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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1176993
審判番号 不服2005-2430  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-10 
確定日 2008-05-01 
事件の表示 平成 8年特許願第233404号「遊技機製造の同一加工を行う複数の加工機の特定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 3月24日出願公開、特開平10- 76052〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年9月3日の出願であって、平成16年7月22日付の拒絶理由通知に対して同年9月1日付で手続補正がなされ、これに対し、平成17年1月6日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月10日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに、同年3月7日付で手続補正がなされたものである。

2.平成17年3月7日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年3月7日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
【1】本件補正の概略
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成16年9月1日付手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された
「【請求項1】
印字手段が、パチンコ機の遊技基板や遊技基板に意匠図の描かれた遊技盤のような加工対象品に同一加工を行うために複数台設置された加工機のそれぞれに、または、ある1つの加工機から排出された加工対象品が別の加工機から排出された加工対象品と混在しない範囲に設けられて、各加工機に対応する加工対象品に複数台設置された同一加工を行う加工機を特定するための文字または算用数字または欧文文字で表現される識別情報を付けることを特徴とする遊技機製造の同一加工を行う複数の加工機の特定装置。」から、

「【請求項1】
印字手段が、パチンコ機の遊技基板や遊技基板に意匠図の描かれた遊技盤のような加工対象品に同一加工を行うために複数台設置された加工機のそれぞれに、または、複数台設置された加工機のそれぞれから排出された加工対象品を搬送する搬送ラインにおけるある1つの加工機から排出された加工対象品が別の加工機から排出された加工対象品と混在しない領域に設けられて、各加工機に対応する加工対象品に複数台設置された同一加工を行う加工機を特定するための文字または算用数字または欧文文字で表現される識別情報を付けることを特徴とする遊技機製造の同一加工を行う複数の加工機の特定装置。」へと補正された。

【2】補正の適否
本件補正により特許請求の範囲の請求項1にした補正は、
(1)発明を特定するために必要な事項である「ある1つの加工機から排出された加工対象品」について、「複数台設置された加工機のそれぞれから排出された加工対象品を搬送する搬送ラインにおける」と限定し、
(2)発明を特定するために必要な事項である「ある1つの加工機から排出された加工対象品が別の加工機から排出された加工対象品と混在しない」について、「範囲」を「領域」とするものである。

上記(1)の補正は、発明特定事項を限定するものであるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記(2)の補正は、「範囲」を「領域」と記載を改めるものであるところ、これらを特に別の意味に解釈すべき理由もないので字義とおり解釈すると、いずれも「区域」を意味する用語であって、本件補正後の「領域」は、本件補正前の「範囲」を概念的に下位にしたものでもなく、単に別表現で記載したものにすぎない。したがって、上記(2)の補正は、実質的に何の限定も行っていないものであるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当しない。また、本件補正前の発明特定事項として記載された上記事項はもともと明りようであるから、同条第4項第4号に規定する明りようでない記載の釈明に該当しないばかりか、仮に該当するとしても、明りようでない旨の拒絶理由は通知されていない。さらに、上記(2)の補正は、同条第4項第1号に規定する請求項の削除、同条第4項第3号に規定する誤記の訂正のいずれにも該当しない。
以上のとおりであるから、上記(2)の補正事項を含む本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反している。

本件補正は、上記のように、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含んでいるから、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項第2号において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

【3】特許法第29条第2項の適用
[1]引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である引用文献1(特公平3-66909号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
ア.特許請求の範囲
「1 板状部材を加工して、弾球遊技機の遊技盤を製造するための遊技盤製造工程に関連して設けられる遊技盤の製造設備装置であつて、
前記板状部材を加工して製造せんとする遊技盤の種類を特定するために設けられた識別標識を読取る識別標識読取手段と、・・・、遊技盤の製造設備装置。
・・・
3 前記遊技盤製造工程は、前記板状部材を加工するための複数の加工機械を含み、
前記識別標識読取手段は、前記複数の加工機械にそれぞれ対応して設けられていることを特徴とする、特許請求の範囲第1項または第2項記載の遊技盤の製造設備装置。」
イ.第5欄第37行-第6欄第19行目
「まず、工程1では、移動テーブル1上に板状部材2を固定する。・・・
工程2では、製造すべき遊技盤の周囲を特定する識別標識であるバーコード3が貼付される。・・・
そして、次の工程3では、このバーコード3が読取られ、その読取られたバーコード(識別情報)は制御手段10(後述する第4図に示す)に与えられる。制御手段10では、バーコード3に基づいて、以下の各工程を実行する加工機械の動作プログラムを選択し、選択した動作プログラムに基づいて加工機械の駆動を制御する。」
ウ.第6欄第29-44行目
「工程4では、工程3で読取られたバーコード3に基づいて、化粧板貼付機の複数の動作プログラムのうち、そのバーコード3に対応の動作プログラムが選択される。制御手段はその選択されたプログラムに従つて化粧板貼付機を駆動制御し、板状部材に所定の化粧板を貼付ける。・・・
以下の工程も同様にして、各加工機械の制御装置において、バーコードリーダによつて読取られたバーコード3に対応する動作プログラムが選択され、その選択された動作プログラムに従つて各加工機械が加工を行なう。」

上記の記載(ア.?ウ.)及び図面によれば、引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「板状部材を加工して、弾球遊技機の遊技盤を製造するための遊技盤製造工程において、遊技盤製造工程は、前記板状部材を加工するための複数の加工機械を含み、加工機械の一つとして化粧板貼付機を駆動制御して板状部材に所定の化粧板を貼付ける工程を始めとして、各加工機械が加工を行うものであって、板状部材2が移動テーブル1上に固定され、その板状部材2に遊技盤の種類を特定するための識別情報であるバーコード3が貼付され、次に、バーコード3はバーコードリーダで読取られて、その読取られたバーコード3は制御手段10に与えられ、制御手段10では、バーコード3に基づいて、各工程を実行する加工機械の動作プログラムを選択し、選択した動作プログラムに基づいて加工機械の駆動を制御する、遊技盤を製造するための製造設備装置。」(以下、「引用発明」という。)

[2]引用文献2に記載の技術
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である引用文献2(実公平4-45790号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
ア.第2欄第2-5行目
「〔技術分野〕
この考案は、同種の製品を複数台の単位組立装置で組立て、その製品を同じパレツトの循環経路で移送する並列型組立装置に関するものである。」
イ.第4欄第18行目-第5欄第4行目
「この並列型組立装置は、認識符号を付した複数個のパレツト1と、互いに並設される各々組立てた製品をパレツト1に載せて搬出する個別移送経路B_(1)?B_(n)を有する複数台の単位組立装置A_(1)?A_(n)と、各個別移送経路B_(1)?B_(n)の終端が順次接続されて個別移送経路B_(1)?B_(n)より搬出された各パレツト1が単位組立装置A_(1)?A_(n)の配列順位にしたがつて縦列する集合移送経路2と、この集合移送経路2の終端に設けられて製品の異常を検出する検査器3と、この検査器3から分岐されて各々良品の製品および不良品の製品を載せたパレツト1を搬送し空パレツト1を各個別移送経路B_(1)?B_(n)に送る良品移送経路4および不良品移送経路5と、各単位組立装置A_(1)?A_(n)が全て組立を完了したことを検出してスタート信号を出力するスタート信号出力手段6と、集合移送経路2の移送を阻止しスタート信号に応動して移送の阻止を解除するゲート手段7と、このゲート手段7よりも搬送方向の下手側でパレツト1の認識符号を読取る第1読取器12と、良品移送経路4および不良品移送経路5の少なくとも一方に設けられてパレツト1の認識符号を読取る良品側第2読取器13および不良品側第2読取器14と、前記スタート信号を受けて単位組立装置A_(1)?A_(n)の配列順序で第1読取器12を通過するパレツト1の前記認識符号を順次読み取り前記認識符号を入力順位に対応して記憶する記憶部であるRAMを有するとともに第2読取器13,14の信号からいずれの単位組立装置A_(1)?A_(n)に異常が発生したかを判定する判定装置9とを備えたものである。検査器3は単位検査器3を複数台設けてある。」
ウ.第5欄第15-21行目
「パレツト1は、第3図のようにタグカード16を貼り、固有の認識符号を付しておく。タグカード16は、第2図のようにデイスプレイ付きのキーボード18を接続した書込器により、例えば、1?999の番号を入力しておく。第1読取器12および第2読取器13,14は、タグカード16を非接触で読取れるものである。」
エ.第5欄第35行目-第6欄第20行目
「次に異常の生じた単位組立装置A_(1)?A_(n)の検出につき説明する。・・・(a)単位組立装置A_(1)?A_(n)の全てにつき製品の組立て、および個別移送経路B_(1)?B_(n)上のパレツト1への製品の供給が完了すると、スタート信号出力手段6からスタート信号を出力する。・・・(d)パレツト1が集合移送経路2上で第1読取器12の所へ来ると、第1読取器12はパレツト1の認識符号を非接触で読み込み、判定装置9に対して認識符号を出力する。判定装置9は、その認識符号の読取データを入力順位に対応づけてすなわち認識符号の読取データをスタート信号から何番目に受けたものであるかを対応付けてRAM上のエリアに書込む。この場合、入力順位と単位組立装置A_(1)?A_(n)の配列順序が対応する。(e)検査器3を通つた後のパレツト1が良品側第2読取器13および不良品側第2読取器14の位置に来ると、各第2読取器13,14はパレツト1の認識符号を読取り、判定装置9に出力する。(f)判定装置9はRAM上の認識符号でスタート信号から何番目のパレツト1かを検索する。そして、パレツト1の識別符号に関してデイスプレイCRTおよびプリンタ15に正常か異常かを表示する。これにより調整の必要な単位組立装置A_(1)?A_(n)がわかる。」

上記の記載(ア.?エ.)及び図面によれば、引用文献2には、以下の技術が記載されていると認められる。
「同種の製品を組立てる複数台の単位組立装置A_(1)?A_(n)が、各々組立てた製品を認識符号を付したパレツト1に載せて搬出する個別移送経路B_(1)?B_(n)を有し、各個別移送経路B_(1)?B_(n)の終端が順次接続されて個別移送経路B_(1)?B_(n)より搬出された各パレツト1が単位組立装置A_(1)?A_(n)の配列順位にしたがつて縦列する集合移送経路2と、この集合移送経路2の終端に設けられて製品の異常を検出する検査器3と、この検査器3から分岐されて各々良品の製品および不良品の製品を載せたパレツト1を搬送し空パレツト1を各個別移送経路B_(1)?B_(n)に送る良品移送経路4および不良品移送経路5と、各単位組立装置A_(1)?A_(n)が全て組立を完了したことを検出してスタート信号を出力するスタート信号出力手段6と、集合移送経路2の移送を阻止しスタート信号に応動して移送の阻止を解除するゲート手段7と、このゲート手段7よりも搬送方向の下手側でパレツト1の認識符号を読取る第1読取器12と、良品移送経路4および不良品移送経路5に設けられてパレツト1の認識符号を読取る良品側第2読取器13および不良品側第2読取器14と、前記スタート信号を受けて単位組立装置A_(1)?A_(n)の配列順序で第1読取器12を通過するパレツト1の前記認識符号を読み取り前記認識符号を入力順位に対応して記憶する記憶部であるRAMを有し、前記入力順位と単位組立装置A1?Anの配列順序が対応するものであるとともに、第2読取器13,14はパレツト1の認識符号を読取り、判定装置9に出力し、RAM上の認識符号でスタート信号から何番目のパレツト1かを検索することにより、第2読取器13,14の信号からいずれの単位組立装置A_(1)?A_(n)に異常が発生したかを判定する判定装置9を備え、調整の必要な単位組立装置A_(1)?A_(n)がわかるようにした、並列型組立装置。」(以下、「引用文献2に記載の技術」という。)

[3]対比
引用発明は、上記[1]に示した如くのものである。
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「板状部材」は本願補正発明の「遊技基板」に相当し、同様に、「弾球遊技機」は「パチンコ機」に、「加工機械」は「加工機」に、「識別情報」及び「バーコード3」のいずれも「識別情報」に、それぞれ相当しており、さらに引用発明について以下のことがいえる。

(i)引用発明の「遊技盤製造工程」は、「板状部材に所定の化粧板を貼付ける工程」を含み、かつ、「化粧板」には装飾を目的とした意匠図が描かれていることは弾球遊技機の分野においては通常のことであるから、引用発明は、本願補正発明を特定する「遊技基板に意匠図の描かれた遊技盤」の事項に相当する構成を備えているといえる。
(ii)引用発明の「識別情報(バーコード3)」は、「遊技盤の種類を特定するため」に、「遊技基板(板状部材2)」に「貼付され」るものであるから、特定するための識別情報を付けるという限度で、本願補正発明を特定する「各加工機に対応する加工対象品に複数台設置された同一加工を行う加工機を特定するための文字または算用数字または欧文文字で表現される識別情報を付ける」に共通する。
(iii)引用発明の「貼付され」た「識別情報(バーコード3)」は、「バーコードリーダで読取られて、その読取られたバーコード3は制御手段10に与えられ、制御手段10では、バーコード3に基づいて、各工程を実行する加工機械の動作プログラムを選択し、選択した動作プログラムに基づいて加工機械の駆動を制御する」というように、「識別情報(バーコード3)」が識別され、その意味する内容が特定されるものであるから、遊技機製造の特定装置であるという限度で、本願補正発明の「遊技機製造の同一加工を行う複数の加工機の特定装置」に共通する。

[4]一致点・相違点
上記[3]に記載した事項より、本願補正発明と引用発明とは以下の点で一致し、また、相違していると認められる。

一致点;
パチンコ機の遊技基板や遊技基板に意匠図の描かれた遊技盤のような加工対象品に加工を行うために設置された加工機と遊技基板に特定するための識別情報を付ける、遊技機製造の特定装置、である点。

相違点;
(A)本願補正発明は、「各加工機に対応する加工対象品に複数台設置された同一加工を行う加工機を特定するため」の「遊技機製造の同一加工を行う複数の加工機の特定装置」であって、識別情報を付ける手段が、本願補正発明においては、「印字手段」を備え、該「印字手段」が、「加工機のそれぞれに、または、複数台設置された加工機のそれぞれから排出された加工対象品を搬送する搬送ラインにおけるある1つの加工機から排出された加工対象品が別の加工機から排出された加工対象品と混在しない領域に設けられて」いるのに対し、引用発明は、「遊技盤の種類を特定するため」の「遊技機製造の特定装置」であって、識別情報を付ける手段が、引用発明においては、「識別情報であるバーコード3が貼付され」るものであり、「印字手段」に関わる構成を備えるものではない点。
(B)識別情報の態様が、本願補正発明においては、「文字または算用数字または欧文文字で表現される」ものであるのに対し、引用発明においては、「バーコード3」である点。

[5]判断
(1)相違点(A)について。
引用文献2に記載の技術は、「同種の製品を組立てる複数台の単位組立装置A_(1)?A_(n)」を備えるものであり、本願補正発明と引用文献2に記載の技術とを対比すると、引用文献2に記載の技術の「組立てる」は本願補正発明の「加工を行う」に相当し、同様に、「複数台の」は「複数台設置された」に、「単位組立装置A_(1)?A_(n)」は「加工機」に、それぞれ相当しており、さらに引用文献2に記載の技術の「単位組立装置A_(1)?A_(n)」は、「同種の製品を組立てる」ものであるから、本願補正発明を特定する「同一加工を行う」の事項に相当する構成を備えるといえるとともに、「加工を行う(組立てる)」対象である「加工対象品」を備えることは明らかであるから、引用文献2に記載の技術は、本願補正発明を特定する「各加工機に対応する加工対象品に複数台設置された同一加工を行う加工機」の事項に相当する構成を備えているといえる。
そして、更に、引用文献2記載の技術は、「複数台設置された同一加工を行う加工機(複数台の同種の製品を組立てる単位組立装置A_(1)?A_(n))」が「各々組立てた製品を認識符号を付したパレツト1に載せて搬出」され、「集合移送経路2」上にて、「各パレツト1が単位組立装置A_(1)?A_(n)の配列順位にしたがつて縦列」し、「各単位組立装置A_(1)?A_(n)が全て組立を完了」すると「スタート信号」が「出力」され、その「スタート信号を受けて単位組立装置A_(1)?A_(n)の配列順序で第1読取器12を通過するパレツト1の前記認識符号を読み取」ると共に、「良品移送経路4および不良品移送経路5に設けられてパレツト1の認識符号を読取る良品側第2読取器13および不良品側第2読取器14」とにより、具体的には、「スタート信号を受けて単位組立装置A_(1)?A_(n)の配列順序で第1読取器12を通過するパレツト1の前記認識符号を読み取り前記認識符号を入力順位に対応して記憶する記憶部であるRAMを有し、前記入力順位と単位組立装置A_(1)?A_(n)の配列順序が対応するものであるとともに、第2読取器13,14はパレツト1の認識符号を読取り、判定装置9に出力し、RAM上の認識符号でスタート信号から何番目のパレツト1かを検索」して、「第2読取器13,14の信号からいずれの単位組立装置A_(1)?A_(n)に異常が発生したかを判定する判定装置9を備え、調整の必要な単位組立装置A_(1)?A_(n)がわかるようにした」ものである。すなわち、引用文献2に記載の技術の「パレツト1」に付された「認識符号」は、本願補正発明の「加工機を特定するため」の「識別情報」に相当し、引用文献2に記載の技術は、本願補正発明を特定する「同一加工を行う(同種の製品を組立てる)複数の加工機(単位組立装置A_(1)?A_(n))の特定装置」の事項に相当する構成を備えるといえる。
したがって、これらの技術を参酌すると、引用文献2には、「各加工機に対応する加工対象品を載せるパレツト1に複数台設置された同一加工を行う加工機を特定するための識別情報を付けた、同一加工を行う複数の加工機の特定装置。」が開示されているといえる。
そして、引用文献2に記載の技術は、種々の製品に適用可能な、同一加工を行う複数の加工機の特定装置に関する一般的な技術であることから、引用発明の「パチンコ機の遊技基板や遊技基板に意匠図の描かれた遊技盤のような加工対象品」を加工の対象として扱い、遊技機製造に適用することを特に阻害する要因も認められない。
加えて、同一加工を行う複数の加工機の特定装置に関しては、加工機のそれぞれに刻印手段を設け、加工機を特定するための識別情報を加工対象品に付けることは、従来周知の技術であり(以下、「周知技術A」という。)、例えば、特公平4-38531号公報〔第1欄第18行-第3欄第11行目に〔従来の技術〕として記載される事項及び第1図を参照。〕、特開平5-4142号公報〔【請求項1】、段落【0011】?【0018】の記載、図2、図4等参照。〕、特開平2-65932号公報〔第2頁右上欄第18行-第3頁左上欄第12行目、第3頁右下欄第5-17行目に記載される事項、第1図、第2図等参照。〕に記載されるとおりである。そして、上記周知技術Aの「刻印手段」は「印字手段」と言い換えることができるから、上記周知技術Aは、本願補正発明を特定する「印字手段」が識別情報を付け、該「印字手段が」、「加工機のそれぞれに」設けられているという事項に相当する構成であるといえる。
以上より、引用発明に、引用文献2に記載の技術の「識別情報」を、上記周知技術Aの如く「加工機のそれぞれに刻印手段を設け、加工機を特定するための識別情報を加工対象品に付ける」ものに置換した構成、すなわち、複数台設置された同一加工を行う加工機により加工を行うと共に、引用発明の加工機のそれぞれに印字手段を設け、印字手段が、加工対象品に加工機を特定するための識別情報を付ける、同一加工を行う複数の加工機の特定装置の構成を付加することは、当業者が想到容易であるといえる。

したがって、上記相違点(A)に係る本願補正発明の構成とすることは、引用発明及び引用文献2に記載の技術並びに周知技術に基づいて当業者であれば想到容易である。

(2)相違点(B)について。
加工機や製造ラインを特定するための識別情報として、加工対象品に文字または数字または欧文文字で表現される記号を付けることは、従来周知の技術であり(以下、「周知技術B」という。)、例えば、特公平4-38531号公報〔第2欄第21行-第3欄第2行目の「識別記号(例えば、ロボツトごとに異なるステージ番号など)を刻印する。」という記載を参照。〕、特開平8-72883号公報〔段落【0045】?【0054】に記載される事項を参照。〕、特開平6-156503号公報〔段落【0016】に記載される事項及び図2を参照。〕に記載されるとおりである。
そして、上記(1)で検討したとおり、引用発明に、引用文献2に開示される「加工対象品に加工機を特定するための識別情報を付ける」構成を付加することは想到容易であって、その際に、該「識別情報」を、上記周知技術Bの如く「文字または数字または欧文文字で表現される」ものとすることは、単なる周知技術の採用にすぎず、当業者が想到容易であるといえる。

したがって、上記相違点(B)に係る本願補正発明の構成とすることは、引用発明、引用文献2に記載の技術並びに周知技術に基づいて当業者であれば想到容易である。

[6]むすび
相違点(A)及び(B)に係る本願補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
最後に、審判請求人が、平成17年3月7日付手続補正書により補正された審判請求書において、特に主張する以下の2点について検討する。
主張(A)
「引用文献2には、認識符号(識別情報)がどのような内容のものであるかも記載されておらず、・・・、引用文献2からは、パレットに付された識別情報を不良品搬送路で読み取るだけでは、パレットに付された識別情報を集合移送経路で読み取るだけでは、同一加工を行う加工機を特定することはできない。しかも、引用文献2からは、製品がパレットから取り出された場合、製品から同一加工を行う加工機を特定することはできない。」
主張(B)
「なお、拒絶査定において審査官による「印字手段を設ける位置については、製造ラインを設計するに際して、適宜最適な位置を決める事項である」との主張については、・・・、審判長から「識別情報を加工品に付けるための印字手段が、加工対象品に同一加工を行うために複数台設置された加工機のそれぞれに、または、複数台設置された加工機のそれぞれから排出された加工対象品を搬送する搬送ラインにおけるある1つの加工機から排出された加工対象品が別の加工機から排出された加工対象品と混在しない領域に設けられる」ことの記載された引用文献の提示をまって反論する。」

上記主張(A)について検討する。
加工機や製造ラインを特定する識別情報として、加工対象品に文字または数字または欧文文字で表現される記号を付けることは、上記[5](2)で検討したとおり従来周知の技術であって(上記周知技術Bを参照。)、加工対象品に付された前記記号を見れば、どの加工機や製造ラインで製造されたかを目で見て識別できることは明らかであるから、上記主張(A)で主張する点については、上記周知技術Bを採用することから予測し得る程度の作用効果であって、格別顕著なものとは認められない。
次に、上記主張(B)について検討する。
同一加工を行う複数の加工機の特定装置に関しては、加工機のそれぞれに印字手段を設け、加工機を特定するための識別情報を加工対象品に付けることは、上記[5](1)で検討したとおり従来周知の技術であり(上記周知技術Aを参照。)、しかも、印字された識別情報により加工機を特定するためは、前記識別情報が間違いなく付与されること、すなわち、加工機と加工対象品とが一対一に対応している状態で識別情報を付けることが必要であることは当然配慮されるべき事項であるから、印字手段の位置の最適化乃至好適化を行うことは、設計上の事項にすぎず、審判請求人の上記主張(B)は、審決の判断に影響を及ぼすものではない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載の技術並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

【4】補正の却下の決定のむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
【1】本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成17年3月7日付の手続補正が上記のとおり却下されているので、平成16年9月1日付の手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
印字手段が、パチンコ機の遊技基板や遊技基板に意匠図の描かれた遊技盤のような加工対象品に同一加工を行うために複数台設置された加工機のそれぞれに、または、ある1つの加工機から排出された加工対象品が別の加工機から排出された加工対象品と混在しない範囲に設けられて、各加工機に対応する加工対象品に複数台設置された同一加工を行う加工機を特定するための文字または算用数字または欧文文字で表現される識別情報を付けることを特徴とする遊技機製造の同一加工を行う複数の加工機の特定装置。」(以下、「本願発明」という。)

【2】特許法第29条第2項の適用
[1]引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である引用文献1(特公平3-66909号公報)の記載事項及び引用発明は、前記2.【3】[1]に記載したとおりである。

[2]引用文献2に記載の技術
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である引用文献2(実公平4-45790号公報)の記載事項及び引用文献2に記載の技術は、前記2.【3】[2]に記載したとおりである。

[3]対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、「複数台設置された加工機のそれぞれから排出された加工対象品を搬送する搬送ラインにおける」という限定事項を省くとともに、「領域」を「範囲」と別表現の記載に戻したものである。
そうすると、本願発明の構成要素を実質的に全て含み、さらに、他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.【3】に説示したように、引用発明及び引用文献2に記載の技術並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載の技術並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[4]むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載の技術並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、本願の他の請求項について論じるまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-02-27 
結審通知日 2008-03-04 
審決日 2008-03-17 
出願番号 特願平8-233404
審決分類 P 1 8・ 572- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 林 晴男
▲吉▼川 康史
発明の名称 遊技機製造の同一加工を行う複数の加工機の特定装置  
代理人 宮園 純一  
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