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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1177308
審判番号 不服2005-14632  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-07-29 
確定日 2008-05-09 
事件の表示 平成 8年特許願第182793号「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 1月13日出願公開、特開平10- 5411〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は平成8年6月24日に出願されたものであって、平成17年3月29日付の拒絶理由が通知され、平成17年6月6日付で意見および手続補正がなされ、平成17年6月23日付で拒絶査定がなされたのに対して、平成17年7月29日付で審判請求がなされ、平成17年8月23日付で手続き補正がなされたものである。

2.平成17年8月23日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年8月23日付の手続補正を却下する。

[理由]
[1]補正の内容と補正の適否
(1)補正の内容
平成17年8月23日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成17年6月6日付の手続補正で補正された特許請求の範囲である
「【請求項1】 パチンコ機本体に対して着脱可能に設けられている遊技盤の表面に、その内側に遊技領域をほぼ円形状に形成するとともに、所定の発射装置によって打ち出された発射球を前記遊技領域に誘導するバンドを立設し、
前記遊技領域には、発射球を入賞させる入賞具を設け、前記遊技盤面の前面に位置し、前記各入賞具によって受入れられずにアウト球とされる発射球をすべての前記入賞具よりも下流で回収するための回収領域を設け、
前記入賞具は、前記遊技領域の中央下方近傍に配設し、入賞した球を遊技盤裏面に排出する可変入賞球装置を含むパチンコ機であって、
前記パチンコ機本体の裏面側に配置され、前記パチンコ機本体の前面側に開口する流入口を有し、前記回収領域の流出口から前記流入口を経てアウト球を回収する回収通路を備え、
前記回収領域は、前記遊技領域の前記可変入賞球装置の直下に位置する最下流部位からのアウト球を前記回収通路へ誘導するように前記遊技領域の最下流部位から下方横方向に外れて配置されていることを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】 パチンコ機本体に対して着脱可能に設けられている遊技盤の表面に、その内側に遊技領域をほぼ円形状に形成するとともに、所定の発射装置によって打ち出された発射球を前記遊技領域に誘導するバンドを立設し、前記遊技領域には、発射球を入賞させる入賞具を設け、前記遊技盤面の前面に位置し、前記各入賞具によって受入れられずにアウト球とされる発射球をすべての前記入賞具よりも下流で回収するための回収領域を設け、前記入賞具は、前記遊技領域の中央下方近傍に配設し、入賞した球を遊技盤裏面に排出する可変入賞球装置を含むパチンコ機であって、
前記遊技盤面の前面側に流入口を開口させるように前記遊技盤面の裏面側に備えられ、前記回収領域の流出口から前記流入口を経てアウト球を回収する回収通路を備え、 前記回収領域は、前記遊技領域の前記可変入賞球装置の直下に位置する最下流部位からのアウト球を前記回収通路へ誘導するように前記遊技領域の最下流部位から下方横方向に外れて配置されていることを特徴とするパチンコ機。
【請求項3】 パチンコ機本体の表側から目視不能な位置に回収領域を配設したことを特徴とする請求項1又は2に記載のパチンコ機。」を、
「【請求項1】パチンコ機本体に対して着脱可能に設けられている遊技盤の表面に、その内側に遊技領域をほぼ円形状に形成するとともに、所定の発射装置によって打ち出された発射球を前記遊技領域に誘導するバンドを立設し、
前記遊技領域には、発射球を入賞させる入賞具を設け、前記遊技盤面の前面に位置し、前記各入賞具によって受入れられずにアウト球とされる発射球をすべての前記入賞具よりも下流で回収するための回収領域を設け、
前記入賞具は、前記遊技領域の中央下方近傍に配設し、入賞した球を遊技盤裏面側に配置される入賞球集合樋に排出する可変入賞球装置を含むパチンコ機であって、
前記パチンコ機本体の裏面側に配置され、前記パチンコ機本体の前面側に開口する流入口を有し、前記回収領域の流出口から前記流入口を経てアウト球を回収する回収通路を備え、
前記回収領域は、前記遊技領域の前記可変入賞球装置の直下に位置する最下流部位からのアウト球を前記回収通路へ誘導するように前記遊技領域の最下流部位から下方横方向に外れて配置されていることを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】 パチンコ機本体に対して着脱可能に設けられている遊技盤の表面に、
その内側に遊技領域をほぼ円形状に形成するとともに、所定の発射装置によって打ち出された発射球を前記遊技領域に誘導するバンドを立設し、
前記遊技領域には、発射球を入賞させる入賞具を設け、前記遊技盤面の前面に位置し、
前記各入賞具によって受入れられずにアウト球とされる発射球をすべての前記入賞具よりも下流で回収するための回収領域を設け、
前記入賞具は、前記遊技領域の中央下方近傍に配設し、入賞した球を遊技盤裏面側に配置される入賞球集合樋に排出する可変入賞球装置を含むパチンコ機であって、
前記遊技盤面の前面側に流入口を開口させるように前記遊技盤面の裏面側に、前記回収領域の流出口から前記流入口を経てアウト球を回収する回収通路を備え、
前記回収領域は、前記遊技領域の前記可変入賞球装置の直下に位置する最下流部位からのアウト球を前記回収通路へ誘導するように前記遊技領域の最下流部位から下方横方向に外れて配置されていることを特徴とするパチンコ機。
【請求項3】 パチンコ機本体の表側から目視不能な位置に回収領域を配設したことを特徴とする請求項1又は2に記載のパチンコ機。」とするものである(以下、本件補正の請求項1に係る発明を「本件補正発明」という。)。

(2)補正の適否
本件補正は、平成17年6月6日付の手続補正により補正された特許請求の範囲に記載された発明の「入賞した球を遊技盤裏面に排出する可変入賞球装置」を、「入賞した球を遊技盤裏面側に配置される入賞球集合樋に排出する可変入賞球装置」とするものであって、可変入賞球装置に「側に配置される入賞球集合樋」を付加して、可変入賞球装置をより具体的に記載したものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の規定に適合している。
そこで、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に適合するか)について以下に検討する。

[2]独立特許要件の検討
(1)引用例について
1)引用例1について
原査定の拒絶理由に引用された刊行物である実願昭56-143663号(実開昭58-48278号)のマイクロフイルム(以下、「引用例1」という。なお、拒絶理由通知書には引用文献4として示されている。)には、以下の技術事項が図面とともに記載されている。

・記載事項1
「遊技盤(2)に設けたレール(5)の下部を適宜欠除し、中央のアウト口(6)の部分を除いた欠除部分に適数個の揺動片(7)を揺動可能に臨設するとともに、該揺動片(7)の下方に入賞口(10)を設けたチャッカー(9)を設け、該揺動片(7)が横位置になった場合には該揺動片(7)がレール(5)の一部を構成するとともに、その下方のチャッカー(9)の上部を閉塞し、該揺動片(7)が起立した場合には下方のチャッカー(9)の上部を開口するように構成し、該揺動片(7)を作動する作動装置を設けてなるを特徴とするパチンコ機における入賞装置。」(実用新案登録制球の範囲:1頁5行?15行)

・記載事項2
「遊技盤の上部へ打ち上げられた球が下方へ流下し、何れの入賞装置や入賞チャッカーにも入らなかった場合には、遊技盤の下部に至ってアウト口から裏側へ排出された。また円形のレールの左右の円弧面に沿って流下する場合も下部のアウト口から排出され、遊技盤の下部に至った球は入賞の望みはなく、全てアウト玉(球)となって排出された。従って打球が遊技盤の下部に至った場合やレールの左右の円弧面に沿って流下する場合には、その時点において遊技の興味が減殺された。
本考案は上記の従来の欠点を除去すべく、遊技盤の下部のアウト口の近傍に開閉可能な入賞装置を設け、遊技盤の下部に至って従来ならば当然アウト玉となるべき球に入賞の機会を与え、遊技の興味を増大するようにした入賞装置を提供するのを目的とするものである。」(2頁4行?19行)

・記載事項3
「図中1はパチンコ機であって、その遊技盤2の前面には入賞装置3や入賞チャッカー4が設けてあり、またその周囲にはレール5がほぼ円形状に設けてある。該レール5の下部の適宜部分は欠除されていて、中央の最下部のやや下方にはアウト口6が開口しており、該アウト口6の部分を除いた左右の欠除部分には2個づつの揺動片7、7がそれぞれ支軸8、8を支点として揺動可能に設けられている。」(3頁1行?9行)

・記載事項4
「21は遊技盤2の裏面に設けた玉寄せであって、前記入賞口10を含む各入賞口が連通されている。22は打球を示す。」(4頁18行?20行)

・記載事項5
「本例の入賞装置においては、ソレノイド11が励磁されない場合には第2図に示すように揺動片7は横位置になっており、遊技盤2の下部に流下した打球22及びレール5の左右の円弧面に沿って流下する打球22は、揺動片7の上面を流下しアウト口6に流入してアウト玉となる。
また特定の入賞口に打球22が飛入してスイッチ23が作動し、ソレノイド11に電流が通じて励磁した場合には、第3図に示すように吸引棒12が下方へ吸引され、連結レバー15を介して作動レバー13を回動させるので、連結棒16を介して揺動片7が回動し起立する。このような状態においては、遊技盤2の下方に流下した打球22のうち、中央部に流下したもの以外の打球22は全て何れかのチャッカー9に落入し、入賞口10に流入する。レール5の左右の円弧面に沿って流下する打球22も端部に開口したチャッカー9に流入する。」(5頁6行?6頁3行)

・記載事項6
「(イ)打球が特定の入賞装置または入賞口に飛入した場合にソレノイドに通電して揺動片を作動させ、タイマーにより一定時間(例えば5秒間)後に消磁する。
(ロ)タイマーを使用せず作動起立した揺動片7下方の入賞口10に入った球によってスイッチを作動させ揺動片7を閉じさせる。
(ハ)揺動片は一個又は同時に数個作動させる。
(ニ)特定する入賞口の数と作動する揺動片の数を種々組合せて作動させる。
(ホ)ソレノイドを作動させる時間を種々変える。
なお記述しないが上記の外に種々の態様が考えられる。」(6頁18行?7頁10行)

・記載事項7
「上述のように本考案は遊技盤に設けたレールの下部を欠除し、該欠除部分に入賞装置を設けてあるので、該入賞装置が作動した場合には、遊技盤の下部に至って従来ならば当然アウト玉になるべき打球にほぼ確実に入賞の機会が与えられ、遊技者の興味が著しく増大する。」(7頁20行?8頁5行)

以上の記載事項1?7及び第1図?第6図によれば、引用例1には以下の発明が記載されていると認められる。(以下、「引用例1発明」という。)

「遊技盤2の表面に、レール5と打球22を入賞させる入賞装置3、入賞チャッカー4もしくはチャッカー9を設け、遊技盤2において入賞装置3、入賞チャッカー4もしくはチャッカー9によって受入れられずにアウト球とされる打球22を入賞装置3と入賞チャッカー4とチャッカー9よりも下方に流下させるための中央の最下部からアウト口6に至る部分を設け、チャッカー9は、遊技盤2の下部に設けられ、パチンコ機本体の前面側に開口するアウト口6を有し、中央の最下部からアウト口6に至る部分からアウト口6を経て打球22を流下して導き、中央の最下部からアウト口6に至る部分は、中央の最下部からのアウト玉をアウト口6へ誘導するように、中央の最下部から真下に配置されているパチンコ機1。」

2)引用例2について
原査定の拒絶理由に引用された刊行物である実公昭50-45413号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の技術事項が図面とともに記載されている。

・記載事項a
「本案はアウト球を揚送して賞球用タンク6に導くので、タンク6はアウト球排出口5より上方に取付けられるばかりでなく、受皿2との上下差を大きくできるので、流下勢によつて賞球を速かに受皿2に導くことができるのである。」(公報1頁第2欄2行?6行)

・記載事項b
「パチンコ機の表面には排出口5から落下するアウト球を横に導く緩く傾斜した横樋7を取付け、遊戯盤に折返状に設けたトンネル孔8の上端を上記横樋7の傾斜下端に開口する。そして、トンネル孔8の折返端部は遊戯盤の表面に取付けた半円状ガイド樋9の下端に横から開口させる。ガイド樋9は周囲が囲まれて弧状内面にスリツト溝10を有し、弧状内部に設けた円形カム盤11の爪12が溝10から樋9内に突入する」(公報1頁第2欄7行?16行)

・記載事項c
「カム盤11は、例えば遊戯盤の裏面に取付けたモーターの回転軸に取付けられてガイド樋9の下方に沿い定速回転するもので、遊戯盤に形成した排出孔13はガイド樋9の上方側面に開口して下り傾斜し、遊戯盤裏面の開口部が賞球用タンク6の上方に位置する。」(公報1頁第2欄17行?22行)

・記載事項d
「したがつて、打球がアウトになつたとき、アウト球は排出口5から落下して横樋7を流下し、トンネル孔8を潜つてガイド樋9の下方に排出されるが、カム盤11の回転で爪12によりガイド樋9に沿つて押圧されて上方にまで達したときに、樋9の底面9’の傾斜により排出孔13に導かれてタンク6に落下する。これにより、アウト球はカム盤11の直径、即ち、ガイド樋9の下方から上方まで揚送されることになり、揚送高さ分だけ賞球用タンク6をパチンコ機裏面において上方に取付けることができる。」(公報1頁第2欄23行?33行)

以上の記載事項a?d及び第1図?第3図によれば、引用例2には以下の技術が記載されていると認められる。(以下、「引用例2の記載技術」という。)

「遊技領域の最下流部位からアウト球を流出するように遊技領域の最下流部位からアウト球排出口5、傾斜した横樋7、その横樋の下端から半円状のガイド樋の下方にアウト球を導くトンネル孔8を有し、そのトンネル孔8の入り口は、遊技領域の最下流部位からアウト球排出口5を介して横方向に外れて配置されているパチンコ機。」

(2)対比
引用例1発明と本願補正発明を対比すると、引用例1発明の「遊技盤2」は本願補正発明の「遊技盤」に相当し、以下同様に、「レール5」は「バンド」に、「設け」は「立設し」に、「入賞装置3、入賞チャッカー4もしくはチャッカー9」は「各入賞具」に、「打球22」は「発射球」に、「入賞装置3と入賞チャッカー4とチャッカー9」は「すべての入賞具」に、「下方に流下させる」は「下流で回収する」に、「中央の最下部」は「最下流部位」に、「チャッカー9」は「入賞具」に、「アウト口6」は「流入口」に、「アウト玉」は「アウト球」に、「パチンコ機1」は「パチンコ機」にそれぞれ相当している。

そして、引用例1発明については、以下の実質的具備事項1?3を備えているということができる。

1)実質的具備事項1
引用例1の記載事項1および第1図並びに例示するまでもないほどにパチンコ遊技機において技術常識である以下のア)?ク)に基づけば、引用例1発明は、「パチンコ機本体に対して着脱可能に設けられている遊技盤を有し、その遊技盤の内側に遊技領域をほぼ円形状に形成するとともに、所定の発射装置によって打ち出された発射球を遊技領域に誘導する」なる構成を実質的に備えているということができることは明らかである。

ア)遊技機本体に遊技盤が着脱可能に取り付けられていること、
イ)遊技盤は前面に遊技盤面を有すること、
ウ)遊技盤面上には入賞口や始動入賞口等の入賞具、表示装置、および可変表示装置、風車、邪魔釘やガイド釘等が設けられていること、
エ)遊技盤面上には、ハンドル等の遊技球発射装置から発射された遊技球がレールで誘導されながら遊技盤面上に打ち出されること、
オ)遊技盤面上には、転動落下するほぼ円形状の遊技領域が設けられ、その遊技盤面上の遊技領域を打ち出された遊技球が流下すること、
カ)遊技領域内で流下する遊技球が何れかの入賞具に飛入した場合、その入賞に伴う入賞球数を払い出すために、飛入した遊技球は、入賞の有無の検出および払出球数の決定に利用された後、最終的に、遊技盤の裏面側に設けられた入賞球用の通路を介して集められ、揚送装置等を用いて、揚送され、研磨された後に、遊技盤の貯留タンクに配送されて再利用されること、
キ)遊技領域内で流下する遊技球が何れの入賞具にも入賞しなかった場合に、その遊技球は、最後にアウト球として遊技盤面の前面の下部に位置するアウト口から回収されること、
ク)アウト口から回収されたアウト球は、遊技盤の裏面側に設けられたアウト球用の通路を介して集められ、揚送装置等を用いて、揚送され、研磨された後に、遊技盤の貯留タンクに配送されて再利用されること

2)実質的具備事項2
i)上記実質的具備事項1のカ)に示したように、遊技領域内で流下する遊技球が何れかの入賞具に飛入した場合、その入賞に伴う入賞球数を払い出すために、飛入した遊技球は、入賞の有無の検出および払出球数の決定に利用された後、最終的に、遊技盤の裏面側に設けられた入賞球用の通路を介して集められ、揚送装置等を用いて、揚送され、研磨された後に、遊技盤の貯留タンクに配送されて再利用されること、
ii)同記載事項2の「・・・遊技盤の下部のアウト口の近傍に開閉可能な入賞装置を設け、・・・」なる記載と第1図と第2図に基づけば、チャッカー9は、遊技領域の中央下方近傍に配設されていることは明らかであること、
iii)および同記載事項4の「21は遊技盤2の裏面に設けた玉寄せであって、前記入賞口10を含む各入賞口が連通されている。22は打球を示す。」なる記載に基づけば、引用例1発明は、すべての入賞具に入賞した遊技球を遊技盤裏面側に設けた入賞球集合樋に集めていること、
iv)さらに同の記載事項6の「(イ)打球が特定の入賞装置または入賞口に飛入した場合にソレノイドに通電して揺動片を作動させ、タイマーにより一定時間(例えば5秒間)後に消磁する。(ロ)タイマーを使用せず作動起立した揺動片7下方の入賞口10に入った球によってスイッチを作動させ揺動片7を閉じさせる。(ハ)揺動片は一個又は同時に数個作動させる。(ニ)特定する入賞口の数と作動する揺動片の数を種々組合せて作動させる。(ホ)ソレノイドを作動させる時間を種々変える。なお記述しないが上記の外に種々の態様が考えられる。」なる記載と第2図、第5図、第6図に基づけば、引用例1のチャッカー9は、タイマーにより、一定時間揺動片7を起立させて入賞口10に遊技球が入るようにしており、揺動片の起立時間は例えば5秒の間に起立するようにタイマーを用いて変更可能であること、
以上のi)?iv)から、引用例1発明のチャッカー9は、実質的に可変入賞球装置と言い得るとともに遊技盤裏面側に入賞球集合樋を有していることは明らかである。
そうすると、引用例1発明は、「入賞具は、遊技領域の中央下方近傍に配設し、遊技盤裏面側に配置される入賞球集合樋に排出する可変入賞球装置を含む」なる構成を実質的に具備しているということができる。

3)実質的具備事項3
上記実質的具備事項1のク)に示したように、アウト口から回収されたアウト球は、遊技盤の裏面側に設けられたアウト球用の通路を介して集められ、揚送装置等を用いて、揚送され、研磨された後に、遊技盤の貯留タンクに配送されて再利用されるものである。
また、引用例1の第2図に基づけば、遊技盤面における中央の最下部からアウト口6までに至る部分は、流下してきた打球22をアウト口6を介して回収する機能からみて、回収領域と言い換えることができると解される。
したがって、引用例1発明は、パチンコ機本体の裏面側に配置され、パチンコ機本体の前面側に開口するアウト口6を有しており、かつ、遊技盤面における中央の最下部からアウト口6までに至る部分の最下部からアウト口6を経て、アウト玉を回収する回収通路を有しているということができる。
そして、引用例1発明の「打球22」「アウト口6」は、「発射球」「流入口」に相当していることは上記したとおりである。
そうすると、引用例1発明は、「パチンコ機本体の裏面側に配置され、パチンコ機本体の前面側に開口する流入口を有しており、回収領域の流出口から流入口を経て、アウト玉を回収する回収通路」を実質的に備えているということができる。

上記の実質的具備事項1?3を考慮すると、本願補正発明と引用例1発明は、以下の点で一致するとともに下記の点で相違している。

<一致点>
「パチンコ機本体に対して着脱可能に設けられている遊技盤の表面に、その内側に遊技領域をほぼ円形状に形成するとともに、所定の発射装置によって打ち出された発射球を遊技領域に誘導するバンドを立設し、遊技領域には、発射球を入賞させる各入賞具を設け、遊技盤面の前面に位置し、各入賞具によって受入れられずにアウト球とされる発射球をすべての入賞具よりも下流で回収するための回収領域を設け、入賞具は、遊技領域の中央下方近傍に配設し、入賞した球を遊技盤裏面側に配置される入賞球集合樋に排出する可変入賞球装置を含み、パチンコ機本体の裏面側に配置され、パチンコ機本体の前面側に開口する流入口を有しており、回収領域の流出口から流入口を経て、アウト玉を回収する回収通路を備え、回収領域は、遊技領域の最下流部位からアウト球を回収通路へ誘導しているパチンコ機。」

の点で一致し、以下の点で相違していると認められる。

<相違点>
回収領域が、本願補正発明においては、遊技領域の可変入賞球装置の直下に位置する最下流部位からアウト球を回収通路へ誘導するように遊技領域の最下流部位から下方横方向に外れて配置されているのに対して、引用例1発明においては、遊技盤面上の中央の最下部からのアウト球を流入口へ誘導するように、遊技盤面上の中央の最下部から真下に配置されている点。

(3)判断
上記相違点について、検討する。
引用例2の記載技術は「遊技領域の最下流部位からアウト球を流出するように遊技領域の最下流部位からアウト球排出口5、傾斜した横樋7、その横樋の下端から半円状のガイド樋の下方にアウト球を導くトンネル孔8を有し、そのトンネル孔8の入り口は、遊技領域の最下流部位からアウト球排出口5を介して横方向に外れて配置されているパチンコ機。」なる技術である。
そして、引用例2の記載技術においては、アウト球を、遊技領域の最下流部位から、アウト球排出口5、横樋7を介して、トンネル孔8の入り口まで導いていることからアウト球排出口5からトンネル孔8の入り口に至る部分をアウト球の回収領域ということができるとともに、トンネル孔8は、賞球用タンク6に向けてアウト球を回収するための通路を形成しているということができる。
したがって、引用例2の記載技術は、「遊技領域の最下流部位からアウト球を回収通路へ誘導するように遊技領域の最下流部位から下方横方向に外れて配置されている回収領域を有するパチンコ機。」と言い換えることができる(以下、「引用例2発明」という。)。
ところで、本願補正発明は、遊技領域の可変入賞球装置の直下に位置する最下流部位から下方横方向に回収領域を設け、可変入賞球装置において入賞できなかった遊技球を集めるようにしているが、可変入賞球装置だけでなく、その他の入賞具に入賞しなかった遊技球を集めるためには、回収領域は遊技領域の最下部に設ける必要があることはその機能から見て当然のことにすぎないものである。
また、引用例1発明のチャッカー9も可変入賞球装置と言い得るものであり、かつ、可変入賞球装置に入賞できなかった遊技球をアウト球として回収している機能においても何ら相違するものでもない。
そして、引用例1発明と引用例2発明は、ともに、パチンコ機のアウト球の排出に係る技術において関連するのであるから、互いに利用することに格別の困難性を見出せない。
そうすると、引用例1発明の「遊技盤面上の中央の最下部からのアウト球を流入口へ誘導するように、遊技盤面上の中央の最下部から真下に配置されている回収領域」に代えて、引用例2発明の回収領域を採用して、回収領域が、遊技領域の可変入賞球装置の直下に位置する最下流部位からアウト球を回収通路へ誘導するように遊技領域の最下流部位から下方横方向に外れて配置するようにすること、すなわち本願補正発明の上記相違点に係る構成となすことは、当業者が容易になし得る程度のことということができる。

なお、請求人の主張の要点に対する当審の判断を以下に示す。

*1:遊技領域の中央下方近傍に入賞具である可変入賞球装置を配設する点について、
上記の実施的具備事項2のii)に示したとおりに、遊技領域の中央下方近傍に入賞具であるチャッカー9を配設するとの記載があることから、引用例1発明は、遊技領域の中央下方近傍に入賞具を実質的に配設しているということができる。

*2:遊技盤裏面側に配置される入賞球集合樋に入賞した球を排出する可変入賞球装置について、
引用例1発明のチャッカー9は、可変入賞球装置と言い得ることはまた可変入賞球装置であるチャッカー9に入賞した遊技球は、その入賞球集合樋に排出されることも上記の実質的具備事項2のiii)iv)に示したとおりである。

*3:可変入賞球装置の直下に、回収領域の入口を設ける点について、
上記相違点において示したように、可変入賞球装置に入賞しなかった遊技球だけでなく、その他の入賞具に入賞しなかった遊技球を集めるためには、回収領域は遊技領域の最下部に設ける必要があることは、その回収機能から見て当然のことにすぎず、かつ、引用例1発明のチャッカー9も可変入賞球装置と言い得るものであるから、引用例1発明においても、本願補正発明と同様に、可変入賞球装置に入賞できなかった遊技球をアウト球として回収する機能を果たしている点で何ら相違するものでもない。したがって、本件補正発明において、可変入賞球装置の直下に、回収領域の入口を設ける点に格別の意義を見出し得ない。

以上*1?*3の理由により、請求人の主張は採用できない。

(4)作用効果およびむすび
よって、本願補正発明は、引用例1発明および引用例2発明並びに技術常識に基づいて、当業者が容易に想到することができたものであり、本願補正発明によって奏する効果も、引用例1発明および引用例2発明並びに技術常識に基づいて、普通に予測できる範囲内のものであって格別のものがあると認められないから、特許法第29条第2項により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)補正却下の判断
上記のとおり、本願補正発明は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるので、平成17年8月23日付の手続補正は、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成17年8月23日付の手続補正は上記のとおり却下されているので、平成17年6月6日付の手続補正書における特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりに特定されるものである。

「パチンコ機本体に対して着脱可能に設けられている遊技盤の表面に、
その内側に遊技領域をほぼ円形状に形成するとともに、所定の発射装置によって打ち出された発射球を前記遊技領域に誘導するバンドを立設し、
前記遊技領域には、発射球を入賞させる入賞具を設け、前記遊技盤面の前面に位置し、
前記各入賞具によって受入れられずにアウト球とされる発射球をすべての前記入賞具よりも下流で回収するための回収領域を設け、前記入賞具は、前記遊技領域の中央下方近傍に配設し、入賞した球を遊技盤裏面に排出する可変入賞球装置を含むパチンコ機であって、
前記パチンコ機本体の裏面側に配置され、前記パチンコ機本体の前面側に開口する流入口を有し、前記回収領域の流出口から前記流入口を経てアウト球を回収する回収通路を備え、
前記回収領域は、前記遊技領域の前記可変入賞球装置の直下に位置する最下流部位からのアウト球を前記回収通路へ誘導するように前記遊技領域の最下流部位から下方横方向に外れて配置されていることを特徴とするパチンコ機。」(以下、「本願発明」という。)

(1)引用例について
引用例の記載事項は、上記[2]独立特許要件の検討(1)引用例についてに記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、上記[2]独立特許要件の検討(3)判断で検討した本願補正発明の「入賞した球を遊技盤裏面側に配置される入賞球集合樋に排出する可変入賞球装置」から、「側に配置される入賞球集合樋」なる構成を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要素を付加したものに相当する本願補正発明が、上記[2]独立特許要件の検討(3)判断?(4)作用効果およびむすびに記載したとおり、引用例1発明および引用例2発明並びに技術常識に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明および引用例2発明並びに技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1発明および引用例2発明並びに技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-07 
結審通知日 2008-03-12 
審決日 2008-03-28 
出願番号 特願平8-182793
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉村 尚  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 ▲吉▼川 康史
渡部 葉子
発明の名称 パチンコ機  
代理人 宮崎 嘉夫  
代理人 小野塚 薫  
代理人 萼 経夫  
代理人 中村 壽夫  
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