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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C01B
管理番号 1177434
審判番号 不服2004-17490  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-08-24 
確定日 2008-05-07 
事件の表示 平成10年特許願第132625号「ガスタービンと一体化させた固体電解質膜を使用して酸化生成物を製造し且つ動力を発生させるための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年11月10日出願公開、特開平10-297901〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年4月28日(パリ条約による優先権主張1997年4月29日、米国)に特許出願されたものであって、平成16年5月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、期間内の同年9月8日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年9月8日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年9月8日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)本件補正後の本願発明
本件補正により、平成15年8月25日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。
「【請求項1】 動力を発生させるためのガスタービン系と連係して酸化生成物を製造する方法において、
(a)圧縮され加熱された酸素含有ガス流れを保持帯域と透過帯域とを有する反応器において少なくとも1個の固体電解質酸素イオン輸送膜と接触させ、ここで膜を横切って酸素の少なくとも一部分を保持帯域から透過帯域に輸送して透過流れと酸素減少保持流れとを生成し、
(b)反応体を前記酸素含有ガス流れに対して向流流れの方向で透過帯域に送給してその輸送された酸素と部分酸化反応において反応させてそれから酸化生成物を生成し、
(c)酸素減少保持流れをガスタービン燃焼器に加え、そして
(d)ガスタービン燃焼器から回収される燃焼された酸素減少ガス流れをガスタービンにおいて膨張させ、これによって動力を発生させる、
各工程を含み、前記部分酸化反応は、ガスタービンから動力を発生させるのに必要とされるエネルギーの少なくとも一部分を提供することからなる酸化生成物の製造法。」

上記補正は、本件補正前の請求項1において発明を特定するために必要な事項である「反応体を透過帯域に送給」を、「反応体を前記酸素含有ガス流れに対して向流流れの方向で透過帯域に送給」に限定することを含むものであるから、この請求項1についての補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かを、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)について以下に検討する。

(2)引用例の記載事項
(A)引用例1:特開平9-858号公報(原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3)
(ア)「酸素を生成し、パワーを創生する方法であって、
(a) 圧縮された酸素含有ガス流を、その温度を上昇させるために第1燃焼器内で燃焼させ、
(b) 該燃焼圧縮酸素含有ガス流を固形電解質膜に接触させて該ガス流から圧縮酸素減耗膜不透過ガス流と膜透過生成物酸素流とを生成し、
(c) 前記圧縮酸素減耗膜不透過ガス流を、その温度を上昇させるために第2燃焼器内で燃焼させ、
(d) 前記固形電解質膜及び第2燃焼器から回収された前記燃焼圧縮酸素減耗膜不透過ガス流をガスタービン内で膨脹させ、それによってパワーを創生することから成る酸素生成及びパワー発生方法。」(【特許請求の範囲】【請求項1】)
(イ)「固形電解質膜は、固形電解質イオン伝導体膜(solid electrolyte ionic )又は混合型伝導体膜( mixed conductormembrane) を意味する「セリック」(SELIC)膜とも称される。」(段落【0001】【発明の属する技術分野】)
(ウ)「膜透過生成物酸素流とは、膜を透過することによってガス流から分離された生成物(製品)としての酸素流のことをいう。・・・圧縮酸素減耗膜不透過ガス流とは、膜を透過せずに保持され、酸素を減少又は除去された圧縮ガス流のことをいう。」(段落【0010】)
(エ)「本発明の方法は、セリック膜酸素生成系統(単に「セリック膜系統」又は「酸素生成系統」とも称する)をガスタービンパワー発生系統(単に「ガスタービン系統」又は「パワー発生系統」とも称する)と統合(一体的に組み合わせる)することによって酸素を生成するとともに、パワーを創生する。」(【0012】【発明の実施の形態】)

(B)引用例2:特開平6-56428号公報(原査定の拒絶の理由で引用された引用文献8)
(ア)「本発明の1態様はメタン、天然ガス又は他の軽質炭化水素を・・・合成ガスに酸化する電気化学的方法である。電気化学的方法は一般に、
(A) 第1帯域及び、前記要素により第1帯域から分離された第2帯域を含む電気化学セルを準備し、(B) 電気化学セルを約300?約1400℃の温度に加熱し、(C) 酸素含有ガスを第1帯域中の要素に接触して通過させ、(D) メタン、天然ガス又は他の軽質炭化水素を第2帯域中の要素に接触して通過させ・・・
・・・(E) 生成物を第2帯域から回収する」(第5頁第7欄第20?31行)
(イ)「1態様において、酸素消費ガスはメタン又は天然ガスであり、酸素含有ガス又はガス混合物は空気である。空気が要素に接触すると空気の酸素成分が酸素イオンに還元され、それが要素を通って第2帯域へ輸送され、そこで酸素イオンがメタンと反応して、・・・合成ガス・・・を生ずる。」(第6頁第9欄第39?44行)
(ウ)「上記の“要素”は
(A-1)酸素を酸素イオンに還元し得る金属、金属酸化物またはこれらの混合物で被覆された第一表面と酸素イオンを酸素消費ガスと反応させ得る金属、金属酸化物またはこれらの混合物で被覆された第二表面を有する固体電解質・・・
(A-2)第一表面と第二表面を有し、且つ電子伝導性相と酸素イオン伝導性相の緊密なガス不透過性の多相混合物を含む固体多成分膜
を含むことが好ましい。」(第11頁第19欄第3?14行)
(エ)「本発明の電気化学リアクターを使用して反応体ガスを酸化して合成ガスを生成する電気化学方法は、約1000℃?約1400℃の温度で行なわれる。一つの態様に於いて、その方法は1000℃?1300℃の範囲内の温度で行なわれる。電解セルは所望の温度に加熱することができ、その温度は外部の加熱及び/または反応の発熱により反応中に維持し得る。」(第13頁第24欄第13?19行)

(3)対比・判断
引用例1には、記載事項(ア)に「酸素を生成し、パワーを創生する方法であって、
(a) 圧縮された酸素含有ガス流を、その温度を上昇させるために第1燃焼器内で燃焼させ、
(b) 該燃焼圧縮酸素含有ガス流を固形電解質膜に接触させて該ガス流から圧縮酸素減耗膜不透過ガス流と膜透過生成物酸素流とを生成し、
(c) 前記圧縮酸素減耗膜不透過ガス流を、その温度を上昇させるために第2燃焼器内で燃焼させ、
(d) 前記固形電解質膜及び第2燃焼器から回収された前記燃焼圧縮酸素減耗膜不透過ガス流をガスタービン内で膨脹させ、それによってパワーを創生することから成る酸素生成及びパワー発生方法」の発明(以下、「引用1発明」という。)が記載されている。

そこで、本願補正発明と引用1発明とを対比すると、引用1発明の「パワー」及び「創生」は、それぞれ本願補正発明の「動力」及び「発生」に相当し、引用1発明は、記載事項(エ)によれば「ガスタービンパワー発生系統と統合」したものであるといえることから、本願補正発明と「動力を発生させるためのガスタービン系と連係」している点で共通しているといえる。
そして、引用1発明の「燃焼圧縮酸素含有ガス流」は、「圧縮された酸素含有ガス流を、その温度を上昇させるために第1燃焼器内で燃焼させ」たものであるから、本願補正発明の「圧縮され加熱された酸素含有ガス流れ」に相当し、引用1発明の「固形電解質膜」は、記載事項(イ)に「固形電解質イオン伝導体膜又は混合型伝導体膜」であることが記載され、「ガス流から圧縮酸素減耗膜不透過ガス流と膜透過生成物酸素流とを生成」するものであるから、本願補正発明の「固体電解質酸素イオン輸送膜」に相当する。
また、引用例1には、引用1発明の「圧縮酸素減耗膜不透過ガス流」及び「膜透過生成物酸素流」について、記載事項(ウ)にそれぞれ、「圧縮酸素減耗膜不透過ガス流とは、膜を透過せずに保持され、酸素を減少又は除去された圧縮ガス流」及び「膜透過生成物酸素流とは、膜を透過することによってガス流から分離された生成物(製品)としての酸素流」であることが記載されている。これらの記載によれば、引用1発明の「圧縮酸素減耗膜不透過ガス流」及び「膜透過生成物酸素流」は、それぞれ本願補正発明の「酸素減少保持流れ」及び「透過流れ」に相当し、引用1発明における膜の「圧縮酸素減耗膜不透過ガス流」が流れる側の部分及び「膜透過生成物酸素流」が流れる側の部分は、それぞれ本願補正発明の「保持帯域」及び「透過帯域」に相当し、引用1発明は、本願補正発明と「膜を横切って酸素の少なくとも一部を保持帯域から透過帯域に輸送して」いる点で共通しているといえる。
さらに、引用1発明の「第2燃焼器」は、「第2燃焼器から回収された前記燃焼圧縮酸素減耗膜不透過ガス流をガスタービン内で膨脹させ」ていることから、本願補正発明の「ガスタービン燃焼器」に相当し、引用1発明の「前記圧縮酸素減耗膜不透過ガス流を、その温度を上昇させるために第2燃焼器内で燃焼させ」及び「燃焼圧縮酸素減耗膜不透過ガス流」は、本願補正発明の「酸素減少保持流れをガスタービン燃焼器に加え」及び「燃焼された酸素減少ガス流れ」に相当する。
そうすると、本願補正発明と引用1発明とは「動力を発生させるためのガスタービン系と連係した方法において、
圧縮され加熱された酸素含有ガス流れを少なくとも1個の固体電解質酸素イオン輸送膜に接触させ、膜を横切って酸素の少なくとも一部を保持帯域から透過帯域に輸送して酸素減少保持流れと透過流れとを生成し、
酸素減少保持流れをガスタービン燃焼器に加え、そして
ガスタービン燃焼器から回収される燃焼された酸素減少ガス流れをガスタービン内で膨脹させ、これによって動力を発生させる、
各工程を含むことからなる方法」の発明である点で一致するが、以下の点で相違する。

相違点:本願補正発明は、「酸化生成物を製造する」、「酸化生成物の製造法」の発明であり、酸素含有ガス流れと固体電解質酸素イオン輸送膜との接触を「保持帯域と透過帯域とを有する反応器において」行い、「反応体を前記酸素含有ガス流れに対して向流流れの方向で透過帯域に送給してその輸送された酸素と部分酸化反応において反応させてそれから酸化生成物を生成し」、「前記部分酸化反応は、ガスタービンから動力を発生させるのに必要とされるエネルギーの少なくとも一部分を提供する」構成を有するのに対して、引用1発明は、酸化生成物を製造するものではなく、酸化生成物の製造に係る構成を有していない点。

上記相違点について以下検討する。
引用例2には、記載事項(ア)によれば「メタン、天然ガス又は他の軽質炭化水素を合成ガスに酸化する電気化学的方法であって、第1帯域及び、前記要素により第1帯域から分離された第2帯域を含む電気化学セルにおいて、酸素含有ガスを第1帯域中の要素に接触して通過させ、メタン、天然ガス又は他の軽質炭化水素を第2帯域中の要素に接触して通過させ、生成物を第2帯域から回収する方法」が記載され、この方法について記載事項(イ)によれば「酸素含有ガスの酸素成分が酸素イオンに還元され、それが要素を通って第2帯域へ輸送され、そこで酸素イオンがメタンと反応して合成ガスを生ずる」ことが記載されているといえる。これらの記載によれば、引用例2には「メタン、天然ガス又は他の軽質炭化水素を合成ガスに酸化する電気化学的方法であって、第1帯域及び、前記要素により第1帯域から分離された第2帯域を含む電気化学セルにおいて、酸素含有ガスを第1帯域中の要素に接触して通過させて酸素成分を酸素イオンに還元して要素を通して第2帯域へ輸送し、メタン、天然ガス又は他の軽質炭化水素を第2帯域中の要素に接触して通過させて酸素イオンとメタンが反応して生ずる合成ガスを第2帯域から回収する方法」が記載されているといえ、この方法における「要素」は、引用例2の記載事項(ウ)によれば、引用1発明の「固形電解質膜」に相当するものといえる。
そうすると、引用例2に記載の方法における「酸素含有ガスを第1帯域中の要素に接触して通過させて酸素成分を酸素イオンに還元して要素を通して第2帯域へ輸送し」は、引用1発明の「該燃焼圧縮酸素含有ガス流を固形電解質膜に接触させて該ガス流から圧縮酸素減耗膜不透過ガス流と膜透過生成物酸素流とを生成し」と、酸素含有ガス流を固形電解質膜に接触させて膜を透過した酸素を得ている点で共通しているから、引用1発明において、引用例2に記載の方法を採用し、メタン、天然ガス又は他の軽質炭化水素を固形電解質膜に接触させて、膜を透過した酸素と反応して生ずる合成ガスを回収する構成を想到することに、当業者が格別の創意を要したとはいえない。ここで、引用例2に記載の方法における「メタン、天然ガス又は他の軽質炭化水素」及び「合成ガス」は、それぞれ本願補正発明の「反応体」及び「酸化生成物」に相当し、引用例2に記載の方法における「酸化」及び「反応」は、いずれも「合成ガス」を生ずるものであるから、本願補正発明の「部分酸化反応」に相当することは明らかである。また、引用例2に記載の方法における「第1帯域」、「第2帯域」及び「電気化学セル」は、それぞれ本願補正発明の「保持帯域」、「透過帯域」及び「反応器」に相当する。してみると、引用1発明において、引用例2に記載の方法を採用し、上記相違点に係る本願補正発明の構成の内、酸素含有ガス流れと固体電解質酸素イオン輸送膜との接触を「保持帯域と透過帯域とを有する反応器において」行い、「反応体を透過帯域に送給してその輸送された酸素と部分酸化反応において反応させてそれから酸化生成物を生成」する構成として、「酸化生成物を製造する」、「酸化生成物の製造法」の発明とすることに格別の困難性は存しない。
そして、上記相違点に係る本願補正発明の「前記部分酸化反応は、ガスタービンから動力を発生させるのに必要とされるエネルギーの少なくとも一部分を提供する」構成については、引用例2に記載の方法における温度について、引用例2には、記載事項(エ)によれば「電解セルは所望の温度に加熱することができ、その温度は反応の発熱により反応中に維持し得る」ことが記載されているといえる。この記載中の「反応」は、引用例2に記載の方法における反応であり、上記のとおり本願補正発明の「部分酸化反応」に相当し、この反応の発熱によって温度を反応中に維持すれば、第1帯域中の要素に接触して通過させられる酸素含有ガスが加熱されることは明らかである。してみると、引用1発明において、引用例2に記載の方法を採用することにより、「部分酸化反応」である反応の発熱は、酸素含有ガス流を固形電解質膜に接触させて生成した圧縮酸素減耗膜不透過ガス流を加熱し、その圧縮酸素減耗膜不透過ガス流が持つ熱エネルギーは、燃焼圧縮酸素減耗膜不透過ガス流となってガスタービン内で膨脹させられる際に、「ガスタービンから動力を発生させるのに必要とされるエネルギーの少なくとも一部分を提供する」構成を有することになるといえる。
また、上記相違点に係る本願補正発明の構成の内、反応体を透過帯域に送給する方向を「酸素含有ガス流れに対して向流流れの方向」とする構成については、2つのガスの反応を膜を介して行うものにおいて、2つのガスを流す方向をどのような方向とするかは、当業者が反応の効率や条件等を考慮して適宜に選択し得る設計事項の範囲内のことであり、向流流れの方向とすることも通常行われることであるから、引用1発明において、引用例2に記載の方法を採用して反応体を透過帯域に送給する際に、その方向を「酸素含有ガス流れに対して向流流れの方向」とすることは格別のことではない。
したがって、引用1発明において、引用例2に記載の方法を採用することにより、上記相違点に係る構成を有するものとすることは、当業者が容易に為し得ることであり、上記相違点の構成を採用することにより奏される本願の明細書に記載された効果も、引用例1及び引用例2に記載された技術的事項から、当業者であれば予測し得る範囲内の効果である。
よって、本願補正発明は、上記した理由により、本出願前に頒布された刊行物である引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、平成16年9月8日付けで提出された手続補正書によりなされた補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成16年9月8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?10に係る発明は、平成15年8月25日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】 動力を発生させるためのガスタービン系と連係して酸化生成物を製造する方法において、
(a)圧縮され加熱された酸素含有ガス流れを保持帯域と透過帯域とを有する反応器において少なくとも1個の固体電解質酸素イオン輸送膜と接触させ、ここで膜を横切って酸素の少なくとも一部分を保持帯域から透過帯域に輸送して透過流れと酸素減少保持流れとを生成し、
(b)反応体を透過帯域に送給してその輸送された酸素と部分酸化反応において反応させてそれから酸化生成物を生成し、
(c)酸素減少保持流れをガスタービン燃焼器に加え、そして
(d)ガスタービン燃焼器から回収される燃焼された酸素減少ガス流れをガスタービンにおいて膨張させ、これによって動力を発生させる、
各工程を含み、前記部分酸化反応は、ガスタービンから動力を発生させるのに必要とされるエネルギーの少なくとも一部分を提供することからなる酸化生成物の製造法。」

(2)引用例の記載事項
原査定の理由に引用文献3として引用された特開平9-858号公報(引用例1)及び引用文献8として引用された特開平6-56428号公報(引用例2)の記載事項は、それぞれ上記「2.平成16年9月8日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「(2)引用例の記載事項」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記「2.平成16年9月8日付けの手続補正についての補正却下の決定」で検討した、本願補正発明から、反応体を送給する方向の構成である「前記酸素含有ガス流れに対して向流流れの方向で」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成を全て含み、さらに他の構成を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「2.平成16年9月8日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「(3)対比・判断」に記載した理由により、引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、その出願前に頒布された刊行物である引用例1及び引用例2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項にかかる発明について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-11-29 
結審通知日 2007-12-04 
審決日 2007-12-17 
出願番号 特願平10-132625
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安齋 美佐子  
特許庁審判長 板橋 一隆
特許庁審判官 森 健一
宮澤 尚之
発明の名称 ガスタービンと一体化させた固体電解質膜を使用して酸化生成物を製造し且つ動力を発生させるための方法  
代理人 風間 弘志  
代理人 倉内 基弘  

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