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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61C
管理番号 1176359
審判番号 不服2005-20537  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-10-25 
確定日 2008-04-10 
事件の表示 特願2001-516444号「義歯を製造するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 2月22日国際公開、WO01/12097、平成15年 2月18日国内公表、特表2003-506191号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年8月16日(パリ条約による優先権主張1999年8月16日、独国)を国際出願日とする出願であって、平成17年7月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項12に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年6月21日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項12に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「義歯の製造方法における、原料破壊強度が15?30MPaの予備焼結された材料からなる未加工成形品の使用であって、当該未加工成形品を緻密焼結の前に加工することを特徴とする、予備焼結された材料からなる未加工成形品の使用方法。」

3.引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-75964号公報(以下、「引用例」という。)には次の事項が記載されている。

(ア)「【発明の属する技術分野】本発明は、歯科用修復物(充填物および整復物を含む、dental restoration)を形成する方法、より詳しくはCAD(キャド)/CAM(キャム、製造自動化システム)を使用して形成する方法に関する。」(段落番号【0001】)

(イ)「【発明が解決しようとする課題】十分に融着した歯科用ポーセレンペレットを使用すると、切削ジグが摩耗し、歯科用修復物の形成プロセスの速度が相当低下することが判った。・・・(中略)・・・本発明が解決しようとする課題は、CAD/CAMにより制御されるフライス盤のような切削機の切削ジグの摩耗を相当減らし、歯科用修復物と患者自身の歯との間の適合性を改善する、歯科用修復物を形成するCAD/CAM方法を提供することである。」(段落番号【0005】)

(ウ)「本発明において使用するソフト焼結したペレットを形成するために使用される歯科用ポーセレンは、同様に特に限定されるものではない。・・・(中略)・・・Optec(商標)ポーセレンパウダーをソフト焼結したペレットに加工するには、適当量のパウダーを適当なプレス装置(例えばCarver実験室用プレス)に供給して、周囲温度(例えば室温)にてある圧力、例えば5000psiの圧力で圧縮してペレットにする。その後、例えば通常の歯科用ポーセレン加熱器で、ペレットを約650℃から925℃までの温度で加熱してペレットをソフト焼結する。得られたソフト焼結したペレットは、(アルキメデス法(Archimedes method)により測定される)ペレットの理論密度(即ち、十分に融着させた場合の密度)の約85%以下、典型的には75%以下であって、好ましくは5%以上の密度を有する。」(段落番号【0010】)

(エ)「ソフト焼結したペレットをCAD/CAMシステムのコントロールの下、切削した後、得られた歯構造物を耐火性インベストメント材料によって埋没させる。この耐火性インベストメント材料は、ソフト焼結したペレットの組成に応じて選択する。耐火性インベストメント材料は高温に加熱される場合、ディメンジョンが実質的に変わってはならないことで当該分野においては周知である。・・・(後略)」(段落番号【0012】)

(オ)「次に、当該技術分野において周知であるように、真空炉においてソフト焼結ペレットの融着温度までペレットを加熱することによりインベストメント材料で囲まれた歯構造物を融着する。融着歯構造物を冷却した後、融着した歯構造物からインベストメント材料を除いて歯科用修復物を得る。・・・(後略)」(段落番号【0013】)

(カ)「【実施例】以下の実施例は、本発明の実施を例示するものである。PRO-CAM(商標)(IntraTech Dental Products Inc.(テキサス州、ダラス)の商標)コンピューター援用フライス盤(Jeneric/Pentron Incorporated(コネチカット州、Wallingford)から販売)を使用して、Jeneric/Pentron Incorporated(コネチカット州、Wallingford)から販売されているOPC(登録商標)ソフト焼結歯科用ポーセレンペレットを加工して中間的形状または最終形状を有する歯構造物を形成する。次に、高温にさらしてもディメンジョンが変化しない耐火性インベストメント材料(Jeneric/Pentron Incorporated(コネチカット州、Wallingford)により商品名Optec(商標)Instant Refractory Materialで販売されているもの)によりこの歯構造物を囲んで埋没させる。この埋没させた歯構造物を、初期温度650℃から1150℃まで55℃/分の昇温速度で、常套の歯科用ポーセレン加熱炉に配置することにより、融着する。この歯構造物を1150℃にて30秒間保持する。十分に融着した歯構造物からインベストメントを除いて、適当な前装用ポーセレンを受容する用に調製された歯科用修復物が得られる。・・・(後略)」(段落番号【0015】)

そして、これらの記載事項の内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「歯科用修復物を形成する方法における、ソフト焼結された歯科用ポーセレンペレットの使用であって、当該歯科用ポーセレンペレットをフライス盤で切削した後、得られた歯構造物を高温に加熱する、ソフト焼結された歯科用ポーセレンペレットの使用方法。」

4.対比
本願発明と引用発明を対比すると、その機能、構造からみて、後者の「歯科用修復物」は前者の「義歯」に相当し、同様に、「ソフト焼結」は「予備焼結」に、「歯科用ポーセレンペレット」は「未加工成形品」に、「フライス盤で切削」は「加工」にそれぞれ相当する。
また、引用発明の「歯科用修復物を形成する方法」は本願発明の「義歯の製造方法」と同義といえ、引用発明の「ソフト焼結された歯科用ポーセレンペレットの使用」は本願発明の「予備焼結された材料からなる未加工成形品の使用」と同義といえる。
また、引用発明の「歯科用ポーセレンペレット」は、「フライス盤で切削した後、得られた歯構造物を高温に加熱」しているから、「未加工成形品を緻密焼結の前に加工」していることは明らかといえる。

したがって、両者は
「義歯の製造方法における、予備焼結された材料からなる未加工成形品の使用であって、当該未加工成形品を緻密焼結の前に加工する、予備焼結された材料からなる未加工成形品の使用方法。」の点で一致し、以下の点で相違するものと認められる。

(相違点)
本願発明の未加工成形品は、原料破壊強度が15?30MPaの予備焼結された材料であるのに対し、引用発明の未加工成形品の原料破壊強度がどの程度あるか不明な点。

5.判断
そこで、上記相違点について検討する。
本願発明の明細書の段落番号【0007】の「予備焼結されたブランクは、緻密焼結されたブランクよりも低い硬度を有しており、また、焼結されていないブランクよりも高い硬度を有している。したがって原則的には、容易な加工性を保証するために、あるいは最初から加工を可能にするために、予備焼結したブランクを使用することが望ましい。」の記載、段落番号【0020】の「原料破壊強度が本発明の範囲外にある予備焼結されたブランクの加工は、使い物になる成果につながるものではないことが見出されている。原料破壊強度が低すぎる場合には、フライス加工のときに破損する恐れがある柔らかすぎるブランクになってしまい、原料破壊強度が高すぎる場合には、通常の加工方法では加工することのできない硬すぎるブランクになってしまう。」の記載を勘案すれば、本願発明の「原料破壊強度が15?30MPa」は、「予備焼結された材料からなる未加工成形品」をフライス加工する際に、加工時の圧力に「未加工成形品」が破損しない硬度以上であり、かつ、フライス加工が可能な程度の硬度を意図しているといえる。
引用発明も、上記記載事項(イ)ないし(エ)に摘記されるように、歯科用ポーセレンペレットが十分に融着してしまう温度で焼結した後の加工は、切削ジグが摩耗し、歯科用修復物の形成プロセスの速度が相当低下するために、「ソフト焼結された歯科用ポーセレンペレット」を、「フライス盤で切削」するものであり、引用発明においても「歯科用ポーセレンペレット」の「ソフト焼結」を行う際に、「歯科用ポーセレンペレット」が柔らかすぎて破損したり硬すぎて加工できなくなったりしないようにする必要があることは明らかであるから、本願発明の上記相違点に係る発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、本願発明の効果も引用発明から、当業者が予測し得る程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-11-13 
結審通知日 2007-11-14 
審決日 2007-11-27 
出願番号 特願2001-516444(P2001-516444)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 直  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 仲村 靖
八木 誠
発明の名称 義歯を製造するための方法  
代理人 武石 靖彦  
代理人 村田 紀子  

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