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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1177435
審判番号 不服2004-19578  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-22 
確定日 2008-05-07 
事件の表示 平成11年特許願第187620号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 5月16日出願公開、特開2000-135314〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本件出願からの主だった経緯は次のとおりである。
・平成11年7月1日 特願平10-308578号(平成10年10月 29日出願)の一部を新たな特許出願として出願
・平成16年8月17日付け 拒絶査定
・平成16年9月22日 拒絶査定不服審判の請求
・平成16年9月28日 手続補正書提出
・平成19年8月30日付け 当審で拒絶理由を通知
・平成19年11月2日 手続補正書及び意見書提出
・平成19年11月20日付け 当審で(最後の)拒絶理由を通知
・平成20年1月10日 意見書提出
・平成20年1月28日 手続補正書及び意見書提出


第2.平成20年1月28日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
次の[理由1]及び[理由2]により平成20年1月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)を却下する。

[補正の内容]
本件補正は、以下の補正を行うものである。

(1)特許請求の範囲
(本件補正前)
「【請求項1】複数の図柄を変動表示可能な図柄表示器と、遊技球が特定領域を通過したことを検出する遊技球検出器と、電源投入時から所定時間に同期して加算される判定カウンタHcを有する遊技制御装置を配置の遊技機であって、判定カウンタHcと同じ範囲の数である副カウンタIcを設けて、判定カウンタHcの値が更新値αになったとき、判定カウンタHcの値を副カウンタIcの値に、副カウンタIcの値を判定カウンタHcと更新値αにセットし、
前記判定カウンタHcは、2倍以上の所定時間毎に加算され、
前記副カウンタIcは、所定時間に到るまで加算処理されることを特徴とする遊技機。」
(本件補正後)
「【請求項1】複数の図柄を変動表示可能な図柄表示器と、遊技球が特定領域を通過したことを検出する遊技球検出器と、電源投入時から所定時間に同期して加算される判定カウンタHcを有する遊技制御装置を配置の遊技機であって、判定カウンタHcと同じ範囲の数である副カウンタIcを設けて、判定カウンタHcの値が更新値αになったとき、判定カウンタHcの値を副カウンタIcの値に、副カウンタIcの値を判定カウンタHcと更新値αにセットし、
前記副カウンタIcは、2倍以上の所定時間毎に加算され、
前記判定カウンタHcは、所定時間に到るまで加算処理されることを特徴とする遊技機。」

(2)段落【0010】
(本件補正前)
「【課題を解決するための手段】
請求項1の遊技機は、電源投入時から所定時間に同期して加算される判定カウンタHcと同じ範囲の数である副カウンタIcを設けて、その判定カウンタHcの値が更新値αになったとき、判定カウンタHcの値を副カウンタIcの値に、副カウンタIcの値を判定カウンタHcと更新値αにセットする。
そして、判定カウンタHcは、2倍以上の所定時間毎に加算され、副カウンタIcは、所定時間に到るまで加算処理される。
例えば、判定カウンタHcは、3所定時間毎に+1となり、副カウンタIcは所定時間に到るまで加算処理されるので、+1されるか、+2されるか、その所定時間内に処理された後の残余時間によって異なる。
この様に、判定カウンタHcの値は、所定時間に同期して、2倍以上の所定時間毎に加算されるので、所定時間毎に加算されないし、副カウンタIcは所定時間に到るまで加算処理されるので、所定時間毎に加算される数を異にすることがあるので、判定カウンタHcと副カウンタIcの値は、電源投入時から変化するので、予測することは困難となり、不正防止を図ることができる。」
(本件補正後)
「【課題を解決するための手段】
請求項1の遊技機は、電源投入時から所定時間に同期して加算される判定カウンタHcと同じ範囲の数である副カウンタIcを設けて、その判定カウンタHcの値が更新値αになったとき、判定カウンタHcの値を副カウンタIcの値に、副カウンタIcの値を判定カウンタHcと更新値αにセットする。
そして、副カウンタIcは、2倍以上の所定時間毎に加算され、判定カウンタHcは、所定時間に到るまで加算処理される。
例えば、副カウンタIcは、3所定時間毎に+1となり、判定カウンタHcは所定時間に到るまで加算処理されるので、+1されるか、+2されるか、その所定時間内に処理された後の残余時間によって異なる。
この様に、副カウンタIcの値は、所定時間に同期して、2倍以上の所定時間毎に加算され、判定カウンタHcは所定時間に到るまで加算処理されるので、所定時間毎に加算される数を異にすることがあるので、判定カウンタHcと副カウンタIcの値は、電源投入時から変化するので、予測することは困難となり、不正防止を図ることができる。」

(3)段落【0031】
(本件補正前)
「【発明の効果】本発明の遊技機の判定カウンタHcの値は、所定時間に同期して、2倍以上の所定時間毎に加算されるので、所定時間毎に加算されないし、副カウンタIcは所定時間に到るまで加算処理されるので、所定時間毎に加算される数を異にすることがあるので、判定カウンタHcと副カウンタIcの値は、電源投入時から変化するので、予測することは困難となり、不正防止を図ることができる。」
(本件補正後)
「【発明の効果】本発明の遊技機の副カウンタIcの値は、所定時間に同期して、2倍以上の所定時間毎に加算され、判定カウンタHcは所定時間に到るまで所定時間毎に加算処理されるので、判定カウンタHcと副カウンタIcの値は、電源投入時から変化するので、予測することは困難となり、不正防止を図ることができる。」

[理由1]
(1)特許請求の範囲の補正について
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1には、「判定カウンタHcは、所定時間に到るまで加算処理される」なる事項(以下、「補正事項A」という。)が含まれることとなった。
補正事項Aの根拠として、出願人は、平成20年1月28日付け意見書において「又、図4(A)のS20では、「T≧Te」なる条件まで、即ち、判定カウンタHcは、所定時間毎にカウントされる構成であるので、「判定カウンタHcは、所定時間に到るまで加算処理される」という処理を実行しています。」と主張している。
この点について、本願の出願当初の明細書及び図面(以下、「当初明細書等」という。)に基づき検討する。図4(A)のフローチャートのS20によれば、「T≧Te」なる条件まで「YES」とならないので、S20の「判断」を意味する処理記号(菱形に図示されたもの)の「NO」の出口から同じ処理記号の入口に入る処理が繰り返されることがわかる。すなわち、2ms(CPUのリセット時間)毎に実行される図4(A)(B)の制御フローにおいて、S10でリセット(T=0)されたTがTe(リセット時間である2ms)になるまで、一度S20に入ると、上記処理記号から離脱(「YES」となる)できないことを意味している。一方、判定カウンタHcは、S11において1加算されるものの、上記処理記号の出口と入口の間では加算処理されるものではない。したがって、「判定カウンタHcは、所定時間に到るまで加算処理される」との記載は、図4(A)のS20には記載されておらず、かつ自明な事項とも認められない。
更に、当初明細書等における上記以外の記載をみても、「所定時間毎に加算する判定カウンタ」(特許請求の範囲、段落【0010】)、「CPUのリセット(2ms)毎に1を加算する0?306(Hm)の循環カウンタである判定カウンタHc」(段落【0014】)、「判定カウンタHcは、2ms毎に1加算される0?306(Hm)の循環数となる。」(段落【0018】)等の補正事項Aとは異なる記載はあるものの、補正事項Aが明示的記載されているとは認められず、補正事項Aが当初明細書等から自明な事項とも認められない。
以上により、補正事項Aは、当初明細書等に記載も示唆もされておらず、また当初明細書等の記載から自明な事項であるとも認められないから、新規事項を追加するものである。
(2)段落【0010】の補正について
本件補正により、段落【0010】には、「判定カウンタHcは、所定時間に到るまで加算処理される」及び「例えば、判定カウンタHcは所定時間に到るまで加算処理されるので、+1されるか、+2されるか、その所定時間内に処理された後の残余時間によって異なる。」なる事項(以下、「補正事項B」という。)が含まれることとなった。
しかし、「判定カウンタHcは、所定時間に到るまで加算処理される」が、図4(A)のS20には記載されておらず、かつ自明な事項とも認められないことは、上記(1)で検討したとおりである。また、「判定カウンタHcは、所定時間に到るまで加算処理される」の例示的記載である「例えば、判定カウンタHcは所定時間に到るまで加算処理されるので、+1されるか、+2されるか、その所定時間内に処理された後の残余時間によって異なる。」も、図4(A)のS20には記載されておらず、かつ自明な事項とも認められないことは同様である。
更に、当初明細書等における上記以外の記載においても、補正事項Bが明示的に記載されているとは認められず、補正事項Bが当初明細書等から自明な事項とも認められない。
以上により、補正事項Bは、当初明細書等に記載も示唆もされておらず、また当初明細書等の記載から自明な事項であるとも認められないから、新規事項を追加するものである。
(3)段落【0031】の補正について
本件補正により、段落【0031】には、「判定カウンタHcは所定時間に到るまで所定時間毎に加算処理される」なる事項(以下、「補正事項C」という。)が含まれることとなった。
しかし、「判定カウンタHcは所定時間に到るまで所定時間毎に加算処理される」が、図4(A)のS20には記載されておらず、かつ自明な事項とも認められないことは、上記(1)で検討したと同様である。
更に、当初明細書等における上記以外の記載においても、補正事項Cが明示的記載されているとは認められず、補正事項Cが当初明細書等から自明な事項とも認められない。
以上により、補正事項Cは、当初明細書等に記載も示唆もされておらず、また当初明細書等の記載から自明な事項であるとも認められないから、新規事項を追加するものである。
(4)まとめ
したがって、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

[理由2]
(1)出願人は、平成20年1月28日付け意見書において、「本願発明の請求項1は、本願発明の要部から鑑みると、明らかな誤記であり、この様な誤記に対して、最後の拒絶理由をもって、以後の補正を認めないということは、発明の保護の法趣旨に反すると思料します。」と主張しているので、誤記の訂正に該当するかを含め、平成18年改正前特許法17条の2第4項の規定に適合するか検討する。
(2)知財高裁平成18年10月18日判決,平成18年(行ケ)第10204号では、「「誤記」というためには、訂正前の記載が誤りで訂正後の記載が正しいことが、当該明細書及び図面の記載や当業者の技術常識などから明らかで、当業者であればそのことに気付いて訂正後の趣旨に理解するのが当然であるという場合でなければならないものと解される。」と説示されている。なお、当該説示は旧特許法134条2項ただし書2号に関するものであるが、17条の2第4項3号の「誤記の訂正」についても同様に解することが至当である。
(3)本件補正は、特許請求の範囲の請求項1において、補正前の「前記判定カウンタHcは、2倍以上の所定時間毎に加算され、前記副カウンタIcは、所定時間に到るまで加算処理される」(以下、「補正前の技術事項D」という。)を「前記副カウンタIcは、2倍以上の所定時間毎に加算され、前記判定カウンタHcは、所定時間に到るまで加算処理される」(以下、「補正後の技術事項E」という。)と補正することを含むものである。
(4)補正前の技術事項Dの「前記判定カウンタHcは、2倍以上の所定時間毎に加算され、」は、「CPUのリセット(2ms)毎に1を加算する0?306(Hm)の循環カウンタである判定カウンタHc」(段落【0014】)との記載、「判定カウンタHcは、2ms毎に1加算される0?306(Hm)の循環数となる。」(段落【0014】)との記載、図4?6のフローチャート及びこれに関する説明の記載等と矛盾している。
しかし、補正前の技術事項Dの「前記判定カウンタHcは、2倍以上の所定時間毎に加算され、」は、段落【0010】(平成19年11月2日付け手続補正書の【手続補正2】参照。)の「判定カウンタHcは、2倍以上の所定時間毎に加算され、」との記載と一致するとともに、同段落【0010】の「例えば、判定カウンタHcは、3所定時間毎に+1となり、」との記載及び「この様に、判定カウンタHcの値は、所定時間に同期して、2倍以上の所定時間毎に加算されるので、所定時間毎に加算されないし、」との記載とも矛盾を生じていないものである。また、補正前の技術事項Dの「前記判定カウンタHcは、2倍以上の所定時間毎に加算され、」は請求項1において他の技術事項とも矛盾を生じておらず、請求項1に記載された発明は明りょうなものと認められる。
そうすると、補正前の明細書及び図面、当業者の技術常識からみて、「前記判定カウンタHcは、2倍以上の所定時間毎に加算され、」は、誤りであると解する余地はあるものの、明らかな誤りであるということはできない。 したがって、訂正前の記載が明らかな誤りであるということができないから、補正前の技術事項Dを補正後の技術事項Eと補正することは、「誤記の訂正」に当たらない。
(5)仮に、補正前の技術事項Dが補正前の明細書の他の記載と矛盾することをもって明らかな誤りとする場合について検討する。
補正後の明細書及び図面において、図4(A)のフローチャートのS20によれば、「T≧Te」なる条件まで「YES」とならないので、S20の「判断」を意味する処理記号(菱形に図示されたもの)の「NO」の出口から同じ処理記号の入口に入る処理が繰り返されることがわかる。すなわち、2ms(CPUのリセット時間)毎に実行される図4(A)(B)の制御フローにおいて、S10でリセット(T=0)されたTがTe(リセット時間である2ms)になるまで、一度S20に入ると、上記処理記号から離脱(「YES」となる)できないことを意味している。一方、判定カウンタHcは、S11において1加算されるものの、上記処理記号の出口と入口の間では加算処理されるものではない。そうすると、図4(A)のフローチャートの処理は、「前記判定カウンタHcは、所定時間に到るまで加算処理される」と矛盾するものである。また、補正後の明細書の「CPUのリセット(2ms)毎に1を加算する0?306(Hm)の循環カウンタである判定カウンタHc」(段落【0014】)との記載、「判定カウンタHcは、2ms毎に1加算される0?306(Hm)の循環数となる。」(段落【0014】)との記載も、補正後の技術事項Eの「前記判定カウンタHcは、所定時間に到るまで加算処理される」と矛盾するものである。
そうすると、補正前の技術事項Dが補正前の明細書の他の記載と矛盾することをもって明らかな誤りとするならば、補正後の技術事項Eも補正後の明細書の他の記載と矛盾するものであるから明らかな誤りとなる。
したがって、補正後の記載が正しいものではないから、補正前の技術事項Dを補正後の技術事項Eと補正することは、「誤記の訂正」に当たらない。
(6)補正前の技術事項Dの「前記副カウンタIcは、所定時間に到るまで加算処理される」について検討する。
補正前の明細書の段落【0027】には「タイマTが、Te(リセット時間である2ms)を経過したか否かを判断し、経過した後はステップ10に戻る(S20)が、経過していない間は、サブルーティン(A)の実行を繰り返す(S30)。即ち、遊技ソフトウエアの全処理は、リセット時間(2ms)以内に実行可能に構成してあるので、リセット時間の調整時間にサブルーティン(A)を繰返し実行する。」と記載され、段落【0028】には「このサブルーティン(A)を繰返し実行される毎に、副カウンタIcは1の加算処理がされる(S41)。」と記載されている。当該記載は、副カウンタIcは所定時間であるTe(リセット時間である2ms)に至るまで1の加算処理がされることを意味しており、補正前の技術事項Dの「前記副カウンタIcは、所定時間に到るまで加算処理される」に対応するものである。
そうすると、当業者が、補正前の技術事項Dの「前記副カウンタIcは、所定時間に到るまで加算処理される」が誤りであることに気付き、補正後の技術事項Eである「前記判定カウンタHcは、所定時間に到るまで加算処理される」と理解することが当然であるとすることはできないから、補正前の技術事項Dを補正後の技術事項Eと補正することは、「誤記の訂正」に当たらない。
(7)以上により、本件補正は、「誤記の訂正」に該当しないから平成18年改正前特許法17条の2第4項3号に該当せず、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、明りょうでない記載の釈明に該当しないことは明らかであるから、平成18年改正前特許法17条の2第4項各号のいずれにも該当しない。
よって、本件補正は、平成18年改正前特許法17条の2第4項各号を目的としたものではないから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。


第3 本件審判請求についての判断
1.本願発明の認定
平成20年1月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年11月2日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「複数の図柄を変動表示可能な図柄表示器と、遊技球が特定領域を通過したことを検出する遊技球検出器と、電源投入時から所定時間に同期して加算される判定カウンタHcを有する遊技制御装置を配置の遊技機であって、判定カウンタHcと同じ範囲の数である副カウンタIcを設けて、判定カウンタHcの値が更新値αになったとき、判定カウンタHcの値を副カウンタIcの値に、副カウンタIcの値を判定カウンタHcと更新値αにセットし、
前記判定カウンタHcは、2倍以上の所定時間毎に加算され、
前記副カウンタIcは、所定時間に到るまで加算処理されることを特徴とする遊技機。」

2.平成19年11月20日付け拒絶理由通知書
平成19年11月2日付けでした手続補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない旨、平成19年11月20日付けで、最後の拒絶理由通知を当審において行った。

3.判断
(1)平成19年11月2日付け手続補正は、補正前の請求項1(平成16年9月28日付け手続補正書で補正されたもの)に「前記判定カウンタHcは、2倍以上の所定時間毎に加算され、」との技術事項を加入する補正内容Fを含むものである。
(2)出願人は、平成19年11月2日付け意見書において、「尚、判定カウンタHcを所定時間毎ではなく、2倍以上の所定時間毎に加算処理するのは、明細書段落[0030]の「例えば、検出器の信号の単独による加算処理や、間隔数I毎と調整リセット時間(2ms)の組合せ等、適宜に組み合せて処理をしてもよいことは言うまでもない。」に基づくものです。」と記載している。しかし、本願の当初明細書等の段落【0030】において、「判定カウンタHcは、2倍以上の所定時間毎に加算され、」との記載はなく、かつ自明な事項とも認められない。
更に、当初明細書等における段落【0030】以外の記載をみても、「所定時間毎に加算する判定カウンタ」(特許請求の範囲、段落【0010】)、「CPUのリセット(2ms)毎に1を加算する0?306(Hm)の循環カウンタである判定カウンタHc」(段落【0014】)、「判定カウンタHcは、2ms毎に1加算される0?306(Hm)の循環数となる。」(段落【0018】)等の記載はあるものの、「判定カウンタHcは、2倍以上の所定時間毎に加算され、」が明示的に記載されているとは認められず、かつ当初明細書等から自明な事項とも認められない。
(3)したがって、上記補正内容Fは当初明細書に記載された事項以外の事項について追加するものであるから、平成19年11月2日付け手続補正は当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでない。


第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、出願当初の明細書及び図面に記載された範囲を超えたものであり、特許法第17条の2第3項の規定により、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-02-19 
結審通知日 2008-02-26 
審決日 2008-03-13 
出願番号 特願平11-187620
審決分類 P 1 8・ 573- WZ (A63F)
P 1 8・ 561- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲吉▼川 康史  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 太田 恒明
小林 俊久
発明の名称 遊技機  
代理人 犬飼 達彦  

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