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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1177189
審判番号 不服2003-12181  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-06-30 
確定日 2008-05-27 
事件の表示 特願2000- 64192「情報処理システム及びその方法、並びにコンピュータ上で動作する情報処理プログラムを記録した記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 9月21日出願公開、特開2001-256356〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年3月8日の出願であって、平成15年1月28日付けで拒絶理由通知がなされ、同年4月1日付けで手続補正がなされたが、同年5月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月30日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年7月30日付けで手続補正がなされたものである。

2.本件補正
平成15年7月30日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の
「 【請求項1】 複数の販売者に関し、各商品について各販売者が採用する販売価格を販売者の情報に対応づけて記憶する価格記憶手段と、
販売者からの入力に基づいて当該販売者の情報に対応づけて記憶されている販売価格を更新する販売者対応手段と、
商品ごとに低価格順における上位所定数内に含まれる販売価格及び対応する販売者の情報を抽出し、価格順位情報として記憶し更新する価格順位記憶手段と、
ユーザからの入力に基づいて価格順位情報を読み出し、当該ユーザに対し出力するユーザ対応手段と、
ユーザが指定した商品について、販売価格の最安値が変更された場合、販売価格の最安値の変動率が所定値を超える場合、販売価格の最安値が所定値以下となった場合、所定の販売者Aの販売価格よりも所定の販売車Bの販売価格が低価格となった場合、又は所定の商品ジャンルの平均販売価格が所定値以下となった場合に、当該ユーザに対し通知する通知手段と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】 通知手段は、ユーザに対し通知する場合に、所定の販売者から受け付けた販売者コメント情報を併せて通知することを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】 前記所定の販売者は、最安値を販売価格として採用している販売者であることを特徴とする請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】 ・・(略)・・請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】 ・・(略)・・請求項4記載の情報処理システム。
【請求項6】 ・・(略)・・請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】 ・・(略)・・請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】 ・・(略)・・請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】 ・・(略)・・請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項10】 ・・(略)・・請求項9記載の情報処理システム。
【請求項11】 ・・(略)・・請求項1乃至10のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項12】 ・・(略)・・情報処理方法。
【請求項13】 請求項12記載の情報処理方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」を、

補正後の
「 【請求項1】 複数の販売者に関し、各商品について各販売者が採用する販売価格を販売者の情報に対応づけて記憶する価格記憶手段と、
販売者からの入力に基づいて当該販売者の情報に対応づけて記憶されている販売価格を更新する販売者対応手段と、
商品ごとに低価格順における上位所定数内に含まれる販売価格及び対応する販売者の情報を抽出し、価格順位情報として記憶し更新する価格順位記憶手段と、
ユーザからの入力に基づいて価格順位情報を読み出し、当該ユーザに対し出力するユーザ対応手段と、
ユーザが指定した商品について、販売価格の最安値が変更された場合、販売価格の最安値の変動率が所定値を超える場合、又は販売価格の最安値が所定値以下となった場合に、当該ユーザに対し通知する通知手段と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】 複数の販売者に関し、各商品について各販売者が採用する販売価格を販売者の情報に対応づけて記憶する価格記憶手段と、
販売者からの入力に基づいて当該販売者の情報に対応づけて記憶されている販売価格を更新する販売者対応手段と、
商品ごとに低価格順における上位所定数内に含まれる販売価格及び対応する販売者の情報を抽出し、価格順位情報として記憶し更新する価格順位記憶手段と、
ユーザからの入力に基づいて価格順位情報を読み出し、当該ユーザに対し出力するユーザ対応手段と、
ユーザが指定した商品について、所定の販売者Aの販売価格よりも所定の販売車Bの販売価格が低価格となった場合、又は所定の商品ジャンルの平均販売価格が所定値以下となった場合に、当該ユーザに対し通知する通知手段と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】 通知手段は、ユーザに対し通知する場合に、最安値を販売価格として採用している販売者から受け付けた販売者コメント情報を併せて通知することを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項4】 ・・(略)・・請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】 ・・(略)・・請求項4記載の情報処理システム。
【請求項6】 ・・(略)・・請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】 ・・(略)・・請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】 ・・(略)・・請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】 ・・(略)・・請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項10】 ・・(略)・・請求項9記載の情報処理システム。
【請求項11】 ・・(略)・・請求項1乃至10のいずれか1項に記載の情報処理システム。」
とする補正を含むものである。(下線は、補正箇所を示すものとして、補正書に表示されたものを援用した。)

ここで、本件補正による特許請求の範囲の補正が、特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものであるかを検討する。

本件補正前の請求項1には、「販売価格の最安値が変更された場合、販売価格の最安値の変動率が所定値を超える場合、販売価格の最安値が所定値以下となった場合、所定の販売者Aの販売価格よりも所定の販売車Bの販売価格が低価格となった場合、又は所定の商品ジャンルの平均販売価格が所定値以下となった場合」とあるように、通知手段に関して、その構成要件が択一的なものとして記載されていた。そして、本件補正により、この択一的な構成要件のうち、「販売価格の最安値が変更された場合、販売価格の最安値の変動率が所定値を超える場合、又は販売価格の最安値が所定値以下となった場合」が、補正後の請求項1に、「所定の販売者Aの販売価格よりも所定の販売車Bの販売価格が低価格となった場合、又は所定の商品ジャンルの平均販売価格が所定値以下となった場合」が、補正後の請求項2に記載されるようになった。
ところで、多数項引用形式で記載された一つの請求項を、引用請求項を減少させて独立形式の請求項とする場合や、構成要件が択一的なものとして記載された一つの請求項について、その択一的な構成要件をそれぞれ限定して複数の請求項とする場合のように、補正前の請求項が実質的に複数の請求項を含むものであるときに、これを補正に際し独立の請求項とすることにより、請求項の数が増加することになるとしても、それは、実質的に新たな請求項を追加するものとはいえず、実質的には一対一の対応関係にあるということができるから、このような補正まで否定されるものではない。
してみると、構成要件が択一的なものとして記載された補正前の請求項1を、補正後の請求項1及び請求項2とするこの補正は、実質的に新たな請求項を追加するものとはいえない。

また、本件補正により、「通知手段は、ユーザに対し通知する場合に、所定の販売者から受け付けた販売者コメント情報を併せて通知すること」が記載された補正前の請求項2、「情報処理方法」が記載された補正前の請求項12、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」が記載された補正前の請求項13が削除された。

以上の検討によれば、特許請求の範囲についての本件補正は、実質的には、特許法第17条の2第4項第1号に掲げる事項(請求項の削除)を目的とするものであり、適法な補正であるといえる。

3.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年7月30日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「複数の販売者に関し、各商品について各販売者が採用する販売価格を販売者の情報に対応づけて記憶する価格記憶手段と、
販売者からの入力に基づいて当該販売者の情報に対応づけて記憶されている販売価格を更新する販売者対応手段と、
商品ごとに低価格順における上位所定数内に含まれる販売価格及び対応する販売者の情報を抽出し、価格順位情報として記憶し更新する価格順位記憶手段と、
ユーザからの入力に基づいて価格順位情報を読み出し、当該ユーザに対し出力するユーザ対応手段と、
ユーザが指定した商品について、販売価格の最安値が変更された場合、販売価格の最安値の変動率が所定値を超える場合、又は販売価格の最安値が所定値以下となった場合に、当該ユーザに対し通知する通知手段と、を備えることを特徴とする情報処理システム。」

4.引用例
(4-1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-251468号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消費者(ユーザ)に、商品について、販売店名、価格、サービスなどの商品情報を提供する商品検索システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、消費者がある商品を購入しようとするとき、商品の価格、商品購入後のアフターケア、商品の安全性などのサービスを考慮して、どの商店で購入するかを決める。従来においては、商品価格、サービスなどの商品情報は、広告、口コミなどから得るか、又は自分の足で探さなければならなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法で得られる商品情報には限度があり、消費者は十分な商品情報を得た上で商品を購入することはできなかった。つまり、消費者にとって、簡単かつ確実に商品情報を得る手段はなかった。本発明は、消費者にとって、欲しい商品、価格又はサービスを簡単に探すことができる商品検索システムを提供することを目的とするものである。」

(イ)「【0006】上記商品検索システムによれば、ユーザは、パソコンネットワークを介して商品情報を得ることができ、希望する価格又はサービスの商品をどの商店で購入することができるかを簡単に決定することができる。」

(ウ)「【0007】
【発明の実施の形態】本発明の商品検索システムをPOSシステムに組み込み、インターネットを利用して商品情報を公開する例について、図を用いて説明する。図1は、商品検索システムの全体構成を示す図である。本例の商品検索システム1は、POSシステムのホスト2内に設置される。このホスト2には、回線3を介してPOSシステム導入店舗4におけるPOSシステム5が接続される。なお、回線3には、複数の店舗4及びPOSシステム5が接続されるが、図では説明を簡単にするために1つのみを示している。また、POSシステム5は手入力用端末7を具備している。
【0008】商品検索システム1はインターネット回線6が接続される。このインターネット回線6には、消費者端末8(パソコン)が接続されている。商品検索システム1は、受信部11、加工部12、送出部13、ファイル14を具備し、手入力用端末15と接続されている。各部1?14の機能について、以下に説明する。図1のシステムの動作について図2のデータフローと図3のフローチャートを用いて説明する。
【0009】POSシステム5は広く普及している商品管理システムである。このPOSシステム5は、管理している商品情報(商品名、価格、販売店名など)をあるタイミングでホストに送信し、商品検索システム1の受信部11はこれを収集する(ステップS1)。このタイミングとしては、朝一番又は夜間などの、システムの負荷、回線の負荷の低い時間が好ましい。なお、ホスト2の商品検索システム1から各POSシステム5に対して、商品情報の送信要求を出すようにすることもできる。
【0010】商品検索システム1では、受信部11で受信した商品情報をファイル14に格納する(ステップS2)。加工部12では、ファイル14に格納された商品情報を商品の種類ごとに区分けして価格の安い順番にソートする(ステップS3)。商品検索システム1は、この加工した情報をインターネット6上に公開する(ステップS4)。消費者からアクセスがあったときは、ファイル14に格納されたソート済みのデータから希望の商品に関する商品情報を選択して、インターネット6を介して消費者端末8に送信する(ステップS5)。
【0011】消費者は、受信した商品情報を商品購入時の参考にして、商品の購入を決めることができる。このとき、上記ステップS3における価格順のソートが行われていれば、ユーザのニーズに合った情報提供をできる。なお、このユーザニーズに合わせた加工は、価格順に限るものではない。ここで、販売者がインターネット上からも通信販売などの手段を利用し商品を購入する仕掛けをもっていれば、それを利用することにより、自宅に居ながらにして消費者の欲する商品を購入することができる。
【0012】本システムは、販売者にとって以下の利点がある。販売者は、POSシステムにより自動的に最新の商品情報を商品検索システムに送ることができる。これにより、余計な手間を掛けずに常に最新の情報による商品の広告を出しているのと同じ効果を得られる。さらに、販売者は、商品の価格で勝負する場合は安価な定価を設定し、付加価値で勝負する場合は、商品情報に付加価値を掲載するなどすれば、販売者のニーズに合った広告を行うことがタイムリーにできる。この付加価値の入力は、POSシステム5に予め入力しておくことも、入力用端末7から入力することも可能である。
【0013】また、本例を採用する場合には、POSシステムが導入されている店舗であれば、新規の設備投資も小額ですむ。また、POSシステムなどの商品管理システムが導入されていない店舗は、ホスト2の入力用端末15から商品情報を入力することができる。あるいは、POSシステムの導入と同時に商品検索システムを導入することができる。」

(エ)「【0015】(その他の実施形態)以上説明した例では、商品検索システム1側だけが商品情報の加工をしているが、ユーザ側から商品情報の加工を行うようにすることもできる。その例を図4のフローチャートを用いて説明する。POSシステム5は商品情報をあるタイミングでホストに送信し、受信部11はこれを収集する(ステップS11)。受信部11は受信した商品情報をファイル14に格納する(ステップS12)。この加工した情報をインターネット6上に公開する(ステップS13)。」

ここで、上記摘記事項(ウ)には、「このPOSシステム5は、管理している商品情報(商品名、価格、販売店名など)をあるタイミングでホストに送信し、商品検索システム1の受信部11はこれを収集する(ステップS1)。」、及び、「商品検索システム1では、受信部11で受信した商品情報をファイル14に格納する(ステップS2)。」と記載されているから、ファイルに格納される商品情報が、商品名、価格、販売店名などで構成されていると解することができる。そして、上記摘記事項(イ)には、「上記商品検索システムによれば、ユーザは、パソコンネットワークを介して商品情報を得ることができ、希望する価格又はサービスの商品をどの商店で購入することができるかを簡単に決定することができる。」と記載されており、消費者(ユーザ)が、希望する価格の商品をどの商店で購入するかを決定できるようにするためには、消費者に提供される商品情報が、販売店名に対応して各商品の価格が分かるものとして提供される必要があるから、技術常識に照らしてみれば、提供される情報の元になるファイルには、複数の販売店に関し、各商品について各販売店が設定する価格を販売店名に対応づけて格納する価格格納手段が備えられているのは明らかであるといえる。

また、上記摘記事項(ウ)に、「販売者は、POSシステムにより自動的に最新の商品情報を商品検索システムに送ることができる。これにより、余計な手間を掛けずに常に最新の情報による商品の広告を出しているのと同じ効果を得られる。」と記載されていることから、消費者に提供される情報は常に最新のものであると解することができるので、消費者に提供される情報を選択するのに用いられる、ファイルに格納されている商品情報、及び、ソートされた商品情報が、最新のものに更新されているのは明らかである。
そして、上記摘記事項(ウ)には、「商品検索システム1では、受信部11で受信した商品情報をファイル14に格納する(ステップS2)。」と記載され、上記摘記事項(エ)には、「受信部11は受信した商品情報をファイル14に格納する(ステップS12)。」と記載されていることから、既に検討した事項を踏まえれば、受信部が、販売店のPOSシステムから受信した商品情報に基づいて販売店名に対応づけて格納されている価格を更新しているのは明らかであるといえる。
また、上記摘記事項(ウ)には、「加工部12では、ファイル14に格納された商品情報を商品の種類ごとに区分けして価格の安い順番にソートする(ステップS3)。商品検索システム1は、この加工した情報をインターネット6上に公開する(ステップS4)。」、及び、「ファイル14に格納されたソート済みのデータ」と記載されており、既に検討した事項を踏まえれば、当該公開される情報は「常に最新のもの」であるわけであるから、加工部が、価格及び対応する販売店名をファイルから読み出し、商品の種類ごとに価格の安い順番にソートした後、ファイルにソート済みのデータとして格納し更新しており、ファイルに、商品の種類ごとに価格の安い順番にソートされた価格及び対応する販売店名を格納するソート価格格納手段が備えられているのは明らかであるといえる。

これらの記載事項及び図面の内容を総合すると、引用例1には、
「複数の販売店に関し、各商品について各販売店が設定する価格を販売店名に対応づけて格納する価格格納手段と、
販売店のPOSシステムから受信した商品情報に基づいて販売店名に対応付けて格納されている価格を更新する受信部と、
商品の種類ごとに価格の安い順番にソートされた価格及び対応する販売店名を格納するソート価格格納手段と、
商品の種類ごとに価格の安い順番に価格及び対応する販売店名をソートし、ソート価格格納手段にソート済みのデータとして格納し更新する加工部と、
消費者からのアクセスに基づいてソート済みのデータを選択し、当該消費者に対し提供する送出部とを備えることを特徴とする商品検索システム。」
との発明(以下、「引用例1発明」という。)が開示されていると認められる。

(4-2)引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-330355号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。

(オ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信を利用する商品の販売において、顧客が購入を考えている商品の価格や在庫等の情報を顧客に通知する通信販売方法に関する。」

(カ)「【0007】本発明の目的は、通信回線を用いた通信販売システムにおいて、顧客が毎回商品を探し直すことなく、以前検討した商品を検討できる通信販売方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、何度も通信回線を用いて商品の状況を調べる必要のない、検討した商品の在庫が少ない場合や特別価格商品となったときに連絡することができる通信販売方法を提供することにある。特に、顧客が検討した商品の情報を登録することによって、顧客の潜在的な要望に適応した商品の情報を通知することにある。」

(キ)「【0009】上記他の目的を達成するために、通信回線を用いて通信販売の商品を提示するための手段を有し、顧客情報を格納するデータベースと、商品の価格や在庫などの情報を格納するデータベースを用い、顧客が商品を見ているときに、購入候補として商品をピックアップし、ピックアップした商品を特定する情報を、前記顧客情報を格納するデータベースに格納し、ピックアップした商品の価格が変更されたとき、および在庫が少なくなった際には、顧客に商品の情報を通知する。」

(ク)「【0050】図11は、図4に示した処理フローのステップS12,ステップS13における商品案内処理部3の処理フロー図である。この処理では顧客情報データベース4および図10に示した商品情報データベース5を用いる。まず、通知判断処理部31は、顧客情報データベース4に格納された顧客情報を読み出す(S61)。次いで、通知判断処理部31は、読み出した顧客情報データベース4のピックアップテーブル43から、顧客がピックアップした商品および注文した商品を判別し(S62)、それぞれのピックアップ商品および注文商品を通知商品とするか否かの処理(S63,S64)を繰り返す。すなわち、通知判断処理部31は、商品情報データベース5の商品情報データ53を用いて顧客がピックアップした商品または注文した商品を通知商品とするかどうかを、価格の変更の有無を示す特価情報536および、商品情報の在庫の状況を在庫数537と生産予定538と在庫の基準値539から判定する(S63)。通知判断処理部31が通知商品であると判定した場合は、通知商品として商品情報を蓄積する(S64)。
【0051】通知処理部32は、通知判断処理部31が判断した通知商品があるかどうかを商品情報データベース53の在庫数537、生産予定538、在庫の基準値539を参照して判定する(S65)。通知商品がある場合は、通知処理部32は、商品価格の変更があるか、在庫が少ないなどの商品の状況を顧客に通知するための処理を行う(S66)。この通知は、例えば、手紙、FAX、電子メールなどを用いて通知してもよいし、電話通知の場合は、担当者に商品状況が変更したことを顧客に知らせるための指示を出すようにしもよい。また、顧客が次回通信回線を用いて通信販売システムに接続してきたときに、まず、これらの通知商品の情報を提示する様に設定することもできる。
【0052】この実施例によれば、顧客が通信回線を用いて接続すると、顧客を確認し、顧客情報データベース4内に格納された顧客情報から顧客の情報を読み込む。顧客情報には、ピックアップ商品および注文商品についての情報が格納されているので、顧客が以前検討していた商品についての情報が顧客用端末装置6の商品表示画面60上に提示され、顧客はもう一度商品を最初から検討する必要なく、購入商品を決めることができる。また、顧客情報データベース4のピックアップテーブル43の商品について、商品の在庫状況や価格の変更をなどの商品状況を顧客用端末装置6上に通知するので、顧客は何度も商品の状況を調べることなく、商品状況を把握することができる。」

5.対比
本願補正発明と引用例1発明とを比較する。
引用例1発明の「販売店」、「設定」すること、「価格」は、本願発明の「販売者」、「採用」すること、「販売価格」にそれぞれ相当する。
また、本願発明の「販売者の情報」には、販売者名が含まれているから、引用例1発明の「販売店名」は、本願発明の「販売者の情報」に包摂される。
また、引用例1発明の「格納」すること、「価格格納手段」は、本願発明の「記憶」すること、「価格記憶手段」にそれぞれ相当する。
また、引用例1発明の「販売店のPOSシステムから受信した商品情報」と、本願発明の「販売者からの入力」とは、以下の相違点があるものの、「販売者からの情報」という概念で共通する。
また、引用例1発明の「受信部」と、本願発明の「販売者対応手段」とは、以下の相違点があるものの、販売者からの情報に基づいて当該販売者の情報に対応づけて記憶されている販売価格を更新する機能を有する「販売価格受信手段」という概念で共通する。
また、引用例1発明において、「ソート済みのデータ」として格納し更新されるのは、商品の種類ごとに価格の安い順番にソートされた価格及び対応する販売店名であり、価格の順番を表しているといえるから、引用例1発明の「ソート済みのデータ」と、本願発明の「価格順位情報」とは、以下の相違点があるものの、「価格の順番を表す情報」という概念で共通する。
また、引用例1発明の「商品の種類ごとに価格の安い順番にソートされた価格及び対応する販売店名を格納するソート価格格納手段」及び「商品の種類ごとに価格の安い順番に価格及び対応する販売店名をソートし、ソート価格格納手段にソート済みのデータとして格納し更新する加工部」が協働したものと、本願発明の「商品ごとに低価格順における上位所定数内に含まれる販売価格及び対応する販売者の情報を抽出し、価格順位情報として記憶し更新する価格順位記憶手段」とは、以下の相違点があるものの、「低価格順の販売価格及び対応する販売者の情報を求め、価格の順番を表す情報として記憶し更新する価格順番記憶手段」という概念で共通する。
また、引用例1発明の「消費者」、「アクセス」、「選択」すること、「提供」することは、本願発明の「ユーザ」、「入力」、「読み出」すこと、「出力」することにそれぞれ相当する。
また、引用例1発明の「送出部」は、ユーザからの入力に基づいて、価格の順番を表す情報を当該ユーザに対し出力しているから、本願発明の「ユーザ対応手段」に相当する。
また、引用例1発明の「商品検索システム」と、本願発明の「情報処理システム」とは、以下の相違点があるものの、ユーザに対し商品の販売価格を提供する「販売価格提供システム」という概念で共通する。

そうすると、本願発明と引用例1発明とは、
「複数の販売者に関し、各商品について各販売者が採用する販売価格を販売者の情報に対応づけて記憶する価格記憶手段と、
販売者からの情報に基づいて当該販売者の情報に対応づけて記憶されている販売価格を更新する販売価格受信手段と、
低価格順の販売価格及び対応する販売者の情報を求め、価格の順番を表す情報として記憶し更新する価格順番記憶手段と、
ユーザからの入力に基づいて価格の順番を表す情報を読み出し、当該ユーザに対し出力するユーザ対応手段とを備えることを特徴とする販売価格提供システム。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
価格記憶手段に記憶されている販売価格が、本願発明では、「販売者からの入力」に基づいて更新されているのに対して、引用例1発明では、「販売店のPOSシステムからの商品情報」に基づいて更新されている点。

[相違点2]
価格順番記憶手段が、本願発明では、「価格順位記憶手段」であるのに対し、引用例1発明では、「加工部とソート価格格納手段とが協働したもの」であり、かつ、価格の順番を表す情報として記憶し更新されるのが、本願発明では、「商品ごとに低価格順における上位所定数内に含まれる販売価格及び対応する販売者の情報を抽出」したものであるのに対して、引用例1発明では、「商品の種類ごとに価格の安い順番に価格及び対応する販売店名をソート」したものである点。

[相違点3]
本願発明では、情報処理システムが、ユーザが指定した商品について、販売価格の最安値が変更された場合、販売価格の最安値の変動率が所定値を超える場合、又は販売価格の最安値が所定値以下となった場合に、当該ユーザに対し通知する通知手段を備えているのに対して、引用例1発明では、そうではない点。

6.当審の判断
上記相違点について検討する。

[相違点1]について
上記摘記事項(ウ)に、「また、POSシステムなどの商品管理システムが導入されていない店舗は、ホスト2の入力用端末15から商品情報を入力することができる。」と記載されているように、引用例1発明では、販売価格などの商品情報を、POSシステムによる自動送信と並んで端末から入力することも可能な構成とされている。そして、販売価格はもともと販売者により決定されるものであることを考慮するならば、販売価格を入力するための端末を、販売価格を決定する販売者側にも配置して、販売者が販売価格を入力できるようにすることは、ごく自然な発想であるといえる。してみると、引用例1発明において、販売者側に販売価格を入力する端末を配置し、販売者からの入力に基づいて販売価格が更新されるようにすることは、当業者が必要に応じて想起し得た事項である。
即ち、引用例1発明に基づいて、本願発明の相違点1に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点2]について
まず、価格順番記憶手段の情報処理を行う仕組みについて検討すると、本願発明における「価格順位記憶手段」は、「商品ごとに低価格順における上位所定数内に含まれる販売価格及び対応する販売者の情報を抽出し、価格順位情報として記憶し更新する」機能を有するものであるわけであるから、単なる記憶機能のみならず、情報を読み出して加工する機能も併せて備え、加工した結果の情報を格納し更新する手段として解することができる。一方、引用例1発明においては、情報を読み出して加工する加工部とソート価格格納手段とが協働して価格順番記憶手段を構成するものであるから、情報処理の仕組みとしては、本願発明における「価格順位記憶手段」と引用例1発明における「加工部とソート価格格納手段とが協働したもの」とは、実質的に同等であるといえる。
次に、価格の順番を表す情報について検討すると、引用例1発明においては、商品の種類ごとに価格の安い順番に価格及び対応する販売店名をソートすることに留まるものの、当該ソートされた情報は、そもそもが、消費者が希望する商品を有利に購入できるようにするための情報であることから、消費者にとって関心があるのは、希望する商品の低価格順における上位所定数内に含まれる販売価格及び対応する販売者の情報であることは、社会常識に照らし明らかである。また、一定の基準に従ってソートされた情報に関して、上位所定数内に含まれる情報に注目し、この上位の情報を抽出することは、多くの分野で普通に行われていることである。そうすると、引用例1発明において、価格の安い順番にソートされた販売価格及び対応する販売者の情報に関して、商品ごとに低価格順における上位所定数内に含まれる販売価格及び対応する販売者の情報を抽出し、価格の順番を表す情報として記憶し更新するようにすることは、当業者が容易に想到し得た事項である。
即ち、引用例1発明に基づいて、本願発明の相違点2に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点3]について
相違点3に係る本願発明の構成は、通知手段がユーザに対し通知する場合として、「販売価格の最安値が変更された場合」、「販売価格の最安値の変動率が所定値を超える場合」、「販売価格の最安値が所定値以下となった場合」の3つの場合を択一的なものとしているが、このうち「販売価格の最安値が変更された場合」を選択して、販売価格の最安値が変更された場合にユーザに対し通知する通知手段を備える構成もまた、相違点3に係る本願発明の構成と解することができるので、以下、当該構成を前提として検討する。
引用例2には、顧客が何度も調べることなく、商品の価格の変更などの商品状況を把握できるようにするために、顧客がピックアップした商品の価格が変更された場合、価格の変更などの商品状況を顧客用端末装置上に通知することが開示されている。
一方、消費者が、購入を検討している商品の最安値の状況を調べ、商品を購入するときの判断材料の一つとすることは、社会常識であるといえるし、また、引用例1において、上記摘記事項(ウ)に、「加工部12では、ファイル14に格納された商品情報を商品の種類ごとに区分けして価格の安い順番にソートする(ステップS3)。商品検索システム1は、この加工した情報をインターネット6上に公開する(ステップS4)。」と記載され、既に検討した事項を踏まえれば、当該公開される情報は「常に最新のもの」であるわけであるから、引用例1発明では、消費者が最安値の最新の状況を常に把握できるようにするという要請が内在することは明らかである。
してみると、引用例1発明において、消費者が最安値の最新の状況を常に把握できるようにするために、引用例2記載の発明の技術を適用して、ユーザが指定した商品について、販売価格の最安値が変更された場合に、当該ユーザに対し通知する通知手段を設けることは、当業者が容易に想到できたことである。
即ち、引用例1発明及び引用例2に記載された発明に基づいて、本願発明の相違点3に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。

7.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用例1発明及び引用例2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-01-30 
結審通知日 2007-01-31 
審決日 2007-03-23 
出願番号 特願2000-64192(P2000-64192)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 篠原 功一岩間 直純宮久保 博幸  
特許庁審判長 佐藤 伸夫
特許庁審判官 久保田 健
久保田 昌晴
発明の名称 情報処理システム及びその方法、並びにコンピュータ上で動作する情報処理プログラムを記録した記録媒体  
代理人 大賀 眞司  
代理人 田中 克郎  
代理人 稲葉 良幸  
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