• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1177229
審判番号 不服2005-11247  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-06-16 
確定日 2008-05-08 
事件の表示 特願2002-336279「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 6月17日出願公開、特開2004-166964〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯等
本願は、平成14年11月20日の出願であって、平成16年11月30日付けで拒絶理由が通知され、これに対し平成17年2月4日付けで手続補正がされ、平成17年5月2日付けで拒絶査定がされ、これに対し平成17年6月16日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成17年7月19日付けで手続補正がされたものである。

第2.平成17年7月19日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年7月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「図柄を複数列に可変表示する白色発光ダイオードを内蔵した可変表示手段と、この可変表示手段の前面に配置された前側表示手段とを備え、この前側表示手段は、前記可変表示手段を透視可能な液晶表示パネルと、光透過性の樹脂からなり、側部にある光源から出射された光を前記液晶表示パネルの背面側全体に導くレンズカットが形成されている導光板と、この導光板の背後に設けられて前記光源から前記導光板に出射された光を前記液晶表示パネル側へ反射する白色の樹脂板からなる反射板とを含んで構成されていると共に、これら導光板および反射板には、前記可変表示手段の可変表示の視認性を確保する透過領域が、前記各列に対応して個別に設けられ、これら透過領域の周囲における前記反射板の背後であって前記可変表示手段の前側には、別の光源が備えられていることを特徴とする遊技機。」(以下、「本願補正発明」という。)と補正された。

上記補正は、補正前の「可変表示手段」について「白色発光ダイオードを内蔵した」との限定を付加し、補正前の「導光板」について「光透過性の樹脂からなり、」との限定及び「(前記液晶表示パネル)の背面側全体に導くレンズカットが形成されている」との限定を付加し、補正前の「光源」について「側部にある」との限定を付加し、補正前の「反射板」について「白色の樹脂板からなる」との限定を付加するものであるから、平成18年改正前特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用文献について
(1)引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-124290号(公開日:平成7年5月16日)(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。

・記載事項1-1
「【請求項1】 複数の回転リールを横方向に並列し、各回転リールの外周の表面に複数のシンボルマークを所定間隔で表示し、各回転リールの外周の表面の一部をフロントパネルに開設した表示窓に臨ませるとともに、各回転リールを回転させてシンボルマークを移動表示するスロットマシンにおいて、
上記フロントパネルには、前記表示窓の位置に少なくとも液晶表示装置を配置し、ゲームの開始前には液晶を遮光状態とするとともに、その遮光面にインフォメーションを液晶表示し、ゲーム中は液晶を透光状態としたことを特徴するスロットマシン。」(【特許請求の範囲】)
・記載事項1-2
「このスロットマシン10は、前扉の表面にフロントパネル20を設けている。そして、このフロントパネル20の高さの途中には、センターパネル21を設けている。」(段落【0015】)
・記載事項1-3
「センターパネル21のほぼ中央には、図2に示すように、3個の表示窓22?24を横並びに形成している。各表示窓22?24の内部には、各回転リール30?32の表面をそれぞれ臨ませている。そして、各表示窓22?24には、回転リール30?32を回転させることにより、上下方向に3個のシンボルマークを所定間隔で高速で移動表示させることができる。」(段落【0016】)
・記載事項1-4
「センターパネル21の裏側には、図1に示すように、液晶表示装置を構成する液晶パネル40が、センターパネル21の裏面のほぼ全体にわたって配置されている。」(段落【0018】)
・記載事項1-5
「液晶パネル40の裏側には、図1に示すように、液晶パネル40をその裏側から照明するためのバックライトユニット50が配置されている。」)(段落【0019】)
・記載事項1-6
「バックライトユニット50は、図1に示すように、各表示窓22?24の位置を除き、液晶パネル40の裏面のほぼ全体にわたって配置された面発光板51と、この乱反射板51の端面に配置された蛍光灯52とから構成されている。なお、面発光板51を、各表示窓22?24の位置を除いて配置したことから、液晶パネル40の透光状態では、スロットマシン10の内部に配置された各回転リール30?32のシンボルマークを、センターパネル21を透してスロットマシン10の前面より見ることができる。」(段落【0020】)
以上の記載事項1-1?1-6及び図1?10によれば、引用文献1には次の発明が記載されていると認められる。
「外周の表面に複数のシンボルマークを所定間隔で表示し、回転することによりシンボルマークを3個の表示窓22?24の移動表示させる回転リール30?32と、回転リール30?32の表面が臨む表示窓22?24が形成されたセンターパネル21の裏側のほぼ全体にわたって液晶パネル40を配置し、液晶パネル40の透光状態では、スロットマシン10の内部に配置された各回転リール30?32のシンボルマークを、センターパネル21を透してスロットマシン10の前面より見ることができるとともに、
端面に配置された蛍光灯52及び面発光板51からなるバックライトユニット50を液晶パネル40の裏側に配置して液晶パネル40をその裏側から照明するようにし、面発光板51を各表示窓22?24の位置を除いて配置したスロットマシン。」(以下、「引用発明1」という。)

(2)引用文献2について
当審で発見した特開2002-270022号公報(公開日:平成14年9月20日)(以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。

・記載事項2-1
「液晶表示装置用の照明手段としては、一般にバックライト面光源が多く用いられている。図7は従来のバックライト面光源の一例としてサイドライト方式の面光源を示すものである。バックライト面光源90は、図示しない液晶表示装置の背面に配設する導光板92と、その一辺に沿って配置される冷陰極放電管光源91と、その後ろ側に設けられたランプリフレクタ93とからなり、導光板表面にレンズカットやパターン印刷もしくは梨地状処理を施したり、乳白色拡散板を配置する等の光拡散手段94が形成され、導光板内に導かれた光を均一性に優れた面光源としている。また、導光板92背面には別体に作成された反射シート96が配設されている。なお、この従来例においては導光板92を冷陰極放電管光源側から反対側にかけて板厚を徐々に薄くした楔型断面形状としている。」(段落【0003】)
・記載事項2-2
「冷陰極放電管光源91から照射された光の一部は導光板92内に端面95から直接に入射し、残りの光の大部分はランプリフレクタ93により反射された後に導光板92内に端面95から入射する。導光板92内を伝播した光は導光板表面から出射し光拡散手段94および反射シート96により均一性に優れた面照明を行うものとされる。」(段落【0029】)
以上の記載事項2-1?2-2及び図7によれば、引用文献2には次の発明が記載されていると認められる。
「液晶表示装置の背面に配設され、表面にレンズカットが施された導光板92と、その一辺に沿って配置される冷陰極放電管光源91と、導光板92背面に別体に作成された反射シート96とからなる、液晶表示装置用照明装置としてのバックライト面光源90。」(以下、「引用発明2」という。)

3.対比
本願補正発明と引用発明1を対比する。
引用発明1の「シンボルマーク」及び「液晶パネル40」は、本願補正発明の「図柄」及び「液晶表示パネル」に相当する。引用発明1の「スロットマシン」が「遊技機」の一種であることは明らかである。
そして、その機能からみて、引用発明1の「外周の表面に複数のシンボルマークを所定間隔で表示し、回転することによりシンボルマークを3個の表示窓22?24の移動表示させる回転リール30?32」は、本願補正発明の「図柄を複数列に可変表示する可変表示手段」に相当する。
また、引用発明1の液晶パネル40は、回転リール30?32の前側に位置するセンターパネル21の裏面に配置されるものであるから、「可変表示手段の前面に配置された前側表示手段」ということができる。更に、液晶パネル40の透光状態では、各回転リール30?32のシンボルマークを、センターパネル21を透してスロットマシン10の前面より見ることができるから、液晶パネル40は「可変表示手段を透視可能な液晶表示パネル」ということができる。
更に、引用発明1の「端面に配置された蛍光灯52及び面発光板51からなるバックライトユニット50」は「液晶パネル40をその裏側から照明する」ものであるから、「液晶パネル用照明装置」といい換えることができる。そして、引用発明1において、「液晶パネル40の透光状態では、スロットマシン10の内部に配置された各回転リール30?32のシンボルマークを、センターパネル21を透してスロットマシン10の前面より見ることができる」ものであり、「面発光板51を各表示窓22?24の位置を除いて配置した」ものであるから、シンボルマークの各列の表示が行われる窓の位置すなわち面発光板51が配置されない位置は可変表示を見ることができる透過領域であることは明らかであり、引用発明1の面発光板51には可変表示装置の可変表示に視認性を確保する透過領域が各列に対応して個別に設けられているということができる。一方、本願補正発明の「光透過性の樹脂からなり、側部にある光源から出射された光を前記液晶表示パネルの背面側全体に導くレンズカットが形成されている導光板と、この導光板の背後に設けられて前記光源から前記導光板に出射された光を前記液晶表示パネル側へ反射する白色の樹脂板からなる反射板」は、液晶表示パネルの照明を行うものであるから、「液晶表示パネル用照明装置」ということができる。したがって、引用発明1及び本願補正発明は、「前側表示装置として液晶表示パネル用照明装置を含む」との構成を有し、「液晶表示パネル用照明装置には可変表示装置の可変表示の視認性を確保する透過領域が各列に対応して個別に設けられる」との構成を有する点で一致している。
そうすると、両者は、
「図柄を複数列に可変表示する可変表示手段と、可変表示手段の前面に配置された前側表示手段とを備え、前側表示手段は、可変表示手段を透視可能な液晶表示パネルと、液晶表示パネル用照明装置とを含んで構成され、液晶表示パネル用照明装置には可変表示装置の可変表示の視認性を確保する透過領域が各列に対応して個別に設けられる遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
可変表示手段が、本願補正発明では白色発光ダイオードを内蔵したのに対して、引用発明1ではそのような構成を有していない点。
<相違点2>
可変表示装置の可変表示の視認性を確保する透過領域が各列に対応して個別に設けられている液晶表示パネル用照明装置が、本願補正発明では、光透過性の樹脂からなり、側部にある光源から出射された光を液晶表示パネルの背面側全体に導くレンズカットが形成されている導光板と、この導光板の背後に設けられて前記光源から前記導光板に出射された光を前記液晶表示パネル側へ反射する白色の樹脂板からなる反射板とを含んで構成されているのに対し、引用発明1ではそのような構成を有するか不明である点。
<相違点3>
本願補正発明においては透過領域の周囲における反射板の背後であって可変表示手段の前側には別の光源が備えられているのに対し、引用発明1においてはそのような構成がない点。

4.判断
上記各相違点について検討する。
<相違点1>について
可変表示装置に白色発光ダイオードを内蔵させることは、下記の周知例(1)及び(2)に示されるように従来周知技術Aであるから、引用発明1において当該周知技術を採用し、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到し得ることである。
<相違点2>について
引用発明2の導光板はどのような樹脂から作成されるか不明であるが、液晶装置の導光板を光透過性の樹脂から作成することは慣用手段である。なお、引用文献2の段落【0013】にも「導光板2は例えば可視光透過率の高いアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂のような材料により作成され」と記載されている。
また、引用発明2において、導光板92の一辺に沿って配置される冷陰極放電管光源91は「側部にある光源」ということができ、当該光源から出射された光はレンズカット等の光拡散手段94および反射シートにより均一性に優れた面照明を液晶表示装置の背面から行うものであり、反射シート96は導光板に出射された光を液晶表示装置側へ反射するものであることは明らかであるから、引用発明2は「側部にある光源から出射された光を液晶表示パネルの背面側全体に導くレンズカットが形成されている導光板と、この導光板の背後に設けられて前記光源から前記導光板に出射された光を液晶表示パネル側へ反射する反射シート」なる構成を実質的に有していると認められる。
更に、液晶装置のバックライト方式の面光源において、「白色の樹脂板からなる反射板」を用いることは、下記の周知例(3)及び(4)に示されるように従来周知技術Bであり、導光板に出射された光を反射する部材として「白色の樹脂板からなる反射板」を用いることは設計的事項に過ぎない。
そうすると、引用発明1に引用発明2を適用する、すなわち、引用発明1においてバックライトユニット50に代えて引用発明2の「側部にある光源から出射された光を液晶表示パネルの背面側全体に導くレンズカットが形成されている導光板と、この導光板の背後に設けられて前記光源から前記導光板に出射された光を液晶表示パネル側へ反射する反射シート」を採用し、その際に、導光板を「光透過性の樹脂からなるもの」とするとともに、反射する部材として「白色の樹脂板からなる反射板」を用いることにより、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到し得ることである。
<相違点3>について
図柄を視認可能な窓の背後であって可変表示手段の前側に可変表示手段を照らす光源を図柄を背後から照らす光源とともに設けることは、下記の周知例(5)及び(6)に示されるように従来周知技術Cであり、照明を行う際に効果的な位置に光源を配置することは当然考慮すべき事項であるから、上記「<相違点2>について」で検討した如く液晶パネル用照明装置を導光板及び反射板を含むものとする際に、導光板および反射板の透過領域の周囲における反射板の背後に上記周知技術Cを適用し、相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到し得ることである。
そして、本願補正発明の効果は、引用発明1、引用発明2、上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明1、引用発明2、上記各周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

<周知例>
(1)特開平11-155999号公報
「LED素子も白色光もしくはそれに近い色で発光するものを用いた」(段落【0027】)と記載されている。
(2)特開平10-328350号公報
「バックライトは白色LED31から構成されているため、光源の寿命は従来の白熱電球よりも飛躍的に長くなる」(【要約】【解決手段】)と記載されている。
(3)特開平11-38410号公報
「暗い環境下では、図7に示すように、バックライトユニットの光源であるエッジライト式冷陰極管1を点灯させ、そこからの光を導光板4により導光すると共に拡散板5で拡散させて画面全体に均一に偏らないようにし、液晶表示パネル6の背面から入射させる。このとき、エッジライト式冷陰極管1から白色反射板3に向かった光は、白色反射板3で反射され、導光板4および拡散板5を介して液晶表示パネル6側に入射される。これにより、透過型の液晶表示装置としての表示が得られる。」(段落【0029】)と記載されている。
(4)特開2001-5406号公報
「第1ホルダ5には、導光板の裏面23と対向してこれを覆い表面が反射面である裏面部としての後面反射面51」(段落【0031】)と記載され、「第1ホルダ5及び第2ホルダ6は、例えば、ポリカーボネート等の遮光性を有する樹脂で形成され、更に白色の顔料あるいは反射率を向上させる材料(例えば二酸化チタン)を混入させることで、全体が白色に形成され高い反射率を有している。」(段落【0034】)と記載されている。したがって、第1ホルダ5の後面反射面51が形成されている部分は、白色反射板ということができる。
(5)特許第2714739号公報
「この蛍光管41は、リールユニット30の3個の回転リール12?14の外側に配置されている。より具体的には、スロットマシン10のフロントパネルの窓部11の裏側に位置し、3個の回転リール12?14の斜め上方に、ほぼ水平に配置されている。」(段落【0025】)、「このため、蛍光管41の光により、3個の回転リール12?14のそれぞれの絵柄92が明るく照らし出される。」(段落【0029】)、「各回転リール12?14のそれぞれ内側に位置するとともに、前記ベース50に対して固定され、3個の回転リール12?14をその内側から個々に照明する発光源としての3本の蛍光管70・・・とを備えている。」(段落【0019】)と記載されている。
(6)特開2001-170244号公報
「正面パネル11の背後には、各シンボル表示窓20a,20b,20cの上方位置に対応させて蛍光灯34が配備される。この蛍光灯34は、図5に示すように、正面パネル11の背面に連接された支持部材35により支持されて、各リール8a,8b,8cの外周面を斜め上方位置から照明する。」(段落【0030】)、「さらに各リール8a,8b,8cの裏側には、それぞれ各シンボルの停止表示位置を個別に照明するための3個の光源21が配備される」(段落【0031】)と記載されている。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法17条の2第5項で準用する同法126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。
第3.本願発明について
1.本願発明の認定
平成17年7月19日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年2月4日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「図柄を複数列に可変表示する可変表示手段と、この可変表示手段の前面に配置された前側表示手段とを備え、この前側表示手段は、前記可変表示手段を透視可能な液晶表示パネルと、光源から出射された光を前記液晶表示パネル全体に導く導光板と、この導光板の背後に設けられて前記光源から前記導光板に出射された光を前記液晶表示パネル側へ反射する反射板とを含んで構成されていると共に、これら導光板および反射板には、前記可変表示手段の可変表示の視認性を確保する透過領域が、前記各列に対応して個別に設けられ、これら透過領域の周囲における前記反射板の背後であって前記可変表示手段の前側には、別の光源が備えられていることを特徴とする遊技機。」

2.引用文献について
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-124290号公報(上記引用文献1と同じ)に記載された事項は、上記「第2.」「2.」「(1)引用文献1について」で摘記したとおりである。

3.対比
本願発明と引用発明1を対比する。
本願発明は、前記「第2.」で検討した本願補正発明から、「可変表示手段」についての「白色発光ダイオードを内蔵した」との構成、「導光板」についての「光透過性の樹脂からなり、」及び「(前記液晶表示パネル)の背面側全体に導くレンズカットが形成されている」との構成、「光源」についての「側部にある」との構成、「反射板」についての「白色の樹脂板からなる」との構成を省いたものである。
そうすると、上記「第2.」「3.対比」で検討したと同様の理由により、両者は、
「図柄を複数列に可変表示する可変表示手段と、可変表示手段の前面に配置された前側表示手段とを備え、前側表示手段は、可変表示手段を透視可能な液晶表示パネルと、液晶表示パネル用照明装置とを含んで構成され、液晶表示パネル用照明装置には可変表示装置の可変表示の視認性を確保する透過領域が各列に対応して個別に設けられる遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点4>
可変表示装置の可変表示の視認性を確保する透過領域が各列に対応して個別に設けられている液晶表示パネル用照明装置が、本願補正発明では、光源から出射された光を液晶表示パネル全体に導く導光板と、この導光板の背後に設けられて前記光源から前記導光板に出射された光を前記液晶表示パネル側へ反射する反射板とを含んで構成されているのに対し、引用発明1ではそのような構成を有するか不明である点。
<相違点5>
本願発明においては透過領域の周囲における反射板の背後であって可変表示手段の前側には別の光源が備えられているのに対し、引用発明1においてはそのような構成がない点。

4.判断
上記各相違点について検討する。
<相違点4>について
液晶表示パネル用照明装置を、光源から出射された光を液晶表示パネル全体に導く導光板と、この導光板の背後に設けられて前記光源から前記導光板に出射された光を前記液晶表示パネル側へ反射する反射板とを含むものとすることは、上記周知例(3)、(4)に示されるように従来周知技術Dであるから、引用発明1において当該周知技術を採用し、相違点4に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到し得ることである。
<相違点5>について
図柄を視認可能な窓の背後であって可変表示手段の前側に可変表示手段を照らす光源を図柄を背後から照らす光源とともに設けることは、上記の周知例(5)及び(6)に示されるように従来周知技術Cであり、照明を行う際に効果的な位置に光源を配置することは当然考慮すべき事項であるから、上記「<相違点4>について」で検討した如く液晶パネル用照明装置を導光板及び反射板を含むものとする際に、導光板および反射板の透過領域の周囲における反射板の背後に上記周知技術Cを適用し、相違点5に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到し得ることである。

そして、本願発明の効果は、引用発明1、上記各周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、引用発明1、上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-04 
結審通知日 2008-03-11 
審決日 2008-03-24 
出願番号 特願2002-336279(P2002-336279)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池谷 香次郎鉄 豊郎  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 ▲吉▼川 康史
土屋 保光
発明の名称 遊技機  
代理人 峯岸 武司  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ