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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B23P 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 B23P |
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管理番号 | 1176458 |
審判番号 | 不服2006-20048 |
総通号数 | 102 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-06-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-08-11 |
確定日 | 2008-04-14 |
事件の表示 | 平成11年特許願第153032号「車両組立装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年12月12日出願公開、特開2000-343352〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件出願は、平成11年5月31日の特許出願であって、同18年2月8日付けで拒絶の理由が通知されたが、その指定期間内に何等の応答もなく同18年6月29日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、同18年8月11日に本件審判の請求がされ、その後、同18年9月11日に明細書について手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。 第2 本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容の概要 本件補正は、明細書全文について補正をするものであって、特許請求の範囲について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。 (1)補正前 「【請求項1】 車両組立用主ラインの途中を分断し、その端部に所定距離離して入出線を形成し、該入出線間に、入線と接続した複数ラインからなる多品種部品組付けラインと、該組付けライン及び前記出線とを接続した送出しラインを配設したことを特徴とする車両組立装置。 【請求項2】 前記入線が、オーバーヘッドモノレールであることを特徴とする請求項1記載の車両組立装置。 【請求項3】 前記部品組付けラインへの部品の供給がオーバーヘッドモノレールで行われることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両組立装置。 【請求項4】 前記部品組付けライン及び前記送出しラインには、フロア走行台車を走行せしめることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の車両組立装置。 【請求項5】 前記部品組付けラインにシフトラインを接続したことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載の車両組立装置。」 (2)補正後 「【請求項1】 フロアチェーンコンベアからなる大型車両組立用主ラインの途中を分断し、分断した対抗する端部に、前記主ライン上においてオーバーヘッドモノレールからなる入線及びフロアチェーンコンベアからなる出線を形成し、該入出線間に、前記入線と直交してシャシ及び部品移動用モノレールで連結した複数の多品種部品組付ラインと、該組付ライン及び前記出線とを連結する、台車の走行する送出しラインを配設してなることを特徴とする車両組立装置。 【請求項2】 前記部品組付けラインと前記入線とを連結するシフトラインを設けたことを特徴とする請求項1記載の車両組立装置。」 2 補正の適否 (1)補正後の請求項1の補正について 補正後の請求項1の補正では、補正前の請求項1の多品種部品組付けラインについて「前記入線と直交してシャシ及び部品移動用モノレールで連結した複数の多品種部品組付ライン」と限定している。 ここで、シャシ及び部品移動用モノレールに関し、本件出願の願書に添付した明細書には、段落【0009】において、「また、13は前記部品組付けライン4の3本のライン5、6、7にまたがって延びたシャーシまたは部品移動用のオーバーヘッドモノレールを示す。」と記載されているだけで、シャシ及び部品移動用モノレールと入線とが直交する旨の記載は存在しない。 また、本件出願の願書に添付した図面の図1には、入線2とシャシ及び部品移動用モノレール13とが記載され、両者はほぼ直交しているように見えるが、願書に添付した図面は、本来、発明の具体的構成を図示してその技術的内容を理解しやすくするため、明細書の補助手段として使用される任意書面であって,明細書の記載を補完するものであり、所定の様式が定められている(特許法施行規則25条、様式30)とはいえ、設計図面に要求されるような正確性をもって図示されるとは限らない。(必要ならば、例えば、東京高裁平成14年(行ケ)521号判決を参照。)したがって、当該図面の記載をもって、入線とシャシ及び部品移動用モノレールとが直交していることの根拠とすることはできない。 その他に、入線とシャシ及び部品移動用モノレールとの関係を示す記載は存在しない。 そうしてみると、補正後の請求項1の補正は、本件出願の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであるとすることはできない。 (2)補正後の請求項2の補正について 補正後の請求項2では、補正前の請求項5のシフトラインについて「前記部品組付けラインと前記入線とを連結するシフトライン」と限定しているが、請求人は、この補正に関して、当審の審尋に対する平成19年12月25日付け回答書で以下のように回答している。 「原明細書(当審注:本件出願の願書に最初に添付した明細書のこと。)の発明の詳細な説明の段落【0015】にあるように、「・・・シャシC11’に、オーバーヘッドモノレール10により後車軸9-1、前車軸9-2を供給して組付ける」場合、「エアサスペンション車両等で組付け工数が非常に多いシャシC12、C13は、例えばオーバーヘッドモノレール13によってアクスル組付けライン4のライン6又は7に移し、あるいは当初からシフトライン19のトロリー21によってライン7に入れ、これらのライン6、7で前記同様オーバーヘッドモノレール11または12により必要な車軸9を供給して組付ける」など選択的であり、これを「主ラインの入線2が何らかの不都合が生じたときにはシフトライン19に乗り換えることがあることを示している」ととるのは技術常識即自明のことであり、それ故「前記部品組付けラインと前記入線とを連結するシフトラインを設けた」としたものであります。」(第4頁第13行?第26行。) しかしながら、上記段落【0015】の記載が選択的であることは、単に、入線とシフトラインとが並列して設けられていることを意味しているだけにすぎず、上記記載を以て直ちに、シフトラインが部品組付けラインと入線とを連結するものである、換言すれば、シフトラインが部品組付けラインだけでなく入線とも連結しているものであるとすることはできない。また、本件出願の願書に添付した図面にもシフトラインが入線と連結していることは示されておらず、その他にシフトラインが入線と連結していることを自明の事項であるとする根拠はどこにも見当たらない。 そうしてみると、補正後の請求項2の補正は、本件出願の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであるとすることはできない。 3 むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、上記改正前の特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本件出願の発明について 1 本件出願の発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項に係る発明は、願書に最初に添付した明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「車両組立用主ラインの途中を分断し、その端部に所定距離離して入出線を形成し、該入出線間に、入線と接続した複数ラインからなる多品種部品組付けラインと、該組付けライン及び前記出線とを接続した送出しラインを配設したことを特徴とする車両組立装置。」 2 引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平2-279479号公報(以下「引用例」という。)の記載内容は以下のとおりである。 (1)引用例記載の事項 引用例には以下の事項が記載されている。 ア 第2頁左上欄第6?20行 「(従来の技術) 車体部品を組立てる場合には一般に、組立てた車体部品の、車体組立てラインへの供給を容易ならしめるため、車体組立てラインの近辺に、車体部品の組立て用のサブラインを併設する。 かかるサブラインは、従来は、複数のワークを搬入するワーク搬入ステージと、それらのワークを位置決め治具上で相互に位置決めして固定し、その状態でワーク同士をスポット溶接等により接合して車体部品を組立てる組立ステージと、組立てた車体部品を例えば車体組立てラインの車体組立てステージ等の次工程の所定位置へ引渡す引渡しステージを設置し、それらのステージ間を、チェーンコンベヤやベルトコンベヤ等の一定経路の搬送手段で結んで構成されるのが通常である。」 イ 第3頁右上欄第5行?同頁左下欄第5行 「第1図は、この発明の車体部品の組立て方法の一実施例を適用したサブラインを具える車体組立てラインのレイアウトを示す略線図であり、図中1は左フードリッジサブライン、2はダッシュロアサブライン、3はラジエタコアサポートサブライン、4は右フードリッジサブライン、5はフロントフロアサブライン、6はリヤフロアサブラインをそれぞれ示す。 この車体組立てラインでは、上記サブライン1?4にて組立てた車体部品であるラジエタコアサポート、左右フードリッジおよびダッシュロアを、エンジンコンパートメント組立てステージ7へ集めてそこで互いに接合することにより、エンジンコンパートメントを組立て、そのエンジンコンパートメントと、上記サブライン5,6にて組立てた車体部品であるフロントフロアおよびリヤフロアとを、フロアメイン組立てステージ8へ集めてそこで互いに接合することにより、フロアメインを組立て、その後、フロアメインへのスポット溶接の増打ちを、五箇所に並置したフロアメイン増打ちステージ9にて行う。」 ウ 第3頁左下欄最下行?同頁右下欄第8行 「ここで、上記サブラインは各々、例えば左フードリッジサブライン1につき第2図に示すように、また例えばフロントフロアサブライン5につき第3図に示すように、種類切替えステージ21と、ワーク受取りステージ22と、組立てステージ23と、引渡しステージ24とを具えるとともに、第1図中A?Lで示す如きループ状の経路に沿って各々自律走行により巡回する、-台もしくはそれ以上の、生産量に応じた台数の搬送台車25を具えてなる。」 エ 第4頁左上欄第8行?同頁右上欄第2行 「各搬送台車25上には、ワークおよび組立てられた車体部品を位置決めして保持する、ワーク位置決め手段としてのワーク位置決め装置26が搭載されており、ここにおけるワーク位置決め装置26は、例えばリヤフロア用のもの等の、ワークおよび車体部品の下方にてそれらを保持する種類のものでは、第4図に示すように、搬送台車25上に固定され、もくしはそこに立設された図示しないロケートピン等で位置決めされて分離可能に載置された基台27に、各々三自由度の直交座標型ロボットと同様の機構で各往復移動機構のボールねじ軸にサーボモータに代えてフレキシブルシャフト(商品名)28の一端部を結合した移動機構29を介し、ワーク保持手段としてのワーク受け部材30を複数支持してなる。」 オ 第5頁右上欄第13行?同頁左下欄第1行 「ワーク位置決め装置26は、例えば第4図に示す、リヤフロア67を構成するワーク42の如き複数のワークを、それが相互に接合される際の相対位置に位置決めして保持することができ、また種類切替えステージ21は、上記ワーク位置決め装置26のワーク保持部材30の配置を、次に組立てる車体部品の、例えばセダンタイプやハードトップタイプ等の車種毎に異なる種類に応じて変更することができる。」 カ 第5頁左下欄第9行?第6頁右上欄第2行 「しかして、第2図に示す左フードリッジサブライン1では上記の如きワーク位置決め装置26の基台27を立設された搬送台車25が経路Aに沿って巡回しており、ここでは、上記の如くして種類切替えステージ21でワーク受け部材30の配置を変更された搬送台車25が次の受取りステージ22の所定位置に到着すると、そのワーク位置決め装置26に、ローディングロボット43が、次に組立てる種類の左フードリッジ61を構成するワーク、例えばパネルとフレームとを、車体部品の種類毎に分かれたワーク棚44から取上げて載置し、搬送台車25は、その載置の終了後発進を指示する当該ステージからの信号を受信すると、クランプ機構によってそれらのワークをワーク位置決め装置に固定保持させた状態で、次の組立てステージ23へ向けて移動する。 搬送台車25が組立てステージ23の所定位置に到着し、この結果複数のワークが所定の相対位置で、かつ当該ステージの所定位置に位置決めされて固定されると、ここでは溶接ロボット45が、スポット溶接ガン46を用い、上記複数のワークを相互にスポット溶接で接合して左フードリッジ61を組立て、搬送台車25は、その組立ての終了後発進を指示する当該ステージからの信号を受信すると、次の引渡しステージ24へ向けて移動する。 この左フードリッジサブライン1の引渡しステージ24は、この実施例ではエンジンコンパートメント組立てステージ7も兼ねており、エンジンコンパートメント組立てステージ7は、右フードリッジサブライン、ダッシュロアサブラインおよびラジエタコアサポートサブラインの引渡しステージ24も兼ねている。 すなわち、エンジンコンパートメント組立てステージ7へは、右フードリッジサブライン4、ダッシュロアサブライン2およびラジエタコアサブライン3の各々で左フードリッジサブライン1におけると同様にして組立てられた右フードリッジ62、ダッシュロア63およびラジエタコアサポート64を各々位置決め保持する三台の搬送台車25が、上記左フードリッジ61を位置決め保持する搬送台車25とともに、-台の空の搬送台車25を囲むようにして集合し、その空の搬送台車25上に上記各車体部品を位置決め固定する。 そしてこのステージ7では、溶接ガン46を持つ溶接ロボット45が、上記左右フードリッジ61,62とダッシュロア63とラジエタコアサポート64とを相互にスポット溶接してエンジンコンパートメント65を組立て、その後は、周囲の四台の搬送台車25が各々、その搬送して来た車体部品を解放して自分の属するサブラインの種類切替えステージ21へ戻る一方、中央の搬送台車25が、上記エンジンコンパートメント65を位置決め状態で保持し、第1図に示すループ状の経路Mに沿ってそれをフロアメイン組立てステージ28まで搬送する。」 キ 第6頁右上欄第18行?同頁右下欄第10行 「フロアメイン組立てステージ8には、第3図に示すように、上記エンジンコンパートメント65を保持する搬送台車25の他、フロントフロアサブライン5で組立てられたフロントフロア66を保持する搬送台車25と、リヤフロアサブライン6で組立てられたリヤフロア67を保持する搬送台車25とが集合し、ここでも、それら三台の搬送台車25が各々所定位置に位置して整列することにて、エンジンコンパートメント65、フロントフロア66およびリヤフロア67が所定の相対位置に位置決めされて固定され、その状態で溶接ロボット45がそれらの車体部品を相互にスポット溶接で接合してフロアメイン68を組立てる。 そしてその後は、先ずフロントフロア66を搬送して来た搬送台車25を残して、エンジンコンパートメント65を搬送して来た搬送台車25がそれを解放した後、経路Mに沿ってエンジンコンパートメント組立てステージ7の受取り位置52へ戻るとともに、リヤフロア67を搬送して来た搬送台車25が経路Fに沿ってリヤフロアサブライン6の種類切替えステージ21へ戻り、次いで、フロントフロア66を搬送して来た台車25が、組立てられたフロアメイン68を次のフロアメイン増打ちステージ9へ搬送する。 フロアメイン増打ちステージ9はスポット溶接の打点数が極めて多く作業時間がかかることから五箇所設けられており、上記フロアメイン68を保持する搬送台車25は、空いているステージ9から送信される信号に従ってそこに入り、所定位置に停止する。そして、溶接ロボット45によるスポット溶接の増打ちが終了すると、上記搬送台車25は第1図に示すようにボディメイン組立てステージ16へ移動する。」 ク 第7頁右下欄第9?13行 「ワーク位置決め装置26のワーク保持部材30の配置を変更可能とするとともに、その変更を種類切替えステージ21で行うようにしたので、例えば、車種毎に異なる複数種類の車体部品の混流組立てを容易に行い得る」 ケ ここで、図面の第1図及び第3図を参照すると、複数のフロアメイン増打ちステージ9は、フロアメイン組立てステージ8側の搬送ラインが分岐し、ボディメイン組立てステージ16側の搬送ラインが合流するように配設されていることが見て取れる。 (2)引用例記載の発明 引用例記載の事項を整理すると引用例には以下の発明が記載されていると認める。 「それぞれ複数のサブラインを備えたエンジンコンパートメント組立てステージ7、フロアメイン組立てステージ8及びボディメイン組立てステージ16からなる車体組立てラインにおいて、フロアメイン組立てステージ8とボディメイン組立てステージ16との間に、フロアメイン組立てステージ8から搬送されてくる多品種の部品からなるフロアメイン68にスポット溶接の増打ちをするための複数のフロアメイン増打ちステージ9を、フロアメイン組立てステージ8側の搬送ラインが分岐し、ボディメイン組立てステージ16側の搬送ラインが合流するように配設すると共に、上記各ステージ間におけるシャシ及び部品の搬送を全て搬送台車25で行うようにした車両組立装置。」(以下、「引用発明」という。) (3) 対比 本願発明と引用発明とを対比すると以下のとおりである。 引用発明の「車体組立てライン」は、それぞれ複数のサブラインを備えた各組立てステージ7,8,16を繋ぐものであることからみて、本願発明と同様「車両組立用主ライン」ということができるものである。 そして、引用発明において、フロアメイン組立てステージ8とボディメイン組立てステージ16との間に、複数のフロアメイン増打ちステージ9を配設することは、車両組立用主ラインの途中を分断することになり、分断した対抗する端部の中、車両組立用主ラインにおけるフロアメイン組立てステージ8側の搬送ラインが入線を形成し、ボディメイン組立てステージ16側の搬送ラインが出線を形成することになる。そうすると、入線と出線との間にフロアメイン増打ちステージ9が配設されているのであるから、入出線の端部が所定距離離れていることは明らかである。 さらに、引用発明の「フロアメイン増打ちステージ9」は、「多品種部品組立ライン」という限りで、本願発明の「多品種部品組付けライン」と共通している。 したがって、引用発明のフロアメイン増打ちステージ9の入線から分岐する搬送ラインは、入線と複数のフロアメイン増打ちステージ9とを接続していることになり、引用発明の「多品種の部品からなるフロアメイン68にスポット溶接の増打ちをするための複数のフロアメイン増打ちステージ9」は、 入出線間に配設された、「入線と接続した複数ラインからなる多品種部品組立ライン」であるという限りで、本願発明の「入線と接続した複数ラインからなる多品種部品組付けライン」と共通している。 また、引用発明のフロアメイン増打ちステージ9のボディメイン組立てステージ16側に合流する「搬送ライン」は、入出線間に配設された、「多品種部品組立ライン及び出線とを接続した送出しライン」であるという限りで、本願発明の「組付けライン及び出線とを接続した送出しライン」と共通している。 したがって、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致しているということができる。 「車両組立用主ラインの途中を分断し、その端部に所定距離離して入出線を形成し、該入出線間に、前記入線と接続した複数ラインからなる多品種部品組立ラインと、該組立ライン及び前記出線とを接続した送出しラインを配設した車両組立装置。」 そして、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違している。 <相違点> 多品種部品組立ラインが、本願発明では、多品種部品組付けラインであるのに対して、引用発明では、フロアメインにスポット溶接の増打ちをするためのものである点。 (4)相違点の検討 車両組立用ラインには、部品組立ラインとして部品組付けライン、部品溶接ライン等があることは、特に例示するまでもなく従来周知であり、多品種部品組立ラインを多品種部品組付けラインとすることにも格別の困難性はない。 また、本願発明によってもたらされる効果も、引用発明及び上記従来周知の事項から当業者であれば予測できる程度のものであって格別のものではない。 4 むすび したがって、本願発明は、引用発明及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、本件出願の請求項2ないし請求項5に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきであるから、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-02-01 |
結審通知日 | 2008-02-12 |
審決日 | 2008-02-25 |
出願番号 | 特願平11-153032 |
審決分類 |
P
1
8・
561-
Z
(B23P)
P 1 8・ 121- Z (B23P) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 二階堂 恭弘、岡澤 洋、所村 美和 |
特許庁審判長 |
野村 亨 |
特許庁審判官 |
槻木澤 昌司 鈴木 孝幸 |
発明の名称 | 車両組立装置 |
代理人 | 椎原 英一 |