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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1177056
審判番号 不服2003-5668  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-04 
確定日 2008-05-14 
事件の表示 特願2000-510439「家畜抗菌剤としての8a-アザライド」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 3月18日国際公開、WO99/12542、平成15年 4月 2日国内公表、特表2003-512290〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成10年9月4日(パリ条約による優先権主張 1997年9月10日 US)の出願であって、平成14年12月27日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年4月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年4月24日付で手続補正がなされたものである。

2.平成15年4月24日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成15年4月24日付の手続補正を却下する。

[理由]

(1)補正後の本願発明

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、以下のとおりのものとされた。

「 家畜の呼吸器又は腸内の細菌感染の治療又は予防方法であって、前記治療又は予防を必要とする家畜に治療又は予防的に有効な量の8a-アザライドを投与すること、呼吸器又は腸内に感染する微生物がパスツレラ種、アクチノバシラス種、Haemophilus somnus、マイコプラズマ種、Treponema hyodysenteriae又はサルモネラ種であること、及び、前記8a-アザライドが式I:

【化1】(構造式は省略)

をもつ化合物又は医薬的に許容されるその塩、又は医薬的に許容されるその金属錯体であり、前記金属錯体が銅、亜鉛、コバルト、ニッケル及びカドミウムから構成される群から選択され、前記式中、
R1は・・・(置換基の特定に関する記載は省略)・・
であることを特徴とする前記方法。」

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「8a-アザライド」を特定の置換基を有する【化1】の構造式で示される式Iの化合物に限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平5-255374号公報(以下引用例1という。)には、「9-デオキソ-8a-アザ-8a-アルキル-8a-ホモエリスロマイシンAの4”誘導体の製造方法」の発明に関し次の事項が記載されている。

ア.本発明は、哺乳類の細菌感染症を治療するのに有用な、抗菌活性を有する1群の新規な化学化合物の新規な製造方法に関する。(p2.段落【0001】)

イ.また本発明は、抗生物質薬剤としてのこれら化合物の新規な医薬組成物と使用方法を提供するものである。(段落【0005】)

ウ.【作用】式(II)の化合物は、抗生物質として、次のような経口剤形で投与することができる。すなわち、錠剤、カプセル剤・・・乳剤である。・・・この化合物の有効ではあるが無毒の量を、哺乳類の抗生物質として利用できる。(段落【0073】)

エ.・・・・・・通常の熟練した医師または獣医は、症状の進行を防止し、妨害もしくは抑えるのに必要な有効量を容易に決定し処方することができる。(段落【0074】)

オ.
実施例15(4”-Epi-9-デオキソ-8a-アザ-8a-メチル-8a-ホモエリスロマイシンA)、実施例17(4”-デオキシ-4”-アミノ-9-デオキソ-8a-アザ-8a-メチル-8a-ホモエリスロマイシンA;4”-異性体の2:1混合物)、実施例19(4”-デオキシ-4”(S)-アミノ-9-デオキソ-8a-アザ-8a-メチル-8a-ホモエリスロマイシンA)、実施例20(4”-デオキシ-4”(R)-アミノ-9-デオキソ-8a-アザ-8a-メチル-8a-ホモエリスロマイシンA)で製造した各化合物についてのエンテロコッカス、スタフィロコッカス、クレブシエラ属菌、エシェリキア.コリ(大腸菌)などに対するMICの値(段落【0284】の表2)

カ.
式(II)の化合物は、生体外および生体内の両方において抗菌剤として有用であり、その活性スペクトルはエリスロマイシンAと類似している。その結果、これらの化合物は、エリスロマイシンAと同じ目的のために同じ方式で使用することができる。一般に式IIの抗菌化合物とその塩は、例えばストレプトコッカス・ビオゲネスのような各種のグラム陽性微生物、および球形もしくは楕円体形(球菌)のようなある種のグラム陰性菌に対する生体外活性を示す。これらの活性は、各種の微生物に対する生体外の試験によって容易に実証することができる。・・(段落【0285】)

(3)対比・判断
引用例1には式(II)の化合物を家畜の治療に有効な量投与して細菌感染症の治療に使用する方法が開示されている。
本願補正発明の式1の化合物と、上記引用例1の式(II)の化合物を対比すると、両者は基本骨格を共通とし、後者の基本骨格に結合している置換基は、前者の置換基に含まれるものであるから、本願補正発明の式1の化合物は引用例1の式(II)の化合物(以下、単に「式(II)の化合物」という)を含むものである。(なお、本願明細書の段落【0037】【0038】で具体的に試験されている化合物、4”-デオキシ-4”-アミノ-9-デオキソ-8a-アザ-8a-メチル-8a-ホモエリスロマイシンA、4”-デオキシ-4”(S)-アミノ-9-デオキソ-8a-アザ-8a-メチル-8a-ホモエリスロマイシンA、4”-デオキシ-4”(R)-アミノ-9-デオキソ-8a-アザ-8a-メチル-8a-ホモエリスロマイシンAは引用例1においても具体的に抗菌活性が試験されている。)
そこで、本願補正発明が治療方法である場合と引用例1に記載の方法とを比較すると、両者は、「家畜の細菌感染の治療方法であって、前記治療を必要とする動物に治療に有効な量の式(II)の化合物を投与する治療方法。」である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]本願補正発明は、細菌感染が呼吸器又は腸内の細菌感染であって、感染する微生物がパスツレラ種、アクチノバシラス種、Haemophilus somnus、マイコプラズマ種、Treponema hyodysenteriae又はサルモネラ種であることが特定されているのに対し、引用例1では明記されていない点

以下この相違点につき検討する。
本願補正発明における式I化合物はマクロライド系化合物であって、引用例1中においても式(II)の化合物がエリスロマイシンAと同様の抗菌スペクトルを有しており、エリスロマイシンAと同じ目的のために同じ方式で使用できるとの記載がされている。
ところで、パスツレラ、マイコプラズマなどの感染に起因する家畜の呼吸器疾患をマクロライド系の抗生物質(チルミコシン)を使用して治療することは当業界において既に周知(請求人が提出した参考資料1,2のRes. Vet. Sci.,47:84-89(1989)特にp84左欄、及びCan J. Ver. Res. ,61:187-192(1997)特にp187左欄、p188左欄を参照)であり、同じくマクロライド系の抗生物質であるエリスロマイシンがパスツレラ菌の接種によって起こる子牛の肺炎の治療に有効であることもAm. J. Vet. Res., Vol.46, No.4, (1985) p.798-803(以下、引用例2という。)に記載されている。
そうすると、同じマクロライド系化合物である引用例1の式(II)の化合物についても、パスツレラ菌に有効であることを期待し、その有効性を確認し、当該菌に起因する家畜の呼吸器の感染症への治療に適用することは当業者が容易に想到しうる範囲のことである。

また、本願補正発明が予防方法である場合にしても、抗生物質を感染予防に有効な量を用いて予防目的に使用することは周知であり、引用例1にも、「通常の熟練した医師または獣医は、症状の進行を防止し、妨害もしくは押さえるのに必要な有効量を容易に決定し処方することができる。」と記載されているのであるから、上記と同様の理由で引用例1、2から当業者が容易に想到し得たものである。

そして、本願明細書の記載から見て、本願補正発明の作用効果も、引用例1、2から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は治療方法、予防方法共に、引用例1、2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

なお、請求人は、特許請求の範囲の化合物を当初明細書の第26?27頁に抗菌活性データを記載しているものにさらに限定することを希望する旨の上申書を提出しているが、引用例1には、摘記事項のオ.に示すとおり、これらの化合物についても具体的な開示がされているのであるから、これに限定しても上記の理由が解消するものではない。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準
用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成15年4月24日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成12年11月27日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「家畜の呼吸器又は腸内の細菌感染の治療又は予防方法であって、前記治療又は予防を必要とする家畜に治療又は予防的に有効な量の8a-アザライドを投与すること、及び、呼吸器又は腸内に感染する微生物がパスツレラ種、アクチノバシラス種、Haemophilus somnus、マイコプラズマ種、Treponema hyodysenteriae又はサルモネラ種であることを特徴とする前記方法。」

(1)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から8a-アザライドについての特定を省いたものである。
そうすると、本願発明も、本願補正発明と同様の理由により、引用例1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1、2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-12-08 
結審通知日 2005-12-13 
審決日 2005-12-28 
出願番号 特願2000-510439(P2000-510439)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
P 1 8・ 575- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 俊生森井 隆信  
特許庁審判長 森田 ひとみ
特許庁審判官 中野 孝一
谷口 博
発明の名称 家畜抗菌剤としての8a-アザライド  
代理人 川口 義雄  
代理人 大崎 勝真  
代理人 井上 満  
代理人 小野 誠  
代理人 一入 章夫  
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