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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1176400 |
審判番号 | 不服2007-5543 |
総通号数 | 102 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-06-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-02-22 |
確定日 | 2008-04-09 |
事件の表示 | 平成11年特許願第154669号「装置評価装置およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成12年12月15日出願公開、特開2000-348068〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成11年6月2日の出願であって、平成19年1月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月22日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年3月26日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成19年3月26日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成19年3月26日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項3は、 「【請求項3】 CADシステムにより設計された装置のリサイクル可能率を評価する装置評価装置であって、 処理要求の装置のCAD設計情報を入手する入手手段と、 前記入手手段が入手したCAD設計情報から、処理要求の装置が有する各構成部品の材料を特定する特定手段と、 CAD設計情報が持つオリジナルの色を使って処理要求の装置を表示する表示モードと、処理要求の装置が有する各構成部品の材料それぞれについて、同一材料を同一色で表示するという形態で処理要求の装置を表示する表示モードと、指定される構成部品と同一材料の構成部品全てを前記指定される構成部品と同一色で表示するとともに、前記指定される構成部品以外の構成部品全てを前記指定される構成部品の色とは異なる色で表示するという形態で処理要求の装置を表示する表示モードの内のいずれの表示モードを用いるのかを選択する選択手段と、 前記選択手段が選択した表示モードと前記特定手段が特定した材料とに基づいて、処理要求の装置の三次元モデルをディスプレイに表示する表示手段と、 各材料がリサイクル可能であるのか否かを示すリサイクル情報を記憶する記憶手段にアクセスすることで、前記特定手段が特定した材料のリサイクル情報を取得するとともに、対話処理に従い必要に応じて、リサイクル可能を示すリサイクル情報をリサイクル不可能を示すものに変更する取得手段と、 前記取得手段が取得変更したリサイクル情報と処理要求の装置が有する各構成部品の部品量とから、該装置のリサイクル可能率を算出する算出手段と、 前記算出手段が算出したリサイクル可能率を出力する出力手段とを備えることを、 特徴とする装置評価装置。」と補正された。 上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項について限定を付加するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)刊行物 原審拒絶理由で引用された、本願の出願日前である平成10年2月20日に頒布された「特開平10-49587号公報」(以下、「刊行物1」という)は、「リサイクル情報の処理方法および設計支援装置」に関するものであって、その公報には次の事項が記載されている。 ア 「本発明は、製品のリサイクル情報の処理方法及び、リサイクル可否によって部品を識別表示する設計支援装置に関する。」(2頁段落【0001】) イ 「上記目的は、再利用可能な材質や分解に関する知識データを予め登録しておき、対象製品の各部品の形状を表す形状データと、各部品に関する材質や結合関係を含むリサイクル属性データを入力し、前記知識データを参照して前記リサイクル属性データから部品毎のリサイクル可否を判定し、判定結果に応じて前記対象製品の形状をリサイクル可否の識別可能に表示することにより達成される。 前記リサイクルの可否は、部品毎にその材質の再利用可否を調べ、材質が再利用可能な部品に対しては他の部品との結合関係が分解可能であるか調べ、分解可能であれば当該部品のリサイクルは可能と判定し、分解不可能であれば当該部品と分解不可の結合関係にある全ての部品の材質が当該部品と同一であるか調べ、同一な場合に当該部品のリサイクルは可能と判定することを特徴とする。 また、上記目的は、計算機装置を備え、各部品の形状データを入力し、その形状を表示して対象製品の設計を支援する設計支援装置において、再利用可能な材質や分解に関する知識データを予め登録しておくリサイクルデータベースと、対象製品の各部品の前記形状データやリサイクル属性データを入力する入力部と、前記知識データを参照しながら、前記リサイクル属性データに基づいて前記部品毎にリサイクルの可否を判定するリサイクル可否判定部と、リサイクル可否の判定結果に応じて、リサイクル可能な部品と不可能な部品を区別するリサイクル識別データを作成するリサイクル表示データ作成部と、前記形状データと前記リサイクル識別データから対象製品の形状を表示する表示部と、前記形状データ、前記リサイクル属性データ、前記リサイクル識別データを記憶するメモリを設けたことにより達成される。 前記リサイクル表示データ作成部は、前記リサイクル可能な部品と不可能な部品を表示色、シェーディングまたは線種あるいはそれらの組み合わせによって区別するリサイクル識別データを作成することを特徴とする。 本発明によれば、各部品の材質や結合関係などのリサイクル属性データから部品毎のリサイクル可否が判定できるので、その判定結果を表示色やシェーディングに反映することで、対象製品の設計図である形状表示において各部品のリサイクル可否が一目で分かるように表示できる。」(2頁段落【0007】ないし【0011】) ウ 「以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって詳細に説明する。図1は、一実施例による設計支援装置の構成図である。本設計支援装置は計算機装置で実現される。 入力部101はキーボード、マウス等の操作装置とディスプレイ等の表示装置からなり、各部品の形状を表す形状データとリサイクルに関する属性データを入力する。リサイクル属性データには、部品の材質や部品間の結合関係等が含まれる。結合関係データはねじ、嵌め合い、接着等、部品間の固定方法を示す。 メモリ部102は、入力部101から入力した形状データとリサイクル属性データを記憶する。リサイクルDB104は、リサイクルの知識データを記憶する。知識データは、リサイクル属性データとリサイクル可否要因の対応関係を示す。例えば、材質と再材料化可否の対応、結合関係と分解可否の対応などを表す。 リサイクル可否判定部103は知識データを参照しながら、各部品のリサイクル属性データを評価し、部品毎のリサイクル可否を判定する。表示対応DB106は、リサイクル可否とリサイクル識別データとの対応を示す表示対応データを記憶する。リサイクル識別データは、各部品をリサイクル可否によって区別して表示するもので、表示色の違い、シェーディングするしない、ハイライトするしない、線種の違い等による。 リサイクル表示データ作成部105は、リサイクル可否判定部103の判定結果と表示対応DB106に記憶した表示対応データから、リサイクル識別データを作成してメモリ部102に記憶する。表示部107は、ディスプレイ等の表示装置からなり、メモリ部102に記憶した形状データとリサイクル識別データから形状の表示を行なう。 なお、リサイクル可否判定部103の機能、リサイクル表示データ作成部105の機能及び入力部101や表示部107の一部機能は中央処理装置(CPU)によって実現される。また、入力部101、表示部107を構成する装置はその一部を兼用することもできる。」(3頁段落【0012】ないし【0017】) エ 「図3に、形状データのフォーマットを示す。部品1、部品2などの部品名301毎に、部品の幾何情報302を記憶している。幾何情報302とは、形状を構成する線や面の情報で、例えば直線の始点と終点の座標値で表現する。 図4に、リサイクル属性データのフォーマットを示す。同図(a)は、リサイクル属性の一種である「材質データ」で、種別401に設定される。そして、部品名402毎に材質403を記憶している。例えば、部品1の材質はセラミックス、部品2の材質は銅、部品3の材質はアルミである。 同図(b)は、リサイクル属性の一種である「結合関係データ」で、種別401に設定される。そして、結合関係に有る部品名の組404と、その結合関係405を記憶している。例えば、部品1と部品5がねじ結合、部品2と部品3が嵌め込み、部品3と部品4および部品3と部品5が接着である。以下では、リサイクル属性データとして「材質」と「結合関係」をもつを例で説明する。」(3頁段落【0019】ないし【0021】、図4) オ 「図6に、リサイクルDBに記憶された知識データの一例を示す。同図(a)は材質と再材料化可否の対応を示し、材質601毎に可/否データ602が記憶されている。同図(b)は部品の結合関係と分解可否の対応を示し、結合関係603毎に可/否データ604が記憶されている。 ちなみに、図2、図3の部品データを例にとると、部品1は材質がセラミクスなので、S101でリサイクル不可と判定する。部品2は材質が銅なので、再材料化可能と判定され、結合関係は部品3との嵌め込みのみなのでS102でリサイクル可能と判定する。部品3は材質がアルミなので再材料化可能であるが、部品4及び部品5と接着され、分解不可のためリサイクル不可と判定される。 リサイクル表示データ作成部105は、リサイクル可否判定部103の判定結果と表示対応DB106に記憶した表示対応データから、リサイクル識別データを作成する。 図7に、色分けによるリサイクル識別データの例を示す。同図(a)は、表示対応DB106に記憶されているリサイクル可否と表示色の対応を示す表示対応データの例である。リサイクル判定結果(可/否)701に対し、表示色702が設定されている。ここでは、リサイクル可能が赤、リサイクル不可が白である。同図(b)は、各部品のリサイクル可否判定結果703に基づいて、対応される表示色704の例である。リサイクル可能な部品2には赤、リサイクル不可能な部品1、3には白の表示色が設定される。」(4頁段落【0024】ないし【0027】、図2,3,6,7) カ 「図7に、色分けによるリサイクル識別データの例を示す。同図(a)は、表示対応DB106に記憶されているリサイクル可否と表示色の対応を示す表示対応データの例である。リサイクル判定結果(可/否)701に対し、表示色702が設定されている。ここでは、リサイクル可能が赤、リサイクル不可が白である。同図(b)は、各部品のリサイクル可否判定結果703に基づいて、対応される表示色704の例である。リサイクル可能な部品2には赤、リサイクル不可能な部品1、3には白の表示色が設定される。 本実施形態によれば、製品の部品毎に、その材質と他部品との結合関係からリサイクル可否を判定して識別表示するので、設計の段階で各部品のリサイクルのしやすさや、製品に占めるリサイクル実現の程度を簡単に把握できるので、製品の再資源化を促進する設計支援が可能になる。 なお、リサイクル可否の識別には、上記の色別のほかにも、シェーディングの付加や線幅/線種の変更などが用いられる。たとえば、リサイクル不可の部品をシェーディングして表示するとともに、不可要因が分解不可能な場合は当該部品間の結合部を特殊な線種で表示するようにしてもよい。さらに、リサイクル実現の程度として、製品中に占めるリサイクル可能部品の体積率などを算出して表示するようにしてもよい。」(4頁段落【0027】ないし【0029】、図7) (3)対比・判断 ア 本願補正発明と刊行物1に記載された発明(以下、「刊行物発明」という)との対比 本願補正発明と刊行物発明を対比すると、 上記2(2)イ、ウによれば、刊行物発明は、対象製品の各部品の形状を表す形状データと、各部品に関する材質や結合関係を含むリサイクル属性データ(「形状データ及びリサイクル属性データ」が本願発明の「CAD設計情報」に対応)が入力部(本願発明の「入手手段」に相当)より入力され、メモリに記憶するものであり、上記2(2)エによれば、形状データとして、部品名と当該部品毎の幾何情報が記憶されており、リサイクル属性データとして、部品名毎に当該部品の材質(本願発明の「材料」に相当)が記憶されているもの(本願発明の「各構成部品の材料を特定する特定手段」に相当)である。 してみれば、本願補正発明と刊行物発明とは、「処理要求の装置のCAD設計情報を入手する入手手段と、前記入手手段が入手したCAD設計情報から、処理要求の装置が有する各構成部品の材料を特定する特定手段」を具備する点で一致している。 上記2(2)イ、ウによれば、刊行物発明は、各部品の材質や結合関係などのリサイクル属性データから部品毎のリサイクル可否が判定できるので、その判定結果を表示色やシェーディングに反映することで、対象製品の設計図である形状表示において各部品のリサイクル可否が一目で分かるように表示できるように、リサイクル表示データ作成部105は、リサイクル可否判定部103の判定結果と表示対応DB106に記憶した表示対応データから、リサイクル識別データを作成してメモリ部102に記憶し、表示部107は、ディスプレイ等の表示装置からなり、メモリ部102に記憶した形状データとリサイクル識別データから形状の表示を行なうものであり、また、上記2(2)オによれば、刊行物発明は、リサイクルDBに記憶された知識データには、材質と再材料化可否の対応を示し、材質601毎に可/否データ602が記憶されており、リサイクル表示データ作成部は、リサイクル可否判定部の判定結果と表示対応DBに記憶した表示対応データから、リサイクル識別データを作成し、各部品のリサイクル可否判定結果に基づいて、リサイクル可能な部品には赤、リサイクル不可能な部品には白の表示色が設定されるものであるから、本願補正発明と刊行物発明とは、「前記特定手段が特定した材料とに基づいて、処理要求の装置のモデルをディスプレイに表示する表示手段と、各材料がリサイクル可能であるのか否かを示すリサイクル情報を記憶する記憶手段にアクセスすることで、前記特定手段が特定した材料のリサイクル情報を取得する」点で一致している。 上記2(2)ア、カによれば、刊行物発明は、リサイクル実現の程度として、製品中に占めるリサイクル可能部品の体積率(本願発明の「リサイクル可能率」に相当)などを算出して表示する設計支援装置といえ、上記リサイクル可能部品の体積率によりCADで表示された装置を評価するものといえ、刊行物発明の部品の「体積」は本願発明の「部品量」に対応するといえるので、本願補正発明と刊行物発明とは、「CADシステムにより設計された装置のリサイクル可能率を評価する装置評価装置」である点、及び「前記取得手段が取得変更したリサイクル情報と処理要求の装置が有する各構成部品の部品量とから、該装置のリサイクル可能率を算出する算出手段と、前記算出手段が算出したリサイクル可能率を出力する出力手段とを備える装置評価装置」である点で一致している。 (イ)したがって、両者は、「CADシステムにより設計された装置のリサイクル可能率を評価する装置評価装置であって、処理要求の装置のCAD設計情報を入手する入手手段と、 前記入手手段が入手したCAD設計情報から、処理要求の装置が有する各構成部品の材料を特定する特定手段と、処理要求の装置のモデルをディスプレイに表示する表示手段と、各材料がリサイクル可能であるのか否かを示すリサイクル情報を記憶する記憶手段にアクセスすることで、前記特定手段が特定した材料のリサイクル情報を取得するとともに、前記取得手段が取得変更したリサイクル情報と処理要求の装置が有する各構成部品の部品量とから、該装置のリサイクル可能率を算出する算出手段と、前記算出手段が算出したリサイクル可能率を出力する出力手段とを備えることを、特徴とする装置評価装置。」である点で一致し、次の点で相違しているものと認められる。 a 本願補正発明は、「CAD設計情報が持つオリジナルの色を使って処理要求の装置を表示する表示モードと、処理要求の装置が有する各構成部品の材料それぞれについて、同一材料を同一色で表示するという形態で処理要求の装置を表示する表示モードと、指定される構成部品と同一材料の構成部品全てを前記指定される構成部品と同一色で表示するとともに、前記指定される構成部品以外の構成部品全てを前記指定される構成部品の色とは異なる色で表示するという形態で処理要求の装置を表示する表示モードの内のいずれの表示モードを用いるのかを選択する選択手段と、前記選択手段が選択したと前記特定手段が特定した材料とに基づいて、処理要求の装置の三次元モデルをディスプレイに表示する表示手段」を具備するのに対し、刊行物発明は、リサイクル可能材料を赤で表示し、リサイクル不可能材料を白で表示するものであり、処理要求の装置のモデルをディスプレイに表示する表示手段を具備する点 b 本願補正発明は、「対話処理に従い必要に応じて、リサイクル可能を示すリサイクル情報をリサイクル不可能を示すものに変更する取得手段」を具備するものであるのに対し、刊行物発明は、そのようなものでない点 イ 相違点についての検討 相違点aについて 材料毎に同じ色を設定して表示する点は周知(例えば、特開平7-297292号公報(段落【0002】【0003】【0008】等参照)、特開平7-85140号公報(段落【0009】【0010】【0012】【0013】【0019】等参照))であり、「処理要求の装置が有する各構成部品の材料それぞれについて、同一材料を同一色で表示するという形態で処理要求の装置を表示する表示モード」は上記周知技術を単に採用した程度のことと解される。 また、上記周知技術があるところ、刊行物発明においては、製品の部品毎に材料によりリサイクル可能かを判別し、それにより赤色とし、それ以外の部品については、赤以外の色としている。してみると、注目するもの(リサイクル可能な材料)について所定の色とし、それ以外のもの(リサイクル不可な材料)について前記所定色とは別の色としており、刊行物発明のリサイクル可能な材料、及び本願発明でいう「指定される構成部品」は1種類でも複数種類でもいいのであるから、「指定される構成部品と同一材料の構成部品全てを前記指定される構成部品と同一色で表示するとともに、前記指定される構成部品以外の構成部品全てを前記指定される構成部品の色とは異なる色で表示するという形態で処理要求の装置を表示する」点については適宜なし得るものといえる。 そして、上記「CAD設計情報が持つオリジナルの色を使って処理要求の装置を表示する表示モード」は普通の表示モードであるところ、これら表示モードを選択するように構成することは適宜なし得るし、三次元モデルを表示するものも周知といえる。 してみれば、「処理要求の装置が有する各構成部品の材料それぞれについて、同一材料を同一色で表示するという形態で処理要求の装置を表示する表示モードと、指定される構成部品と同一材料の構成部品全てを前記指定される構成部品と同一色で表示するとともに、前記指定される構成部品以外の構成部品全てを前記指定される構成部品の色とは異なる色で表示するという形態で処理要求の装置を表示する表示モードの内のいずれの表示モードを用いるのかを選択する選択手段と、前記選択手段が選択した表示モードと前記特定手段が特定した材料とに基づいて、処理要求の装置の三次元モデルをディスプレイに表示する表示手段」を具備するようにすることは、当業者にとって容易に推考できたものであり、また、上記相違点に基づく本願補正発明の効果に格別顕著なものがあるともいえない。 相違点bについて 所定の材料をリサイクルできるかどうかは、個々のリサイクル処理環境に依るのであるから、リサイクルできるかできないかを適宜設定することは普通に行われることであり、してみれば、「対話処理に従い必要に応じて、リサイクル可能を示すリサイクル情報をリサイクル不可能を示すものに変更する取得手段」を具備することは、当業者にとって容易に推考できたものであり、また、上記相違点に基づく本願補正発明の効果に格別顕著なものがあるともいえない。 そして、これら相違点を総合的に考慮しても当業者が推考し難い格別のものであるとすることはできず、また本願補正発明の効果についてみても、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるともいえない。 したがって、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (4)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成19年3月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成18年11月22日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項3に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という)は以下のとおりのものである。 「【請求項3】 CADシステムにより設計された装置のリサイクル可能率を評価する装置評価装置であって、 処理要求の装置のCAD設計情報を入手する入手手段と、 上記入手手段の入手したCAD設計情報から、処理要求の装置の持つ各構成部品の材料を特定する特定手段と、 CAD設計情報の持つオリジナルの色を使って処理要求の装置を表示する表示モードと、同一材料を同一色で表示するという形態で処理要求の装置を表示する表示モードと、指定される構成部品と同一材料の構成部品を指定される構成部品と同一色で表示するとともに、それ以外の構成部品を別の色で表示するという形態で処理要求の装置を表示する表示モードの内のいずれの表示モードを用いるのかを選択する選択手段と、 上記選択手段の選択した表示モードと上記特定手段の特定した材料とに基づいて、処理要求の装置の三次元モデルをディスプレイに表示する表示手段と、 各材料がリサイクル可能であるのか否かを示すリサイクル情報を記憶する記憶手段にアクセスすることで、上記特定手段の特定した材料のリサイクル情報を取得するとともに、 対話処理に従い必要に応じて、リサイクル可能を示すリサイクル情報をリサイクル不可能を示すものに変更する取得手段と、 上記取得手段の取得変更したリサイクル情報と処理要求の装置の持つ各構成部品の部品量とから、該装置のリサイクル可能率を算出する算出手段と、 上記算出手段の算出したリサイクル可能率を出力する出力手段とを備えることを、 特徴とする装置評価装置。」 (1)刊行物 原審拒絶理由に引用された刊行物、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から限定事項である構成を省いたものである。 そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-01-31 |
結審通知日 | 2008-02-05 |
審決日 | 2008-02-18 |
出願番号 | 特願平11-154669 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 加舎 理紅子 |
特許庁審判長 |
原 光明 |
特許庁審判官 |
脇岡 剛 月野 洋一郎 |
発明の名称 | 装置評価装置およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体 |
代理人 | 森田 寛 |
代理人 | 岡田 光由 |