーム  
代理人 森崎 博之  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 中山 清  
代理人 土屋 徹雄  

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