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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1178175
審判番号 不服2005-206  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-01-05 
確定日 2008-05-15 
事件の表示 特願2001-170622「約束手形類情報入力支援装置およびプログラム並びに記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成14年12月20日出願公開、特開2002-366772〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年6月6日の出願であって、平成16年11月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成17年1月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年2月2日付けで手続補正がなされたが、平成19年11月9日付けの補正却下の決定により平成17年2月2日付けの手続補正が却下されるとともに、当審において平成19年11月27日付けで拒絶理由が通知され、平成20年1月31日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成20年1月31日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「約束手形または小切手に印字された磁気インク文字を読み取るリーダーと、
このリーダーで読み取られた前記磁気インク文字の情報を種別毎に分類してコンピュータ読み取り可能なデータとして出力する手段と、
約束手形類発行所コードに対応する約束手形類発行所における磁気インク文字の情報の種別毎の印字フォーマットを予め格納した記憶手段と、
前記リーダーで読み取られた前記磁気インク文字の情報から、所定の開始および終了を表す記号で挟まれた情報を約束手形類発行所コードとして認識する手段と、
認識された約束手形類発行所コードに基づいて、前記記憶手段に格納された当該約束手形類発行所における磁気インク文字の情報の種別毎の印字フォーマットを抽出する手段と、
前記リーダーで読み取られた前記磁気インク文字の情報のうち、前記約束手形類発行所コード以外の情報である約束手形類発行所本支店コード、当座預金口座番号、約束手形番号または小切手番号を、前記抽出された印字フォーマットに対応して情報の種別毎に分類してディスプレイの約束手形内容または小切手内容の表示画面上に出力する手段と
を有することを特徴とする約束手形類情報入力支援装置。」

3.引用例
(3-1)引用例1
当審において通知した拒絶理由で引用された、特開昭63-65589号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。

(ア)「背景技術
銀行などの金融機関の窓口において、現金及び有価証券などの出納業務を取扱う金銭出納機が用いられている。このような金銭出納機には、磁気インク読取り装置(Magnetic Ink Character Reader)に接続することができ、この磁気読取り装置によって小切手の磁気インクで印字された金額などの出納業務に関連する情報を読取ることができる。」(1頁右下欄2?10行)

(イ)「本発明の目的は、上記問題点を解決し、現金および有価証券などの出納対象に対応して複数種類の読取り形式を、予め記憶させておき、適宜希望する読取り形式を選択して読取ることができるようにした金銭出納機を提供することである。」(1頁右下欄19行?2頁左上欄3行)

(ウ)「作用
本発明に従えば、読取り手段の相互に異なる複数種類の読取り形式が記憶手段に記憶される。選択手段によって複数種類の読取り形式のうちの希望するものを選択することによって、前記記憶手段から当該選択された読取り形式が読出され、この読取り形式に基づいて前記読取り手段が、読み取り動作を行う。したがって広範囲の種類の小切手などの出納対象を簡単な操作で読取ることができ、きわめて実用的である。」(2頁左上欄17行?同頁右上欄6行)

(エ)「第1図は金銭出納機25の電気的構成を示すブロック図である。第1図を参照して、金銭出納機25の電気的構成について説明する。金銭出納機25は各種動作を制御する例えばマイクロプロセッサなどから構成される制御部26を含む。制御部26には前記操作部1における数値キー群2などのキー入力を行うキー入力部27と、表示部18と、プリンタ17と、磁気インク読取り装置50とがそれぞれ接続される。
制御部26には、たとえばROM(リードオンリメモリ)などから構成される固定記憶部28と、たとえばRAM(ランダムアクセスメモリ)などによって実現される随時記憶部29と、小切手の出納処理に関連する情報がストアされるバッファメモリ30と、金銭出納機25が例えばエラー状態となったときブザー音などを発生する報知装置31とが接続される。
前記固定記憶部28は、主制御プログラムが記憶される第1記憶部28aと、小切手読取り用フォーマットが記憶される第2記憶部28bとを有する。
第3図は固定記憶部28の第2記憶部28bのストア領域を示す図である。第2記憶28bには、数値キー群2のキー番号に対応したコード番号が記憶されるコード番号記憶領域55と、小切手R(第4図参照)毎の小切手の連番(Account Number)Xの読取り位置D1が記憶される読取り位置記憶領域51と、小切手の連番Xの読取り長さD2が記憶される読取り長さ記憶領域52と、小切手の出納金額Yの読取り位置D3が記憶される読取り位置記憶領域53と、出納金額Yの読取り長さD4が記憶される読取り長さ記憶領域54とを有する。数値キー群2のうちの1つが操作されて、コード番号が指定されたときには、これらの小切手の読取りフォーマットに関連する情報D1,D2,D3,D4が読出され、この読取りフォーマットに基づいて小切手の出納情報が読取られる。
第4図は小切手Rの簡略化した正面図である。小切手の読取り領域60には、小切手の連番Xや、出納金額Yあるいは暗証コードZなどが、磁気インクによって予め印字されている。これらの読取り領域60の第4図における上方に、読取り位置及び読取り範囲を規定するためのたとえば連続数字「1」?「38」からなる指標Mが、予め磁気インクによって印字されている。これらの指標Mは、読取り領域60に印字されている出納情報である数字毎に対応している。後述するように小切手を磁気インク読取り装置50で読取る場合には、指標Mに基づいて予め設定された読取り位置および読取り範囲に基づいて読取動作が行われる。
第5図は本実施例の金銭出納機25の動作を説明するフローチャートである。以下の説明では金銭出納機25を用いて、第4図示の小切手Rを入金する場合について説明する。ステップn1ステップn1aに移り、実行キーKが操作される。次にステップn2で読取られるべき小切手Rの読取りフォーマットが第1種類であるため、数値キー群2のうちのキー番号「1」のキーを操作する。これによって制御部26は第2記憶部28bのコード番号「1」が指定され、第3図に示す小切手連番Xの読取り位置「25」と、小切手の連番Xの読取り長さ「14」と、出納金額Yの読取り位置「05」と、出納金額Yの読取り長さ「06」が読出され、制御部26のレジスタ37(第1図参照)にストアされる。
次にステップn3で磁気インク読取り装置50によって小切手Rが読取られる。この読取られたデータは、随時記憶部29にストアされる。
次にステップn4で小切手の連番の読取り位置及び読取り長さの設定があるか否かが判断され、設定されている場合にはステップn5に移って、随時記憶部29にストアされている読取りデータのうち、前記設定された読取り位置D1および読出し長さD2に基づいて小切手の連番Xを探し出す。第4図示の小切手Rでは小切手の連番の読取り位置D1が「25」であり、その読取り長さD2が「14」であるため、小切手Rの指標Mの「25」から「58」までの範囲に対応する数字「11631006236070」が小切手の連番Xとなる。
次にステップn6に移って出納金額Yの読取り位置D3および読取り長さD4の設定があるか否かが判断される。
なお前記ステップn4において、小切手の連番の読取り位置D1および読取り長さD2の設定がない場合にはステップn6に移る。ステップn6において設定されている場合には、ステップn7で随時記憶部29にストアされている読取りデータより、設定されている出納金額Yの読取り位置D3および読取り長さD4によって、出納金額Yを探し出す。第4図示の小切手の場合には、読取り位置D3が「05」であり、読取り長さD4が「06」であるため小切手Rの指標Mの「5」から「10」までの範囲にある数字「004676」が、出納金額Yとなる。次にステップn8でプリンタ17によって、読取られた小切手の連番Xおよび出納金額Yが印字され、ステップn9で表示部18に表示される。次にステップn10に移って複数枚の小切手のすべての読取り処理が終了したか否かが判断される。終了されていないときには、たとえばステップn2に戻る。前記ステップn6において、出納金額Yの読取り位置D3および読取り長さD4が設定されていないときにはステップn10に移る。
ステップn10で読取り処理が終了したときには、ステップn11において当該取引は入金取引であることを示す「入」キー8を操作する。これによって小切手の連番X、金額Yおよび小切手の種類などの小切手の出納取引に関する情報がバッファメモリ30にストアされ、ステップn15で動作が終了する。
前述の説明においては、小切手Rは第1種類の読取りフォーマットであるため、数値キー2のうちの「1」が操作されたけれども、その他の読取りフォーマットである場合には、その読取りフォーマットに対応する番号を有する数値キー2を選択的に操作すればよい。これによって小切手の相互に異なる複数種類の形式がある場合にも、簡単な操作で小切手の出納取引に関する情報を確実に読取ることができる。
前述の実施例では、小切手の入金時において小切手を磁気インク読取り装置50によって読取る場合について説明したけれども、その他の出納処理手順において、小切手を磁気インク読み取り装置50によって読取る場合にも、本発明は好適に実施することができる。
また本発明は、小切手の読み取りだけでなく、為替や有価証券などの読取り対象においても好適に実施することができる。」(2頁右下欄20行?4頁左下欄9行)

上記摘記事項(エ)には、マイクロプロセッサなどから構成される制御部が、磁気インク読取り装置で読み取られた小切手に印字された磁気インクの数字の情報から、予め設定された小切手の連番の読取り位置及び読取り長さに基づいて小切手の連番を探し出し、予め設定された出納金額の読取り位置及び読取り長さに基づいて出納金額を探し出し、読み取られた小切手の連番及び出納金額を、プリンタに印字させ、表示部に表示し、バッファメモリにストアすることが記載されているから、技術常識に照らしてみれば、金銭出納機が、磁気インク読取り装置で読み取られた磁気インクの数字の情報を出力する手段を備えていることは明らかである。
また、上記摘記事項(イ)には、複数種類の読取り形式を予め記憶させておくことが記載されており、上記摘記事項(エ)には、ROM(リードオンリメモリ)などから構成される固定記憶部が、小切手読取り用フォーマットが記憶される第2記憶部を有していることが記載されているから、技術常識に照らしてみれば、第2記憶部が、小切手読取り用フォーマットを予め記憶していることは明らかである。
また、上記摘記事項(エ)には、数値キー群のうちの1つが操作されて、コード番号が指定されることが記載されているから、技術常識に照らしてみれば、金銭出納機が、数値キー群で入力された数値をコード番号として指定する手段を備えていることは明らかである。
また、上記摘記事項(エ)には、指定されたコード番号に対応する、小切手の連番の読取り位置、小切手の連番の読取り長さ、出納金額の読取り位置及び出納金額の読取り長さからなる小切手読取り用フォーマットが読み出されることが記載されているから、技術常識に照らしてみれば、金銭出納機が、指定されたコード番号に基づいて、第2記憶部に記憶された当該小切手における磁気インクの数字の情報の小切手の連番の読取り位置、小切手の連番の読取り長さ、出納金額の読取り位置及び出納金額の読取り長さからなる小切手読取り用フォーマットを読み出す手段を備えていることは明らかである。
また、上記摘記事項(エ)には、読み取られた小切手の連番及び出納金額が、表示部に表示されることが記載されているから、技術常識に照らしてみれば、金銭出納機が、磁気インク読取り装置で読み取られた磁気インクの数字の情報のうち、小切手の連番及び出納金額を、表示部に出力する手段を備えていることは明らかである。

これらの記載事項及び図面の内容を総合すると、引用例1には、
「小切手に印字された磁気インクの数字を読み取る磁気インク読取り装置と、
この磁気インク読取り装置で読み取られた前記磁気インクの数字の情報を出力する手段と、
コード番号に対応する磁気インクの数字の情報の小切手の連番の読取り位置、小切手の連番の読取り長さ、出納金額の読取り位置及び出納金額の読取り長さからなる小切手読取り用フォーマットを予め記憶した第2記憶部と、
数値キー群で入力された数値をコード番号として指定する手段と、
指定されたコード番号に基づいて、前記第2記憶部に記憶された磁気インクの数字の情報の小切手の連番の読取り位置、小切手の連番の読取り長さ、出納金額の読取り位置及び出納金額の読取り長さからなる小切手読取り用フォーマットを読み出す手段と、
前記磁気インク読取り装置で読み取られた前記磁気インクの数字の情報のうち、小切手の連番及び出納金額を、表示部に出力する手段と
を有することを特徴とする金銭出納機。」
との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3-2)引用例2
当審において通知した拒絶理由で引用された、特開平3-102470号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。

(オ)「〔産業上の利用分野〕
本発明は、手形、小切手等の証券の額面を読み取ってクリアバンド内に金額を印字するようにした証券処理装置に関するものである。

〔従来の技術〕
・・・(中略)・・・
第4図に小切手の券面の一例を示す。図に示すように、小切手の券面の中央付近には使用者が金額を記入する金額欄が設けられており、一般にはチェックライタ文字による記入が行われる。また、券面の下部にはクリアバンドと称される領域が設けられている。クリアバンドには、手形交換所番号a及び金融機関番号bを記入する交換番号欄と、店番号c、口座番号d及び小切手番号eを記入する自行欄と、金額fを記入する金額欄とが含まれている。
・・・(中略)・・・

〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、上述した手形・小切手用紙は、改ざん防止のために地紋が印刷されており、この地紋は各金融機関でまちまちの色、図案が使用されているため、この地紋の上に印字されたチェックライタ文字をパターン認識で読み取って額面金額を識別し、クリアバンド内に金額を自動的に記入するといった手形・小切手の自動処理が不可能であるという問題点があった。
本願発明は、このような点にかんがみて創作されたものであり、手形・小切手の自動処理が可能な証券処理装置を提供することを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕
第1図は、本発明の証券処理装置の原理ブロック図である。
図において、券面情報読取り手段121は、証券111の券面に記載された情報の読み取りを行う。
金融機関識別手段131は、券面情報読取り手段121で読み取った券面のクリアバンド内の金融機関番号に基づいて金融機関を識別する。
前処理手段141は、券面情報読取り手段121で読み取った証券111の画像データに対して、金融機関識別手段131で識別した金融機関に対応した処理を施して券面の地紋の影響を取り除く。
識別手段151は、前処理手段141で処理された画像データに基づいて記載内容を識別する。
従って、全体として、地紋の影響を取り除いて証券111の額面を読み取るように構成されている。」(2頁左上欄5行?同頁右下欄5行)

(カ)「なお、本発明の実施例にあっては、クリアバンド内の金融機関番号をスライスレベルを高レベルに設定して光学的に読み取るようにしたが、磁気インキ文字読取装置(MICR)によって磁気インキを読み取るようにしてもよい。」(5頁左上欄3?7行)

(3-3)引用例3
当審において通知した拒絶理由で引用された、FACOM OS IV/X8 MICRデータ変換マクロ命令使用手引書、富士通株式会社、昭和54年7月、初版、P.1-27(以下「引用例3」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。

(キ)「磁気インク文字読取装置(Magnetic Ink Character Reader)は,銀行における手形,小切手の交換業務用を主な目的として開発されたB9137(バローズ社製)をMICR製御装置(F1042A)を介して,FACOMシステムに接続し,使用するものである.」(1頁左欄5?9行)

(ク)「1.3 ドキュメントの区分とフィールド形式
ドキュメントのフィールドと,使用区分は全国銀行協会連合会の取り決めたものとし,図1.4に示すようにすべてのフィールドは1?65けたであり,その中は次のフィールドで区分される.
・金額欄:アマウントフィールド
・自行欄:オンアスフィールド
・交換番号欄:トランシットナンバフィールド
・補助自行欄:オークジアリフィールド
各フィールドの使用区分を説明する.

(1)金額欄(アマウントフィールド)
a.けた数は10けたの固定長で両端をアマウントシンボルで囲む.
b.金額が10けたに満たないときは0を詰める.

(2)自行欄(オンアスフィールド)
a.けた数は最大20けたの可変長で,空白が入ってもよい.
b.持帰銀行だけが使用し,使用は自由であるが,一般に左から支店番号,口座番号,取引コードなどが印字されることが考えられる.
c.事前印字文字と事後印字文字との間は1文字分空けること.

(3)交換番号欄(トランシットナンバフィールド)
a.けた数は8けたの固定長で,両端はトランシットシンボルで囲む.
b.配列は,4けた-ダッシュシンボル-4けたとし右4けたは銀行番号,左4けたは手形交換所番号とする.
c.番号印字が8けたに満たないときは0を詰める.

(4)補助自行欄(トランシットナンバフィールド)
a.小切手の場合
(a)けた数は7けたの可変長であり,空白が入ってもよい.
(b)持帰銀行だけが使用するが,使用については各銀行の自由である.

b.約束手形の場合
補助自行欄を2分割し,補助自行欄1は持帰銀行,補助自行欄2は持出銀行が使用するものとする.
(a)補助自行欄1
7けたの可変長で,オンアスシンボル以外は使用できない.
(b)補助自行欄2
14けたの可変長で,オンアスシンボル以外は使用できない.
51けた目は空白とする.」(4頁左欄第9行?5頁左欄4行)

(ケ)「1.4.3 データ領域の形式
データ領域は,入力バッファ領域に格納されたドキュメント内容が転送される領域である.このとき,編集指定(FCBマクロ命令のEDKYパラメタで指示)がされているとき,入力バッファ領域内の内容がデータ領域の各欄に区分(編集)して格納される.
編集不要の指示をすれば,入力バッファ領域内に格納された内容で格納される.
そのときの,編集処理の概要を図1.12に示す.

(1)編集処理の指示がある場合
データ領域内の区分を図1.13に示す.」(8頁右欄1行?9頁左欄2行)

(コ)「(7)編集処理
・・・(中略)・・・
a.編集方法
(a)エンコード(”00”(16進))
データ領域より2バイト目に設定する.
(b)補助自行欄
・FCBに指定された編集文字(1バイト)により補助自行欄IとIIとに区分する.
編集文字は補助自行欄IIに含む.ただし編集文字が補助自行欄に2つ以上ある場合は,最左の文字に対して適用する.
・編集指定がない場合には,IとIIを区別しないで,この欄全体をIとする.
・補助自行欄IIの最左けたは,基本レコードアドレスより27バイト目.
・補助自行欄のけた数が21けた未満であればIとIIの間は空白である.
図2.10に補助自行欄の編集を示す.

(c)交換番号欄
左のトランシットシンボルは,基本レコードアドレスから28バイト目,したがって右のシンボルは38バイト目に編集する.図2.11に編集図を示す.

(d)自行欄
・自行欄内の最右のオンアスシンボル(’)によりこの欄をアカウントフィールドとプロセスフィールドに区別する.
・オンアスシンボルは,アカウントフィールドに含まれる.
・オンアスシンボルがないときは,自行欄全体をプロセスフィールドとする.
・アカウントフィールドの最左けたは,基本レコードアドレスより39バイト目.
・プロセスフィールドの最右けたは,基本レコードアドレスより58バイト目.
・自行欄のけた数が20けた未満であれば,アカウントフィールドとプロセスフィールドの間は空白である.
図2.12に編集図を示す.

(e)金額欄
左のアマウントシンボルは基本レコードアドレスより59バイト目,右のシンボルは70バイト目に合わせる.
図2.13に編集図を示す.

b.編集形式図
読み取られたデータが,どのように編集されるかを図2.14に示す.
読み取られたデータは,ドキュメント上の各フィールドが圧縮された形式になり,編集では各フィールドのシンボルを判定し,余分な領域には空白を挿入してドキュメント上のフィールドと同一形式にする.
(a)自行欄の編集形式
最初に発見されたオンアスシンボルを自行欄の中心とみなし,プロセスフィールドに分離する.そのとき発見されたオンアスシンボルはアカウントフィールドに含まれる.
なお,オンアスシンボルが存在しない場合,データはすべてプロセスフィールドと見なす.
図2.15に自行欄の編集形式図を示す.

(b)補助自行欄の編集形式
FCBの編集文字で自行欄I・IIの区別をする.
データの記述方向は自行欄と同じで,発見された編集文字は補助自行欄IIへ挿入される.なお,補助自行欄に編集文字が存在しない場合はすべて補助自行欄Iと見なす.図2.16に補助自行欄の編集形式図を示す.」(21頁左欄12行?22頁右欄7行)

(3-4)引用例4
登録実用新案第3067536号公報(平成12年4月7日発行。以下「引用例4」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。

(サ)「【0013】
次の手形要件である手形券面の下端傍部に設けたクリアーバンド4上にMICR磁気印字されている銀行コード5、銀行支店コード6、振出人口座番号7、手形番号8は自動読み取りできるMICRリーダー装置(MICR READER)Bに読取りデーター入力する。この時必要に応じて手形交換所の地域コード(交換所コード)も入力する。この読取り入力の実施形態としては、読取ったMICRデーターにより手形種別、銀行名やその支店名、振出人口座番号、手形番号、その他の要件事項が手形要件入力システムのデーターベースから検索され、手形フォーマットの所定位置に画面表示されると共に手形管理システムのデーターベース情報として格納される(図示せず)。さらに、振出人名はMICRで読取った手形の口座番号により、受取人の顧客マスターの顧客コードから顧客名を検索し、振出人の位置に画面表示するようにする。尚、前記以外の手形の受取人、担当部署、担当者、処理手形一連番号等、顧客側が独自に必要としている管理諸項目が必要なときは別途入力することになる。
・・・(中略)・・・
【0015】
前記MICRリーダー装置(MICR READER)Bは、MICR(磁気インク文字)のリーダーであって、コンパクトサイズのモーター駆動式磁気インク文字を認識し、読取ったMICRデーターにより手形種別、金融機関(銀行)5や支店名6、口座番号7、手形番号8、その他の要件事項が手形要件入力システムのデーターベースから検索されて、手形フオマットの所定位置に画面表示されると共に手形管理システムのデーターベース情報賭して格納できるように設定してある。」

(3-5)引用例5
特開平4-243497号公報(以下「引用例5」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。

(シ)「【0014】また、小切手自動預入装置1は、操作手順や利用者への指示内容を表示する表示部2、小切手の預入者が口座番号などを入力する入力部としてのキーボード3、預け入れられた小切手を光学的にイメージデータとして読み取り、かつ、装置内に収納する光学読取収納部4、光学読取収納部4で読み取った小切手のイメージデータから、小切手上に記載された金額および小切手発行者の口座番号を含むMICR文字を文字認識する文字認識部5、小切手預け入れ内容が印字された受領書を印字発行する受領書発行部6、センタ装置9とのデータの交信を行なう送信部としてのインタフェース部7、そして、小切手自動預入装置1の全体を統括的に制御する制御部8により構成されている。」

(ス)「【0022】小切手の預入者により、小切手が所定の預入口へ挿入されると(ステップ100)、図1の小切手自動預入装置1は、光学読取収納部4により、小切手のイメージ読み取りを行う(ステップ101)。そして、読み取った小切手のイメージデータを、図1の文字認識部5に送り、この文字認識部5により、小切手のイメージデータから、小切手上に記載された金額およびMICR文字に対する文字認識を行なう(ステップ102)。さらに、文字認識の結果で得られた認識文字に基づき、図1の制御部8により、認識不能文字の有無や、桁数などの妥当性の判別を行う(ステップ103)。ここで、妥当であれば、金額およびMICR文字の認識結果データと、金額およびMICR文字のイメージデータとを、例えば、「金額および小切手情報を確認の上、確認入力して下さい」などのガイダンスと共に、図1の表示部2に表示する(ステップ104)。」

4.対比
本願発明と引用例1発明とを対比すると、引用例1発明の「磁気インクの数字」、「磁気インク読取り装置」は、本願発明の「磁気インク文字」、「リーダー」にそれぞれ相当する。
また、引用例1発明において、小切手の連番と出納金額とは区別して処理されているとともに、一般に、マイクロプロセッサで処理されて各種装置(記憶装置等)に出力されるデータは、コンピュータ読み取り可能なデータであるから、引用例1発明の「(磁気インクの数字の情報を)出力する手段」は、本願発明の「種別毎に分類してコンピュータ読み取り可能なデータとして出力する手段」に相当する。
また、引用例1発明において、小切手読取り用フォーマットに、小切手の連番と出納金額とに関する情報が区別して記憶されているから、引用例1発明の「小切手の連番の読取り位置、小切手の連番の読取り長さ、出納金額の読取り位置及び出納金額の読取り長さからなる小切手読取り用フォーマット」は、本願発明の「種別毎の印字フォーマット」に相当する。
また、引用例1発明の「コード番号」と、本願発明の「約束手形類発行所コード」とは、「印字フォーマット識別コード」という概念で共通する。
また、引用例1発明の「記憶」することは、本願発明の「格納」することに相当する。
また、引用例1発明の「第2記憶部」は、印字フォーマットを予め格納しているから、本願発明の「記憶手段」に対応する。
また、引用例1発明の「数値キー群で入力された数値をコード番号として指定する手段」、「指定」されることと、本願発明の「前記リーダーで読み取られた前記磁気インク文字の情報から、所定の開始および終了を表す記号で挟まれた情報を約束手形類発行所コードとして認識する手段」、「認識」されることとは、「印字フォーマット識別コードを取得する手段」、「取得」されることという概念でそれぞれ共通する。
また、引用例1発明の「読み出す」ことは、本願発明の「抽出する」ことに相当する。
また、引用例1発明の「小切手の連番及び出納金額」と、本願発明の「約束手形類発行所コード以外の情報である約束手形類発行所本支店コード、当座預金口座番号、約束手形番号または小切手番号」とは、「約束手形類発行所コード以外の情報である小切手番号を含む情報」という概念で共通する。
また、引用例1発明において、小切手の連番と出納金額とが、小切手読取り用フォーマットに対応して区別して処理されていることからすると、小切手の連番及び出納金額が、種別毎に分類して表示部に出力されているといえるから、引用例1発明の「(小切手の連番及び出納金額を、)表示部に出力する手段」と、本願発明の「前記抽出された印字フォーマットに対応して情報の種別毎に分類してディスプレイの約束手形内容または小切手内容の表示画面上に出力する手段」とは、「前記抽出された印字フォーマットに対応して情報の種別毎に分類してディスプレイに出力する手段」という概念で共通する。
引用例1発明の「金銭出納機」は、小切手に磁気インク文字で印字された情報を読み取っているから、本願発明の「約束手形類情報入力支援装置」に対応する。

そうすると、本願発明と引用例1発明とは、
「小切手に印字された磁気インク文字を読み取るリーダーと、
このリーダーで読み取られた前記磁気インク文字の情報を種別毎に分類してコンピュータ読み取り可能なデータとして出力する手段と、
印字フォーマット識別コードに対応する磁気インク文字の情報の種別毎の印字フォーマットを予め格納した記憶手段と、
印字フォーマット識別コードを取得する手段と、
取得された印字フォーマット識別コードに基づいて、前記記憶手段に格納された磁気インク文字の情報の種別毎の印字フォーマットを抽出する手段と、
前記リーダーで読み取られた前記磁気インク文字の情報のうち、約束手形類発行所コード以外の情報である小切手番号を含む情報を、前記抽出された印字フォーマットに対応して情報の種別毎に分類してディスプレイに出力する手段と
を有することを特徴とする約束手形類情報入力支援装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願発明では、記憶手段が、「約束手形類発行所コード」に対応する「約束手形類発行所における」磁気インク文字の情報の種別毎の印字フォーマットを予め格納し、取得する手段が、「前記リーダーで読み取られた前記磁気インク文字の情報から、所定の開始および終了を表す記号で挟まれた情報を約束手形類発行所コードとして認識」し、抽出する手段が、「認識」された「約束手形類発行所コード」に基づいて、前記記憶手段に格納された「当該約束手形類発行所における」磁気インク文字の情報の種別毎の印字フォーマットを抽出しているのに対して、引用例1発明では、記憶手段が、「コード番号」に対応する磁気インク文字の情報の種別毎の印字フォーマットを予め格納し、取得する手段が、「数値キー群で入力された数値をコード番号として指定」し、抽出する手段が、「指定」された「コード番号」に基づいて、前記記憶手段に格納された磁気インク文字の情報の種別毎の印字フォーマットを抽出している点。

[相違点2]
ディスプレイに出力する手段が、本願発明では、小切手番号を含む情報として「約束手形類発行所本支店コード、当座預金口座番号、小切手番号」を、ディスプレイ「の小切手内容の表示画面上」に出力しているのに対して、引用例1発明では、小切手番号を含む情報として「小切手の連番及び出納金額」を、ディスプレイに出力している点。

5.当審の判断
上記相違点について判断する。

[相違点1]について
引用例2には、金融機関でまちまちの手形、小切手に対応するために、磁気インキ文字読取装置によりクリアバンド内の磁気インキを読み取り、読み取った情報から金融機関番号を認識し、認識した金融機関番号に基づいて金融機関に対応した処理を行う証券処理装置が記載されている。
そして、引用文献1発明と引用文献2に記載された発明とは、磁気インク文字が印字された小切手等の記載事項を読み取る装置に関するものである点で共通する技術分野に属するから、引用例1発明に引用例2に記載された発明の技術を適用して、印字フォーマット識別コードとして「コード番号」に代えて「約束手形類発行所コード」を採用し、記憶手段を、「約束手形類発行所コード」に対応する「約束手形類発行所における」磁気インク文字の情報の種別毎の印字フォーマットを予め格納するものとし、取得する手段を、リーダーで読み取られた磁気インク文字の情報から約束手形類発行所コードを認識するものとし、抽出する手段を、「認識」された「約束手形類発行所コード」に基づいて、前記記憶手段に格納された「当該約束手形類発行所における」磁気インク文字の情報の種別毎の印字フォーマットを抽出するものとすることは、当業者が容易に想到できたことである。
一方、磁気インクで印字された手形や小切手のドキュメントのフィールドと使用区分に関して、全国銀行協会連合会により、銀行番号及び手形交換所番号からなる交換番号欄の両端をトランシットシンボルで囲むことが取り決められており(上記摘記事項(キ)、(ク)を参照。)、たとえば引用例3に記載されているように、この取り決めに基づいて手形や小切手に磁気インクで印字された情報を読み取るとき、トランシットシンボルで囲まれた数字を銀行番号及び手形交換所番号として認識することは周知の事項であるから、引用例1発明に引用例2に記載された発明の技術を適用する際、リーダーで読み取られた磁気インク文字の情報から約束手形類発行所コードを認識するために、「前記リーダーで読み取られた前記磁気インク文字の情報から、所定の開始および終了を表す記号で挟まれた情報を約束手形類発行所コードとして認識」するようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。

[相違点2]について
たとえば引用例2乃至引用例5に記載されているように、小切手に約束手形類発行所本支店コード、当座預金口座番号、小切手番号を磁気インク文字で印字することは周知の事項である。また、たとえば引用例4、5に記載されているように、小切手等から読み取った磁気インク文字に関する情報を、ディスプレイの小切手等の内容の表示画面上に出力することも周知の事項である。
したがって、引用例1発明において、小切手に約束手形類発行所本支店コード、当座預金口座番号、小切手番号を磁気インク文字で印字しておき、これらの情報をリーダーで読み取り、小切手番号を含む情報として「約束手形類発行所本支店コード、当座預金口座番号、小切手番号」を、ディスプレイ「の小切手内容の表示画面上」に出力するようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。

以上判断したとおり、本願発明における上記相違点1、2に係る構成は、いずれも当業者が容易に想到し得たといえるものであり、また、本願発明の作用効果も、引用例1発明、引用例2記載の発明及び周知の事項から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものであるとは認められない。

したがって、本願発明は、上記引用例1発明、引用例2記載の発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用例1発明、引用例2記載の発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたのもであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-11 
結審通知日 2008-03-18 
審決日 2008-03-31 
出願番号 特願2001-170622(P2001-170622)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小太刀 慶明宮下 浩次  
特許庁審判長 藤内 光武
特許庁審判官 久保田 昌晴
小山 和俊
発明の名称 約束手形類情報入力支援装置およびプログラム並びに記録媒体  
代理人 加藤 久  

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