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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1176522
審判番号 不服2005-4197  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-03-10 
確定日 2008-04-14 
事件の表示 特願2001-396273「メダル搬送装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 7月 8日出願公開、特開2003-190381〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年12月27日の出願であって、平成16年8月27日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内である同年10月5日に意見書及び手続補正書が提出され、平成17年2月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月10日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年4月7日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成17年4月7日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年4月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)本件補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲は、
「【請求項1】 スロットマシン等の遊技機と、この遊技機のメダル投入口にメダルを案内する案内ノズルを備えたメダル貸出機と、に併設されたメダル搬送装置であって、
前記遊技機のメダル排出口から排出されたメダルを前記メダル貸出機の底部のメダル搬送中継位置まで搬送する第1のメダル搬送部と、前記メダル貸出機の内部に設けられ、前記メダル搬送中継位置に搬送されたメダルを前記メダル貸出機に設けられたメダルシュート部までリフト搬送する第2のメダル搬送部と、を備え、
前記第1のメダル搬送部は、前記メダル排出口から排出されたメダルを受け入れるメダルカップと、このメダルカップ内に設けられ、前記遊技機のメダル排出口から排出されたメダルを載せて搬送する第1のメダル搬送ベルトと、前記メダルカップ内に設けられ、前記第1のメダル搬送ベルト上を搬送されてきたメダルを上昇させ前記メダルカップから外部へ搬出する第2のメダル搬送ベルトとを有し、
前記メダルシュート部から前記メダル貸出機に設けられた前記案内ノズルにメダルを排出することを特徴とするメダル搬送装置。
【請求項2】 前記第2のメダル搬送部は、回転駆動源によって回転駆動される第3のメダル搬送ベルトと、この第3のメダル搬送ベルトに取り付けられメダルを掻き上げて収納するメダルパケットと、を有することを特徴とする請求項1記載のメダル搬送装置。
【請求項3】 前記第2のメダル搬送部は、回転駆動源によって回転駆動される第3のメダル搬送ベルトと、この第3のメダル搬送ベルトに取り付けられ、メダルを一枚ずつ起立した状態で載置するためのメダル載置部と、を有することを特徴とする請求項1記載のメダル貸出機。
【請求項4】 前記第2のメダル搬送部は、回転駆動源によって回転駆動される第3のメダル搬送ベルトと、この第3のメダル搬送ベルトに取り付けられメダルを一枚ずつ寝かせた状態で載置するためのメダル載置部と、を有することを特徴とする請求項1記載のメダル搬送装置。
【請求項5】 前記第2のメダル搬送部は、複数のメダルを一括して搬送するためのメダル搬送箱と、このメダル搬送箱が取り付けられた螺旋シャフトと、この螺旋シャフトを回転駆動する回転駆動源と、を備え、
前記メダル搬送箱は前記螺旋シャフトの回転に伴ってリフト搬送されることを特徴とする請求項1記載のメダル搬送装置。
【請求項6】 前記第2のメダル搬送部は、回転駆動源と、この回転駆動源の回転が伝達されるように係合された複数の回転ディスクと、前記回転ディスクに設けられたメダル収納部と、前記収納部に収納されたメダルを隣接する回転ディスクに送出するためのガイドピンと、を有することを特徴とする請求項1記載のメダル搬送装置。」
と補正された。

そして、本件補正前の特許請求の範囲は、平成16年10月5日付けの手続補正書に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】 スロットマシン等の遊技機と、この遊技機のメダル投入口にメダルを案内する案内ノズルを備えたメダル貸出機と、に併設されたメダル搬送装置であって、
前記遊技機のメダル排出口から排出されたメダルを前記メダル貸出機のメダル搬送中継位置まで搬送するメダル搬送ベルトを有する第1のメダル搬送部と、前記メダル貸出機のメダル搬送中継位置に搬送されたメダルを前記メダル貸出機に設けられたメダルシュート部までリフト搬送する第2のメダル搬送部と、を備え、前記メダルシュート部から前記メダル貸出機に設けられた案内ノズルにメダルを排出することを特徴とするメダル搬送装置。
【請求項2】 前記第1のメダル搬送部は、前記メダル排出口から排出されたメダルを受け入れるメダルカップと、このメダルカップに設けられ、前記遊技機のメダル排出口から排出されたメダルを載せて搬送する第1のメダル搬送ベルトと、前記第1のメダル搬送ベルト上を搬送されてきたメダルを上昇させ前記メダルカップから外部へ搬出する第2のメダル搬送ベルトと、を有することを特徴とする請求項1記載のメダル搬送装置。
【請求項3】 前記第2のメダル搬送部は、回転駆動源によって回転駆動される第2メダル搬送ベルトと、このメダル搬送ベルトに取り付けられメダルを掻き上げて収納するメダルパケットと、を有することを特徴とする請求項1記載のメダル搬送装置。
【請求項4】 前記第2のメダル搬送部は、回転駆動源によって回転駆動される第2メダル搬送ベルトと、この第2メダル搬送ベルトに取り付けられ、メダルを一枚ずつ起立した状態で載置するためのメダル載置部と、を有することを特徴とする請求項1記載のメダル貸出機。
【請求項5】 前記第2のメダル搬送部は、回転駆動源によって回転駆動される第2メダル搬送ベルトと、この第2メダル搬送ベルトに取り付けられメダルを一枚ずつ寝かせた状態で載置するためのメダル載置部と、を有することを特徴とする請求項1記載のメダル搬送装置。
【請求項6】 前記第2のメダル搬送部は、複数のメダルを一括して搬送するためのメダル搬送箱と、このメダル搬送箱が取り付けられた螺旋シャフトと、この螺旋シャフトを回転駆動する回転駆動源と、を備え、
前記メダル搬送箱は前記螺旋シャフトの回転に伴ってリフト搬送されることを特徴とする請求項1記載のメダル搬送装置。
【請求項7】 前記第2のメダル搬送部は、回転駆動源と、この回転駆動源の回転が伝達されるように係合された複数の回転ディスクと、前記回転ディスクに設けられたメダル収納部と、前記メダル収納部に収納されたメダルを隣接する回転ディスクに送出するためのガイドピンと、を有することを特徴とする請求項1記載のメダル搬送装置。」

すなわち、本件補正は、
補正前の請求項2を削除して同請求項1に同請求項2の構成要素を繰り入れ、同請求項3?7を請求項2?6に繰り上げるとともに、「メダル貸出機のメダル搬送中継位置」を「メダル貸出機の底部のメダル搬送中継位置」と限定し、「第2のメダル搬送部」について、「メダル貸出機の内部に設けられ」るものである点の限定を加え、補正前の請求項3?5に記載されていた「第2メダル搬送ベルト」を「第3のメダル搬送ベルト」と訂正したものである。
よって、本件補正は平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1号乃至第3号の請求項の削除、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-347050号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、
【0017】【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る押上げ搬送装置1を一部除外して示した正面図である。この実施の形態では、回胴式遊戯機であるパチスロ機に適用して、遊戯用メダルを自動的に投入するためのメダル自動投入機構を構成した場合について例示してあり、2点鎖線で示す機構はパチスロ機の一部である。このパチスロ機については後述する。
【0018】上記押上げ搬送装置1は、この装置1の駆動源であるモータ2と、パチスロ機の設置面に対し垂直な配置、つまり鉛直な配置で回転自在に設けられてモータ2からの回転力を受けて駆動するスクリューコンベア3と、内部にスクリューコンベア3を収容して鉛直な配置で設置された規制ガイドカバー(規制ガイド)4と、上記スクリューコンベア3の回転軸7の下端部に同心状の配置で固着された駆動側歯車9、減速用歯車10、伝達歯車11および減速用受動側歯車12からなる減速歯車機構部8と、この減速歯車機構部8の最終段の減速用受動側歯車12の回転支軸13を介して駆動されるメダル取出機構部14とを主構成要素として備えて構成されている。
【0019】・・・スクリューコンベア3はモータ2の回転力が減速機構部18を介し伝達されて一定速度で回転しており、このスクリューコンベア3のメダル受け部に保持された遊戯メダルは、規制ガイドカバー4によってスクリューコンベア3と共回りするのを阻止されていることにより、スクリューコンベア3の回転に伴い規制ガイドカバー4に沿って摺動しながら上方に導かれていき、スクリューコンベア3の上端まで達したのちに、スクリューコンベア3の押出し羽根3aによって側方に押し出されてメダル導入ガイド部19に自動的に投入される。・・・
【0030】図6はメダル取出機構部14を示す平面図であり、同図と図1を参照しながらメダル取出機構部14について説明する。このメダル取出機構部14は、メダルカップ17の底板部に近接して平行な配置で固定されたメダル取出板31と、このメダル取出板31に対し下方位置で僅かな間隙を存して平行な配置で近接して、回転支軸13の上端に同心状に固着されたメダル取出用回転円板32と、このメダル取出用回転円板32から1枚ずつ送り出される遊戯メダル23をスクリューコンベア3の下端部に導くメダル供給シュータ33とを備えて構成されている。
【0033】つぎに、上記押上げ搬送装置1の作用の説明に先立って、この実施の形態の押上げ搬送装置1をメダル自動投入装置に適用したパチスロ機について、図7および図8を参照しながら簡単に説明する。図7はパチスロ機の正面図、図8はそのパチスロ機のドア39を除外して内部構造を示した正面図である。
【0034】このパチスロ機では、遊戯者が、1?3枚の遊戯メダル23をメダル投入口40から投入したのちに、この遊戯メダル23の投入によって操作可能となるスタートレバー41を押し下げ操作する。これにより、3種のリール42,43,44が同時に回転を介し、続いて、遊戯者が3個のストップ釦47,48,49を順次押圧操作すると、各リール42,43,44が個々に対応するストップ釦47,48,49が押圧されたタイミングで順次回転を停止する。
【0035】各リール42,43,44には、図8に示すように、複種類の図柄が各リール42,43,44毎に個々に設定された所定の順序で外周面に表示されており、回転停止した各リール42,43,44の図柄が後述する有効ライン上に入賞組み合わせに揃うと、その入賞に応じて割り当てられた枚数の遊戯メダル23がメダル払出口50からメダルカップ17内に払い出される。・・・
【0038】そこで、上記実施の形態の押上げ搬送装置1は、メダル自動投入装置として、図7に破線で示すように、ドア39の裏面側に組み込み状態に設置することにより、従来のパチスロ機が有していた上述の課題を解消できる構成としたものである。つぎに、上記押上げ搬送装置1の作用を、これを適用したパチスロ機の遊戯の手順にしたがって説明する。
【0039】遊戯者は、メダルカップ17内の遊戯メダル23を、押上げ搬送装置1が設けられている図7の右方側に手でかき集めるように移動させる。この操作は、遊戯中においてメダルカップ17の右方側に遊戯メダル23が少なくなった場合に随時行うだけでよい。メダルカップ17の右方側に集められた遊戯メダル23は、メダル取出機構部14におけるメダル取出板31の4個のうちの何れかのメダル取出孔34内に遊戯メダル23が無くなったときに、そのメダル取出孔34内にメダルカップ17のメダル送出ガイド孔を挿通して落ち込む。ここで、メダルカップ17は、図示を省略してあるが、遊戯メダル23が容易に整列されてメダル送出ガイド孔に導かれる内部形状に形成されている。
【0041】このとき、遊戯メダル23は、図2(b)に2点鎖線で示したように、先端部分がメダル受け部22f内に落ち込んで本体軸部22aに当接し、且つ後端部分が突壁部22e上に乗った状態でスクリューコンベア3に確実に保持され、この保持された直後にスクリューコンベア3の回転に伴い僅かに上昇された時点で、一対のカバー半体24,27の各々の規制部24b,27bで構成されるメダルガイド空間30内に入る。このメダルガイド空間30内に入った遊戯メダル23は、図1において右回りに回転するスクリューコンベア3と共回りしようとするのを規制部24b,27bで阻止されるので、スクリューコンベア3の回転に伴って規制部24b,27bに摺接しながらメダルガイド空間30内を上方へ移送されていく。
【0044】したがって,スクリューコンベア3に保持された各遊戯メダル23は、規制ガイドカバー4のメダルガイド空間30内に一定間隔で、且つ一列の整列状態に保持されたまま、スクリューコンベア3の回転に伴って同時に上方へ移送されていく。・・・
【0046】スクリューコンベア3の上端部まで移送された遊戯メダル23は、スクリューコンベア3の上端部に配設された押し出し羽根3a(図1に図示)に沿いながらパチスロ機における内方側へ押し出すように導かれて、規制ガイドカバー4の一対のカバー半体24,27の各々のシュータ部24c,27cにガイドされながら移送され、一対の投入部24d,27dが合体して円筒状に形成されてなるメダル導入ガイド部19からメダル導入筒部54およびメダルガイドシュータ57からなるメダル投入経路を通ってホッパー51内に投入される。・・・
との記載が認められる。
また、摘記した上記の記載や図面から見て、メダルカップ17がメダル払出口50から払い出された遊戯メダル23を受け入れるものであることは明らかである。

摘記した上記の記載及び図面によれば、引用文献1には、
「パチスロ機と、このパチスロ機のメダル投入口40に遊戯メダル23を自動的に投入するためにパチスロ機のドア39の裏面側に組み込み状態に設置された押上げ搬送装置1であって、
前記パチスロ機のメダル払出口50から払い出された遊戯メダル23をスクリューコンベア3の下端部に導くメダル取出機構部14と、
前記パチスロ機に設置され、前記下端部に導かれたメダルを押し出し羽根3a、規制ガイドカバー4及びシュータ部24c,27cが配設されているスクリューコンベア3の上端部まで移送するスクリューコンベア3と、を備え、
前記メダル取出機構部14は、
前記メダル払出口50から払い出された遊戯メダル23を受け入れるメダルカップ17と、
このメダルカップ17の底板部に近接して設けられ、遊戯者がメダルカップ17の押上げ搬送装置1が設けられている側に移動させた遊戯メダル23を前記メダルカップ17からスクリューコンベア3の下端部に導く、メダル取出板31、メダル取出用回転円板32及びメダル供給シュータ33とを備え、
前記上端部からメダル導入ガイド部19に遊戯メダル23を投入する押上げ搬送装置1。」
の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「パチスロ機」は、本願補正発明の「スロットマシン等の遊技機」に相当し、以下同様に、
「メダル投入口40」は「メダル投入口」に、
「遊戯メダル23」は「メダル」に、
「押上げ搬送装置1」は「メダル搬送装置」に、
「メダル払出口50」は「メダル排出口」に、
「払い出された」は「排出された」に、
「スクリューコンベア3の下端部」は「メダル搬送中継位置」に、
「に導く」は「まで搬送する」に、
「メダル取出機構部14」は「第1のメダル搬送部」に、
「導かれた」は「搬送された」に、
「移送する」は「リフト搬送する」に、
「スクリューコンベア3」は「第2のメダル搬送部」に、
「メダルカップ17」は「メダルカップ」に、
「スクリューコンベア3の下端部に導く」は「外部へ搬出する」に、
「投入する」は「排出する」に、それぞれ相当する。

また、引用文献1全体の記載等からみて、以下のことが言える。
a.引用発明の「押上げ搬送装置1」と本願補正発明の「メダル搬送装置」は、ともに「遊技機」に対して設けられている点で共通していると言える。

b.引用発明における「押し出し羽根3a、規制ガイドカバー4及びシュータ部24c,27cが配設されているスクリューコンベア3の上端部」と、本願補正発明における「メダルシュート部」とは、いずれも「第2のメダル搬送部(スクリューコンベア3)によって搬送されたメダルをメダル投入口方向へ滑降させる装置」(以下、「メダル滑降装置」という。)である点で共通していると言える。

c.引用発明における「遊戯者がメダルカップ17の押上げ搬送装置1が設けられている側に移動させた遊戯メダル23を前記メダルカップ17からスクリューコンベア3の下端部に導く、メダル取出板31、メダル取出用回転円板32及びメダル供給シュータ33」と、本願補正発明における「第1のメダル搬送ベルト上を搬送されてきたメダルを上昇させ前記メダルカップから外部へ搬出する第2のメダル搬送ベルト」とは、いずれも「送られてきたメダルをメダルカップから外部へ搬出する装置」である点で共通していると言える。

d.引用発明における「メダル導入ガイド部19」と、本願補正発明における「案内ノズル」とは、いずれも「遊技機のメダル投入部へメダルを案内する装置」(以下、「メダル案内装置」という。)である点で共通していると言える。

以上を総合すると、両者は、
「スロットマシン等の遊技機と、該遊技機に対して設けられたメダル搬送装置であって、
前記遊技機のメダル排出口から排出されたメダルをメダル搬送中継位置まで搬送する第1のメダル搬送部と、前記メダル搬送中継位置に搬送されたメダルをメダル滑降装置までリフト搬送する第2のメダル搬送部と、を備え、
前記第1のメダル搬送部は、前記メダル排出口から排出されたメダルを受け入れるメダルカップと、送られてきたメダルを前記メダルカップから外部へ搬出する装置とを有し、
前記メダル滑降装置からメダル案内装置にメダルを排出することを特徴とするメダル搬送装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]本願補正発明が「メダル投入口にメダルを案内する案内ノズルを備えたメダル貸出機」を有し、メダル搬送装置が遊技機とメダル貸出機とに併設されているのに対し、引用発明は「メダル貸出機」を有しておらず、押上げ搬送装置1(メダル搬送装置)がパチスロ機のドア39の裏面側に組み込み状態に設置されている点。

[相違点2]本願補正発明は「メダルシュート部」と「第2のメダル搬送部」がメダル貸出機の内部に設けられているのに対し、引用発明では「押し出し羽根3a、規制ガイドカバー4及びシュータ部24c,27cが配設されているスクリューコンベア3の上端部」と「スクリューコンベア3」(第2のメダル搬送部)がパチスロ機に設置されている点。

[相違点3]本願補正発明は、「第1のメダル搬送部」の構成要素として、メダルカップ内に設けられた「第1のメダル搬送ベルト」を有しているのに対し、引用発明では、「メダル取出機構部14」(第1のメダル搬送部)はそのような構成を有しておらず、遊技者がメダルカップ17内の遊戯メダル23を、押上げ搬送装置1(メダル搬送装置)が設けられている側に移動させるものである点。

[相違点4]本願補正発明は、「第2のメダル搬送ベルト」が、メダルカップ内に設けられるとともに、「第1のメダル搬送ベルト上を搬送されてきたメダルを上昇させ前記メダルカップから外部へ搬出する」のに対し、引用発明では、「メダル取出板31、メダル取出用回転円板32及びメダル供給シュータ33」は、メダルカップ17の底板部に近接して設けられ、「遊戯者がメダルカップ17の押上げ搬送装置1(メダル搬送装置)が設けられている側に移動させた遊戯メダル23を上昇させることなく前記メダルカップ17から外部へ搬出している点。

[相違点5]本願補正発明においては「メダル貸出機に設けられた案内ノズルにメダルを排出する」のに対し、引用発明においては、「メダル導入ガイド部19にメダルを投入(排出)する」点。

(4)判断
[相違点1、2、5について]
スロットマシンに隣接させて、該スロットマシンのメダル投入口方向にメダルを滑降させるメダルシュート部やメダル投入口にメダルを案内する案内ノズルを備えたメダル貸出機を設置することは、例えば、原査定の拒絶の理由に引用された文献2:特開2001-46723号公報(特に、図1及び請求項1)や文献3:特開平11-76496号公報(特に、図3及び段落0027、0028)、文献4:特開平11-206961号公報(特に、図3及び段落0016)及び文献5:特開2000-279628号公報(特に、図1及び段落0021、0022)に記載されているように、従来周知の事項であるとともに、メダル貸出機の下部スペースをメダル処理のために活用することも、従来該下部スペースをメダルストック用に利用することが通常行われていることや、上記文献3(特に、図3及び段落0023)及び上記文献4(特に、図3、4及び段落0017、0018)に、メダル貸出機の下部にあるメダル計数投入口から投入し、スロットマシンの受け皿に溜まったメダルを計数し搬送することが記載されていることを考慮すると、遊技機の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が普通に着想できる事項であると判断される。
さらに、遊技機の分野において、遊技機本体の外側で、遊技機下部の遊技媒体貯留部から遊技媒体投入口につながる受け皿部分に遊技媒体を持ち上げる機構が、例えば、原査定の拒絶の理由に引用された文献6:特開平8-141202号公報(特に、図16?19及び段落0041)や文献7:特開2000-140218号公報(特に、図1及び段落0011?0013)及び文献8:特開平2001-224802号公報(特に、図2、3及び段落0026、0027、0035)に記載されているように、従来周知の事項であるから、引用発明のパチスロ機に隣接させて、該パチスロ機のメダル投入口40の方向に遊戯メダル23を滑降させるメダルシュート部やメダル投入口40に遊戯メダル23を案内する案内ノズルを備えたメダル貸出機を設置するとともに、該メダル貸出機を遊戯メダル23処理のために活用して、スクリューコンベア3(第2のメダル搬送部)を前記メダル貸出機の下部スペースに設け、該スクリューコンベア3の上端を前記メダルシュート部に臨ませ、遊戯メダル23を該メダルシュート部から前記案内ノズルに排出させるように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。

[相違点3について]
引用発明は、遊技者がメダルカップ17内の遊戯メダル23を、押上げ搬送装置1(メダル搬送装置)が設けられている側に移動させるものとなっている。しかるに、例えば、上記文献4(特開平11-206961号公報、段落0004)、上記文献5(特開2000-279628号公報、段落0005)、上記文献8(特開平2001-224802号公報、段落0026)及び文献9:特開平2001-353322号公報(特に、段落0005)に記載されるように、遊技者の手を汚さないため、遊技媒体に手を触れなくても遊技できるようにすることは、従来遊技機の分野において、周知の課題であるから、引用発明において、遊技者がメダルカップ17内の遊戯メダル23に触れなくても、該遊戯メダル23を、押上げ搬送装置1(メダル搬送装置)が設けられている側に移動できるようにしようとすることは、当業者が普通に着想できる事項である。そして、その際に、メダルカップ内に搬送ベルトを設けて解決を図ることも、物体を水平方向に送る機構としてのベルト搬送機構が、従来例を挙げるまでもなく一般に広く知られた手段であるから、当業者が容易に想到し得る設計的な事項である。

[相違点4について]
一般に物体を壁や高い場所の向こう側に送るためには、その壁や高い場所の上を越して運び出すか、壁にその物体が通過できる穴やトンネルを穿って運び出すかの2通りの方法が採用されている。引用発明は、そのうちの後者の方法によってメダルカップ17内の遊戯メダル23をスクリューコンベア3の下端部(メダル搬送中継位置)に導くものであるが、いずれの方法も状況に応じて適宜選択されていることから、引用発明において、遊戯メダル23をスクリューコンベア3の下端部に送るために、メダルカップ17の縁を越えて運び出すようにすることも当業者が適宜実施し得るものと判断される。そして、その際に、前記メダルカップ17内に遊戯メダル23を上昇させる搬送ベルトを設けて解決を図ることも、物体を斜め上方向に送る機構としてのベルト搬送機構が、従来例を挙げるまでもなく一般に広く知られた手段であるから、当業者が容易に想到し得る設計的な事項である。

よって、上記相違点1?5に係る本願補正発明の構成は、当業者が容易に想到し得たものというべきである。
さらに、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び従来周知の事項から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成17年4月7日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年10月5日付の手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「スロットマシン等の遊技機と、この遊技機のメダル投入口にメダルを案内する案内ノズルを備えたメダル貸出機と、に併設されたメダル搬送装置であって、
前記遊技機のメダル排出口から排出されたメダルを前記メダル貸出機のメダル搬送中継位置まで搬送するメダル搬送ベルトを有する第1のメダル搬送部と、前記メダル貸出機のメダル搬送中継位置に搬送されたメダルを前記メダル貸出機に設けられたメダルシュート部までリフト搬送する第2のメダル搬送部と、を備え、前記メダルシュート部から前記メダル貸出機に設けられた案内ノズルにメダルを排出することを特徴とするメダル搬送装置。」

(1)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1及びその記載事項は、上記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願の請求項1に係る発明は、上記「2.(1)」で検討した本願補正発明の「第1のメダル搬送部」について、「前記メダル排出口から排出されたメダルを受け入れるメダルカップと、このメダルカップ内に設けられ、前記遊技機のメダル排出口から排出されたメダルを載せて搬送する第1のメダル搬送ベルトと、前記メダルカップ内に設けられ、前記第1のメダル搬送ベルト上を搬送されてきたメダルを上昇させ前記メダルカップから外部へ搬出する第2のメダル搬送ベルトとを有し、」という限定構成を省くとともに、同発明の「メダル貸出機の底部のメダル搬送中継位置」という構成から「底部の」という限定事項を省き、さらに、同発明の「第2のメダル搬送部」について、「メダル貸出機の内部に設けられ」るものである点の限定を省いたものである。

そうすると、本願の請求項1に係る発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願の他の請求項については検討するまでもなく、本願は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-02-15 
結審通知日 2008-02-18 
審決日 2008-02-29 
出願番号 特願2001-396273(P2001-396273)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 林 晴男
中槙 利明
発明の名称 メダル搬送装置  
代理人 須藤 克彦  
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