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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1177194
審判番号 不服2004-8358  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-22 
確定日 2008-05-08 
事件の表示 特願2001-212729「ポイント管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 1月31日出願公開、特開2003- 30515〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成13年7月12日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成20年1月21日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるものである。

「遊技店の会員として会員登録を行った会員に対してそれぞれ発行された会員記録媒体の識別情報に対応付けて、前記遊技店における遊技機に遊技媒体として投出可能な個数に相当する有価価値の残度数を少なくとも記憶する記憶装置と、当該記憶装置に記憶された有価価値の残度数を加算するために必要な入金を前記会員記録媒体とともに受け入れる入金装置とからなる遊技システムに適用されるポイント管理システムであって、
前記記憶装置は、
前記会員記録媒体に記録された識別情報に対応付けて、当該会員記録媒体を有する会員に来店数を含む利用状況に応じて付与されて遊技媒体以外の物品への交換券に還元されるサービスポイントの残度数を記憶するポイント管理テーブルと、
前記有価価値の残度数を加算するために前記会員記録媒体を受け入れた入金装置から当該会員記録媒体の識別情報を受信した場合に、前記有価価値の残度数を加算する処理に先立って、当該識別情報に対応付けて前記ポイント管理テーブルに記憶されているサービスポイントの残度数を読み出して前記入金装置に送信する残度数送信手段とを備え、
前記入金装置は、
前記有価価値の残度数を加算するために前記会員記録媒体が受け入れられた場合に、前記有価価値の残度数を加算する処理に先立って、当該会員記録媒体の識別情報を前記記憶装置に送信する識別情報送信手段と、
前記記憶装置から前記識別情報の送信に対する応答として前記サービスポイントの残度数を受信した場合に、前記有価価値の残度数を加算する処理に先立って、当該サービスポイントの残度数を出力する残度数出力手段と
を備えたことを特徴とするポイント管理システム。」


2.引用例
これに対して、当審の拒絶の理由に引用された,本願の出願日前に頒布された刊行物である、特開2000-218022号公報(以下「引用例1」という。)、特開2000-176135号公報(以下「引用例2」という。)、特開平8-103549号公報(以下「引用例3」という。)には、それぞれ,図面とともに次の事項が記載されている。

2-1.引用例1
(ア)「【請求項1】 カードを特定可能な識別情報を予め記録される会員カードと、
挿入される会員カードの識別情報を読取り、読取った識別情報を出力すると共に、遊技媒体の貸出を受ける所望金額を入力可能な入力部を設けられ、貸出を受ける所望金額を貸出希望情報として出力する遊技媒体貸出部と、
挿入される会員カードの識別情報を読取り、読取った識別情報を出力するポイント還元部と、
遊技媒体貸出部、及び、ポイント還元部と信号入出力可能に設けられ、会員カードに対応させて識別情報を記憶すると共に、識別情報に対応させて、遊技媒体を貸出可能な金額、及び、貸出した遊技媒体に応じて発生させる利用ポイントを記憶するカード情報記憶部を有し、予め記憶された金額の範囲で貸出希望情報分の遊技媒体を貸出させる貸出情報、及び、記憶された利用ポイントに対応する遊技媒体の数を表すポイント情報を出力可能であり、遊技媒体貸出部から識別情報、及び、貸出希望情報を入力すると、貸出情報を遊技媒体貸出部へ出力すると共に貸出した金額を記憶された貸出可能な金額に減算記憶し、予め記憶された利用ポイントに貸出情報分の遊技媒体の数に応じた利用ポイントを加算記憶し、ポイント還元部から識別情報を入力すると、ポイント情報をポイント還元部へ出力する管理演算処理部とからなり、
遊技媒体貸出部は、管理演算処理部から貸出情報を入力すると貸出情報分の遊技媒体を貸出し、ポイント還元部は、管理演算処理部からポイント情報を入力するとポイント情報分の遊技媒体を貸出すことを特徴とする遊技媒体貸出装置。」(【請求項1】)

(イ)「【0001】【発明の属する技術分野】 この発明は、遊技場に於ける会員カードを使用した貸出装置に関し、詳細には、パチンコ遊技場、或は、貸出しを受けたメダルによって遊技を行う遊技場等で使用する会員カードを使用した遊技媒体の貸出装置に関する。」(段落【0001】)

(ウ)「【0017】2は遊技媒体貸出部である台間玉貸機である。台間玉貸機2は、ゲーム機1の間にそれぞれゲーム機1に対応して設置される。以後、この実施の形態では、遊技媒体をパチンコ玉という。台間玉貸機2には、カード挿入口21と、貸玉供給管22が設置される。・・・(中略)・・・そして、台間玉貸機2は、入力された所望する金額を貸出希望情報として出力可能であると共に、入力された暗証情報を暗証情報として出力可能である。・・・(中略)・・・更に又、台間玉貸機2には、会員カードがカード挿入口21に挿入されると会員カードに磁気記録された識別情報を読取り可能なリーダ/ライタ(図示せず)が設けられる。そして、台間玉貸機2は、後述する管理演算処理部である管理コンピュータ7と信号入出力可能に接続され、読取られた識別情報と、入力された暗証情報及び貸出情報とを管理コンピュータ7へ出力可能である。
【0018】更に、台間玉貸機2には、表示部25を設ける。表示部25は、この実施の形態では4桁の数字を表示可能であり、管理コンピュータ7から入力する表示信号により遊技媒体を貸出可能な金額、或は、貸出可能な金額に相当するパチンコ玉数を表示可能である。18は、表示切換キーである。表示切換キー18は、プッシュスイッチであり、表示部25への表示を、管理コンピュータ7から入力するポイント情報の表す還元可能なパチンコ玉数と貸出可能な金額或はパチンコ玉数との表示の切換が可能である。」(段落【0017】-【0018】)

(エ)「【0020】4は、会員カードである。会員カード4は、この実施の形態では図2に表すように磁気カードまたはICカードからなり、カードを特定可能な識別情報、例えば、会員コード、会員ナンバー等が帯状の磁気記憶部42に予め記憶されると共に、会員カード表示部41に会員名或いは会員の生年月日等を表示可能である。勿論、会員カード表示部41には、その他会員に関する情報を表示することも可能である。このように、金額情報付加機3で付加される遊技媒体の貸出可能な金額または玉数が会員カード4に記憶されていないため、記憶媒体の改竄等による不正事故の発生を防止可能である。」(段落【0020】)

(オ)「【0023】7は、管理演算処理部である管理コンピュータである。管理コンピュータ7は、台間玉貸機2、 金額情報付加機3、ポイント還元機5、及び、カード発行機6に接続され、夫々と信号入出力可能である。管理コンピュータ7には、カード情報記憶部71を設ける。カード情報記憶部71は、カード発行機6から入力する会員カード4毎に異なる識別情報を記憶可能であると共に、識別情報に対応して暗証情報を記憶可能である。更に、カード情報記憶部71は、識別情報の表す会員カード4でパチンコ玉を貸出可能な金額、及び、貸出したパチンコ玉数に応じて発生させる利用ポイントを記憶可能である。
【0024】カード情報記憶部71では、記憶するパチンコ玉を貸出可能な金額は、金額情報付加機3から入力する金額情報を、既に記憶されているパチンコ玉を貸出可能な金額に加算して更新記憶可能である。勿論、初期状態では、記憶される貸出可能な金額は「0」である。そして、同様に、パチンコ玉を貸出可能な金額は、台間玉貸機2から入力する貸出希望情報の表す金額を、既に記憶されている貸出可能な金額から減算して更新記憶可能である。従って、カード情報記憶部71に記憶されるパチンコ玉を貸出可能な金額は、パチンコ玉を貸出すことで、減算されて再び記憶され、遊技者が金額情報付加機3でパチンコ玉の借受けを行うことで、加算されて再び記憶される。又、カード情報記憶部71に記憶される利用ポイントは、台間玉貸機2から入力する貸出希望情報によって表される金額分のパチンコ玉数を貸出した場合に、貸出したパチンコ玉数に対応する利用ポイントを加算され更新記憶可能である。勿論、パチンコ玉の貸出を行うまでは、利用ポイントは「0」である。従って、利用ポイントは、パチンコ玉を貸出す度に加算記憶され、このとき、付加される利用ポイントは、貸出したパチンコ玉100個に対して5ポイント加算される。即ち、貸出したパチンコ玉数の5パーセントが利用ポイントとして加算される。そして、利用ポイントを表すポイント情報は利用ポイント数のパチンコ玉を貸出可能な情報である。
【0025】又、管理コンピュータ7は、台間玉貸機2から識別情報、暗証情報、及び、貸出希望情報を入力すると、識別情報に対応して記憶された暗証情報と入力した暗証情報とを照合して、一致した場合には貸出希望情報によって表される金額分のパチンコ玉の貸出を許可する貸出情報を台間玉貸機2に出力可能であると共に、一致しない場合には貸出せない旨を表す貸出不可情報を台間玉貸機2へ出力可能である。尚、貸出情報によって貸出せるパチンコ玉数は、識別情報に対応して記憶されている金額分までであり、これを越える貸出希望数の場合には、貸出情報は記憶された金額とする。更に、既に記憶する貸出可能な金額が「0」の場合にも貸出不可情報を出力し、パチンコ玉の貸出をさせない。又、貸出不可情報には、貸出不可の理由が暗証情報の不一致によるものなのか金額が「0」によるものなのかを表す情報を含ませても良い。管理コンピュータ7は、図3(a)に表すように、台間玉貸機2に貸出許可情報を出力すると同時に、台間玉貸機2の表示部25に記憶された貸出可能な金額を表示させる表示信号を出力可能である。図3(a)の表示例は、右端に表示される数字が100の位を表す最小単位100の表示である。従って、図3(a)の表示は4200円分の貸出可能な金額が記憶されていることを表している。このように、管理コンピュータ7の出力する表示信号は、貸出情報を出力する都度更新された貸出可能な金額を表示部25へ表示させる。この実施の形態では、表示信号が表示させるのは貸出可能な金額としたが、貸出可能な金額をパチンコ玉数に換算してその玉数を表示させても良い。又、記憶する貸出可能な金額が「0」の場合には、貸出不可情報を出力し、既に貸出可能な金額が「0」であることを表示させる表示信号を出力する。又、表示部25の表示を図3(b)に表すように「0」とした場合には、所定時間経過後、表示部25の表示を図3(c)に表すようにポイント数による貸出可能なパチンコ玉数の表示に切換える。その際、表示する数字の先頭にポイント数を表す「P」の文字を付加して表示させ、最小単位は1として表示させる。従って図3(c)の表示例は、70ポイントを表し、貸出可能なパチンコ玉数が70であることを表している。この利用ポイント数の表示は、台間玉貸機2に設けられるキー18の操作によっても切換え可能とする。この実施の形態では、ポイント情報は利用ポイントと1:1の割合で対応するよう計算されるが、利用ポイント1に対して貸出し可能な玉数を2と設定してポイント情報は1:2で計算するよう構成することも可能であり、この場合には、利用ポイント70に対応する前記図3(c)の表示は「P140」と表示させる表示信号が管理コンピュータ7から出力される。又、表示するポイントは「P70」と利用ポイントを表示させて、実質的に還元する玉数を1:2の割合で計算した140個となるように構成してもよい。」(段落【0023】-【0025】)

(カ)「【0029】次に、この実施の形態の作用について説明する。利用者は、カード発行機6に暗証情報を入力し、会員カード4の発行を受ける。その際遊技者は、入力部61から暗証情報を入力する。以後、入力した暗証情報が管理コンピュータ7に記憶されることとなるので、遊技者は暗証情報を自身で記憶しておく。カード発行機6は、会員カード4に識別情報を記録して発行すると共に、記録した識別情報及び入力された暗証情報を管理コンピュータ7へ出力する。管理コンピュータ7では、カード発行機6から入力した識別番号を記憶すると共に、識別番号に対応させて暗証情報を記憶する。このとき、識別情報に対応させてパチンコ玉を貸出可能な金額を「0」として記憶していると共に、利用ポイントを「0」として記憶している。」(段落【0029】)

(キ)「【0030】会員カード4を所有する遊技者は、会員カード4を金額情報付加機3のカード挿入口32に挿入してパチンコ玉の貸出を希望する分の現金を現金投入口31へ挿入する。すると、金額情報付加機3では、会員カード4に記憶された識別情報を読み取り、識別情報及び挿入された現金の金額を表す金額情報を管理コンピュータ7へ出力する。管理コンピュータ7では、入力した識別情報に対応させて、金額情報の表す金額(パチンコ玉を貸出可能な金額)を記憶する。その際、入力した識別番号に対応して記憶された金額が「0」でない場合には、記憶されていた金額に加算記憶される。この実施の形態では、管理コンピュータ7に記憶される金額情報は、現金の金額として記憶するが、管理コンピュータ7へ貸出可能な現金を記憶するとは、現金の金額相当分のパチンコ玉数を記憶する実施の形態を含む。即ち、金額情報付加機3の現金投入口3から5000円を投入して、5000円分の金額情報が管理コンピュータ7へ出力された時に、管理コンピュータでは、所定の変換率、例えば、4:1(パチンコ玉1個4円相当)の変換率で、換算して250個のパチンコ玉が貸出可能なデータとして記憶される実施の形態である。従って、管理コンピュータ7に貸出可能なパチンコ玉数が記憶された状態で会員カード4が貸出可能なカードとして使用可能となる。又、予め当該カード4の識別情報に対応して記憶された貸出可能なパチンコ数が「0」でない場合には、記憶されていた貸出可能なパチンコ玉数に加算記憶される。」(段落【0030】)

(ク)「【0036】又、この実施の形態では、ポイント還元はポイント還元機5により行うよう構成したが、ポイント還元機5の機能を台間玉貸機に付加して構成し、台間玉貸機2によってもポイント還元可能に構成することも可能である。即ち、台間玉貸機2にポイント還元するように指示する押しボタンスイッチ(図示せず)を付加し、この押しボタンスイッチを押圧することで台間玉貸機2がポイント還元機5の作用を行い、既に読取った識別情報及び入力された暗証情報と共に、ポイント還元を要求する情報であることを認識させる情報を管理コンピュータ7に出力する。管理コンピュータ7では、入力した信号がポイント還元を要求する信号入力であることを認識して、以下、ポイント還元機5と同様の作用を行い、ポイント情報を台間玉貸機2へ出力する。台間玉貸機2では、入力したポイント情報の表す数のパチンコ玉を貸出す。更に又、台間玉貸機2の機能は、会員カード2の利用のみを記載したが、従来同様、プリペイドカード、或は、現金による貸出が可能に構成することも可能である。」(段落【0036】)

また、上記摘記事項(ア)?(ク)の記載からすると、引用例1は、遊技システムに適用されるポイント管理システムを対象とするものといえる。

また、上記摘記事項(ク)の記載からすると、台間玉貸機は、会員カードを受け入れるとともに現金により遊技媒体を貸出する手段を備えているものといえる。

また、上記摘記事項(ウ)、(オ)には、台間玉貸機の表示部は、管理コンピュータから入力するポイント数と貸出可能なパチンコ玉数との表示を、キー18によって表示切換が可能であると記載されていることから、引用例1には、利用ポイントと貸出可能なパチンコ玉数が入力されて、利用ポイントを表示する利用ポイント表示手段が記載されているといえる。

また、管理コンピュータと台間玉貸機との間の情報の入出力は、技術常識に照らしてみれば、情報が送受信されていることは明らかであり、そのために、管理コンピュータ及び台間玉貸機に送信手段が備わっていることは自明であるといえる。

してみると、引用例1には、
「遊技場の会員に対してそれぞれ発行された会員カードの識別情報に対応づけて、前記遊技場におけるゲーム機に供給される遊技媒体の貸出可能な玉数を少なくとも記憶する管理コンピュータと、当該管理コンピュータに記憶された前記玉数を加算するために必要な現金を会員カードとともに挿入される金額情報付加機と、台間玉貸機とからなる遊技システムに適用されるポイント管理システムであって
前記管理コンピュータは、
前記会員カードに記録された識別情報に対応付けて、貸出可能な玉数と当該会員カードを有する会員に遊技媒体の貸出に応じて付与されて遊技媒体に還元される利用ポイントとを記憶するカード情報記憶部と、
遊技を行うために前記会員カードが挿入された台間玉貸機から当該会員カードの識別情報と貸出希望情報を受信した場合に、当該識別情報に対応付けて前記カード情報記憶部に記憶されている貸出可能な玉数と利用ポイントを読み出して前記台間玉貸機に送信する送信手段とを備え、
前記台間玉貸機は、
会員カードを受け入れるとともに入金により遊技媒体を貸出する手段と、
遊技を行うために前記会員カードが挿入されて遊技媒体の貸出希望が入力された場合に、当該会員カードの識別情報と貸出希望情報を前記管理コンピュータに送信する送信手段と、
前記管理コンピュータから前記識別情報と貸出希望情報の送信に対する応答として前記貸出可能な玉数と利用ポイントを受信し、当該利用ポイントを表示する利用ポイント表示手段と
を備えたことを特徴とするポイント管理システム。」
の発明(以下「引用例1発明」という。)が記載されていると認められる。

2-2.引用例2
(ケ)「【0019】本実施例1において用いた遊技用装置は、図1に示すように、遊技場内に設置された遊技島1に所定の台数が並設されて使用され、該遊技用装置は、遊技媒体であるパチンコ玉が封入された封入式パチンコ台2と、該パチンコ台2の側部位置に各パチンコ台2毎に1対1にて配置されたカードユニット3とから構成されている。」(段落【0019】)

(コ)「【0038】この本実施例1のカードユニット3の構成を説明すると、図5に示すように、前記動作ランプ10や、テンキーや決定キーおよびクリアキーから成る前記入力部11や、前記処理中ランプ12や、前記各インジケータ9,13a,13bに加えて、前記表示部5の表示動作の制御を行う表示ドライバ51と、前記ICカード挿入口7に連設され、所定金額が投入されることにより新規のICカード37の発行を実施するともに、挿入されるICカード37から前記識別情報(ID)や有価価値情報等の種々の情報の読み出しを行い、投入された合計金額に該当する度数と前記特定された度数とが合算処理されて算出された新たな度数の大きさを特定可能な情報や遊技により獲得された新たな得点データ等の書き込みを行うICカードリーダライタ54と、前記硬貨投入口4に連設され、該硬貨投入口との連通路に硬貨の投入を検知する検知手段としての硬貨センサ46’を有し、投入硬貨の識別を行う硬貨識別ユニット46と、前記紙幣挿入口8に連設され、該紙幣挿入口8との連通路に紙幣の挿入を検知する紙幣センサ53’を有し、投入紙幣の検出および該紙幣の識別を行う紙幣識別ユニット53と、前記投入された貨幣の合計金額や、前記挿入されたICカード37から読み出しおよび書き込まれる各種情報データ等を記憶するとともに、カードユニット制御部である前記MPU50が実行する制御内容等が記述された制御プログラム等を記憶する記憶部52と、通信ケーブル48を介して管理コンピュータ49とのデータ通信を行うための通信部47と、これら各部の制御等を行うとともに前記硬貨識別ユニット46および紙幣識別ユニット53からの出力に基づき投入された貨幣の合計金額を算出する前記MPU50と、を具備しており、これら各部は図5に示すように接続されて前記ICカード37を新規に発行可能とされているとともに、既に発行されているICカード37に投入される金額に該当する有価価値である度数デ-タを加算して遊技に使用可能とする追加入金処理が可能とされている。
【0039】これら本実施例1に用いた前記ICカード37の構成は、図7に示すように所定厚みとされ、その内部が凹状とされた樹脂製の基体81の該凹部外周所定位置に、テ-プオ-トボンディング(TAB)実装によりその内部にメモリ(図示せず)を内蔵した専用マイコン82が実装されるとともに、該専用マイコン82から該基体81の外周に沿うように設けられたパターンコイル83を有するフレキシブルプリント基板84が内挿され、該凹部全面がトップフィルム85にて覆われた構成とされており、これらICカード37は、前記ICカードリーダライタ54や後述する発行装置のICカードリーダライタ63に挿入されることで、該リーダライタから出力される電磁波が前記パターンコイル83に誘電起電力を生じさせて前記専用マイコン82が動作可能に付勢されるとともに、該パターンコイル83を介して図8に示す前記ICカードリーダライタ54および後述する発行入金装置45に設けられたICカードリーダライタ63との各種のデータ通信を電磁波により非接触にて実施可能とされた非接触ICカードとされており、該ICカード37には、前記のように予め個々のICカード37を識別可能とされた識別情報(ID)が付与、記録されている。」(段落【0038】-【0039】)

(サ)「【0044】これら前記カードユニット3や前記発行入金装置45は、図5に示すように通信ケーブル48を介して遊技用管理装置である管理コンピュータ49にデータ通信可能に接続されており、該管理コンピュータ49の構成は、図6に示すように、コンピュ-タ49内部にてデ-タの送受を行うデ-タバス112に、中央演算処理装置(CPU)113、RAM108、出力手段としての表示装置107、時間情報を出力可能なタイマ装置110、外部出力としてのプリント装置111、磁気ディスクや光磁気ディスクから成る記憶装置109、前記カードユニット3や発行入金装置45とのデ-タ通信を行う通信インタ-フェィス106、とが接続された通常のコンピュ-タであり、前記記憶装置109には、前記カードユニット3や発行入金装置45にて発行されたICカード37の識別情報(ID)が、該識別情報(ID)に対応する暗証番号や度数データおよび得点データとともに、該ICカード37の発行に関する購入金額情報や、追加入金金額情報が逐次更新、登録される発行カードデータベース(DB)と、前記カードユニット3や発行入金装置45に個別に付与された装置符号が、該装置符号に対応する発行に関する発行に関する購入金額情報や、追加入金金額情報とともに更新、登録される発行入金装置データベース(DB)と、予め設定された各時間単位毎の前記装置符号に対応する発行に関する発行に関する購入金額情報や、追加入金金額情報が記憶される時間別データベース(DB)とが記憶されている。」(段落【0044】)

(シ)「【0077】前記のように、例えば度数残数が「0」となった場合には、遊技者は遊技に供したい所望の金額、例えば千円札を、前記カードユニット3に設けられている紙幣投入口8より投入すると、該紙幣の挿入が前記紙幣識別ユニット53に設けられている紙幣センサ53’により検出されて、該検出が前記MPU50に出力される。」(段落【0077】)

(ス)「【0080】次いで、前記MPU50は該合計金額(追加入金金額)データおよび該合計金額に基づく度数データおよび前記ICカード37の識別情報(ID)と該カードユニット3に付与されている前記装置符号とを前記管理コンピュータ49に出力するとともに、前記処理中ランプ12を点灯させる。
【0081】管理コンピュータ49では、前記出力されてきた識別情報(ID)が前記発行カードDBに既に登録されているかを検索し、既に登録されていれば追加入金と判断するとともに、該識別情報(ID)に対応付けて登録されている入金金額データに前記合計金額(追加入金金額)データを加算するとともに、該識別情報(ID)に対応付けて登録されている度数データに該出力されてきた度数データが加算されて更新、登録され、更に前記出力されてきた装置符号と対応付けられて前記発行装置DBに登録されている入金金額データに前記合計金額(追加入金金額)データを加算して更新、登録し、前記加算により得られた新たな度数データおよび該更新、登録処理が完了したことを前記カードユニット3に返信する。
【0082】この返信に基づき、前記MPU50は処理が完了したことを認知して前記処理中ランプ12を消灯し、前記新たな度数データを前記持点制御用マイクロコンピュータ55に出力して前記度数表示部103に表示させる。」(段落【0080】-【0082】)

(セ)【0085】また、前記ではカードユニット3における追加入金処理の処理状況を説明したが、前記発行入金装置45においても、該カードユニット3と同様に管理コンピュータ49との各種データのやり取りが実施されて、管理コンピュータ49の前記発行カードDBおよび発行入金装置DBの各内容が更新されて管理されるとともに、該追加入金により加算処理にて算出された新たな度数データがICカード37に書き込まれて返却されることで、入金処理がなされるようになっている。(段落【0085】)

2-3.引用例3
(ソ)「【請求項2】 予め登録された顧客を特定可能なIDコードを含む情報が書き込まれた会員カードと、
この会員カードの書き込み情報を読み込み可能な情報読み込み手段と、
少なくとも文字データを表示可能に構成された表示手段と、
顧客の来店回数を示す来店ポイントを記憶するように設けられ、前記情報読み込み手段が前記会員カードから読み込んだ情報に基づいて当該会員カードが適正なものであるか否か判断すると共に、適正と判断した場合に1日につき1回のみ前記来店ポイントを加算する来店回数記憶手段と、
この来店回数記憶手段に記憶された来店ポイントが設定値に達したときに、予め設定された顧客サービスを受ける権利が発生した旨の情報を前記表示手段により表示させる表示制御手段と、
前記表示手段に表示された顧客サービスを受けるのに必要な引換券を発行する発券手段とを備えたことを特徴とする遊技場用の顧客管理システム。」(【請求項2】)

(タ)図14、図21、図24には、ポイントが遊技媒体以外の物品への引換券を発行する点が記載されている。(図14、図21、図24)


3.対比
そこで,本願発明と引用例1発明とを対比すると、引用例1発明の「遊技場」、「会員カード」、「ゲーム機」、「挿入」は、本願発明の「遊技店」、「会員記録媒体」、「遊技機」、「受け入れ」にそれぞれ相当する。

また、引用例1発明の「遊技媒体の貸出可能な玉数」は、遊技機に対して遊技媒体を投出することが可能な有価価値のある度数であるといえるから、本願の「遊技媒体として投出可能な個数に相当する有価価値の残度数」に相当する。

また、引用例1発明の「遊技媒体の貸出に応じて付与されて遊技媒体に還元される利用ポイント」と、本願発明の「来店数を含む利用状況に応じて付与されて遊技媒体以外の物品への交換券に還元されるサービスポイントの残度数」とは、「利用状況に応じて付与されるサービスポイントの残度数」である点で共通する。

また、引用例1発明の「カード情報記憶部」は、来店数を含む利用状況に応じて付与されて遊技媒体以外の物品への交換券に還元されるサービスポイントの残度数を記憶するものではないが、会員記録媒体に記録された識別情報に対応付けて、当該会員記録媒体を有する会員に利用状況に応じて付与されるサービスポイントの残度数を記憶する点で、本願発明の「ポイント管理テーブル」に対応し、引用例1発明の管理コンピュータが備える「送信手段」は、有価価値の残度数を加算するために会員記録媒体を受け入れた入金装置から会員録媒体の識別情報を受信し、有価価値の残度数を加算する処理に先立ってサービスポイントの残度数を送信するものではないが、会員記録媒体を受け入れた装置から当該会員記録媒体の識別情報を受信した場合に、当該識別情報に対応付けてポイント管理テーブルに記憶されているサービスポイントの残度数を読み出して装置に送信する点で、本願発明の「残度数送信手段」に対応するものである。
そうすると、引用例1発明の「管理コンピュータ」は、ポイント管理テーブル、残度数送信手段を備えている点で、本願発明の「記憶装置」に対応するものである。

また、引用例1発明の台間玉貸機が備える「送信手段」は、有価価値の残度数を加算するために会員記録媒体を受け入れ、有価価値の残度数を加算する処理に先立って識別情報を送信するものではないが、会員記録媒体を受け入れられた場合に、会員記録媒体の識別情報を記憶装置に送信する点で、本願発明の「識別情報送信手段」に対応し、引用例1発明の「利用ポイント表示手段」は、有価価値の残度数を加算する処理に先立ってサービスポイントの残度数を出力するものではないが、サービスポイントの残度数を受信し、サービスポイントの残度数を出力する点で、本願発明の「残度数出力手段」に対応するものである。
そうすると、引用例1発明の「台間玉貸機」は、有価価値の残度数を加算するものではないが、入金を受け入れるものであり、識別情報送信手段、残度数出力手段を備えている点で、本願発明の「入金装置」に対応するものである。

してみれば、本願発明と引用例1発明とは、
「遊技店の会員に対してそれぞれ発行された会員記録媒体の識別情報に対応付けて、前記遊技店における遊技機に遊技媒体として投出可能な個数に相当する有価価値の残度数を少なくとも記憶する記憶装置と、入金を受け入れる入金装置とからなる遊技システムに適用されるポイント管理システムであって、
前記記憶装置は、
前記会員記録媒体に記録された識別情報に対応付けて、当該会員記録媒体を有する会員に利用状況に応じて付与されるサービスポイントの残度数を記憶するポイント管理テーブルと、
前記会員記録媒体を受け入れた入金装置から当該会員記録媒体の識別情報を受信した場合に、当該識別情報に対応付けて前記ポイント管理テーブルに記憶されているサービスポイントの残度数を読み出して前記入金装置に送信する残度数送信手段とを備え、
前記入金装置は、
前記会員記録媒体が受け入れられた場合に、当該会員記録媒体の識別情報を前記記憶装置に送信する識別情報送信手段と、
前記記憶装置から前記識別情報の送信に対する応答として前記サービスポイントの残度数を受信し、当該サービスポイントの残度数を出力する残度数出力手段と
を備えたことを特徴とするポイント管理システム。」
という点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]本願発明の会員記録媒体は、遊技店の「会員として会員登録を行った」会員に対してそれぞれ発行された会員記録媒体であるのに対し、引用例1発明の会員記録媒体は、どのような会員に発行されているのか開示されていない点。

[相違点2]本願発明の入金装置は、「記憶装置に記憶された有価価値の残度数を加算するために必要な入金を前記会員記録媒体とともに受け入れる」入金装置であり、残度数送信手段は、「有価価値の残度数を加算するために」会員記録媒体を受け入れた入金装置から当該会員記録媒体の識別情報を受信するものであり、識別情報送信手段は、「有価価値の残度数を加算するために」会員記録媒体が受け入れられるものであるのに対し、引用例1発明の入金装置は、会員記録媒体や入金を受け入れるものであるが、有価価値の残度数を加算するために必要な入金を会員記録媒体とともに受け入れる点については記載されておらず、また、残度数送信手段は、遊技を行うために会員カードが挿入された入金装置から当該会員カードの識別情報を受信するものであり、識別情報送信手段は、遊技を行うために会員記録媒体を受け入れているものである点。

[相違点3]本願発明のサービスポイントの残度数は、「来店数を含む利用状況に応じて付与されて遊技媒体以外の物品への交換券に還元される」サービスポイントの残度数であるのに対し、引用例1発明のサービスポイントの残度数は、遊技媒体の貸出に応じて付与されて遊技媒体に還元されるサービスポイントの残度数である点。

[相違点4]本願発明の残度数送信手段は、「有価価値の残度数を加算する処理に先立って、」当該識別情報に対応付けてポイント管理テーブルに記憶されているサービスポイントの残度数を読み出して入金装置に送信するものであり、識別情報送信手段は、「有価価値の残度数を加算する処理に先立って、」当該会員記録媒体の識別情報を記憶装置に送信するものであり、残度数出力手段は、サービスポイントの残度数を受信し「た場合に、前記有価価値の残度数を加算する処理に先立って、」当該サービスポイントの残度数を出力するのものであるのに対し、引用例1発明では、そのような点については開示されていない点。

4.判断
上記相違点について検討する
[相違点1]について
一般に、会員として会員登録を行った会員に対して会員記録媒体を発行することは周知の事項であるから、引用例1発明の会員記録媒体を、遊技店の会員として会員登録を行った会員に対してそれぞれ発行された会員記録媒体とすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。

[相違点2]について
引用例2には、発行入金装置にて発行カードデータベースDBに記憶された度数データ(本願の「有価価値の残度数」に相当する)を加算するのに加え、遊技機の間に設置されたカードユニットにおいても、必要な入金をICカードとともに受け入れて、発行カードデータベースDBに記憶された度数データを加算することが記載されている。
そして、引用例1発明と引用例2とは、遊技機に遊技媒体を投出して遊技を行う遊技システムであるという同一の技術分野に属するものであるから、引用例1発明に引用例2に開示された技術事項を採用して、引用例1発明の入金装置(台間玉貸機)を「記憶装置に記憶された有価価値の残度数を加算するために必要な入金を前記会員記録媒体とともに受け入れる」ものとすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。
また、引用例1発明の入金装置を、記憶装置に記憶された有価価値の残度数を加算するために必要な入金を前記会員記録媒体とともに受け入れるものとすれば、残度数送信手段が「有価価値の残度数を加算するために」会員記録媒体を受け入れた入金装置から当該会員記録媒体の識別情報を受信し、また、識別情報送信手段が「有価価値の残度数を加算するために」会員記録媒体が受け入れるものとすることも当然に想到することができた事項である。

[相違点3]について
引用例3には、来店数に応じてポイントを付与し、該ポイントを遊技媒体以外の物品への引換券として発行してポイント還元を行ことが記載されている。
そして、引用例1発明と引用例3とは、遊技場のシステムであるという同一の技術分野に属するものであるから、引用例1発明に引用例3に開示された技術事項を採用して、「来店数を含む利用状況に応じて付与されて遊技媒体以外の物品への交換券に還元される」サービスポイントの残度数とすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。

[相違点4]について
[相違点2]についての検討で述べたとおり、引用例1発明において、入金装置(台間玉貸機)を「記憶装置に記憶された有価価値の残度数を加算するために必要な入金を前記会員記録媒体とともに受け入れる」ものとすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。
ここで、ポイントの出力表示をどのような手順で行うかは、ポイント管理システムを採用する業種・業態や、ポイントの蓄積状況をどのような処理段階で知りたい/通知したいかといったユーザ/事業者の要望等を勘案して、当業者が適宜決定する設計的事項であると認められ、一般に、ポイントカードやプリペイドカード等を用いてポイントや度数等の価値情報の管理を行うとともに所望のサービスを提供するシステムにおいて、まず初めにポイントカードやプリペイドカードを装置に受け入れて現在保有しているポイントや度数等の価値情報を表示し、その後にユーザからの操作を受け付けて所望のサービスを提供することが周知の技術であるから、引用例1発明において、入金装置(台間玉貸機)を「記憶装置に記憶された有価価値の残度数を加算するために必要な入金を前記会員記録媒体とともに受け入れる」ものとした際に、まず初めに会員記録媒体を受け入れて当該会員記録媒体の識別情報を記憶装置に送信し、該記憶装置から該識別情報に対応したサービスポイントの残度数を受信した場合に、当該サービスポイントの残度数を出力し、その後に入金を受け入れて有価価値の残度数を加算する操作を受け付けるものとして、残度数送信手段が「有価価値の残度数を加算する処理に先立って、」当該識別情報に対応付けてポイント管理テーブルに記憶されているサービスポイントの残度数を読み出して入金装置に送信し、識別情報送信手段が「有価価値の残度数を加算する処理に先立って、」当該会員記録媒体の識別情報を記憶装置に送信し、残度数出力手段がサービスポイントの残度数を受信し「た場合に、前記有価価値の残度数を加算する処理に先立って、」当該サービスポイントの残度数を出力するものとすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。

そして、本願発明の作用効果も、引用例1発明、引用例2、3に記載された事項及び周知の技術から当業者が予測できる範囲のものである。


5.むすび
したがって、本願発明は、上記引用例1発明、引用例2、3に記載された事項及び周知の技術から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-07 
結審通知日 2008-03-11 
審決日 2008-03-24 
出願番号 特願2001-212729(P2001-212729)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青柳 光代  
特許庁審判長 藤内 光武
特許庁審判官 山本 穂積
小山 和俊
発明の名称 ポイント管理システム  
代理人 中辻 史郎  

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