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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1176525
審判番号 不服2005-5739  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-04-04 
確定日 2008-04-16 
事件の表示 特願2001-262117「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月11日出願公開、特開2003- 71024〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
【1】手続の経緯
本願は、平成13年8月30日の出願であって、平成16年10月14日付の拒絶理由通知に対して同年12月13日付で手続補正がなされ、これに対し、平成17年3月2日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月4日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに、同年4月27日付で手続補正がなされたものである。

【2】平成17年4月27日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)について
(1)本件補正の概略
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成16年12月13日付手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された
「【請求項1】
表示画面に特別図柄を変動表示する図柄表示装置と、図柄始動条件の成立に起因して変動開始から図柄確定に至る一連の図柄生成行程を図柄表示装置の表示画面に実行表示する図柄制御手段とを備え、図柄生成行程によって所定の当り図柄態様が確定表示された場合に、遊技者に所定の利得を供与することとなる特別遊技作動を実行するようにした遊技機において、
前記図柄制御手段が、描出概念が相互に異なる複数のステージ画像をあらかじめ備え、かつ各ステージ画像は、図柄形態、図柄変動方向又は図柄を表出する図柄表示領域の形態等の当該描出概念を生成する特有のステージ画像要素からなるものであり、図柄生成行程で描出されるステージ画像を、図柄始動条件の成立を契機として、ステージ画像乱数から乱数値を選出することにより、複数のステージ画像から選定するようにした制御内容を具備するものであることを特徴とする遊技機。」から、

「【請求項1】
表示画面に特別図柄を変動表示する図柄表示装置と、図柄始動条件の成立に起因して変動開始から図柄確定に至る一連の図柄生成行程を図柄表示装置の表示画面に実行表示する図柄制御手段とを備え、図柄生成行程によって所定の当り図柄態様が確定表示された場合に、遊技者に所定の利得を供与することとなる特別遊技作動を実行するようにした遊技機において、
前記図柄制御手段が、描出概念が相互に異なる複数のステージ画像をあらかじめ備え、かつ各ステージ画像は、図柄形態、図柄変動方向又は図柄を表出する図柄表示領域の形態等の当該描出概念を生成する特有のステージ画像要素からなるものであり、図柄生成行程で描出されるステージ画像を、図柄始動条件が成立するたびに、ステージ画像乱数から乱数値を選出することにより、複数のステージ画像から選定するようにした制御内容を具備するものであることを特徴とする遊技機。」へと補正された。

(2)補正の適否
本件補正により特許請求の範囲の請求項1にした補正は、発明を特定するために必要な事項である「ステージ画像乱数から乱数値を選出する」契機について、「図柄始動条件の成立を契機として」を「図柄始動条件が成立するたびに」と限定するものであるが(下線部は補正事項。)、この限定事項は、本件補正前の請求項2に実質的に対応することから、本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1を削除し、請求項2の番号を繰り上げて、新しい請求項1とするものであるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除を目的とする補正に該当する。

【3】本願発明
本願の請求項1に係る発明は、本件補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
表示画面に特別図柄を変動表示する図柄表示装置と、図柄始動条件の成立に起因して変動開始から図柄確定に至る一連の図柄生成行程を図柄表示装置の表示画面に実行表示する図柄制御手段とを備え、図柄生成行程によって所定の当り図柄態様が確定表示された場合に、遊技者に所定の利得を供与することとなる特別遊技作動を実行するようにした遊技機において、
前記図柄制御手段が、描出概念が相互に異なる複数のステージ画像をあらかじめ備え、かつ各ステージ画像は、図柄形態、図柄変動方向又は図柄を表出する図柄表示領域の形態等の当該描出概念を生成する特有のステージ画像要素からなるものであり、図柄生成行程で描出されるステージ画像を、図柄始動条件が成立するたびに、ステージ画像乱数から乱数値を選出することにより、複数のステージ画像から選定するようにした制御内容を具備するものであることを特徴とする遊技機。」(以下、「本願発明」という。)

2.特許法第29条第2項の適用
【1】引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である引用文献1(特開2001-224788号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
ア.「【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態をパチンコ遊技機に適用した例について説明する。
A.遊技機の正面構成
図1はパチンコ遊技を行う遊技機301(図2参照)の遊技盤を示す正面図である。・・・
特別図柄表示装置12は、画像、図柄などを表示可能な画面Gを備え、その画面Gには所定の表示領域Hが形成されるようになっている(後述の図7参照)。また、表示領域H内には複数の可変表示領域(K1?K3など)および付随的画面構成要素表示領域Fを形成可能で、形成した可変表示領域のそれぞれに複数の特図(識別情報)を表示可能であるとともに、付随的画面構成要素表示領域Fに背景画面等を表示可能な構成となっている。
・・・」
イ.「【0018】
表示制御装置108は、遊技制御装置105から送信された表示データに基づき特別図柄表示装置12の画像表示を制御するとともに、特別図柄表示装置12に電源を供給している。表示制御装置108は表示制御手段、予告標識表示手段、予告標識選択手段およびゲーム進行制御手段を構成する。表示制御手段は遊技制御装置105(遊技制御手段)からの指令に基づいて複数の可変表示領域および付随的画面構成要素表示領域が形成される特別図柄表示装置12(可変表示装置)の表示制御を行う。具体的には、表示制御手段は特別図柄表示装置12(可変表示装置)の可変表示領域に複数の特図(識別情報)を可変表示させて停止させる変動表示ゲームを行い、変動表示ゲームの停止態様が特定の組み合せ態様を導出したときに特典を付与(例えば、大当り発生に基づく遊技球の獲得)可能とする制御を行う。」
ウ.「【0029】
・・・なお制御上は、例えば特図の始動口への遊技球の入賞があったことを条件(始動条件)として、大当り乱数(遊技価値判定用乱数)などの各種乱数の値が抽出記憶されて、この抽出記憶された乱数値と予め設定された判定値とが判定時に比較判定され、この比較判定結果に基づいて、予め停止図柄(大当りとするか否か)やリーチアクションを行うか否かなどが決定され、この決定に応じて上記変動表示が開始される。・・・
【0032】
・・・各入賞口スイッチ監視処理では、遊技盤1の入賞口(すなわち、始動入賞口13、変動入賞装置14(大入賞口)、一般入賞口17?22、普図始動ゲート15、16への入賞があるか否かを監視し、その監視結果に基づいて特図変動や普図変動の始動記憶の更新、特図や普図などに関連する乱数の抽出、賞球数記憶、大当り時のラウンド継続の設定などの処理を行う。
次いで、ステップS2で特図ゲーム処理を行う。特図ゲーム処理では、特図をスクロールさせる前の始動記憶監視、図柄変動、図柄停止監視、大当り処理の何れかに対応した処理が行われる。なお、この特図ゲーム処理において、変動表示ゲームの発展態様を示す複数の発展予告標識を特別図柄表示装置12における表示領域(表示画面)の付随的画面構成要素表示領域に表示させる処理が行われる(詳細は後述)。」
エ.「【0036】
・・・特図に関連する乱数としては、例えば大当り乱数(大当りとするか否かを決定するための乱数)、リーチ乱数(リーチ態様決定用の乱数)、大当り停止図柄乱数(大当り停止図柄決定用の乱数)などがある。・・・」
オ.「【0040】
・・・図8(b)の例は普段画面を示し、可変表示領域K1?K3に特図の左図柄(L)、中図柄(C)、右図柄(R)を可変表示(変動表示)するようになっており、ここでは数字動作図柄S(「1、2、3」)がそれぞれ表示(停止表示:例えば、外れ停止態様)されている。
【0041】
一方、付随的画面構成要素表示領域Fには、図8(b)の例では背景として病院を模したナースの家B(以下、同様につき煩雑になるので図面での符号Bは適宜略す)が主に表示され、その他ナースの家Bの周りに樹木、花壇などが背景画面として表示されている。・・・
【0042】
「特図ゲーム」
次に、特図ゲームについて説明する。始動入賞があると、特図が変動を開始し、外れの場合には図8(b)のように特図が停止する。この場合は、特図が通常の縦スクロールを行う。なお、このとき、画面Gの付随的画面構成要素表示領域Fにはゲームの進行に応じた背景が選択されて表示され、例えば図8(b)の例ではナースの家Bが表示されている。・・・
一方、特図変動でリーチが発生、例えば図9(a)に示すようにナースの家Bが付随的画面構成要素表示領域F(背景)にあり、かつ「7、米、7」(米は未確定の図柄)のようなノーマルリーチが発生すると、リーチ分岐画面となり、この例では図9(b)に示すような病院リーチに移行する。病院リーチはナースの家Bの内部(建物内)に入っていく画面構成であり、ナースの家Bの廊下を挟んで複数の部屋が表示される。複数の部屋のそれぞれには部屋名(例えば、診察室名)を書いた標識P1?Pn(変動表示ゲームの発展態様を示す発展予告標識に相当)を掲げた表示の演出が行われる。
【0043】
「廊下系リーチ」
廊下リーチの画面における各部屋の標識P1?Pnは、変動表示ゲームにおける以後の発展態様を予告する表示であり、標識P1?Pnには、例えば図10に示すようにナースの家Bの入口から内科、ナース室、レントゲン、脚気、注射、プレミア、手術中というような文字(文字情報)が書かれている。
・・・
このように、標識P1?Pnの文字を病院内の各診察室名と対応させることで、遊技者は画面Gを見て、一目で複数のリーチの発生可能性を認識でき、遊技の全体像を簡単に把握できるという利点がある。
標識P1?Pnは、次に進むリーチ態様を予告するようになっており、それは以下のような対応となっている。ナース室は未使用である。
・内科→聴診器リーチ
・レントゲン→レントゲンリーチ
・脚気→脚気リーチ
・注射→注射器リーチ
・プレミア→ダンスリーチ
・手術中→電気ショックリーチ
【0044】
廊下リーチの画面になると、次いで、標識P1?Pnで示される部屋に対応するリーチの画面に移行する。すなわち、廊下リーチの画面から標識P1?Pnの何れかで示される部屋の入口が拡大表示(部屋を選択することになる)され、その後、選択された部屋に対応するリーチに分岐した画面となる。このとき、「廊下系リーチ」あるいは「診察室系リーチ」という大きな区分に分れ、「廊下系リーチ」は廊下にてリーチ演出が行われ、「診察室系リーチ」は診察室にてリーチ演出を行うものになる。
次に、各リーチの内容を説明すると、内科という標識がある部屋に分岐した場合には、聴診器リーチに移行する。聴診器リーチは病院リーチから診察室の中に展開する「診察室系リーチ」の1つであり、ドクターと患者が登場し、ドクターが中図柄に聴診器を当てると、図柄が一時停止するような演出となる。
レントゲンという標識がある部屋に分岐した場合には、レントゲンリーチに移行する。レントゲンリーチは病院リーチからレントゲン室の中に展開する「診察室系リーチ」の1つであり、ドクターと女性の患者が登場し、例えば「すってー」、「はいてー」という掛声に合せてレントゲンに図柄が浮き出る演出となる。
【0045】
脚気という標識がある部屋に分岐した場合には、脚気リーチに移行する。脚気リーチは病院リーチから診察室の中に展開する「診察室系リーチ」の1つであり、ドクターと爺さんが登場し、ドクターが爺さんに脚気の診察を行うと(例えば、爺さんの膝下を叩く)、爺さんが図柄をけっ飛ばす演出となる。このとき、手前の図柄をけっ飛ばせば当たり(大当り)となり、外れの場合は爺さんが後にすっ飛ぶ演出となる。
注射という標識がある部屋に分岐した場合には、注射器リーチに移行する。注射器リーチは病院リーチから診察室の中に展開する「診察室系リーチ」の1つであり、爺さんとナースが登場し、ナースが爺さんにお尻に特大注射器をブスッと注射する演出となる。このとき、ハートの中で中図柄がスクロールする画面となる。
プレミアという標識がある部屋に分岐した場合には、プレミアリーチに移行する。プレミアリーチは病院リーチから診察室の中に展開する「診察室系リーチ」の1つであり、ダンサーとドクターが登場し、ダンサーが診察室でダンスし、それに合せてドクターも踊るという演出になる。
手術中という標識がある部屋に分岐した場合には、電気ショックリーチに移行する。電気ショックリーチは病院リーチから診察室の中に展開する「診察室系リーチ」の1つであり、ドクターが電極を持って登場し、図柄はモーフィング(ぼかす)される。そして、これが発展すると、ドクターすら感電するボルテージとなる演出が行われる。
【0046】
このように、ノーマルリーチからリーチ分岐画面を経て、病院リーチに移行すると、ナースの家Bの廊下を挟んで複数の部屋が表示され、各部屋のそれぞれには部屋名を示す標識P1?Pnを掲げた演出が行われ、その後、何れかの標識に対応する部屋が拡大し、聴診器リーチ、レントゲンリーチ、脚気リーチ、注射器リーチ、ダンスリーチ、電気ショックリーチのうちの1つが選択されて以後のゲームが進行する。」

ここで、引用文献1には、「例えば特図の始動口への遊技球の入賞があったことを条件(始動条件)として、大当り乱数(遊技価値判定用乱数)などの各種乱数の値が抽出記憶されて、この抽出記憶された乱数値と予め設定された判定値とが判定時に比較判定され、この比較判定結果に基づいて、予め停止図柄(大当りとするか否か)やリーチアクションを行うか否かなどが決定され、この決定に応じて上記変動表示が開始される。」(上記摘示ウ.)、及び、「特図に関連する乱数としては、例えば大当り乱数(大当りとするか否かを決定するための乱数)、リーチ乱数(リーチ態様決定用の乱数)、大当り停止図柄乱数(大当り停止図柄決定用の乱数)などがある。」(上記摘示エ.)と記載され、さらに、「特図に関連する乱数」に関し、「遊技盤1の入賞口(すなわち、始動入賞口13、変動入賞装置14(大入賞口)、一般入賞口17?22、普図始動ゲート15、16への入賞があるか否かを監視し、その監視結果に基づいて特図変動や普図変動の始動記憶の更新、特図や普図などに関連する乱数の抽出、賞球数記憶、大当り時のラウンド継続の設定などの処理を行う。」(上記摘示ウ.)と記載されることから、引用発明は、「特図の始動口への遊技球の入賞があったことを始動条件として、特図に関連する乱数として、大当りとするか否かを決定するための大当り乱数乱数及びリーチ態様決定用のリーチ乱数の値が抽出記憶されて、この抽出記憶された乱数値と予め設定された判定値とが判定時に比較判定され、この比較判定結果に基づいて、変動表示ゲームにおいて、大当りとするか否か、及び、リーチ態様決定を行い、この決定に応じて変動表示が開始され」る構成を備えるものと認められる。

したがって、上記の記載(ア.?オ.)及び図面によれば、引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「画面Gの可変表示領域に特図を変動表示する特別図柄表示装置12と、特図の始動口への遊技球の入賞があったことを始動条件として、変動表示が開始され、複数の特図を可変表示させて停止させる変動表示ゲームを、特別図柄表示装置12の画面Gの可変表示領域にて行う表示制御手段とを備え、変動表示ゲームの停止態様が特定の組み合せ態様を導出したときに、特典を付与可能とする制御を行うようにした遊技機において、
前記表示制御手段が、遊技制御装置105からの指令に基づいて複数の可変表示領域(K1?K3)及び付随的画面構成要素表示領域Fが形成される特別図柄表示装置12の表示制御を行い、画面Gの付随的画面構成要素表示領域Fに変動表示ゲームの進行に応じて選択されて表示される背景には、リーチにならずに外れ停止態様となる普段画面では、背景としてナースの家Bが表示され、特図変動でリーチが発生する場合に、背景としてナースの家Bが表示されるノーマルリーチが発生すると共に、ノーマルリーチからリーチ分岐画面を経てナースの家Bの建物内に入っていく画面構成である病院リーチに移行すると、ナースの家Bの廊下を挟んで複数の部屋が表示され、各部屋のそれぞれには部屋名を示す標識P1?Pnとして、内科、ナース室、レントゲン、脚気、注射、プレミア、手術中という病院内の各診察室名と対応した文字情報が書かれた標識P1?Pnを掲げた演出が行われ、標識P1?Pnは、次に進むリーチ態様を予告するようになっており、ナース室は未使用であって、内科は聴診器リーチに、レントゲンはレントゲンリーチに、脚気は脚気リーチに、注射は注射器リーチに、プレミアはダンスリーチに、手術中は電気ショックリーチにそれぞれ対応していて、その後、何れかの標識に対応する部屋の入口が拡大表示され、その後、選択された部屋に対応するリーチに分岐した画面によって、聴診器リーチ、レントゲンリーチ、脚気リーチ、注射器リーチ、ダンスリーチ、電気ショックリーチのうちの1つが選択されて以後の変動表示ゲームが進行するものであり、外れの場合には特図が通常の縦スクロールを行い、聴診器リーチではドクターが中図柄に聴診器を当てると図柄が一時停止するような演出となり、レントゲンリーチでは「すってー」、「はいてー」という掛声に合せてレントゲンに図柄が浮き出る演出となり、脚気リーチではドクターが爺さんの膝下を叩くと爺さんが図柄をけっ飛ばす演出となり、注射器リーチではナースが爺さんにお尻に特大注射器をブスッと注射するときハートの中で中図柄がスクロールする画面となり、ダンスリーチではダンサーが診察室でダンスしそれに合せてドクターも踊る演出になり、電気ショックリーチでは図柄はモーフィングされる演出が行われるものであって、特図の始動口への遊技球の入賞があったことを始動条件として、特図に関連する乱数として、大当りとするか否かを決定するための大当り乱数及びリーチ態様決定用のリーチ乱数の値が抽出記憶されて、この抽出記憶された乱数値と予め設定された判定値とが判定時に比較判定され、この比較判定結果に基づいて、変動表示ゲームにおいて、大当りとするか否か、及び、リーチ態様決定を行う遊技機。」(以下、「引用発明」という。)

【2】対比
引用発明は、上記【1】に示した如くのものである。
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「画面Gの可変表示領域」は本願発明の「表示画面」に相当し、同様に、「特図」、「中図柄」、「図柄」のいずれもが「特別図柄」に、「特別図柄表示装置12」は「図柄表示装置」に、「特図の始動口への遊技球の入賞があったことを始動条件として」は「図柄始動条件の成立に起因して」に、「変動表示が開始され」は「変動開始から」に、「複数の特図を可変表示させて停止させる」は「図柄確定」に、「変動表示ゲーム」は「一連の図柄生成行程」及び「図柄生成行程」のいずれにも、「表示制御手段」は「図柄制御手段」に、「停止態様が特定の組み合せ態様を導出したとき」は「図柄生成行程によって所定の当り図柄態様が確定表示された場合」に、「特典を付与可能とする制御を行う」は「遊技者に所定の利得を供与することとなる特別遊技作動を実行する」に、「変動表示ゲームの進行に応じて選択されて表示される背景」は「図柄生成行程で描出されるステージ画像」に、それぞれ相当しており、さらに引用発明について以下のことがいえる。
(i)引用発明は、「画面Gの付随的画面構成要素表示領域Fに変動表示ゲームの進行に応じて選択されて表示される背景」の表示内容は、「リーチにならずに外れ停止態様となる普段画面」及び「ノーマルリーチ」では、「ナースの家B」であり、「病院リーチ」では「ナースの家Bの廊下を挟んで複数の部屋が表示され、各部屋のそれぞれには部屋名を示す標識P1?Pnとして、内科、ナース室、レントゲン、脚気、注射、プレミア、手術中という病院内の各診察室名と対応した文字情報が書かれた標識P1?Pnを掲げた演出が行われ、標識P1?Pnは、次に進むリーチ態様を予告」し、「その後、何れかの標識に対応する部屋の入口が拡大表示され、その後、選択された部屋に対応するリーチに分岐した画面」によって、「聴診器リーチ、レントゲンリーチ、脚気リーチ、注射器リーチ、ダンスリーチ、電気ショックリーチのうちの1つが選択され」るものである。
すなわち、「背景」として表示される表示内容は、「ナースの家B」、「ナースの家Bの廊下」に加えて、「病院内の各診察室名」と対応した「内科」、「レントゲン」、「脚気」、「注射」、「プレミア」、「手術中」といったように、それぞれ異なる概念のものであるから、引用発明の「背景」は本願発明の「ステージ画像」に相当すると共に、画像データをROM等にあらかじめ備えた構成とすることは遊技機分野では通常採用される構成であって、引用発明の「ステージ画像(背景)」があらかじめ備えられていることは明らかであるから、引用発明は、本願発明を特定する「描出概念が相互に異なる複数のステージ画像をあらかじめ備え」の事項に相当する構成を備えているといえる。

(ii)引用発明は、「特図」、「中図柄」又は「図柄」(いずれも本願発明の「特別図柄」に相当。)の変動態様に関し、「外れの場合」は「通常の縦スクロールを行い」、「聴診器リーチ」は「ドクターが中図柄に聴診器を当てると図柄が一時停止するような演出」とし、「レントゲンリーチ」は「掛声に合せてレントゲンに図柄が浮き出る演出」とし、「脚気リーチ」は「ドクターが爺さんの膝下を叩くと爺さんが図柄をけっ飛ばす演出」とし、「注射器リーチ」は「ナースが爺さんにお尻に特大注射器をブスッと注射するときハートの中で中図柄がスクロールする画面」とし、「ダンスリーチ」は「ダンサーが診察室でダンスしそれに合せてドクターも踊る演出」とし、「電気ショックリーチ」は「図柄はモーフィングされる演出が行われる」ものである。
すなわち、「ステージ画像(背景)」が「ナースの家B」であるときは、「通常の縦スクロールを行い」、「病院リーチ」となると、「ステージ画像(背景)」が「病院内の各診察室名」と対応した「内科」、「レントゲン」、「脚気」、「注射」、「手術中」である場合に、それぞれ、「中図柄」又は「図柄」の上記各演出を行い、「プレミア」である場合に「ダンサーが診察室でダンスしそれに合せてドクターも踊る演出」を行うものである。
ここでまず、「ステージ画像(背景)」が「ナースの家B」であるときは、特別な演出は行われないが、特別な演出を行わないことも一つの演出であって、そのときの「通常の縦スクロール」は、図柄の変動方向を規定することから、本願発明の「図柄変動方向」、すなわち、「当該描出概念を生成する特有のステージ画像要素」に相当する。
次に、「診察室名」と演出との関係は、例えば、「ステージ画像(背景)」が「内科」であれば、「聴診器リーチ」として、「内科」でよく用いられる医療器具である「聴診器」の動作を演出に用いていることから、「聴診器」は「内科」を想起させるものといえ、そして、「ドクターが中図柄に聴診器を当てると図柄が一時停止する」というように、「聴診器」の表示位置と「特別図柄(図柄)」の表示位置とが相互に関連しており、さらに、「聴診器」の動きと「特別図柄(図柄)」の「一時停止」という変動態様とが関連している。すなわち、引用発明は、「ステージ画像(背景)」である「内科」に特有のものとして「聴診器」の動作を演出に用い、その「聴診器」の表示位置又は動きと、「特別図柄(図柄)」の表示位置又は変動態様とが、相互に関連しているものであるから、これら「聴診器」の表示位置又は動き及び「特別図柄(図柄)」の表示位置又は変動態様は、「図柄形態、図柄変動方向又は図柄を表出する図柄表示領域の形態」そのものでないとしても、「内科」という「ステージ画像(背景)」に特有の図柄の表示に関わる要素といい得るものであることに間違いはない。そして、本願発明では、各「ステージ画像(背景)」の「描出概念を生成する特有のステージ画像要素」は、「図柄形態、図柄変動方向又は図柄を表出する図柄表示領域の形態等」と特定されており、「等」という記載に依り、「ステージ画像要素」が「図柄形態、図柄変動方向又は図柄を表出する図柄表示領域の形態」に例示されるものを意味するといえ、ここに例示される事項は、いずれも図柄の表示に関わる要素であるから、引用発明の「ステージ画像(背景)」が「内科」であるときの「聴診器」の表示位置又は動き及び「特別図柄(図柄)」の表示位置又は変動態様は、本願発明の「図柄形態、図柄変動方向又は図柄を表出する図柄表示領域の形態等」に包含される概念であって、「ステージ画像要素」に相当するといえ、引用発明の「聴診器」の動作は、「ステージ画像(背景)」である「内科」を想起させることから、本願発明の「当該描出概念を生成する」に相当する。
同様に、「ステージ画像(背景)」である「レントゲン」は、「レントゲンリーチ」として、「レントゲン」室に設置されている「レントゲン」を演出に用いていることから、本願発明の「当該描出概念を生成する」に相当する。しかも、「掛声に合せてレントゲンに図柄が浮き出る演出」は、「レントゲン」の表示位置と「特別図柄(図柄)」の表示位置とが相互に関連しており、さらに、「特別図柄(図柄)」が「浮き出る」という演出は、「特別図柄(図柄)」が現れる方向を規定するものであるから、本願発明の「図柄変動方向」、すなわち、「当該描出概念を生成する特有のステージ画像要素」に相当する。
さらに、「ステージ画像(背景)」が、「脚気」の場合の「ドクターが爺さんの膝下を叩く」という行為、「注射」の場合の「ナースが爺さんにお尻に特大注射器をブスッと注射する」という行為、「手術中」の場合の「電気ショック」も同様に、本願発明の「当該描出概念を生成する」に相当するものであり、かつ、それぞれの「特別図柄(図柄)」の変動態様が、「ドクターが爺さんの膝下を叩くと爺さんが図柄をけっ飛ばす演出」、「ナースが爺さんにお尻に特大注射器をブスッと注射するときハートの中で中図柄がスクロールする」、「図柄はモーフィングされる演出」が行われることも、同様に、本願発明の「当該描出概念を生成する特有のステージ画像要素」に相当するといえる。なお、「ステージ画像(背景)」が、「プレミア」の場合、「ダンサーが診察室でダンスしそれに合せてドクターも踊る演出」を行うものの、そのときの図柄の変動態様は明らかではないが、「ダンス」又は「踊る」という演出と関連した変動態様を行っていると考えることが自然であるから、本願発明を特定する「当該描出概念を生成する特有のステージ画像要素」の事項に相当する構成を備えているといえるし、仮にそうでないとしても、前記変動態様とすることは設計事項であって、なんら困難性は認められない。
以上を総合すると、引用発明は、本願発明を特定する「各ステージ画像は、図柄形態、図柄変動方向又は図柄を表出する図柄表示領域の形態等の当該描出概念を生成する特有のステージ画像要素からなるものであり」の事項に相当する構成を備えているといえる。

(iii)前記(i)に記載のとおり、引用発明の「ステージ画像(背景)」は、「リーチにならずに外れ停止態様となる普段画面」及び「ノーマルリーチ」では、「ナースの家B」であり、「病院リーチ」では「ナースの家Bの廊下」に加えて、「病院内の各診察室名」と対応した「内科」、「レントゲン」、「脚気」、「注射」、「プレミア」、「手術中」から選択されることから、引用発明の「図柄生成行程で描出されるステージ画像(変動表示ゲームの進行に応じて選択されて表示される背景)」は、「大当りとするか否か、及び、リーチ態様決定を行う」ことにより選択される。そして、引用発明の「ステージ画像(背景)」の選択は、背景が「普段画面」となる場合であっても、「病院リーチ」となる場合であっても、「特図の始動口への遊技球の入賞があったことを始動条件として」、「特図に関連する乱数として、大当り乱数及びリーチ態様決定用のリーチ乱数が抽出記憶され」て決定されるものであるから、「始動条件」である「特図の始動口への遊技球の入賞」があるたびに、「ステージ画像(背景)」の選択が行われているといえる。
すなわち、引用発明は、本願発明を特定する「図柄始動条件が成立するたびに」の事項に相当する構成を備えるといえ、引用発明の「特図に関連する乱数として、大当り乱数乱数及びリーチ態様決定用のリーチ乱数が抽出記憶され」は本願発明の「ステージ画像乱数から乱数値を選出することにより」に相当し、その結果、引用発明は、「図柄生成行程で描出されるステージ画像(変動表示ゲームの進行に応じて選択されて表示される背景)」が選択されることから、本願発明を特定する「複数のステージ画像から選定するようにした制御内容を具備するものである」の事項に相当する構成を備えるといえる。

【3】一致点・相違点
上記【2】に記載した事項より、本願発明と引用発明とは以下の点で一致し、また、相違していると認められる。

一致点;
表示画面に特別図柄を変動表示する図柄表示装置と、図柄始動条件の成立に起因して変動開始から図柄確定に至る一連の図柄生成行程を図柄表示装置の表示画面に実行表示する図柄制御手段とを備え、図柄生成行程によって所定の当り図柄態様が確定表示された場合に、遊技者に所定の利得を供与することとなる特別遊技作動を実行するようにした遊技機において、
描出概念が相互に異なる複数のステージ画像をあらかじめ備え、かつ各ステージ画像は、図柄形態、図柄変動方向又は図柄を表出する図柄表示領域の形態等の当該描出概念を生成する特有のステージ画像要素からなるものであり、図柄生成行程で描出されるステージ画像を、図柄始動条件が成立するたびに、ステージ画像乱数から乱数値を選出することにより、複数のステージ画像から選定するようにした制御内容を具備するものである遊技機。

相違点;
本願発明は、「描出概念が相互に異なる複数のステージ画像」を「図柄制御手段」が「備え」るのに対し、引用発明は、「描出概念が相互に異なる複数のステージ画像(背景)」をあらかじめ備えることは明らかであるものの、遊技制御装置105が備えることも可能であるから、「図柄制御手段(表示制御手段)」が「備え」ているか否かが不明である点。

【4】判断
上記相違点について。
遊技機の表示技術の分野に関しては、遊技機全体の制御を司る遊技制御装置とは別の制御手段である「図柄制御手段」がROMを備え、「背景をあらかじめ備え」た構成とすることは従来周知の技術であり(以下、「周知技術」という。)、例えば、特開平10-127877号公報〔段落【0019】、【0020】、【0069】?【0071】の記載、図3等参照。〕、特開2001-178902号公報〔段落【0079】?【0083】の記載、図6等参照。〕、特開2001-218919号公報〔段落【0034】?【0037】の記載、図3等参照。〕に記載されるとおりである。
これらの技術を参酌すると、引用発明の「描出概念が相互に異なる複数のステージ画像(背景)」を、上記周知技術の如く、「図柄制御手段」があらかじめ「備え」た構成を採用して、「前記図柄制御手段が、描出概念が相互に異なる複数のステージ画像を」あらかじめ「備え」た構成となすことは単なる周知技術の採用であって、当業者が容易に想到し得ることである。
以上より、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、引用発明及び周知技術に基づいて当業者であれば想到容易である。

【5】むすび
上記相違点に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、本願の他の請求項について論じるまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-02-15 
結審通知日 2008-02-18 
審決日 2008-03-03 
出願番号 特願2001-262117(P2001-262117)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 571- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 飯野 茂伊藤 陽  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 渡部 葉子
▲吉▼川 康史
発明の名称 遊技機  
代理人 松浦 喜多男  
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