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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1177428 |
審判番号 | 不服2002-13379 |
総通号数 | 102 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-06-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-07-18 |
確定日 | 2008-05-07 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第301151号「為替集中処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 6月 6日出願公開、特開平 9-147036〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯、本願発明 本願は、平成7年11月20日の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に係る各発明は、平成18年10月2日付けの手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、請求項1ないし3にそれぞれ記載されるとおりのものと認められるところ、これらの発明のうち、請求項1に係る発明は次のとおりのものである。 「金融機関の各支店で発生した伝票データをセンタで集中処理するシステムの前記センタに設置される為替集中処理装置であって、 前記各支店から受信した伝票データを格納するファイル装置と、 前記ファイル装置に格納された伝票データを各支店毎に集計した各支店毎の集計データを作成すると共に、前記各支店毎の集計データを作成する際、分類項目として、振込種目と、取扱と、宛て先種別の各項目を設定し、前記項目別に分類した項目別分類集計データを作成する集計処理手段と、 前記集計処理手段が集計した各支店毎の集計データを基に、各支店に対する資金移動のための資金移動伝票データを自動作成する資金移動伝票作成処理手段を備えていることを特徴とした為替集中処理装置。」 2.引用例 これに対して、当審における拒絶の理由で引用した特開平7-239892号公報(平成7年9月12日公開、以下「引用例」という。)には、図面とともに、次のとおりのことが記載されている。 (ア)「以下、本発明を図の実施例を用いて詳細に説明する。 [装置の概要] 図1は、本発明のファクシミリによる帳票処理装置全体のブロック図である。 この図を用いて本発明が適用される装置の全体構成を概略説明し、以下に説明する各実施例がどの部分で適用されるかを説明する。 図は、例えば銀行の営業店が為替処理のための帳票をファクシミリ装置を用いて通信回線を介して送信し、これを処理するためのものである。図では、例えば営業店1-1,1-2,1-3に、それぞれファクシミリ装置2-1,2-2,2-3が設けられ、これが通信回線3に接続されている。通信回線3は電話網やその他の専用回線から構成される。このような通信回線3を介してファクシミリ装置2-1?2-3と接続され、帳票のイメージを受信するために、地区センター4にはファクシミリ制御装置5と主制御装置6が設けられている。 地区センター4の主制御装置6には、受信された帳票のイメージから文字の部分を切り出し、その文字を認識する文字認識装置7が接続されている。また、主制御装置6にはこの他に内部バス8を通じて、例えば2台の修正用ワークステーション9と検証用ワークステーション10が接続されている。ファクシミリ制御装置5には受信した帳票のイメージデータ等を格納するためのディスク装置14と、ファクシミリ制御装置5自体を制御するためのターミナル15が設けられている。このターミナル15はディスプレイやキーボード等から構成され、オペレータがファクシミリ制御装置5の送受信操作を行なうことができる構成となっている。 なお、ファクシミリ制御装置5の近くにはファクシミリ装置13が配置されている。これは地区センター4が通信回線3を通じて他のファクシミリ装置やファクシミリ制御装置5自身からファクシミリを受信したり、また逆にファクシミリを送信するために設けられている。主制御装置6には認識処理後のデータを格納するためのディスク装置16と必要な情報をプリントアウトするプリンタ17が設けられている。 更に、主制御装置6には、例えばローカルエリアネットワーク20や通信制御部21を介してホストコンピュータ22が接続されている。 ここで、例えば営業店1-2において振り込み等の取り引きが発生すると、取り引きのための依頼書が作成され、所定の帳票がファクシミリ装置2-2を用いて送信される。この帳票のイメージは通信回線3を通じてファクシミリ制御装置5に受信され、ディスク装置14に格納されるとともに、主制御装置6に転送される。 主制御装置6に接続された文字認識装置7は、帳票の種類を認識し、必要な情報の記入されている部分を切り出す。文字認識装置7はこの切り出されたイメージから記入された文字を認識し、その結果を主制御装置6に返す。主制御装置6は切り出されたイメージと文字認識装置7の認識した結果を修正用ワークステーション9に送る。修正用ワークステーション9では検証係が帳票のイメージと認識結果とを見比べて認識結果の誤り等を修正する。 そのような修正作業が終了すると、その結果は検証用ワークステーション10に送られる。検証用ワークステーション10では役席者クラスの検証係が修正結果を確認し、ここで検証が終了すると帳票の認識結果が確定し、ディスク装置16に格納される。また、これが主制御装置6によってローカルエリアネットワーク20を介してホストコンピュータ22に送られる。その後、ホストコンピュータ22による一定の為替処理が実行される。ホストコンピュータ22は他の銀行に対する為替処理の場合、全銀システム(図示していない)への連絡等を実行する。」(第6頁段落【0023】ないし第7頁段落【0029】) (イ)「[実施例9] 実施例9は図38から図41を用いて説明する。 上記のような為替業務が終了すると、営業店毎に精査を取り、各営業店毎の処理内容確認作業が行なわれる。精査業務が完了すると、地区センターのオペレータが各営業店宛に請求電文を発送する。これによって、営業店と地区センターの入出金カウンタの相殺が行なわれる。例えば、金融機関の営業店に来た顧客が振込を行なう場合には現金が営業店に入金され、営業店のカウンタが入金処理される。一方、地区センターでは為替の集中処理を行い、ホストコンピュータに為替の仕向電文が発信されると、地区センターのカウンタは出金処理される。 従って、その後に、営業店の入金と地区センターの出金とを相殺し一定の処理を行なう必要がある。また、丁度その逆にホストコンピュータから地区センターを通じて営業店に支払い要求があり、営業店で顧客に対し一定の金額を支払うことがある。これを逆為替と呼ぶが、このような場合にも地区センターと営業店とのカウンタを相殺する必要がある。本発明はこの処理を自動的に容易に行なうために、主制御装置が請求/付替電文を生成して発行し、ホストコンピュータ22を経由して各ファクシミリ装置に同報送信する機能を設けた。なお、このような同報送信の内容は、必要に応じて地区センターで修正処理することを可能にした。 図38に、請求/付替動作シーケンスチャートを示す。 まず、この図に示すように、営業店1では帳票受付時間に一定の振込依頼書を作成し、ステップS1において地区センター4へ振込依頼書がファクシミリ送信される。この場合、営業店1では営業店カウンタ91が入金処理となり、地区センター4では本部カウンタ92が出金処理となる。その後、地区センター4から為替電文がホストコンピュータ22に向けて発信される(ステップS2)。これによって、ホストカウンタ93の内容も書き換えられる。次に、営業が終了し精査を開始すると、ステップS3において本部精査が行なわれ、更にステップS4において営業店精査が開始される。この場合、精査内容はステップS5においてファクシミリで営業店1に送信され、ステップS6では精査の確認作業が行なわれる。 精査が完了すると、次に付替請求時間に入る。ここで、地区センター4においてはステップS8において請求付替電文が作成される。次に、これはステップS9においてホストコンピュータ22に送信され、ホストコンピュータのホストカウンタ93を相殺し、更に地区センター4へ戻され本部カウンタ92を相殺し、最後に営業店1に送られて営業店カウンタ91を相殺する。 図39には、このような場合の請求電文発信画面説明図を示す。地区センターのオペレータの操作するターミナルには、この図に示すような請求/付替資金データ発信内容が表示される。ここには為替金額と逆為替金額やその件数等が表示され、この金額に応じたカウンタの相殺が要求される。 なお、このような内容に誤りがある場合もある。そこで、図39に示すように個々の請求/付替資金データについてウインドウ95を表示し、これを用いてその内容の部分修正を可能とする。 即ち、図39に示すような画面を表示後、オペレータがある営業店向けのデータについて訂正を必要と考えた場合には、図に示すようなウインドウ95を表示し、その営業店の店番号を入力する。これによって、その営業店についてのデータが表示され、個別にその内容を修正することができる。 図41は、営業店毎の請求電文出力説明図を示す。 上記のように構成すれば、精査業務が終了し請求電文を発信する場合、地区センターのオペレータが図39に示したような付替/請求資金データ発信内容を確認後処理を起動することによって、全ての営業店宛に請求電文を自動的に同報送信することが可能となる。同報送信の方法は別の実施例で説明した通りである。なお、電信の順為替で送信した電文と文書の順為替で送信した電文とが別々に発信されるように構成することもできる。図41に示す発信一覧表は、上記のような請求/付替電文を各店に発信した場合のその内容全てを表示し、これを地区センターへ記録として残しておくためのものである。 以上の操作により、従来複雑な手順で行なわれていた請求/付替電文発信オペレーションを自動的に簡便に実施できる。また、これは順為替文についても逆為替文についても同様の処理ができるため、運用のし易いシステムとなる。また、文書データの資金化については、電信扱いと文書扱いとを区別したり、あるいは一括管理することによって柔軟性のあるシステムが提供できる。また、そのような発信の一覧表を出力することによって内容の確認が容易になる。」(第17頁段落【0119】ないし第18頁段落【0126】) (ウ)図19、図20、図34を参酌すると、帳票にはフリコミ、ソウキン、トリタテ等の「種目」、電信・文書を表す「取扱」、振込銀行名、支店名、受取人等の「宛先」等の各種項目がデータとして含まれていることが開示されている。 (エ)図31には、営業終了後に行われる精査のために作成される精査票の内容として、「店番」、「処理済枚数」、「受信枚数」、「削除枚数」、「本支店」、「他行」、「連記式」等の項目が含まれていることが開示されている。 (オ)図39には、請求/付替資金データ発信内容として、「順為替・逆為替」、「電信・文書」、「店番」、「件数」、「金額」等の項目が含まれていることが開示されている。 ここで、上記記載(イ)には、「次に、営業が終了し精査を開始すると、ステップS3において本部精査が行なわれ、更にステップS4において営業店精査が開始される。この場合、精査内容はステップS5においてファクシミリで営業店1に送信され、ステップS6では精査の確認作業が行なわれる。」とあり、上記記載(エ)には、精査票には「店番」、「処理済枚数」、「受信枚数」、「本支店」、「他行」等の項目があることから、営業終了後に本部が行う本部精査に続く営業店精査では、営業店単位でその日に取り扱った帳票に関する精査を行い、その結果を各営業店に送信して確認作業を行うのであるから、当該営業店精査を行うために、地区センターに設置されている装置には、「ディスク装置に格納された帳票を各営業店毎に集計して集計データを作成する集計処理手段」が備わっていることは明らかである。 上記記載(ア)?(オ)を参酌すると、引用例には、 「銀行の各営業店で発生した帳票を地区センターで集中処理するシステムの前記地区センターに設置される装置であって、 前記各営業店から受信した帳票を格納するディスク装置と、 前記ディスク装置に格納された帳票を各営業店毎に集計して集計データを作成する集計処理手段と、 各営業店に対するカウンタの相殺のための請求/付替資金電文を自動作成する請求/付替資金電文作成処理手段を備えた装置。」 の発明(以下「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。 3.対比 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)と引用発明とを比較すると、引用発明の「銀行」は本願発明の「金融機関」に相当し、以下同様に、引用発明の「営業店」、「帳票」、「地区センター」、「ディスク装置」、「カウンタの相殺」、「請求/付替資金電文」は、本願発明の「支店」、「伝票データ」、「センタ」、「ファイル装置」、「資金移動」、「資金移動伝票データ」にそれぞれ相当する。 また、引用例の上記記載(イ)に開示されているように、引用発明に係る地区センターでは、為替の集中処理が行われるのであるから、引用発明の地区センターに設置されている「装置」は、「為替集中処理装置」ということができる。 したがって、両者は、 「金融機関の各支店で発生した伝票データをセンタで集中処理するシステムの前記センタに設置される為替集中処理装置であって、 前記各支店から受信した伝票データを格納するファイル装置と、 前記ファイル装置に格納された伝票データを各支店毎に集計した各支店ごとの集計データを作成する集計処理手段と、 各支店に対する資金移動のための資金移動伝票データを自動作成する資金移動伝票作成処理手段を備えた為替集中処理装置。」であるといえる点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 本願発明では、集計処理手段が、各支店毎の集計データを作成する際、分類項目として、振込種目と、取扱と、宛て先種別の各項目を設定し、前記項目別に分類した項目別分類集計データを作成するのに対し、引用発明では、そのような点については開示されていない点。 [相違点2] 本願発明では、資金移動伝票作成処理手段が、集計処理手段が集計した各支店毎の集計データを基に、資金移動伝票データを自動作成しているのに対し、引用発明では、そのような点については開示されていない点。 4.判断 上記相違点について検討する。 [相違点1]について 引用例の上記記載(ウ)に開示されているように、引用発明の帳票にはフリコミ、ソウキン、トリタテ等の「種目」、電信・文書を表す「取扱」、振込銀行名、支店名、受取人等の「宛先」等の各種項目がデータとして含まれている。 また、引用例の上記記載(エ)に開示されているように、引用発明の地区センターに備えられた装置により作成される精査票には「店番」、「処理済枚数」、「受信枚数」、「本支店」、「他行」等の項目が含まれ、さらに、引用例の上記記載(オ)に開示されているように、引用発明の地区センターに備えられた装置により作成される請求/付替資金電文には、「順為替・逆為替」、「電信・文書」、「店番」、「件数」、「金額」等の各種の項目が含まれている。 そこで、これらの開示事項を勘案すると、引用発明において、地区センターに備えられた装置による精査票、請求/付替資金電文の作成を容易にするため、集計処理手段により各営業店毎の集計データを作成する際、分類項目として、振込種目と、取扱と、宛て先種別の各項目を設定し、前記項目別に分類した項目別集計データを作成するようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たものと認められる。 [相違点2]について 引用発明における各営業店と地区センターのカウンタの相殺に係る処理は、引用例の上記記載(イ)に開示されているように、営業終了後に地区センターで行われた精査の完了結果を受けて自動作成される請求/付替資金電文が、地区センターから営業店に送られて行われる処理であって、各営業店に送られる前記請求/付替資金電文は、営業店単位の精査の結果に基づいて作成されるものであることは明らかであることからすると、前記請求/付替資金電文を前記集計処理手段が集計した営業店毎の集計データを基に自動作成するようにすることは、当業者であれば格別の困難性を必要とせずになし得たものと認められる。 以上判断したとおり、本願発明における上記相違点1、2に係る構成は、いずれも当業者が容易に想到し得たといえるものであり、また、本願発明の効果についてみても、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。 5.むすび 以上のとおりであるから、請求項1に係る本願発明は、上記引用例に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-02-25 |
結審通知日 | 2008-03-04 |
審決日 | 2008-03-17 |
出願番号 | 特願平7-301151 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 竹中 辰利 |
特許庁審判長 |
藤内 光武 |
特許庁審判官 |
坂庭 剛史 久保田 昌晴 |
発明の名称 | 為替集中処理装置 |
代理人 | 今村 辰夫 |
代理人 | 今村 辰夫 |
代理人 | 山谷 晧榮 |
代理人 | 山谷 晧榮 |