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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1176705
審判番号 不服2007-4074  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-08 
確定日 2008-04-24 
事件の表示 特願2004-111344「遊戯装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 7月15日出願公開、特開2004-195268〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成5年3月18日に出願した特願平5-58721号の一部を平成16年4月5日に新たな出願とするとともに同日付で手続補正がなされ、平成18年9月8日付の拒絶理由通知に対して同年11月13日付で手続補正がなされ、同年12月25日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年2月8日付で拒絶査定不服の審判が請求されたものである。
これに対し、当審において、平成19年11月9日付で拒絶の理由が通知され、その指定期間内の平成20年1月9日に意見書の提出とともに手続補正がなされたものであり、その請求項1乃至3に係る発明は、平成20年1月9日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】 外周面に複数のシンボルが描かれた回転体を複数備え、前記複数のシンボルのうち入賞可否を判定するための有効ライン上に停止表示されるシンボルの組合せに応じて支払い数量を決める遊戯装置であって、
遊戯者に前記複数のシンボルのうち一部のシンボルを表示するための表示窓と、
前記複数の回転体の各々に対応して配置され、前記複数のシンボルのうち前記表示窓に到来する直前に位置するシンボルに対して光エネルギを与える複数の発光源とを有し、
前記複数のシンボルのうち組み合わされたときの支払い数量が高い特定シンボルには、前記発光源の光エネルギを受けてから前記表示窓を通過するまでの間前記特定シンボルの発光が少なくとも維持されるような発光処理が施され、
前記回転体の回転中において1回のみ、前記発光源を発光させ、前記発光源が発光してから前記回転体の数回転だけ前記発光源の発光状態を維持した後、前記発光源を消灯させるように前記発光源を制御する発光源制御手段を有することを特徴とする遊戯装置。」


第2.先願発明
当審における平成19年11月9日付で通知した拒絶の理由に引用された特願平4-280593号(特開平6-105943号公報)(以下、「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書又は図面には、以下の事項が記載されている。

(ア)「このスロットマシン2は、外周面に複数のシンボルが表された3個のリール1a,1b,1cを備え、機体の前面には、リール表示窓3・・・などが設けられている。・・・前記リール表示窓3には3個のリール1a,1b,1cが位置し、このリール表示窓3より各リール1a,1b,1cの回転状態と、各リール停止時には各リールの外周面に描かれた複数のシンボルのうち3個のシンボルが5本の停止ラインL1 ?L5 上に整列した状態とが透視できるようになっている。」(段落【0011】?【0012】)
(イ)「リール表示窓3の停止ラインL1 ?L5 は、・・・いずれか有効ライン上で予め設定されたシンボルの組合せが成立したとき、所定の枚数のメダルが払い出される。」(段落【0015】)
(ウ)「前記帯状シート16のシンボルまたは背景部分の少なくとも一方は、蓄光インキまたは蛍光インキにより描かれている。蓄光インキは、太陽光や電燈光を吸収かつ蓄積し、蓄積した光を徐々に放出させて発光する性質を持った顔料を含有するもので、例えばセリコール蓄光インキ・・・を用いる。また蛍光インキは紫外線を吸収して発光する顔料を含有するもので、例えばBLインキ・・・を用いる。この蛍光インキは、通常の照明のもとでは乳白色であるが、紫外線が照射されると種々の色彩に発光する。・・・図3のaでは、背景部18が通常のインキにより着色され、各シンボル17,17が蓄光インキで描かれかつ着色されている。・・・このスロットマシン2の機体の内側には、各リール1a,1b,1cの外周面に対向する位置にランプが配備される。図4の正面図および図5の側面図に示す例では、シンボル表示窓3の上下位置に、白色蛍光を発する2個の白色ランプ20,20が設けてある。・・・前記白色ランプ20,20は、・・・各リール1a,1b,1cを照明する。このとき、各リール1a,1b,1cの蓄光インキによる着色部分は、この照射光を吸収し蓄積して、色鮮やかに発光する。」(段落【0018】?【0021】)
(エ)「これらランプのうち、白色ランプ20は電源がオンの状態で常時点灯させるが、紫外線ランプ21は、後述する制御部25からの指令に応じて、適時点灯・消灯動作させる。なお白色ランプ20も紫外線ランプ21と同様、適時点灯させるようにしてもよい。」(段落【0028】)
(オ)「なお、上記の例では各リール1a,1b,1cの回転時および停止時に紫外線ランプ21を点灯動作させているが、」(段落【0039】)

上記(ア)?(オ)の記載によれば、先願には、以下の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている。
「外周面に複数のシンボルが表されたリール1a,1b,1cを3個備え、各リールの外周面に描かれた複数のシンボルのうち3個のシンボルが5本の停止ラインL1 ?L5 上に整列した状態で各リールが停止し、いずれかの有効ライン上で予め設定されたシンボルの組合せが成立したとき、所定の枚数のメダルが払い出されるスロットマシン2であって、
機体の前面に設けられ、各リール停止時には3個のシンボルが5本の停止ラインL1 ?L5 上に整列した状態が透視できるようになっているリール表示窓3と、
スロットマシン2の機体の内側のシンボル表示窓3の上下位置に、3個の各リール1a,1b,1cの外周面に対向して配備される、各リール1a,1b,1cを照明する2個の白色ランプ20,20とを有し、
各リール1a,1b,1cの各シンボル17,17は、前記白色ランプ20,20の照射光を吸収し蓄積して色鮮やかに発光するように、蓄光インキで描かれかつ着色され、
各リール1a,1b,1cの回転時に、前記白色ランプ20を適時点灯・消灯動作させるように指令する制御部25を有するスロットマシン2。」


第3.本願発明と先願発明との対比
(1)先願発明の「複数のシンボルが表されたリール1a,2a,3a」は、本願発明の「複数のシンボルが描かれた回転体」に相当し、以下同様に、
「3個備え」は、「複数備え」に、
「スロットマシン2」は、「遊戯装置」に、
「対向して配備」は、「対応して配置」に、
「白色ランプ20,20」は、「発光源」に、
「白色ランプ20,20の照射光を吸収し蓄積して色鮮やかに発光するように、蓄光インキで描かれかつ着色され」は、「発光処理が施され」に、
「指令する制御部25」は、「発光源を制御する発光源制御手段」に、それぞれ相当する。

(2)先願発明における、「複数のシンボルのうち3個のシンボルが5本の停止ラインL1 ?L5 上に整列した状態で各リールが停止し、いずれかの有効ライン上で予め設定されたシンボルの組合せが成立したとき、所定の枚数のメダルが払い出される」は、表現上の差異はあるものの、本願発明の、「複数のシンボルのうち入賞可否を判定するための有効ライン上に停止表示されるシンボルの組合せに応じて支払い数量を決める」に、実質的に対応する。

(3)先願発明における「リール表示窓3」は、それによって、「各リール停止時には3個のシンボルが5本の停止ラインL1 ?L5 上に整列した状態が透視できるようになっている」ものであるから、本願発明の、「遊戯者に前記複数のシンボルのうち一部のシンボルを表示するための表示窓」に、実質的に対応する。また、先願発明における「シンボル表示窓3」は、上記第2.(ウ)に摘記した記載(「図4の正面図および図5の側面図に示す例では、シンボル表示窓3の上下位置に」)、図4の記載及び付された符号等から、前記「リール表示窓3」を言い換えたものであると認められるから、同様にして、本願発明の、「遊戯者に前記複数のシンボルのうち一部のシンボルを表示するための表示窓」に、実質的に対応する。

(4)先願発明のスロットマシン2(遊戯装置)は、「スロットマシン2の機体の内側のシンボル表示窓3の上下位置に、3個の各リール1a,1b,1cの外周面に対向して配備される、各リール1a,1b,1cを照明する2個の白色ランプ20,20」を有したものである。
ここで、「白色ランプ20,20」(発光源)は、3個の各「リール1a,1b,1c」(回転体)の外周面に「対向して配備」(対応して配置)されるものであり、また、「白色ランプ20,20」(発光源)が配備される、スロットマシン2(遊戯装置)の機体の内側のシンボル表示窓3(表示窓)の上下位置のうちのいずれかが、「複数のシンボルのうち表示窓に到来する直前に位置するシンボル」に対する位置にあることは当業者にとって自明であり、さらに、当該位置で白色ランプ20,20(発光源)が各リール1a,1b,1c(回転体)を「照明する」ことが、(各リール1a,1b,1cに表された)シンボルに対して「光エネルギを与える」ことにつながることも自明である。
してみると、先願発明は、「発光源」が、複数の「回転体」に「対応して配置」され、「複数のシンボルのうち(前記)表示窓に到来する直前に位置するシンボルに対して光エネルギを与える」ものである点で、本願発明と共通する。

そうすると、本願発明と先願発明とは、
「外周面に複数のシンボルが描かれた回転体を複数備え、前記複数のシンボルのうち入賞可否を判定するための有効ライン上に停止表示されるシンボルの組合せに応じて支払い数量を決める遊戯装置であって、
遊戯者に前記複数のシンボルのうち一部のシンボルを表示するための表示窓と、
前記複数の回転体に対応して配置され、前記複数のシンボルのうち前記表示窓に到来する直前に位置するシンボルに対して光エネルギを与える発光源とを有し、
前記複数のシンボルには、発光処理が施され、
前記発光源を制御する発光源制御手段を有することを特徴とする遊戯装置。」の点で一致し、以下の点で一応相違する。

相違点A.本願発明は、発光源を「複数」とし、複数の回転体の「各々」に対応して配置した構成を備えているのに対し、先願発明は、前記構成について明らかでない点。
相違点B.本願発明は、発光処理が施されるシンボルを、「組み合わされたときの支払い数量が高い特定シンボル」とした構成を備えているのに対し、先願発明は、前記構成について明らかでない点。
相違点C.本願発明は、特定シンボルへの発光処理を、「発光源の光エネルギを受けてから前記表示窓を通過するまでの間前記特定シンボルの発光が少なくとも維持される」ものとした構成を備えているのに対し、先願発明においては、前記構成について明らかでない点。
相違点D.本願発明は、発光源の制御を、「(前記)回転体の回転中において1回のみ、(前記)発光源を発光させ、前記発光源が発光してから前記回転体の数回転だけ前記発光源の発光状態を維持した後、前記発光源を消灯させる」ものとした構成を備えているのに対し、先願発明においては、前記構成について明らかでない点。


第4.判断
(1)相違点A.についての検討
複数の回転体に対応する発光源を、分割して「複数」にすることにより、回転体の「各々」に対応させたものとすることは、部材費、スペース効率、消費電力等を総合的に考慮して、当業者が適宜行う設計的事項であり、上記相違点A.に係る構成とすることは課題解決のための具体化手段における微差に過ぎない。

(2)相違点B.についての検討
遊戯装置の回転体に設ける複数のシンボルのうち、組み合わされたときの支払い数量が高い一部のシンボルを目立たせるために、前記一部のシンボルに他のシンボルと異なる処理を施すことが、例えば、特開平4-90777号公報(特に、第4頁左下欄11?15行)、特開平4-161182号公報(特に、第4頁右上欄14行?同頁左下欄6行)、実願昭60-175597号(実開昭62-84485号)のマイクロフィルム(特に、明細書第7頁6行?第8頁9行)等に開示されるように従来周知の技術事項であって、この周知技術を採用することによって、周知技術が奏する効果とは別異の新たな効果を奏するものとは認められないので、上記相違点B.に係る構成とすることは課題解決のための具体化手段における微差に過ぎない。

(3)相違点C.についての検討
先願発明の「シンボル」に施された「発光処理」は、上記第2.に示したように、蓄光インキによるものであるが、蓄光インキによって「発光が維持され」ることは当業者にとって自明な事項であり、そして、前記発光が維持される期間については、先願発明が変化に富んだシンボルの表示を行うことを技術的課題にしたものであるのだから、「少なくとも」、(発光した)シンボルが表示されている間、すなわち「表示窓を通過するまでの間」とすることを、当然想定しているといえる。そうすると、先願発明の「シンボル」は、実質的に、「発光源の光エネルギを受けてから(前記)表示窓を通過するまでの間」、「発光が少なくとも維持されるような発光処理が施され」た構成を備えたものである。

(4)相違点D.について
先願発明は、上記第2.に示したように、各リールの回転時に、白色ランプ(発光源)を適時点灯・消灯動作させるものであるが、点灯・消灯をどのように制御するかは、遊戯演出上の必要性に応じて当業者が適宜行う設計事項であって、上記相違点D.に係る構成とすること(回転体の回転中において1回のみ、発光源を発光させ、前記発光源が発光してから前記回転体の数回転だけ前記発光源の発光状態を維持した後、前記発光源を消灯させること)は課題解決のための具体化手段における微差に過ぎない。

(5)むすび
したがって、本願発明は、先願発明と実質同一である。


第5.むすび
以上のとおり、本願発明は、先願発明と実質同一であり、しかも本願発明の発明者が前記先願発明の発明者と同一であるとも、本願出願の時においてその出願人と同一であるとも認められないから、本願発明は特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-02-20 
結審通知日 2008-02-26 
審決日 2008-03-11 
出願番号 特願2004-111344(P2004-111344)
審決分類 P 1 8・ 161- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 薄井 義明  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 小林 俊久
渡部 葉子
発明の名称 遊戯装置  
代理人 白井 和之  
代理人 寺崎 史朗  
代理人 長谷川 芳樹  
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