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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A41D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A41D
管理番号 1177346
審判番号 不服2006-13177  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-06-23 
確定日 2008-05-08 
事件の表示 特願2002-207368「紙手袋の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 2月19日出願公開、特開2004- 52122〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件出願は、平成14年7月16日に出願され、平成18年5月18日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、平成18年6月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成18年6月30日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成18年6月30日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年6月30日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1ないし3は、
「 【請求項1】 通気性を有する紙シートを五指を含む手袋形状に型抜きする工程と、型抜きシート材を第1の雄型及び雌型により型押しして立体的な一面側手袋部材に成形する工程と、前記一面側手袋部材成形工程に使用される型抜きシート材とは五指の位置が左右逆にした型抜きシート材を前記第1の雄雌型と夫々対称形状の第2の雄型及び雌型により型押しして立体的な他面側手袋部材に成形する工程と、一面側手袋部材の周縁部と他面側手袋部材の周縁部とを、夫々手首部分を除いて接着剤によって互いに接着する工程と、からなる紙手袋の製造方法。
【請求項2】 第1の雄雌型及び第2の雄雌型には、紙手袋に伸縮性をもたせる皺部を形成するための凸条部と凹条部とが夫々形成されている請求項1に記載の紙手袋の製造方法。
【請求項3】 紙シートのパルプ繊維には柔軟性及び耐水性を付加するための合成樹脂が含有されている請求項1又は2に記載の紙手袋の製造方法。」
と補正された。
上記補正は、補正前の請求項1ないし3に記載された発明を特定する事項である「紙シート」について、「通気性を有する」との限定事項を付加するものであり、補正前の請求項1ないし3に記載された発明を特定する事項である「互いに接着する工程」について、「接着剤によって」との限定事項を付加するものである。
これらの限定した事項は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されており、補正後の請求項1ないし3に記載された発明は、補正前の請求項1ないし3に記載された発明と、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が異なるものではない。
したがって、上記補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
そこで、本件手続補正後の上記請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明1」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用刊行物の記載
(2-1)原査定の拒絶の理由に引用された実願昭60-77472号(実開昭61-198214号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、以下の記載がある。
(a)「【実用新案登録請求の範囲】
合成樹脂(1)とパルプ(2)よりなる薄紙(3)を重ね合せて略手形状に切断し、外周を接着することにより作製したことを特徴とする手袋。」
(b)「〔問題点を解決するための手段〕
そこで、この考案は機械作業等のその使用が制限されるような作業にも使用できる手袋を提供するために、その手袋を合成樹脂とパルプよりなる薄紙を重ね合せて略手形状に切断し、外周を接着することにより作製している。
〔作用〕
上記手段を施した結果、この考案の手袋を機械作業等に使用した場合に、例え機械等に巻き込まれたとしても、手袋だけが引きちぎられ、手指が巻き込まれるということはなく、又機械油等の汚れが染み透ることもなくなった。」(第2頁第1行?第12行)
(c)「第1図及び第2図は、合成樹脂(1)とパルプ(2)よりなる薄紙(3)の例を示している。第1図に示した薄紙(3)は、合成樹脂(1)の薄層とパルプ(2)の薄層よりなるものであり、第2図に示した薄紙(3)は、合成樹脂(1)の粉体とパルプ(2)の粉体を混合し薄層に形成したものである。
合成樹脂(1)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を使用するのが好ましく、又パルプ(2)は、主として木材パルプが使用される。」(第2頁第16行?第3頁第6行)
(d)「第3図及び第4図には、上記薄紙(3)を重ね合わせて略手形形状に切断し、外周を接着することにより作製した手袋(4)を示している。その接着方法としては、熱溶着、縫着、貼着、圧着等の各種手段が用いられ、第3図に示したものは熱溶着の例を、第4図に示したものは縫着の例を示している。」(第3頁第7行?13行)
そして、第3図及び第4図には、手首部分を除いて外周を互いに接着する手袋が開示されている。
したがって、以上の記載及び第1-4図によれば、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。
「 薄紙(3)を略手形状に切断し、夫々手首部分を除いて外周を互いに接着する手袋の製造方法。」(以下、「引用発明1」という。)

(2-2)原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-210005号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の記載がある。
(e)「 【特許請求の範囲】
1)、凸状の立体曲面を有する手形状の二枚の熱溶融性柔軟シートを、手首部を残して互いに溶着したことを特徴とする立体手袋。
2)、凸状の立体曲面を有する手形状の二枚の熱溶融性柔軟シートを、手首部を残して互いに溶着してなる立体手袋の製造方法であって、
前記二枚の熱溶融性柔軟シートを重ね合わせて手形状の凹部を有する型材に密着させ、
次いで、超音波振動により前記二枚の熱溶融性柔軟シートを手形状に溶断すると同時に、その溶断による切口を手首部を残して互いに溶着することを特徴とする立体手袋の製造方法。」
(f)「(産業上の利用分野)
本発明は、手袋とその製造方法に関し、詳細には、凸状の立体曲面を有する手形状の二枚の熱溶融性柔軟シートを、手首部を残して互いに溶着してなる立体手袋とその製造方法に関する。」(第1頁左下欄最下行?右下欄第4行)
(g)「その目的とするところは、着用時に充分なフィツト感が得られ、・・・」(第2頁右上欄第5行?第6行)
(h)「第4図及び第5図に示すように、板状の型材(21)に手形状の凹部(22)を形成し、さらにこの凹部(22)の周縁に手形状の加工刃(23)を設けたものを利用する。この加工刃(23)のうち、手首部(12)は、二枚のシート(11)を互いに熱溶融して溶断する溶断刃(23a)であり、その他の部分の加工刃(23)は、二枚のシート(11)を熱溶融して溶断すると共に溶着する溶着刃(23b)である。
そして、第6図に示すように、この型材(21)上に、二枚の熱溶融性柔軟シート(11a)(11b)、例えば、合成樹脂シートを重ね合わせて載置し、次いで、第7図に示すように型材(21)に施された手形状の凹部(22)に嵌合する凸状の押え具(24)により、これら二枚のシート(11a)(11b)を型材(21)の凹部(22)に密着させる。
次いで、第8図に示すように、このように密着された二枚のシート(11a)(llb)を、型材(21)と共に超音波発生器(25)の放射口(26)に当接させつつ移動させることにより、二枚のシート(11a)(11b)は超音波振動により熱融して加工刃(23)の形状、つまり、手形状に溶断されると同時に、その溶断による切口が手首部(12)を残して溶着されるのである。
このように手形状に溶断・溶着された二枚のシート(11a)(llb)を、この装置(20)から取り出し、このシート(11a)(11b)を膨らませれば、第1図?第3図に示すような請求項1に係る立体手袋(10)が形成されるのである。つまり、凸状の立体曲面を有する手形状の二枚の熱溶融性柔軟シート(11a)(11b)を、手首部(12)を残して互いに溶着してなる立体手袋(10)が形成されるのである。」(第3頁右上欄第13行?右下欄第7行)
したがって、以上の記載及び第1-11図によれば、引用例2には、次の発明が記載されているものと認められる。
「二枚のシート(11a)(11b)は加工刃(23)の形状、つまり、手形状に溶断され、二枚のシート(11a)(llb)を型材(21)に施された手形状の凹部(22)に嵌合する凸状の押え具(24)により、型材(21)の凹部(22)に密着させ、凸状の立体曲面を有する手形状の二枚のシート(11a)(11b)を成形し、手首部(12)を残して互いに溶着してなる立体手袋(10)の製造方法。」(以下、「引用発明2」という。)

(3)対比、判断
(3-1)本願補正発明1と引用発明1との対比、判断
引用発明1における「薄紙(3)」「略手形状」「外周」は、本願補正発明1における「紙シート」「五指を含む手袋形状」「周縁部」に相当する。
引用例1は、上記摘記事項(d)に、「薄紙(3)を重ね合わせて・・・作製した手袋(4)」と記載され、一面側と他面側を形成する複数の薄紙(3)を有することは明らかであるから、引用発明1の略手形状に切断した複数の「薄紙(3)」は、本願補正発明1の「一面側手袋部材」及び「他面側手袋部材」に相当する。
また、引用例1は、上記摘記事項(d)に、「接着方法としては、熱溶着、縫着、貼着、圧着当の各種手段が用いられ、」と記載され、一例としてあげられている貼着は、接着剤を用いるものであるから、引用発明1には、接着剤によって互いに接着する工程が、開示されているものといえる。
したがって、本願補正発明1と引用発明1を対比すると、両者は、
「紙シートを五指を含む手袋形状に型抜きする工程と、一面側手袋部材の周縁部と他面側手袋部材の周縁部とを、夫々手首部分を除いて接着剤によって互いに接着する工程と、からなる紙手袋の製造方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1
本願補正発明1では、通気性を有する紙シートであるのに対し、引用発明1では、通気性を有するかどうか不明な点。

相違点2
本願補正発明1では、型抜きシート材を第1の雄型及び雌型により型押しして立体的な一面側手袋部材に成形する工程と、前記一面側手袋部材成形工程に使用される型抜きシート材とは五指の位置が左右逆にした型抜きシート材を前記第1の雄雌型と夫々対称形状の第2の雄型及び雌型により型押しして立体的な他面側手袋部材に成形する工程を有するのに対し、 引用発明1では、そのような工程を有しない点。

そこで、上記相違点について検討する。
相違点1について
引用発明1では、通気性を有するかどうかの明確な記載はなく、紙シートが通気性を有するかどうかは不明であるが、紙手袋の分野において、手がムレず、長時間快適に使用するために、通気性を有する紙シートを用いる点は、周知の技術的事項である。(例えば、実願昭58-78040号(実開昭59-185225号)のマイクロフィルムの「甲側部分2」及び「掌側部分3」、実願平5-13789号(実開平5-96014号)のCD-ROMの【0020】参照)
したがって、引用発明1の紙手袋において、周知の技術的事項である紙シートに通気性を有する点を採用することに格別な困難性はない。

相違点2について
一般に手袋の分野において、装着性を向上するために、手袋を手の形に沿った立体形状にすることは、従来よく知られていた技術である。(例えば、特開昭63-219605号公報及び特開2002-88540号公報参照)
したがって、引用発明1の紙手袋においても、装着性の向上という同様な目的を達成するために、立体化という同様な解決手段を採用することを妨げる理由はない。
一方、引用例2には、上記摘記事項(g)に、装着性の向上を目的とすることが記載されていると共に、上記摘記事項(h)には、手形状の凹部(22)が施された型材(21)と手形状の凹部(22)に嵌合する凸状の押え具(24)が記載され、型材(21)上に、シート(11a)(11b)を重ね合わせて載置し、型材(21)に施された手形状の凹部(22)に嵌合する凸状の押え具(24)により、これら二枚のシート(11a)(11b)を型材(21)の凹部(22)に密着させる技術が記載されている。
したがって、引用発明2には、装着性の向上を目的として、二枚のシートを雌型となる型材と雄型となる凸状の押え具により型押しして立体的な手袋部材に成形する工程が開示されているといえる。
また、手の形状が甲側と掌側とで五指の位置が左右逆にした対称形状となっていることは、自明であるから、装着性のさらなる向上を目指して、手に合わせた形状の立体化した手袋を作成するためには、甲側と掌側で五指の位置が左右逆にした対称形状の手袋部材を成形することが必要であり、そのためには一面側の手袋部材と他面側の手袋部材で五指の位置が左右逆にした対称形状の形状の雄型及び雌型を採用することは当然のことである。
よって、引用発明1の紙手袋において、装着性を向上させるため、引用発明2記載の、シートを雄型及び雌型により型押しして立体化する工程を採用するとともに、立体化の工程において、型抜きシート材を第1の雄型及び雌型により型押しして立体的な一面側手袋部材に成形する工程と、一面側手袋部材成形工程に使用される型抜きシート材とは五指の位置が左右逆にした型抜きシート材を前記第1の雄雌型と夫々対称形状の第2の雄型及び雌型により型押しして立体的な他面側手袋部材に成形する工程を採用し、相違点2に係る本願補正発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである
以上のとおりであるから、本願補正発明1は、引用発明1、2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

(4)むすび
したがって、本件補正発明1は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成18年6月30日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、平成18年4月26日付け手続補正書の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「紙シートを五指を含む手袋形状に型抜きする工程と、型抜きシート材を第1の雄型及び雌型により型押しして立体的な一面側手袋部材に成形する工程と、前記一面側手袋部材成形工程に使用される型抜きシート材とは五指の位置が左右逆にした型抜きシート材を前記第1の雄雌型と夫々対称形状の第2の雄型及び雌型により型押しして立体的な他面側手袋部材に成形する工程と、一面側手袋部材の周縁部と他面側手袋部材の周縁部とを、夫々手首部分を除いて互いに接着する工程と、からなる紙手袋の製造方法。」

(1)引用刊行物記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、その記載事項及び引用発明は、前記「2.(2)引用刊行物の記載」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明1は、前記「2.(1)補正後の本願発明」で検討した本願補正発明1の紙シートについての「通気性を有する」との限定事項を省き、互いに接着する工程についての「接着剤によって」との限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明1の構成要件を全て含み、さらに一部の構成要件を追加したものに相当する本願補正発明1が、前記「2.(3)対比、判断」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用発明及び周知技術に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それゆえ、本願出願は残余の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-12 
結審通知日 2008-03-14 
審決日 2008-03-26 
出願番号 特願2002-207368(P2002-207368)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A41D)
P 1 8・ 575- Z (A41D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 米村 耕一植前 津子内山 隆史  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 関 信之
田中 玲子
発明の名称 紙手袋の製造方法  
代理人 藤川 忠司  

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