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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01R
管理番号 1176640
審判番号 不服2006-1707  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-01-27 
確定日 2008-04-21 
事件の表示 平成11年特許願第350220号「波形測定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 6月22日出願公開、特開2001-165961〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 理 由
第1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成11年12月9日の出願であって、平成17年12月20日付け(発送日:平成18年1月5日)で拒絶査定がなされ、これに対して、同年1月27日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものであり、その請求項1ないし5に係る発明は、平成17年5月25日提出の手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
測定信号をA/D変換し測定データとしてメモリに取り込むとともに、これら測定データに基づき測定波形として画面上に表示する波形測定装置において、
測定信号に対して任意の幅を有する少なくとも2個所の測定領域を設定する測定領域設定手段と、
各測定領域内の波形パラメータを自動測定する波形パラメータ測定手段と、
これら自動測定された波形パラメータを用いて波形パラメータ間の演算を行う演算手段、
を設けたことを特徴とする波形測定装置。」

第2 引用刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開平4-259861号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
1 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は波形観測装置に関し、特に立ち上がり時間,行き過ぎ量,2乗和等の波形パラメータの自動測定を高速に実行する波形観測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の波形観測装置の構成を図5に示す。この種の波形観測装置は、波形の立ち上がり時間,行き過ぎ量,2乗和等のパラメータの自動測定を行うことができる。
【0003】外部より与えられる波形は波形メモリ1に記憶され、更に画像処理装置2により表示に適したデータに変換され、表示装置3に画像として表示される。一方、この波形の波形パラメータを自動測定する場合は、パラメータ測定用の演算装置4が波形メモリ1内の波形データにアクセスし、所定の演算を実行して波形パラメータを求める。
【0004】例えば、オシロスコープで波形の行き過ぎ量を求める場合について説明する。この場合、波形メモリには、時系列のデータが記憶されている。表示される波形が図6に示すようなものである場合を考える。まず、最もデータが集中しているレベルを2箇所見つける。
そして、下位レベルcと上位レベルbを求める。次に、最大値aをサーチして、以下の式より行き過ぎ量Aを求める。
【0005】
A[%]=(a-b)/(b-c)×100」

上記摘記事項1及び図面の記載から、引用刊行物には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「外部より与えられる波形が波形メモリ1に記憶され、更に画像処理装置2により表示に適したデータに変換され、表示装置3に画像として表示される波形観測装置において、
波形の波形パラメータを自動測定する場合は、パラメータ測定用の演算装置4が波形メモリ1内の波形データにアクセスし、所定の演算を実行して波形パラメータを求めるものであり、例えば、波形の行き過ぎ量を求める場合には、まず、最もデータが集中しているレベルを2箇所見つけて下位レベルcと上位レベルbを求め、次に、最大値aをサーチして、以下の式より行き過ぎ量Aを求めることを特徴とする波形観測装置。
A[%]=(a-b)/(b-c)×100」

第3 対比・判断
1 本願発明と引用発明との対比
(1)引用発明の「外部より与えられる波形」、「波形メモリ1」、「波形観測装置」は、それぞれ、本願発明の「測定信号」、「メモリ」、「波形測定装置」に相当する。
(2)引用発明の「下位レベルc」又は「上位レベルb」は、本願発明の「波形パラメータ」に相当する。
(3)引用発明の「演算装置4」は、「波形の波形パラメータを自動測定する場合は」、「最もデータが集中しているレベルを2箇所見つけて下位レベルcと上位レベルbを求め」、該cとbを用いて演算を行うものであるから、上記相当関係も勘案すると、該「演算装置4」と、本願発明の「波形パラメータ測定手段」及び「演算手段」の両者よりなるものとは、ともに、2個所の波形パラメータを自動測定し、これら自動測定された波形パラメータを用いて波形パラメータ間の演算を行う測定演算手段である点で共通する。
(4)したがって、本願発明と引用発明とは、
「測定信号をA/D変換し測定データとしてメモリに取り込むとともに、これら測定データに基づき測定波形として画面上に表示する波形測定装置において、
2個所の波形パラメータを自動測定し、これら自動測定された波形パラメータを用いて波形パラメータ間の演算を行う測定演算手段、
を設けたことを特徴とする波形測定装置。」
である点で一致し、次の相違点で相違する。
[相違点] 本願発明が、測定信号に対して任意の幅を有する少なくとも2個所の測定領域を設定する測定領域設定手段を具備し、各測定領域内の波形パラメータを自動測定するのに対し、引用発明は、上記測定領域設定手段を有しておらず、演算手段が見つけた2箇所の各レベルを求める点。

2 判断
上記相違点について検討する。
引用刊行物の図面の図6の記載をみると、最もデータが集中しているのは波形が立ち上がる遷移領域を挟んだその前後の低レベルの領域と高レベルの領域であり、これらの領域において、波形のデータはそれぞれ下位レベルcと上位レベルb付近に集中していることから、引用発明において、「最もデータが集中しているレベルを2箇所見つけて下位レベルcと上位レベルbを求め」るためには、上記低レベルの領域と高レベルの領域に着目して、これらのレベルを求めるようにしてやればよいことは明らかである。
一方、波形観測装置において、波形の任意の領域を指定する手段を設けて、その手段が指定した領域内の波形のレベル等の値を求めるようにすることは、例えば、特開平9-229657号公報、特開平6-43188号公報に示されるように本願出願前周知である。
してみると、引用発明において、上記低レベルの領域と高レベルの領域の各レベルを求めるにあたり、該周知技術を適用して、波形の任意の領域を指定する手段を設け、該手段により上記低レベルの領域と高レベルの領域を指定し各領域内のレベルを求めるようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、引用発明に該周知技術を適用して上記相違点に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

そして、本願発明の奏する効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものであり、格別のものではない。
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
そして、本願発明が特許を受けることができないものであるから、その余の請求項2ないし5に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-02-20 
結審通知日 2008-02-21 
審決日 2008-03-07 
出願番号 特願平11-350220
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 昭次篠崎 正  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 下中 義之
上原 徹
発明の名称 波形測定装置  
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