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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200515110 審決 特許
不服200119641 審決 特許
無効200035214 審決 特許
不服200629058 審決 特許
不服20061739 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 (訂正、訂正請求) 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1176728
審判番号 不服2005-15111  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-08-05 
確定日 2008-05-08 
事件の表示 特願2002-700067「ベクロメタゾン17,21ジプロピオネートを含んで成るエアロゾル製剤」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本件特許及び本件発明
特許第2769925号(以下、「本件特許」という。)は、平成 3年10月 9日に出願され、平成10年 4月17日に特許権の設定登録がなされた。
これに対して、平成12年 8月30日付で無効審判(無効2000-35453)が請求されたが、平成14年 5月29日付審決は、平成14年 1月15日付の訂正請求を認め、審判の請求は成り立たないとし、そして、この審決は確定した。
本件特許発明は、平成14年 1月15日付で訂正された特許明細書の特許請求の範囲の請求項1-13に記載のとおりのものである。

【請求項1】治療的に有効量のベクロメタゾン17,21ジプロピオネート;1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン及びそれらの混合物より成る群から選ばれるハイドロフルオロカーボンのみからなる噴射剤;並びにこの噴射剤の中にこのベクロメタゾン17,21ジプロピオネートを溶解せしめるのに有効な量のエタノール;のみからなるエアロゾル製剤であって、実質的に全てのベクロメタゾン17,21ジプロピオネートがこの製剤において溶けており、前記エタノールが2?12重量%の量において存在し、且つ、この製剤に任意の界面活性剤0.0005重量%以上含まれていないことを特徴とする、肺、頬又は鼻への投与のためのエアロゾル製剤。

(請求項2-13は省略する。以下、これらを「本件発明」という。)

2.本件出願

本件特許権の存続期間の延長登録の出願(以下、「本件出願」という。)は、平成14年 7月11日に出願され、平成17年 4月22日に拒絶査定がされ、平成17年 8月 5日に審判請求がされたものである。
平成17年11月 9日付で補正された本件出願の願書には、特許法第67条第2項の政令で定める処分として、以下の内容が記載されており、そして、請求人は下記a-kの資料を提出している。

(1)特許権の存続期間の延長登録の理由となる処分
薬事法第14条第1項に規定する医薬品に係る同法第23条において準用する同法第14条第1項の承認
(2)処分を特定する番号
承認番号 21400AMY00146000号
(3)処分の対象となった物
プロピオン酸ベクロメタゾン
(4)処分の対象となった物について特定された用途
気管支喘息
ただし、
「下記の気管支喘息
・全身性ステロイド剤依存の患者におけるステロイド剤の減量又は離脱
・ステロイド剤以外では治療効果が十分得られない患者」
を除く。


a.特許公報(写):特許第2769925号

b.本件特許の無効審判事件(無効2000-35453)における平成14年 1月15日付訂正請求書(写)

c.本特許の登録原簿謄本(平成14年10月28日付手続補正書に添付されたもの)

d.医薬品輸入承認書該当部分(写):承認番号21400AMY00146000号

e.第1回治験計画届出書該当部分(写)

f.平成 8年 6月19日付治験依頼書の写し(平成17年 3月 7日付意見書に添付された参考資料1)

g.製造承認書中、エタノール含量を記載した頁の写し(平成17年11月 9日付手続補足書で提出された甲第1号証)

h.「最近の新薬’79/30集」(薬事日報社)(平成17年11月 9日付手続補足書で提出された参考資料1)

i.特許権存続期間延長登録出願(出願番号:2002-700015号)における処分の対象となった物について特定された用途が記載された公報の写し(平成17年11月 9日付手続補足書で提出された参考資料2)

j.「喘息予防・管理ガイドライン2003」厚生省免疫・アレルギー研究班作成 9頁(写)(平成18年 5月 1日付手続補足書で提出された参考資料1)

k.「医療薬 日本医薬品集2004(第27版)」財団法人日本医薬品情報センター編(じほう) 2018頁(写)(平成18年 5月 1日付手続補足書で提出された参考資料2)

3.原審の拒絶理由の概要

原審の拒絶の理由は、「この出願に係る特許発明の実施に特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないから、この出願は特許法第67条の3第1項第1号に該当する。」というものである。

4.当審の判断

(1)政令で定める処分を受けることが必要であったことの解釈

特許法第67条第2項及び同法第67条の3第1項第1号の「政令で定める処分を受けることが必要であった」という要件は、薬事法第14条第1項の承認の対象となる医薬品に関しては、「物(有効成分)と用途(効能・効果)という観点から処分を受けることが必要であったこと」と解釈すべき(知財高裁 平成17年(行ケ)第10345号判決)ものである。

(2)処分の対象となった物及びそれについて特定された用途の認定

a.本件出願における特許法第67条第2項の政令で定める処分である承認番号21400AMY00146000号の承認(以下、「本件承認」という。)の有効成分及び効能・効果は、本件承認書に添付されたキュバール50エアゾールに係る医薬品輸入承認申請書第1頁【成分名】の欄及び第6頁【効能又は効果】の欄の記載(資料d)からみて、それぞれ「プロピオン酸ベクロメタゾン」、「気管支喘息」である。

b.すると、本件出願における「処分の対象となった物」は願書に記載のとおりの本件承認の有効成分「プロピオン酸ベクロメタゾン」であると認められる。

c.一方、「処分の対象となった物について特定された用途」の本件出願の願書の記載は「気管支喘息 ただし、「下記の気管支喘息 ・全身性ステロイド剤依存の患者におけるステロイド剤の減量又は離脱 ・ステロイド剤以外では治療効果が十分得られない患者」を除く。」とされている。そこで、この「気管支喘息 ただし、「下記の気管支喘息 ・全身性ステロイド剤依存の患者におけるステロイド剤の減量又は離脱 ・ステロイド剤以外では治療効果が十分得られない患者」を除く。」が、本件出願における「処分の対象となった物について特定された用途」といえるか否かを検討する。

d.有効成分を「プロピオン酸ベクロメタゾン」とし、効能・効果を「下記の気管支喘息 ・全身性ステロイド剤依存の患者におけるステロイド剤の減量又は離脱 ・ステロイド剤以外では治療効果が十分得られない患者」とする各種医薬品の承認が本件承認前になされている。(例えば、「アルデシン」(承認日:昭和52年12月 7日)、「アルデシン100」及び「アルデシン100D」(承認日:平成10年 3月13日)、「ベコタイドインヘラー」(承認日:昭和52年10月27日)。これらの医薬品の承認を「先の承認」という。資料h及び「最近の新薬’99/50集」150頁「アルデシン100 アルデシン100D」の項(薬事日報社)参照)

e.そして、本件承認書に添付されたキュバール50エアゾールに係る医薬品輸入承認申請書の「備考」に「医療用医薬品(5)」と記載(資料d)されていることから、本件承認の対象となった医薬品は、有効成分、効能・効果が新しい医薬品ではなく、剤型が新しい「新剤型医薬品」に分類される医薬品である。
また、当該医薬品は、有効成分がプロピオン酸ベクロメタゾンであり噴射剤として特定フロンであるクロロフルオロカーボン(CFC)を用いた製剤(CFC-BDP。「アルデシン」等)のCFCを代替フロンに置きかえた代替製剤であって、本件承認は、当該承認の対象となった医薬品「キュバール50エアゾール」と、先の承認の対象となった医薬品「アルデシン等のCFC-BDP」との臨床での同等性が評価されて承認が与えられたものである。(平成10年11月 5日付治験計画届書(資料e)「目的」の欄、平成14年 2月 5日付「衛研発第2155号審査報告書」特に第8-9頁、「キュバール50エアゾール キュバール100エアゾール に関する資料」特に第115-156頁)

f.そうすると、本件承認の効能・効果は観念上先の承認のそれより広い範囲の「気管支喘息」として表示されているものの、eで述べた本件承認の経緯からみて、本件承認の効能・効果「気管支喘息」の実質は先の承認における効能・効果「下記の気管支喘息 ・全身性ステロイド剤依存の患者におけるステロイド剤の減量又は離脱 ・ステロイド剤以外では治療効果が十分得られない患者」と同じであるといえる。
換言すれば、本件承認は、先の承認における効能・効果以外の新たな効能・効果として「気管支喘息 ただし、「下記の気管支喘息 ・全身性ステロイド剤依存の患者におけるステロイド剤の減量又は離脱 ・ステロイド剤以外では治療効果が十分得られない患者」を除く。」が実質的に認められてなされた承認ではないということである。

g.そして、資料j及びkをはじめとする請求人が提出したいずれの資料も、本件承認がそのような承認であることを証明するものではない。

h.してみれば、本件出願の願書に記載の「気管支喘息 ただし、「下記の気管支喘息 ・全身性ステロイド剤依存の患者におけるステロイド剤の減量又は離脱 ・ステロイド剤以外では治療効果が十分得られない患者」を除く。」を、本件出願における「処分の対象となった物について特定された用途」と認めることはできず、当該用途は本件承認どおりの「気管支喘息」であると認められる。

なお、請求人は、本件承認の「気管支喘息」には、先の承認の効能・効果とは異なるもの、例えば「気管支拡張薬で治療効果が十分得られる気管支喘息患者」が包含され、「処分の対象となった物について特定された用途」として本件出願の願書に記載のものは、実質のないものではない旨主張する(平成18年 5月 1日付回答書)。しかしながら、請求人の提出した資料j、kからは、本件出願の願書に記載のものがそのような実質を有することは明らかでなく、本件出願における「処分の対象となった物について特定された用途」として願書に記載のものが認定しえないのは上述のとおりである。したがって、請求人の主張は採用できない。

(3)本件発明の実施に本件承認を受ける必要性

a.本件出願における「処分の対象となった物」は願書に記載のとおりの本件承認の有効成分「プロピオン酸ベクロメタゾン」であり(4.(2)b)、そして4.(2)hで述べたとおり「処分の対象となった物について特定された用途」と認められるのは本件承認どおりの効能・効果「気管支喘息」である。

b.ところが、本件承認と先の承認の有効成分は「プロピオン酸ベクロメタゾン」であって同じであり、また、効能・効果は「下記の気管支喘息 ・全身性ステロイド剤依存の患者におけるステロイド剤の減量又は離脱 ・ステロイド剤以外では治療効果が十分得られない患者」である点において重複している。

c.そうすると、「物(有効成分)と用途(効能・効果)という観点から」みて、本件発明の実施に、先の承認と物(有効成分)が同じであり、そして用途(効能・効果)が重複する本件承認を改めて受けることが必要であったとはいえないことになる。

5.むすび

以上のとおり、本件出願に係る本件発明の実施に特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないから、本件出願は特許法第67条の3第1項第1号に該当する。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-07-06 
結審通知日 2006-08-01 
審決日 2006-08-14 
出願番号 特願2002-700067(P2002-700067)
審決分類 P 1 8・ 71- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清野 千秋山口 昭則  
特許庁審判長 塚中 哲雄
特許庁審判官 森田 ひとみ
吉住 和之
発明の名称 ベクロメタゾン17,21ジプロピオネートを含んで成るエアロゾル製剤  
代理人 片山 英二  
代理人 鈴木 康仁  
代理人 小林 浩  
代理人 小林 純子  
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