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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41J
管理番号 1176505
審判番号 不服2004-2271  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-02-05 
確定日 2008-04-17 
事件の表示 特願2000-107058「画像形成用露光装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月16日出願公開、特開2001-287402〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願発明
本願は、平成12年4月7日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成15年7月28日付の手続補正書、平成18年12月28日付の手続補正書及び平成19年2月13日付の手続補正書で補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「膜厚が15?25μmの感光層を有し、負極性の所定電位が均一に付与された感光体表面を波長780nmの赤色半導体レーザから照射されたレーザ光の露光スポットにより走査して静電潜像を形成する画像形成用露光装置であって、
前記感光体は、導電性材料を素材とした円筒形基体の表面に、アンダーコート層、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層して感光層を形成した積層型有機感光体であり、
コロナ放電によってワイヤから放出された電荷が前記感光体表面に到達する量を、前記感光体表面との間に間隙を設けて配置されたグリッドに印加されるバイアス電圧によって制御する帯電チャージャと、
所定の層厚で現像ローラの表面に担持された一成分現像剤を前記感光体表面に供給する現像装置と、を備えた画像形成装置に適用される画像形成用露光装置において、
1200dpiの解像度の画像を形成する際に、露光スポット径DとドットピッチPとの間にD>1.4Pの関係がある場合に、画像データのうち周囲に他のドットが存在しない孤立ドットパターン、及び、複数のドットが一方向に連続する孤立ラインパターンに互いに異なる値の露光エネルギを付与することを特徴とする画像形成用露光装置。」(以下、「本願発明」という。)

2.引用例
これに対して、当審における、平成18年10月30日付けで通知した拒絶の理由に引用した本願の出願日前の平成9年3月31日に頒布された特開平9-85982号公報(以下、「引用例」という。)には、本願発明に関連する事項として、以下の事項が図示と共に記載されている。
ア.「レーザ光を感光媒体上に照射してトナーを付着させ、紙に転写するレーザビームプリンタにおいて、印字しようとする1ドットの上下左右に隣接するドットの個数に応じて、前記印字しようとする1ドットの露光光量を変化させて印字するようにしたことを特徴とするレーザビームプリンタにおける露光方法。」(【請求項1】参照)
イ.「高ガンマ値感光体は感光特性上、光強度にスレッショルド値(閾値)を持っていて、一般にガウス分布を示す光源のビームスポットをスレッショルド値で切った断面が潜像となり、電子写真方式の現像工程ではこの潜像にトナーが付いて画像を形成する。図2は印字光量と、あるスレショルド値で切った時のビームの大きさの変化を模式的に説明したものである。スレショルド値21によりガウス分布状態のレーザビーム結像点16?20(16が光量の多い場合で20が光量の小さい場合である)を切った場合、それに対応してスポット径が22?26まで変化することを示している。なお、スポット径22?26のなかの数字0?4は、図3以後で説明する印字光量値を示す。」(段落【0004】参照)
ウ.「印字される点の大きさによって画像がどのように形成されるかを説明する。具体的には一般に高精細の画像を形成するためにはトナーの飛び散りを極力少なく、又、潜像を忠実に再生する必要からトナーを感光体の上の潜像部に3層ほど付着させるようにすることが多い。図6に示したように、この状態で球状トナー34を用いた場合、ほぼ3層の俵積構造になる。なお、図6の符号32はトナーを転写するための紙であり、符号33は感光体を示す。このことから、比較的大きな点の集合の画像の周辺部では感光体上33を底辺35として三層構造の上辺36にかけて傾斜部を形成することになりトナー画像は台形になる。微小な点においては、この傾斜部によって三角錐の形状を形成することになる。孤立した点を形成するトナー像でも同様で、底面37では潜像の大きさとほぼ同じ大きさにトナーが付着するが、上辺38ではトナーは数個しか付着せず三角錐の形状を形成することになる。次にこのように形成されたトナー画像を紙に転写する場合において、前記トナー画像の台形部35と台形部35′の間に微小点部37がある図6のような場合について説明する。この場合、紙は台形部上辺36,36′に受け止められる形で圧接され、微小点部に形成されたトナー画像の部分では円錐状の頂点付近38の数個(図6では1個)のトナーしか、紙に接触できない。特に台形部と微小点の距離が近い場合には紙のたわみもほとんどなくこの傾向が大きい。そのため微小点38では転写される像の大きさは底辺部と比較して小さくなっていく。この現象は像の大きさが小さくなればなるほど顕著になり、より細かい網点や細線を表現しようとするときに大きな障害になる。このような現象は、画像に対しトナーの大きさが十分小さい場合には何ら問題はない。本発明のようにトナーの大きさと表現したい画像の大きさが近接している場合に初めて問題になる。経験的にはトナーの大きさは画像の大きさの約1/8以下にすれば、この現象は問題にならない。しかし印刷用プリンタでは1200DPI以上の解像度が必要なので、最小ドットサイズは約20ミクロン以下となる。一方トナーの大きさは現在最小のものでも6ミクロン程度である。よって、画像を形成するトナーの数は3?6個となり微小点の再現はできないことになる。」(段落【0005】?【0007】)
エ.「ドットが多く集まるところと少ないところが存在する画像を出力する際に、形成するドットの多く集まるところは隣接するドットの影響を受け、ドットの少ないところは逆に隣接ドットがないために見かけ上小さくなる。このような現象は、レーザビームプリンタにおいて写真画像の劣化を発生させたり細線を切れ切れにしたりして出力画像を汚くする。本発明は、上述した事情に鑑みて為されたもので、簡単な制御で露光光量を最適化し、きれいな出力画像を得ることができるレーザビームプリンタにおける露光方法を提供することを目的とする。」(段落【0009】?【0010】参照)
オ.「図1に本発明の一実施例の露光制御装置を取付けたレーザビームプリンタを示す。レーザ光線を発生することができるレーザダイオード13を駆動する回路11に本発明の露光制御回路12を取付ける。印字データ14の信号によりレーザダイオード13を点灯し、そのレーザ光をコリメータレンズ6で集光し、レーザビームの径をビームエキスパンダーレンズ5により所望の大きさの光束に変換し、シリンドリカルレンズ4に入射させ、ポリゴンミラー1に入射させる。ポリゴンミラー1は高速回転するモータ2に固定されているので、モータの回転に伴いポリゴンミラー1も高速に回転する。ポリゴンミラー1に入射したレーザ光15′?15″はポリゴンミラー1に反射されて高速にスキャンニングされ、Fθレンズ3に入射し、レンズ作用を受けて、ミラー7、トーリックレンズ8を通過し感光体10上に細い線状(スキャンビーム)に結像される。また、Fθレンズ3を通過した光線15は、原点素子9に到達して印字の開始点を決める原点光となる。この実施例の場合の感光体は高ガンマ値感光体である。」(段落【0018】?【0019】参照)
カ.「本実施例ではレーザビームプリンタの送りピッチの約1.4倍の大きさになるようにスポット径を設定している。なお、この1.4倍という値はレーザビームプリンタの使用条件などで決まる値なので、1.4倍でなければいけないということではない。従って、使用状態に応じた違った値に設定しても勿論良い。スポット径を送りピッチの1.4倍に設定すると、印字物上では斜め45度の線ではドットとドットが接するようになる。また、横線や縦線では、ドットとドットが1.4倍畳重されて印字される。このような状態を模式的に書いたのが、図3及び図5である。図5は印字しようとするドットの上下左右にあるドットの数により印字ドットの光量を変化させないで印字した場合で、畳重されたドットの影響により印字ドットは大きくなる部分があり形がくずれる。図3は本発明の一実施例の光量制御を行って印字したものできれいに印字される。」(段落【0020】?【0021】参照)
キ.図3から、相互に直交する主走査方向と副走査方向で同一間隔をおいて配置される複数の破線30、31の各交点に描かれる円相互が、上記主走査方向と副走査方向で畳重されると共に斜め方向で接していることが看取される。
ク.図4から、印字しようとする1ドット(中央ドット)の上下左右に隣接するドットが存在しない場合(「印字パターン1」)、該ドットの出力光量値が100%出力光量値(0)となり、また、印字しようとする1ドットの左右に隣接するドットが存在する場合(「印字パターン3」)、該ドットの出力光量値が80%出力光量値(2)となると共に該ドットの左右の隣接ドットの出力光量値が90%出力光量値(1)となることが看取できる。
[引用発明の認定]
記載カ、キから、図3、4で示される印字パターンにおける出力光量値の付与態様が適用されるプリンタは、スポット径を送りピッチの1.4倍としたレーザビームプリンタであることが明らかであり、また、解像度が格別限定されないもので、1200dpiの解像度(記載ウ)の画像を形成するレーザビームプリンタにも適用可能であることが明らかであるから、上記記載ア?クを含む引用例には以下の発明が記載されているといえる。
「感光体の感光媒体上をレーザダイオード13から照射されたレーザ光の露光スポットによりスキャンニングして潜像を形成するレーザビームプリンタにおいて、
1200dpiの解像度の画像を形成する際に、スポット径が送りピッチの約1.4倍の場合に、印字しようとする1ドットの上下左右に隣接するドットが存在しない場合(「印字パターン1」)、該ドットの出力光量値が100%出力光量値(0)となり、また、印字しようとする1ドットの左右に隣接するドットが存在する場合(「印字パターン3」)、該ドットの出力光量値が80%出力光量値(2)となると共に該ドットの左右の隣接ドットの出力光量値が90%出力光量値(1)となる、レーザビームプリンタ。」(以下、「引用発明」という。)

3.対比・判断
本願発明と上記引用発明とを対比する。
ア.引用発明の「レーザプリンタ」は、画像形成装置であり、したがってレーザ光の露光スポットにより走査して静電潜像を形成するように露光エネルギを付与する画像形成用露光装置を備えているといえる。
イ.引用発明の「潜像」、「スポット」、「スポット径」、及び「送りピッチ」は、それぞれ、本願発明の「静電潜像」、「露光スポット」、「露光スポット径D」、及び「ドットピッチP」に相当している。
ウ.引用発明の「感光体の感光媒体上をレーザダイオード13から照射されたレーザ光の露光スポットによりスキャンニングして潜像を形成する」と本願発明の「感光体表面を波長780nmの赤色半導体レーザから照射されたレーザ光の露光スポットにより走査して静電潜像を形成する」とは、感光体表面を半導体レーザから照射されたレーザ光の露光スポットにより走査して静電潜像を形成する点で共通している。
エ.引用発明の「出力光量値」と本願発明の「露光エネルギ」とは異ならない。
オ.引用発明の「スポット径が送りピッチの約1.4倍の場合に、印字しようとする1ドットの上下左右に隣接するドットが存在しない場合(「印字パターン1」)、該ドットの出力光量値が100%出力光量値(0)となり、また、印字しようとする1ドットの左右に隣接するドットが存在する場合(「印字パターン3」)、該ドットの出力光量値が80%出力光量値(2)となると共に該ドットの左右の隣接ドットの出力光量値が90%出力光量値(1)となる」と本願発明の「露光スポット径DとドットピッチPとの間にD>1.4Pの関係がある場合に、画像データのうち周囲に他のドットが存在しない孤立ドットパターン、及び、複数のドットが一方向に連続する孤立ラインパターンに互いに異なる値の露光エネルギを付与する」とは、「露光スポット径DとドットピッチPとの間に特定の関係がある場合に、画像データのドットの配列態様すなわちドットパターンの違いに応じて互いに異なる値の露光エネルギを付与する」点で共通している。
以上のことから、両者の一致点と相違点は以下のとおりである。
[一致点]
感光体表面を半導体レーザから照射されたレーザ光の露光スポットにより走査して静電潜像を形成する画像形成用露光装置であって、
1200dpiの解像度の画像を形成する際に、露光スポット径DとドットピッチPとの間に特定の関係がある場合に、画像データのドットの配列態様すなわちドットパターンの違いに応じて互いに異なる値の露光エネルギを付与する画像形成用露光装置。」
[相違点]
A.適用される画像形成装置が備える感光体が、本願発明では、導電性材料を素材とした円筒形基体の表面に、アンダーコート層、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層して膜厚が15?25μmの感光層を形成した積層型有機感光体であるのに対して、引用発明では、感光体の構成が定かでない点。
B.静電潜像を形成するレーザ光が、本願発明では、波長780nmの赤色半導体レーザから照射されたレーザ光であるのに対して、引用発明ではいかなる波長のレーザ光であるか定かでない点。
C.適用される画像形成装置が備える帯電チャージャが、本願発明では、コロナ放電によってワイヤから放出された電荷が前記感光体表面に到達する量を、前記感光体表面との間に間隙を設けて配置されたグリッドに印加されるバイアス電圧によって制御する帯電チャージャであって、感光体表面に負極性の所定電位を付与するものであるのに対して、引用発明では、帯電チャージャの構成及びその感光体表面に付与する所定電位の極性が定かでない点
D.適用される画像形成装置が備える現像装置が、本願発明では、所定の層厚で現像ローラの表面に担持された一成分現像剤を前記感光体表面に供給する現像装置であるのに対して、引用発明では、現像装置の構成が定かでない点。
E.画像形成用露光装置の、露光スポット径DとドットピッチPとの間に特定の関係がある場合に、画像データのドットの配列態様すなわちドットパターンの違いに応じて互いに異なる値の露光エネルギを付与する態様について、本願発明では、「露光スポット径DとドットピッチPとの間にD>1.4Pの関係がある場合に、画像データのうち周囲に他のドットが存在しない孤立ドットパターン、及び、複数のドットが一方向に連続する孤立ラインパターンに互いに異なる値の露光エネルギを付与する」と特定されているのに対して、引用発明では、スポット径が送りピッチの約1.4倍の場合に、印字しようとする1ドットの上下左右に隣接するドットが存在しない場合(「印字パターン1」)、該ドットの出力光量値が100%出力光量値(0)となり、また、印字しようとする1ドットの左右に隣接するドットが存在する場合(「印字パターン3」)、該ドットの出力光量値が80%出力光量値(2)となると共に該ドットの左右の隣接ドットの出力光量値が90%出力光量値(1)となるように各ドットに光量値(露光エネルギ)を付与するものであって上記のように特定されていない点。
[相違点の判断]
相違点A?Dについて
画像形成装置に備えられる帯電チャージャを、コロナ放電によってワイヤから放出された電荷が前記感光体表面に到達する量を前記感光体表面との間に間隙を設けて配置されたグリッドに印加されるバイアス電圧によって制御する帯電チャージャであって、感光体表面に負極性の所定電位を付与するものとすること、及び、同じく画像形成装置に備えられる現像装置を、所定の層厚で現像ローラの表面に担持された一成分現像剤を前記感光体表面に供給するものとすること、いずれも、例を挙げるまでもなく、周知である。
また、画像形成装置が備える感光体を、導電性材料を素材とした円筒形基体の表面に、アンダーコート層、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層して膜厚が15?25μmの感光層を形成した積層型有機感光体とすること及び静電潜像を形成するレーザ光を波長780nmの赤色半導体レーザから照射されたレーザ光とすることは、それぞれ、特開平9-179320号公報及び特開平9-74251号公報にみられるように周知である。
したがって、上記相違点A?Dに係る本願発明の構成は、いずれも、引用発明に周知技術を単に適用することにより得られる構成といえる。
相違点Eについて
引用発明の、「印字しようとする1ドットの上下左右に隣接するドットが存在しない場合(「印字パターン1」)、該ドットの出力光量値が100%出力光量値(0)となり、また、印字しようとする1ドットの左右に隣接するドットが存在する場合(「印字パターン3」)、該ドットの出力光量値が80%出力光量値(2)となると共に該ドットの左右の隣接ドットの出力光量値が90%出力光量値(1)となるように各ドットに光量値(露光エネルギ)を付与する」ことは、スポット径(露光スポット径D)が送りピッチ(ドットピッチP)の1.4倍(D=1.4P)の場合、畳重する部分が必ずできる(それ以上なら当然できる)ので畳重の影響を受けるから光量(露光エネルギ)を変化させたものであり(記載カ参照)、また、この印字パターンの違いにより互いに異なる光量(露光エネルギ)を付与する構成は、スポット径(露光スポット径D)が送りピッチ(ドットピッチP)の1.4倍(D=1.4P)の場合に限らずに適用できることは、上記引用例の記載カから明らかであり、さらに露光スポット径DがドットピッチPの1.4倍を超える(D>1.4Pとする)ようにすることも、例えば、特開昭58-152269号公報にみられるように周知である。
してみると、引用発明において、露光スポット径DがドットピッチPの1.4倍を超える(D>1.4Pとする)ようにする周知技術を適用することは、当業者が想到容易である。
ところで、引用発明の「左右に隣接するドットが存在する場合(「印字パターン3」)」は、「複数のドットが一方向に連続する孤立ラインパターン」にほかならない。
また、引用発明の「上下左右に隣接するドットが存在しない場合(「印字パターン1」)」は、スポット径(露光スポット径D)が送りピッチ(ドットピッチP)の1.4倍(D=1.4P)の場合、斜めに隣接するドット相互は斜めにおいて接する関係になるだけで相互に影響を与えないのであるから、上下左右の隣接ドットが存在しなければ、斜めに隣接ドットが存在するか存在しないかに拘わらず、実質的に「周囲に他のドットが存在しない孤立ドットパターン」であるということができる。
ところが、スポット径(露光スポット径D)が送りピッチ(ドットピッチP)の1.4倍を超える(D>1.4P)場合、「上下左右に隣接するドットが存在しない場合(「印字パターン1」)」は、斜めに隣接ドットが存在すれば、それらのスポット径(露光スポット径D)相互は畳重することになり、その有無に応じて光量(露光エネルギ)を制御するようにすることも、上記周知技術の適用に伴って、当業者が普通に想起できることである。その場合においても、(上下左右だけでなく斜めにも)「周囲に他のドットが存在しない孤立ドットパターン」及び「複数のドットが一方向に連続する孤立ラインパターン」とは、畳重の有無が異なる点では変わらないのであるから、当然、光量(露光エネルギ)を互いに異ならせることになる。
ゆえに、相違点Eに係る本願発明の構成は、引用発明及び上記周知技術を適用することにより得られる構成といえる。
以上のとおり、相違点に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、同構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとして特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

4.むすび
本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-02-14 
結審通知日 2008-02-19 
審決日 2008-03-06 
出願番号 特願2000-107058(P2000-107058)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 門 良成  
特許庁審判長 番場 得造
特許庁審判官 菅藤 政明
尾崎 俊彦
発明の名称 画像形成用露光装置  
代理人 小森 久夫  
代理人 小澤 壯夫  

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