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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1176416
審判番号 不服2004-23130  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-11-11 
確定日 2008-04-18 
事件の表示 特願2000-327416「油性化粧料」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 5月 9日出願公開、特開2002-128624〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、平成12年10月26日の出願であって、その請求項1?4に係る発明は、平成16年9月6日付けの手続補正で補正された明細書の特許請求の範囲の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】 次の成分(a)および(b)
(a)ガラスフレークの表面を金属酸化物で被覆した、平均厚さが0.1?3.0μm、平均粒径が1?700μm、アスペクト比が5?500である真珠光沢顔料
(b)エチレン・プロピレンコポリマー及び/又はポリエチレンワックス
を含有することを特徴とする油性口唇化粧料。」

2.引用例
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前の刊行物である、特開昭64-61409号公報(以下、「引用例1」という。)、及び特開平9-71417号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の技術事項が記載されている。なお、下線は、当審において付したものである。

引用例1
(1-i)「融点が80?105℃のエチレンプロピレンコポリマーを配合したことを特徴とするスティック化粧料。」(特許請求の範囲参照)、
(1-ii)「[産業上の利用分野]
本発明は、新規な化粧料に関し、その目的とするところは、保型性に優れ、容器との離型性が良く、しかも経時安定性、使用感の良好なスティック化粧料を提供することにある。」(第1頁左下欄10?14行参照)、
(1-iii)「本発明者等は、係る点に鑑み、保型性と離型性とに優れ、しかも経時安定性、使用感の点でも満足し得るスティック化粧料を得るべく鋭意研究した結果、融点が特定範囲内にあるエチレンプロピレンコポリマーが固化剤として極めて有効であり、これを配合することで上記条件を満たす製品が得られることを見出し、本発明を完成させるに到った。」(第1頁右下欄17行?第2頁左上欄5行参照)、
(1-iv)「上記エチレンプロピレンコポリマーは、通常の化粧料に固形油剤として用いることができるが、特にステイック化粧料に使用することにより、顕著な効果を得ることができる。
尚、本発明のスティック化粧料とは、スティック状の形態を有するものであり、口紅・リップグロス・ファンデーション・ほほ紅・アイシャドウ・アイライナー・アイブロウ等を挙げることができる。」(第2頁右上欄8?16行参照)、
(1-v)「実施例[1]?[3]
まず、表1に処方を示す実施例[1]?[3]、比較例[1]?[3]のスティック状口紅を調製し、折れ強度、離型性、経時安定性、外観として表面光沢及び使用感について本発明の効果を検討した。結果を表1に示す。尚、表中、配合量は重量%で示す。

(製法)
A (1)?(5)を加熱溶解する。
B Aに(6)を加えて均一に混合する。
C 脱気後、繰り出し容器に直接流し込み、冷却して成型する。
(評価方法)
折れ強度……レオメーターNRM-2002J(不動工業(株)製)により測定した。
離型性……容器からの剥がれ具合を肉眼で判定した。
◎:非常に良い ○:良い ×:悪い
経時安定性……0℃、常温、50℃のそれぞれにおいて6ヵ月保存した後、変形・発汗・発粉等の外観変化の有無を肉眼で判定した。
◎:非常に良い ○:良い ×:悪い
表面光沢……つやの程度を肉眼で判定した。
◎:非常に良い ○:良い ×:悪い
使用感……20名からなる女子パネルを対象とした使用テストにより塗布時のべたつきのなさ、なめらかさについて評価した。
評価は、べたつきがない(なめらかに塗布できる)と判定した人数で行ない、
15人以上の場合:◎
10?14人の場合:○
5?9人の場合:△
0?4人の場合:×
として表わした。
表1の結果から明らかな如く、本発明に係る実施例[1]?[3]のスティック状口紅は、折れ強度が高い為保型性に優れ、固化後容器からの剥がれ具合も良好であり、また経時安定性の面からも、高温における変形や発汗、低温における発粉もみられず、満足すべきものであった。しかも、表面光沢の低下もなく、塗布時の使用感の点においても、べたつきがなく、なめらかな使用感を有するものであった。これに対し、固化剤としてキャンデリラワックスのみを使用した場合(比較例[1]?[3])は、その配合量が少ないと固化力が弱い為、折れやすく、べたつき感があることから使用感も劣るものであり、一方配合量を多くすると折れ強度が向上してべたつき感を減少するものの、容器からの離型性が悪くなり、また表面光沢の低下も生じてしまった。しかも、経時安定性にも欠けるものであった。
すなわち、本発明に係る実施例[1]?[3]の口紅は、折れ強度・離型性に優れると共に、経時安定性・表面光沢・使用感も良好な、非常に満足すべきものであった。」(第2頁左下欄7行?第3頁左下欄12行参照)、
(1-vi)「実施例[4] スティック状アイシャドウ
(処方) (重量%)
(1)エチレンプロピレンコポリマー(融点93℃)10.0
(2)流動パラフィン 38.8
(3)ワセリン 5.0
(4)ソルビタンセスキオレート 1.0
(5)マイカ 10.0
(6)雲母チタン 20.0
(7)着色顔料 15.0
(8)香料 0.2
(製法)
A 成分(1)?(4)を加熱溶解する。
B Aに(5)?(8)を加えて撹拌混合する。
C 脱気して繰り出し容器に直接流し込み、冷却して成型する。
実施例[5] スティック状口紅
(処方) (重量%)
(1)エチレンプロピレンコポリマー(融点93℃)15.0
(2)ワセリン 10.0
(3)スクワラン 5.0
(4)ジグリセリントリイソステアレート 65.6
(5)防腐剤 0.1
(6)酸化防止剤 0.1
(7)香料 0.2
(8)酸化チタン 2.0
(9)着色顔料 2.0
(製法)
A (1)?(6)を加熱溶解する。
B Aに(7)?(9)を加えて均一に混合する。
C 脱気後、型に流し込み、急冷して固める。
D Cを型から取り出し、容器に装填する。
上記の如くして得られた実施例[4]、[5]のスティック化粧料は、いずれも保型性、繰り出し容器あるいは型との離型性に優れ、しかも使用感も良好なものであった。」(第3頁左下欄13行?第4頁左上欄10行参照)。

引用例2
(2-i)「【請求項1】 平均厚みが0.1?1μmで、アスペクト比が5?100である非晶質シリカを主成分とする金属酸化物フレーク状粉体表面に、5?400nmの厚さの酸化チタン層を被覆した、酸化チタン被覆金属酸化物フレーク状粉体。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】参照)、
(2-ii)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い紫外線遮蔽能を有し、かつ可視光に対する透明性が高く、ムラがなく、使用感に優れ、アルカリ溶出がほとんどないフレーク状粉体及びそれを配合した化粧料に関する。」(段落【0001】参照)、
(2-iii)「【0004】上記問題点を解決するため、平均粒径0.5?100μmの雲母の表面に、雲母に対して5?20重量%の被覆量でかつ真珠光沢感、光輝感および隠蔽力が実質上発現しない被覆厚みにおいて微粒子二酸化チタンを被覆してなる紫外線遮蔽顔料が提案されている(特公平5-87545)。この紫外線遮蔽顔料を化粧料として使用した場合、ムラがなく、滑らかな感触や伸展性(のび)が得られるが透明感が不充分である、着色している場合がある、厚みを揃えるのにコストがかかる、へき開性を有しているが表面には完全にはへき開が生じず一枚の雲母片中で厚みが階段状に変化する場合がある、雲母からアルカリが溶出して皮膚に悪影響を与える場合がある等の新たな問題があった。」(段落【0004】参照)、
(2-iv)「【0007】
【課題を解決するための手段】本課題を解決するため、本発明者らは、酸化チタン層を被覆したフレーク状金属酸化物について、その基材であるフレーク状金属酸化物の厚みや粒径と化粧料としての使用感触について検討を加えてきた。その結果、フレーク状金属酸化物の厚みが0.1μm以上1μm以下であり、アスペクト比が5?150であると、化粧料として使用した時、ムラがなく、滑らかな感触や伸展性(のび)が得られることを見いだし、本発明に到った。」(段落【0007】参照)、
(2-v)「【0012】本発明では、上記金属酸化物フレーク状粉体の平均厚みは0.1?1μmであり、かつ、アスペクト比が5?150である。この条件を満たすフレーク状金属酸化物の酸化チタン被覆物は、化粧料として使用した時、ムラがなく、滑らかな感触や伸展性(のび)が得られる。好ましくは、平均厚みが0.3?0.9μm、アスペクト比が10?100、平均粒径が5?90μmであり、酸化チタン被覆金属酸化物フレーク状粉体の滑らかな感触や伸展性(のび)がより良い。さらに好ましくは、平均厚みが0.4?0.8μm、アスペクト比が20?80、平均粒径が15?50μmであり、酸化チタン被覆金属酸化物フレーク状粉体の滑らかな感触や伸展性(のび)が非常に良い。」(段落【0012】参照)、
(2-vi)「【0016】上記酸化チタン層厚みが40nmより小さい場合、酸化チタン被覆金属酸化物フレーク状粉体は、透明性の高い白色である。酸化チタン層厚みが40?60nmの場合、酸化チタン被覆フレーク状金属酸化物は透明性の高い銀色となり、さらに、酸化チタン層厚みを160nmまで順次増すと、黄色、赤色、赤紫色、青色、緑色の透明感を有する着色(干渉色)が認められる。さらに酸化チタン層厚みを増すと、黄金色、赤色、赤紫色、青色、緑色の同じ色が認められる。よって、160nmまでの酸化チタン層厚みにより、一通りの透明感のある着色が認められる。
【0017】これら着色は、一般に市販されている酸化チタン被覆雲母のそれとは若干異なり、より透明感が認められる。その理由として、基材である金属酸化物フレーク状粉体が、高い透明性を有していること、高い表面平滑性を有していること、非晶質(ガラス)であること等が挙げられる。
【0018】これら透明感や着色は、化粧料として使用する場合に、意匠性を高めることができ、好ましく用いられる。
【0019】本発明の酸化チタン被覆金属酸化物フレーク状粉体を配合した化粧料は、可視光透明性が高く、色むらとなり難く、発色性の良い安定な製品となる。また、紫外線遮蔽効率が高く、少量の配合で高い紫外線遮蔽が可能である。さらに、酸化チタン被覆金属酸化物フレーク状粉体が、互いに凝集することもなく、良好な滑り性を示すことから、伸展性(のび)が良く、使用触感に優れた製品となる。さらに、金属酸化物フレーク状粉体の不純物量を低く抑えることができるので、雲母に認められるような、アルカリ溶出もほとんどなく、皮膚に対して安全な高品質の製品となる。」(段落【0016】?【0019】照)、
(2-vii)「【0023】
【発明の実施の形態】以下に実施例を示す。
実施例-1
シリコンテトラメトキシド、エタノール、および水を、体積比で1:2:1の割合で混合し、・・・中略・・・。集めたフレーク状シリカゲルを1000℃で2時間熱処理し、フレーク状シリカガラスを得た。
【0024】走査型電子顕微鏡でフレーク状シリカガラスを観察したところ、表面は非常に平滑であり、厚みは約0.6μmであった。
【0025】上記フレーク状シリカガラスをジェットミルで粉砕、分級して、平均粒径約30μmとした。この時の分級フレーク状シリカガラスのアスペクト比は約50である。
【0026】この分級フレーク状シリカガラス15gを100mlの水に分散させ、80℃に保った。ここに、4gの二酸化チタンに相当するオキシ硫酸チタン水溶液100gと、50gの50%硫酸をゆっくり加えた。これを約1時間半加熱沸騰させた後、スラリーを濾過し、水で洗浄して硫酸を除去し、120℃で2時間乾燥した。
【0027】得られた酸化チタン前駆体被覆フレーク状シリカガラスを、1000℃で1時間熱処理し、透明感の高い白色粉体(酸化チタン被覆フレーク状シリカガラス)を得た。走査型電子顕微鏡で観察したところ、チタニア層の厚みは約25nmであった。なお、酸化チタン被覆フレーク状シリカガラスの厚み、平均粒径およびアスペクト比はそれぞれ約0.6μm、約30μm、および約50であり、酸化チタンを被覆する前の分級フレーク状シリカガラスのそれと変わらなかった。
【0028】この酸化チタン被覆フレーク状シリカガラスを、ビニル系樹脂(硬化後の屈折率が約1.5)中に約10重量%分散して、約0.15mm厚みのフィルムとして、分光光度計で透過率を測定したところ、波長600?800nmの可視光透過率が、全域にわたって80%以上であり、かつ波長300?350nmの紫外線透過率が0?5%であり、可視光に対する透明性が高く、紫外線を有効に遮蔽することが確認された。
【0029】・・・・・中略・・・
【0030】さらに、上記酸化チタン被覆フレーク状シリカガラスを少量手に採り、肌上での滑り、のび等を官能試験的に調べたところ、非常に滑らかでのびに優れていた。」(段落【0023】?【0030】照)、
(2-viii)「【0085】実施例-6及び比較例-9
以下の手順でパウダーファンデーションを作製した。
【0086】実施例-2における、成分-1中の実施例-1で作製した本発明の酸化チタン被覆フレーク状シリカガラスの代わりに、実施例-5で作製した酸化チタン被覆フレーク状シリカガラス(基材の厚み0.6μm、粒径30μm、アスペクト比50)を添加した以外は、実施例-2と全く同じ方法で製品-7(実施例-6)を得た。
【0087】また、成分-1中の実施例-1で作製した本発明の酸化チタン被覆フレーク状シリカガラスの代わりに、比較例-8で作製した酸化チタン被覆白雲母(基材の厚み0.6μm、粒径30μm、アスペクト比50)を添加した以外は、実施例-2と全く同じ方法で製品-8(比較例-9)を得た。
【0088】上記2種の製品を、女性パネラー20名に10日間使用させ、最高点を5点とする1?5点の5段階法にて、評価した官能テストの結果を表-4に示す。
【0089】
【表4】 表-4
=============================
本発明の粉体 比較の粉体
(製品-7) (製品-8)
(実施例-6) (比較例-9)
-----------------------------
のび 4.8 3.8
つき 4.6 4.5
透明感 4.5 3.0
光沢感 4.6 4.8
色感 4.1 3.5
性能持続性 4.6 4.0
=============================
【0090】このように、本発明の化粧料は、基材を白雲母とした従来の化粧料よりも、のびが良く、透明感が良好で、色感に優れていることが、確認された。」(段落【0085】?【0090】照)。

3.対比、判断
そこで、本願発明と引用例1に記載の発明とを対比する。
引用例1には、上記「2.引用例」の摘示からみて、また、実施例において着色顔料や酸化チタン、マイカ、雲母チタンなどの顔料が含有されていることに鑑み、次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されていると認められる。
「顔料と融点が80?105℃のエチレンプロピレンコポリマーを含有したスティック化粧料(口紅など)。」

そして、口紅のスティック化粧料は、口唇化粧料に相当する。
なお、引用例1発明では、「融点が80?105℃」との特定が成されているが、本願発明では該融点について格別に規定されていないから、その点は相違点ではないし、本願発明の実施例に用いられたエチレン・プロピレン共重合体の融点が96℃でその特定と一致している。また、本願発明では化粧料の形状を特定していないが、スティック状も挙げられている(本願明細書段落【0024】参照)から、引用例1発明が「スティック」としている点も相違点ではない。

してみると、両発明は、
「顔料とエチレン・プロピレンコポリマーを含有する口唇化粧料。」
で一致し、次の相違点で相違する。
<相違点>
(A)口唇化粧料について、本願発明では、「油性」であると特定されているのに対し、引用例1発明では、そのように特定されていない点、
(B)顔料について、本願発明では、「ガラスフレークの表面を金属酸化物で被覆した、平均厚さが0.1?3.0μm、平均粒径が1?700μm、アスペクト比が5?500である真珠光沢顔料」と特定しているのに対し、引用例1発明ではそのように特定されていない点。

そこで、これらの相違点について検討する。
(A)の点について
引用例1の各実施例の口紅などの組成(摘示(1-v)?(1-vi)参照)を検討すると、使用されている主な成分であるキャンデリラワックス、ポリブテン、ジグリセリントリイソステアレート、ミルスチン酸オクチルドデシル、ワセリン、スクワラン、流動パラフィンなどは、本願明細書段落【0019】に例示された油性成分であり、本願明細書段落【0032】の表3に示された本願発明品(口紅)の組成と極めて類似していることから、引用例1発明のスティック化粧料が油性のものであることが明らかである。
よって、引用例1に油性との明示はなくとも、(A)の点は実質的な相違点ではない。

(B)の点について
ところで、引用例2には、「フレーク状金属酸化物の厚みが0.1μm以上1μm以下であり、アスペクト比が5?150であると、化粧料として使用した時、ムラがなく、滑らかな感触や伸展性(のび)が得られることを見いだし化粧料として使用した時、ムラがなく、滑らかな感触や伸展性(のび)が得られることを見いだし」(摘示(2-iv)参照)、「さらに好ましくは、平均厚みが0.4?0.8μm、アスペクト比が20?80、平均粒径が15?50μmであり、酸化チタン被覆金属酸化物フレーク状粉体の滑らかな感触や伸展性(のび)が非常に良い。」(摘示(2-v)参照)こと、金属酸化物フレークが「非晶質シリカを主成分とする」(摘示(2-i)参照)ものであって実施例で「フレーク状シリカガラス」を用いている(摘示(2-vii)参照)ことの記載からみて、化粧料に用いる『非晶質シリカ(ガラス)を主成分とする金属酸化物フレーク状粉体表面に、酸化チタン層を被覆した、平均厚みが0.4?0.8μm、平均粒径が15?50μm、アスペクト比が20?80である酸化チタン被覆金属酸化物(ガラス)フレーク状粉体』(以下「酸化チタン被覆ガラスフレーク状粉体」とも言う。)が記載されていると言える。
そして、該「酸化チタン被覆ガラスフレーク状粉体」は、酸化チタン被覆による干渉色の着色があり(摘示(2-vi)参照)、光沢がある(摘示(2-viii)表4参照)ことからみて、真珠光沢顔料と言えるものであることを考慮すると、本願発明で特定する「ガラスフレークの表面を金属酸化物で被覆した、平均厚さが0.1?3.0μm、平均粒径が1?700μm、アスペクト比が5?500である真珠光沢顔料」に他ならない(平均厚さ0.4?0.8μm、アスペクト比20?80、平均粒径15?50μmでも一致する。)。
更に、引用例2の酸化チタン被覆ガラスフレーク状粉体を化粧料に配合すると、「ムラがなく、滑らかな感触や伸展性(のび)が得られる」(摘示(2-iv)参照)、「これら着色は、一般に市販されている酸化チタン被覆雲母のそれとは若干異なり、より透明感が認められる。その理由として、基材である金属酸化物フレーク状粉体が、高い透明性を有していること、高い表面平滑性を有していること、非晶質(ガラス)であること等が挙げられる。・・・これら透明感や着色は、化粧料として使用する場合に、意匠性を高めることができ、好ましく用いられる。」(摘示(2-vii)参照)との記載がある。

してみると、引用例1発明において顔料を選択するに際し、引用例2に示された化粧料に配合する優れた顔料(ムラがなく、滑らかで、のびがあり、干渉色による着色性があり、透明感に優れ、意匠性に優れる)である「酸化チタン被覆ガラスフレーク状粉体」を採用し、その特性に期待し評価してみることは、当業者であれば容易になし得たものである。

次に、作用効果について検討する。
引用例1発明では、エチレンプロピレンコポリマーを含有することよって、経時安定性があり、表面光沢の低下もなく、べたつきがなく、なめらかな使用感に優れたものが得られるとされている(摘示(1-iii)、(1-v)参照)のであるから、本願発明がその作用効果として主張する使用性、化粧持ち、経時安定性に優れることは、エチレンプロピレンコポリマーを含有することによって期待されることと認められる。
一方、引用例2に記載された「酸化チタン被覆ガラスフレーク状粉体」は、市販されている酸化チタン被覆雲母のそれとは若干異なり、より透明感が認められ(摘示(2-vi)参照)、また、酸化チタン被覆白雲母(即ち雲母チタン)よりも優れることがその比較例(表4,摘示(2-viii)参照)からみて明らかであり、且つ、これら透明感や着色は化粧料として使用する場合に意匠性を高めることができる(摘示(2-vi)参照)とされているのであるから、その採用によって酸化チタン被覆雲母を用いる場合に比べ意匠性である光輝度性や煌びやかさの優れることは期待される程度のことというべきで、また、ムラがないことは顔料分散性に優れることを示唆するものである。
してみると、エチレンプロピレンコポリマーと特定の「酸化チタン被覆ガラスフレーク状粉体」のそれぞれの特性から期待される使用性、化粧持ち、経時安定性、分散性、光輝性、煌びやかさに優れることは、両成分を配合することによっても併せ期待されるものというべきで、表3,表4の対比データを検討しても、本願発明が予想外の格別顕著な作用効果を奏しているとは認められない。

ところで、審判請求理由において、「表1(注:本願明細書の表3,表4からの抜粋)より、本発明品2および比較品1は共に煌びやかさ及び光輝性(この二つが意匠効果に関連する項目と思料いたします)が◎でありますが、実際にそれぞれの化粧料をグロスメータで光沢度(光輝性に関連する)を測定したところ、本件発明品2の値は光沢度12であり、比較品1の値は4.8と、約3倍の差があるものであります。」と審判請求人は主張しているが、本願明細書にあるように、7段階絶対評価した後に4段階絶対評価に読み替えて「◎(非常に良好)」としているものであって、出願時点ではその評価で足りるものと考えていたと解されるから、そこに優劣があったと判断することはできない。
なお、仮に、同じ◎(非常に良好)の評価でも若干の差異が生じるとしても、引用例1では既にベースとなるエチレンプロピレンコポリマー(エチレン・プロピレン共重合体)を使用することが前提とされていることから、比較品1ではなく比較品2と本発明品2を対比すべきであって、顔料の選択による改善は、引用例2の記載を勘案すれば、当業者が期待し得る程度のもので格別顕著なものとは認められない。

よって、本願発明は、引用例1発明と引用例2記載の発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

4.むすび
したがって、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。それ故、他の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-02-06 
結審通知日 2008-02-12 
審決日 2008-02-25 
出願番号 特願2000-327416(P2000-327416)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福井 美穂  
特許庁審判長 川上 美秀
特許庁審判官 井上 典之
穴吹 智子
発明の名称 油性化粧料  
代理人 小野 信夫  
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