ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F24H 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F24H |
---|---|
管理番号 | 1176557 |
審判番号 | 不服2005-23446 |
総通号数 | 102 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-06-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-12-05 |
確定日 | 2008-04-17 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第299650号「加熱式蓄熱槽装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 5月22日出願公開、特開平10-132384〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件の出願(以下、「本願」という。)は、平成8年10月24日の出願であって、平成17年7月4日付けの拒絶理由通知(発送日:同月12日)に対して平成17年9月12日付けで手続補正がなされたが、平成17年11月10日付け(発送日:同月15日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月5日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、手続補正がなされたものである。 2.平成17年12月5日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成17年12月5日付け手続補正を却下する。 [理由] (1)本願補正発明 平成17年12月5日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。 「内部に液体の蓄熱媒体が収容される蓄熱槽と、この蓄熱槽の下部に配置されて蓄熱槽内の蓄熱媒体を加熱する加熱手段とを備えた加熱式蓄熱槽装置において、蓄熱槽内には熱交換器がその入り側を下側にし出側を上側にして配設され、この熱交換器の入側には外部から供給される処理液を導入する導入通路が前記熱交換器の下側で接続され熱交換器の出側には熱交換された処理液を外部へ送出する送出通路が前記熱交換器の上側で接続されており、前記蓄熱槽内には前記蓄熱媒体に溶解しない伝熱性の材料によって形成されて内部に収容空間をもつ伸縮性を有するチューブが上下方向の向きにして配置され、この伸縮性を有するチューブの収容空間には前記熱交換器の熱交換温度領域に融点をもつ潜熱蓄熱材が収容されている加熱式蓄熱槽装置。」 上記補正は、本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「加熱手段」について、「蓄熱槽の下部に配置されて」との限定を、「熱交換器」について、「その入り側を下側にし出側を上側にして」との限定を付加し、また、熱交換器につながる「導入通路」及び「送出通路」について、それぞれ、「熱交換器の下側」及び「熱交換器の上側」に接続するとの限定を付加し、さらに、「チューブ」について、「上下方向の向きにして」との限定を付加したものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用した特開平2-57868号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の記載がある。 ア.「本発明は、潜熱蓄熱器、特に潜熱蓄熱材を複数のカプセルに収容したものを筒状容器中に配設しその間隙に熱交換流体を充満して構成された潜熱蓄熱器の上記カプセルの形状に関する。」(第1頁左下欄第15-18行) イ.「深夜電力や産業廃熱等のエネルギーを熱の形で蓄え、必要に応じてその熱で水を加熱し温水又は蒸気として取出して利用する蓄熱器としては、蓄熱温度が高く蒸気や高温の温水とするのに適し、かつ単位重量当りの蓄熱量が大きい所から、苛性ソーダ系等の無機化合物、又はそれらの共融混合塩を蓄熱材とし、その潜熱を利用して蓄熱する潜熱蓄熱器が有望である。 この方式の蓄熱器では、上述の如く単位重量当りの蓄熱量が大きいとは云うものの、例えば一般の家庭で1日に使用する温水のエネルギーを蓄熱したり、産業に利用される蒸気や温水のエネルギーを蓄熱するに足る蓄熱材の重量はかなり大きなものになる。 蓄熱器の組立、据付、保守時には、潜熱蓄熱材は常温になり、固体の状態となっているので蓄熱材は適当な容積のカプセル内に充填し、これを複数個蓄熱器の外壁となる容器内に配列し、その間隙に熱交換流体を充填し、これを介して深夜電力や産業廃熱等の熱源の熱をカプセルの壁を介して潜熱蓄熱材に与え、潜熱蓄熱材の熱を加熱して利用する水等の流体に伝えるようにした物が知られている。 ところで、従来提案されている潜熱蓄熱材カプセルは内部に潜熱蓄熱材を充填して密閉円筒状に形成され、このカプセルを使用した潜熱蓄熱器は、第3図(a)、(b)に示す如く、直立円筒状の蓄熱器容器1の内部に、多数の潜熱蓄熱材カプセル2を鉛直方向に平行に配設し、残余の空間に利用流体を流す形式のものが知られている。」(第1頁右下欄第1行-第2頁左上欄第10行) ウ.「この形式の蓄熱器は、カプセル壁を介して潜熱蓄熱材と利用流体(例えば水)とが接しているので、カプセルに熱応力腐食等により亀裂やピンホール等が発生すれば、利用流体に潜熱蓄熱材が混入する。苛性ソーダは毒物及び劇物取締法の劇物に指定され(許容濃度 2mg/m^(3))ているので、潜熱蓄熱材として苛性ソーダを使用する場合は上記構成の潜熱蓄熱器は安全上に問題がある。 そこで、潜熱蓄熱器内のカプセルには熱媒体流体を接触させて熱交換を行い熱媒体流体を介して利用流体に熱を取出すことが適当である。」(第2頁左上欄第14行-同頁右上欄第4行) エ.「本発明は、・・・蓄熱材カプセルの充填率を向上することのできる潜熱蓄熱器を提供することを目的とする。」(第2頁右上欄第14-17行) オ.「本発明は、・・・、蓄熱材カプセルを複数個筒状の容器内に配設しその間隙に熱交換流体を充満してなる潜熱蓄熱器において、複数の蓄熱材カプセルが順次所定の間隙を置いて、入子式に重ね合わせることができるような、上記筒状容器の内面形状と相似形の中空二重壁を有する筒状の形状を有することを特徴とする。」(第2頁右上欄第19行-同頁左下欄第5行) カ.「なお、安全上の観点を重視しなければ、蓄熱材から熱交換流体を介して利用流体に熱を伝える代りに、蓄熱材から直接利用流体に熱を伝える方法を採ることも可能である。」(第2頁左下欄第16-19行) キ.「第1図(a)、(b)は本発明の実施例を示す図である。この実施例では、複数の蓄熱材カプセル6a、6b、6c ・・・は順次入子式に僅かの間隙を置いて重ね合わせることができる2重壁構造の円筒に形成されており、これらは円筒状容器1の軸線を中心として同心円的に設置される。容器1の内部の底部には、例えば深夜電力による電熱器3が設けられ、又最外側の蓄熱カプセル6aの外側面と容器1の内面との間には、内部を加熱して温水又は蒸気として利用するための水が貫流する熱交換管4が設けられている。容器1内の残余の空間には、熱交換流体5が充填されている。」(第2頁右下欄第3-14行) ク.「以上の如く、本発明によれば、容器の内容積に対する蓄熱材カプセル充填率を大きくすることができ、蓄熱器の外形寸法を小さくすることができる。」(第3頁左上欄第4-7行) また、第1図及び上記「キ.」の記載、並びに、技術常識から、引用例1の第3図に示される潜熱蓄熱器は、熱交換管がその入り側を下側にし出側を上側にして配設されること、そして、熱交換管の入り側には外部から供給される利用流体を導入する導入通路が熱交換管の下側で接続され、熱交換管の出側には熱交換された利用流体を外部へ送出する送出通路が熱交換管の上側で接続されることは、明らかである。 さらに、上記「イ.」及び「ウ.」の記載、並びに、技術常識から、引用例1の第3図に示される蓄熱材カプセルは、鉛直方向に長く、熱媒体流体に溶解しない伝熱性の材料によって形成されていて、内部に潜熱蓄熱材を収容する収容空間をもつことも、明らかである。 したがって、引用例1には、次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されている。 「内部に熱媒体流体が収容される容器と、この容器の下部に配置されて容器内の熱媒体流体を加熱する加熱手段とを備えた潜熱蓄熱器において、容器内には熱交換管がその入り側を下側にし出側を上側にして配設され、この熱交換管の入り側には外部から供給される利用流体を導入する導入通路が熱交換管の下側で接続され熱交換管の出側には熱交換された利用流体を外部へ送出する送出通路が熱交換管の上側で接続されており、容器内には熱媒体流体に溶解しない伝熱性の材料によって形成されて内部に収容空間をもつ蓄熱材カプセルが鉛直方向にして配置され、蓄熱材カプセルの収容空間には潜熱蓄熱材が収容されている潜熱蓄熱器。」 同じく、原査定の拒絶の理由に引用した特開昭52-16840号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の記載がある。 ケ.「利用温度範囲内にて凝固、融解の相変化を行なう夫々融点の異なる複数種の蓄熱材を、夫々カプセルに封入し、この蓄熱材カプセルを利用温度範囲内に融点を有しない液状蓄熱材とともに蓄熱槽内に共存状態に充填したことを特徴とする蓄熱装置。」(第1頁左下欄第4-9行) コ.「従来の蓄熱装置では水やブラインの液体やレンガ等の固体の顕熱を利用する蓄熱装置が一般的であり実用化されている。 しかるにこれらの蓄熱材では次の様な欠点がある。 (1)蓄熱した熱の利用温度が利用初めと終りで異なる。 (2)利用できる温度差が小さい場合が多く蓄熱量当りの蓄熱槽の大きさ、重量が大きい。 そこで相変化を利用する即ち、凝固、融解潜熱を利用する蓄熱材が、蓄熱量が大きく蓄熱槽を小形化する為に適している。 例えば塩化カルシウムの水和物Cacl_(2)・6H_(2)O(融点30℃)等があるが、一般にこのような凝固、融解潜熱を利用する蓄熱材は過冷却現象があり、従って凝固を促進させる手段が要望され、発核剤として水酸化バリウムBa(oH)_(2)8aqが適当であることも提案されている。 また、この種の蓄熱材は腐食性、毒性、吸湿性等があり、従って蓄熱材をカプセルに封入することも提案されている。」(第1頁右下欄第2行-第2頁左上欄第2行) サ.「図において1は断熱をほどこした蓄熱槽、2は例えば融点30℃の塩化カルシウムの水和物Cacl_(2)・6H_(2)Oおよびその発核剤として水酸化バリウムBa(OH)_(2)・8aqを封入したカプセルA、3は例えば融点47℃のホウ酸リチュムの水和物Li_(2)OB_(2)O_(3)・16H_(2)Oを封入したカプセルB、4は例えば融点79℃の水酸化バリュムの水和物Ba(OH)_(2)・8H_(2)Oを封入したカプセルCである。5は例えば水などの熱媒体でポンプ9によってフアンコイル(図示せず)やヒートポンプ式空調機(図示せず)の熱源として送られ利用された後、戻り管10に戻る。6、7は太陽熱集熱器(図示せず)や排熱器(図示せず)に熱媒体(例えば水等)を輸送するパイプで、熱媒体5さらに蓄熱材カプセル2、3、4と熱交換し蓄熱する。8は例えば深夜電力を利用する場合の電熱ヒータである。 本装置では種々の温度レベルの排熱を夫々相変化を利用して蓄熱することができる。これらの熱をヒートポンプ式空調機の低熱源側に利用する場合はポンプ9の流量をコントロールすることによって利用できる。」(第2頁右上欄第6行-同頁左下欄第6行) シ.「蓄熱材の顕熱蓄熱は比熱が小さい為、少い顕熱蓄熱しかできないが、本発明によれば、その顕熱利用温度範囲に融点のある、夫々融点の異なる複数種の蓄熱材を夫々カプセルに封入し、この蓄熱材カプセルを熱媒体(利用温度範囲では相変化を行なわない蓄熱材)とともに蓄熱槽内に共存充填することにより、種々の温度レベルの熱源を小容積の蓄熱槽に効率よく蓄熱することができ、蓄熱槽を小形にすることができる。」(第2頁右下欄第18行-第3頁左上欄第7行) したがって、引用例2には、次の発明(以下、「引用例2発明」という。)が記載されている。 「利用温度範囲に融点をもつ蓄熱材を採用した蓄熱装置。」 (3)対比 本願補正発明と上記引用例1発明とを対比する。 引用例1発明の「熱媒体流体」は、本願補正発明の「液体の蓄熱媒体」に相当し、以下同様に、「容器」は「蓄熱槽」に、「潜熱蓄熱器」は「加熱式蓄熱槽装置」に、「熱交換管」は「熱交換器」に、「利用流体」は「処理液」に、「鉛直方向」は「上下方向の向き」にそれぞれ相当する。 また、本願補正発明の「伸縮性を有するチューブ」も、引用例1発明の「蓄熱材カプセル」も、共に、「蓄熱材収容体」ということができる。 したがって、両者は、 「内部に液体の蓄熱媒体が収容される蓄熱槽と、この蓄熱槽の下部に配置されて蓄熱槽内の蓄熱媒体を加熱する加熱手段とを備えた加熱式蓄熱槽装置において、蓄熱槽内には熱交換器がその入り側を下側にし出側を上側にして配設され、この熱交換器の入側には外部から供給される処理液を導入する導入通路が前記熱交換器の下側で接続され熱交換器の出側には熱交換された処理液を外部へ送出する送出通路が前記熱交換器の上側で接続されており、前記蓄熱槽内には前記蓄熱媒体に溶解しない伝熱性の材料によって形成されて内部に収容空間をもつ蓄熱材収容体が上下方向の向きにして配置され、この蓄熱材収容体の収容空間には潜熱蓄熱材が収容されている加熱式蓄熱槽装置。」 の点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1] 蓄熱材収容体において、本願補正発明では、「伸縮性を有するチューブ」であるのに対し、引用例1発明では、「蓄熱材カプセル」であり伸縮性を有することが明らかでない点。 [相違点2] 潜熱蓄熱材において、本願補正発明では、「熱交換器の熱交換温度領域に融点をもつ」ものであるのに対し、引用例1発明では、熱交換管の熱交換温度領域に融点をもつか明らかでない点。 (4)判断 相違点1について 蓄熱装置において、蓄熱材収容体に、伸縮性を有するチューブを採用することは、本願の出願前に周知の技術的事項(例えば、拒絶査定で示した、特開平5-296676号公報(特に、【請求項1】、段落【0006】-【0009】、【0028】を参照。)、また、特開平1-256732号公報(特に、第2頁左下欄第19行-同頁右下欄第18行、第3頁右下欄第6-20行を参照。)を参照。)である。 したがって、引用例1発明において、蓄熱材収容体である蓄熱材カプセルを、伸縮性を有するチューブとし、上記相違点1に係る本願補正発明の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 相違点2について 引用例2発明の「蓄熱材」は、本願補正発明の「潜熱蓄熱材」に相当し、同様に、「蓄熱装置」は「加熱式蓄熱槽装置」に相当するから、引用例2発明は、 「利用温度範囲に融点をもつ潜熱蓄熱材を採用した加熱式蓄熱槽装置。」ということができる。 そして、引用例1発明、及び、引用例2発明は、ともに、加熱式蓄熱槽装置という同一の技術分野に属するものであり、また、その課題も、ともに、蓄熱槽の小形化である(上記摘記事項「(2)エ.」、「(2)ク.」、「(2)シ.」を参照。)。 したがって、引用例1発明において、潜熱蓄熱材を、熱交換管の熱交換温度領域に融点をもつものとし、上記相違点2に係る本願補正発明の構成を採用することは、引用例2発明に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 しかも、本願補正発明の作用効果は、引用例1発明、引用例2発明、及び、周知の技術的事項から当業者が予測される以上の格別な効果がもたらされるということもできない。 したがって、本願補正発明は、引用例1発明、引用例2発明、及び、周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (5)むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するものであり、平成18年改正前特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年9月12日付け手続補正の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「内部に液体の蓄熱媒体が収容される蓄熱槽と、この蓄熱槽内の蓄熱媒体を加熱する加熱手段とを備えた加熱式蓄熱槽装置において、蓄熱槽内には熱交換器が配設され、この熱交換器の入側には外部から供給される処理液を導入する導入通路が接続され熱交換器の出側には熱交換された処理液を外部へ送出する送出通路が接続されており、前記蓄熱槽内には前記蓄熱媒体に溶解しない伝熱性の材料によって形成されて内部に収容空間をもつ伸縮性を有するチューブが配置され、この伸縮性を有するチューブの収容空間には前記熱交換器の熱交換温度領域に融点をもつ潜熱蓄熱材が収容されている加熱式蓄熱槽装置。」 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用した引用例及びその記載事項は、上記「2.(2)」に記載したとおりである。 (3)対比・判断 本願発明は、上記「2.」で検討した本願補正発明から、加熱手段を限定する「蓄熱槽の下部に配置されて」という事項、熱交換器を限定する「その入り側を下側にし出側を上側にして」という事項、また、熱交換器につながる導入通路及び送出通路について、接続をそれぞれ限定する、「熱交換器の下側」及び「熱交換器の上側」という事項、さらに、チューブを限定する「上下方向の向きにして」という事項、を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成を全て含み、さらに、上記、「蓄熱槽の下部に配置されて」という事項、「その入り側を下側にし出側を上側にして」という事項、「熱交換器の下側」及び「熱交換器の上側」という事項、「上下方向の向きにして」という事項を付加した本願補正発明が、上記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1発明、引用例2発明、及び、周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明、引用例2発明、及び、周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1発明、引用例2発明、及び、周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものであるから、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-02-13 |
結審通知日 | 2008-02-19 |
審決日 | 2008-03-04 |
出願番号 | 特願平8-299650 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(F24H)
P 1 8・ 121- Z (F24H) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 豊島 唯 |
特許庁審判長 |
岡本 昌直 |
特許庁審判官 |
関口 哲生 長浜 義憲 |
発明の名称 | 加熱式蓄熱槽装置 |
代理人 | 五十嵐 清 |